2011年11月定例会 一般質問 11月29日 藤岡義英

  1. TPP協定について

  2. 県地域防災計画について

  3. 放射能汚染について

1、TPP協定について

<藤岡議員>
 まず、TPP協定について質問します。阿部知事が今議会開会日の議案説明の中で、反対を表明されたことは、失意と怒りが広がっていた県民に対し、大変激励となる心強いものとなりました。今後は、国に対しては徹底した情報開示を要求し、県民的議論を喚起していくことが求められています。
 同時に、もし仮に、TPPに参加してしまうと長野県はどのような事態になってしまうのか、今からその情報を県民に公表すべきだと考えます。
 そこで、現時点での分析されている情報の内容はどのようなものか、また参加阻止のために積極的に行動すべきだと考えますが、いかがでしょうか。企画部長お答えください。

<企画部長>
 TPP協定への参加による本県への影響についてですが、現段階の情報といたしましては、政府によって関係省庁がTPP協定交渉国から収集いたしました情報をもとに21の分野別に交渉の内容や現状などを公表しております。協定参加による影響につきましては、この中でわが国が交渉参加を考慮すべき点としまして、メリットやデメリットを整理しているところでございます。このほか様々なメディア等もありまして、その他収集整理している段階というのが現状でございます。
 県といたしましては、まだまだ情報や議論が足りないということで引き続き国に対しまして十分な情報提供を求めながら独自にも情報収集に努めまして、このほど設置しました国際な経済連携に関する対策会議、この場におきまして県内への影響や対応を検討してまいる所存でございます。

<藤岡議員>
 今月15日、松川村役場庁舎に、TPPに反対する巨大な垂れ幕が掲げられました。役場の3階からつり下げられた垂れ幕の長さは約7?です。「TPP反対 日本の食と暮らし・いのちを守ろう」と書かれ、その脇に「松川村・村議会・村農業委員会」の3者の連名が記されています。村の農業委員会が「このまま黙ってはいられない。垂れ幕をつくり意思表示しよう」と、村と村議会に働きかけ、要請を受けた村長は即決!したそうです。このようなアピールを県も行えば、県民はすごく励まされると思います。私の要望でもありますが、知事の見解をお伺いいたします。

<阿部知事>
 TPPに関しては、わたくしは国民的議論をしっかり行なうべきだと思いますし、現時点で政府からの情報提供、情報開示が、きわめて不十分だというふうに思っております。
 しかしながら、懸垂幕を掲げるという、ある意味政治的アピールにはなるのだとは思いますけれどもが、わたくしは非常に重要な問題ですので政府が関係国との交渉に参加するとなっているわけでありますから、まずはしっかりと情報提供してもらって、きっちりと対応を考えていくと、あるいは国に対して言うべきことしっかり言っていくと、具体的な取り組みをきっちりと行なっていきたいというふうに思っております。
 そういう考えのもと、現時点で協定参加反対という形での懸垂幕を掲げるという考えはありません。

<藤岡議員>
 企画部長の話では、まだ分析はこれからという話でしたが、農業・医療分野だけでなく、政府調達・金融・投資・環境など24の作業部会が設けられていると聞いています。ぜひ立ち上がった、対策会議で分析をすすめ、県民に情報をしっかり発信し、わたしはぜひ参加阻止で行動していただきたいと思います。

2 県地域防災計画について

<藤岡議員>
 つづいて、県地域防災計画について質問いたします。東日本大震災の影響により、周辺での地震の発生率が10倍以上に上昇した活断層が、牛伏寺(ごふくじ)断層など全国で11ヶ所あることが、東京大学地震研究所の調査で分かったと報じられました。広範囲で、活断層による地震が増加する可能性があると警戒を呼びかけています。こうした新しい状況に対応した防災計画に見直し、策定する必要があると考えますが、知事いかがでしょうか?

