2010年9月定例会 一般質問 10月1日 小林伸陽

  1. 看護師確保対策について
  2. 鳥獣被害の実態と対策について
  3. 高校教育について
  4. 雇用対策について

1、看護師確保対策について

<小林議員>
 県内の看護師不足は、想像をはるかに超える深刻な事態です。9月21日に信濃毎日新聞で報道された第七次県看護職員需給見通しでは、2011年の看護師不足の見通しは700人、最終年の2015年には260人と見通していますが、この予想は甘すぎるのではないかとの指摘が医療機関の関係者から出ています。(パネルで示す) 第五次の見通しも、第六次の見通しも、見通しの実態は現実とかけ離れています。その原因は常勤換算とか様々な基準によるものと言われますが、看護師や医師の確保ができず、病棟閉鎖に追い込まれた減少分、福祉の分野への新たな看護師の増加分、7対1の看護基準に対応した増加分など考慮した試算になっているのか、お尋ねいたします。
 ここにパネルを用意してまいりましたけれども、第5次の見直しの最初の年は、これだけ離れて、需要と供給のバランスが崩れています。そうして最終年にはほぼ一致する地点に。そして次の見直しでも、またこれほど離れてしまう。最後の年にはほぼ一致する。今度の第7次でも700人もの差があるのに、最終年にはほぼ同等になるという、見直すごとに大幅な開きがあるという、大変不思議な見通しになっているわけであります。もしそのようなことで不備があったとしても、最大の問題は、需要に見合った看護師の養成が遅れてしまったことが、こうした深刻な事態を招いていると思いますが、健康福祉部長の見解をお尋ねします。
 独立行政法人化した県立病院も看護師不足で深刻な事態と聞きますが、民間の中小病院の実態はさらに深刻であり、上伊那の民間病院7病院の院長で構成する協議会が結成され、深刻な看護師不足の解消の為の検討が行われております。先日、この協議会と上伊那選出の県議との懇談会が開催され、その場で訴えられたものは、もはや看護師不足は病院の存亡が懸かっている。現状は退職した看護師を再雇用して急場をしのいでいます。そのため高齢化が進み、医療水準からも危機的と訴えられ、このままでは病院の閉鎖も考えざるを得ないと、地域医療の崩壊も危惧されています。
 上伊那地域への県立学校からの新卒看護職員の就職は、平成17年から、21年までに僅か42人、毎年10人未満、21年は11人、県外などその他からの就職は42人と、新卒者はたったの53人、再雇用が150人となっていて、新規の人材供給は四分の一、毎年このような新規卒業者の供給では人材は枯渇していき、新規の人材確保が喫緊の課題です。
 当面の対策として、看護師の確保が十分できるとしている伊那中央病院が採用を増やし、民間病院に一年間ぐらいの看護師の派遣事業を行うことが、この急場をしのぐ道と考えますが、伊那中央病院の理解と合意が得られれば可能ではないかと思われます。その際、給与の差額保障などの必要な経費を「地域医療活性化基金」を利用することは出来ないかお尋ねします。
 地域医療は公立病院だけでできるものではなく、民間の医療機関との連携なくしては成り立ちません。地域医療再生計画策定に当たり、民間の医療機関をどの様に位置づけておるのか、民間病院などの要望をどの様に反映しているのかお尋ねします。深刻な看護師確保対策に活用するなど、地域医療再生計画の策定に今後も変更や、民間医療機関の声を充分に反映できる機会を設定したり、新規事業の導入などをすべきではないか、健康福祉部長にお尋ねします。
 
 上伊那の民間病院長協議会では上伊那医師会が運営している、付属准看護学科を「地域医療活性化基金」などを活用して県立の看護専門学校に転換することも含めて検討すべきとの切実な要望もあります。新たな看護師養成の施設の設置と当面の危機打開策について知事の所見をお伺いします。

