(1).県議会での請願採択後、県としてどのような検討がされたか。
<石坂県議>
精神障害者に対する鉄道運賃割引の実施についてお伺いします。
平成18年の「障害者自立支援法」において、「三障害一元化」がうたわれ、身体障害者、知的障害者、精神障害者は等しく一体の支援を受けられるべきであるにもかかわらず、精神障害者への支援は、残念ながら身体障害者、知的障害者に比べて遅れている現状となっています。特に、障害者の自立と社会参加にとって重要な公共交通機関利用時の運賃割引の実現を願って、今年の2月県議会に関係12団体から出された請願が全会一致で採択されています。
この問題については、県としても、平成22年1月22日付の衛生部長名の通達で、精神障害者保健福祉手帳所持者に対する交通運賃等への支援策の検討を県内交通事業者宛に依頼したこと、また、同年12月、厚生労働省に阿部知事名で、「JR等の旅客運賃等の割引について」「身体障害者や知的障害者と同様、精神障害者保健福祉手帳所持者に対する交通運賃等の支援策を講じるよう検討すること」との内容の要望書を上げていただいていることなど努力はしていただいているわけですが、長野県内での実施の見通しが出てきません。県議会での請願採択後、県として、どのような検討がされたのでしょうか。少なくとも、身体障害者、知的障害者への運賃割引を実施している交通機関が、精神障害者にのみ割引をしないという事態を改善していただくよう、あらゆる機会、あらゆる場において、県として積極的な提案に勤めていただきたいと思いますが、以上、健康福祉部長にお伺いします。
<健康福祉部長>
精神障害者の交通運賃の割引についてですが、本年の2月定例会における請願採択後、まず、6月に厚生労働大臣に対して知事名の要望書を提出しました。その内容ですが、精神障害者の保健福祉手帳の創設の趣旨を踏まえて、身体障害者や知的障害者と同様の支援策を講じるようにという内容です。翌7月、全国の知事会を通じて国に同様の要望を提出したところです。その後、当事者のみなさんから同様のご要望を頂きました。
さて、厚生労働省は本年2月に全国の精神障害者を対象とした交通機関の利用に関する実態調査を実施しております。近々まとまるその結果、これに対する国の動き等を踏まえまして、改めて県内の交通事業者に対する働きかけなどの対応をとってまいりたいと考えております。
(2).しなの鉄道での実施をはじめ、県が関与する公共交通関係組織において、積極的な提案や実施につとめていただきたいがいかがか。
<石坂県議>
また、3月2日の知事会見で、マスコミの質問に答えて阿部知事は、「その後、企画部の方にはまず、しなの鉄道で具体的な対応ができないかと言うことは投げかけさせていただいていますので、・・・できるだけ改善されるように取り組んでいきたいと思います」と述べています。7月21日には関係者の皆さんがしなの鉄道に出向き、直接要望書も手渡し、しなの鉄道側からも「真摯に検討する」との回答があったとのことですが、一日も早い実現に向けて、県が出資者でもある、しなの鉄道での実施にむけて、はたらきかけていただきたいと思いますがいかがでしょうか。企画部長にお伺いします。
<企画部長>
私にはしなの鉄道での精神障害者の鉄道割引運賃についてご質問を頂戴しました。
しなの鉄道ではご案内のとおり、従来JR各社と同様ですが、身体障害者、知的障害者に対する運賃割引を行っているのみでした。県ではこれに対して、精神障害者の方々に対しても同様の割引を検討するよう要請してきたところです。現在しなの鉄道では、先ほど健康福祉部長からお話のありました調査結果をもとに、経営に対する影響等について検証したうえでということですが、三障害一元化の趣旨を踏まえて、さらには先ほどご案内のあった、県議会において関係の請願が全会一致で採択されたことを重く受け止めながら検討したいというふうにしています。
県としても改めてしなの鉄道に対して、精神障害者に対する運賃割引について前向きに検討するよう要請していくつもりでございます。
<石坂県議>
前向きのご答弁ありがとうございます。
「長野県障がい者の地域交通網を考える会」の最新の調査によりますと、精神障害者保健福祉手帳による鉄道の運賃割引が実施されている16都県について、精神障害者も運賃割引の対象になった経緯では、家族会や当事者が要望活動を始め、県がその後押しをしたところが青森県をはじめ8県、県が独自に鉄道会社に働きかけたところが東京都を始め1都5県、鉄道会社が独自に実施したところが栃木県の野岩鉄道となっており、ほぼすべての県で、県が事業者に対して強力なリーダーシップを発揮していることが伺えます。そのため、県とのかかわりが深い第3セクターで運賃割引をしているところが多いのも特徴です。長野県では、民間バス9社は3障害とも運賃割引がされているのに、鉄道、タクシー、有料道路については、精神障害者だけが運賃割引の対象になっていない状態が続いているのは、本当に残念でなりません。是非とも、16都県に続いて、長野県でも一日も早く実施されるよう、県の強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、改めて知事のご決意をお伺いします。
