2012年6月定例会 6月26日 一般質問 両角友成

1、原発ゼロ・自然エネルギーへの施策について
2、福祉医療の充実について
3、県民参加の防災計画を

1、原発ゼロ・自然エネルギーへの施策について

<両角議員>
 おはようございます。我が会派、今定例会も1番くじを引き当てました。
 日本共産党長野県議団の両角友成です。私は、発言通告にそって一般質問を行います。初めの質問事項は原発ゼロ・自然エネルギーへの施策についてであります。

(1)原子力発電所の再稼動について
 私は、あえて言います。福島原発は収束していません。福島は終わっていないのであります。まず、原発事故を起こした3号機、プルサーマル発電で、ウランとプルトニウムを混ぜたMOXという燃料を使っていました。
 アメリカGE製マーク?原子炉の元設計者アーニー・ガンダーセン博士は、米国原子力規制委員会の、プレゼンテーションで、意見を述べている方ですがなんと、3号機の爆発は、水素爆発ではなく科学的データーにより、核爆発であったと指摘しています。
 
 また、いま、世界が注目する福島原発4号機は、事故当時、定期点検中、燃料が原子炉から取り出され使用済み燃料プールに入れられていました。
 この状況、京都大学原子炉実験所の小出助教は、「使用済み燃料プールの水が沸騰したり、再び大きな規模の地震が起きてプールにひびが入れば、燃料を冷却できなくなる」と指摘しています。冷やす・閉じ込めるができなくなるのです。
 
 アメリカの国立の調査機関の調査によると、マーク?型の原子炉の核燃料が冷却できなくなると燃料プールから放出したガスによって、18万6000人が死に至るという試算まで示されています。現状は、「プールの崩壊が懸念されている、使用済み燃料を早く安全な場所に移す必要がある。しかし、オペレーションフロアが破壊され、クレーンも、使用済み燃料交換機も使えない」状況と、福島原発は収束していません。これが現実です。
 福井県小浜市の原発反対運動を40年以上続けている明通寺住職・中嶌哲円(なかじまてつえん)さん曰く、

「野田首相や西川知事がいくら美辞麗句、巧みにうわべを美しく飾った言葉を使って再稼働のゴーサインをだそうと、県民や国民の思いとはかけ離れた勝手な判断にすぎず、県内外の広範な人々とともに、実際の再稼働にブレーキをかける世論を広げていきたい。今回の原発震災の過酷さと、愛する人を失った人たちの現状を考えれば、今はまだ喪に服する期間です。
 現地の住民や地域が受けたダメージの調査と対策こそ優先すべきです。
 福島事故の最大の教訓は、想定外が起こりうることを想定すべきだということです。第2のフクシマが同様な事故になるとは限らず、今こそ原発から脱却を決断すべきです。大飯原発3・4号機が動くだけでも年間に、原子炉には、処理・処分の方法もない広島原爆の約2000発分の死の灰が生成されます。後々の世代のためにも再稼働をすべきではありません」
と言い切っています。
 
 私どもは、今なすべきは、「原発ゼロ」の政治決断をするべきだと指摘しています。「そうしてこそ、本当の電力自給への責任をもった対応も、再生可能エネルギーへの、切り替えにも本腰が入る」と主張しています。
 県民の命を守る立場の知事として、原発再稼働に反対すべきと考えますが、「知事」の所見を伺います。

