<藤岡県議>
日本共産党県議団の藤岡義英です。放射性物質が検出された汚泥焼却灰などの廃棄物処理について、質問します。
これまで国・環境省から放射性物質が検出された焼却灰等の処分について6月と8月31日に2回、通知が出されたと思いますが、どのようなものか、環境部長お答えください。
<環境部長>
放射性廃棄物の処理についてのご質問をいただきました。
まず廃棄物の処分に係る国からの通知についてです。放射性廃棄物が検出された焼却灰等の処分に関する国からの通知としましては、まず6月28日に放射性セシウム濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下の場合に管理型最終処分場に埋め立て処分することが可能との基準が示されたところです。続いて8月31日には、8000ベクレルを超え10万ベクレル以下の焼却灰等の埋め立てについて、屋根つきの最終処分場などで雨水と廃棄物の接触を防止する装置を講ずることにより埋立てが可能であるとする基準が示されたところです。
<藤岡県議>
国が処理基準を緩和する中、県内で初めて放射性物質を検出した下水道汚泥焼却灰を、小諸市にあるフジコーポレーションが受け入れを始めました。同社は、汚泥焼却灰について「放射性セシウムは1キロ当たり500ベクレル以下」、一般・産業廃棄物の焼却灰については「5000ベクレル以下」の独自基準を設定し、管理しているとの説明です。地元住民から不安の声も出ています。放射性物質の検出された廃棄物の埋め立て処分を行う業者にたいし、県としてどのような監視・検査を行なっていきますか。環境部長いかがでしょうか。
<環境部長>
続いて放射性物質が検出された廃棄物処分に関する県の監視検査についてです。
埋め立て処分にあたりましては敷地境界における空間放射線量あるいは排水中の放射能濃度等のモニタリング等を実施し、安全性や環境への影響の有無を確認することが重要であると考えております。
国では放射性セシウムの濃度が1キログラムあたり8000ベクレルを超える場合にモニタリングを実施するよう通知がありますが、県としては8000ベクレル以下であってもモニタリングを実施するよう事業者を指導しているところです。
これとあわせて、県自らも月1回程度の頻度でモニタリングを継続して実施して、事業者が実施した測定結果とともに県のホームページで公表しているところです。ちなみにこの小諸市の処分場に係る県のモニタリングの状況を申し上げますと、敷地境界の空間の放射線量を3回測定しました。最高で0.05マイクロシーベルト毎時と、これは通常の範囲内であることを確認しておりますし、排水中の放射性セシウム濃度を2回測定しまして、いずれも不検出でした。
こうした取り組みを通じて周辺住民の安全安心の確保を図ってまいりたいと考えております。
<藤岡県議>
放射性廃棄物の埋め立て基準が「暫定基準」という言葉で、6月には8000ベクレル、現在はこれまでの基準の1000倍にあたる10万ベクレルまで許容されるようになりました。
なし崩しに緩和される「暫定基準」について、信用できないというのが多くの県民の思いです。
最近、日本の暫定基準値は、チェルノブイリのあるウクライナよりも緩いとの報道がありました。例えば牛乳の基準は日本1キロ当たり200ベクレルに対し、ウクライナは半分の100ベクレル。穀類に関しては日本500ベクレルに対して、ウクライナはなんと20ベクレルでした。
モニタリングでの努力はされているとのご答弁でしたが、このような国の「暫定基準」まちでなく県独自の基準を設定すべきだと思いますが、環境部長にうかがいます。
<環境部長>
県独自の基準を設定すべきではないかとのお尋ねですが、先ほど申し上げましたが、放射性セシウム濃度が1キログラムあたり8000ベクレル以下の場合は通常の管理型最終処分場に埋め立てすることが可能との国の基準が示されましたが、県ではこの基準に従って8000ベクレルを超える廃棄物を受けることがないよう、事業者をまず指導しているところです。また、一方においては、放射性物質が検出された廃棄物の埋め立て処分にあたっては処理の安全性あるいは周辺環境への影響の有無をきちんと確認していくことが重要でありまして、県独自の判断として8000ベクレル以下であっても事業者並びに県自らがモニタリングを実施するとしたところです。
<藤岡県議>
今の答弁では、基本的に「国の基準は安全です」という判断をされているということだと思いますが、そのことをぜひ住民に説明をする必要があると思います。
