<びぜん県議>
昨年の6月議会において、私は「障害者差別の根絶を目指して」と一般質問をさせていただきました。その際に障害者、とくに精神障害者のみなさんが不利益を被ってきていることについて触れ、千葉県の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」のような条例制定を提案しました。健康福祉部長は「国の法律が先行である。条例化よりも国の動向を注視しつつ、県は相談体制の充実をはかる」と答弁されました。
この度、来年度事業において障害者差別禁止条例(仮称)制定事業が一転して盛り込まれたことは歓迎するところです。そこで本事業をすすめる立場でお尋ねします。
長野県のめざす障害者差別禁止条例(仮称)についてどういう内容にしていくことを想定しているのか伺います。また他県の条例との違いや特徴はどういったものをめざすのでしょうか。知事にお尋ねします。
次に、条例制定にあたり設置する研究会は差別事例分析や条例要綱案等を作成し15人体制ということですが、障害といっても様々であり、またその家族・支援者等も含めれば相当数になると思われます。私どもも千葉県庁に調査に行ってきましたが、千葉県条例では「障害者差別をなくすための研究会」を設置し、公募を中心とした29名によって構成されたと聞いています。そして関係団体や市町村に対するヒアリングや県内30箇所以上で県民に対してタウンミーティングを実施し、参加した県民は一万人を超えたといいます。が、議会ではいったん継続審査、その後廃案になってしまいました。しかし、県内各地に広がった障害に対する取り組みの議論を絶やさないでとの願いから、県当局はいったん撤回し、出しなおして議決され成立したといいます。これを見るといかに広く県民参加で、世論と運動の高まりの中で作り上げられてきたのかわかります。
そこで、健康福祉部長に伺いますが、条例制定にあたり先ず、障害者の範囲や定義はどうされるのでしょうか。これについては千葉県でもだいぶ問題になったと聞いていますが、さらに障害者手帳を持たない障害者や、特に精神障害の方や、また発達障害など周囲に明かすことが困難な方も多く、これらを含め障害をどう捕らえていくのでしょうか。(健康福祉部長)
また、研究会委員は差別事例というデリケートな問題について分析し、要綱案の作成にあたるのですから、弁護士等の司法関係者の参加も必要ではないでしょうか。説明資料での15名というのも千葉と比較し少ないのですが、公募等、障害当事者、福祉事業者、企業関係者、教育関係者などと記載されていますが、人数と合わせどう連携を図るおつもりでしょうか。(健康福祉部長)
来年度予算に対してのパブコメでは制定にあたって、当事者や当事者家族の話し合いを大切にしてほしい、意見を聞いて欲しいということが多く寄せられています。これらについてどう答えていくのか。アンケートやタウンミーティングも必要だと思うがどうでしょうか。(健康福祉部長)
日本共産党県議団はこの間、医師看護師確保や地域医療の提案をしてくる中、特に県内で疲弊している産科医療についても集約化を行なうのではなく、医師確保に重点をおきつつも、当面は助産師のみなさんの研修も含め、院内助産所や地域での助産所と医療機関と分担をしつつ分娩を行なえるネットワークの構築なども提案し、県当局もこれに応えて実施してきていただいていることには敬意を表したいと思います。
しかし、以前にも質問しましたが、地元の塩尻市では、唯一分娩を扱っていた病院が、一昨年これを取りやめ、また分娩を扱う助産所もないことから、約7万人の都市で出産施設がなくなったままです。
年間約600人の出産は市外のお産のできる病院等に頼らざるを得ない状況に陥っています。私は現在塩尻市民にお産のできる環境の整備等を求める「子ども署名」を行っていますが、市民からは
「夫の転勤で塩尻市内に引っ越して来たのですが、産科医院が全く無いことに驚きました。これから子どもを産む身としては、松本市内まで行くのは遠いので不安がつのるばかりです。早急に産科の新設を心から願います」
「娘の里帰り出産も受けてもらえない。なんとかしてほしい」等、切実な声が寄せられています。また最近の情報では医師研修や総合周産期医療を担う信州大学病院も分娩が集中し、制限せざるを得ない状況になっていると報じられており、長野県の産科医療の中枢ともいえる信大もパンク寸前であるといえます。
そこで健康福祉部長に伺いますが、
県内の産科医療を取り巻く状況に対し、現在の産科医・分娩施設の減少に対し、この間、私どもも提案させていただいた、医師確保が困難な中で、助産師の力を発揮するよう研修の実施、院内助産所、助産師外来等の設置への支援などの、その後の県の取り組みとその対応状況はどうでしょうか。
また、医師確保対策を実施しておりますが、ドクターバンクの求人状況と、科別求職に対しての成約者数の状況はどうなっているでしょうか。とくに産婦人科についてはどうなっているかお尋ねします。また、医師研究資金貸与などの制度を実施し、産科・小児科医に対し県内で従事していただくよう進めていますが、この制度への応募とその後の医師派遣の見通しはどうなっているのでしょうか。
(ドクターバンクで成約に結びつかないのはどういったことが原因なのか。)
塩尻市内のお産をとりやめた病院では、産婦人科医の募集を行ってはいるのですが、ドクターバンクでは確保が望めないことから、人材紹介業者に照会しているといいます。しかし、産科医師一人の年俸が4000万円にもなるといいます。
こうした中、塩尻市では妊婦検診にも事欠くという状況にも陥りました。そこで、昨年より塩筑医師会や助産師会、保育、教育などの市関係者や一般公募の市民委員の協力を得て「産科医療研究ネットワーク協議会」を立ち上げ対策を始めています。が、なかなか分娩の再開には困難があるといいます。
第五次長野県保険医療計画では、周産期医療の「目指す方向」にも正常分娩等に対し、安全な医療を提供するための、地域周産期施設間の連携とともに、医師確保と「助産師外来」や「院内助産所」などの施設展開等、助産師の役割拡大のための体制づくりを推進する。さらに「助産師の活躍できる体制を構築と、研修の実施、そして助産師外来、院内助産所の開設に必要な施設・設備整備への助成」も明記されています。
そこで知事に質問しますが、
こうした出産のできる施設がなくなってしまった塩尻市のように、分娩を行っていた民間病院への産科医師の派遣や、また、この間提案してきた院内助産所や助産施設など、地域における分娩をする機能の維持を図るための支援はできないか伺います。
以前も紹介しましたが、松本医療圏では3市5村が参加し「松本地域出産・子育て安心ネットワーク」が中心となって、松本地域の健診協力医療機関と分娩医療機関を機能分担し分娩や健診の体制がすすめられています。この中で、診療や健診情報が記録されている「共通診療ノート」が活用され、すべての妊婦さんへの対応がなされています。
飯伊地域でも同様な施策がおこなわれ、効果的に機能されていると伺います。ところが共通診療ノートは同一医療圏内で通用するのみで、他の医療圏では使えないという問題があります。
塩尻市は年間600人弱の分娩の内、73%は松本市や安曇野市方面の同一医療圏で出産されている状況ですが、隣接する諏訪医療圏にも13%ほど流出しており不便が生じています。そこで以前も取り上げましたが、この診療情報を共有化する「共通診療ノート」を全県あるいは、少なくとも隣接の医療圏での利用することができないか健康福祉部長に伺います。