<小林議員>
日本共産党の小林伸陽です。通告にしたがって質問いたします。
最初に米軍が強行しようとしているオスプレイの配備に対して知事は、国へ情報開示を求めた上で検討すると答弁されましたが、事故の多発は明らかで、安全性や騒音被害が心配され、情報も開示されないと沖縄県知事はキッパリ反対。知事も反対を明確に表明すべきですが、知事の見解をお尋ねします。
<阿部知事>
オスプレイの配備についてのご質問です。26日に中川議員にもご答弁いたしましたが、この問題、政府がまず対応をしっかり行ってもらうということが必要だと思っています。県として、このオスプレイの安全性、政府の考え方、これは我々もしっかり把握して県民の安全を守るという立場でありますから、待っているだけではなくしっかりと政府の考え方を確認していかなければならないと考えておりますし、また、国においては国民の安全を守るという観点で毅然とした対応をしていただきたいと思っております。
<小林議員>
次に景気対策についてお尋ねします。
深刻な不況で倒産、生産縮小、廃業する企業も増える一方です。その結果、県税収入も大幅に落ち込み、県財政にも大きな影響が生まれています。県は昨年、数次の景気対策を行ってきましたが、その総額と波及効果はどのようになったか、建設部長にお尋ねします。
<建設部長>
景気対策として実施する公共事業の経済波及効果についてのお尋ねです。
ご質問の経済波及効果につきましては長野県産業連関表を用いて推計を行なっております。平成23年度の経済対策補正を例にとりますと、9月・11月議会において建設部として合計77億円余の経済対策、補正をお認めいただいています。この補正による経済波及効果を直近の長野県産業連関表を用いて推計いたしますと、約50億円の新たな生産活動が誘発され、投資額の1・5倍となる約130億円程度の生産活動が県内で行なわれているほか、これに伴って増加する雇用者数は千人程度になると推測されています。
経済対策として公共事業を実施することにより、県民の確かな暮らしを支える為の社会基盤が着実に進むとともに、県内経済に対する波及効果が生ずるものと考えております。
<小林議員>
住宅リフォーム助成制度を創設したことは大変評価をするものであります。現時点で利用者数と市町村の制度の利用者数について建設部長にお尋ねします。
<建設部長>
住宅リフォームの助成制度についてのお尋ねです。
県では県産材の活用や既存住宅の性能向上等を目的として、新たに住宅リフォーム助成制度を創設いたし、4月16日から募集を開始しております。助成制度の利用状況につきましては、現時点で16件の申請を受け付けているところです。
次に市町村の住宅リフォーム助成制度の利用状況についてのお尋ねですが、平成24年度に経済対策を主目的としてリフォーム助成制度を実施している市町村は、把握している範囲で53市町村、予算額は9億8222万円、現在の利用件数は4640件となっています。
<小林議員>
私たち日本共産党は深刻な不況打開のために有効な対策として、秋田県や佐賀県で取り組み大きな経済効果を上げている、住宅リフォーム助成制度を具体的な成果を示し提案してまいりました。新建新聞でも補助金11億円で115億円の経済効果と大きく報道され、すでに県下54の市町村で実施し、その経済効果は10倍とも15倍とも言われます。市町村が行っている住宅リフォーム支援制度は耐震補強、下水道、バリアフリーなど、どんなリフォームも対象となり、住民から大歓迎、長野市では受付前日から並んだ人を含め受付時には600人が行列、初日だけで702件の申請で満杯とのこと、多くの市町村でも受付に行列ができたり、一日で予算超過や補正予算を組むなど対応に追われています。又、工務店や大工さんだけで無く屋根屋さんや電気、設備、建具など様々な業界に経済効果が波及して、税の滞納まで解決したとの報告も生まれています。
深刻な不況と県財政の逼迫しているときこそ少ない税金で大きな効果の上がる景気対策が求められております。昨年の上伊那の市町村長と知事の意見交換会でも多くの首長から、経済効果は抜群との経験をもとに県も制度を作り市町村制度への上乗せが強く求められ、知事もご意見を尊重したい旨の答弁がされました。
