<高村議員>
日本共産党県議団の高村京子です。党県議団を代表して質問をさせていただきます。
昨年3月の東日本、栄村の大震災、福島第1原発の事故を受け、日本の政治経済の在り方が大きく問われています。いまだに福島県では放射能から逃れて15万人も、震災被害者を合わせれば35万人もの皆さんが避難生活を余儀なくされ、原発事故は収束の見通しもない深刻な事態です。長野県でも放射能や風評被害の不安の中にあります。
いま214万県民が長野県政にのぞんでいることは何でしょうか。景気の低迷が言われて久しいなかで、県民一人ひとりのくらしと雇用・営業を守り、安全・安心に暮らせる長野県、一人一人が健康で幸せに暮らせる、未来に希望が持てる県政ではないでしょうか。そんな県政への前進がはかれるよう願って質問をさせていただきます。
「社会保障と税、消費税増税の一体改革」について
まず知事の政治姿勢にかかわる点について伺います。
日本は今、経済効率優先の政治の下で、貧困と格差が広がり、少子高齢化の進行や国民所得の落ち込みなど、戦後かつてない生活不安と将来不安の中にあります。こうした状況の中で、今また野田政権は、今後の県民の暮らしと県政に大きな影響をもたらす難題を私たちに押し付けようとしています。
いま、野田政権が強行に実現をめざそうとしている「社会保障と税、消費税増税の一体改革」について伺います。
政府は、2014年の4月から消費税を8%に値上げし、2015年10月からはさらに10%へと増税する計画です。一方では、社会保障については良くするどころか様々な改悪を盛り込んでいます。その内容を見ますと、年金は3年で2,5%削減され、さらに毎年0,9%の削減をしてゆきます。その上、支給年齢を70歳へと引き上げます。医療は70歳から74歳の窓口負担を2割に倍増し、医薬品の自己負担を引き上げ、政権公約であった後期高齢者医療制度や障がい者自立支援制度は改善が進まず、高齢者や障がい者に引きつづき重い負担を残します。
同時に改定を行う介護保険では、生活援助のサービスを60分から45分に縮小し、一定の所得がある人や軽度の人の利用料をさらに値上げします。長野県では、特別養護老人ホームへの入所待機者が5200人、老健などでの施設内待機者は3200人もおられ、合わせて8400人もの方が特養への入所待ちとなっておられます。「介護で泣かない長野県」には程遠い状況です。
生活保護では、保護費の引き下げや医療費の自己負担の導入、保育では「子育て新システム」という名の制度改正によって、国と行政の責任による公的保育を解体し、保育を営利市場産業へと変質させていきます。
このように医療や介護など保険料や利用料の負担、サービスの縮小など社会保障制度の全般にわたる改悪のオンパレードです。
一方、消費税については、10%への増税により国民の負担増は年13兆円となります。さらに年金の給付の減額を含めると16兆円になり、すでに決まっている年金保険料引き上げなどを合わせると20兆円もの負担増となります。
4人家族を例にとると、年間約17万円の消費税の負担は約34万円へと増え、1か月分の収入がなくなります
1997年に橋本内閣が消費税を5%に引き上げた時は、総額9兆円の国民負担増で、いっそう景気が悪化し、賃金も地域経済も国と地方の税収も落ち込みました。
今はこの時よりいっそう悪い経済情勢の中で、20兆円もの国民負担増を行えば、景気も財政もさらにどん底に突き落とされ、県民のくらしも長野県の経済も破壊されてしまいます。そしてそのことが税収減をもたらし財政悪化をもたらす悪循環を引き起こします。
中小の商工業者のみなさんは、たとえ赤字でも売上の10%の消費税を払わなければなりません。消費税に苦しみ、つぶされる商店や下請け企業もさらに増えることになるでしょう。消費者の買い控えも一層強まり、地域経済はますます底なしの悪化となるでしょう。
このような社会保障の改悪と消費税の大増税はけっして許してはならないと思います。
社会保障懇話会において知事も、この一体改革について「税負担の問題に重きがいき、安心できる社会保障ビジョンが示されていない」とし、「現場の事態を踏まえた検討を行い、国への具体的な提言や県としての施策に反映させてゆく」と述べられました。このような「社会保障と税の一体改革」について、知事のご見解をお伺いいたします。
国内の代表的な業界団体が次々と消費税の増税に強く反対の声明を発信されています。日本チエーンストアー協会は「いま消費税を上げることは消費マインドを著しく後退させ、日本経済の活性化と成長戦略に決定的に水を差さす結果になりかねない」と反対し、日本百貨店協会は「震災復興の明確なビジョンや社会保障制度改革など将来不安につながる道筋をつけないまま、具体的な税率アップを先行することに反対する」としています。全国商工会連合会や全国中小企業団体中央会、全国商工団体連合会など多くの団体が消費税の増税に反対の声を上げています。
消費税が5%にアップした後の県税収入のその後を見てみますと、3%から5%にアップした翌年の1998年の県税収入は2846億円、8年後の2006年の県税収入は2478億円と、年間373億円も県税収入が落ちています。さらに、2010年には2136億円で、増税された時点からさらに年収710億円、25%も県税収入は落ち込んだままです。労働運動総合研究所が21日「消費税の増税はGDP2,5%低下し雇用は115万人減となり、国と地方の税収も2兆1660億円減少し、日本経済を奈落の底に突き落とす」と警鐘を鳴らしました。2月18日に岡田副総理が長野市で開いた説明会では、多くの方々が疑問や意見を持って参加され、予定時間を延長しても増税で暮らしや福祉が良くならないとの声が多く出されました。
日本共産党は、消費税増税に頼らないで財源が確保でき社会保障もよくする本当の改革を提言しています。ご紹介いたします。
第1に、歳出の無駄と浪費をなくすことです。
八ッ場ダムや浅川ダムなどのように、不要不急の大型公共事業の浪費をなくして、5兆円にふくれ上がった軍事費の削減やアメリカ軍への思いやり予算2700億円、原発推進予算のうち安全事故対策費以外の部分3000億円などを削れば予算はあります。
日本共産党を除くすべての政党が受け取り続けている年間320億円の政党助成金をなくします。いま国会議員自ら身を切るといいながら、80人の議員定数の削減が提案されていますが、節約できるお金は50億円にしかなりません。民意を切り捨て大政党に有利な議員の比例定数80人の削減で、政党助成金の国会議員一人当たりのもらい分がさらに増えます。これでどうして身を切るといえるでしょうか。身を切るならこの政党助成金こそなくすべきではないでしょうか。政党助成金をなくせば、国会議員を400人以上も減らすと同じ経費削減効果があります。
第2番目には、富裕層と大企業優遇の税制をあらためます。
政府は来年度から法人税を1兆7千億円も減税します。中小企業の7割は赤字ですから、この減税の大部分は大企業むけのものです。大企業はいま過去最高の260兆円以上にも上る内部留保金を抱えています。
今富裕層への優遇措置の見直しはアメリカやヨーロッパ各国でも始まっています。1%の金持ちの政治から99%の私たち市民に光をと世界の各地でパレードが行われています。日本でも富裕層と大企業優遇の税制を改めて、その体力にふさわしい負担を求め、富裕税や為替投機課税の新設など新たな財源をうみだします。このように、無駄にメスをいれ、富裕層や大企業に応分の負担を求めることで、増税なしの財源の確保は可能です。
消費税の引き上げは、低所得者や被災や生活弱者に重い負担をかける逆累進税制であり、経済の悪化を招き県民生活のみならず、県財政の運営にとっても重大な影響を与えることになります。阿部知事には、安易な消費税の増税にはきっぱり反対していただきたいと思いますがいかがでしょうか。重ねて知事にお伺いします。
<阿部知事>
まず「社会保障と税の一体改革」、あるいは消費税増税についてのお尋ねでございます。
「社会保障と税の一体改革」、私とすれば社会保障のビジョン、本当に国民が安心できるビジョンをまずはしっかりとしめしてもらうということが何にも増して優先されるべきだというふうに思っております。先般、岡田副総理が長野にお越しいただいたときもお会いをして、社会保障の具体化、それから国と地方の社会保障政策というのは、これは国だけで完結しているものではないわけでありますので、地方の声というのもちゃんと聞いてもらわないといけませんし、むしろ地方に委ねるべきことは思い切って任せてほしいと。中途半端に厚生労働省がこういうことやったからという話では、例えば保育所の話でも、大都市と長野県では状況が違うわけですから思い切った分権をしてもらう必要がある。国においても、公務員の削減等踏み込んだ行財政改革が必要じゃないかというお話を申し上げているところであります。そういう思いはこの議場でも申し上げてきたところでありますし、「社会保障と税の一体改革」、これからどういう動向になるのか国の議論がどうなるか、わからないところありますけれども、私としてはそういう意見を持っておりますし、岡田副総理にもそういうお話をさせていただいたところであります。消費税増税の話についてでありますが、県も財政状況厳しくて、国においても国債残高も毎年毎年膨らんでいるという状況でありますから、増税の議論を避けて通るということはもはやできない、赤字国債を大量に発行し続けて、われわれは済むかもしれませんけれども、子ども達の世代はその借金返しで追われるという形にもなりかねないわけでありまして、やはり安心して暮らせる日本をどう築くかという観点での消費税論議、まあ消費税だけではなくて税制全般を議論していくことも重要だと思いますが、やはり安定的な財源として見込まれるのは消費税でありますから、この消費税の議論は、私は避けて通ることはできないというふうに思っています。ただ、低所得者のみなさんに対する配慮とかですね、景気動向に対する配慮とかですね、そういったことは当然のこととして行わなければいけないわけですけれども、この税の議論をしてはいけないということではないわけでありますし、ただちに反対しろというお話でありますけれども、わたくしは今の県財政を預かっている立場からいっても、これは先ほど言ったいろんなことを国にもっとしっかりとやっていただくという前提ではありますけれども、消費税の増税について、ただちに今の時点で全部反対ということではなくて国において国民的理解が得られるような議論をしっかりと尽くしていただく、ということを強く求めたいというふうに思います。
<高村議員>
消費税についてですけれど、知事は国においての社会保障の将来ビジョンを示されていないということなので、これはしっかりと示してもらったり、行財政改革がしっかり見えなければというふうに枕詞でおっしゃられたわけですけれど、わたくしが問題にしたのはまさにそこで県民のみなさんにとって利益にならないってことは、いろんなみなさんから声が出されているわけでございまして、そのことについて今の段階、現段階では消費税増税についてはしっかり反対をしていただくということが長野県民の利益にかなう、そのことを優先していただくことがいまの現時点では大切ではないかと思います。