<阿部知事>
 地域防災計画の見直し、県としても検討し、チエックさせていただいているところであります。具体的にどこで、どういう地震をという想定をするというよりも、むしろ、いつ、どこで、どのような規模の地震が起きても対応していくことができるような計画をつくるということが重要だと思っております。
 東日本大震災等における災害対応をつうじて、いろいろな課題、論点が明らかになってきております。災害対策本部の組織体制でありますとか、あるいは市町村と都道府県間の相互の応援協力体制、そうした課題を整理しながら、いま全庁的にワーキンググループを設置して検討しております。また、県と市町村との協議の場においても災害対応を2回目のテーマでとりあげて、それを踏まえて実務者の検討会で対応を検討しているところであります。今年度末を目途に地域防災計画の修正を行なってこうした新しい課題にも対応できる計画にしていきたいと考えております。

<藤岡議員>
 是非、防災計画の検討の進捗状況なども県民に公開していただきながら、行政と住民、専門家の知恵を集めた研究と検討を重ね、防災事業をハード・ソフトの両面ですすめられることを要望します。
 
 つづいて、原子力災害対策編・原案について質問します。
 県は、11日に原子力災害対策部会を開催。原子力災害対策編の原案(たたき台ですね)を提示しました。原発事故を受け、原子力災害を想定した防災計画の改定をめざす取り組みは、大変評価できます。
 さてこの原案の「第3章 第2節の1情報の収集及び連絡体制の整備」の部分では、(1)新潟県、静岡県等に立地する原子力発電所で特定事象が発生した場合、県は、国、所在県、隣接県及び原子力事業者に対し情報の提供を求め、…情報収集活動を実施し、事故の状況、その他県内への影響の把握に努める。」と書いてあります。
 私は「あれ?」と思いました。私は6月議会で「長野県は柏崎刈羽(かりわ)原発、浜岡原発だけでなく、100?にある志賀原発、118?にある敦賀発電所など合わせて24基の原発に包囲されています」と紹介しました。「新潟県、静岡県」だけでなく、「石川県、福井県」を併記すべきではと、思いました。
 また、第3章第2節の(5)では、「東京電力(株)及び、中部電力(株)は、それぞれ県とあらかじめ定めた通報連絡事項が発生した場合は、速やかに県へ通報連絡を行う」とありますが、この部分は「北陸電力、関西電力、(敦賀発電所を持っている)日本原子力発電、(もんじゅの)日本原子力研究開発機構」も合わせて併記し、長野県を包囲する全ての原発に対応する計画にすべきだと考えますが、いかがでしょうか?知事お答えください。

<阿部知事>
 県の防災会議の原子力災害対策部会におきまして地域防災計画のなかの原子力災害対策編の検討をおこなっているところであります。
 いまお話がありました、新潟・静岡のみに限るべきではないんじゃないか、ということですが、わたくしどもも決して新潟・静岡両県だけに限定するという考え方ではありません。現在の対応としては、当面隣接県である新潟県、静岡県との協議を行なう中で情報収集等の具体的な対応を、考えているところでありますけれども、計画全体としては原子力発電所の事故にともない放射性物質が拡散して屋内で待避、または避難が必要になる、あるいはそうしたおそれがあるそうしたときに、たとえば県や市町村がとるべき対策を規定していこうという、いくつかの項目を列挙しているわけでありまして、どこの原発に対して対応するということを限定して計画をつくろうというものではありません。
 そういう意味で当面具体的な協議は新潟・静岡と行なっていますが、こんご国の対応等出てくると思います。まだ各県の対応のレベルも、あるいは進捗度も、まちまちな状況でありますので、そうした他県の進捗状況も、相手の県が考えてないのにうちの方が「どうだ。どうだ。」というのはなかなかうまくいかないもんですから、できるだけいろいろな原発の事故を想定して様々な事故に対応できるような計画にしていきたい、というふうに思っております。

