2010年6月定例会 一般質問 6月22日 高村京子

  1. 国民皆保険制度としての市町村国民健康保険の現状について
  2. 長野県上田点字図書館の充実について
  3. 盲導犬など補助犬の健康診断と治療について
  4. 看護職員の労働実態に対する認識と看護職員確保について

1 国民皆保険制度としての市町村国民健康保険の現状について

<高村県議> 国民の4割が加入する、国民健康保険料の値上げが相次ぎ、払いたくても払えない世帯が増えています。
 長野県では、10年前1999年の徴収率は95%でしたが、昨年は徴収率が92%となり、10年間で3%収納率が落ちています。
一人当たりの調定額と保険料を見ると、1992年は課税標準額102万1千円に対し6万1千円で6・0%です。2007年度は、課税標準額56万7千円余に下がっているのに、保険料は逆に6万5千8百円と値上げし、使える生活費の実に11・6%にも負担が増えています。

 上田市では、収納率89・9%で滞納額は15億円です。国から収納90%以下であるとして7%、約6千7百万円もの削減ペナルティが課されました。そのため、まず積立金から1億7千万円を取り崩し、さらに一般財源から3億円を当てますが、それでも不足です。現在6月市議会に8・47%もの保険料の値上げ案が審議されています。値上げされると夫婦と子ども二人で年収200万円の世帯では現行保険料31万6千600円が、35万9千円へと値上がり、いっそう払えなくなってしまいます。

 (1)→そこで健康福祉部長に伺います。県内各市町村の国保会計はどのような実態にあるのでしょうか。滞納世帯、滞納額の状況はどうでしょうか。そしてその原因をどのように受け止めておられるのか伺います。

<桑島健康福祉部長> 市町村国民健康保険についてお尋ねでございます。
 まず、市町村国保の保険料の値上げについて、滞納など様々な実態についてどのようにうけとめているか、お答えします。
 本県市町村の一人当たりの保険料は平成16年度の69,722円から平成20年度の85,794円と年々増加しており この傾向は全国同様な状況にございます。
 これは医療の高度化や高齢化の進展により医療費の増が反映されたものと考えています。

 次に保険料の滞納についてでございますが、平成16年度の124億1千万円から20年度の132億8千万円と増加しており、その収納率は平成16年度以降93%台を維持してきたものの、20年は92・08%と低下しています。
 本県は全国平均に比べて収納率が高いものの20年度の低下傾向は全国同様でございます。
 これは収納率が比較的高い75歳以上の高齢層が後期高齢者医療制度へ移行したことに加えまして最近の厳しい経済状況の影響にあるものと考えています。
 保険証が交付されていない世帯、つまり特別な事情がなく保険料を1年以上滞納している世帯に対して保険証から切り替えて交付される資格証明書は本県では昨年6月1日現在で571世帯に交付されていまして交付率は1・0%と、全国7・0%からは大きく下回っていまして、全国46位の低い交付率となっています。
 いずれにしましても、市町村国保をめぐる状況につきましては医療費の増や厳しい経済情勢の中、どの市町村保険者も厳しい運営を迫られているというふうに認識しています。

<高村県議> 健康福祉部長は、ただいまの、どうしてこういうふうに支払いが困難になっているのかと伺いましたけれども、国の状況についてはご答弁いただけませんでした。
国は、1984年に約49・5%国保会計に拠出していましたけれども、次々負担を削減し、現在は25%にまで国の負担をへらしています。その分が加入世帯への負担値上げとなり、71%もの市町村が赤字に苦しんでいます。

また国保加入世帯は、無年金者や年収200万円以下の世帯が8割以上を占めています。非正規雇用労働者が3分の一にもなっており、不安定な雇用と収入で払えない人々が増えています。高い保険料を払えず、住民登録をしない人も増えており、そのような人たちの把握はできていません。
また、高い保険料を必死に払ったら受診時の窓口3割の負担が払えず、受診を抑制する人も増えています。