≪健康福祉部長≫
 需給にあった看護師養成機関の整備の遅れが看護職員不足を招いているんではないかということで、私の見解をということで、お尋ねを頂戴いたしました。議員ご指摘の点はたしかにその一因になり得ると私どもも考えておりますけれども、ただ毎年相当数の新人看護師が県内に就職をされていまして、平成21年度では県内19校の養成機関からの卒業生が884人、そのうち648人、約7割以上の方が県内に就職されているという現状が一つございます。またさらに看護師の供給数を確保するためには、県内に1万人を超えると推定されます潜在看護職員の再就職を促すための相談事業ですとか、あるいは1割に達すると言われている離職者を生まないための院内保育所の設置など、それぞれの課題にそくした対応を講じることが極めて大事ではないかと考えております。いずれにしましても、県といたしましては引き続き看護職員の養成、職場環境の改善、再就職の推進など総合的な看護職員確保の対策にさらに努めてまいりたいと考えております。
 それから、看護職員の派遣事業への地域医療再生基金の活用に関するご質問を頂戴いたしました。ご提案のございました派遣事業の実施につきましては、公務員でございます一部事務組合の派遣ということになりますので、そのままの身分で派遣が可能かどうか、また派遣元の病院において必要数を超えて採用した職員の事業終了後の職員の処遇などについてさまざまな、検討する事項があると私ども考えてございます。こうした問題をクリアしたうえで地域医療再生計画の変更につきましては、地元関係者の合意を経て国の承認が得られれば、基金の活用は可能と私ども考えております。
 それから、地域医療再生計画における民間医療機関の関わり方と新規事業の導入に関するご質問を頂戴しました。上伊那地域の地域医療再生計画につきましては、事前に民間病院、それから上伊那医師会への概要説明と意見交換を実施してございますけれども、限られた時間の中で策定をした経緯がございます。効果的な事業がすべて網羅されたかどうかはご意見があるところというふうにお聞きしております。地域医療再生基金の活用は平成25年度までの事業となりますので、新規事業の導入につきましては、この間に国の承認が得られれば、追加することは制度的には可能だと考えております。しかし地元ではこの事業計画について、民間医療機関の代表者も加わって検討する場が設けられておりますので、地元関係者の合意をへて具体的なご提案があれば、県としても積極的に調整に努めてまいりたいと考えております。

≪阿部知事≫
 看護職員の確保対策について、新たな養成施設の設置と当面の確保策についてということでございます。
 まず県立養成校の新設に関連してでございますが、県内の看護師養成校の入学者数が施設、あるいは年次によっては定員に達していないという状況がございます。また、新設の民間養成校2校ございますけれども、24年以降卒業期を迎えるという状況がございます。こうしたことから、新しく県立養成校を設置することにつきましては慎重な対応が必要と考えております。
 次に即効性ある対策ということですが、これは人材の話でありますから、なかなか難しいところではありますけれども、就学資金の貸与事業、これまでもおこなっておりますが、再就職あっせんを行うナースバンク事業など、これからも人材確保、看護師の養成、重要な課題だと認識して着実に取り組みを行って参りたいと考えています。

<小林議員> 先ほど私は見通しが大変甘いのではないかと質問したわけでありますが、部長は充分に養成がされてきていると、884人の養成がされているし、また事業説明も地元の民間病院などに十分説明されているというお話でありましたが、だからなぜこれほど看護師不足が起きているのかと、そこを私は聞きたいわけであります。そして、十分説明をされていると言いますけれども、民間病院の院長さんたちは、一度説明をされただけで意見など全く聞かれていないというお話もされていますので、その辺もう一度ご答弁いただきたいと思います。
 知事にも、専門学校の募集も満たないと言いますが、そこに集まる養成をしないと看護師は集まらないと、募集もないからやむを得ないというのでは看護師の養成は決してできないというふうに思いますので、その辺もう一度、その気があるかどうか、答弁をお願いしたいと思います。

