平成22年度11月補正予算案に賛成の討論を行ないます。
今回提案されました補正予算案は、一般会計158億5438万1千円、特別会計2億2547万円、合計160億7891万3千円で、そのうち大半の156億3684万円が切れ目のない経済対策関連予算で、医療施設の耐震化や救急医療体制・地域医療連携の充実、木材供給体制の整備に対する支援、道路や河川などの維持補修、造林や農業生産基盤の整備などの地域経済の活性化を図るための事業を前倒しして実施するものであり、現下の厳しい経済情勢の下で必要不可欠な事業として賛同するものです。
しかし、公立での中高一貫校は、優れた人材育成が一部地域の中高一貫校に特化する問題や、該当地域ですでに塾通いが始まるなど受験競争の低年齢化など危惧される問題が指摘される中で、設置には慎重であってほしいという立場から実施設計関連予算には賛成できません。
また、今回、阿部県政誕生後の新たな県政の実現に向けたとりくみとして、新総合5か年計画の策定、信州経済戦略会議の設置、信州型事業仕分けの先行実施に要する予算が提案されました。このうち、県民の期待も高い信州型事業仕分けが、信州型とは言いながら事実上、民間シンクタンク「構想日本」主導で進められることには基本的に賛成できません。日本共産党県議団は、「構想日本」による事業仕分けが、「しがらみの無い外部の発想」を売り物に、地域の実情を無視した機械的な弊害を生んでいる各地の事例を憂慮しています。事業仕分けという手法が、そもそも「構想日本」の提唱であり、各地での実績、経験もあることから、事前準備の助言、模擬仕分けへの関与などは否定するものではありませんが、今回のモデル実施でも、1班8名体制の仕分け班のうちコーディネーターを含む3名が「構想日本」のメンバーである上に、指導料50万円、事前準備の諸経費15万円、ディレクター職の人件費1日4万円が4日分、スタッフ職の人件費一日2万円が9日分などは理解に苦しみます。
しがらみのない外部の発想で、また県民の生活者としての目線で、仕分け作業に適任な人材は、包括外部監査や公共事業評価監視委員会の経験なども生かし、県内外に豊富に存在すると確信します。来年度の本格実施にあたっては、「構想日本」の関与から自立し、「信州型」と呼ぶにふさわしいとりくみに改善されることを強く要望しておきます。
なお、国の地方財政計画による臨時財政対策債の増加と減収補填債の導入によるやむをえない事態とはいえ、2002年度末をピークに5年連続減少した県債残高が、2008年末から増加に転じ、3年連続増加しています。今年度末にはついに過去最高額をこえる見込みです。2005年度にひとけた台となった県債依存度も2007年に2ケタ台に逆戻りしましたが、2010年度は今回の補正を経て13年ぶりに16%台となる見込みです。今後の財政運営においては、この点への特段の配慮を要望し、賛成の討論といたします。