しかし現状は県民の期待に反し使いにくく、さきほど部長の答弁では16件と大変不評です。その一方で昨年の市町村の制度は8489件、先ほど部長も答弁で、本年も4600件に達していると。県の16件はあまりにもひどすぎる。住民からも業者からも不満が多いその原因が何なのか、伺います。
住民の期待に応えるために制度を見直すべきと思いますがいかがでしょうか。
又、予算も市町村で11億円予算化しているのに県は5000万円ではあまりにも少なく増額すべきと思いますが知事の所見をお尋ねします。
<阿部知事>
住宅リフォームの助成制度についてです。
これは単なる経済対策という観点だけではなくて、県産材の利用拡大という視点も盛り込んで制度を創設したわけでありまして、これは議会での議論もへて制度化をしたわけであります。昨年までの同様の制度と比べて利用件数は増えているという状況でもあります。まだ制度がスタートしたばかりですので、様々な媒体を通じて制度の周知徹底を図っていきたいと考えております。
予算の増額というお話がありましたが、まずは制度の浸透を図っていくことが先決だと考えています。
<小林議員>
どんなに周知しても使いにくいものはなかなか普及しない。昨年の浅川ダムの予算を見れば20億円も計上しながら使われたのはたったの7100万円、3・6%です。こういうものこそ景気対策に使う。仮に20億円を住宅リフォームの予算に盛り込めば2千億円もの経済効果が生まれるわけであります。知事の景気対策に対する決意をもう一度伺います。
<阿部知事>
景気対策に対する決意ということですが、これは当初予算のなかでも、展示会、相談会の経費であるとか、あるいは観光関係予算、キャンペーンを通年で実施していくとか、あるいは公共事業も厳しい財政状況でありますけれども、県民に本当に有効、役立つ社会資本整備はしっかりと進めていこうということで、予算編成をしているわけでありまして、そういった観点で様々な取り組みをしております。
この住宅リフォーム助成制度に関連しては、さきほどお話し申しあげたとおりの趣旨でございますので、引き続き制度の周知と、私どもとしてはこの制度が趣旨にそくして使っていただけるように取り組んでいきたいと思っております。
<小林議員>
住宅リフォーム助成制度の改善を強く求めて次の質問に入ります。
<小林議員>
次に森林資源の調査と活用についてお尋ねします。
長野県は全国有数の森林県ですが、現在の主要品目の森林資源の現状をどの様に把握されているのか、その上で川上から川下までの一貫した体制作りを中期総合計画に盛り込むべきと思いますが、現在の到達点について林務部長にお尋ねします。
<林務部長>
森林資源についてのお尋ねをいただきました。
まず、本格的な森林・木材利用が可能となる61年製以上のカラマツ・ヒノキ・スギの有林の資源量につきましては、1639万立方メートルとなっております。樹種別の内訳としましては、カラマツが811万立方メートル、ヒノキが434万立方メートル、スギが394万立方メートルとなっており、資源量全体の22%を占めている状況です。
この資源を活用していくための長期的な計画としましては、平成32年までの10年間で間伐を18万4000ヘクタール実施するとともに、素材生産量を75万立方メートルに引き上げるといった目標を掲げ、その達成に向けては、森林生業の集約化、林内路網の整備、高性能林業機械の導入などを集中的に進める林業経営団地を設定し、間伐の推進に取り組み、資源の有効利用を進めていくこととしております。
<小林議員>
私たちは先日岩手県住田町の森林・林業日本一の町を目指す取り組みを視察してまいりました。3.11大震災の直後、町長は隣の陸前高田市や大船渡市の惨状を見る中で、住宅の必要性を実感し、全国初めての木造仮設住宅を4月1日までに町内に63戸、町外に60戸を専決処分で建設、同6日には入居受付、5月2日には入居開始と素早い対応に感動すら覚えました。