≪健康福祉部長≫
 需給見通しの甘さについてご指摘をいただいたと、その要因について説明が足りないということでご質問を頂戴したかと思います。需給見通しについては、議員ご指摘の通り、実際格差が出ていると、開きが出ているということでございますけれども、その見通しのなかで、さまざまな要因というなかでは、例えば手厚い看護体制である7対1の態勢、それは診療報酬で導入されたわけでございますけれども、さらに大規模病院にそういうなかで看護師が非常に集中したという結果が大きな見通しの乖離につながったものというふうに考えております。そういう意味では、今回のこの第7次におきましては夜勤体制の改善に伴う看護職員の増加の要因ですとか、あるいは今後高齢社会を迎えるなかで訪問看護ですとか、あるいは介護保険関係での需要を見込むなど、そういうことも見込んだ上で、さらには新規養成数や再就職者数の増加を見込むなど、そういう需給と供給の両面を見て、この推計をしているところでございます。
 それから上伊那地域での調整についてお尋ねを頂きました。これにつきましては地元で関係者も交えて、地元の市町村、それから医療関係者、さきほど申し上げましたけれども民間医療機関も含めて調整をした結果でございますので、さらに議員ご指摘の調整が必要であれば、また検討の場もございますので、そういった場でご意見を頂戴できればと思います。

≪阿部知事≫
 看護師の養成確保は重要な課題であるとは認識してございます。しかしながら先ほども申し上げました通り、現時点での、例えば看護職員養成校の入学状況を見ますと、平成21年度で2年課程の場合には、定員130に対して入学者が93という状況で、単に養成校を増やすことによって解決ができるのかどうかという点があるかと思います。新設校として佐久大学、それから長野看護専門学校、それぞれ23年度から卒業生が出てまいりますので、そうした点も踏まえて慎重に対応してまいりたいと考えています。

<小林議員>
看護学校の2年制の生徒の応募が非常に少ないと、これはもう当たり前です。2年制の看護学校というのはもう、今のニーズに全くあってないし、国の方針もそういう方針ではないわけですから、きちっとした看護養成校をお願いしたいと思います。

2、鳥獣被害の実態と対策について

<小林議員>
 この10年間野生鳥獣被害は増え続け、毎年農林業の被害額は16億円に上ります。日本シカは生息調査の推計では、平成12年は31,711頭が、平成16年には62,000頭と、倍増しており、この期間に捕獲された頭数は24,500頭ですが、増加はその数を上回り、それ以後の5年間での捕獲数は59,447頭です。平成21年の生息数は調査中で現在の生息数は不明と言いますが、各地からの被害の実態や出没報告では、近年益々増加しているとの情報が相次ぎ、生息数の実態は大きく食い違っているのではないか、現在の捕獲数では減るどころか年々増え続けると心配しています。現在の個体調整数を抜本的に見直すことが必要と思いますが、林務部長の見解をお尋ねします。
 
 中山間地の野生鳥獣被害は、農家でありながら、お米や野菜を買わなくてはならないほど深刻です。農業の意欲も無くし、耕作放棄が進み環境にも大きな影響を与えています。個体調整の抜本的見直しは喫緊の課題です。
 捕獲に従事している猟友会の皆さんから、捕獲に係る経費、免許の取得の経費、維持する為の経費等の支援を求める声がたくさん寄せられています。市町村に任せるだけでなく、知事が陣頭指揮して対策を講じるべきと思いますが、知事の所見をお尋ねします。

≪林務部長≫
 ニホンジカの捕獲対策について抜本的な見直しが必要だとお尋ねでございます。現在県ではシカの特定鳥獣保護管理計画に基づきまして、年間8300頭を目標に市町村や猟友会の協力による捕獲を促進しておりまして、昨年度のシカの捕獲数は目標を大きく上回る1万7808頭になっております。しかしながらシカによる被害が減少しないうえに、依然として相当数のシカが生息しているのではないかという現場からの声を踏まえまして、本年度、生息密度等の調査を実施しております。この調査結果を踏まえ、新たな特定鳥獣保護管理計画を策定し、来年度からの年間の捕獲目標を見直すなど取り組みを行うこととしています。今後のシカ捕獲対策としては、見直し後の新たな捕獲目標の達成を目指して、本年度から地方事務所に配置しました鳥獣対策専門員を中心として、市町村や猟友会と連携して複数市町村で実施する広域捕獲の促進や、捕獲強調期間等を定めた地域の一斉捕獲の推進など積極的な捕獲支援を行って参りたいと考えております。また本年度から新たに、県自らが事業主体となって、ベテランのハンターで構成する捕獲隊を組織しまして、被害拡大地域のシカ捕獲を進めるとともに、県内各地域での罠などによる捕獲技術を普及させる緊急対策を始めており、集落あげての捕獲対策の整備に努めてまいる所存でございます。

