2012年2月定例会 3月2日 藤岡義英

東日本大震災からの復旧・復興に向けた災害廃棄物の広域処理の推進を求める意見書への賛成討論

 議 第07号 東日本大震災からの復旧・復興に向けた災害廃棄物の広域処理の推進を求める意見書(案)についての賛成討論を行います。

 東日本大震災では、地震と大津波による甚大な被害で膨大な量の災害廃棄物が発生し「復旧・復興の最大の妨げ」になっています。
 政府、環境省は、被災地住民にとって物理的にも心理的にも復興への足かせとなっているがれきの撤去、仮置場への搬入さえ難航している自治体が残されていることを重く受けとめ、各市町村で障害となっている問題について、人的支援をふくめて、きめ細かい対応を取ることが求められています。

 こうした中、政府は広域処理をすすめようとしていますが、今回の災害は、原発事故による放射性物質への懸念があり、通常の災害とはまったく状況が異なっています。このような事態は、東電と原発を推進してきた国の施策によって引き起こされたものであります。放射線被ばくは「少なければ少ないほどよい」のが原則であり、やみくもに広域処理を推進することは、放射性物質による汚染を拡散させてしまう懸念があります。たとえ基準以下であっても放射性物質は蓄積されるからです。「放射能汚染された瓦礫」と「放射能汚染されていないと確認された瓦礫」と分けて対応する必要があります。
 政府は、福島県以外の地域、特に岩手県・宮城県の災害廃棄物については「放射性物質に汚染されたおそれは限りなく低い」として、一般の災害廃棄物とみなして処理しようとしています。一方で、政府関係者も「宮城県や岩手県の瓦礫に関しても、最終処分段階になると放射性物質が各々相当レベル検出されている」と認めているのも事実です。
 環境省がいくら安全性を強調しても、基準値の考え方、放射線の正確な測定、運搬時の安全性の確保、バグフィルターによる放射性物質の除去率、周辺環境への影響など多くの懸念が出されて当然です。「焼却施設にバグフィルターが設置されていたら、99.99%除去できます」という環境省の説明は、実証実験を行わずに結論づけたと報道されています。

 こうした状況のままで、仮に「瓦礫」を長野県で受け入れてしまえば、大混乱になるのは当然予想されます。長野県の輸出品に関しては、たとえばEUは昨年4月から放射能規準測定書が必要だったものが12月には産地証明書さえあれば輸入してています。ガレキの広域処理の情報を聞けば、再び輸入制限をかけられてしまうのでは、そして風評被害によって、せっかく持ち直してきた観光客が長野県から離れてしまうのではという懸念を抱かざるを得ません。

 未曾有の災害で被災地が窮地に立たされているとき、私たちもできうる限りの暖かい支援の手を差しのべるべきであり、そのための協力を積極的に行なっていく立場です。「放射能汚染されていないと確認された瓦礫」については、全国的に協力することが望ましいと考えています。
 同時に、東日本大震災による災害廃棄物の処理責任は本来、国と東電にあることを明確にし、広域処理については、放射性物質による汚染・拡散が懸念されることから慎重に検討することです。仮に広域処理をすすめる場合は、受け入れ側の住民への十分な説明と理解を得ることが大前提であり、住民に対する説明責任も自治体に押しつけるのではなく、政府みずからが果たすことをしっかり求めることを条件として賛成討論とします。