<阿部知事>
精神障害者の皆様の交通運賃割引については、私の名前で国に働きかけをさせてきていただいているわけですが、まだ県内具体的な進捗が見られていないということで、やや私たちも残念に思っております。私のほうからも関係の交通事業者等に直接お願いするなどしていきたいと思いますが、事業者もなかなか経営状況が厳しいところもあるなかで、実態調査をしながら慎重にやっていかなければならないという状況もあるというふうには聞いております。しかしながら、精神障害者も含めて障害者に優しい社会を作っていくということで、引き続き関係方面に、国も含めて、しっかりと県としての意思を伝えるようにしていきたいと思っております。
<石坂県議>
ぜひこのことの実施で、減収という捉え方ではなく、企業イメージのアップで乗客は増えると、障害者に優しい鉄道ということで一日も早い長野県での実施、しなの鉄道での実施を心から願っておりますのでよろしくお願いします。
(1)県の実施した再生可能エネルギー導入可能性調査の結果も生かし、本格的な自然エネルギーの取り組みがすすむように、県のエネルギー基本計画の策定を検討するべきではないか。
<石坂県議>
長野県での自然エネルギーの本格的取り組みについてお伺いします。
福島第一号原発の事故を受けて、今多くの国民は、原発に頼らない新しいエネルギー政策への転換を求めています。国においても8月末に「再生可能エネルギー特別措置法」が成立し、新たなとりくみが始まろうとしています。日照時間が長く、豊富な水資源、森林資源、地下資源に恵まれた自然の宝庫である長野県で、本格的な自然エネルギーの取り組みがすすむことを、私も心から願っています。
すでに長野県では、平成21年度第2次補正予算の「緑の分権改革」推進事業を活用して、環境部で「再生可能エネルギー導入可能性調査」が実施されています。県が事業主体となって実施した「小水力発電」「地下熱利用ヒートポンプシステム」の調査と、上田市、飯田市、小諸市、茅野市、小布施町の5市町で実施した太陽光、小水力、バイオマスの調査結果は、長野県の自然条件を生かした意義ある調査だったと思います。この調査結果を県としては、どう生かしていくのでしょうか。本格的な自然エネルギーの取り組みがすすむように、県のエネルギー基本計画の策定を検討するべきではないかと思いますが、環境部長いかがでしょうか。
(2)市町村や民間の取り組みを促進するため、県として、財政支援を含めた支援策を検討するべきではないか。
また、今年度、「新しい公共支援事業」として、「信州エネルギー地産地消プロジェクト事業」もとりくまれていますが、従来から、太陽光パネルの設置を積極的に進めている自治体等からは、県としての財政支援も強く要望されてきたところです。市町村や民間の取り組みを促進するため、県として、積極的な制度設計や財政支援を含めた支援策を検討していただきたいと思いますが、環境部長の見解をお伺いします。
<環境部長>
(1)自然エネルギーの取り組みに関して自然エネルギー基本計画を検討すべきではないかとのお尋ねでございます。
お話がありましたように、県内では再生可能エネルギー導入可能性調査につきまして、総務省の緑の分権改革推進事業を活用して、平成21年度から22年度にかけまして県自らも含め6市町で、小水力発電をはじめ、バイオマス、地下熱利用など各地域の特徴に応じた自然エネルギーの実証調査やポテンシャル調査が行われてきたところです。本年度実施しております地球温暖化対策戦略再構築事業におきましては、これらみどりの分権改革推進事業の成果をはじめとして既存の導入ポテンシャル調査結果を踏まえ、長野県における自然エネルギーの普及にかかる現状と課題を整備したうえで、自然エネルギーの推進方策について調査研修することとしております。この地球温暖化対策戦略再構築事業を通じまして、議員ご提案の自然エネルギー基本計画と同じ内容と思われる、長野県の自然エネルギー導入目標やそれを達成するための方策等を位置付ける自然エネルギー自給戦略の検討に本格的に取り組んでいきたいと考えております。