TPP(環太平洋連携協定)をめぐる問題について
次にTPP(環太平洋連携協定)をめぐる問題について伺います。
今その中身がしだいに明らかになってきました。それはTPPとは、アメリカの企業が日本で自由気ままに利益を得ることに障害となるものを取り除くためのものです。
高い経済連携の名のもとに、関税を撤廃し、車や電気製品の輸出の増大に伴い、日本の食料全般、特にコメの市場開放を迫るものです。今まで拡大されてきた農産物の輸入によって日本の食料自給率は先進国では最低の40%まで落ち込み、さらにTPPに参加すると13%まで落ち込むと試算されています。
その上アメリカの財界首脳部はあけすけにTPPに期待するものは何か語っています。
「国民皆保険制度や郵便局の簡易保険はアメリカの保険会社の儲けの障害である。日本の地方自治体のすすめる学校給食や土木・建設事業の指名入札制度は閉鎖的でアメリカの企業が参入できない。国民に少しでも安く薬を供給しようという日本の薬価の規制をなくすべきだ。BSEにたいする日本の牛肉輸入規制は撤廃すべきだ」など、まるで日本を植民地のように無理難題を押し付けるものです。
さらにひどいのは「アメリカの企業が日本で予期した利益をあげられなかったら、それはこのような日本の閉鎖的なシステムのせいだ」と損害賠償の訴訟をおこす。それをアメリカの息のかかったIMFに付属する機関で裁定を下し日本に損害賠償を求める恐るべきISD条項があります。
すでにメキシコでは、産業廃棄物処理施設をめぐって住民の運動がおこり、行政がそれを受けて規制したことにたいして、アメリカの企業が訴訟を起こし、ばく大な損害賠償を支払わされた、ということも起きています。薬価の問題ではオーストラリアでも大きな問題になっています。このような植民地的なアメリカのやり方は、FTA 韓国では今大問題になっています。
さらに、実際の交渉に当たり各国間で取り交わす文章や関連資料などが秘密扱いされ、その後4年間も国民に秘密にする合意を政府がしていることも明らかになりました。野田内閣はTPPをめぐる情報を国民に隠したまま参加しようとしています。
このように、TPPは国民の命と健康を守る食料自給率をどん底に落とし、日本の景観を守ってきた農村を壊滅させまるものとなります。さらに長野県民全体の暮らしと営業にかかわる重大問題でもあります。今日まで日本国民が努力して築き上げてきた日本の文化や社会の在り方までがアメリカの大企業のもうけ優先に脅かされるという大変な中身をもっています。そこで、もし日本がTPPに参加した場合に、長野県民に与える影響を県として、どのように情報取集され試算しておられるのか、企画部長にお伺いいたします。
次にTPP協定が議論される中にあって、長野県農業の現状をどのようにとらえておられるでしょうか。長野県は中山間地が多く農家戸数は全国1番ですが、小規模農家が中心の農業です。過日2月14日に長野市で行われた政府担当者によるTPPについての説明会で、北信の方から「国は大規模化を言うけれど山坂が多く決してそんなことはできない。広大な農地があるアメリカやオーストラリアと競争なんてできない」と訴えられました。
それに対して政府担当者は、まともな答弁ができず「個々の具体的なことはこれから考える」と県内農家の不安をいっそう大きくするお答えでした。中山間地域振興対策について政府はまともに検討していないのです。
TPP以前の問題として、現状の県内農業は非常に深刻な状況にあります。中山間地が多い長野県の地域特性を生かし、安心して農業が続けられるような支援策について農政部長にお伺いをいたします。
<阿部知事>
TPPについては、これも国に対しては十分な検証と国民的議論のうえで慎重な対応をしていただきたいということを申し上げてきているところであります。現時点でも、必ずしも情報量十分ではありませんし、国民的議論が行なわれてきている状況とはいいがたいのではないかというふうに思っております。
先週14日には、経済的な国際連携に関する政府の担当者を招いての説明会を県主催で開催をしたところでありまして、こうした情報提供につきましてはこれからも努めていかなければいけないというふうに思っております。これから国としての動き判断というものが出てくると思いますので県としての考え方なり意志というものは状況に応じて伝えていかなければいけない場面もあるというふうに思っております。
<企画部長>
私には、TPP参加による県民生活への影響の試算についてというご質問を頂戴いたしました。
政府では関係省庁が、TPP協定交渉参加国から収集した情報をもとに21の分野別にわが国が交渉参加を検討する際に考慮すべき点と致しまして、想定されるメリットやデメリットを大まかに整理しております。こういった国の情報であるとか、あるいは県内の関係団体から基礎事項等について情報収集をしてまいったところでございます。また、知事からもご紹介がありましたように、政府の担当者をお招きしまして、説明会を県主催で開催しまして、県民の皆様へ情報提供をしてきたということでございます。
議員ご案内の通り、現在国におきましては、TPPに参加するかどうかの事前協議の段階でございます。議員のお話のありました影響の試算という点では、例えば、関税交渉の品目について日本政府は全品目といっておりますけれども、他の参加国がどうでるのかということはまだ不明であります。公的医療保険分野の交渉はおこなわれるのか、あるいは行なわれるとしたらどの範囲まで行なわれるのか、こういった影響を推し量る上での基本的な条件すらまだ方向が見えていない、こういう状況でございます。
ちなみに先週、先ほど申しあげました政府担当者による説明会におきましても「TPP参加後の具体的な姿を説明できる状況にない」という回答があったところでございます。このためまだ県内への影響を合理的に試算できる段階にはないということをご理解いただきたいと思います。
<農政部長>
長野県の農業の現状と県の支援策についてのお尋ねをいただきました。本県は農家数の減少、それから農業従事者の高齢化が進行しておりまして、今後昭和一桁世代以降の離農が加速する中で急激な担い手の減少と産地規模の縮小が危惧される状況でございます。
特に中山間地域では農業生産の縮小に加えまして農村コミュニティの機能の低下が懸念されるところでございます。
特に、長引くデフレ経済だとか、輸入農産物の増加等によりまして国内農産物の価格も低下傾向にございます。この状況につきましては、TPP参加協議のいかんにかかわらず、喫緊の対応というようなことで大きな課題ということで認識しているところでございます。このため将来の長野県農業を担う確保育成する施策の充実をはかるとともに現在各地域で取組まれております。農業収入の確保、経営安定のための農業者個別所得補償制度や野菜等の価格安定対策、中山間地域農業直接支払制度など、各種制度を十分に活用いたしまして、安心して地域農業の継続がはかれるようきめ細かく支援してまいりたいというふうに思っております。
また、生産者と食品関係業者等との契約取引の推進などによりまして農家所得の確保にもいっそう取組んでまいりたいというふうに考えております。
<高村議員>
TPPについてですけれども、ご答弁を伺ってびっくりいたしました。この間、知事もいままさにおっしゃいましたようにいまどういう状況になるのかわからないと、県民のみなさんは世論調査でも4割以上のみなさんが情報がわからないと、なにがどうなるんだろうかと、このまますすんでいいんだろうかと、これが県民のみなさんの不安でございます。そして、その情報が入手できたような関係団体のみなさんからはこれはとんでもないことだといっているわけです。ですので、むしろ積極的に国や関係団体のみなさんとの連携を強化して試算をしっかりと予測試算でいいと思います。その事前交渉のなかで、こういう状況になるということは、わかっている範囲で最大の事を県民に教えていただかなければ、これからの日本の進むべき方向を長野県民として間違うのではないかと思います。
私は知事にしっかりと国が示している、たとえば働くみなさんにしてみれば、350万人の雇用が減るということももう明らかにされているわけでございます。わたくしいま企画部長からお伺いしましたけれども、納得いきませんで。
私は、たとえば健康福祉部長に伺いたいです。国民皆保険制度、これが守れるのかどうか、TPPになったら。健康福祉部長にお伺いしたいですし、また商工労働部長にも、このような冷え込んだ地域経済がこのままこの状態でTPPに参加して本当にこの経済が守れるのかということをどのようにお考えになっておられるのか、私は長野県民のこれからの未来を見間違えないためにも、ぜひお願いしたいと思いますが、ご答弁をお願いいたします。
<健康福祉部長>
議員よりTPPに関連いたしまして、わが国の誇る国民皆保険制度がどうなるのか。どのような見通しもっているのかというご質問がございました。
私どもも、なかなか情報がない中で、その対応を考えておるわけでございますけれども、いまのところ事前の交渉という段階では、米国としてはTPP交渉のなかで、各国の保険制度、公的な医療保険制度の廃止を求めるものではない、そういうふうな回答を聞いているところでございます。
<商工労働部長>
TPPに関しまして長野県経済への影響でございますけれども、一般論で申しあげますと輸出関連産業の多い長野県内の企業においてはTPPについて期待する向きが多いという声を聞いております。しかし、県内経済全体の影響につきましては海外輸入品による低価格化の影響等も総合的に勘案する必要があるため全容が明らかでない現在では言及できる状況にはないと考えております。
<高村議員>
私は知事に、しっかりと現時点で予想されるものでいいんです。公表していただいてそして今こういう状況だと、こういう情報があるというということを、県民にしっかりと示していただくということが大事ではないでしょうか。
農業ですけれども、大規模農家だけでなくて小規模農家も応援して、安全でおいしい長野県産農産物のブランド化とか、販路拡大に期待し、持続可能な長野県農業のためのいっそうの支援をお願いします。
私、このTPPに関しまして、いま世界は食糧危機が迫っていることも指摘されています。米や小麦や大豆など主な農産物の価格保障をしっかりと行い、農家を応援して数年分の米を備蓄するなど、世界各国でもし災害が起きたときには、率先して食料を提供し国際貢献ができるように、政府に求めていただきたいと思います。
昨日、JA長野中央会、長野医療生協など31団体のみなさんが、TPP交渉参加に反対する連絡学習会を開催して450人が集まって、日本国民の生活と安心を守るためにがんばらなきゃいけないという集会を開いております。
