2011年2月定例会 一般質問 2月24日 高村京子

  1. 長野県道路公社の管理の有料道路料金について
  2. 保護者や家庭に恵まれない子供たちへの温かい自立支援策について

1、長野県道路公社の管理の有料道路料金について

<高村県議>
 長野県道路公社の管理の有料道路料金について、伺います。
 長野県道路公社が管理している6路線7区画の中で、三才山トンネル、新和田トンネルの料金は、当初の料金徴収期限がそれぞれ、2006年の10月30日、2008年10月3日となっていましたが、いまだにトンネル料金は無料化にならず、三才山は普通車500円のまま15年後の2021年まで、新和田は17年後の2025年まで、料金徴収期間が延びました。
 一方、三才山や新和田トンネルよりずっと後に建設された志賀中野、松本トンネル、五輪大橋は昼間100円夜間無料、白馬長野は昼間通常の300円、夜間無料となっています。
 どうして三才山トンネルと新和田トンネルの料金が、他の道路のように料金の減額がされず、なお料金徴収期間が延びたのでしょうか。県道路公社の理事長である和田副知事に伺います。

<和田副知事>
 三才山トンネルの有料道路でございますが、これは松本市街地の渋滞緩和のために、松本トンネルを含めまして国道19号までの区間を延長しまして、また新和田トンネルの有料トンネルにつきましては、下諏訪市街地の渋滞緩和のために、国道20号まで、それぞれ区間を延伸しました。この事業区間の延伸と、それにともなう料金徴収期間の延長につきましては、県議会の承認を受けまして、国の変更許可をいただいたうえで現在実施をしているところです。
 料金につきましては、今お話のありましたように、現在白馬―長野有料道路など4区間におきまして、夜間無料など社会実験を実施し、料金を軽減しておりますけれども、この社会実験は自動車交通を有料道路へ交通転換することによりまして、周辺の沿線道路の騒音、渋滞などの道路環境を改善することを目的としております。
 三才山トンネル、三才山区間、および新和田トンネルは、こうした必要性が小さなことから、社会実験は実施していないところでございます。

<高村県議>
 県が平成14年から行っている社会実験について、それぞれ7区間の普通車の通常料金と社会実験後の料金について、および平成21年のそれぞれの利用台数と収支はどのようになっているのか説明してください。
 
 また、社会実験による減収額は、県費負担額つまり補てん額として毎年計上されていますが、毎年の額と今までの累計額はいくらになっているのでしょうか。本県議会に提案された社会実験への補てん額、債務負担行為の平成23年度の額は、数字で示されていませんが概ねいくらになりますか、和田副知事に伺います。

<副知事>
 社会実験による区間の料金、社会実験の料金、通行台数、これは平成21年度の実施でございます。それから単年度収支、これも平成21年度でございますが、順次申し上げます。
 まず、三才山トンネル有料道路の松本区間でございますけれども、普通車の通常料金300円のところを、昼間100円、夜間は無料としております。平成21年度の通行台数は110万台で、単年度収支は約9億3千万円の赤字でございます。
 続きまして、四賀―中野有料道路でございますが、ここも300円の通常料金のところを、昼間100円、夜間無料としております。通行台数200万台、単年度収支が約4億8千万円の赤字でございます。
 続きまして、五輪大橋有料道路でございますが、通常料金150円のところを同じく、昼間100円、夜間無料としておりまして、通行台数約200万台、単年度収支が約5億2千万円の赤字でございます。
 それから、白馬―長野有料道路でございますが、ここは200円のところを夜間だけ無料としておりまして、通行台が130万台、数単年度収支が約1億9千万円の赤字でございます。
 債務負担行為との関連でございます。社会実験は県の施策として行っているものでございまして、この減収額は県の負担として整理されまして、毎年債務負担行為の設定をお願いしているところでございます。平成21年度は約1億5千万円、これはこれまでの累計で約10億円となっております。平成23年度の債務負担行為につきましても、平成21年度と同様、年間約1億5千万円になるものと推計をしております。

<高村県議>
 2006年に開通した権兵衛トンネルは、713億円の建設費が投入されていますが、初めから無料です。来る3月26日に開通予定の中部横断自動車道、佐久小諸ジャンクションから、佐久南インターチェンジ間も、無料での供用です。また全国の高速道路も民主党政権の公約として利用料金の大幅な引き下げが計画されています。
 私たち日本共産党は、多額の建設費が投入されている高速道路については、大幅な通行料金の減額には賛成できないことを表明しておきますが、県内の有料道路のあり方について、建設部長のお考えを伺います。