(2)次に、市町村や民間への財政支援等の支援策についてです。7月31日に立ちあがった県民・NPO・地域企業等で構成される自然エネルギー信州ネットにおいては、自然エネルギーの取り組みを行っている民間団体の交流促進あるいは学びの場の提供を行い、地域のNPO等による自然エネルギーのたちあげを支援することとしております。さらに太陽光発電等の自然エネルギーについては、大切なこの初期投資が導入の障害になっていることから、自然エネルギー信州ネットにおいて初期投資ゼロによる自然エネルギーの設備導入を県民に広く普及する仕組みや、市民あるいは地域企業の出資による自然エネルギー事業のビジネスモデルを構築することとしています。今回の補正予算案で提出している自然エネルギー自給型コミュニティーモデルの構築においては、希望する市町村を構築して地域レベルでの自然エネルギーの自給を高めるための、採算の取れる事業化にむけて市町村を支援してまいります。
県としてはこうした過程を通じて、市町村や民間の取り組みに対し、財政面も含めどのような支援策を必要か、また効果的か、進めてまいりたいと考えています。
<石坂県議>
目指す方向において共通認識かなと嬉しく思うわけですが、私が申し上げましたエネルギー基本計画というのは、新しい可能性に向けて挑戦する県のエネルギー基本戦略です。今、早くから太陽光発電や環境都市としての先進的な取り組みをしてきた飯田市への視察が増えているとお聞きしています。また、「水土里ネットながの」(県土地改良事業団体連合会)も農業用水を活用した小水力発電の導入促進に本格的に取り組む方針を打ち出しており、長野県の自然エネルギーの取り組みは大きな可能性に満ちている分野となっています。
地産地消のエネルギーをどの程度、いつまでにとりくみを広げていくのか、太陽光、小水力、バイオマス、地熱などのそれぞれの分野の可能性をどう引き出していくのか、「自然エネルギー」なんですが「自然成長」ではなくて、県の基本戦略をもって、目的意識的に取り組みを推進してほしい、そういう意味の基本計画なのですが、こういうことで目指していただけるでしょうか。具体的中身として実効あるものにしてほしいということで、再度環境部長の認識を伺います。
<環境部長>
先ほど申し上げましたように、長野県内では各地域に優れたいろんな支援がありまして、また各地域でそういうものを活用したいろんな芽が今動きつつあるわけでして、そういったものを総合してこれからの長野県の地産地消的なものを飛躍的に発展させていきたいという基本的な考えです。そんなことで、先ほど申し上げました地球温暖化対策戦略再構築事業のなかに、様々な、今議員がおっしゃったようなことも含めて検討していくというふうになっております。議員が今おっしゃったようなことが我々の課題だと思っておりますので、そうしたことにつながるような取り組みにしていきたいと考えております。
<石坂県議>
財政支援を含めた支援策を検討していただけるということで期待しています。
(1)FV断層の全体像の調査をはじめ、浅川ダム建設地の安全性について東日本大震災の教訓も生かした再検証を行なうべきではないか。
<石坂県議>
浅川ダムの安全性の再検証と浅川の内水対策の促進についてお伺いします。
東日本大震災と福島第一号原発の事故の経験は、従来の価値観や発想を改めて問い直す重要な機会となりました。崩れ去った原発の安全神話や、「想定外」という言葉だけで片付けられてはならない住民への責任の問題を考える時、建設が進んでいる浅川ダムも、本体工事掘削であらわになったFV 断層の安全性の検証をしないまま、建設を進めていいのだろうか、と改めて不安と疑問がわいてきます。
東日本大震災とその後の余震では、今まで動かないとされていた断層が動いたり、新たな断層ができると言う事態が生まれています。大震災後の震度6強の余震で、予想を超える大規模な山腹崩壊を起こし、死者も出している福島県いわき市では、今まで確認されていた断層の長さが、実際にはもっと大きなものであり、ゆの岳断層は15キロ、井戸沢断層は11.5キロも長いものであったことが明らかになったとされています。災害が起こり、犠牲が出てから「本当は、こうだった」とわかっても取り返しのつかないことがある以上、活断層であるかないかで専門家の意見が分かれているF−V断層の全体像の調査をはじめ、浅川ダム建設地の安全性について、東日本大震災の教訓も生かした再検証を行なうべきだと思いますが、建設部長の見解をお伺いします。
<建設部長>
最初に、浅川ダムの安全性再検証についてのお尋ねでございます。
まず、FV断層の全体像に関する調査についてですが、F−V断層についてはダム工事に着手する以前から空中写真判読、地質調査、ボーリング調査などによりまして、その全体像を把握しております。そして、浅川ダム地すべり等技術検討委員会や長野県治水利水ダム等検討委員会におきまして、トレンチ調査も行い、その結果ダム建設上支障となる断層ではないと確認をしております。このたびのダム基礎掘削によりましてダム底敷内の下流にも断層が確認されましたが、性状はこれまでの調査結果と同様であると確認しております。