 全日本民主医療機関連合会の調査では、2009年の一年間に47人が経済的理由で受診が遅れ死亡しています。そのうち17人は、無保険でした。
県内で、39歳の男性が無保険で受診を我慢して、最終的な診断では肺がんで亡くなりました。
養護施設を15歳で出て、日々暮らしてゆくのが精一杯でした。亡くなる前にその男性は「僕のように保険証が持てない人は周りにいっぱいいる」といわれたそうです。今や命を守るはずの皆保険制度は困窮する人々を救えていません。憲法25条の生存権の精神を踏まえた、国民の命を守る制度に急いで改善しなければなりません。
さきほで、健康福祉部長からご答弁ございませんでしたけれども短期保険証の発行が長野県では1万3千世帯に及んでいると思います。短期の保険証をつないでいくということも、やはり低所得の世帯では大変なことだと思っています。

(2)→そこで、長野県は現在、困難を極めている市町村国保会計に対し、支援の補助金は拠出していませんが、県民の命を守るためにまた派遣労働などで住所が定まらない人々のセーフティネットの機能を担保するためにも、市町村国保財源への支援をすべきと考えます。健康福祉部長に伺います。

<桑島健康福祉部長> 県独自の市町村国保への財政支援ということでお尋ねいただいたかと思います。
 都道府県から市町村国保へは法令に基づくさまざまな交付金等がございます。それらに加えまして都道府県独自で上乗せをするなどのなんらかの財政支援をしている都道府県は本年度18団体となっています。その内容ですが、福祉医療費の窓口無料化に伴う国庫補助の減額補てんが13団体、その他、国保診療所への補助や特定検診への補助などがございます。
 法令で定められた交付金に加えまして県独自で市町村国保の財政支援を行っていくことにつきましては現下の厳しい財政状況を踏まえるとなかなか困難ではないかと考えておりますけれども、国保財政の安定化のためにすでに、1つとして保険基盤安定事業として低所得者世帯への軽減措置に対する支援ですとか、高額医療費共同事業として高額医療費が発生した場合の急激な国保財政悪化を緩和するための市町村共同事業への支援などを通じまして引き続き市町村国保への支援を行ってまいりたいと考えております。

<高村県議> ただいま、ご答弁いただきましたけれども、今県が拠出をしているのは、国で定められた義務的な経費でございます。各市町村の財源が厳しい中で、県独自の支出というものも、100年に一度の経済的な危機、困窮世帯が増えている、こういう状況の中では真剣に補助制度を創設していただきたいと思っております。
お隣の群馬県では、子ども医療費の窓口無料化を中学3年生まで拡大し、そのための財源を含め、4億5500万円余を負担しています。
東京都でも、41億3700万円余を負担して、医療保障のため国保運営を応援しています。

(3)県は国保「広域化支援方針」を策定予定としていますが、どのような内容となるのか、また財政力の弱い市町村が国保料の標準化により保険料の値上げにつながる恐れはないのでしょうか、健康福祉部長に伺います。

<桑島健康福祉部長> 市町村国保の広域化等支援方針についてお尋ねいただきました。
 本年5月の国保法の改正によりまして国保運営の広域化または国保財政の安定化を推進するために市町村に対する支援方針を都道府県が定めることができるということとされたところでございます。
 国が例示している支援方針の内容を見ますと国保の現状や将来の見通しを分析したうえで例えばでございますが、事務の共通化などの事業運営の広域化、2つ目に財政安定のための共同事業の拡充など財政運営の広域化、3つ目に市町村規模別の目標収納率の設定など地域の実情に応じて盛り込むこととされています。
 この広域化等の支援方針は、保険料の値上げを前提とするものではありません。
 市町村国保の安定的運営に向けた広域化の取り組みの中身を定めるものでございますので、今後県と市町村が十分に話し合って方針を決めてまいりたいと考えています。

<高村県議> 国保広域化では、加入者や地域住民の声が届くのか疑問です。
 市町村独自に作り上げてきた福祉医療や子ども医療費年齢の拡大などが、標準化され制度が後退することは無いのでしょうか。
 また、市町村独自の繰り入れが無くなり保険料のいっそうの値上げになるのではないかと危惧します。
 その運営実施主体が不明確です。国なのか、都道府県なのか、市町村なのか、誰も責任を負えない不安定な組織と運営になってしまうのではないかなど、多くの疑問があります。この点を特に注視をして、後戻りのない安定した制度となるよう、しっかりと国からの提言も含めて問題点は指摘をすべきと思います。