<阿部知事>
 原発の再稼動についての質問にお答えいたします。
 まず福島第一原子力発電所の事故は、今でも長野県に原発事故の影響から避難されている方が大勢いる現状です。そうしたなかで、日本全体として二度とこうした災害を起こさない、原発事故を起こさないという固い決意で取り組んでいくということが重要だと思いますし、原発の再稼動の問題を考えるときの大前提だと考えております。
 今回、政府は大飯原子力発電所の再稼動の決定をしたわけですが、ただ、今回の決定、関西電力管内の今年の夏の電力需給は危機的状況にあるということ、それから新しい規制機関がないなかでの政府による暫定的な安全判断であると。さらには、経済産業副大臣の現地駐在・常駐等、特別な対策が実施されているということなどから、暫定的かつ限定的な措置と受けとめています。
 他の原発の再稼動についてはなしくずし的に再稼動を進めるということがあってはならないと思っております。新しく原子力規制委員会が設置されることになっておりますので、福島第一原子力発電所事故の検証をしっかりして、国会の事故調査委員会でもしっかり検証しているところでありますので、そうした様々な調査結果をしっかりと踏まえて、安全基準を定めることが重要だと思いますし、国民的議論の中で慎重に判断していくことが重要だと思っております。
 長野県は原発立地県ではありませんが、柏崎刈羽原発が立地している新潟県、あるいは浜岡原発が立地している静岡県と隣接をしているわけです。長野県のみなさんの、県民の安全を守る責務を私達は負っているわけでありますので、そうした立場から今後とも国の対応を注視しながら、国に対して必要な意見は言っていかなければいけないと思っています。
 原発全般については、私は原発に拠らない社会をめざすべきと申しあげてきていますし、原子力発電の依存度は、電力会社管内によってさまざまな状況であるわけですが、この依存度はできる限り早く下げていくと。そうした方向性のもとで国民の声を真摯に傾けて、国がエネルギー政策の明確な方向付けを早急に行っていくということが重要だと考えております。

<両角議員>
 隣の新潟県の泉田知事は「6月8日の野田総理大臣の大飯原発の安全性を確認したとの表明に対し、福島原発はいまだ収束しておらず、事故の検証も進行中であり、換言、言葉をかえて言うと、意思決定過程や組織の在り方なども含めた事故原因の特定も行われていません。事故原因が特定されなければ、対策を講じることができないことは明白の理であり、専門家である原子力安全委員会も班目(まだらめ)委員長が安全を確認していないことを明言しています。このような状況下で専門家でもない総理が安全性を確認できるはずもありません」と言い切り、「国民生活を人質にして、安全を軽視した宣言になっていることは極めて遺憾であります」と原発再稼働に物申しています。

 今年の3月11日県下各地で復興支援と原発ゼロを掲げた集会が行われました。私も松本城での集会に一個人として参加。その時のリレートークの中で福島県から白馬村に移住してきた母親が、こう話されました。

「日本に足りないのは、電力ではない、人の命を大切にする心だ!」

 昨年の11月に福島県で、出産した母親が、はたして自分の母乳を我が子に与えていいのかと。これが、日本国内で起きている現実です。

 先ほどの福井県の寺の住職は、日本は2度同じ目に合わないと、その恐ろしさを理解できないのかと、被爆地の広島・長崎を例に話されたと聞いています。
  6月22日には、インターネットを中心に呼びかけられた抗議行動に45000人もの方が首相官邸の前に大飯原発再稼働やめよと押しかけました。参加者は歴史的な出来事との感想も。うちの、藤岡義英県議も参加しました。
 
 事態には、動きがあります。原発再稼働について今一度、知事の所見を伺います。

<阿部知事>
 原発再稼動についての再度のご質問でありますが、先ほどお答えを縷々(るる)させていただきました。私としては、二度とこういうことを起こさないという決意のもとでの対応が必要と思っております。
 さきほど大飯原発の話も触れましたが、私としては、これは暫定的な判断、限定的な判断といわざるをえないと思っています。そういう意味で、今般、原子力規制委員会も新しくできるわけです。なし崩しの再稼動が行われることはあってはならないと私も思っています。国民的な議論の中でしっかりと判断されていくと。安全性を最優先に考えて取り組まれていくべきものと思っています。
 私ども長野県に影響を及ぼす恐れもある原発もありますので、近隣県と十分情報共有をしながら対応していきたいと思っています。

<両角議員>
 県民の代表としてぜひ反対を表明していただきたいと申し述べます。

(2)信州型自然エネルギー元年について
 知事は、定例会初日議案説明の中で、自然エネルギー・省エネルギーにふれ、
全国最大となる10億円が本県に配分されることになったグリーンニューディール基金事業を「1村1自然エネルギープロジェクト」の一つと位置付けて、災害時の防災拠点となる避難所・病院等へのエネルギー自給システムの導入など、自然エネルギーを活用した災害に強い自立・分散型の地域づくりを進めます、とされました。
 県内自治体の長からは県がもっと具体的にモデルを示してほしい、の声も聴きます。自然エネルギー元年にふさわしい取り組みが必要ではないでしょうか。
 太陽光発電の家庭向けは、国の補助金がなくなっていくなかでも、全国30の都県が行い、県内77自治体のうち55自治体が行なっています。このことの県としての応援もしながら、また、県がイニシアチブをとって新しい自然エネルギーに自治体ぐるみで取り組むために、知事のロマンと戦略を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 知事に伺います。