また、東日本大震災の教訓を生かした浅川ダム建設地の安全性についてですが、文部科学省に設置された治水委員会によりますと、長野盆地西縁断層帯を震源とする最大の地震は、善光寺地震の推計マグニチュード7.4を上回るマグニチュード7.8と想定されています。県では平成20年度に実施した浅川ダム詳細設計にあたりまして、通常の安定性の確認とは別に、この想定されるマグニチュード7.8を用いて、地震時における解析も行って安全性を確認しております。東日本大震災後、これまでの設計や調査手法等について、改めて検証が必要となるような新たな知見が出ていないということを認識しています。
次に、浅川の内水対策についてのお尋ねです。浅川の内水対策案については本年5月に地元役員に提示して以降、6月21日の地元説明会をはじめとしてこれまで地元説明会4回、地元役員説明会14回、計18回、のべ450人の方に説明してきました。これまでの説明会では、住民の皆様から遊水地の設置、千曲川の改修促進、農地の浸水対策などのご要望をいただいております。ただ、県が示した排水機場のポンプ増強、あるいは堤防かさ上げ、二線堤の設置、の3点の対策については大きな反対はないものと考えております。現在は今年度予定している排水機場や樋門の概略設計・測量の実施について地元の役員、住民自治協議会の了解が得られるよう、鋭意調整を進めているところです。
県としては、様々なご要望をお聞きする中でさらに県案に対するご理解を深めていただくよう今後も住民の皆さんと意見交換を続けまして、来年度河川整備計画を策定し早期に内水対策に着手できるよう鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
(2)ダム建設を継続しながら行なう安全性の調査とはどのようなものか。
<石坂県議>
また、9月6日の各会派代表者と知事の懇談会で、阿部知事は、「従来の調査のままでよいとは思っていない。ダムを造りながら、必要な安全性の調査は行なっていく。」と言われました。一般的には、調査によって安全性が確認されたら建設を再開すると言うのが常識的な考え方ですが、ダム建設を継続しながら行なう安全性の調査とはどのようなものなのでしょうか。知事にお伺いします。
<阿部知事>
浅川ダムの安全性の調査についてのご質問です。
浅川ダムについては工事着手後も掘削工事により現れた基礎岩盤あるいは断層等について安全性を随時確認しているところです。しかしながら県民の皆さんの中には東日本大震災の発生ということもあって、FV断層について不安を感じている方もおられると思っていますので、こうしたことから今回、説明責任を果たすべく改めて掘削を行いましてダム敷およびダム敷以外の場所も含めて、FV断層の安全性の再確認を行っていきたいと思っています。
その結果については、これまでの工事にともない得られた調査結果も含めて、10月の下旬を目途に県民の皆さんにお知らせをしていきたいと考えております。今回掘削する箇所にFV断層については専門家の方々にもご確認をいただいて進めていきたいと考えております。
<石坂県議>
今知事からは10月下旬くらいを目途に、FV断層の調査を一定程度おこなったものを公表するということでしたが、部長からはもう安全な断層なので調査の必要はないということで、ちょっとそのへんのくい違いがあるようにも思うのですが、私たちは今まで、想定をされていたと県は言っていたんですが、浅川ダムの本体掘削工事でダムサイト右岸を横断するFV断層が明らかになったことで、いずれにしてもこの断層の総延長、深さ、新しく動いたものであるのかないのか、その全体像の解明の調査をしてほしいと申し入れましたけれども、県は文書の回答でダム建設に支障のない断層であること、想定していた範囲のものであること、よって調査の必要はないと、そういうことで工事を続行しています。
しかし過去の経過においても現状でも、必要な調査がされているとは到底言えない、なぜ調査もしないでダム建設に支障がない断層と言えるのか、ここが住民の皆さんは納得のいかないところです。
3つ理由をあげます。
第一に、県は、旧建設省の定めた「ダム建設における第4紀断層の調査と対応に関する指針(案)」「調査法(案)」に反し、「第4紀断層または『その疑い』があるものがダム敷近傍に存在する時、あるいはダム敷近傍を通る『可能性』があるときには、二次調査を実施する」とされているにもかかわらず、二次調査を行なっていません。
