<高村県議>
議32号「長野県立中学校条例案」について反対の立場で討論をいたします。
長野県が、中高一貫教育を導入し、併設型中学校として長野屋代高等学校付属中学校を千曲市に設置することについては、県民の皆さんや教育関係者からさまざまな疑問や問題点が指摘されています。
私たち共産党県議団は、京都府や和歌山県など全国各地の中高一貫教育を視察し、県内県外の教育現場の皆さんとの懇談を重ね、県議団として独自に諏訪市において、シンポジュウムにも取り組み、広範な皆さんとの意見交換を行ってまいりました。
その上で、県と県教育委員会に対し、導入については急がずに十分な検討を行うべきと要望をしてきました。
中高一貫教育を導入した場合に危惧される点について述べさせていただきます。
一つは、義務教育が踏まえなければならない、すべての子供にできる限り平等な教育環境を提供する公教育の基本を、県が投げ捨てることになることです。
全国で行われている中高一貫教育は、成績の優秀、恵まれた家庭の子どもたちが学び、選ばれた生徒たちに特別な少人数編成を行うなど、特別な環境を整えてエリート校化しています。
国会での付帯決議で「エリート校化への特化への高校をさせてはならない」と指摘していますが、実際には、まさにその方向で進んでいます。
現在の小中学校一貫教育を崩し、差別と選別、特別な環境でのエリート教育を長野県が行おうとすることは、将来大きな問題となることを指摘さぜるを得ません。
2点目は、受験競争の低年齢化と激化を招く恐れがあることです。
厳しい試験に合格するため、東北信地域では、小学校向けの塾通いも激化していると報道されており、全国では5倍から10倍の競争率となっています。不合格となれば、人生のつぼみ、12歳の春を今以上に不安を抱える子どもたちを増やすことになりましょう、そんな方向に進んでよいのでしょうか。
国連の子ども権利委員会から再三にわたって、日本の過度に競争的な教育のあり方について勧告を受けていますが、中高一貫教育導入は、一層これを助長する恐れがあります。
現段階では、中高一貫校の設置は、現場の教職員とも県民地域の皆さんの同意も十分取れていると言えません。
今回30人規模学級を、中学1年生に拡大が進むこととなり、県教育委員会のご努力に心からの敬意を表するものですが、長野県が義務教育で果たしていただく役割として、小中学校の正規教員比率を高め、中学校3年生までの30人規模学級を実現するなど、安定した教育環境を整え、一人一人の子供たちに行き届いた教育を保障する環境の充実に向けて、一層のご努力を求めるものです。
以上の点から長野県中学校条例案に反対の討論とします。