<建設部長>
 有料道路制度に関するお尋ねでございます。
 有料道路事業は建設費を税金に頼らず、県出資金と国や金融機構等からの借入金で調達し、早い時期に短期間で整備を行うものであります。有料道路を利用される皆様からは、早期に道路を利用できることや時間の短縮、走行料金の軽減など、その受益の範囲内で料金をいただき、借入金の償還や維持管理費に充てているものでございます。
 昨今、高速道路では料金割引や無料化の社会実験が行われておりますが、高速道路会社などの減収分は国が税金で補てんしているものでございます。地方有料道路につきましても高速道路と同様に、料金割引や無料化などの要望はございますが、その実現にあたっては、道路公社の減収分、未償還金を県民の皆様の税金で負担することとなることから、有料道路の存しない地域の公平性も踏まえて、慎重に判断すべきものと考えております。

<高村県議>
 丸子・武石地域との合併によりまして、上田市内に位置する平井寺トンネルは、2割引きの回数券に1割を上田市が補てんし、減額にはなりますが、回数券を購入しないと割り引きはなく、市内の行き来に往復普通車で400円かかります。旧上田市から松本方面に往復すると1400円になります。新和田トンネルでは1600円にもなります。上田から上信越自動車道を利用し小諸や更埴へ行くよりも高額です。
 県内他の地域に比べて、県管理の有料道路料金の負担が上田小県地域住民や松本諏訪方面からの方々には負担が特に重いと感じます。
 平成21年度のトンネル料金収入を見ますと、三才山が37.3%、新和田トンネルが30%、平井寺トンネルが8.4%、合計すると81.8%と、ダントツの料金収入となっています。その他の4つの道路の収入はたったの18.2%です。そしてこの稼ぎ頭の3つのトンネルはすでに、市中銀行の借入金の償還は終了しております。
 この生活トンネルとなっている3トンネルの利用の減額ないし無料化を検討していただきたいと要望します。
 特に信州大学など、松本地域の病院や、鹿教湯三山病院等への通院、日常的な通勤、また平井寺トンネルではそれらの人々とともに家族が高校生などの送迎を行っている家庭もあります。このような利用者に早急に無料パスを検討していただきたいが、どうでしょうか。和田副知事に伺います。

<副知事>
 ただ今のお話のように、地域の皆様から大変、減額等のご要望が強いことは十分承知しております。料金の減額等につきましては、ただいまの建設部長の答弁の通りで、他の地域との公平性を考慮しながら県民の理解を得る必要があると考えております。
 現在実施しております社会実験は周辺道路の環境改善を目的として行っているものでありまして、今後の通行利用料金収入が大変厳しい見通しであること、あるいは県の財政状況などを鑑みますと、利用者の利便性向上ということだけで一部区間の料金の減額等をすることは大変難しい状況にあると思っておりますが、よりいっそう公社の健全経営に努めるなど、状況の改善に努力してまいりたいと考えております。

<高村県議>
 公社の損失補てん充当引当金には、全料金収入の10%を積み立てていますが、この8割以上がこの3トンネルの料金に充てられています。財源をかなりこの3路線が負担しているわけです。
 1月21日に佐久市で行った、県議会主催の「こんにちは県議会」政策タウンテーブルで上田市民を代表して母袋市長は「生活道路であり、トンネルの無料化は産業や観光の活性化につながり、上小地域だけでなく県民全体の利益になるはず」と指摘し、無料化を求めました。また羽田長和町長は、「スキー観光に力を入れているが、有料トンネルは地域振興に弊害を及ぼしている」と指摘し、トンネルの無料化を強く要望されています。
 また従来から知事や建設部長、県道路公社の理事長である副知事に、度重なる無料化の要請が行われています。
 
 そこで阿部知事に伺います。本来のトンネル建設費の償還がすんでいる三才山トンネル、新和田トンネル、および上田市内の平井寺トンネルの無料化ないし減額や無料パスの導入を実施すべきではないかと要望しますが、いかがでしょうか。

<阿部知事>
 有料道路料金の減額ということです。有料道路を早期に無料化するということになった場合には、道路公社の未償還金等を県が負担する、あるいは誰かが負担するということが必要になってくるわけでありまして、これは有料道路がない地域の皆さんも含めた県民の理解が必要ということは、これまで副知事、建設部長からも答弁してきているとおりであります。国では高速道路無料化の動きがあって社会実験も行われているわけでありますので、地方有料道路の無料化に対する財政支援も含めた国の在り方ということについても考えてもらう必要があるのではないか。これは財政支援を要望してきた経過もありますので、引き続き要請したいと思っております。
 また、それぞれの地域ごとに状況の違う部分もあるのではないかというふうに思います。国全体の動向、県の財政状況、さらには今市町村長の皆さんの話もありましたが、地域の皆さんの問題意識、あるいは市町村としてこの問題にどう取り組まれどうお考えなのか、そうしたことも十分お伺いする中で、利用者負担の軽減のあり方は考えていきたいと思っております。

