<和田議員>
2000年に施行され12年目になる介護保険ですが、昨年は2005年以来2度目となる介護保険法の改定がされました。また3年ごとに行われる保険料の見直しが重なって迎える2012年度の介護保険は、利用者も事業者も介護職員にとっても大変厳しい見直しの状況になりました。
介護保険を運営する県内の63団体のうち7割以上の団体で保険料を引き上げる。いくつかの団体は月額が5000円を超えると言われています。
介護保険料の大幅な引き上げで、低階層への保険料負担を軽減するため市町村では多段階に分ける方法や利用料の減免など低所得者層の負担軽減の検討がされています。
さらに、保険料負担の割合が県・市町村はそれぞれ12.5%という割合になっています。この負担割合を超えて保険料の軽減をはかることはできないかという自治体もあるようですが、県としてどう考えるのか。もし、12.5%を超えることが可能であれば、県としても検討できないか。お聞きします。
昨年の介護保険改定で、2012年度に限り保険料上昇の抑制のために、県に設置している財政安定化基金の一部を取り崩すことが可能といわれています。県として基金の取り崩しによって保険料抑制はどの程度なのかお聞きします。そのさい、保険料が納められない世帯への支援はできないか。あわせて健康福祉部長にお聞きします。
<健康福祉部長>
介護保険料の改定についてお答え申しあげます。
介護保険の公費負担の割合についてでございますけれども、介護保険における国、県、そして市町村の負担割合につきましては介護保険法で厳密に定められておりまして、その割合を超えて自治体が負担することはできないということになっておりますので、議員ご指摘の通り12,5%県が負担するということで私どもは準備をすすめている所でございます。
次に財政安定化基金に関してお問い合わせがございました。財政安定化基金の取り崩しによる保険料の上昇抑制についてお答え申しあげます。平成24年度に限り保険料上昇抑制のために介護保険財政安定化基金の一部を取り崩して市町村等に交付することにしております。このことによります保険料の抑制効果でありますけれども、一人当たり月額約40円程度を見込んでおります。なお今回の抑制措置でございますけれども、制度上すべての被保険者の負担軽減のために実施されるものと考えております。ご指摘の低所得者の方々への配慮ということでございますけれども、これは負担能力に応じたきめ細やかな対応というのは大事だと思っておりまして、これは冒頭ご指摘の中にもございましたけれども、保険料の設定をもう少し多段階にするというふうな配慮はできないかということは、私どもとしても市町村へ働きかけていると、そういう状況にございます。
<和田議員>
国は保険料が大幅に引きあがることを承知のうえで、本来は国が負担割合を増やして保険料抑制をすべきところを、今回にかぎり財政安定化基金の取り崩しで抑制するようにとのことではないかと思われます。
県はもっと基金の取り崩しができないか。これ以上の取り崩しができないのであれば、やはり保険料を抑えるために国の負担を増やすように求めてほしいと思います。再度、健康福祉部長にお聞きします。
<健康福祉部長>
介護保険料につきまして、さらなる公費負担によって保険料を減免できないかというお問い合わせでございました。
まず財政安定化基金に関してお問い合わせございましたので、こちらの県への返還分についてお答え申しあげます。
取り崩し分のうち、これは市町村分と県分とございますけれども、こちらの県への返還分につきましては、改正の介護保険法におきまして介護関連事業にあてるというふうにされている所でございます。本県ではそれは第5期計画の平成24年度から26年度までの間に地域包括ケアの総合的な推進ですとか、あるいは老人福祉施設等の整備事業、介護人材対策の推進などの介護保険における新たなニーズ、あるいはその長年にわたる課題に対応するというところに使わせていただきたいというふうなことを考えているところでございます。
<和田議員>
次に介護職員の処遇改善について伺います。
介護人材が不足しているということは、昨日の金子議員の質問でもあきらかになりました。きつい仕事の上に、低賃金、訪問介護職員の85%は非常勤職員という状況を改善するために国は年1900億円全額国費で処遇改善交付金を実施してきましたが、来年度は介護職員の処遇改善交付金が廃止されます。