私は、こういった医療から農家から様々な県下各地の業界団体の皆さんの声に耳を傾けるべきだと思います。知事にもう一度あわせて伺いたいと思います。
<阿部知事>
TPPについて、先ほど申しあげました通りでありますが、私も前のめりにどんどん進めるべきだという立場をとっているわけではありません。ただ情報が少ない中で、各部長が答弁しておりますように、県への具体的な影響を把握するというのもなかなか今の段階では難しい側面がございます。
そういう意味で、情報提供、これは県のホームページ、説明会の開催ということでこれからもできるだけやっていかなければいけないというふうに思っておりますし、また先ほど申しあげましたが県としてまだ具体像が明らかになってないんで、なおかつ交渉参加にむけた協議でありますから、交渉参加すると政府が断定しているわけでもありませんので、そういう観点で今後の状況におうじて我々ももっと情報をとるようにいたしますし、国としてもこれからどういう動きをするかわからないところもありますけれども、かりに進んでいく、やめる、いろんな選択肢があると思いますけれどもそうした状況を踏まえて県としての意見主張というものをできるようにしていきたいというふうに考えております。
長野県が目指す「地方自治の在り方」について
<高村議員>
次に、長野県が目指す「地方自治の在り方」について伺います。
知事は、議案説明の中で橋下徹大阪市長が掲げる「大阪都構想」を受けて大都市制度や基礎自治体の担うべき役割など地方制度の在り方についての検討が政府や政党において加速化することが予想され、こうした動きに積極的かつ主体的に関わってゆくことが長野県の将来にとって重要です」と述べられました。
地方政治の在り方について探求してゆくことは大切です。しかし橋下氏が知事を務め、今は市長となった大阪で起きている問題を見たとき、とても無条件で評価することはできません。橋下氏は「大阪都構想」とともに「教育基本条例」「市職員基本条例」を掲げて、橋下氏中心に大阪府と市の権限や財源を一人の指導者に集中させて、有無を言わさず従わせようという恐るべき内容になっています。
阿部知事は17日の会見で、大阪市で成立を目指す教育基本条例に関し「教育の目標を地方自治体が考えてゆく方向は賛成だ」とし、教育委員会を否定されるような発言をされましたが、これは大問題だと思います。知事のご発言の趣旨を伺いたいと思います。
大阪市職員基本条例案については、職員に首長の命令に絶対服従を強いるものであり、「職員を市民全体の奉仕者から首長の奉仕者」に強制するものに変えてしまします。教育と自治体行政から自由と民主主義を奪って監視と強制の機構に変質させるものです。
いま大問題になっている市職員アンケートは、「選挙で誰を応援したか、誰かに頼まれたか」などを強制的に答えさせるもので、市職員に対する違憲・違法な「思想調査」にほかならず、市職員にとどまらず一般の市民・国民に対する思想調査ともなっています。思想信条の自由が憲法で保障されているこの国で、職員や市民・国民の思想政治的信条を監視するものです。橋下氏は弁護士ですが、日本弁護士連合会はじめ全国各地から批判の声が湧き上がっています。
このような橋下氏の憲法の精神に反した独裁的な言動を見たとき、橋下氏が提唱する地方政治や教育改革の方向に、阿部知事が無批判に積極的・主体的に関わって行くことは、県民として看過できません。知事にご答弁をお願いいたします。
<阿部知事>
「大阪都構想」と「教育基本条例」に対する評価というお尋ねでございます。大阪都構想自体まだ不明確なところがあるわけでありますので、もろ手を挙げて橋下市長が行なっていることをすべて無条件に評価しているというわけではありません。でもまあたとえば「大阪都構想」、これはもう地方自治法ができたときから都道府県と政令指定都市との間というのは、色々な矛盾を抱えながらきているというのは、地方自治、あるいは大都市にかかわっている人間にとってはもう当然の話だというふうに私は思っております。
そういう意味でこれからの地方自治制度を考える上で「大阪都構想」のような府に権限を持たせる考えと、あるいは政令市側の大きな主張として特別市制度みたいな、たとえば韓国のソウルとかですね、どういう制度が望ましいかことはありますけれども、しかしながらそこについて国においても本格的な議論をすすめていくことになってきたということは、ひとつ大きな進歩だというふうにわたくしは率直に思っております。
ただ大都市制度の話ばかりが地方制度の問題だということで取り上げられていっては私たち長野県にとっては必ずしもいいことではないというふうに思っておりますので、そういう意味で新しい自治の形というものを、これは長野県からもですね考えていかなければいけないというふうに思っております。
「教育基本条例」についてであります。次世代を担う子ども達をどう支えていくか、これは本当にこれからの日本をどうしていくかということに通じる大きなテーマだというふうに思っています。これは知事になる前からずっと思っているわけでありますけれども、やはり教育については関心を持っているというか、関係している人というのは本当に大勢いらっしゃるわけです。学校関係者の人たちだけではなくて、たとえば不登校の子ども達を支えているNPOの人達もいれば、あるいは行政、公的な分野からはあまり視野には入れていませんけれども、子ども達の学力の側面は、たとえば塾に依存しているという部分もあるわけでありまして、そうしたことを考えたときに、やはり教育のあり方というのをこれから日本全体としてどうしていくのか、あるいは地域としてどう考えていくかというのは極めて重要なテーマだというふうに思っています。「教育基本条例」については、私も書かれている中身が全部賛成だということを申し上げているわけではありません。ただしかしながら国の方向性になんとなく従っているというようなことであっては、本当に子ども達のためにはならないのではないかなというふうに思っております。
教育のあり方、教育行政のあり方というのはひとり教育委員会だけの問題ではないというふうにわたくしは思っております。私立学校は教育委員会の所管ではありませんし、先ほど申し上げましたけれども、子ども達を取り巻く環境は、公立学校だけでなりたっているわけではありませんから、そういう意味で教育委員会のみなさんと、私も十分コミュニケーションをはかりながら、これからの長野県の教育の方向性をしっかりと定めていく必要があるというふうに考えております。
そういう意味で、教育についていまの現状で満足をされているというか、子ども達が本当にすべていいという話ではないと思います。そうした問題に対してやはり「教育委員会だけで考えてね」ということではなくて、やっぱり住民の皆様方から選ばれた、私も、あるいは議会の皆様もいっしょになって考えていくということが重要だと思います。そういう意味で、「教育基本条例」が投げかけた問題については私達も真摯に向き合っていくということが重要だと思っております。
<高村議員>
大阪橋下市長の提唱する方向ですけれども、大阪市教育委員会も「思想調査」を否定しております。22日には、大阪府労働委員会が「支配介入に該当するおそれがある」と調査の中止を求めました。知事には、橋下市長のやろうとすることに「積極的・主体的に取り組む」とのご発言は改めていただきたいので、よろしくお願いいたします。
<高村議員>
東日本大震災、栄村の復興支援について伺います。
栄村の復興支援につきましては、阪神大災害や中越地震の教訓なども生かし、きめ細やかな支援が始まっていることをうれしく思っています。先日も仮設住宅の交流センターをお借りして、日本共産党の県政報告会を開かせていただき、石坂団長が出席し、被災者の皆さんのご要望などもお聞きしてきました。交流センターに設置された生活必需品や生鮮食品などのお店は品揃えも良く、村民の皆さんに好評でした。すでに復興計画づくりのための第1回策定委員会も開かれたと聞いていますが、村営住宅のこと一つとっても、さまざまな不安や要望があります。
策定委員会には県から市町村課長や北信地方事務所長も参加されておられますが、豪雪地で高齢化率の高い栄村で、震災を乗り越えて村民の皆さんが安心して住み続けられるよう、復興計画には、きめ細かな村民の要望を盛り込めるように支援していただきたいと思いますが、総務部長いかがですか。
私たちが行った栄村での県政報告会で出された要望ですが、仮設住宅は雪や風が玄関に直接吹き込まないように廊下を付けるなど工夫していただきましたが、おふろは寒冷地仕様ではなく追い焚くができません。豪雪地の栄村でこれはとてもお気の毒です。後付けの電気保温器などもあるようですので、是非一日も早く追い焚きの設備を設置していただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
また、個人の力で住宅を再建しようとしている人の中で、昭和56年以前の住宅の耐震化は無料だが、それ以後のものは有料です。同じ被災者として、何とかしてほしいという要望も出されました。昭和57年以降建設された住宅でも耐震診断費用の支援を検討していただきたいが、合わせて建設部長に伺います。
他県から避難されている方々を親身に応援する長野県であることも大切です。
長野県に福島県から放射能被爆を恐れて避難されている人々は1100人を超えています。過日その方々とのネットワーク事務局長をされている方からお話を伺うことができました。夫が福島で働き、妻であるご本人と子どもで避難されていました。多くの方がそのように福島と長野の二重生活で、困窮されています。
国や福島県の情報が入手できにくく県内では、住居・仕事、医療や保育など暮らしの情報も得にくく、市町村や県に相談しても、縦割りのため解決するのにあっちへこっちへとたらいまわしされている、と避難で生活の困難を訴えられました。
東北3県だけでなく、茨城県など周辺県から自主避難されてくる方々もたくさんおられます。被災地と原発避難者への相談支援窓口は設置されていますが、どのような対応をしていただいておられるでしょうか。知事にお伺いします。
また3月末までが期限とされている借り上げ住宅の支援など、福島県やそれ以外の被災県からの受け入れ支援の期限をさらに延長して、安心た生活が成り立つまでの支援を続けていただくことを求めますが、知事いかがでしょうか。
原発事故の本格的な収束や真相解明がなされない以上、新たに避難をする人が出るのは当然であり、期限を区切らない支援うけいれが必要ではないでしょうか。是非国にも要望していただきたいと思います。
<総務部長>
栄村の震災復興計画への支援についてお答えを申しあげます。