≪阿部知事≫
鳥獣被害に関連しまして捕獲対策、非常に重要なテーマであると考えております。捕獲対策の主な担い手、猟友会の皆様でございますけれども、安全で適正な狩猟の普及活動、あるいは有害鳥獣捕獲など、広域的な取り組みを行ってきていただいております。鳥獣被害対策を進めていく上で、この猟友会のご協力がなければ対策は進まないと考えております。現在県では、猟友会員に安全な狩猟や有害鳥獣捕獲に従事していただくための射撃訓練講習会といったものを実施してございます。猟友会が中心となって実施するシカの広域捕獲に必要な経費支援なども行っているところであります。また今年から有害鳥獣捕獲従事者に対しまして、保険料、鉄砲所持許可更新のため必要となる経費の支援の取り組みを始めたところです。県としては狩猟者の育成、そして確保を目指して、猟友会の皆様方の負担を軽減するための必要な支援を今後とも行ってまいりたいと考えています。

<小林議員>
有害鳥獣の捕獲については、本当に今の水準でいけばひたすら増え続けるという大変な実態でありますし、猟友会のみなさんは有害鳥獣の駆除に参加をしているわけですが、その経費を自ら出して参加していると。先ほど知事が支援を今年から始めるということでありましたけれども、これによって経費を上回るだけの支援ができるのか、林務部長に再度お尋ねします。

≪林務部長≫
捕獲に従事していただくハンターの皆様に対する経費支援についてのお尋ねを頂きました。狩猟に従事していただくためには、まず狩猟免許を持っていること、それから、毎年度狩猟登録をしていただくことが必要でございます。この狩猟登録に要する経費が毎年2万円余かかります。今年度から、さきほど知事から答弁申し上げましたように、この経費に対しまして、県と市町村からあわせてこの半額程度のお金を支援することといたしました。また、3年に1回、この狩猟免許は更新することが必要でございます。この更新時には約4万円余のお金がかかることになります。このうちの、やはり市町村と連携をいたしまして、県と市町村合わせて約半分余の支援を今年度からいたすこととしたわけです。

3、高校教育について

<小林議員>
 県教委は屋代高校の中高一貫校の2012年度の開校を目指して各地で説明会を行い、住民の関心が高まっています。さらに、諏訪清陵高校が開設の要請を決めたとの報道がされていますが、地域住民に不安と、その計画がどの様な過程で進められているのかとの疑問が寄せられています。地域の住民の意見や要望が集約されてつくられた方針なのか、諏訪地方に在住の教育委員長の見解をお伺いします。
 私は多くの公立中高一貫校を視察し、その目的や意義について調査してまいりました。開校の目的が私なりの納得できる説明はありませんでした。その多くが優れた人材の育成とあり、これは現在のどの高校でも掲げている目標で、中高一貫校でなければ実現できないものではありません。それなりに納得したことは、中学三年で高校一年の授業を先取し、進学に特化した学校運営ができることなどでありますが、こうしたことは本末転倒、公教育の本来の役割を放棄してしまうことになりかねません。中高一貫校の目的と必要性について、納得できる説明を教育委員長に求めます。
 
 中高一貫校の入試制度も大問題です。適性検査の中身と学力水準はどの様なものになるのか、受験競争の低年齢化を心配してこの間、委員会でも質してきましたが、心配していたとおり、信濃毎日新聞の報道では「2012年度の屋代高校付属中学の開校を控え、北信で小学五年生の塾通いが増加、中学受験への意識の高まりか、受験の低年齢化が心配」と報道されています。こうした動きを放置するのか、教育長にお尋ねします。
 
 来春の卒業生の就職は大変厳しいものと思われます。新卒者が失業者などということは人生にとって取り返しのつかない危機的事態です。今から就職支援の万全の体制を作り、支援すべきと思いますが教育長にお尋ねします。
 
