2011年9月定例会 一般質問 9月27日 高村京子

  1. 子ども・障がい者の医療費―福祉医療費給付制度は窓口での支払いを無料に
  2. 上小地域の医療再生充実について
  3. 三才山・新和田・平井寺トンネルの早期無料化と道路改良について
  4. 生活困窮者救済、就労と生活支援の連携強化を

1 子ども・障がい者の医療費―福祉医療費給付制度は窓口での支払いを無料に。

<高村県議>
 現行の自動給付方式では、いったん窓口で2割〜3割の医療費負担分を支払い後日、1レセプト500円を医療機関と薬局での手数料としてそれぞれ引かれて世帯主に支払わる償還払い制度となっています。この1レセプト500円の親の負担が年間で結構な額になっています。
 1年間の親負担は、子供一人当たり、平均で4198円、2人3人子供がいれば2倍3倍の負担となっています。障がい者一人当たり9244円で、無料化とは言えません。
 長和町では、2009年10月から県が値上げした1レセプト200円を町が負担し、無料化年齢を高校卒業まで拡大しています。2513世帯の長和町で住民有志が671筆の「窓口無料化を求める」署名を集め、9月8日に私も同席させていただき、三村健康福祉部長に知事あての要望として申し入れを行いました。
 中学卒業まで無料化を実施しているのは、県下で41の市町村に上ります。全国では、34以上の都府県で実施しており、長野県に引っ越してきたお母さんは、「窓口での負担の重さにびっくりです。子育てに冷たい長野県ですね」と言われます。
 今子供を抱える家庭の貧困化も広がっています。
 親にお金がなくて、子供の健康や命が守れない長野県であってはなりません。現在、県下各地で「県レベルでの中学3年生まで、窓口無料化を求める署名」が取り組まれています。
子ども医療費は中学3年生まで、福祉医療費も含めて窓口での支払いがない、本当の無料化の実施を強く求めます。
 合わせて、県が、中学3年生まで対象範囲を拡大するとともに子ども・障がい者の医療費を窓口無料化にした場合は、財源がいくら必要とするのか、健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 福祉医療制度の窓口無料化に関するご質問にお答えいたします。
 福祉医療の給付対象範囲を中学卒業まで拡大した場合は、県の補助金ベースで現行と比較し20億程度必要になると見込まれます。この給付範囲の拡大に合わせて窓口無料と受給者負担の廃止を行った場合にはさらに40億円から45億円程度の負担増となると試算しております。
 福祉医療制度はそれぞれに自治体が競う形で普及してきましたが、今や自治体の独自制度というよりも共通政策となっていることから、国の社会保障政策の中に位置づけて国の責任でしっかりと措置されるべきものと考えております。国が6月末に取りまとめた社会保障税一体改革成案を受け、現在国の検討会や国と地方の協議の場などにおいて地方の単独事業を含めた社会保障給付の全体像について検討が行われております。
 県としては、こうした国の動きに対して現場の視点にたって制度のあるべき姿を考えながら提言・要望を行って参ります。

<高村県議>
 長野県は全国からも遅れています。
 群馬県は、平成21年10月から実施しました。少子化対策や子育て環境の充実を図り、県内どこに住んでいても子供の医療が無料で受けられるよう、中学卒業まで対象拡大し実施しています。
 県は、困難があってもそれを乗り越えて子育て応援県になってください。無料化を実施した上で、窓口無料化にした場合の市町村国保の国庫負担金減額調整―いわゆるペナルティに対して国に対し強く中止を要請し、国レベルでの窓口無料化の実施を強く求めていただきたいと、強く求めておきます