こうした対応が出来た裏には日本一の森林・林業の町づくりのとりくみがありました。森林資源の現状をしっかり把握し、その利用を前提に森林整備、森林所有者の実態把握、森林組合や素材業者の育成、製材、集成材、プレカット工場などを建設、住宅会社も設立するなど川上から川下まで一貫した体制を確立し、安価で住む人に快適な住宅を提供しようと努力されています。仮設住宅も一戸建て、建設費は270万円と安価で実現。全世帯の一割ちかい町営住宅は全て地元産の木材で建設、今後さらにグレイドの高い町営住宅の建設を計画していました。木造仮設住宅の快適さを体験された被災者の要望に応えて、この八月には安価な復興モデル住宅3種類を建て展示し、被災者支援を行う準備が進められるなどその対応は目を見張るものでした。
森林県として林業が住田町のように業として成り立つ仕組みの構築を中期総合計画に盛り込むべきと思いますが、知事の所見をお尋ねします。
<阿部知事>
林業についてのご質問です。
私も昔、住田町、岩手県におりましたので何度もお伺いして、非常に古くから林業を中心に町を育てていこうという取り組みをされていらっしゃいました。
長野県は、県内の8割が森林圏ということで、これから県の持つポテンシャルとして、この森林資源をどう活かしていくかということが大変重要になってきますし、また、林業を業として成立させていくと、これは林務部にはぜひ森林整備という観点だけではなく業という観点で取り組んでほしいとお願いをして進めてきております。
そうしたことから観点として私が考えておりますことは、一つは、木材を低コストで安定的に供給できる仕組みを作っていかなければなりません。これは路網の整備であるとか、機械化の促進、あるいは施業の集約化、そうしたことをしていく必要があると思います。それから質の高い県産材製品を安定的に生産できる仕組みということで長野県は小規模な工場が多いわけですので、複数の工場が分業して協同で販売する連携の取り組みとか、あるいは大規模で効率的な木材加工流通施設の整備と、そうしたところに力を入れていかなければいけないと思います。
また、森林という観点でご質問にもありましたけれども、公共工事の建設資材としての活用の用途の拡大、あるいは木質バイオマスエネルギーとしての利用など、様々な用途への県産材の活用、供給の拡大ということを考えていかなければならないと、こうしたいくつかの視点での取り組みを進めるなかで、長野県の林業が元気になるように全力で取り組んでいきたいと思っております。
<小林議員>
ぜひ、住田町のように業として成り立つ、そういう施策をしっかり構築していただきたいと思います。
<小林議員>
次に医師、看護師確保についてお尋ねします。
医師・看護師不足は深刻です。上伊那の医師会が開業医の看護師231人にアンケート調査を行った結果、看護師の半数以上が50歳以上、20代は僅か8人と高齢化は深刻。数年後には退職者が急増し看護師確保は極めて深刻としています。医師、看護師不足でベッド閉鎖も生まれています。医療圏ごとの医師、看護師不足数の実態どの様に把握されているか、これまで行ってきた対策の成果もお尋ねします。
県は上伊那広域行政組合に看護師は地産地消で確保するとの方針を示されたと聞きますが、看護師は農産物や森林資源のように地産地消というわけにはいきません。地産地消とは具体的にどの様な方針か健康福祉部長にお尋ねします。
<健康福祉部長>
県下の医師不足、看護師不足についてのお尋ねです。
まず、医師不足の状況、対策と成果についてお答えします。
県では深刻な医師不足の解消に向けまして、医師確保を県政の最重要課題の一つと位置づけて様々な施策を実施して参りました。ドクターバンク、医学生就学資金貸与などをやってきております。そういう県の制度を通じて、これは一昨日村上県議のご質問にもお答えしましたが、108名の医師をこれまで確保しているところです。また、医師の数自体は全国でも増えてきております。そういったこともありまして、県全体の医師数は平成22年末の人口10万人単位の医師数は205名となりました。平成20年末は196名でしたので、着実に増加しているところです。しかしながら、依然として全国平均を14名下回っている状況です。