<阿部知事>
 自然エネルギーへの取り組みについてのご質問です。
 本年、「信州自然エネルギー元年」という位置づけで取り組んでいるわけであります。これは何度も申しあげておりますが、単にエネルギーの問題だけではなくて、地域経済の活性化、地域の自立につなげていくということが重要だと思っております。そうした観点で、画一的に補助金を交付することによって取り組んでいくということとは違った方向性で長野県は取り組んでいるわけであります。まさに、地域あるいは様々な事業者の創意工夫を伸ばしていくという観点が重要だと思っております。
 昨年度、自然エネルギー信州ネットを立ち上げました。地域レベルでの事業家を促す地域協議会は現在17協議会が立ち上げられました。市民参加での初期投資ゼロでの太陽光発電普及モデルの具体化も進められてきているわけでして、まさに自立分散、地域主導という形で普及・拡大を進めていくというのが、長野県の進むべき方向性だと思っております。
 今年度、県と市町村の連携による取り組みで「1村1エネルギープロジェクト」を開始しています。元気作り支援金等も活用して、32の自然エネルギーを活用した地域事業を支援してまいります。また、ご質問にもありました、グリーンニューディール基金を活用した、防災拠点への自然エネルギー自給システム導入も進めてまいります。
 さらに、自然エネルギーの普及拡大を阻害しているのは、国の様々な規制があります。こうした規制をなくしていくこと抜きには効果的な自然エネルギーの普及拡大はできないと思っておりますので、県民の皆様方からも広くご意見を募った上で、地域活性化総合特区の申請を目指してまいります。
 また、中長期的には自然エネルギー100%のコミュニティなど自立した地域づくりを進めていきたいと考えております。本年度、地球温暖化対策の新計画というのを作ってまいりますので、そのなかでエネルギー自給戦略、野心的な目標設定も含めて策定してまいります。

<両角議員>
 県では県内の自然エネルギーを活用すれば625万キロワット発電できる潜在能力があると推計しています。2010年に県内で最も電力が使われた瞬間の電力使用量は293万キロワットとのことですから、625万キロワット発電できる可能性を秘めているということは大変素晴らしことだと受け止めています。
 これら、水力・地熱・バイオマス・風力・太陽光等をそれぞれに有効に活用するために、県は人材とノウハウを提供し、自然エネルギーの供給ビジネスにかかる事業計画づくりや資金面への支援をすべきと考えますがいかがでしょうか。環境部長に伺います。

<環境部長>
 自然エネルギーの普及に関わる人材育成、あるいは資金面等の支援についてのお尋ねです。
 県内における自然エネルギーの普及・推進にむけて、今ほど知事から答弁ありましたように、昨年度、産官学民協同の自然エネルギー信州ネットが設立されました。あわせて、その中に、エネルギー種別ごとの部会が立ち上げられ、自然エネルギー普及モデル、あるいは資金調達手法等の検討がされ始めているところです。
 県では本年度は、自然エネルギー自給コミュニティ創出支援事業によって、民間事業者とか市町村による自然エネルギー供給ビジネスの事業化計画作り等の支援を開始しておりますし、革新的なビジネスモデル構築を進めていくこととしております。
 また、地域活性化総合特区を活用して自然エネルギーを加速的に普及していく事業を創出するよう取り組んでいるところですが、そのために庁内関係部局及び県内関係機関で構成する太陽光・小水力等のエネルギー種別ごとの部会やファイナンス部会など検討部会を設置して、地域活性化につながる先進的かつ具体的な事業化を検討しているところです。
 また、県としてはこれらの取り組みを通じて、自然エネルギー信州ネットをはじめとして、民間事業者や市町村間等のあいだで人材育成やノウハウを共有して、県内産業振興とか地域社会の活性化に資する自然エネルギーの促進を積極的に図っていきたいと思います。