交付金がなくなることで介護報酬が実質マイナス改定になり、事業所の経営が圧迫されます。その分、介護職員の給与が賃下げされるのではないかとの懸念が起こっております。賃下げなどがされないよう引き続き、国に介護職員の処遇改善を求めるべきと思いますがいかがでしょうか。
介護職員によるたんの吸引など医療行為ができるようになるとのことです。今後はたんの吸引、経管栄養など介護職員による医療行為の拡大がなされるのではないかと現場では不安が広がっております。たんの吸引は現実には介護職員が必要に迫られてやっていたからと現状を追認、研修の保障がされているとは思えません。十分な研修の機会を保障することなく、医療行為の拡大にならないよう歯止めをかけるべきではないでしょうか。根本的に解決するのに必要な医師・看護師等医療体制の確保がされるよう対策をすべきと考えます。
健康福祉部長にお聞きいたします。
<健康福祉部長>
介護職員の処遇改善についてのご質問でございます。
今回の介護報酬改訂にともなう支給要件につきましてでございますが、交付金でこれまで介護職員の処遇をかさ上げするということでやってきたわけでございますけれども、この交付金制度と同様に月額1万5千円相当の賃上げがはかられるように加算額ですとか、あるいは申請手続きなど細かい制度設計がなされているというふうに思っております。これをきちんと実施していただければ、いままでの賃上げというところは担保されるものではないかというふうに考えているところでございます。
次に、介護職員による痰の吸引等の医療行為につきましては、社会福祉士および介護福祉士法の改正によりまして実施することのできる医療行為の範囲が明確に定められました。その内容につきまして一定の研修を受けることを条件といたしまして実施できることとなっております。
県といたしましては今年度から研修を開始いたししまして、今後10年間で約2300名ほどの方々に受講できるように計画的に実施してまいりたいと考えております。
介護施設において医療行為を必要とする方々、要介護高齢者が年々増加している一方で現場における医療行為を実施できる人材確保は医師、看護師だけでは非常に厳しいということは、私どももそのように認識しております。従いまして法で定められました範囲の行為につきましては、研修を実施した介護職員が医師、看護師との連携のもと適正な医療行為ができる環境整備につとめる、そういうところに努めていきたいと考えております。
<和田議員>
保険料抑制のために国の負担を増やすように引き続き求めてほしいと思います。
また、「介護保険サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の附帯決議では、「介護職が喀痰吸引等を実施するにあたっては、知識・技術の十分な習得をはかるとともに、医師、看護師その他の医療関係者との連携のもとに、安全管理体制を整備し、そのうえで実施状況について定期的な検証を行うこと」とされております。この主旨がきちんと担保されるよう要望いたします。
<和田議員>
次に「地域包括ケア」への移行について伺います。
2025年、団塊の世代が後期高齢者になられるわけでございます。ここを見据えて施設から在宅へと「地域包括ケア」で大きく舵をきる方向が示されました。
地域包括ケアは、「住居の種別、従来の施設、有料老人ホーム、グループホーム、高齢者住宅、自宅にかかわらず、おおむね30分以内に生活上の安全・安心・健康を確保するための多様なサービスを24時間365日利用しながら地域での生活を継続することができる」ことを目指すそうですが、「地域包括ケア」は施設から在宅へという方向が示されたということでしょうか。
現実には特養の施設入所を待っておられる方々が在宅で約5200人、他の施設での待機者が約3200人という状況です。今後も特養の施設整備は必要であることは自明のことであります。できることなら家に帰りたいといっても、自宅に帰れない、こういう状況でありますので、特養など施設整備は今後はどのようになっていくのか。健康福祉部長にお聞きいたします。
<健康福祉部長>
地域包括ケアと今後の施設整備目標についてお答え申しあげます。
今回、地域包括ケアというものが非常に大きく取り上げられまして、今後住み慣れた地域において要介護者を支える仕組みである地域包括ケアシステムの構築というものが前面に出されたわけでございます。
これは長野県の第5期の高齢者プランにおいても、大きな課題として取り上げておりまして、すべての市町村において取組まれることを目標としております。しかしながら一方、ご指摘の特養待機者の解消も、第5期高齢者プランの重要な課題というふうに認識しております。そのため現在のところ第4期プランの1,8倍にあたります2000床以上の整備をすすめながら入所待機者の解消に積極的に取組んでまいります。
