2011年6月定例会 7月8日  石坂千穂

 平成23年6月補正予算案賛成討論

<石坂県議>
 議第1号平成23年度長野県一般会計補正予算(第3号)案に賛成の討論を行ないます。

 今回の補正予算は、震災関係の支出が大半を占め、長野県北部地震への対応66億円、東日本大震災への支援3億円、経済・雇用対策59億円で約9割となっており、主な財源内訳は国庫支出金42億5200万円、緊急雇用創出基金等基金からの繰入金33億7100万円、中小企業融資制度資金の返還金42億4800万円が大半を占めている諸収入、県債16億2400万円となっています。なお、2008年度末から4年連続で県債残高が増加に転じている中で、今回の補正予算では県単独の道路事業や公共施設耐震化事業の財源として公共投資臨時基金を活用し、県債発行を極力抑える努力がされていることは重要です。

 栄村の復興支援につきましては、すでに希望者全員の仮設住宅への入居が完了し、今回の補正予算で被災者が孤立しないためのサポート拠点施設の設置や社会福祉施設の復旧への支援、住宅再建資金の利子補給、被災者生活再建支援制度の対象とならない住宅半壊世帯への見舞金の増額支給、産業の中心である農業の再生のため、国庫補助事業の対象とならない40万円未満の小規模な事業についても県単独の支援などがきめ細かく実施されることは大変うれしいことです。
 しかし、現在の制度では全壊世帯が最高限度額300万円と再建資金の利子補給の支援を受けたとしても、高齢化率45%の栄村での高齢者の住宅再建には多くの困難が予想され、ひき続き安心して村に住み続けたいと願う人たちの思いがかなえられるよう、10月にも策定するとされている村営住宅建設計画に、地域のコミュニティや被災者の思いが生かされるよう、県としてのいっそうの支援を要望するものです。また、長野県議会としても、今定例議会で被災者生活再建支援制度のいっそうの充実を求める意見書を全会一致で可決したところですが、県としても国へのはたらきかけをさらに強めていただくことを要望します。
知事は、県の地域防災計画の見直しを来年1月か2月をめどに行なうことを表明されました。従来の県の防災会議では、せっかく委嘱した専門委員の出席を求めていないとのことです。長野県を取り巻く24基もの原発の起こりうる事故も想定し、新たな視点が必要な今回の防災計画の見直しにあたっては、多くの専門家の協力を求めることを要望します。

 今回の未曽有の、そして悪夢のような大震災と原発事故から、早くも4ヶ月がたとうとしています。被災地の一日も早い復興・支援に全力を尽くしながら、今、私たちは、改めて、人と人、地域の暖かい助け合いのネットワークこそ、災害への最大の備えであることを大切にしながら、人間らしい社会のあり方のおおもとを見つめなおし、税金の使い方や政策決定の優先順位、県政の進むべき方向を定めていかなければなりません。
 県民の様々なニーズにこたえ、新しい時代を築いていくための政策決定には、慎重な検討や研究はもちろん大切ですが、決断のタイミングが大変重要です。知事は、提案説明で「自然エネルギーの宝庫とも言うべき長野県が率先して自然エネルギーへのエネルギーシフトを進めていく必要がある」と決意を述べておられますが、長野県としてのとりくみの現状は残念ながら決して全国の先進とは言えません。また、県内でも実施自治体が日増しに増え、地元の多くの業者が参入でき、経済波及効果は15倍とも20倍とも言われている住宅リフォーム支援制度を、個人住宅の耐震補強などにも気軽に使えるように、難しい条件をつけずに実施してほしいと言う県民の願いも、検討期間が長すぎては、失望が広がるばかりです。
 県政は県民のために何をしてくれるのか、わかりやすい希望あるメッセージの発信を要望して、賛成の討論と致します。