<両角議員>
 次に、商工労働部長に伺います。
 先ごろみどりネット(長野県土地改良事業団体連合会)のみなさんと懇談したおり、小水力発電も含め、産業育成の観点からも、県内もの造り企業と一緒になって「形」として生み出してほしい。取り組んでほしいと提案されました。
  また、未来を拓く次世代産業の創出「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」の中にも、全国4位の広さを誇る県土を有し、8割を森林が占め、大きい標高差や長い日照時間により、水力や太陽光といった自然エネルギーの活用に適しているとされ、重点プログラムの中にも再生可能エネルギー・新エネルギーが盛り込まれています。
  県の、環境にふさわしい発電システムの開発という観点から、発電装置などの開発・製造への支援についてどのような検討をしているか伺います。

<商工労働部長>
 発電装置などの開発・製造への支援についてのお尋ねです。
 県ではものづくり産業振興戦略プランに基づきまして、環境エネルギー分野を今後の産業振興の重点分野の一つと位置づけておりまして、工業技術総合センターによる技術支援、長野県テクノ財団による産学官共同研究開発への支援などを進めているところです。
 具体的には、工業技術総合センターでは太陽電池、蓄電池の性能向上などに関して、技術的な相談に応じまして、センターに設置している様々な評価装置を用いて技術支援を実施しているところです。
 また、長野県テクノ財団では工業技術総合センターや大学との連携、提案・公募型制度による資金調達などをコーディネートし、太陽電池パネルに適した配線装置の開発など、産学官連携による研究開発の支援を実施しているところです。
 このほか、様々な自然エネルギー技術の動向などにつきまして、研究会なども開催しまして、県内企業の自然エネルギー分野の進出を支援しているところです。
 本県におけます自然エネルギーがものづくり産業の振興に効果的に結びつきますよう、新たな支援策についても必要に応じて検討するなど、今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

<両角議員>
 次に農政部長に伺います。
 今までの質問内容を踏まえ、自然エネルギー発電に農業用の施設を活用する方策をどのように検討しているか伺います。

<農政部長>
 農業用施設を活用する方策についてについてのお尋ねです。
 農政部では、地球温暖化防止対策としての自然エネルギー活用への関心が高まった平成20年度から農業用水を活用した小水力発電等の可能性について、専門家を現地に派遣するなどによって調査・検討を行なって参りました。この結果、建設資金、管理運営などに課題はあるものの、売電収入を土地改良施設の維持管理費にあてるなどの効果が見込まれることから、発電施設の建設について具体的に検討する土地改良区などが増えてきております。
 こうした状況を踏まえて、農政部としては、本年度から発電施設建設モデル事業によりまして、小水力発電1箇所に加えて、かんがい用の貯水槽の面を活用した太陽光発電2箇所の建設に着手しまして、建設から運営の過程で明らかになる課題を検証することとしております。今後、この検証結果に基づいて、市町村や土地改良区に対して発電施設導入計画の策定を支援するとともに、国の補助制度を活用して初期投資の負担軽減を図るなど、農業施設を活用した自然エネルギー発電の拡大について、関係機関と連携して積極的に取り組んでまいります。

<両角議員>
 次に「林務部長」に伺います。自然エネルギーとしての木質バイオマスを活用する方策をどのように検討しているか。特に、赤松林が「松くい」による被害が急速に県内に広がりを見せ大変心配されています。現場の労働者からは、枯れた木を切るのではなく、材として生かせる道を開き人の体に優しいとされる生きた赤松を、松くいにやられ枯れる前に活用させてほしいと切実な声もあります。このことも含め答弁を求めます。

<林務部長>
 木質バイオマスを活用する方策についてのお尋ねです。
 林務部としては、昨年度、県内の温泉施設、農業用施設、大規模工場の1516施設において、木質バイオマスの意向調査を実施したところ、温泉施設、農業用施設の半数以上から利用に前向きな回答が得られたところです。こうしたことから、これらの施設に木質ボイラーやストーブの導入を積極的に進めるため、助成制度の促進を進めているところです。
 さらに、自然エネルギー信州ネットなど関係者と連携して、間伐材を薪として利用していくための講習会の開催、個人向けペレットストーブの導入支援など、普及拡大に努めて参ります。
 なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が7月から始まることから、森林県である長野県の特性を活かし、発電に木質バイオマスが活用されるよう、原木の安定供給体制づくりや産地認証など、関係団体と連携して取り組んでまいります。
 なお、赤松については地域産業として大変重要な木材でございます。製材して建材や床材に利用する取り組みも進んでおりますので、安定的に供給する体制や集中的に利用する仕組みも含めて関係者と連携して今後とも支援を進めていきます。