栄村の復興計画でございますけれども、村民のみなさまとともに、つくり上げていくものであるという風に考えております。村では議員ご指摘の通り村民のきめ細やかな要望を反映させるために、これまで村内24ヶ所で集落懇談会を開催するとともに、全世帯を対象に意向調査を実施しております。また、2月の15日には公募委員5名の他、県の委員も参加を致しまして、第一回の震災復興計画策定委員会が開催をされます。スローガンとして「震災を乗り越え、集落に子どもの元気な声が響く村を」いうふうに掲げまして、本年10月の策定をめざして、計画づくりに着手をいたしましたところでございます。こんご村民の思いが反映された計画になりますよう、県としてはたとえば計画の基本方針に示されております。
災害に強い道路ネットワークの整備にむけて、県の果たすべき役割を検討してまいるとともに、国の財務の担当、あるいは復興庁、そういったところに地域の現状や要望を伝え、財政支援措置の十分な確保、また県の栄村復興基金の活用など必要な財源確保に向けた助言を行なってまいります。そうした形で、計画策定に村と一緒に取組んでまいりたいというふうに考えております。
<建設部長>
応急仮設住宅のお風呂の追い焚き装置と住宅の耐震診断費用についてのお尋ねでございます。まずお風呂の追い焚き装置の整備についてでございます。議員ご指摘の通りお風呂の設備につきましては国の標準仕様である給湯器からの給湯のみということで、追い焚き機能はついてないというのが現状でございます。追い焚き機能をつけるには新たに専用の機能を取り付ける、お湯の循環装置用の配管工事を行なうというようなことがございまして、大掛かりな改修工事となります。その費用は一戸当り概ね30万円程度が見込まれるという状況でございます。また一方、秋には栄村が建設します災害復興住宅が完成するということもございまして、多くの入居者の方が、そちらへ移られるという状況もございます。このようなことから現在の給湯設備を追い炊き機能付にするということは難しいかなというふうに考えているところでございます。
また、2月5日の奥田国土交通副大臣が、現地調査にお見えになりました。また2月13日には衆議院の災害対策特別委員会の現地調査、現地視察もございました。このときにもこの追い焚き機能付の給湯設備の整備というものを含めまして豪雪、寒冷地等に対応した仕様というのを提言させていただいたところでございます。こんごも豪雪・寒冷地に対応いたしました設備等が標準仕様として整備されるように引き続き国へ要望してまいりたいと考えております。
次に昭和57年以降建設の個人住宅の耐震診断費用支援についてということでございます。建築基準法の耐震関係規定は昭和56年に地震力に対して必要とされる戸建て住宅の耐力壁の見直しなど「新耐震基準」と称される大幅な基準の改正が行なわれたところでございます。
県では長野県耐震改修促進計画におきまして、昭和56年以前の旧耐震基準により建てられた住宅については耐震化を促進する必要があるということで市町村が行ないます耐震診断事業に対しまして助成を行なうというということを行なっております。昭和57年以降、新耐震基準にもとづいて適正に建てられた戸建ての住宅については基本的には所用の耐震性能を備えられているというふうに認識しておりまして、現行制度の耐震診断の補助対象とはしておりませんので、ご理解をいただきたいというふうに思います。
なお、栄村につきまして、個別具体的なご相談があればですね、村の方とお話をさせていただきたいと考えております。
<阿部知事>
まず、震災被災者の相談窓口等についてのお尋ねでございます。東日本大震災の発生から1年が近づきつつある中、避難生活、たいへん長期化をしているわけであります。現在、自主避難者を含めまして県内に1200人余の東北地方等からの避難者がいらっしゃるわけでありますけれども、震災直後、全庁横断的な避難者受け入れ新チームを設置いたしましたし、また危機管理部には被災者支援担当ということで専門の職員をおいて、被災者受け入れの総合窓口ということで、当初受け入れの支援ということに力をおきました。
避難が長期化していく中で、避難所の開設、あるいは住宅の提供といった応急対策から、生活に対する支援ということが重要になってきたわけであります。生活支援の総合的な相談窓口といたしましては、県の県営福祉事務所と市町村社会福祉協議会等が連携して信州「絆」プロジェクトというものを行なっておりますし、パーソナル・サポートセンターでも相談に対応しているという状況です。
今後も避難者交流会の設置や運営等について市町村のみなさんとも連携を強化しながら支援をしてまいりたいと考えております。
また、民間賃貸住宅の借り上げ制度であります。これについては昨年の7月15日に開始をしまして受け付け期限については、当初11月末としていたものを、12月末に延長し、さらに今年度末までという形で、状況に応じて延長をしてきたところでございます。現在123世帯377名方々、をこの制度で受け入れているところであります。受付期間の延長につきましては受付件数の状況でありますとか、あるいは要請元である福島県の方針といったものを踏まえ、検討していきたいと考えています。
<高村議員>
建設部長からご答弁いただきましたけれど、非常に雪深い北国の栄村で雪が解けるのはもう4月下旬か5月になる。本当にお気の毒だと思うんですよね。お風呂の追い焚き機能、一戸当り30万円もかかるということですけど、もう少し精査をしていただければ、その保温効果だとか、そういうこともできると思いますので、ぜひいま困っていることに対応していただきたいと思いますし、また耐震診断ですけれども同じ被災者としてなんとかしてほしいというご要望ですので、ぜひ細やかな相談に乗っていただきたいと思います。
それから、被災地から避難していただいた方の住宅の3月までの支援ということですけれども、新しくいらっしゃる方もいらっしゃるわけです。ぜひその方にもあたたかい応援ができる長野県であっていただきたいと思いますし、様々な暮らしの上での困窮していることや困っていることにワンストップで市町村と一緒になって親身に対応していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
<高村議員>
次に、原発からの脱却と自然エネルギーの本格的な取り組みについて伺います。
原子力発電は、いままでは遠い所の話だと思っていましたが、ひとたび事故が起これば、放射能汚染は空間的・時間的、社会的に大変大きな影響を受けることがわかりました。万が一でも、原子炉で事故が起これば、生命にとって致命的になる多量の放射能が、広範囲に拡散し、地上と海洋を広く汚染し、現在の人間の力では及ばない何万年先にも及ぶ時間的管理が必要となります。
福島県の皆さんが美しい故郷を追われ、生活の土台を失った苦しみ悲しみ、そして怒りを思うとき、全国に54基もの原子力発電所を地震列島の日本に建設をすすめてきたことを、今国や電力会社はしっかり反省していただきたいと思います。
原子力発電は安全でクリーンなどと宣伝されてきましたが、どの原発も、発電によって生まれる使用済核燃料の処理方法も確立しておらず、技術的にも未完成なものです。今回の福島第一原発事故についても、今でも原子炉の中がどうなっているのかさえ明らかにできないありさまで、昨年末、東電と政府が行った収束宣言は、国民はだれも信用していません。
長野県の周辺には、南に中部電力浜岡原発があり、北には東京電力の柏崎刈羽原発、さらに能登半島には北陸電力の志賀原発、福井県の敦賀・美浜原発や、高速増殖炉「もんじゅ」などが200キロ圏内の範囲にあります。
現に存在する原発から県民の健康を守るために、地域防災計画を再検討し「原子力災害対策編」を新たに策定されました。今回の見直しの内容は、どのような対策を新たに取り入れたでしょうか。また浜岡・柏崎刈羽原発にとどまらず北陸地方の原発についても視野に入れて通報・連絡体制の充実をはかっていただきたいと思います。また県民への周知について充実を求めますがいかがですか。危機管理部長に伺います。
放射の汚染については、昨年3月以降相談窓口を設置していただいていると聞いております。県民への放射能測定値など情報提供や相談にもあたっていただいているところですが、県民からはどのよう不安や相談が寄せられ、どのような対応をされているのか環境部長に伺います。専門職員の配置など一層の体制強化を要望いたしておきます。
ドイツなどでは、原発にたよることを止める動きが始まっています。
福島県の佐藤知事は県の災害復興計画に「原発をなくす」ことを正面に掲げました。もちろん福島県議会も一致していることです。震災復興にはまず原発をなくすことがなければならないのです。
いま全国54基の原発で稼働中は、新潟県刈羽原発6号機と北海道泊原発の2基だけです、3月中に刈羽、4月中には泊が定期点検となり、すべての原発が停止となります。
私たち県議団は、この間6月に停止中の浜岡原発、1月に柏崎刈羽原発全体と稼働中の6号機を視察し、2月には福井県の敦賀・美浜・もんじゅを視察してまいりました。
どの原発基地も福島第1原発の事故からの対策を急いで行っています。しかし、その対策は共通して津波が浸水しないよう建物の補強、防潮堤のかさ上げ、防護壁の強化、電源設備の強化のみです。原子炉そのものの強化対策や対応マニュアルの見直しはされておらず、展示館での説明資料も含め、使用済み核燃料の処理方法も未熟な技術や放射能の危険性についての説明は「安全神話」のままになっています。
今、各電力会社と政府は、地震や津波対策を講じ、ストレステストを実施した上での再稼働をめざして、今後も原発政策を推進する姿勢です。この上さらに「安全神話」をもって再稼働を許すことはできません。
全日本仏教会は、昨年12月「いのち」を脅かす原子力発電への依存を減らし、誰かの犠牲の上になりたつ豊かさを求めるのではなく、個人の幸福が人類の幸福と調和する道を選ばなければなりません。との述べ原子力発電を止め、自然との調和と共存した暮らし方を」と宣言を発信されました。
人類とすべての命の循環にとって共存できない原発を地球上からなくすために、知事には、毅然と国と電力会社に原発ゼロに向けての転換を求めていただきたいと思います。知事のご決意を伺います。
次に自然エネルギーへの本格的な促進について伺います。
自然エネルギーの大胆で本格的なとりくみが求められています。長野県の風土や地形を生かし、自然エネルギー元年と県が位置づけた姿勢を示されたことは大いに歓迎します。小規模の水力発電や太陽光・風力・地熱・バイオなどをいっそう全県的に展開して行くことを県民挙げて取り組んでゆくことをしっかり応援していただきたいと思いますし、施策の充実を求めます。
特に小水力発電を地産地消のエネルギー確保と、県内ものづくり産業の発電機製造、農林業再生や地域づくりと結び付けてゆくことも重要と考えます。県としてそのための部局横断的な検討を積極的に行うべきと考えますが、知事いかがでしょうか。
自然エネルギーへの本格的な取り組みについて、わたくしども共産党県議団は、まず目標を持つことが大切だと提案させていただきます。