また、さきほど二次医療圏ごとというご指摘ございましたが、全体増えている中で、平成22年の数で申しあげますと、上伊那地域、木曽圏域は人口10万人単位でみると少し減っています。こういった地域の偏在というものがあります。また、診療科ごとの偏在というのもありまして、医師不足はまだ非常に強いと思っておりますので、私どもとすれば、引き続き信州医師確保支援センターを中心に医師確保に取り組んでまいりたいと思っております。
続きまして、看護職員についてお答え申しあげます。県では第6次の長野県看護職員需給見通しというものを出しておりまして、この需要の数に対して、現在、看護職員の数、充足率ですが、平成18年末が92・5%、その後様々な制度に取り組むことで平成22年末には97・8%になっています。ただ、医療の高度や多様化による看護職員の需要の増加、制度改正による需要の増加、あるいは地域間・病院間における偏在というものが不足感につながっていると分析しています。
これに対応して県では、県立の養成校の運営、それから民間の養成校もありますので、こういったことに対して運営費を補助することによって新規の看護師確保に努めております。平成22年4月には新規学卒者776名のうち83・5%にあたる648名が県内に就業しています。また、その648名のうち46名は私どもの看護職員の就学資金を貸与して中小規模の病院やあるいは過疎地の医療機関に就業しています。看護職員の確保の為にはこういった新規以外にも潜在看護師の再就業も重要であると考えておりまして、ナースバンク事業による再就職支援にも取り組んでいまして、これも平成22年度には県内の再就業者2028名いますが、そのうち416名、約2割の方を再就業に結び付けているという状況です。さらに、新人看護職員の離職防止のために研修会の開催に取り組んでおります。県としては今後ともこうした取り組みを進めまして看護職員の確保を積極的に進めてまいりたいと思っています。
次に、地域における看護職員の多様性についてお答え申しあげます。先ほど申しあげましたとおり、県内の大学、短大、専門学校を含む県内の養成校の学生の進路を見ますと、県内に8割以上が就業し、さらに、自分が実習した病院に4割程度が就職すると。地元思考が非常に強いと我々は分析しています。特に看護専門学校においては9割以上が県内に就業しており、ほとんどの方が出身地や学校所在地の近隣の地域に就業するという傾向があります。このような状況から、看護職員を確保する為には、看護職員を地域で養成し、その地域で活躍していただくということが大事であるという思いがありまして、ひとつの例える言葉として議員が申しあげたことがございます。
いずれにしても、県内には19の看護師養成校がありますが、養成校が十分でない地域もありますのでそうした地域については、私ども、市町村や医療関係者をはじめとする地域の皆さんのご意向を踏まえまして、例えば看護教員の養成に対する支援とか、県としてもできる限りの支援を行なって参る所存です。
<小林議員>
ただいまの答弁でも、医師が、上伊那ではマイナスという状況です。
知事は上伊那市町村長との意見交換会で福祉は市町村、医療は県の責任と発言されておりましたが、上伊那地方の医師不足、看護師不足解消のためにどの様な対策を考えておられるのか。上伊那医師会などの関係者から看護師養成学校の開設が強く求められております。県としての具体的対策について知事の所見をお尋ねします。
<阿部知事>
医療政策についてのお尋ねです。