<高村県議>
 ぜひこの3トンネルの軽減策、あるいは無料化についてのご努力を心からご要望いたします。

2、保護者や家庭に恵まれない子供たちへの温かい自立支援策について

<高村県議>
 保護者や家庭に恵まれない子どもたちへの自立支援策について、伺います。
 児童は、人として尊ばれる。児童は社会の一員として重んぜられる。児童は、良い環境の中で育てられる。と児童憲章に謳われています。阿部知事は、昨年の所信表明でも、本県議会での議案説明でも「教育子育て先進県の実現」を重点施策として推進すると表明されました。
 私は保護者や家庭に恵まれない子どもたちへ温かい支援を充実していただきたく質問いたします。
 かつてない貧困や失業など、暮らしにくい環境の中で、さまざまな困難を抱える保護者や家庭が増え、ストレスや不安の中におかれている子どもたちが増えていると感じます。県内5つの児童相談所の職員は、日夜その対応にご奮闘いただいております。いっそうの職員体制の充実や児童養護施設等の今日的な環境整備が必要と感じております。

 児童相談所に寄せられた相談の中で、特に児童虐待に関する状況、相談件数の推移、その背景ある問題、一時保護児童養護施設への措置などから、県が果たすべき役割についてどのようにとらえておられるか健康福祉部長に伺います。
 
 このたびの予算案には私たち日本共産党県議団が環境の改善を求めてきた「中央児童相談所の移転改築」が盛り込まれました。内容と機能はどのように充実されるのでしょうか。また他の児童相談所の職員配置等の充実はどうでしょうか。あわせて健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 県内児童相談所に寄せられました相談及びそれに対します県の対応についてお答えを申し上げます。
 平成21年度に児童相談所が対応した相談件数は4896件となっておりまして、このうち虐待を含めたいわゆる養護に関する相談が1247件、全体の25.5%を占めています。また児童虐待に関する相談を見てまいりますと、平成21年度は前年度とほぼ横ばいの517件でございまして、今年度は12月までですでに511件と増加している状況にございます。
 こうした虐待の背景としては、経済状況の低迷、それから生活不安や子育ての負担感の増加が指摘されております。また、核家族化の進行や地域社会の希薄化等により保護者が孤立し様々な要因から生じたストレスを家庭内の弱者である子どもに向けてしまうなどが考えられております。
 このような子どもや親をめぐる問題は複雑かつ多様化しておりますけれども、こうしたなかで児童虐待に対応する児童相談所は、児童福祉の中核的、専門的な機関として大きく2つの役割を担っていると考えます。
 1つ目は、平成17年度から児童家庭相談の一義的な窓口となった市町村を支援していくとともに、問題が複雑化し困難事例も増えている児童虐待事案に対応するため、学校や医療機関、警察等関係機関と連携いたしまして、適時適切な対応、支援を行うことがひとつ目の役割と考えております。
 2つ目は、行政権限により一時保護や措置による指導、家庭裁判所への審判申し立て書など他では代替できない法的権限を持った児童の保護に対応していくことも、役割ではないかと考えております。全国的に重大な虐待事件が発生している中で、引き続き虐待防止の中心的な役割を果たせるよう取り組んでいきたいと考えております。
 
 児童相談所の機能と職員配置等の充実についてお尋ねを頂きました。今回の児童相談所の移転・改装は相談件数および一時保護児童の増加や多様化により、狭隘化している現在の状況を早急に解消するための実施でございます。移転・改築による機能強化につきましては、単独事務所化とともに、相談室を5室から10室に増やして、いっそうのプライバシーの確保を図ってまいります。また、一時保護態勢につきましては、定員を10名から15名に増やし、居室も3室から8室に増やすことによりまして、男女、被虐待児と非行児童との混合処遇を改善してまいりたいと考えております。さらに新たな機能として、個別対応が必要な事例のための個室を整備いたしまして、これによりまして家族再統合のプログラムの計画的・効果的な実施を図ってまいりたいと考えております。
 児童相談所の職員配置等につきましては、来年度、中央、松本、佐久児童相談所の児童福祉司の定員を各1名ずつ増やすとともに、諏訪児童相談所の事務職員および、松本児童相談所の児童心理士の、他所との兼務をそれぞれ解消いたしまして、専任化することと考えております。今後も児童相談の状況を見ながら、職員の適正配置に努めてまいりたいと考えております。