平成22年度、長野県は中部電力から1611億kwの電力供給を受けています。電源構成は、火力が70%、原子力が10,6%、風力・太陽光はたったの0,1%となっています。そこで、中部電力から供給される原子力分の10%以上を再生可能エネルギーにいち早く転換させ、さらに火力発電の70%をできるだけ削減する方向へと自然エネルギーをさらに高い目標をもって発展させていくことを提案します。
地域の特徴や多彩な知恵をこらした意欲的な取り組みを大胆に押しすすめていただきたいと要望します。知事に答弁をお願いします。
<阿部知事>
エネルギー政策にかかわる国への働きかけということであります。私としては、このエネルギービジョン、エネルギー政策の将来像、原子力エネルギーに依存しない社会をめざすべきだというふうに思っております。
いま国においてはエネルギー環境会議の中でエネルギー政策、エネルギー環境戦略の選択肢の提示にむけた検討、議論がすすめられているところであります。昨年示されたスケジュールをみますと、この春にも戦略の選択肢の提示をおこなって、国民的議論をすすめるという形になっております。
やはり、感覚的議論ではなくデータにもとづいた実証的な議論をしていかなければ逆に安心した社会にはならないというふうに思いますので、まずは国において選択肢をきっちり示していただいた上で、国民的議論を行なってもらいたいというふうに考えております。そのプロセスの中で、県としても意見を言うということも含めてですね、これちょっとどういう形で国民的議論がなされるのか、選択肢が示されるのか、まだ明らかではないですけれども、県としての考え方を伝えていく場面もあろうかと思います。いずれにしても、私としては国がビジョンを描くにしても、たとえば省エネの動向であるとか、自然エネルギー普及の可能性、見通し、そうしたものによって政府としての考え方は変わってしまう部分もあると思いますので、やはり各地域、各主体ができること、省エネにしても、自然エネルギーにしても、できることをしっかりと進めていくことが重要だと考えております。
それから、地産地消エネルギーによる地域づくりと部局横断的な検討についてということでございます。1村1自然エネルギーの推進など、今後の自然エネルギーの普及拡大にあたりましては、たとえば、農業用用水を活用した小水力発電設備の設置でありますとか、あるいは発電した電気の売電収入を利用した農業の推進など、農業、地域づくりなどと密接に関連づけられる部分もあります。
また、自然エネルギーの関連機器、ものづくりの力、製造業のみなさんの力を活用することによって製造業の活性化、製造業の事業にもつながっていきうると考えております。昨年末から、官民共同の全県組織であります「自然エネルギー信州ネット」におきまして、メードイン信州の自然エネルギー技術や産業を普及するための取り組みをはじめているところであります。こんご具体的な自然エネルギービジネスの立ち上げを円滑にすすめる観点からも、環境部だけでなくて関係部局の連携を強化していきたいと考えております。
<危機管理部長>
原子力災害対応に関しましてのご質問でございます。
原子力災害対策編の作成にあたってどのような内容を取り入れたかという質問でございます。従来、県外の原子力事業所の事故対策、これは放射線物質事故災害等対策指針というものをもってこれで規定しておったわけですが、福島第一原発事故の発生を受けまして先般策定いたしました原子力災害対策編、これにおきましてはこれまでは全く規定していなかった電力会社からの通報連絡それから職員派遣などによる情報収集活動、モニタリングとか放射能濃度の測定、市町村境、県境を越えた広域非難活動について、それから県外からの避難者の受け入れ、原子力防災に関する知識の普及啓発、こういった新しい項目を設けて新たに規定したということでございます。こんご各項目の具体的な対応を、これから整備していくということになってまいります。
それから北陸地方の原発も視野に入れた通報連絡体制の充実ということであります。本来ですね、今回の災害対策編でも、特定の原子力発電所事故を想定しているわけではございませんので、どこの原発で、どんな事故が起こった場合でも、長野県に対する影響の程度に応じて、同じような災害対応をするということを基本にしております。先週ですか、異常時の通報連絡体制について、中部電力それから東京電力、それぞれ覚書を締結いたしました。こんご他の電力会社とも順次同様の体制の整備をはかっていきたいというふうに考えているところです。県民への周知という点でございます。これは現在県のホームページ中心になっていますが、できるかぎり様々な広報媒体を活用して情報発信させていただきます。今後ですが県民や市町村職員を対象にした原子力防災あるいは放射能について学ぶ圏域集会のようなものを順次開催していきたいというふうに考えておりまして、対策の普及啓発に努めてまいりたいというふうに考えておりますし、また災害が発生した場合には刻々と変化する事態、あるいは県が行う対応について報道機関への情報提供や消防等による広報等も含めまして、これこそ使えるものは何でも使う、できるかぎりその時点で使えるものはすべて使って迅速正確に県民に情報発信をしていくよう努めていきたいと思っています。
<環境部長>
放射能汚染に関する窓口相談についてのお尋ねでございます。福島第一原子力発電所の事故にともなう放射能汚染に対しましては、事故直後に専用の放射線相談電話を開設するほか食品や農産物の安全性に関しましても相談窓口をもうけ県民の放射能に対する不安や疑問に答えるようつとめてきたところでございます。これまで県内の空間放射線量の状況、また放射能が子どもや妊婦の健康に及ぼす影響など様々な問い合わせや要望が寄せられましたが、県内全市町村における小中学校等の放射線量の測定、また各地域の水道水、農産物の継続的な検査を実施する等できるかぎりの対応を行ってきたところでございます。こうした取り組みによりまして、相談件数は減少してきておりますけれども、現在でも放射性物質を体内に取り込むことによります内部被爆についての不安の声が多く寄せられております。ひきつづき関係部局と連携しまして、水道水、また農林畜産物、学校給食等のきめ細かな検査や、また積極的な情報提供を行いいっそうの安全安心の確保をはかってまいりたいと考えているところでございます。
<高村議員>
原発については、やはりもうゼロということを長野知事としても積極的に発信をお願いしたいと思います。そして、放射能についてですけれども長野県にはいろいろご努力をいただいて測定して、そういう体制も強化していただいているのですけれども、放射能工学の専門家が長野県にはいないと思います。その電気会社がいままで本当に私達に真実の報道をしていただけたかというと、そうではないことが多いわけですので、やはり長野県としても専門家を職員に採用するということで、いっそうの体制の強化を要望したいと思います。
つぎに、自然エネルギーの本格的な取り組みですけれども、これはやはり目標値をもっていろいろ取り組みいただく、自然エネルギー元年ということで大変それはいいんですけれども目標もって前に進んでいくということをぜひ知事先頭にお願いしたいと思います。
<高村議員>
次に、地域の経済振興について伺います。
日本共産党県議団はかねてより、住宅リフォームにたいする県の支援制度を要望してまいりました。住宅リフォーム助成制度に取り組んだ地域では、その経済的な波及効果は10倍から20倍と他の公共事業などとくらべても抜きんでています。
20万円・30万円の補助金で、たいがいの家は100万とか150万円とか補助金の数倍のお金をだしてリフォームを行い、関係する業者も基礎工事、配管、カベ、サッシ、屋根、電気、水回りなど非常に多彩な業者のみなさんがたずさわります。
いま、緊急地域経済対策として全国各地に広がっています。
私ども共産党県議団は、2月4日に県商工団体連合会との共催で、秋田県や佐賀県など、すでに県として助成を実現しているところでの実際の効果や、県内市町村の取り組みを交流するシンポジウムを開きました。
秋田県には県議団として調査にも出向きましたが、リフォームの内容を限定せず、工事費の10%最大20万円を補助する予算を組み、制度開始の2011年から12年1月末までの申請件数は2万7千件で県の補助額は37億3千5百万円余に対し、工事費は555億9千円となり補助金の約15倍もの波及効果となっています。
秋田県は自殺者が全国1番で地域不況によって営業と暮らしがゆきづまり、自殺に追い込まれる人が後を絶ちませんでした。営業と暮らしの相談にのってきた方の感想では、自殺を考えていた業者にも仕事が回り、暮らしも立ち行き税金も払えるようになったと笑顔になる方が増えている。施主も業者も県の職員も、みんなに喜ばれ、地域に活気が出てきたそうです。
佐賀県では、今年度から制度が始まり工事費の15%最大20万円の基本助成に加え耐震やエコ改修には最大20万円の定額加算があります。20億円の基金の内、昨年12月末までには5億8千万円が執行され、工事費総額は63億円と県が拠出する事業費の約11倍ものお金が地域に波及しました。
県内市町村の取り組みでは、現在48市町村に広がっており、昨年10月の新建新聞では「9月までに6割の市町村で実施、11億円の投資で167億円の効果、建設産業だけで14倍の経済効果、伊那市では、他産業への波及効果を含めると22倍の経済効果があった」と紹介しています。
県が24年度から行う住宅リフォーム助成制度は、制度として創設されたことは評価しますが、県産材使用に限られており、その点での効果はあるものの、経済波及効果は期待できません。またその予算も5千万円、助成対象は220件と、あまりにも小規模で秋田県の2万7千戸と比べて不十分なものと言わざるをえません。どのように制度設計を検討されたのか建設部長に伺います。
疲弊している地域経済を活性化するという観点から、全国や県内の実績を研究検討され、来年度早い段階での補正予算に住環境の改善と緊急地域経済対策として県民や事業者の使い勝手のいい制度を構築していただくことを求めますが、知事いかがですか。
<建設部長>
住宅リフォーム助成制度についてのお尋ねでございます。
住宅リフォーム助成制度については、単なる経済対策ではなく、限られた財源の中で明確な施策目的をもって実施することが必要との観点から県庁内の関係各課からなりますワーキンググループにおいて、県として重点的に取り組むべき施策等を部局横断的に検討してまいりました。制度を検討する中で取組むべき課題として、地元工務店の活用、県産材の利用拡大、省エネ化、バリアフリー化、あるいは耐震化率の向上などを取り上げてきたところでございます。その中で県産材の利用拡大については助成金、税制、融資といった面で他の支援制度がないということから、これを柱としまして、より県民が利用しやすい形で制度を創設したところでございます。