ご質問にもありましたように、大きな将来的な方向性として、行政間の役割分担を考えたときに、県として医療の分野というのはこれまで以上に重要な分野でありますし、踏み込むべき分野だと思っております。そういう観点で中期計画あるいは保健医療計画策定の中で県としての方向性を出していきたいと思っております。医師確保については先ほど健康福祉部長も答弁いたしましたが、いま、医師確保総合支援センターで様々な取り組みを進めてきています。また、地域医療再生の取り組みのなかで上小あるいは上伊那の二次医療圏における医師・看護師確保等の地域の課題解決のための事業、あるいは三次医療圏における救急医療やガン診療に関する高度専門医療機関の整備・拡充という取り組みも進めてきております。こうした取り組みを着実に進める中で長野県全体の医療のレベルが上るように県として取り組んでまいりたいと考えております。
<小林議員>
看護師はその学校の地域に定着することが非常に高いわけであります。上伊那にはそういう施設がないということから、ぜひ上伊那に看護養成学校の開設に、県としても支援を、重ねてお願いして次の質問に移ります。
<小林議員>
最後に、社会保障と税の一体改革についてお尋ね伺います。
現在の消費税5%でも中小零細企業の多くが、消費税を価格に転嫁できないばかりか、単価きり下げで経営が大変です。滞納すれば14%とサラ金並みの延滞金が科され、さらに深刻です。売上高1000万から1500万円の業者の3割しか転嫁できないとの調査結果も出ています。
県内業者の転嫁と滞納の実態をどの様に把握されているか。
また、消費税が課税できない輸出企業には戻し税制度があり、トヨタ一社で2200億円、全体で消費税の23%に当たる、3兆円も還付されているが、戻し税が下請け企業に価格で反映されるべきと思いますが、下請け企業に還元されておりません。国に制度の改善を強く求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。過去の消費税導入時、5%の引き上げにより、長野県下の企業の倒産・縮小、閉鎖の実態はどうであったか。この深刻な不況時に8%へ、さらに10%への増税が県内企業に与える影響をどの様に試算されているのか商工労働部長にお尋ねします。
<商工労働部長>
消費税について、大きく二問のご質問をいただいております。
まず消費税引き上げの影響についてです。消費税の税率引き上げに際しては、過去の事例を見ても一般的に、引き上げ前の駆け込み需要、その反動としての引き上げ後の消費の冷え込みといった、個人消費など経済活動の様々な影響が予想されているところです。
特に中小零細企業について申しあげますと、昨年夏に日本商工会議所など全国の中小企業関係4団体が行なった、中小企業における消費税実態調査の結果によりますと、現行税率においても売上高の小さい中小事業者ほど消費税を販売価格に転嫁できない状況があるとされています。税率引き上げの悪影響を最小限に抑えるための対策が求められていると考えています。
さる26日に衆議院で可決された社会保障・税一体改革関連法案におきましては、まず、消費税の転嫁及び価格表示等に関する指針の策定、次に中小企業向け相談の場の設置、あるいは下請け業者等からの消費税転嫁の要請を一方的に拒否するなどの不公正な取引の取り締まり及び監視の強化、独占禁止法及び下請け代金支払い遅延防止法にかかる必要な法制の措置等の対策を国において講じる旨記載されていると承知しております。
親事業者と下請け事業者間の取引にかかる指導監督については、中小企業庁、公正取引委員会が所管しており、県はこれらの機関と連携して長野県中小企業振興センターに登録している発注側企業約300社と経済4団体に対して下請取引の適正化について、毎年文書により要請してきているところです。また、中小企業振興センターにおいては公正取引委員会とも連携して企業向けの講習会を開催し、下請け取引の適正化に努めているところです。
さらに中小企業庁の委託事業によりまして下請取引の適性化を推進する為、全国48箇所に相談窓口として下請け駆け込み寺が設置されており、本県ではこの下請け駆け込み寺は中小企業振興センターに設置されています。下請事業者からの取引に関する様々な相談に対応するとともに、必要に応じて登録弁護士による専門的な法律相談、さらには調停手続き等を実施する仕組みとなっています。