介護保険法においては在宅から施設に至るまで、いろんなサービスがございます。それらが適切にいろんなバランスで適切な形で提供されるようにすすめてまいりたいと思っております。
<和田議員>
特養の整備が不足しているにもかかわらず、在宅への方向転換をするまでのあいだ、特養入所対象者を現在は要介護1〜5であるが、要介護3〜5にせばめる、しぼりこんで当座をしのぐなどということがおこるのではないか、在宅サービスの充実とうたわれていることで、さらに施設整備の必要数を削減していくのではないかという危惧をいだいている関係者もおられます。
在宅サービスの充実がされないまま、入所者の絞り込みで対応することがないように、介護で泣かない長野県が実現できますように、若い部長に大いに期待しておりますのでよろしくお願いいたします。
<和田議員>
次に長野広域のごみ処理について伺います。
一般廃棄物の処理が広域処理になり「ごみ処理広域化計画」に、県としても深くかかわっているわけでございますが、ごみの量は県民の協力と3Rの推進で総量が減少しています。長野広域でもごみ処理の有料化や分別による資源化の取り組みによりまして、平成26年度の目標としていた家庭系、事業所系の可燃ごみ減量目標を5年も前倒しで平成21年に達成することができました。今後も人口減少とごみ減量でさらに減量できると思われます。
そういう状況でありながら、ごみ処理広域化基本計画の見直しでは、ごみ処理施設規模は従来のまま変更されないという問題であります。減量したごみの量に合わせた焼却施設規模に計画の見直しをするよう県は積極的に指導するべきではないかと思いますが、環境部長に伺います。
また環境省はダイオキシン対策として、平成9年からごみ処理広域化、焼却施設の大型化をすすめてきました。同時に大型焼却炉建設の際は、焼却灰・飛灰の溶融固化施設の設置が原則でありました。しかし、溶融炉建設コストが高い、技術的課題が多い、管理・維持経費がかさむ、大事故が発生したなどの経緯で、焼却施設建設に溶融固化施設を原則設置から設置しなくてもよいという見直しがされています。
県としてごみ処理計画に組み込まれている灰溶融炉固化施設の見直しをするよう周知しているのか。環境省の姿勢が変わっていることもあわせて、計画の見直しができないか。環境部長にお伺いいたします。
<環境部長>
焼却施設の建設計画等に対する県の指導に対してのお尋ねでございます。
市町村はみずからが策定する一般廃棄物処理計画におきましては、その区域内における廃棄物の排出抑制のための方策に関する事項を掲げるとともに、目標年次における排出量等を推計する必要がまずございます。またこの計画におきまして一般廃棄物の処理の処理施設に関しましては廃棄物の排出量に即した適正な規模とすること、また大規模な地震や水害等の災害時における大量の廃棄物の発生に備えて一定程度の余裕を持った規模とすることが国の指針等で示されている所でございます。
一般廃棄物は統括的な処理責任は、その市町村に負うこととされておりまして、処理施設の整備につきましても市町村等がその地域の実情に応じて、排出される廃棄物の量、質、人口動態等を勘案して決定すべきものと考えているところでございます。
県といたしましては市町村に対しまして国の助成制度の交付申請に関わる計画作成などについて必要な指導助言を行なっているところでございます。
それからもう一つの焼却灰の溶融固化設備にかかる通知の周知についてということでございます。お話ありましたように平成9年度から16年度までの間、一般廃棄物の焼却施設整備にかかる国の補助制度におきましては、焼却灰の中のダイオキシン類の熱分解あるいは焼却灰の減量化をはかるために焼却灰の溶融固化設備の設置を補助要件としてきたところでございます。その後、焼却技術の向上によりまして焼却灰中のダイオキシン濃度が著しく低下してきたこと、また3Rの推進により処分量が減少してきたこと等によりまして、平成17年以降の新たな補助制度では、お話の焼却灰の溶融固化設備の設置、これを補助要件とはしておりません。
議員ご指摘の環境省の通知、これはこのような背景を踏まえまして溶融固化設備の廃止に伴う補助金の返納を免除する旨の内容でございまして、県はこの通知を市町村長、あるいは一部事務組合長、広域連合長宛に通知をした所でございます。
<和田議員>