2、上小地域の医療再生充実について

<高村県議>
 地域医療再生計画のもと、信州上田医療センターの充実強化を中心として、医師会輪番病院、信州大学、市民協働による医療再構築が図られ、診療所・病院との役割分担のもと、医療の地域連携による充実の方向に進んでおり、市民は本当にうれしく思っています。
 上小地域特有の「救急輪番病院10病院」を指定し、交代で救急医療の受け入れをお願いしています。信州上田医療センターも輪番病院で対応した上でのバックアップはしっかり受け止めるとの意気込みで、上小坂城地域の救急患者を病院の役割分担を発揮し連携し合って受け入れようと奮闘していただいています。輪番病院と上田医療センター医師の当直体制と負担はぎりぎりのところで踏ん張っておられます。
 来年春に新築オープンとなる上田市産院と合わせて、上田医療センターにてリスクを伴うお産が再開できるよう大きな期待がされています。県において、この時期に、信州上田医療センター-への医師確保について、特に力を入れていただきたいがいかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 上小地域における医師の確保支援についてお答えいたします。
 上小地域医療再生計画における救急医療体制につきましては、第二次救急医療を担う輪番病院の機能維持と医師の負担軽減を図るため、平成22年4月に内科・小児科初期救急センターを設置し、あわせて小児科は信州上田医療センターが、内科は輪番病院がそれぞれ後方支援を担う体制を整備しました。
 周産期医療体制については現在上田市産院の移転・新築工事が平成24年4月の開院を目指し、順調に進んでおります。また、隣接する信州上田医療センターにおいてはハイリスク分娩の受け入れを含む分娩再開に向け産婦人科医の確保に精力的に取り組んでいるところでございます。
 医師確保の具体的な取り組みについては、信州大学の医学部付属病院と信州上田医療センターとの間で平成22年3月に協定を締結し、これまで救急・麻酔科をはじめとする6診療科で常勤換算しますと7名の医師が派遣されているなどの実績があがっています。今後も、産婦人科医を含む医師確保に向けて、県として積極的に支援してまいります。

<高村県議>
 今、信州上田医療センターは輪番病院を支えていただいて23%の救急を対応していただいています。しかしまだ圏域外への再搬送やドクターヘリの出動も県下で1番位多い状況が続いています。また昨今甚大な災害が発生していますが、地域災害拠点病院としての機能も担っていただいています。ぜひ産婦人科医の確保もあわせて上田地域医療の再生に向けて、県の一段のご努力をお願いしたいと思います。

3、三才山・新和田・平井寺トンネルの早期無料化と道路改良について

<高村県議>
(1)三トンネルの早期無料化についての検討はどのようにされていますか。少なくとも通勤・通学送迎・医療機関への受診や介護サービス利用などでの利用者は無料とすべきではないか、真剣な検討を求めます。

<建設部長>
 有料道路の無料化に関するお尋ねでございます。
 三才山有料トンネルをはじめとする長野県道路公社が管理する有料道路の通行料金の無料化等については、これまで多くの方々からご要望を頂いているところでございます。本年2月定例会において知事からも利用者の負担軽減のあり方について考えていきたいとお答えをしております。有料道路事業は長野県道路公社が建設費を県の出資金と国や金融機関等からの借入金で調達しまして、利用者の皆さんからいただく通行料金でその償還を行っていくもので、無料化等で利用者の負担軽減を行うためにはその減収分を県で負担を行う必要があります。もし仮に早期無料化を行うということになりますと未償還金等を全て県が負担するため、その実施は困難であると判断しています。
 また、通勤・通学・通院等で有料道路を利用される方には無料にすべきではないかとのお尋ねでございますが、通行料金の無料化・割引については、実際に料金所においては自動車を利用する目的別に区分をして料金徴収することは非常に難しいかなという点もございます。
 現在それにかわります利用者の負担軽減策として料金割引の方策、それに伴う県が負担することになる金額の試算、料金徴収の方法について、現在長野県道路公社と協議しながら検討を進めているところでございます。

<高村県議>
 平成22年決算では、道路公社管理の7路線のうち内3トンネルは通行料の54%を、料金収入のなんと80%占めています。まさに県から見れば「優良」道路でしょう。道路公社収支の内部留保額は、90億4千4百万円もあります。上田地域と松本諏訪方面の県民に対し、この3トンネルにも他の道路と同じように社会実験をしていただき料金の減額を強く求めます。


(2)東塩田地域主要地方道上田丸子線では、この7月、東保育園に車が飛び込む事故が発生し、園児6人が重軽傷を受けました。保育園や学校関係者など東塩田地域の皆さんは毎日が不安の中にあります。事故防止の対策の強化が求められています。平成30年に、平井寺トンネルがようやく無料化となります。交通量がいっそう増えると予想されますので、歩道整備の不備の改良を含めた道路改修とドライバーに保育園や小学校などや生活地域内を走行するための注意喚起など、より安全な道路環境への改良が必要と考えます。
 この点を建設部長並びに県警本部長に伺います。

<建設部長>
 次に、主要地方道上田丸子線の安全対策に関するお尋ねでございます。
 主要地方道上田丸子線は、上田市街地と上田市東内地籍を結ぶ幹線道路で、改良率は100%で、歩道の設置につきましては必要な区間のうち約95%が整備済みとなっています。さる7月21日に発生した交通事故は、主たる原因は速度超過ということですが、事故後に上田建設事務所、上田警察署、上田市などで現地診断、再発防止検討会などを行いまして、その結果に基づきまして速度を抑制するための路面表示の設置を行いました。
 また、保育園前後の約250メートル区間について今年度から歩道を設置する交通安全事業に着手をしております。このうち、保育園前の約50メートル区間については本年度代に整備を完了することとしております。
 今後とも交通安全確保のため、歩道の設置など必要に応じて安全確保を講じてまいりたいと考えております。