引き続き中小企業振興センターにおいて中小企業からの取引に関する様々な相談に対応するとともに、消費税の適正な転嫁に関わる国の取り組みを注視・連携し、県としても国に対し必要な要望を行うなど適切な対応を図って参りたいと考えております。
<小林議員>
消費税の導入時が県税収入全体にどんな影響あったか、10%ではどの様な影響が予想されるかお尋ねします。県の事業にも当然消費税が課税されますが、現在の課税額と10%になったときの課税額の予想はどのくらいに成るのか、合わせて総務部長にお尋ねします。
<総務部長>
消費税に関して二点お尋ねをいただきました。
一点目は、消費税の増税後の県税収入の見通しということです。ご案内の通り、県税収入の変化は県内外の社会経済情勢、景気動向の影響を受けるとともに、税制改正による税制変更によって大きく変動いたします。消費税が導入された平成元年ですが、バブルの好景気によって県税収入は右肩上がりで推移しておりまして、また、地方消費税が創設された平成9年当時ですが、税制面では住民税の特別減税があったなか、企業業績が堅調に推移する状況がありまして、新たな税の導入がありまして、県税収入全体は増加したという状況です。
地方消費税についてですが、23年度の地方消費税は220億円ほどです。仮にこの220億円をベースにして、地方消費税がどう変化するかという試算をしますと、仮に消費税率が8%となり地方消費税が1・7%としますと概ね150億円の増収、10%に引き上げられて地方消費税が2・2%としますと260億円の増収という試算をしているところです。
消費税の引き上げによるほかの税目を含む全体の影響となると、先ほど申しあげたとおりいろいろな影響がありますので、収入の見通しをするのはなかなか難しいと考えております。
二点目です。県の消費税負担についてのお尋ねですが、これもご案内の通りですが、県では消費税の申告義務がある企業会計等を除いて、事業執行に当たって負担する消費税額を区分する為の会計処理を行なっておりませんので、毎年度の予算編成では消費税負担額を算出していないというのが現在の状況です。
従って、現時点で増税後の消費税額は見込んでおりませんが、参考までに申しあげておきますと、平成元年度に消費税が導入された際にはその影響額を54億円見込んだところです。今後、消費税の引上げが具体化される場合、その引き上げ金額を的確に把握して、予算編成を行なってまいりたいと考えております。
<小林議員>
医療や福祉の現場では消費税を利用者に転嫁できません。富山県の県立病院全体では、課税した消費税は10億1500万円と議会に報告されていますが、独立行政法人と成った県立病院の消費税の実態はどうなっているのか、増税による影響を健康福祉部長にお尋ねします。
<健康福祉部長>
私のほうには、県立病院における消費税に関するお尋ねです。
医療機関においては提供されるサービスのうち消費税が課税されるものは、例えば人間ドック、あるいは分べん料といった、いわゆる保険の適用にならないものが消費税がかかるということですが、医療収益のほとんどを占める、いわゆる診療報酬は非課税という扱いです。
一方で医療機関の医薬材料の仕入れ、あるいは医療機器の仕入れには消費税がかかります。そういったことから、いわゆる対象外の消費税が生じることになりますが、これに対してはこれまでの消費税導入時あるいは引き上げ時に診療報酬改定のなかで一定程度手当てがされているものと承知しております。また、今国会で審議されている消費税法の改正案においても仕入れ等にかかる消費税の扱いについては診療報酬等による手当てを検討しているとされているところです。
長野県立病院機構が運営する県立5病院における控除対象外消費税ですが、平成23年度に約4億4千万円と機構では試算しています。また、今後の消費税率引き上げ後の影響ですが、病院を受診する患者さんの動向によって医療収益や医療費用が毎年変動するほか、さきほど申しあげた診療報酬による手当ての内容が決まっておりませんので、現時点での試算は困難であると機構から伺っています。
<小林議員>