環境の世紀といわれる時代です。「大量生産・大量消費・大量廃棄」によってごみが生み出され、出るごみは大型焼却炉によって燃やす、ごみの"焼却中心主義"を見直すことが大事と思います。信州の環境保全、ごみ減量へご苦労ですが、よろしくお願いいたします。
<和田議員>
次に、TPPについて伺います。
高村県議が、TPPに日本が参加した場合の県民に与える影響を県としてどう試算しているか、どのように情報収集しておられるか、と質したことに対し、企画部長は、国や県内の関係団体から情報収集してきた。国は交渉に向けた事前協議の段階としており、「影響を推し量るうえでの基本的な条件すら見えていない。県内の影響を合理的に試算できる段階にはない。」との答弁はあまりにも無責任、能天気と、開いた口がふさがりません。
TPP交渉参加国間では、すべての関税が撤廃されるということが前提条件であり、その他に非関税障壁についても交渉するということであります。アメリカ側からは、日本がTPP参加をするのであれば、必要な構造改革をおこない、競争政策、投資、金融サービス、デジタル経済、政府調達、知的財産権、原産地規制のような諸分野での新秩序をつくりだすようにと強く迫られております。
医療、保健、金融、労働力など非関税障壁については、現段階で試算するには困難な面もあると思います。しかし、関税が撤廃されることで生じるメリット・デメリットについては一定の検討・試算ができるのではないでしょうか。
現に、農政部では農業生産額は685億円、平成20年農業産出額の4分の1が落ち込むと試算しています。
かつて、木材の関税が撤廃されたことによって日本の林業が受けた影響などを参考にすべきであります。木材では残っているのは「合板」だけと関係者からお聞きしました。関税撤廃によって県内林業への影響は試算できるのではないかと思います。林務部長にお伺いします。
逆に、県内製造業で輸出関連企業にとって、現在の取引先国の関税が撤廃されることによるメリットがどの程度あるのでしょうか。メリットは単純にはわからないということであれば、関税によって輸出できないという不利益をこうむっている企業があるのでしょうか。商工労働部長にお伺いいたします。
<林務部長>
合板の関税撤廃によって県内林業が受ける影響についての試算についてのお尋ねをいただきました。
木材の関税撤廃は昭和30年代国内の森林資源が未成熟な中で高度経済成長にともなう旺盛な木材需要に対応するため、当時としてはやむを得ない措置であったものの、その後の外材の輸入拡大を招き、林業低迷の一つの要因になったものと考えております。
合板の関税撤廃による県内林業への影響でございますが、本県には合板の製造工場がなく、近県の工場へ合板用の丸太を出荷している状況であることから、その影響は間接的なものとなること、また合板の輸入量は為替の変動や国内の住宅着工の動向等複合的な影響を受けること、こうしたことからTPP協定に限定した関税の廃止に伴う影響の試算は困難でございます。
今後とも様々な分野、用途で県産材の利用拡大をすすめるとともに販路の拡大をはかり、県内林業の足腰の強化につとめてまいります。
<商工労働部長>
TPPに関しまして、県内製造業、関税撤廃のメリット、その他のご質問についてお答え申しあげます。
まず県内製造業の輸出の状況についてでございます。一番新しい数字で平成22年度の輸出額は速報値でございますが、1兆3190億円、製造品出荷額の総額に占める輸出の割合はだいたい4分の1でございます。また現在TPPへの参加、あるいは参加を表明している国への輸出状況で申しあげますと輸出額で3900億円弱、輸出額全体の3割程度でございます。
以上の様なことから、本県の輸出関連企業にとりまして、アジア市場での競争条件の改善等を踏まえればTPP参加による影響は、総じてプラスになると推測される所でございます。
しかしながら一方で関税の撤廃に伴います海外からの部品の輸入、あるいはそもそも関税を撤廃したことが、どの程度実際の率として輸出の増加に結びつけるかという非常に難しい問題がございます。また、個別の影響について申しあげますと、貿易の相手国によりまして、また品目によりまして、それぞれ関税率、あるいは個別の輸出競争力、こういったものが異なっておりまして、さらに原材料の価格変動など様々な要素があることも考えなければいけないと思っております。
従いまして県レベルにおいて現時点でTPPの影響を定量的に表すことは困難と考えている所でございます。また関税があるために輸出できないというような不利な状況が長野県の企業にあるかということでありますが、一般論で申しあげますと関税のある分だけ不利に働いていることは現実にあるという具合に思っております。
