<藤沢県議>
第70号監査委員の選任のうち浦野昭治氏の提案に関して反対の討論をいたします。
最初に日本共産党県議団は決して浦野総務部長の見識や能力、人柄を否定しているものではなく、個人の資質に関しての異議を唱えるものではないことを一言申し上げておきます。
監査委員は地方自治法第195 条の規定により設置されている機関で、他の行政機関とは異なり、独任制の機関であります。そして監査委員は知事の指揮監督に服さず、知事から独立した立場で、県関係機関における財務の執行、事業の管理が法令に準拠して適正に実施されているか、又効果的、合理的な財政運営がなされているかなどを監査するという大変重要な役割をもっています。
健全な行財政運営のためにも監査がいかに重要であるかは平成18 年に財政破たんした北海道夕張市の例をとっても明らかです。夕張市では違法な会計操作を職員OBの監査委員が黙認していたことが発覚し、身内監査と批判されました。このことを受け、総務省は職員OBの監査委員選任は特にその必要がある場合以外は行わないとする指針を出したのです。
この総務省の指針の立場からしても知事の政治姿勢そのものを遂行してきた立場の総務部長をしかも定年まで2年を残して横すべりで代表監査委員ぶくみの常勤監査委員に選任することは不適切であります。県民からも県政のチェック機関としての機能をますます低下させることになるのではないかという疑念の声も上がっています。
そして何よりも看過できないのは、来年2 月までの任期である高見沢代表監査委員の任期途中の辞任の背景に知事自身が認めているように、後進に道を譲ったらどうかという知事からの辞任への働きかけがあったという事実であります。
辞任の働きかけについては党県議団が申し入れた際にも、只今の小林県議の質疑への答弁でも、知事は「強制したわけではない。断る自由もあったはずであり、問題はない」と言っていますが、知事が辞任を働きかけること自体が問題であります。
監査委員の選任権は知事にもありますが、選任された時点から監査委員は知事から独立した県政をチェックする機関でありますから、チェックされる側の知事が辞任を働きかけることは越権行為でありますし、職務上の義務違反や非行、心身の故障による職務遂行に支障をきたすなど監査委員として適さないという問題が何一つ見当たらない高見沢代表監査委員を実質的な解任に追い込むことは自治法の精神からも許されるものではありません。
もしこのようなことがまかり通ることになれば、知事の意向にそぐわない監査委員は任期途中でも辞任を強要される事態も生じかねず、独立機関としての監査委員の役割、存在そのものが否定されることにもなりかねません。
日本共産党県議団は去る15 日監査委員を県の幹部職員とはき違えているかのような今回の人事は正式提案までに見直すように知事に申し入れましたが、受け止めていただけず大変残念です。
以上のことから知事の人事権を逸脱した今回の提案は経過や提案の仕方そのものに問題があり選任には同意できないことを表明し、反対の討論といたします。