県ではこれまで説明会などで、およそ何人の方に説明をしてきましたか。わかる範囲で結構です。環境部長にうかがいます。
今後、10万ベクレル近い放射能汚染された廃棄物を国の決めた埋め立て方法に沿って処分すると表明する業者が出たとします。その受け入れを許可しますか。許可しませんか。環境部長いかがですか。
<環境部長>
まずこうした埋め立て処分にかかる基準と安全性について住民に説明したかということですが、一般的な基準等については市町村あるいはホームページ等で出しているところですが、お話のあった小諸の事業所の受け入れにあたりましては地域のみなさんのご要望もありましたし、また会社自身の説明会もありまして、行政として説明あるいは事業者の説明に県も出席いたしまして県としての考えをご説明したところです。
もうひとつの受け入れ基準の問題ですが、いずれにしてもこれは国の基準、十分検討されたうえでその根拠等も示されているわけですが、そういった基準に従って県としては指導してまいりたいと思っています。
<藤岡県議>
信濃毎日新聞の報道では100人近い方が説明に来られたということですが、その説明会以外では少数だったと聞いています。小諸市と佐久市であわせて人口14万人ですが、ほとんどの方にまだ説明が不十分だと指摘せざるを得ません。また、これから10万ベクレル近い放射性廃棄物を出してくると表明したところに対してもはっきりと許可はしないという答弁は頂けなかったので、これでは、県民のみなさんの不安は広がるかと思います。
ここで、9月14日の記事を紹介します。
タイトルは『セシウム検出:下水汚泥焼却灰、埋め立てを凍結 横浜市』です。
『下水汚泥焼却灰から放射性セシウムが最大で6468ベクレル検出されている問題で、横浜市が市内の廃棄物処分場に焼却灰を埋め立てる方針を決めたことに対して、地元住民らが「環境汚染に加担する」と抗議文を提出。横浜市長は14日、当面の間、埋め立てを凍結することを明らかにした。市長は会見で「市民に不安を与えたことをおわび申し上げたい」「もっと時間をかけてご理解いただかなくてはならない。説明不足だった」と謝罪した』とのことです。
県内で出た廃棄物に関しては、一時的に安全な方法で管理する必要はありますが、埋め立てるのではなく、最終処分は、国や東電の責任で行うべきです。
これ以上放射性物質を拡散させないためにも、「県外のモノは受け入れない」といった県独自の方針や基準の設定、また、県民の命と健康を守るため、横浜市長のように「住民が納得するまで、埋め立ては凍結」などの決断が求められていると思いますが、知事いかがでしょうか。
<阿部知事>
放射性物質を含んだものの処理をどうするかということは、福島県、被災地を中心として日本全体で大きな問題だと思っております。私ももとより放射性物質を含む廃棄物をみだりに拡散すべきではないとは当然思っています。しかし、日本全体でどう対応するのか、出たところでがんばれよという話で本当に十分なのかということもありますし、放射能汚染は福島県以外でも広がってきているなかで廃棄物を円滑に処理していくことも他方で重要なテーマだと思っています。
国が埋め立て可能としている放射性セシウム濃度1キロ当たり8000ベクレル以下ということですが、これについては県外から受け入れるということも、私はやむを得ないのではないかと思っております。
しかしながら、不安を持たれる皆様方がいらっしゃることも重要だと思っております。国では8000ベクレルを超える場合にモニタリングを実施するとしていますが、長野県では独自の判断として8000ベクレル以下であってもモニタリングを行うと事業者にも指導しておりますし、県としても事業者とは別にモニタリングを行っているという状況です。
8000ベクレルというのは基本的には処分場の中の人たちに影響が出ないということですから、外には基本的には影響がないという前提の数字レベルですが、万が一周辺環境に悪い影響があるということがモニタリングを通じて確認されたと場合には、当然のことながら受け入れの停止も含めて厳格に対応していく必要があると考えています。
<藤岡県議>
私は、県民が納得する説明がまだ県から説明されていないと感じています。モニタリングはこれからももちろん、しっかりとやっていただきたいですし、同時に、今後の知事が、横浜市長のように英断をくだされることを期待しまして、私の質問を終了します。ありがとうございました。