県産材は地域で持続的に再生可能な資源であるとともに二酸化炭素を固定するなど、環境への負荷も少ない資源であります。さらに県産材を活用した建築工事は県内の森林整備や製材業など地域経済への波及効果も高いことから、新たなリフォーム助成制度は地域経済活性化にもつながるものと考えております。助成額につきましては、国土交通省の調査によれば住宅リフォームの工事費の費用、100万円から300万円の工事が大半を占めるという調査がございまして、工事費の概ね1割10%程度を助成するということで上限を30万円といたしました。それから予算額につきましては県内におけますリフォーム実績のうち、天井、床、壁等内装改修工事の実績、それからリフォームにおける県産材の利用の割合、また長野県への移住実績等を勘案いたしまして助成予定件数を220件、予算額を5千万円としたところでございます。
<阿部知事>
住宅リフォーム助成制度についてのご質問でございます。
私もこのリフォームの助成制度、どういう制度にするべきかということをいろいろ考えましたが、単にどういうリフォームでもいいよということではなくて、やはりこれは県民のみなさんの貴重な税金でありますから、そうした中で、リフォーム、個人の住宅リフォームを助成するという上では、やはり明確な施策目的が必要だというふうに考えております。そうした観点でいま建設部長がご答弁申しあげましたように県産材をより身近なものとして活用していただくということを基本にして地元工務店のみなさんの活性化にもつながるリフォーム助成制度という形で創設をしたいということで今回の予算案に計上させていただきました。
加えて長野県、やはり健康長寿県でありつづけなければいけないというふうに思っておりますので、寒冷地でありますので断熱改修工事とか、高齢者対策としてのバリアフリー改修工事、こうしたものに助成金を加算するということにしております。また、移住交流をすすめていきますので、県外から移住される方には助成限度額を上乗せするという形の制度にしております。この新たなリフォーム助成制度をぜひご理解をいただいて制度の目的に沿った成果が得られるような執行につとめていきたいと考えております。
<高村議員>
知事に、住宅リフォームなんですけれども、私どもが提唱しているのは、いまの冷え込んだ地域経済の緊急活性化策ということで爆発的な効果があるということで、ぜひそういう使い勝手のいい、地域経済活性化のということでお願いをしているわけでございます。
佐賀県ではこの2月補正で住宅リフォーム補正予算を8千万円追加いたしまして、さらに来年度は10億円を計上しました。また秋田県では、来年度予算に17億2500万円を計上し、耐震化・省エネ・バリアフリーの改修には限度額を30万円に引き上げました。 秋田県は、経済波及効果は23倍にも及ぶと試算し、来年度の予算も充実しています。県は一日も早く地域経済を底上げするための住宅リフォーム助成制度をお願いしたいと思います。
<高村議員>
次に、長野県新総合交通ビジョンについてお伺いします。
地域交通の機関の縮小や廃止で、通勤通学、買い物や受診など移動が困難になる地域や人々が増えています。郵便局や農協がなくなり年金も引き出せない、通学は親が朝晩マイカーで送迎するなど日常化しています。体力が弱い高齢者にはいっそう暮らしにくく、先祖からの家に住めずに町へ出るなど、山村崩壊が進行しつつあります。
長野県は新総合交通ビジョン検討委員会を立ち上げ、昨年の12月から検討会が始まっています。
まず、リニア新幹線建設に関する環境影響評価で、環境影響評価技術委員会がJR東海に求めた追加項目に対し、誠意ある姿勢が示されないことは本当に残念です。環境への影響に関わる、必要な情報提供や回答をもっと積極的にJR東海に求めていただきたいがいかがか。環境部長に伺います。
リニアは、強力な磁界が人体に及ぼす健康問題やマッハ2の高速の安全性の問題、中央アルプスを貫通する超大トンネル建設の問題、地震や災害時の対応の問題、新幹線の3倍もの電力消費問題などをはじめ、JR東海の情報開示は全く不十分であり誠意ある姿勢が見られません。現段階で、積極的にリニアを推進する状況にはないと考えます。どのように受け止めておられるか。企画部長に伺います。
長野県新総合交通ビジョンを策定するにあたって、リニア中央新幹線の開業を見据えた交通体系方向を検討することを前面に打ち出していますが、第1回の検討委員会においても、地域生活交通の充実に向けた検討を重視すべきとの意見が多く出されたと伺っています。地域での通勤・通学や生活をささえ、買物や医療機関の受診などの生活弱者対策にもなる地域公共交通対策を優先して検討すべきではありませんか、買い物や受診の手段がなく生活に難儀をされている交通弱者を重視した県としてのビジョンが重要と思いますが、
企画部長ご答弁をお願いいたします。
長野以北の並行在来線存続のため、新たな財政支援の見通しと他県との連携強化など、今後の取り組みについて伺います。
新幹線長野以北の在来線の存続については、17日国土交通省が、赤字解消に見合う30年間148億円余の財政支援を行うとの正式発表がありました。全国の並行在来線では初の支援策とのこと。この方針を受けてようやく経営分離後は、しなの鉄道で運行ができる見通しが見えてきました。予想される経営赤字に対する支援対策の骨子を示していただきました。この間の県のご努力を歓迎いたします。
しかし、60億円とも言われる鉄道資産や譲渡費用は全額県の負担であり、設備投資費用も沿線市町村と負担しなければなりません。
引き続き、存続のための支援を国とJR東日本にさらに強く要請を行うと共に、沿線市町村との一層の協力体制をとり、新潟県はじめ北陸各県との一層の連携調整をはかっていただきたいと思います。今後の課題など含め、企画部長にお伺いいたします。
知事には、地域総合交通ビジョンの検討では地域交通を守ることを一番の重点に据えていただくことなど、いっそうのご奮闘をお願いしまして、知事にもご決意をお伺いいたします。
<阿部知事>
それから地域生活交通の充実という観点で、長野県は中山間地を多く抱えているわけでありますし、高齢化が、どんどん日本全体も長野県も進んでいるわけでありますのでやはり地域で様々活動をしていただく、お年よりも社会活動に参加していただくとかですね、すべてにおいて地域の足を確保していくということが大変重要だと思っております。公共交通からマイカーに移動して、しかしながら高齢化がすすむ中で、なかなかマイカー自動車をご自分で運転できない方も増えていらっしゃいますし、また長野県外からお越しになる方は、自動車でいらっしゃる方もいますけれども、公共交通で来るとなかなか県内の足がなくて困るということもあるわけでありますので、そういう意味でやはり生活者の視点に立った公共交通のありかた地域の足のあり方というものをしっかり考えなければいけないというふうに思っております。
財源的には非常に厳しい中ではありますが、これまでも地域公共交通確保維持改善事業の維持拡充等を国にも要望してきました。今回の策定するビジョンに於きましては地域公共交通についてぜひ持続可能性のあるような仕組みをつくっていかなければいけないと思いますし、これから県の中期計画もつくっていくわけであります。やはり地域の活性化、暮らしそのものが公共交通と密接不可分だというふうに思いますので、こうした点、どういうビジョンをしっかり描きこむかということは、くらし、あるいは経済においても大変重要なテーマだと思いますので、そうした観点でこのビジョンを策定してまいりたいというふうに考えています。
<環境部長>
リニア中央新幹線の環境アセスに関してJR東海に積極的な情報提供を求めることについてのお尋ねでございます。
まずお話がありましたリニア中央新幹線に関わる環境影響評価方法書の審議に際しまして、県の環境影響調査技術委員会がJR東海に対して評価項目の追加項目を設けるように求めた件につきましては、最終的には2月4日開催の技術委員会に於きましてJR東海から評価項目として実施する旨の明確な回答がなされたところでございます。従いましてこうした議論を踏まえまして技術委員会としての意見が取りまとめられたところでありまして、県としてはJR東海に対しまして、方法書に対する知事意見の中において、この評価項目の追加などの技術委員会からの意見や、それから議員ご指摘の積極的な情報提供につきましてもこれはしっかりと意見を述べてまいりたいと考えているところでございます。
<企画部長>
私には3点質問を頂戴いたしました。
1点目が、リニア中央新幹線についてということでございます。
リニア中央新幹線の実現に向けて地域や事業に対する地域や住民にみなさんの理解と協力、これを得ることは不可欠であるということで理解しております。県と致しましてJR東海に対して事業者としての説明責任を十分に果たす、このことを求めている所でございまして、引き続きていねいな説明、必要な情報を適時適切に公開すること、これを求めてまいりたいと考えております。
リニア中央新幹線につきましては県内の関係地域、あるいは経済団体などが結集いたしましたリニア中央新幹線建設促進長野県協議会、あるいは長野県議会、さらにリニア中央新幹線建設促進議員連盟におきまして整備促進を求める決議等がなされているという重い経緯があります。また、中南信をはじめとする県内交通の利便性の向上や地域の発展に寄与するものと期待する県民の声も多いこともありまして、長野県といたしましては、生活環境、自然環境に与える影響を極力低減することを求めながら早期着工に向けた取り組みをすすめてまいる所存でございます。
次に交通弱者や生活弱者を重視した県としてのビジョンの策定について質問を頂戴いたしました。先ほど議員からビジョン策定に際してリニア部分を前面に出しているというお話がございましたけれども、いま確かにリニアの部分を先に議論しておりますが、これは前面に出したのではなくて、国の協議の場への提案に間に合わせるためのスケジュールの都合でございますのでご理解を頂戴いたしたいと思います。
新たな総合交通ビジョン、これの策定にあたりましては北陸新幹線、リニア中央新幹線等々の高速交通網の進展をどう生かしていくかという、いわば長野県を強くする交通基盤の課題と地域生活交通のように長野県で安心して暮らせる交通基盤、こういった公共交通をどのように築き維持していくかが極めて重要な課題だというふうに考えております。
少子高齢化が進展する中で長野県におきましても買い物弱者であるとか、お話の通院弱者であるとか、こういった問題が生じておるわけでございまして、地域生活における公共交通を確保していく重要性はますます高くなっていると考えております。このことは議員もご指摘の通りだと思っております。新総合交通ビジョン検討委員会に於きましても安心して暮らせるための交通、これの重要性につきまして議員からご意見を頂戴しているところでございますが県民の日常生活を支える地域交通につきましてはビジョンにおける極めて重要な柱の一つ、というふうに考えております。交通弱者といわれる方々が公共交通をいかに利用できるようにするか、こういったことにつきましても十分な検討をしてまいりたいというふうに考えております。