<警察本部長>
 県道上田丸子線や東塩田地域における事故防止対策についてお答えします。
 ご指摘の通り、7月にこの県道沿いにある保育園の園児6名が重軽症を負う重大な交通事故が発生いたしました。警察としてはこのような事故が二度と起きないように交通事故が発生した県道上田丸子線などにおいて、地元上田警察署のほか警察本部の交通機動隊、これは白バイ隊員ですが、を動員いたしまして速度違反等の交通取り締まり等を強化しております。
 また、この道路を通行するドライバーに対し、地元住民やドライバーのみなさんとともに交通安全意識を高めるための啓発活動を行ってきたところです。
 今後とも関係機関・団体と連携してこの地域における交通安全に対する不安感の解消に努めてまいります。

4、生活困窮者救済、就労と生活支援の連携強化を

<高村県議>
(1)パーソナルサポートモデル事業の取り組み状況はどうか。
 このサービスの最大の特徴は「支援される人とサポーターがお互いに寄り添い、2人3脚で就職という本当の意味での自立に向けて支援すること」とあります。
 来年度以降、県内サービス拠点をさらに10圏域へと増やし生活する身近なところで、本当に寄り添い型での支援ができる環境を整えていただきたいがいかがでしょうか。

(2)上田市と伊那市に設置した、「緊急求職者サポートセンター」は、雇用環境が依然厳しい中、仕事を求める若者から中高年者を具体的な援助でささえる大切な場所になっています。来年4月以降も「緊急サポートセンター」の継続を求めるがいかがでしょうか。
 7月の有効求人倍率は県平均0.80ですが上田では0.66、伊那は0.62、飯田では0.60となっており、この地域は特に厳しい環境下にあります。再就職支援セミナーも行われ、自己分析・履歴書の作成・模擬面接と丁寧な指導を行っています。引き続き必要な事業であり継続を求めるがどうですか。商工労働部長に伺います。

<商工労働部長>
 (1)パーソナルサポートモデル事業の取り組み状況、またその充実についてのご質問でございます。
 このパーソナルサポートモデル事業については、今年の3月にまず中核的なセンターを長野市に設置しまして、その後6月にサテライトセンターを松本市と上田市にそれぞれ設置したところです。8月末までに298名の方からのべ1235件のご相談をいただきまして、ハローワークと連携した就労支援や福祉制度のつなぎを行うことで相談者の一人ひとりにあった課題解決の道筋を示しながら、いわゆる寄り添い型のサポートに取り組んでいるところです。
 このモデル事業に関しては、パーソナルサポートの制度化について議論する検討委員会が首相官邸におかれていまして、本年8月29日に開催されて、そのなかにおいてこの事業を来年度も実施する方針が示されたと伺っています。国の平成23年度第3次補正予算、平成24年度の予算要求の中で来年度の財源措置について明らかになるものと考えております。
 県としてはこの動向をふまえた上で来年度事業の枠決めを行い、より多くの県民の皆様にきめ細かなサービスの提供を行うために、新たな拠点の設置についても検討してまいりたいと考えております。
 (2)続いて、緊急求職者サポートセンターの関係です。このセンターについては平成21年9月に上田市と伊那市に開設しまして、県が求職者に対する生活就労相談支援を行うとともに、上田・伊那の2つのハローワークの協力を得て職業相談・職業紹介も一体的に提供しているところです。このセンターの設置は雇用創出関係基金のなかの緊急雇用創出基金事業という枠組みを活用しながら全国的に実施しているものです。設置期間は国の実施要領においては基金事業の実施期間と同じく平成23年度末とされております。このセンターの来年度以降の存続については県内の雇用情勢を勘案しながら、パーソナルサポートモデル事業との兼ね合い、あるいは他の都道府県の動向など多角的総合的な視点から来年度当初予算編成のなかで検討を進めていきたいと考えております。

<高村県議>
 パーソナルサポートモデル事業は、来年はぜひ充実の方向でお願いしたいですし、上田市・伊那市に設置されている緊急求職者サポートセンターも本当に大切な役割を果たしておりますのでぜひ存続充実をお願いしたいと思います。