 図書館司書の今後のあり方について知事にお尋ねします。
 知事は所信表明で、教育・子育を第一の柱に上げていることに県民の大きな期待が寄せられています。村井県政の元で推し進められてきた行政改革の名の下で、教育委員会も財政圧力には勝てないと、図書館司書の雇用形態を、正規職員から行政嘱託職員にとの苦肉の策を打ち出さざるを得なくなっています。しかし、読書離れが言われている中、又、多様な子どもの教育の場として、図書館司書が教育に果たす役割は極めて重要との認識から、教育現場では一層の充実こそが求められております。県立高校図書館司書の安定した身分保障についての知事のお考えをお尋ねします。

≪教育委員長≫
 中高一貫校の開校の目的に関するご質問にお答えいたします。中高一貫校のテーマにつきましては、急に出てきたテーマではないわけでありまして、平成12年から13年にかけて、中高一貫検討会、こんな会議のなかで大きな輪郭がつくられた、そんなふうに聞いているところでありますが、田中県政のときにそれが一時中断されたというように聞いています。その後新しい第一次高校再編計画の中で新しいタイプの学校の一つとして、魅力ある高校づくりにおける多様な学びの場の提供という形でこの中高一貫校のイメージが固まってきたということであります。
 目的でありますが、本県における今後の中等教育の在り方を探る上でのモデルケースというような位置づけもあるわけでございまして、東北信、中南信に一校ずつ設置をいたします。また、昨今の経済情勢に鑑み、保護者の経済的負担の軽減を考慮する上で、いわゆる私学だけでなく公立においても、多様な選択の一つとして中高一貫校が必要であると考えております。
 どういう経過の中で屋代、清陵が出てきたかということに関しましては、屋代も地元で大いに議論がされたところでございますし、諏訪地域におきましては中学校、高校、小学校の方々も入られると思いますが、学校関係者、地域の方々、PTAの方々、同窓会の方々、その方がお集まりいただいて、諏訪地区中等教育懇談会というなかで、諏訪地区に中高一貫校が必要である、その答申に基づいて今回諏訪清陵が手を挙げたという経過であると理解をしています。どちらにしましても、人の心の痛みがわかる豊かな人間性の涵養、伸びる力を伸ばす学力の向上などによって、さまざまな分野でリーダーシップを発揮することができ、社会のために貢献できる、いわゆる骨太の人材の育成をめざす、これが中高一貫教育の目的であります。

≪教育長≫
 中高一貫に関しまして、受験競争の低年齢化に関する対応をどのように考えているかというお尋ねをいただきました。屋代高等学校・付属中学校、これは仮称でございますけれども、この入学者選抜の方法においては、適性検査、小学校から提出された報告書の内容、面接の結果を資料として、6年間の中高一貫で学ぶ意欲や適性が十分あるかを総合的に判断し、入学予定者を決定してまいります。適性検査の内容は小学校学習指導要領に基づき、付属中学校入学後に求められる思考力、判断力、表現力等を見るものとし、単に知識の量を問うような出題はしないよう配慮してまいります。本年12月には広く県民の皆様に適性検査の内容や形式についてご理解を頂けるよう適性検査の試行を実施したいと考えております。学習することの意義を否定するものではありませんが、塾通いなど特別な受験勉強をしなくとも、普段の学習の積み重ねが適切に評価される選抜方法となるよう努めてまいりたいと思います。
 次に来春卒業する高校生の就職確保についてお尋ねを頂きました。7月末に長野労働局が公表しました高校新卒者の求人数は、1887人、求職者数は2934人で求人倍率は0・64倍と今年も就職を希望する高校生を取り巻く状況は大変厳しいと認識しております。このようななかで教育委員会の取り組みとしては、昨年より1カ月前倒しして7月から、8名の増員を図って就職指導支援員28名を53校に配置いたしまして、ハローワークの高卒就職ジョブサポーター等と協力しまして、地域を挙げて求人開拓に取り組んでいるところでございます。また、他部局や関係機関と連携しまして、これから申し上げるようなことをやってまいりました。経済4団体へこの間3回にわたる就職枠の拡大の要請を行いました。8月には県下7千社へ長野労働局長、知事、教育長連名による新卒者の就職枠拡大の要請書を送付いたしました。また、商工労働部、総務部、長野労働局との高校生就職支援検討会議の開催をいたしまして、就職支援の具体的な検討もしたところでございます。また学校に対しましては、面接指導を中心とした就職試験対策の一層の強化を指導してまいりました。この他にも国や長野労働局の取り組みとしましては、今月から未内定者への各ハローワークによる就職説明会が計画されています。また、国の動向としまして、9月下旬から新卒者雇用に関する緊急対策としまして、就職応援本部の設置、ジョブサポーターの大幅増員、3年以内の既卒者トライアル雇用奨励金、こういった新たな仕組みが始まりまして、これら国の雇用施策も的確に生かしていく所存でございます。さらにこれは近い将来の話ですけれども、来年の1月末には、その時にいたってもまだ内定していないという生徒に対する支援といたしまして、教育委員会、ハローワーク、ジョブカフェ信州への名簿の登録や相談窓口の設置を計画し、未内定生徒が正規に就職できるよう最後まで支援していきたいと考えております。いずれにしましても大変厳しい県内の雇用情勢のなかで、一日も早く景気の回復がされまして雇用につながるようなことを心から期待するわけであります。これまで以上に関係機関、経済団体等との連携を深めまして、一人でも多くの高校生が就職希望を実現できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。