<高村県議>
 このたび、中央児童相談所の移転・新築に伴いまして、それぞれ機能が充実されるということと、県内のそれぞれの児童相談所の職員さんの配置が強化されるということを、大変歓迎いたします。
 児童虐待を含む養護相談では、施設入所までは要しないが、日常的・継続的に指導援助を要する児童や家庭に対し、児童相談所が委託をして対応にあたる、児童家庭相談センターの設置を進め、時には過労死寸前までご奮闘いただいている児童相談所の職員の労力を通報事例などに機敏に当っていただけるよう、役割を分担してはどうでしょうか。
 この点について、健康福祉部長のご認識を伺います。

 県内には、児童養護施設が14か所ありますが、さまざまな社会福祉法人等が運営にあたっていただいています。この養護施設の養護環境や定員枠、さらに子どもたちの年齢応じた援助のための職員配置について、実態をどうとらえていますでしょうか。
 特に、中学生・高校生での個室環境への整備を急ぐべきと考えますが、個室化への支援をどのように考えておられるでしょうか。健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 まず1点目、児童家庭支援センターについてお答えを申し上げます。
 児童家庭支援センターは児童相談所からの委託を受けまして指導・助言を行う機関として、平成9年に設置されています。
 本県ではまだ設置されていませんけれども、日常的・継続的な相談・指導が必要な事例につきましては、市町村で設置している要保護児童対策地域協議会において対応しておりますし、関係機関が連携して対応することとしております。そんなことから、センターの設置については必ずしも必要性が高くない、低いというふうに私どもは考えております。

 それからもうひとつ、児童養護施設の養護環境や、あるいは定員枠についてお尋ねを頂きました。児童養護施設の養護環境につきましては、現在国において検討が重ねられているところでございますけれども、児童一人当たりの居室面積につきましては、小学生以上は3・3平方メートルから4・95平方メートルに引き上げられる方針が現在示されております。
 県内におきましては老朽化した施設、多人数居室も多いことから、大規模改修にあわせた個室化などの環境改善に努めまして、来年度、南信地方の1施設へ支援を考えております。また、昨年度から、安心こども基金を活用した小規模改修等の環境整備をすすめておりまして、来年度も引き続き15施設に対して補助を実施する予定です。

 施設の定員枠についてですが、現在県内では696人の定員となっておりまして、入所率は毎年、90〜95%としております。必要数は確保されているものと考えております。
 それから職員についてもお尋ねを頂いておりましたが、国が定めた児童6人に対し職員1人の配置基準では対応がなかなか難しいと認識しておりますので、県単独の補助によりまして、児童4.7人に職員1人の配置ができるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
 また、6人の児童が本体施設とは別の生活エリアで家庭的な雰囲気の中で職員と接することのできる、いわゆる小規模グループケアというものも今後推進してまいりたいと考えております。

<高村県議>
 長野県としても施設改善や各児童施設への支援をしていただいておりますので、この点はありがたいんですけれども、やはり国の制度改正ともあわせまして、もう少し踏み込んでのご努力をお願いしたいと思います。

 全国では、さまざまな困難を抱えた子どもたちが、できるだけ家庭的な小規模施設で生活できるよう移行が行われています。長野県の現在の施設は30人から50人規模の施設です。職員さんは大変な愛情と情熱をもって指導援助していただいていますが。2、3歳の幼児から小学校・中学校・高校生まで、子どもたちはいつも集団の中で、集団の一人としての対応の中に置かれています。
 さきほど、家庭的なグループホームへということでご答弁もいただきましたが、あらためて、大規模施設から小規模施設へ、さらに地域の中で共に育ちあうグループホームへの方向も検討されることが望ましいと思います。
 また平成21年から児童福祉法において里親の「ファミリーホーム」の創設がされましたが、この事業の開始についてはどのように検討されていますか。健康福祉部長に伺います。

 児童養護施設にはおおむね18歳までしかいられません。中学で卒業したり、高校を中退したり、高校卒業では措置対象から外れ、施設を出て自立の道を進まなければなりません。しかし現下の厳しい雇用環境の中、家庭に恵まず様々な問題を背負った青年が独り立ちすることは大変な困難があります。
 県で初めてたった1箇所上田市に設置された自立援助ホーム「丸太の家」は、立ち行かなくなり、現在、長野県には自立援助ホームはありません。どうして運営が困難になったのか、考える必要があると思います。全国では、県が補助や支援をして、細々ながらも運営され施設数は平成21年57か所から22年度73か所に増えています。
 県は自立援助ホーム開設に向けて丸太の家の経過を総括し、ホームの設立を具体化し、施設の安定運営に何らかの支援をしていただきたいと考えます。具体的には施設の安定運営に向けて、なんらかの県独自の支援をすべきと考えますが、県はどのように取り組んでいただけますでしょうか。健康福祉部長にご答弁をいただきます。