(3)失業者や困窮者への救済のため、社会福祉協議会が窓口となっている「生活福祉資金」の貸付状況について伺います。
 県下各地で困窮者救済支援に取り組んでいるボランティア「反貧困ネットワーク信州」に寄せられた中で、医療費や生活資金で困っている人に対し、本人の返済能力があるかないかで、仕分けをされて、その場で断られることが発生しています。現に生活費が不足して困っている人を支援しないで放置しているのです。どうしてこのような事態が発生しているのでしょうか。困窮者救済の姿勢で審査決定がされているのでしょうか。
 生活福祉資金の貸付相談と貸付実績の状況はどうですか。県下市町村社会福祉協議会への対応はどのようにしているのですか。健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 生活福祉資金の貸し付けについてお答えします。
 平成21年度に貸付要件が大幅に緩和されまして、貸付利子の引き下げ、連帯保証人の要件の緩和、償還期間も最長20年に延ばすなど、より借りやすい制度になっております。その結果、平成21年度の県社会福祉協議会への相談件数は5千件、貸付額は過去最高の3億7500万円、それから平成22年度も相談件数は3千件、貸付額も2億7300万円と高い水準になっております。
 貸付申請の窓口ですが、市町村社会福祉協議会ですが、国が定めた制度要綱や運営要領において貸付基準や実施方法が定められているほか、県社会福祉協議会の貸し付け審査等の運営委員会において、公平で公正な貸付決定が行われております。
 また、貸付金は返済していただく必要があり、返済能力の有無が貸付の際の大きな決定要素となりますので、返済が滞ることのないように無理のない返済計画が必要であると考えております。
 県としましては、今後とも市町村社会福祉協議会や県社会福祉協議会と連携を密にして、厳正で迅速な貸付措置が進められるよう取り組んでまいります。

<高村県議>
 私が相談を受けました、年金生活でがんの治療をなさっている高齢の女性ですが、この資金を借りたいということで私も同行いたしました。しかし、病院で医療費を分割で支払えばいいではないかと言われ、結局貸し付けはしてもらえませんでした。生活保護にはならないがギリギリのところで、困窮している人に支援の手を差し伸べないでは、何のための公的支援なのでしょうか。
 生活福祉資金の制度が救済を求める人を支援する制度になっているかどうか、もう一度点検をお願いします。

(4)日本共産党は、東日本の被災者支援に、全国の党組織が担当地域を決めて継続的に義援金や季節ごとに必要な支援物資を地域の皆様から寄せていただいたき青空市場・訪問お届け隊・お茶っこ相談会などの支援を被災地で続けています。私も7月に釜石と大槌町へ支援に行ってきましたが、本当に何もなくて一つ一つのものに困窮してらっしゃる被災地の皆さんに対して、全国から継続的に、被災者の皆さんの気持ちを受け止めながら息の長い支援が必要とされていると感じたところです。
 また、県内の地域では派遣労働の不安定雇用に置き換えられ生活に不安を抱える人が増えています。解雇・倒産による失業などで仕事を探しても就職がままならず、困窮する人が増えています。外国人労働者や年金では暮らしてゆけない高齢者が苦しんでいます。私たち党県議団も各地で一緒になって困窮者の相談にのり、困難を解決するための支援活動を行っています。

 私たちは、今被災者支援活動と地域での困窮者支援活動が必要と考えどちらも継続的な支援活動を続けようと取り組んでいます。政府と行政の公的な支援の強化充実が切望されています。
 国が8月に出した「社会的包摂政策に関する緊急政策提言」とはどのようなものですか、その内容と県の受け止め、取り組みについて伺います。

<健康福祉部長>
 「社会的包摂政策に関する緊急政策提言」についてお答えします。
 この提言は内閣総理大臣の指示に基づき設置された、一人ひとりを包摂する社会特命チームにより8月10日にまとめられたものです。内容としては、緊急に実施すべき施策として、第1に、社会的排除のリスクについての実態調査、第2に、先導的なプロジェクトの実施、第3に、誰も排除しない社会の推進体制の構築が掲げられており、県としても重要な提言であると注目しております。最終的には社会的包摂戦略がまとめられ、国や地方で具体的な事業展開をすることになりますが、先の厚生労働省の第3次補正予算の要求案を見ましても、社会的包摂を進めるためこの提言の一部の施策が盛り込まれておりますので、県としましても第3次補正予算の状況を見極めながら、社会的包摂の推進について検討してまいります。