(4)つぎに、国民皆保険制度を守る責任は国にあります。
まず国庫拠出金を今の約2倍=1984年の約50%の負担に戻し、年収200万円以下で、一割以上にもなる保険料の負担を大幅に軽減し、命を守る社会保障皆保険制度に再構するよう、市町村と連携して、国に強く要望すべきではないでしょうか。また、自治体が福祉医療費の窓口無料など制度を充実した場合や、保険料の収納率が下がると調整交付金を減額するなどのペナルティはやめるよう、強く求めてください。この点を健康福祉部長に答弁を求めます。

<桑島健康福祉部長> 市町村国保の財政安定に向けて国に責任を果たすよう強く要請していくべきではないかとお尋ねです。
 国保制度につきましてはそもそも国が約4割公費負担をしています。くわえて、現在、後期高齢者医療制度を廃止したのちの新たな高齢者医療制度の創設に向けた検討が現在進められています。
 これに並行して広域化等の支援方針を都道府県が策定するという国保法の改正があったところです。
 このように財政面でも制度面でも市町村国保の安定化に果たす国の役割は非常に大きいものと言えると思います。
 市町村国保への財政支援につきましては全国の知事会などを通じましてこれまでもその充実や財政安定化などを強く要望してきたところでございますけれども、引き続き様々な機会をとらえまして国に強く要望していきたいと考えています。

<高村県議> 国民健康保険法では国民健康保険事業の健全な運営を確保しもって社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とするとうたわれています。
 先ほど来お話しさせていただいていますけれども、もう200万円以下の貧困世帯が80%以上を占めるということで、国保世帯そのものが、全体が社会保障を引き落としている、こういう状況にあるのではないかと思います。
 新しい政権では民主党がこの困窮する国保財源に9000億円をあてると政権公約しました。しかし実際には40億円しか今年度盛られておりません。やはり国が国民の福祉向上のために、国保に安定的な財源を国がきちっと担保しなければ、この事業をいくら広域化しても、財政のひっ迫は解消されないと強く訴えさせていただきたいと思いますので、国に強くこの点の要望を市町村と連帯してあげていただきたいと思います。

2 つぎに長野県上田点字図書館の充実について伺います。

<高村県議> 上田市にある点字図書館は、明治時代からの鍼・あんまを業とする人の教育を受け継ぎ,大正15年に市立上田盲学校となりました。昭和25年新学制により県立移管となり、県立長野盲学校に吸収されました。そのとき視覚障害者団体の強い要望に応え、上田市は市立図書館内に「点字図書館」を設立し、その後昭和30年に「長野県上田点字図書館」として社会福祉施設の認可を受け、昭和49年に現在の地に移転新築し今日に至っています。
点字図書の貸し出しは、県内はもとより、全国の読者に広く利用されています。点字図書だけでなくインターネット時代の情報発信する専門的な役割など、新たな課題も出てきました。また最近増えている中途失明者の生活訓練事業も行なっていますが、生活訓練指導員は、全県でも数名であり専門職員の育成も急務です。文章を点字に訳す「点訳」は多くのボランティアによって支えられています、このような「点訳奉仕者」は、さまざまな研さんと長い労力の積み重ねをへた貴重な方々です。このような皆さんも含め関係者みなさんは、長野県で唯1つの「点字図書館」の今後のあり方に大きな危惧をいだかれています。

 歴史の経過の中で、土地は上田市、建物は県障害者福祉協会、運営費は県の委託として身障協を通じて、人件費を含め管理運営は上田市が行っています。
つまり長野県上田点字図書館は、三者がそれぞれの立場で運営に関わってはいるものの実施主体が誰なのかはっきりしていません。
 現実には、利用者の大半が上田市以外の、全県や全国に広がっており、上田市のみが実際の管理運営を担わなければならない、これには無理があります。
 建物は老朽化し、改修も必要です。今後の点字図書館のあり方や訓練指導専門職員や点訳奉仕者の技術継承、安定運営に向けての課題について早急に検討が求められています。