≪阿部知事≫
 高等学校の図書館司書についてのお尋ねでございます。高校生の皆さんにはぜひ多くの良き本との出会いをしていただきたいと思いますが、学校の司書、生徒の成長段階や性格等に応じて図書を紹介する、あるいは適切なアドバイスを行うということで、生徒の精神的な成長のサポートを行うという観点で、重要な役割を果たしてきていただいていると考えております。学校司書の雇用形態についてはこれまでさまざまな検討経過があるというふうに伺っていますが、学校現場における図書館及び学校司書の重要性を考えた場合に、業務形態によっては正規職員が担う役割もあり得るのではないかというふうに考えております。いずれにしてもこの問題に関しては、現在教育委員会で職員団体等関係者の方々と話し合いを継続していると伺っておりますので、その動向を見守って、注視してまいりたいと考えております。

<小林議員>
 中高一貫校の目的について、モデルケースで人の痛みが分かる人材づくり、リーダーシップを身につけるというような説明もありましたけれども、これは私は決して中高一貫校でなければできないものではないと、どこの高校でも目指さなければならない課題だと思いますので、中高一貫校がなぜ必要なのかという点についてもう一度明確な答弁頂きたい。それから学力についてでありますが、全国で行っている学力調査、この制度でつくられている内容を教育長ご覧になって、本当に普段の勉強で対応できるのかという点は大変疑問ですが、その返もう一度、小学生への受験競争にならないのか、再度お願いします。
 図書館司書については知事に。財政支援がなければできないことで、財政支援をするというのが前提でなければなかなか実現できないと思うので、その辺の決意をお願いします。

≪教育委員長≫
 なぜ中高一貫でなければいけないのかということについて、再度お答えをさせていただきます。10代というのは、我が身を顧みても自分の子どもたちを顧みても、人生にとって一番大切なときだと思っているわけでありまして、そして、いわゆる中学3年間高校3年間という中等教育6年間のなかで、子どもたちは何をしなければいけないかということをもう一回考えてみますと、学力をつけるということはもとよりでありますけれども、生徒会活動、部活、読書、そして新しい課題としての市民ボランティア活動、そしてまたキャリア教育、非常に大きなものが中等教育に要求されてきている、そしてまた3年という刻みの中で、間に高校受験というものがあるなかで、はたしてこれらのものをきちんと習得することができるのかというのが、中等教育における大きなテーマであるというふうに考えているわけでありまして、学力を目指すのが、いわゆる全人教育を目指すのか、両方をきちんととるために、6年間という期間が必要ではないか、そのための挑戦をする価値があるのではないか、そのように考えているところであります。