第二に、長野県治水・利水ダム等検討委員会の平成14年6月の答申では、浅川の「地質とダムの安全性」の項で両論を併記した上で、「ダムを実施する場合にはFV断層の活動性と下流部への延長を確認し、F−9断層と線状凹地との関連について再調査を必要とする。」とされているにもかかわらず、村井知事の穴あきダム建設方針決定の際も、阿部知事の再確認と建設継続決定の際も、調査はされていません。
第三に、新たに設置された「浅川ダム施工技術委員会」に配布された資料によれば、県が建設技術研究所に委託した調査結果が図示されており、FV断層は赤く着色されています。下流側にどの程度延長しているのか、この調査だけでは不明です。また、深さは、標高457メートルの地下にまで届いていることがボーリング調査の結果として図示されていますが、どの程度の深さまで達する断層かは、それ以上の調査がされていないため不明です。また、破砕幅、断層のずれの幅は2.5メートルだとこのコンサルタントを図示されて言っていますが、8月6日に日本共産党県議団、長野市議団が、住民訴訟弁護団や専門家、県の担当者とともに現地調査した際に、実際の破砕幅は5メートルから7メートルであることを確認しています。このことは、住民訴訟弁護団の証拠保全の申し立てを受けて9月8日に長野地方裁判所が現場検証した際にも確認されています。コンサルタントの推定の指摘と現場は違っているのです。
以上の3点からも、FV断層は、必要な調査もされず、全体像が不明のまま、「ダム建設に支障のない断層」とされているのです。
これで、なぜ、安全と納得せよといえるのでしょうか。なぜ、再検証の調査を徹底的に行なわないのか、改めて建設部長に伺います。
<建設部長>
FV断層については、これまで空中写真判読、地質調査ということで調査をしてきまして、その状況によりまして安全であることを確認していますが、例えば延長ですが、下流への延長については空中判読、地質調査によって長野盆地せいえん断層帯は横切っていない、それよりも下流にはいっていないということでその変異が認められないということで確認しております。
上流については、ダム軸より約350メートル上流についてボーリング調査によって地層評価で確認しまして、FV断層による変異がないと確認しております。このなかから、当初よりFV断層の全体の延長は最大でも1.6キロメートル程度だろうと想定しておりまして、今回の断層についても想定の範囲内であると考えております。ただ、工事を進めるなかにおいてはその都度安全は確認してまいりたいと考えております。
<石坂県議>
ぜひ納得のいく調査をしていただき、住民に分かりやすくその結果を公表していただき、だから安全だということを示して頂いたうえで工事を進めるということをお願いしたいと思います。なし崩し的に工事を続行することは到底納得できませんので、よろしくお願いします。
(3)住民合意の内水対策案を早急に策定し、実施していただきたいが、来年度に向けての見通しはいかがか。
<石坂県議>
内水対策ですが、先日、長野市選出の県会議員と長野市長の懇談会の際、「浅川の内水対策の前提である、既往最大流量となった昭和58年9月洪水に対応する千曲川河川整備の時期が明確になっておらず、豪雨時には浅川ポンプが停止される不安を、地元はもっている」ことが強調されまして、浅川の主たる内水対策、今すぐできることとして、排水ポンプ、これは非常に期待されているのですが、ダム完成時までに一基7トン/秒ではなく早期に3基をということが長野市の要望でした。千曲川の河川整備促進を国に働きかえるとともに、県の努力で可能なこととして、排水ポンプ増設を、ダム完成時までに1基ということではなくて、急いで3基を目指して急いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
<建設部長>
いずれにしても21トンをやるということはもう決めておりますし、これから調査をして、今回は測量から始めますし、概略設計をし、来年度地権者の皆さんの了解を得られれば用地買収、それから詳細設計もやっていくということになりますと、工程的にもかなり苦しいものになってきます。多分7トンを28年度までというのも工程的にもぎりぎりになってくるのではないかと思っています。いずれにしても21トンは7トンに引き続いて順次やっていくつもりでいますので、特にそれが後に遅れるということではございませんので、ご理解いただきたいと思います。
<石坂県議>
今のテンポではダムはどんどん進む、内水は解決せず、こういうことになってしまうんです。だから、ポンプは県ができることなのですから本当にがんばってほしいし、本当に住民の安全のために全力を尽くして千曲川の改修促進も強く国に働きかけていただくことをお願いして、質問を終わります。