<高村県議>
(5)ホームレス等の貧困・困窮者支援の「絆」再生事業の概要について伺います。県としては是非この制度を活用していただきたい。県下各地で相談支援活動に取り組んでいる団体が多数あると思います。上田では「陽だまりネット」の相談支援が毎月ハローワークの前で実施され、10月で27回となります。このような「反貧困ネットワーク信州」に連帯している団体は10数団体が活動しています。すべてボランティアで支援資金は持ち寄りです。このように県下各地で、民間団体によって取り組まれている助け合いの活動を資金的にも応援すべきと考えますがいかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 ホームレス等の貧困困窮者の絆再生事業の概要と県の取り組みについてお答えします。
 国の絆再生事業は生活困窮者に対して県や市町村が実施主体となり、緊急一時的な宿泊場所の提供などを行う事業ですが、本県では平成22年度から取り組んでおります。
 なお、NPO等民間支援団体が行うホームレス等に対する生活困窮者等支援事業につきましては、本県ではホームレスが少ない状況にあることから現在は取り組んでいませんが、先ごろの厚生労働省の第1次補正予算要求案のなかに社会的包摂を推進する一環として地域の絆再生構築等が盛り込まれており、事業の充実・強化が図られる予定でございますので、年末に向けてNPO等民間支援団体の活動が円滑に行われますよう、第3次補正予算の状況を見極めながら県として支援策を検討してまいります。

<高村県議>
 今、貧困が広がっています。厚生労働省の2010年国民基礎調査では、日本の貧困率は1985年以降一貫して上がっており、2009年には16%と最悪になりました。母子父子世帯では、50.8%にもなっています。「生活が苦しい」と答えた世帯は6割、全世帯の32%が年収300万円未満です。高齢者世帯では6割が年収300万円以下です。
 厳しい環境の中、失業、職を探しても、上田地域では、求人の正規雇用は17%しかありません。派遣やパートについても家族を養い暮らしを立てなおすことは困難な状況にある方が大勢増えています。さまざまな困難を抱えて苦しむ人々をしっかりと支えていく社会が求められていると思います。

(6)就労生活支援相談事業、生活支援福祉事業など、様々な相談支援が行われています。しかし、制度のはざまで救済されずに苦しむ人々もいます。県はさまざまな困難を複合的に抱える人々を支えるために、市町村関係部門や民間サービス団体も含めて、総合的な支援の在り方を検討する会を開催するなど県としての役割を発揮していただきたいと思います。また、制度のはざまで苦しみ、放置され、自殺へと追い込まれないように、先ほど大切な事業だと受けとめていただきました社会的に排除されない社会をつくっていくために、各種機関の連携の強化や支援の専門家、ゲートキーパーの配置を求めたいと考えますが、健康福祉部長に伺います。

<健康福祉部長>
 生活困窮者支援への連携についてのお尋ねでございます。
 貧困、福祉、就労、多重債務や心の悩みなど多様化する課題に対処するために、昨年、長野県生活福祉就労支援協議会が設置され、生活困窮者への総合的な支援に取り組んでおります。
 この協議会ですが、長野労働局、市町村、県弁護士会、社会福祉協議会、民間支援団体、そして県も福祉、医療、労働、住宅、消費生活の各部門が関わり、年末におけるワンストップサービスなどの支援策を実施しております。また、本年から実施しておりますパーソナルサポートモデル事業では国・県・市町村・民間支援団体などさまざまな組織な機関が連携し、生活困窮者に直接寄り添いながら支援しております。
 さらに自殺対策の一環として、各保健福祉事務所において法律健康相談を実施し、必要に応じ就労支援、生活支援につなぐとともに、その担当者を対象に他分野総合研修会を実施し、相談体制の連携を図っているところです。
 支援のあり方を考える検討会につきましては、前々からご提案をいただいておりますが、ただ今申し上げました支援策が有効的・機能的に実施され成果を上げることが肝要だと考えておりますので、今後とも関係機関や民間団体との連携強化に取り組んでまいります。

<高村県議>
 9月4日、長野県母親大会が中野市で開かれ、日本弁護士会会長の宇都宮健児氏が「日本中に広がる貧困―誰もが人生に希望をもって生きるために」と題して講演をされました。多重債務対策や闇金対策、年越し派遣村、自殺しない支援の経験などから「失業貧困に苦しむ人々のことを社会が見えるようにして、政府・行政・民間団体、弁護士などが連携して誰もが生きるための救済支援の制度の仕組みを作ることが大切」と訴えられました。
 私は、命と暮らしを守るために、宇都宮弁護士が提唱するように、さまざまな機関や団体との連携を県が構築し、困窮者支援に取り組むことを求めたいと思います。
 社会包摂ということで、誰もが排除されない社会への支援を強く求めて私の質問を終わります。