<藤岡議員>
 今回の原発事故で、どのように放射能汚染が拡散したのか調べていましたら、フランス放射線防護原子力安全研究所が発表した、3月12日より福島第一原子炉から放出された放射能雲大気中拡散シミュレーションというものを見つけました。約4〜5時間で太平洋側ですが100km以上先まで、放射能汚染が広がったと分析しています。
 同じような風向きで、石川県や福井県の原発で事故が発生した場合、4〜5時間で長野県に放射性物質が降り注ぐことになります。やはりわたしはあらためて「石川県も福井県」も「北陸電力や関西電力など」も防災計画に併記すべき、見直しの対象にすべきだと思っております。
 もう一度知事にその辺の決意を聞かせていただければと思います。

<阿部知事>
 原子力事故対策編、これは、いままで長野県としては地域防災計画のなかに位置づけていなかったわけで、新しくつくるわけであります。
 当面、隣接県との話し合いを中心にすすめていきますけれども、さきほど申し上げましたけれども、放射能の拡散というのは、風向き等によってかなり変わってくる場合が予測されますので、決してこことここの原発だけに対応する、ということに限定することなく対応できる計画をつくっていきたい、というふうに考えております。

<藤岡議員>
 ぜひ新しい取り組みではありますが、隣接県だけに限らず他県ともしっかり積極的に働きかけていただき充実させていただきたいと思います。
 また、この原案が、海外で起こった原発事故「スリーマイル事故、チェルノブイリ事故」も教訓にプラスし、「飲料水・飲食物の摂取制限等」の部分の指標の値をさらに厳しい基準にするなど、県民にとって納得のいく内容に、発展されることを要望して次の質問に移ります。

3 放射能汚染について

<藤岡議員>
 放射能汚染について質問いたします。
 まず、落ち葉の焚き火問題についてですが、文部科学省が放射性物質の拡散状況を確認するために実施した、航空機モニタリングの結果が11日に公表され、県内の一部の地域において地表面への放射性セシウムの沈着が確認されています。
 これに伴い14日、県は落ち葉の野外焼却について、放射性セシウムの大気中への拡散が懸念されることから、自粛するよう各市町村に通知されました。
 しかし、市町村での周知徹底が不十分なのか、いまなお、焚き火が各地で行われているとの苦情も寄せられています。この対策をどうするのか?また、落ち葉などの処分はどうするのか?環境部長お答えください。

<環境部長>
 先日公表されました文部科学省によるモニタリングの結果では群馬県境と接する県内一部地域で土壌への放射性セシウムの沈着が確認されました。そのため、県といたしましては放射性セシウムの沈着している落ち葉の焚き火は、灰への濃縮、大気への放出が懸念されることから極力行なわないことが望ましいと判断しまして11月中旬に全市町村に対し注意喚起の意味も含みまして住民への周知を依頼したところでございます。
 また、落ち葉が放射性セシウムに汚染されているおそれが高いと思われる佐久地域の市町村に対しましては、可能な限り落ち葉の焚き火を行なわないように周知徹底につきまして、昨日あらためて要請したところでございます。
 それからこの落ち葉の処分につきましては可燃ゴミとして一般廃棄物焼却場へ持ち込まれることとなるわけでございますが、今日この焼却場の除去性能が大変高くなっておりまして、備え付けのフィルターによりまして99.99%放射性セシウムの大気中への放出を防ぐことができるといわれておりまして、安全に処理できるものと考えております。

<藤岡議員>
 環境部長のお話では99.99%と大丈夫とのお話でしたが実際県民は本当に大丈夫かと、不安に思っています。
 「焼却過程で合成されるダイオキシン等の有害物質と微細な粒子とガスは、バグフィルターなどの除去装置で除去するようにしているが、すべて取れるわけではない。従って放射性物質は、微細な粒子やガスとして大気中に放出される」と指摘する環境ジャーナリストもいます。
 本当に大丈夫でしょうか?その点もう一度、詳しく環境部長お答えいただきたいと思います。