これは朝日新聞に掲載されたグラフです。タイトルは「消費税増税しても税収は減り歳出は膨らんだ」と言うものであります。1997年に3%の消費税の導入時から税収は減りつづけ5%引上げでさらに税収はこんなに減っています。このグラフを見れば消費税の増税が更なる国の財政破綻をまねき、国民生活を破綻させる事は明白です。
それにもかかわらず野田内閣は公約を全て投げ捨て、ダンゴウ三兄弟ともいわれる、民主・自民・公明三党の密室談合により、消費税の増税を強行しようとしています。消費税の増税で県税収入は増えるどころか過去の実態からも減収です。地方交付税の増額の見通しも不明です。
また多くの業者が価格に転嫁できず負担だけが増える、病院などの転嫁したくもできない業種にも課税される、滞納も増加する、県事業にもさらに大きな負担を強いることとなり、消費税不況をさらに拡大させるものです。どの面から見ても許されるものではありません。
国民の半数以上が反対し、提案している政権与党からも大量に反対議員が生まれるほどです。国の財政も国民の暮らしも破壊するからです。
県は消費税の影響調査も不十分で、知事は県民の暮らしを守る立場に立つなら、キッパリと反対すべきではないか。知事の見解をお尋ねします。
<阿部知事>
消費税の問題は、県民の生活にも影響する非常に重要な問題だと私は考えております。
今、消費税導入で税収が減っているじゃないかと。私は、平成元年、消費税が導入されたとき、岩手県で税務課長をしておりましたが、当時のことを思い出すと、地方間接税は大幅に整理されました。消費税の導入だけではなくてその時に他の税制改正も行なわれておりますので単純に収入の金額が上っているか下がっているかだけで論じるのは、いささか論点がすり替わってしまうのではないかと私は思います。
消費税については、私は、社会保障そして財政、わが国の両制度、今のままでは持続可能なものではないと思っております。このままの制度、負担という関係を続けていくと子ども達・孫たちの世代に多額の負担のつけ回しをしてしまうんじゃないという大いなる懸念を私は持っております。そうした観点で、やはり、安心した社会をつくっていく上では、社会保障制度の安定というものが不可欠ですし、そのための消費税の引き上げ、国民の皆様方に広くご負担いただくとことは、私は避けて通れないと、必要なことだと考えております。
ただ、先ほどのご質問にもありましたが、今非常に格差社会といわれるように低収入のご家庭も多く存在するわけでありますし、また、中小企業の皆さんも一生懸命がんばって経営努力をされているわけでありますので、やはりそうした観点での配慮は当然なされなければいけないと思いますし、また、社会保障制度の方向性、今の時点では必ずしも明らかにはなっていないと私は思っております。やはり、この税の負担感というのは我々が負担した税が本当に生きて使われているのかということによって、同じ税負担でも変わってくるんじゃないかと思います。そうした観点ではぜひ国会の責任においてしっかりとした社会保障制度の方向性を国民に対して示してもらいたいと思っております。
加えて、これは分権の話をずっと地方の側は求めておりますが、地方分権改革もなかなか進まないわけですし、国はさらに行革の余地があると思いますので、そうした行革の努力をさらにいっそう、国全体で行なっていってもらうことが必要だと思います。そうしたことをしっかり行なったうえでぜひ国民の理解を得られるような取り組みにしてもらいたいと考えております。
<小林議員>
私も単純に言っているわけじゃありません。このグラフを見ていただければ明確であります。国の、消費税導入して以来の税収入はこれほどさがっているんです。そして支出はこれだけ上っているんです。これだけ長い期間、一年や二年の問題ではなくて長期に渡ってこういう傾向が続くということは消費税がどれだけ私達の暮らしに影響し財政破綻を招くか明確ではないでしょうか。真摯に受け止めて県民生活を本当に守っていく、景気を良くしていく、そういう立場でこれからもさらに奮闘していただくことを心から期待して質問の一切を終わります。