 そこで、健康福祉部長に伺います。
 長野県として県身体障害者福祉協会、上田市、そして利用者、点字奉仕者や関係者を含めた仮称「今後のあり方検討会」を立ち上げ、県としての役割を果たして戴きたいと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

<桑島健康福祉部長> 長野県上田点字図書館についてお尋ねを頂きました。
 点字図書館は視覚障害者団体などの強い要望によりまして上田市が昭和26年に市立図書館内に点字図書部を設置設立してスタートしたものと伺っています。
 そののち、昭和49年に現在地に移転・新築した際に、設置主体については全県的な組織である県身体障害者福祉協会となりましたが運営については引き続き上田市が受託する形で現在に至っています。
 県といたしましては点字図書館の安定的な運営と視覚障害者の福祉の向上を図るため国庫補助制度を活用いたしまして点字図書館の運営費に対し助成をしています。
 これまで点字図書館の運営については市の主体性に委ねてきたところでございますけれども、市や県身体障害者福祉協会からの点字図書館の運営についてご相談ございましたら、関係者と運営上の課題等につきまして、ともに、ともに検討していきたいと考えています。

3 つぎに、盲導犬など補助犬の健康診断と治療について伺います。

<高村県議> 盲導犬・聴導犬は、視力・聴力障害者の安全な移動や生活に大きな役割を背負って活躍しています。日々の健康管理に、利用者は細心の注意を払い愛情を持ってケアーしておられます。
 健康診断は、小諸のハローアニマルが無料で訪問検診も含めて実施していただいており、大変ありがたいことです。
 長野県獣医師会では、補助犬に対して会として狂犬病の予防注射を無料で支援されていますので、県内どこでもかかりつけの獣医師で無料検診が受けられるよう県が支援してはどうでしょうか。
 また、現在全額利用者の負担となっている治療費ですが、入院や手術で10数万円にもなる場合もあり、利用者の生活が逼迫します。県として補助制度を創設できないものか健康福祉部長に伺います。

<桑島健康福祉部長> 補助犬の健康診断等についてお尋ねをいただきました。
 県では障害者のかたの社会参加の推進のため盲導犬や聴導犬などの補助犬の給付事業を実施してございます。
 本年3月末の数字ですが、団体から寄付されたものなどを含めまして盲導犬が23頭、聴導犬が1頭、介助犬が1頭の計25頭が県内で活動しています。
 補助犬の定期健康診断は動物愛護センターでドックドック事業として、希望者に対して県内どこにでもご自宅へ訪問して、触診聴診血液検査などを無料で行っており平成21年度は11頭に対し実施をいたしました。
 健康診断の結果は使用者に対し詳細に通知しているところでして、必要に応じかかりつけの獣医師に相談いただくことも可能なことから、補助犬の健康診断にあたってはドックドック事業を有効にご活用いただきたいと考えています。

 治療費の補助制度について。
 給付後の補助犬の管理については身体障害者助犬法において、使用者が補助犬の管理及び予防接種や健診の受診といった衛生の確保に努めることとされていまして、使用者の皆さまの責任でお願いしたいと考えています。
 県では引き続き補助犬の健康管理をドックドック事業で支援していくとともに、現在も狂犬病の予防接種については県獣医師会にご支援いただき無料で接種ができますので、今後とも関係機関と連携してこうしたとりくみにより、使用者の皆様方が安心して補助犬とともに歩める環境の整備に努めてまいりたいと考えています。

<高村県議> ドックドック事業で、ハローアニマルのほうで飯田のほうまで出向いていただくということもありまして、そうすると職員さんの交通費についてもだいぶロスだと思います。
 逆に利用者からしても受診する場合には、距離と、交通費等かかるわけです。
 こういったなかでかかりつけのお医者さんにかかるということは健診の場合は大切なことではないかと思いますのでご検討をお願いしたいですし、また受診に際してですが、やはり1回、例えば10万円とか払ってしまうと、障害福祉年金では6万円から8万円ですので本当に生活が成り立たないという状況ではないでしょうか。保険に入っている方も少ないと伺いますので、ぜひその点、利用者の状況を把握していただいての善処をお願いしたいと思います。