<環境部長>
 いまの議員のお話の中で、いろんな不安があることはその通りだとおもいますけれども、国の災害廃棄物安全評価検討会というものがございまして、災害廃棄物等の処理について検討しているわけでございますが、その中での検討の結果として、先ほどわたくしが申し上げましたようなバグフィルター等の今日の性能によりまして99.99%の放射性セシウムの放出を防ぐことができるとこういう確認ができ、指針が出されてきておるわけでありまして、私どもはそれにもとづいて市町村等を指導しているところでございます。

<藤岡議員>
 ぜひ県民の不安解消のために焼却施設から本当に漏れ出していないか、定期点検の指導を行うことを要望しまして、次の質問に移ります。

 佐久市ではこの間、空間放射線量の測定結果により、市内で県の除染基準を超えた2か所について、土の入れ替えによる除染を実施しています。一ヶ所は毎時2.6μシーベルトもの高い値が検出されました。
 放射性物質は広範囲に拡散しており、市町村単独では解決できない状況が起こりうる可能性もあります。群馬県など隣接県との連携も必要となるでしょう。こうした市町村の除染作業をどのようにサポートしていくのか。また隣接県との連携など、どのように検討されているか、環境部長お答えください。

<環境部長>
 市町村の除染に対する支援についてのお訊ねでございます。雨どいや側溝など比較的に放射性物質の高いところへの対応につきましては、県では十月の下旬に除染が必要な箇所の基準、あるいは場所の特定方法等に付きまして、県独自の対応方針を取りまとめたところでございます。
 この方針に基づきまして、今月県内すべての市町村において、7月に測定した役場庁舎、それから学校のほか、今回は市町村の要望に応じて保育園など他の公共施設も加えた上で詳細な測定を実施したところでございます。
 そして今月14日に市町村と放射線測定に関する連絡会議を開催しまして、国のガイドラインを参照しながらこうした箇所での実際の測定方法や土の除去、洗浄などの具体的な除染の方法について周知を行なったところでございます。このように県としましては各市町村に対して技術的な助言や情報提供を行なうほか高い放射線量が見られる箇所におきましては市町村と協力して除染作業を、実施をしているところでございます。今後も県と市町村がいっそう連携を強化し協力して各地域の放射線測定あるいは除染対策の適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 また隣接県との協力の関係でございますが、周辺状況それぞれで、どちらかというと周辺状況で群馬とかその地域のほうが高い状況にございます。その辺の県、あるいは市町村の対応状況等いろいろ情報を収集しながら対応を考えているところでございますし、その中では近隣の県の対応にくらべて、わたくしどもはどちらかというと十分踏み込んだ対応に心がけているつもりでございます。

<藤岡議員>
 除染の基準についても質問します。
 25日に知事は、東信地域のお母さんお父さんが結成した「キッズアース」と、「ランチミーティング」をされました。そのときに、今後の除染の基準についても話題になりました。現在、県は「周辺より放射線量が高く除染等の対応が必要となる箇所、いわゆるホットスポットですが、この目安」を「地表の空間放射線量が毎時1μシーベルト以上」としており、国の基準「地表から1メートルの高さの放射線量」よりも厳しい独自の判断基準を設定されており、大変評価するものです。
 ただ、先程紹介した国の基準は、10月23日に文科省から出された「放射線測定に関するガイドライン」によるもので、文部科学省に連絡してもらう際の「目安」の基準であって、「除染」の基準ではないとしています。
 では、除染の基準はどうあるべきかですが、これは8月26日に経済産業省の原子力災害対策本部が発表した「除染推進に向けた基本的考え方」が、今後定められる国の除染基準の元になるようです。これによりますと「推定年間被ばく線量が20ミリシーベルトを下回っている地域においても、効果的な除染を実施し、推定年間被ばく線量が1ミリシーベルトに近づくことを目指します」とあり、「今後2年間に目指すべき当面の目標…」としています。 つまり年間1ミリシーベルトに抑えるように除染作業をすすめるということであり、一時間当たりの空間線量に換算すると、毎時0.23μシーベルトに当たります。
 これに対応して、環境省では地表1mで毎時0.23μシーベルト以上は除染計画を立てる目安としています。
 すでに、いくつかの自治体で独自の除染基準を定め、対策をとっているところもあります。例えば、埼玉県桶川市では地表1cmで毎時0.19μシーベルト以上を除染基準に。東京都港区では、地表から5cmの高さで毎時0.23μシーベルト以上を除染基準にされています。
 今後、「除染」の基準も、県の独自基準を設定されることが求められると思いますが、いかがでしょうか。知事お答えください。