≪教育長≫
 選抜方法についてのご質問を頂きました。適性検査におきましては、先ほど申し上げたように、単なる知識の量というようなものを問う問題を出すつもりは全くありません。大きく分けまして、人間社会に関わること、そして自然や数理に関わること、こういったことを大くくりにしまして、思考力とか判断力とか、そういったものを測れるものを考えております。もちろん、長野県は全国から見まして、併設型中高一貫、非常に実施が遅くなりましたので、先進県のいろんな実践もございます。そういったものを学ぶのは当然でございますけれども、私どもは私どもなりに工夫してまいりたいと考えております。12月に試行をやるということは、いま議員ご指摘の点につきましても、実際こういうのを出してみたと、それをどうですかと県民の皆様に広く問う役割も持っておりますので、そんなことも見てご判断いただきたいと思います。あくまでも趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。

≪阿部知事≫
 まず図書館司書に関連してでございますが、現在職員団体等と教育委員会が話し合いをしているという状況でございますので、その結果を踏まえて必要な対応を考えてまいります。
 次に雇用対策のなかで、県が助成金を交付した企業の関係でございますけれども、企業の事実的な経営に県が立ち入るものではございませんが、税金を使って支援をしているということになれば当然県としてもその範囲においてはしっかり責任ある対応をしていかなければならないと考えております。そうした観点で私自身が伺うことも含めて、どういう対応をするのが最も望ましいか、関係部、商工労働部ともしっかり話し合って対応してまいりたいと考えています。

<小林議員>
教育委員長に再度、お尋ねします。633制の制度疲労を起こしているというふうに考えておられるのですか。

≪教育委員長≫
 今回の高校再編第一次計画、その中で中高一貫だけを別に言っているわけではありません。
多部単位制、総合学科、そして農業商業における基幹校、そういういくつかのバリエーションのなかで、6年間を中等教育として一貫としてやる、そういう試みがあっていいのではないか、そしてその中で学び得たものを633の中に活かしえるものもあるかもしれない
そういう意味では総合学科や基幹制や多部制単位制、そういういくつかの特色ある学校づくりの一つとして、長野県に2つだけでありますからモデル校として積極的に進めたいと考えているわけです。

<小林議員>
633制の制度疲労で新たな挑戦ということなら私もそれなりに理解はできるんですが、そうでもないということでありますので、なかなか、なぜ中高一貫をテストケースとしてやられなければならないのか、なんのテストをされるのか。また全国的にみるともう中高一貫校をとりやめた、いったんは発足したけれども香川県などではやめているというところもありますし、埼玉県では一校しか当面はつくらないと、これをしっかり検証してからじゃないとやらないと、こういうところもあるわけです。そういうなかで、もっと、すでに実践しているところの教訓もしっかり学んでやっていただきたいということを強く要望しておきます。
 最後でありますが、図書館司書については財政支援をこれはやるというふうに理解していいのか、知事に再度お尋ねします。

≪阿部知事≫
 図書館司書に関して、財政支援というか予算措置の話だと思いますけれども、さきほど申し上げたように今話し合いの最中というふうに伺っています。当然人件費の話ですから事務的な経費だと思います。教育委員会で出された結論をしっかりと報告を受けさせて頂いたうえで予算編成のなかで対応してまいります。

<小林議員>
 財政支援をするといわなければ、教育委員会はそういうことができないんです。(財政支援を)するからといえば教育委員会もやるので、ぜひそういう決意をしていただきたいと心から要請をします。

4、雇用対策について

<小林議員>
 県民世論調査では、今後県政に期待する最も多いものは雇用の拡大です。しかし景気の回復は一向に進まず、雇用も増えず既卒の青年や新卒者の雇用は深刻の度を増しています。若者の失業は社会全体にとって最悪の事態です。就職支援はきわめて重要な課題です。県としてどの様な対策を考えているかお尋ねします。
 又、リーマンショック以来の大企業の派遣切りなどで職を失った皆さんへの緊急支援を行い9862人の雇用が生まれたと言いますが、どの様な分野で雇用が生まれたのか、常勤雇用につながっているのか、今後の見通しについて商工労働部長にお尋ねします。
 