<両角議員>
 それぞれ答弁をいただきました。7月より固定価格買取制度がスタートします。これに加わるのに猶予は3年と、時間があるようでありません。信州の自然エネルギー元年を契機に信州に自然エネルギー産業として創出し発展させ、根付かせていただきたいと申し上げ次の質問に移ります。

2.福祉医療の充実について

<両角議員>
 お金のあるなしで、受けられる医療の内容に差が生じては、なりません。
 しかし、医療現場では、窓口での支払いが難しいために受診しない。受診はしても、検査を断り、薬を最小限にと、辛い現実があると聞いています。
 県内各市町村は、厳しい財政運営の中、子育て支援の一貫として福祉医療費の対象年齢を、41自治体が中学卒業まで、28の自治体が18歳まで実施しています。県レベルの制度の実態が皆無、県は対象年齢を引き上げるべきではないでしょうか。
 県として、阿部知事が知事会を通じ、あるいは直接国に対して国が責任を持って行う事業と物申していることは承知していますが、国がやらない間は県がやるんだ、の姿勢で臨み県内自治体の取り組みを支援すべきと考えますがいかがでしょうか。
 「健康福祉部長」に答弁をもとめます。

<健康福祉部長>
 福祉医療の対象年齢引き上げについてお答えします。
 福祉医療ですが、対象範囲や受給者の負担金、所得制限など、水準は異なりますけれども全国の自治体で地方単独事業として実施されていまして、国の社会保障制度を補完するものと考えております。
 県としては、こうした取り組みを支援する立場から一定の補助を行なってきておりますが、このような実態を考えますと、福祉医療は基本的にはやはり国の社会制度のなかに位置づけて国の責任において措置されるべきものと考えているところです。
 こうしたことから、県としては引き続き様々な機会をとらえて国の社会保障制度として実施するよう国に求めていきたいと思っております。

<両角議員>
 もう一つ福祉医療を充実していくための課題に、受給者負担金があります。
通称レセプトと言う診療報酬明細書1枚につき500円。県が定めている金額です。しかし、県が値上げする前の300円で頑張っている自治体が27あるほか負担金なしの自治体もあります。窓口無料化を展望し、せめて当面500円の自己負担金を見直すべきと考えますがいかがでしょうか。
 窓口無料化に向けては、償還払いから現物給付にするだけで、ペナルテイーといわれる、国が、国民健康保険療養費等国庫負担金を減額するという、ひどい制度になっていることは承知していますが、「いのち」を大切にする立場からも実施を願うものです。「健康福祉部長」に答弁を求めます。

<健康福祉部長>
 福祉医療の受給者負担金の見直しについてお答え申しあげます。
 受給者負担金につきましては、将来にわたる持続可能な制度となるよう、受給者の方々にも共に制度を支えていただくという趣旨で平成21年10月から1レセプト請求明細あたり500円としたところです。福祉医療など地方単独財源につきましては、今般社会保障と税の一体改革を巡る議論においても消費税の地方への配分が焦点となった経過もあり、こうした点で、今後国の動向を注視していく必要もあろうかと考えておりますが、現在県税収入の減少が続く一方で、社会保障関係経費が毎年大幅に増加している昨今の財政状況を鑑みますと、受給者負担金の引き下げは簡単ではないと考えております。なんとかここはご理解をお願いしたいと思っています。

<両角議員>
 私は、この問題、機会あるたびに質問しています。これからもいたしますが、命を大切にする立場にたっていただきたいと思います。
 県に対して今年3月、福祉医療給付制度の改善を進める会が43,000を超える署名を添えて窓口無料化を求める要望書を県に提出しました。大変思い数字です。せめて、制度の在り方を検討する、保護者、障がい者の皆さんが参加できる「会」、場をつくるべきと思いますがいかがでしょうか。「健康福祉部長」に答弁をもとめます。