<阿部知事>
 先般、ランチミーティングで東信のキッズアースのみなさんとお話をさせていただいて、住民のみなさん、あるいはお子様をお持ちのみなさんの不安、あるいは悩みというものをいろいろ聞かせていただきました。
 そうした中で、除染についての話でありますけれども、いま藤岡議員のご質問にありましたが、除染これは基本的には市町村が行なうということで、市町村がそれぞれ全国的には定めているケースがほとんどでありまして、県としての基準というものを設定しているところはそう多くはないというふうに思っております。
 だだ、わたくしは長野県として、しっかりと県民のみなさまがたの安全・安心を確保するいうこと、とりわけ長野県は観光県でもありますので、そうした取り組みをきっちり行なっているということをアピールして行くということも重要だと思っております。
 それからご紹介いただきました国の地上1メートルという、これも一般の方からすると、数値だけ一人歩きして、1メートルの高さか、50センチの高さか、地表か、ということが、なかなかうまく伝わっていないところもありますけれども、長野県として地表面で毎時1μシーベルトというものを現行の基準としてお示しをしているところであります。
 ただお子様のことを考えると、より違った基準を考えるものも必要ではないか、という先般お話もございました。わたくしとしては、子どもが受ける放射線量をできるかぎり低減するということが大変重要なことだというふうに思っておりますので、たとえば学校だとか、保育園とかですね、そうした子どもたちが利用する施設については、除染の対応に関して、さらに安心を確保できるような基準なり、対応なり、そうしたものを市町村の意向をふまえて、これは県で一方的にやって、あとは市町村が除染しろというわけにもいかないわけですから、市町村の意向も踏まえてですね、対応を考えたいというふうに思っております。

<藤岡議員>
 ぜひ、東信地域、またお父さん、お母さん、小さいお子さんがいるお父さんお母さんが本当に安心する除染の独自基準の設定を、ぜひ検討されますようあらためて要望しまして、次に進みます。
 
 放射性物質に汚染された廃棄物の最終処分の問題について質問します。
 9月議会で、小諸市にある産廃処理業者フジコーポレーションが、放射性物質を検出した下水道汚泥焼却灰の受け入れを開始し、それを県が認めたことについて、住民に説明してきたのか、質問をしました。環境部長は「説明が十分ではなかったが、今後住民から説明会などの要請があれば、対応します」といった答弁をされたと記憶しています。
 私は、話が逆ではないかと考えています。住民から要請があったら対応するのではなく、地域住民に県から十分に説明をつくし、住民の納得と合意を得た上で、民間業者の受け入れを認めるべきであったと思いますが、環境部長いかがでしょうか?