それから、長野以北在来線の新たな財政支援策と他県との連携強化と、こういうお話、ご質問でございます。長野以北並行在来線の存続に必要なことは、ひとつは経営が成り立つこと、もう一つは利用者への利便性を確保すること、この二つの課題は実はなかなか両立が難しい問題でございますけれども、できる限り努力をしていくことが必要だというふうに思っております。
まず経営という点では、お話の財政支援問題がございます。並行在来線に対します新たな国の財政支援につきましては昨日知事からお答えしたとおり貨物輸送機能の確保に必要な経費を試算いたしますと、毎年度の除雪費等による増えたり減ったりというものがあるわけではございますが、現時点では毎年4億円強を見込んでいるところでございます。こういった国の支援と先般長野以北在来平行線経営基本計画案にお示しをしました。県あるいは市町の支援によりまして長野以北並行在来線の経営にある程度の目途がついたというところでございます。なお、国の支援策は長野―直江津間の信越線を対象とした制度でありますので本県と同様の状況にあります新潟県とも十分に連携をはかりながら、さらに十分な支援となるよう提案、あるいは要請していきたいというふうに考えております。
次に利用者への利便性の点でございますが、長野―直江津間は原則として妙高高原駅で長野県側と新潟県側からそれぞれ折り返し運転ということになります。妙高高原駅でのスムーズな乗換えができるようにとか、あるいは一部列車の直通運転、こういったものについても新潟県と協議を重ねて利便性を確保してまいりたいというふうに考えております。
<高村議員>
リニアにつきましてですけれども、言い方はいけないかもしれないですけれども「安全だ。安全だ。」ということではないんじゃないですかということを言わせていただいております。ぜひ国とJRとしっかりと本当に万が一のときどうなのかということも含めて真剣に安全性の問題は前面に出して情報提供や対応をするようにお願いを申しあげておきます。
<高村議員>
次に、教育行政について伺います。
どの子も伸びのびと成長発達できる長野県の教育環境の充実へと願い質問します。
30人規模学級の来年度中学2年生へさらに平成25年度は3年生へと拡大を図っていただくこと、おおきな喜びをもって歓迎いたします。一方、長野県の特別支援学校の教員配置が、法定基準に満たない現実に対し、この3年間一歩ずつ改善を図っていただいていますが、それでも来年度まだ280人の標準法との乖離があります。今後どのように改善を図り将来見通しをされておられるか、教育長に伺います。
次に、中高一貫校、屋代高校付属中学校について伺います。
今回初めて行われた屋代高校付属中学校での適性検査の結果によれば、地元からの入学生はわずかであり、遠距離から通学する生徒にとっては経済負担がかかります。さらに今回の適性検査では、まさに落とすための難しい試験問題であったことは、義務教育の小学校から中学への移行期に子供たちと保護者小学校の教師に、さまざまな労苦を押し付けました。510人が受験し、入学80人と狭き門のために、多くの人々を巻き込んで混乱をもたらしたのではないでしょうか。
わが党は一貫して、中高一貫校がエリート校化受験競争の低年齢化の弊害を生み出すものと指摘して参りましたが、それが現実のものとなっています。今回の適性検査は、二人しか正解が出せないなど難問であり、文科省が求める、小学校6年生での学力にふさわしい検査ではありませんし、エリート校への高いハードルをつくったのではありませんでしょうか。今後さらなる入学競争の低年齢化が現実のものとなりましょう。ここに教育的配慮はあるのでしょうか。
県立屋代高校付属中学校の適性検査の結果をどうとらえているか、課題とされることは何かを教育長に伺います。
また、「通常の学習をしていればよい」としてきた県教育委員会の説明にも、「エリート養成校にはしない」という文部科学省の方針にも反すると思いますが、どう受け止めておられるでしょうか、今後のあり方をどのように考えておられるかを、教育委員長に伺います。
屋代高校付属中学校の在り方については、今まで危惧されてきたことが顕在化していると思います。どの子にも豊かな学力を保障するために、改めて課題を整理し、このまま諏訪清陵高校の設置に進むのではなく、いったん立ち止まって今後の在り方を現場の教師や保護者との対話の中で、再検証すべきではないでしょうか。強く要望をさせていただきます。
次に、事業仕分けの結果を受けて定時制高校給食費補助事業が拡充されましたことは大変歓迎いたします。一方で文化行事支援の定時制文化行事進行事業が減額されました。
私は、昨年の9月3日県が上伊那で行った事業仕分けを傍聴しました。定時制高校の給食費補助事業や教科書支給支援事業をどうするかの検討の場面です。仕訳人の方は事前に定時制高校を訪問され、定時制に通う子供たちがおかれている暮らしと勉学環境、食生活と健康の問題を把握され「長野県として定時制生徒への支援をいっそう充実すべき」との方向になったはずでした。
ところが来年度の予算で、給食費補助は材料内容の向上とともに希望するすべての生徒への補助制度と拡充をされ大変良かったのですが、一方、年に1回程度の文化的行事のための予算、高等学校芸術文化観賞事業を減額しました。これでは本末転倒ではないでしょうか。この点について、教育委員長に伺います。
<教育長>
特別支援学校の教員配置についてのお尋ねでございます。この特別支援教育の充実は教育委員会としましても、重点課題の一つとして位置づけてきております。その中でも特に教員配置の充実については、重い課題であると認識しております。平成21年度の予算以降は、児童生徒の増にともない標準法との差が拡大しないように教員を配置するという新たなルールを定めました上で、さらに配置の充実をはかるために標準法との差、いわゆる乖離を計画的に解消する、こういったことを定めまして、改善に努めてきたところでございます。
このような結果、この10年間で比較しますと平成20年度までの6年間では児童生徒430人の増加に対しまして151人の教員の増をいたしました。平成21年度、いま申しました新しいルール以降でございますが、この4年間で児童生徒219人の増加にともない、191人の教員を配置してきたところでございます。標準法との差も平成20年度の323人から平成24年度には280人に改善を図っているところでございます。しかし、教育委員会と致しまして喫緊の様々な課題への対応が求められている中、平成24年度予算に於きましては36人の教員増を図ったものの標準法との差につきましては3人の改善にとどまっている状況でございます。
児童生徒の増加が続いておりまして一挙に乖離を解消することが困難でございますけれども、財政状況の厳しい中でも、この課題についてはですね、重く受け止めておりまして継続的に努力していかなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
次に、適性検査についてのお尋ねでございます。適性検査は入学後に必要とされる思考力判断力あるいは表現力といった、こういった力を総合的に見る必要がございます。それにふさわしい問題としまして、たとえば様々な状況を読み解き身の回りの環境や社会に積極的に働きかけていくことへの適正、あるいは問題解決ために必要な情報を収集整理しまして筋道立てて考えたり、自分の考えを表現したりすることへの適正、こういったものを見る目的でございます。主として社会や人にかかわる「適性検査1」と、主として自然や数理にかかわる「適性検査2」を実施し、平均点は「適性検査1」が32,3点、「適性検査2」が26,6点、各問題の正答率は10%を下回るものから80%を超えるものまでございました。適性検査は小学校で学習している教科ごとの知識の量を見るものではございません。身の回りの題材をもとにした総合的な問題によりまして、受験者一人ひとりの適性を見るものでございます。その点で、義務教育9ヵ年で身につけた各教科の学力を見る3月の高校入試で行なう学力検査とは平均点が意味するものも異なる、こんなふうに考えております。一人ひとりの適性を適切に見るためには様々な難易度の問題があることが望ましいと考えておりまして、適性検査全体としては妥当な内容であったと受け止めております。ただし正答率が極端に低くなってしまった問題でありますとか、正答にいたるプロセスが評価できる方法の工夫でありますとか、あるいは問題全体の量については、改善の余地があると考えているところでございます。今後はですね、学校現場や専門家からの意見や評価を取り入れまして総合的に分析し、今後の改善に生かす所存でございます。
<教育委員長>
今回の適性検査は従来の県教委の説明、文科省の方針に反してはいないのか。こういうご質問にお答えいたします。
適性検査の内容につきまして、いま教育長が詳しく申しあげた通りでございますので省かさしていただきますが、基本的な考え方を申しあげたいと思います。
適性検査の主題、出題の内容につきましては、小学校学習指導要領の範囲内であるというふうに理解をしています。小学校の学習にしっかりと取り組み日常から本や資料を読んで読解力を培い、物事を観察して、その仕組みを考え、自分の言葉で考えをまとめたりするということが重要な今回は検査であった。そのように考えます。初等中等教育では知識をため込むだけではなく、積極的に使いこなす力量を身につけることが必要だというふうに言われてきています。
全国学力学習状況調査によりますと、これは全国の傾向もそうでありますが、特に本県は小学生において知識に関する学力より、そこで身につけた知識を問題解決に用いる活用に関する学力に課題があるという傾向が出ております。このことはOECDによる経済調査でも指摘されているところであります。
いわゆる知識基盤社会と形容される21世紀の社会において幅広い知識と柔軟な思考に基づく判断できる人材の育成が重要であり、今後小学校においてこれらの力を身につけさせるための授業改善の取り組みが必要ではないかというように考えているところでありまして、中高一貫校は進路における多様な選択肢の一つとして設置をするものでありますので、子ども達にはチャレンジ精神や前向きな気持ちで臨んでもらいたいというように考えています。