4 次に看護職員の労働実態に対する認識と看護職員確保についてお尋ねします。

<高村県議> 健康を損ねた人々を、笑顔で励ましケアーする看護師は、健康の見本でなければなりません。ところが命を預かる病棟では、人手不足により過酷な労働環境の中で、看護職員が健康を損ね84%もが辞めたいと考えているとの報道がされました。
16万3千人の医療関係労働者が加入する日本医療労働組合連合会は、昨年末から今年1年にかけて実施した「看護職員の労働実態調査」27500人の集計をおこない、その中の長野県1121人分の結果を長野医労連が公表しました。
看護職員の健康が蝕まれています。「疲れが翌日に残る」「いつも疲れている」をあわせると慢性疲労は72・1%です。「健康に不安」や「大変不安」を合わせると、60%にもなり、全体の7割の看護職員は仕事での強い不満、悩み、ストレスがあると答えています。
身体的には「腰痛・全身がだるい」が50%、「イライラする、ゆううつな気分」など精神的な症状も高率です。
このような「健康不調」や「強いストレス」は、看護職場が他産業に比べて10ポイントも高い実態が浮き彫りになりました。妊婦でも4人に1人は、夜勤や当直を免除されず、切迫流産など妊娠異常は7割にもなっていました。
母性保護が危ぶまれる事態です。

(1)→このような結果が出ていますが、県として現在の看護職員が置かれている実態をどう認識されていますか。県が策定した今年度までの「第6次看護職員需給見通し」と照らして、どう考察されますか。来年度からの「第7次需給見通し」を見据えて、看護職場の過酷な労働環境改善の対策をどうされるのか健康福祉部長に伺います。

<桑島健康福祉部長> 看護職員の労働実態に対する認識と状況の改善のための対策についてお尋ねを頂きました。
 看護職員が厳しい労働環境におかれていることは各種調査によっても明らかになっています。
 日本看護協会が実施した2009年の看護職員の実態調査におきましても、医療事故を起こさないか不安である、業務量が多いというような悩みを6割のかたが訴えるなど非常に厳しい状況が把握されています。
 平成17年に策定した第6次の看護職員需要見通しでは平成22年には需要が従卒される見通しでしたが見通し策定後に導入された、手厚い看護体制をとる病院に対する有利な診療報酬、いわゆる7対1ですが、看護職員への需要増の影響が加味されていないなどご指摘が従前からございました。
 現在策定中の第7次の需要見通しにおいてはデータを現在精査しているところですが、看護職員不足の状況が見えてくるものと思われます。
 医療の高度化とともに人手不足が看護職員に非常に厳しい労働環境を強いている面も否定できないと考えています。
 需要見通しの結果を見ながら総合的な看護職員確保対策を進めてまいりたいと考えています。
 今年度の対策についてですが、看護学生の就学資金の貸与や民間の養成所への運営費補助を通じた養成数の確保、再就業と離職防止に関する相談やあっせんなどを行うナースバンク事業による潜在看護職員の就業促進、それから病院内保育所の運営や勤務改善のための設備整備支援による働きつづけられる職業環境づくりなど、様々な総合的な対策を講じてまいりたいと考えています。

<高村県議> 今年度までの7対1看護体制での換算につきましては、7対一看護体制が勘案されておりません。病棟の7割がこの間、7対1体制を取っていますので、実際はかなりの相当人員が現場に必要と考えられます。また、昨年可決成立した改正育児介護休業法が実施されます。3歳未満の子どもを育てる労働者に対して、短時間、正職員制度の導入が義務付けられました。
看護職員の6割が子育て世代であります。この長野県看護需給見通しにつきましては9月に長野県審議会による審議という計画がされていますので、まさにいま、このことを真剣に健康福祉部長、管轄のみなさんにおきまして、需給計画を見据えていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