<環境部長>
 放射性廃棄物の受け入れに際しての住民への説明についてのご質問でございます。放射性物質を含む焼却灰等の受け入れにあたりましては、周辺住民の理解をうることが大変に重要でありまして、事業者に対しましても、周辺住民へのみなさまへの説明をおこなったうえで、理解を得たうえで実施するよう指導をしてきております。
 また、現在県内では最終型の最終処分場を有する二つの民間事業者がございますが、これらの事業者も周辺住民等への説明を行ないまして、国が定める受け入れ基準より低い受け入れの基準を定めた上で、放射性物質をふくむ焼却灰の受け入れをおこなっている状況でございます。
 お話がありました説明の関係でございますけれども、県としましても、事業者や周辺住民の方々の要請におうじて説明会等に出席をしまして、放射性物質をふくむ廃棄物の処理の安全性や県独自のモニタリングの実施方針等について説明をおこなってきたところでございます。
 しかし、この安全性について必ずしも住民のみなさまに十分に伝わっていない面があることも事実でございます。  
 そこで、県が主催する説明会を今後実施することを予定しておりまして、こうした取り組みをつうじて周辺住民のみなさまの安全安心の確保をはかってまいりたいと考えているところでございます。 

<藤岡議員>

 県でも説明されるということですが、この地域には約14万人の方が生活しております。その住民の方にしっかりと、いま答弁された内容も含めて合意と納得がえられるような説明会となるように求めてまいりたいと思います。
 
 知事にもご質問いたします。
 9月議会でも、これ以上放射性物質を拡散させないためにも、「県外のモノは受け入れない」といった方針や基準の設定、また「住民が納得するまで、埋め立ては凍結、最終処分は凍結」などの決断が必要では?との9月議会での質問に、知事は「出たところだけでがんばれ、ではいけない」と県外からの受け入れもやむを得ないという答弁でした。だからといって、結果として佐久・小諸など一部の地域だけが負担している現状は、おかしいのではないでしょうか?
 また、21日の読売新聞の記事によりますと、東日本大震災で被災し、県内に避難している人たちとの意見交換の中で、知事は「放射線物質を拡散させないのが基本だが、汚染レベルが低いものを引き取るのは、復興のためにはやむをえない。国に踏み込んだ方向性を示すよう要請したい」と発言されたと掲載されていました。この「踏み込む」とはどういう意味でしょうか?お答えください。

<阿部知事>
 「踏み込む」とはなにか?というお尋ねでありますが、まず、放射性物質をふくむ廃棄物、私も、みだりに拡散をどんどんするということが望ましいというふうには思っていません。
 しかしながら、長野県の、先ほどご質問もありましたけれども、たとえば枯葉からもセシウムが検出されるというような状況になっているわけでありまして、こうした放射性物質を含んだ廃棄物をどう処理するかというのは、これは国も、そしてわたくしどもも、真剣に向き合っていかなければいけない。「これはセシウム、放射性物質を含んでいるから、これはもううちではやだよ」ということだけではわたくしはすまないというふうに思っております。
 先般、全国知事会の場でも、わたくし細野大臣の出席の際にも申し上げましたけれども、やはり国がまず放射性物質については、まず一義的には国がしっかり責任持つ必要があるということです。国は、いまの感覚ですと一定のレベルの濃度以上のものは国が責任をもつと、それ以下のものは通常廃棄物と同じような取り扱いという感覚でありますけれども、しかしながら住民あるいは国民感情としては必ずしもそういう感覚ではない、というのがいまの状況だと思いますから、そういう意味では、それに加えて国として厳格な基準なり、国民から信頼される基準設定ということが必要だと思います。
 それに加えて、やはりスピード感のある対応ということで、先般も知事会議のときに学校給食の話を文部科学大臣にさせていただきましたけれども、文部科学省として3次補正に給食の検査の予算を盛り込んでいるにもかかわらず、具体的なやり方とか通知とかが示されてないというのは、わたくしとしてはこういった危機事象にたいしてスピードが遅いというふうに思っております。そういう意味で、責任ある対応、厳格な対応、そしてスピード感ある対応、こうしたものをわたくしは政府に対して求めたところでありますし、知事会の中でも放射性物質の処分については議論がありまだが、国の対応について問題意識をもっておりますので、そういう意味で知事会としても国に対して意見をしっかり出していこうということになっております。  