 県の支援を受けた企業で、企業閉鎖や従業員を解雇した企業はどのくらいあるか、そのような企業に対し県はどの様な指導を行っているのか。どの様な対策を講じているか、商工労働部長にお尋ねします。 
 伊那市のNECライティング伊那工場閉鎖を通告していますが、この事態に対する県の対応についてお尋ねします。
 伊那市にあるNECライティング社は、NEC本社が100%の株を保有した完全子会社であり、伊那工場に働く従業員は現在140人ですが、これまで最高時には800人ともいわれていました。この企業には県の「ものづくり産業応援助成金」3億円が交付されています。伊那市でも1億500万円の支援をしていると聞いています。県の支援の本来の目的には、雇用の確保も重要な条件ではないでしょうか。このような企業が海外に移転するとの理由で従業員を解雇する等の行為は許されません。伊那市長もNEC本社に出向き「140名の雇用の面倒を最後まで行うこと。引き続きその他の事業などで継続を」と要望していますが、知事もNECの本社に対して強力な要請を行うべきと思いますが、知事の所見をお伺いします。

≪商工労働部長≫
 私には雇用の関係で2問、ご質問を頂戴しました。まず高校卒業後の未就職者への対策に関するご質問でございます。さきほど教育委員会としての取り組みにつきましては教育長から答弁がありましたけれども、商工労働部といたしましては、長野労働局あるいは県教育委員会など関係機関と連携協力いたしまして、企業への採用枠拡大要請とか、あるいは私のところで所管しております技術専門校への受け入れであるとか、等々によりまして行っているところであります。特に本年3月卒業者の就職は大変厳しいということもありまして、商工労働部では、新卒未就職者人材育成事業、こういった事業を実施してまいりました。大変ありがたいことに県内企業のご協力いただきまして、9月末までに
県内87社から165名の求人を得ることが出来まして、60人の研修雇用を生み出してきたところでございます。こういった対策あるいは関係者みなさんのご努力もありまして、本年3月高校卒業者の最終的な就職率、これは長野労働局によりますと99・3%ということで、昨年3月卒業者を0・4ポイント上回る結果になりました。しかしながらまだまだ新卒者の就職環境は厳しいという状況が続いております。教育長答弁にもありましたように、先般国におきましては新卒応援ハローワーク、あるいはトライアル雇用奨励金、そういった支援策が拡充されてきているところでありまして、こういった支援策の活用も含めましていっそう関係機関との連携を密にいたしまして、今後とも支援に進めてまいりたいと考えております。
 次に県の雇用対策の成果というお尋ねでございます。議員お話がありましたようにリーマンショック以降雇用創出関連基金によりまして、本年8月末までに9862人の雇用を生み出したところでございます。内訳といたしましては、大きい方から、環境部門が一番大きくて2668人、これは県市町村あわせての数字でございますが、次いで教育文化1389人、農林漁業1319人と、一千人以上の雇用を生み出しているのはその3つで、あとは100人単位のものでございます。それから今の基金のほかに、一昨年12月の緊急経済対策、昨年5月の新経済対策と、1千億を超える規模で切れ目なく対策を講じてきたわけでございますけれども、こういった経済対策全体で県内で増加する理論上の雇用者数、雇用者誘発数でありますけれども、1万4000人を超えると試算されているところです。さらに雇用以外では失業者への相談支援といたしましてジョブカフェ信州に開設した、緊急雇用相談窓口、それから緊急求職者サポートセンター、これにおきましては本年8月末までにのべ13484人の相談支援を行ってきているところです。
今後とも、推移を十分注視いたしまして引き続き適時適切な対策を講じてまいりたいと考えています。

≪阿部知事≫
 雇用対策のなかで、県が助成金を交付した企業の関係でございますけれども、企業の事実的な経営に県が立ち入るものではございませんが、税金を使って支援をしているということになれば当然県としてもその範囲においてはしっかり責任ある対応をしていかなければならないと考えております。そうした観点で私自身が伺うことも含めて、どういう対応をするのが最も望ましいか、関係部、商工労働部ともしっかり話し合って対応してまいりたいと考えています。