定時制高校への支援についてのお尋ねにお答えいたします。定時制の生徒は不登校の経験など多様な背景を持ち、その就学環境は大変厳しいわけでありまして生活全般への支援を含む教育の充実が重要であると認識をしています。その中で事業仕分けの結果を受け、給食と教科書購入といった生活や学習の根幹を成す支援の充実、これが図られたわけでありまして大変ありがたいことだというふうに考えています。一方、厳しい経済情勢の中で実施方法の工夫によって目的の達成が別な方法でも可能なのではないかという事業については減額せざるを得ない現実でありました。大変残念でありますが、芸術文学鑑賞事業の予算を減額させていただいたということであります。今後も定時制に学ぶ生徒達の生活実態をよく理解しながら確かな進路保障と社会的自立に向けてできるだけの支援を図ってまいりたいと思っております。
<高村議員>
教育について、教育長、教育委員長からそれぞれ御答弁いただきました。
特に屋代高校付属中学校の今回の適性検査の件ですけども、これをめぐる小学校の環境、これがですね非常に大きく変わってきております。小学校たった一人でもこの中学に希望される子どもさんがいる場合には学校の先生方はそのために本当にみんなといっしょになって一歩一歩進んでいけばいいんだけれども、その子のためにも特別の対応をしなければならないということがたくさんあると伺っておりまして、小学校6年生段階での、本当に思春期がはじまる大切な時期にクラスの中の一体感ですとか、いっしょになってみんなで中学行こうという、そういうことがなかなかできにくい雰囲気ができていると思うんですよね。80人の生徒さんを選ぶ為にどれだけ小学校6年生や学校の先生方、また保護者の皆さん方に、いままでなかった混乱を現場に招いている、そのことは受け止めをお願いしたいと思っております。
<高村議員>
次に、県行財政改革と予算編成について伺います。
新年度の予算編成に当たり、県単位の公共事業を基本的に今年度並みに確保したこと。またその内容として、災害に強い長野県づくりのために、道路や橋梁の長寿命化や公共施設の耐震化、緊急輸送路の確保などの方向に重点化することは、大いに歓迎します。しかし財政状況の厳しい中で、不要不急の事業や無駄遣いは、徹底して見直して行かなければなりません。
このような中で、昨年10月末に追加調査をした浅川ダムについては、県が依頼した産業技術総合研究所の吉岡、佃研究員が「F―V断層は、活断層ではない」としながら、それを根拠づけるための追加調査を県に指示し、その追加調査の結果を含めて県が行うとされる住民説明会は、当初11月12日に行うとされていましたが、いまだ開催のめどは立っていません。
一方で、同じ場所を調査した信州大学名誉教授の小坂共栄氏と理学博士の松島信幸氏は「F−V断層は明確な活断層であり、ダム建設は直ちに中止するべきだ」と、県に意見書を提出しています。
安全性についての住民説明会も開催できない現状の中で、しかも多くの建設費を繰り越している状況のまま、新年度もさらに18億円もの浅川ダムへの予算計上は見送るべきではないでしょうか。このような予算を多くの県民が納得できるとお考えでしょうか。知事にお伺いします。
一方、来年度の予算編成において、徹底した事業の見直しがされました。
生活弱者や病気や障害を持った方々への支援を削減し、財政改革のしわ寄せを強いています。廃止事業は、73事業2億円、縮小は231事業6億円、歳入確保として21事業で5億円を見込んでいます。
松本地域障がい者生活支援ワーカー1名の廃止やシニア大学といきいき実践塾生きがい推進員の廃止、縮小事業では難病相談事業や遷延性意識障がい者医療給付事業の縮小など、どのようなお考えで、このような弱い立場、高齢者のみなさんへの支援を削ったのか、知事にお伺いします。
県の行財政改革では、今後5年間でさらに1300人以上の定数削減が前提となっていますが、大震災の教訓からも、自治体職員の専門性の役割が必要です。県民の利益を守るための職員が少なくなるのは、一人一人の県職員に求められる負担が重くなり心身の健康を損ねることにもつながり、それは長い目で見れば、県民サービスの低下となり県行政の活力の低下にもなるのではないでしょうか。県民サービスに密着した分野の職員は、むしろ充実すべきではないでしょうか。財政上の必要からだけでの安易な職員削減は再考していただきたいと思いますが、知事のお考えを伺います。
<阿部知事>
行財政改革の予算編成についてのお尋ねに順次お答えいたします。
まず浅川ダムの関係です。前提として不要不急の事業は見直すべきというのは、私も全くその通りだというふうに思っております。浅川ダム、これまでも安全性の確認を行ないながら工事を行なってきているわけでありますが、今回、東日本大震災等も踏まえてですね安全性を再確認しようということで、独立行政法人・産業技術総合研究所の専門家の皆様方に調査を依頼しているところであります。まだ最終的なご意見をいただいてないわけでありますが、調査の経過を公開してなおかつ最終的なご意見がいただければ、それも県民の皆様方への報告会を開催していきたいというふうに思っています。いまの時点でこれまでの状況が変化しているというわけではないものですから、従来どおりの対応をしているという状況であります。予算につきまして平成23年度予算のうち多額の繰越という形に見えますが、契約が既に済んでいるものについては、当然これは繰り越さなければいけないものでありますから、何もしないで繰り越しているものとは違うとうことでご理解いただければと思っております。
それから事業見直しの考え方ということでございます。いろいろ事業の例示をしていただいたわけでありますが、私は世の中がどんどん変わっていく中で、単純に福祉施策だからといって、またいわゆる弱者といわれる方々への施策ということで見直ししなくていいという風には全く思っていません。必要な見直しはしっかりと行なっていくことが本当に必要なところに財源を配分していくことに繋がるというふうに思っています。そうした観点で、各圏域障害者支援ワーカーのお話もございました。これは支援体制を充実していこうということで、県単独事業から国庫事業を活用した配置へ切り替えてきているわけでありますが、松本圏域についてはむしろ経過措置ということで、いきなり減らすということがないように継続を県単で行ってきたわけでありまして、それを終了させるというものであります。また地域いきいき実践塾もこれは事業仕分けで県民の皆様方のご意見もいただくなかで、これまで行なってきた社会参加の実践者養成というものをシニア大学のカリキュラムのほうに組み入れて実施するということにしたところでありまして、あわせてその実務を担当していた推進員については廃止という形であります。また松本消費税活センター岡谷支所の統合、これもあの様々ご意見があったと言う事は承知をしておりますが、これはまさに県と市町村の役割分担が変わってきているわけであります。専門的な部分にやはり県はしっかりと特化していくということが重要だということで専門的な相談員の対応や市町村に対する支援機能を強化していくというものであります。
いくつか例で申しあげましたけれども、こうした事業等の見直し、単にお金が無いからバッサリ切ろうということで我々やっているわけではありません。他の施策の活用とか激変緩和措置などそうしたことも取り入れながら県民のご意見もお伺いしながらていねいに作業をすすめてきているところであります。これからも県民のみなさまのご理解を得られるようにさらに努力をしていきたいと思っています。今回24年度当初予算案、福祉、医療、介護にようする、いわゆる社会保障関係費というふうにくくっておりますが、そうした経費、前年度よりも61億円多い821億円を計上しているところであります。そういう意味では障害者高齢者など、いわゆる生活弱者の皆様方への施策というものは金額的には増大している、増えているという状況でございます。
次に、行政財政改革における職員数の削減ということでございます。
これも一律削減ということではなく、厳しい財政状況、あるいはこれから行政需要も常に一定で推移するということではないわけでありますので、そうしたものを踏まえながら事務事業の見直しあるいは民間委託等の外部化ということを通じた職員配置の適正化に取り組む中で持続可能な財政基盤をつくっていきたいと思っております。ご指摘の専門性ということもございました。災害時に限らず大切なものだというふうに思っております。職員配置に工夫をするなど人的資源の有効活用をはかっていきたいというふうに思っておりますし、住民の皆様方からいろいろご意見をいただく中で職員の人事異動のローテーションもポストによっては早すぎるんじゃないかというようなご指摘もいただきますので、そうした点については少しづつ改善すべき点を改善していきたいというふうに思っております。仕事改革あるいは職員の質向上に取り組む中で室の高い行政サービスの提供に努めてまいりたいと考えております。
<高村議員>
それから、浅川ダムの建設を推進されておりますけれども、まさに知事がおっしゃいましたように3月11日あの時点から、いま私達は安全性ということを一番に考えて前にすすまなければいけないのではないでしょうか。昨年知事が10月末に調査を依頼されました産業技術総合研究所の研究員からの報告がいまだに明らかな結論が出ておりません。ということは、安全性がいまわからないということです。ですので、一旦ここで中止をするという決断をするということが3月11日のあの事故が私達に問いかけていることではないでしょうか。限られた財源ですけれどもただいま知事のほうからは難病相談事業とか遷延性意識障がいのみなさんへの医療給付事業の縮小などご説明いただけませんでしたけれども、やはりそういったみなさんのことをまず大事にするということがなければ、私は長野県の予算を編成するときの一番の根本的な土台になるべき方向ではないかと思っておりますのでその点をどうぞよろしくお願いしたいと思います。
地方自治体に求められる役割は、住民の健康と福祉の増進です。厳しい事業の見直しがなされなければ財源は生まれてこないことは承知しております。だからこそ新年度も18億円も計上する浅川ダムのように建設費の半分は借金である大型公共事業は大胆に見直す毅然とした姿勢がなければ県民のくらしや健康が守れないのではないでしょうか。県の借金残高の総額も増えるばかりです。今年度末には1兆7千億円規模となり過去最高となります。ますます後世に重い負担を残すことになっております。
最後に、私たちは今、東日本や栄村など被災地の皆さんの1日も早い復興と福島原発事故の収束と原発のない日本を心から願っています。そして、国難ともいえる大震災と原発事故をのりこえて、その教訓を生かしながら、長野県から希望をつくり出していきたいと思います。
長野県民の暮らしと健康を守るために、農林業の振興、地域循環型経済と自然エネルギーへの大胆な転換、医療・福祉・介護など社会保障の抜本的な充実へと大きく転換しようではありませんか。
生命の賛歌に満ちた地球に抱かれたかけがえのない美しい長野県、未来に向かって希望がもてる長野県に向けて、阿部知事をはじめとした県職員の皆様のご奮闘を願い、私たち共産党県議団もともに力を尽くすことを誓って代表質問を終わります。