<健康福祉部長>
 直接思いを聞く場ということでご質問をいただきました。
 先ほどお答え申しあげましたように、福祉医療をめぐる諸要素を見ますと、直ちに拡充の方向で検討を始めるという環境にはないと考えておりますが、現在県では、中期総合計画の策定を進めております。その中で、子ども子育てというのは主要なテーマの一つとなっていることから、今後計画を策定していく過程で子育て環境全体についての議論を深めていくという必要があると考えています。福祉医療については実施主体が市町村であることから、まずは市町村の考え方を集約したうえで、それに併せて、先ほど議員の質問のあった方々も含めて、幅広く関係者のご意見をお聞きすることが必要と考えております。

<両角議員>
 県民の43,000という数字です。私は、この命というのは本当に大切だということで、財政的なこともあろうかと思いますが、長野県はこのことで後進県になっているということを申し添え、最後の項目に移ります。

3.県民参加の防災計画を

<両角議員>
 長野県の地域防災計画では、原発立地県ではないにも係わらず、原子力災害対策編を5章にわたり作成するなど、その取り組みは評価するものですが、往々にして、庁内での検討が主流であり、県民、市町村、関係団体等の意見を十分に聞いたうえで進めているか。策定の経過を、危機管理部長に伺います。

<危機管理部長>
 防災計画への県民参加のプロセスについての質問であります。
 県の地域防災計画は、災害基本法に基づきまして、作成あるいは修正することになっておりまして、23年度の計画・修正については国の防災基本計画の修正、それから栄村を中心とする県北部の地震災害や東日本大震災のほかに、県内で発生した災害の課題を踏まえて行なったものです。
 計画の修正は見直しのテーマに応じて、多くの関係者の意見を聞いて行なったところであります。具体例をあげますと、お話のありました原子力災害対策については県の防災会議に原子力災害対策部会を立ち上げて、放射線や原子力災害の専門家、市町村、関係団体から意見をいただき、作成したところです。
 避難所の運営については、女性の意見を反映させるための意見交換会、それから栄村の避難所生活をされた方からの意見交換で意見をお聞きしたところです。
 また、広域応援体制の整備については、市町村の防災担当課長を交えた検討会で意見をお聞きした所です。
 県の防災計画は県民の命、身体と財産を災害から守るための行動計画でありますので、今後の計画の修正にあたってはより良いものとするために、県民、市町村や関係団体のみなさまからの意見を十分に反映するよう努めてまいります。

<両角議員>
 今回、長野県医師会救急災害医療対策にかかわる方から「動かないマニュアルは危険」ですとのご指摘をいただきました。防災計画に関係して、であります。また、福島県の災害現場では実際に障害をお持ちの方に情報が伝わりにくく、いわゆる難聴のかた、あるいは視力の本当に弱い方、このような方が放置された事例があったとも聞いています。
 活字にしたからおしまいではなく、答弁にもありましたが、今なお大変な思いをされている、栄村の皆さん、農業従事者の声。松本市でも昨年6月30日に大きな地震に見舞われています。障がい者で言えば支援をしていただく側、サポートを必要としている当事者の声が反映されたものになるよう願うものですが、再度、危機管理部長の答弁を求めます。

<危機管理部長>
 先ほども答弁いたしましたが、県の防災計画は県民の命、身体、財産を災害から守る行動計画でありますので、今お話のありました様々なみなさんの声も受けとめながら今後も対応していきたいと考えております。

<両角議員>
 最初の質問事項に関係して発言いたします。一昨日松本市で、「脱原発が生んだ電力会社」というドイツのドキュメンタリー映画が上映されたということです。これを伝える信濃毎日新聞の記事に、チェルノブイリ原発事故をきっかけに主婦、会社員、警察官、医師など10名ほどによる反原発運動グループが生まれ、そこから発展して電力会社が設立され、15年前から自然エネルギーによる電力を供給している、当時は無茶だと思っていた人も少なくなかったが成功した、それは、原子力のない社会をつくりたいというビジョン、将来展望が最初にあったからだと有志の一人は語った、とありました。やはり原発ゼロは本腰を入れて取り組む問題ではないでしょうかと申しあげ、私の一般質問といたします。