<和田議員>
それぞれ御答弁をいただきまして、それぞれの部局に関連して大変に影響に対しての試算等にご苦労をいただいております。
農政部は農林水産省の影響試算に基づいて試算し、平成22年12月24日に庁内でおこなわれた「包括的経済連携に関する連絡会議」に資料を提出しています。これは公表され、私たちも資料をいただいています。
新聞報道ですが、今月22日にはTPPをめぐる政府の動向に対応する「国際的な経済連携に関する対策会議」、議長は阿部知事で、会議が庁内で開かれ、各部が県内の各種団体から聞き取った意見を報告したとされています。
商工労働部は、商工団体の意見として「県内の製造業は輸出に依存しており、関税撤廃によるメリットへの期待がある一方、中小企業は競争が激化し経営が立ち行かなくなる懸念がある」。農政部は農業団体から「関税撤廃で、特に中山間地域の農業衰退が心配」。林務部は林業団体から「木材は既に輸入自由化で関税はゼロ。円高で外材が入手しやすくなり、林業の衰退を招くのではないか」とそれぞれ報告があったと記されておりました。22日に庁内の対策会議で各部局からの報告を受けているわけであります。であるにもかかわらず、24日の代表質問の答弁はあまりにも、企画部長、不誠実だったではありませんか。
全国的にも、県内でも、TPP交渉に参加しないように求める世論や運動が広がっております。JAや農業会議など農業関係団体はもとより、医療関係者、県内ではっきり反対の表明をしている町村長もおられます。
JA長野中央会の大槻会長は、しんぶん赤旗のインタビューに答えて、「環太平洋連携協定に参加すれば、国民の命を守る上で、大変な事態を招くことになります。国の形を変えるどころか、この国をつぶしてしまうことになるんじゃないかと危惧しています。」と表明されました。
長野市医師会の新年会では、県医師会長の大西先生が来賓あいさつの中で、「TPPによって国民皆保険制度が危機的になる」ことを、熱弁をふるって訴えておられました。
23日付「信濃毎日新聞」報道では、22日、県世論調査協会の県民意識調査はTPP反対32%、賛成27%と反対が上回りました。そしてTPPの影響や内容について、政府は「あまり説明していない」53%、「まったく説明していない」25%と8割近くの方が政府の説明不足を指摘しております。同じ世論調査で、長野県に対して67.3%が「もっと県内への影響について情報提供してほしい」と要望しています。
企画部長が担当部長として情報収集し知事に報告する、そして知事ははっきりと県民に情報提供する、これが、県民が県政に、阿部知事に望んでいることではないでしょうか。
県がきちんと情報や影響を公表し、国にも情報の公開を働きかけるべきだと考えます。企画部長にお伺いいたします。
<企画部長>
TPPに関する影響についてご質問をいただきました。
TPP協定につきましては、高村議員の代表質問にもお答えした通りでございまして、現在は協定に参加するかどうかの事前協議の段階でありまして、県内の影響を推し量る上での基本的な条件すら方向性が見えない状況でございます。したがって県内への影響を合理的に試算できる段階にはないということであります。ただ引き続き国に対しましては十分な情報提供を積極的に行なうよう求めてまいりたいと考えております。
<和田議員>
日本のTPP交渉参加に向けてアメリカワシントンで7日に行なわれた一回目の日米事前協議の中で、日本は全品目をテーブルに寄せる用意がなければTPPに参加させないと述べ、事実上の参加条件を提示していたことが23日明らかになっております。TPPに参加した場合の最悪の状況を想定して考えていかないと あとで想定外だったということでは許されないと思います。
非関税障壁の緩和にむけて、24の作業部会が設けられています。政府は、交渉状況について21分野の状況を報告されたそうです。この報告で日本政府が懸念を認めた分野は13にも及んでいるということです。
また、野田総理もISD条項は寡聞にして詳しく知らなかったといっているそうでございますが、事前協議の段階でも、さまざまな問題をTPPは抱えております。
TPPは、国の形を変える重大なことであり、今後の交渉は秘密裡にすすめるということでありますので、そこまで、危険をおかしてまで参加する必要はないと思います。
知事は、国に言うべきことをはっきりと言っていただきたいと申し上げまして私の質問を終わります。