<藤岡議員>
 確かに国の対応が遅い、という思いは私も同感でありますが、国の対応が遅いからこそ、県独自の取り組みやスタンスが必要だと思っております。特にその基準にすべきは3月11日前の放射能物質に関する基準の法律に基づくべきであり、どこまでが汚染が低くて高いかというのは、その法律に基づくべきだとわたしは考えております。
 また、わたくしもうひとつ述べたいのは「どうして佐久・小諸地域なのか?」そうした地域の疑問に、やはりぜひまず県内はじめて受け入れた場所でありますから、知事自身が直接足を運んで、地元住民に納得を得るまで説明すべきだったと私は思っております。いまでも説明にいってほしいと思っております。
 地震や津波などによるガレキなどの処理を受け入れることは、復興のために必要だし、協力すべきだと考えますが、放射性物質は別問題として考えなければいけません。汚染レベルが高い低いに関係なく拡散させないこと、できるだけ一ヶ所に集め、閉じ込めることこそが、復興のために必要だと考えます。また拡散している放射性物質は東京電力の所有物です。東京電力に返すべきだし、最終処分の責任は国と東電が果たすべきであります。
 週刊金曜日にもレポートを載せていた環境ジャーナリストの青木やすしさんは、「放射性物質を拡散する世界の非常識」と題した、レポートも発表しています。
 「県外の放射性物質に汚染された廃棄物も受け入れやむなし」というスタンスは、放射性物質を拡散させることにつながり、世界の非常識とも取られる行為です。東信地域に限らず、放射能汚染問題に関心をもっているみなさんから猛反発が予想されますが、いかがですか?あらためて知事の所見をお願い致します。

<阿部知事>
 放射性物質の扱いは、わたくしも先ほど申し上げましたように、みだりに拡散すべきではないというふうに思っております。処分する施設も管理型の処分場に限るとかですね、長野県としてもただ国の対応を待っているだけではなく、県としては独自の判断で、県そして事業者が定期的なモニタリングをしていこう、ということも決めているわけであります。
 そういう意味で、これは長野県のみならず日本全体に放射性物質が飛散、拡散してしまっている現状の中でどういう対応をとるべきか、ということを考えなければいけない、というのがわたくしの認識でありまして、単純にすべて反対ということをしていてことがすむ問題でない、長野県においても放射性物質があるわけですから、これをどうするかということも含めてしっかりと考えていかなければならない。
 そういう中で、わたくしとしては必要最小限の対応として放射性物質を含んだ廃棄物についてもですね、これは県内でも存在しているわけですからまったく処分できないということではなくて、住民のみなさんの安心・安全を確保しながら対応していくというのがわたくしの行政としての責任ある判断だと考えております。


 藤岡議員

<藤岡議員>
 私はまったく反対というわけではなく、県内にも中間施設は必要だと思いますが、最終処分の責任は国と東電にあると思います。

 最後の質問です。先日、県旅館ホテル組合会のみなさんと日本共産党県議団で懇談をしました。そのときに、国に長野県の事業者が賠償対象者に含まれていないという問題があり、この点を知事にお答えいただき、私の質問を終了します。

<阿部知事>
 原発の賠償対象の関係で旅行業の話がありました。国内旅行者のキャンセルについては、文部科学省の原子力賠償対象紛争審査会が示した原子力損害の判定等に関する中間指針において福島県茨城県栃木県および群馬県内の観光事業者のみ、国内旅行のキャンセルのみを賠償の対象としているわけであります。こうした点はわたくしも改善が必要ではないかというふうに思っております。
 そうした観点で原発事故と相当因果関係が含まれる被害は、すべて補償の対象とするよう関東知事会をつうじて国に要請している所であります。今後とも東京電力、それから国の責任において原発の事故にともなう様々な損害というものが十分補償されるように、様々な機会をとらえて要望してまいりたいと考えております。