(2)県立病院機構の、現時点での看護職員の確保状況と、それを踏まえ、今後どのような対策とるのか、県立病院機構の状況を健康福祉部長に伺います。
最後に、
(3) 看護職員の安定確保には看護師の養成数の確保が必要です。
看護職員の養成、特に准看護師が看護資格を取得する2年過程も含めた現状はどうなっているでしょうか。

<桑島健康福祉部長> 県立病院機構の看護職員の確保の状況と今後の対応についてご質問いただきました。
 昨今の医療を取り巻く環境の変化により、医師不足はもとより看護師職員の不足も顕在化していまして、看護職員採用に関する医療機関間の競争が全国的に激化しています。
 そうしたなかで、地域医療守る病院の機能を維持する上で県立病院も看護職員の確保が大きな課題になっています。
 このような状況踏まえまして県の中期目標では研修体制と医療従事者確保の充実、職員が働きやすい環境の整備、多様な勤務形態の導入についてもりこみまして、地方独立行政法人長野県立病院機構に対し指示をしたところです。

 県立病院の看護職員の状況です。
 4月1日の看護職員総数は710名で、相対的には 必要な人員を確保していますが、個々に見れば看護職員不足の病院もあるため、県立病院機構として看護職員確保にむけた新たな取り組みを行っているところです。
 機構におきましては、経営の自由度を生かし、従来の定期採用に加えて年間を通じた随時採用の実施、看護学生に対する就学資金貸与制度の創設、広報の充実など様々な取り組みを行っているところです。
 処遇については看護職員をはじめとする法人職員の勤務条件は基本的には県の制度に準拠するところですが、大学等での就学のための部分休業制度の導入など県立病院機構独自の対応も始めているところです。
 いずれにしましても県としても就学資金貸与制度や看護研修センターの運営など総合的な看護職員確保対策に取り組んでいますので、県立病院機構の取り組みにも積極的に支援してまいる所存です。

 看護職員の新規採用に関する対策、准看護師の看護師取得への支援についてお尋ねをいただきました。
 県としては看護職員養成のための県立の養成所として、看護大学と看護職員養成所の2校を運営しています。また県立以外の看護職員養成所への支援としては、教育内容の充実を図り安定した学校運営を支えるための養成所運営費の補助や養育機関の新設及び改築に伴う施設整備に対する補助を行ってきています。
 こうした養成所への支援を通しまして平成21年度には看護師国家試験に649名、准看護師試験に147名が合格し、新規看護職員が養成されています。

 つぎに、准看護士が看護資格を取得するための支援策についてです。
 県内に5校の准看護師養成所があります。平成20年度には卒業生153名のうち67名が看護師資格を目指し、看護師養成所2年課程へ進学しています。
 また、2年課程は県内に県立養成所2校を含めて4校ございまして、平成21年には93名が入学しています。
県では県内医療機関へ就業することを目的に看護職員就学資金貸与事業を実施していまして、今年度は225名の学生に貸与することとしていて、このうち、准看護師から看護師資格への取得を目指す2年課程への学生52名に対しまして貸与することとしています。
 これは全体の貸与者の4分の1ということです。県としてはひきつづき看護職員の養成、職場環境の改善、再就業の推進など総合的に看護職員確保対策をすすめていきたいと考えています。

<高村県議> 県立病院機構では710名でおおむね必要人員を確保しているということですけれども、過日、人員が不足の中、夜勤勤務月72時間以内を守るために、夜勤専従制度の導入を検討すると説明したところです。
 夜勤労働は人間の身体リズムを崩し健康を害します。看護師の健康と家族の犠牲の上に、このような非人間的な働き方は決して長続きしないし、病棟全体の看護体制の充実にはつながらないと考えます。ひきつづき定数の目標をきちんと持って、看護職員の処遇の改善をいっそう図り、増員の努力につとめて戴きますよう重ねて要望をいたします。
 准看護師から国家資格を得るための2年課程では、昨年130名の定員に対し、93人の入学者でした。過酷な現場で働きながら、家庭も営み、さらに勉学につとめることは、ご本人の努力も大変でありますけれども、それを支援する制度の充実も求め、質問を終わります。