<健康福祉部長>
 2点ご質問を頂戴しました。
 ファミリーホーム事業についてでございます。平成21年度の児童福祉法の改正によりまして、5名から6名までの要保護児童を、家庭的な環境で養育することが出来るよう、あらたにファミリーホーム事業が創設されました。事業の実施にあたりましては、養育里親として一定以上の経験を有する者か、3年以上の児童福祉事業の従事経験のある者を専任の養育者として、その方の住居で養育することが条件とされています。ただこの事業は、制度開始から間もないことに加えまして、養育者の負担が非常に大きいことや、本県では要保護児童を受け入れる児童福祉施設の数が多いことから、県内ではいまだ実施されていません。
 しかし、より家庭的な養護を推進するための有効な支援方法のひとつとして、制度の普及とともに、里親等からもし要望がございましたら、児童相談所と調整を図ったうえで開始にむけた支援をして参りたいと考えております。

 2点目でございます。児童自立支援ホームの設立と運営支援についてお尋ねを頂きました。児童自立支援ホームは義務教育を修了し保護者からの支援を受けられずに社会に巣立つ子どもたちの支援を行う施設です。現状においては対象児童が入所に至る動機づけにも難航するケースも多いため、一定数の入所児童を継続的に確保することが難しい状況にございます。
 平成21年度から児童自立援助ホームの児童保護措置費の対象となりましたけれども、月の初日に入所している人数に対応する措置費が支払われるため、月ごとの措置費収入が不安定となります。こういったことから、本県については現行の仕組みのままでは運営が厳しい状況にございます。上田市の児童自立援助ホームにつきましても、このような事情から安定した運営が困難なことから、平成21年3月度をもって運営を休止しています。
 こうしたことから県では、他の都道府県とともに児童自立援助ホームの安定的な運営のために、措置費については実員払いから定員払いにあらためるよう国に要望しているところでございます。国においてはその方向で議論がなされているというふうに承知しています。
 また、県内の児童養護施設には対象児童のケアも行う家庭支援専門相談員を15名配置されておりまして、児童自立援助ホームの機能の一部を代替している状況にございます。県としましては児童自立援助ホームの必要性を十分認識しておりますので、その設置については引き続き長野県児童福祉施設連盟と協議してまいりたいと考えております。

<高村県議>
 戻りますけれども、児童家庭相談センターですが、今本当に、市町村への通報や児童センターなどに相談が寄せられます。それに対して機敏な対応をしていくこととあわせて、ご答弁もいただきましたが、養護相談が1247件、25.5%、これは今すぐ措置等必要ないけれども、日常的・継続的に見守り支援し援助するということが必要ですので、県内10圏域には5つの児童相談所しかございません。それをカバーするような形で、日常的な支援援助等については児童家庭相談センターがないところに設置するということを、ぜひ検討・視野に入れていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それから自立援助ホーム「丸太の家」ですが、地元の上田市民としてもこの施設を支援できなかったことを、私は本当に申し訳なく思っておりますけれども、国の制度改正も含めて、やはり実人員では不安定ですので定員の人件費支援をお願いしたいと思います。なんらかの、力強い土台となる支援を県にお願いして、困窮する青年の自立支援を助けるよう、お願いしたいと思います。

 教育・子育て先進県を目指す、子どもたちがのびのびと健全に育つ環境を提供する「子どもの権利条例(仮称)」の制定を検討するとおっしゃる知事には是非とも、保護者や家庭に恵まれない子どもたちの子どもらしい生活と勉学環境の充実を図り、自立支援先進県長野を目指す先頭に立っていただきたい。知事のご所見と決意を伺います。

<阿部知事>
 さまざまな社会のひずみが一番弱い立場にある子どもたちに向かっているのではないかと思っております。タイガーマスク現象に見られるように、今、日本の中にまだまだそういう善意の心とか、助け合いの気持ちが色濃く残っているわけでありまして、そういうものを具体的な形につなげていくということも、またひとつ行政の役割ではないかと思っております。
 知事の立場として、本当に子どもたちがいきいき元気で希望の持てる社会をつくるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。