議第2号「介護保険制度の改善を求める意見書」案について提案説明をいたします。
今年4月から「改正」介護保険制度の施行及び介護報酬改定がおこなわれ、合わせて多くの自治体で、第5期の介護保険料が引き上げられました。
今回の介護保険制度改正は、高齢者要介護者に一層の負担を求める一方、介護現場には、大きな混乱と介護サービスの縮小をもたらしています。
訪問介護の生活援助が60分から45分に縮小され、今までも余裕のないサービスメニューを縮小するか、15分は介護保険から外し、自費払いを求めるなど、今までのサービスが組めず、要介護高齢者の生活が今までと同様に維持できない、事態が起きています。厚労省は全国的な抗議の中で「必要なサービスはいままで同様に認める」と言いますが、45分枠はそのままで報酬の保障もありません。
また、デイサービスでの7時間未満の報酬単価は12%も引き下げ、特養では介護度5以外や多床室では報酬額が引き下げられました。小規模施設も規模の大きい施設も施設存続が危惧される事態です。また老人保健施設では長期入所者が多いと報酬が下がるなど「追い出し促進」の仕組みが介護報酬に初めて組み込まれました。
さらに、今年3月まで全額国庫負担であった「介護職員処遇改善交付金」が「処遇改善可算」として介護報酬に組み込まれ、約1650億円が地方自治体と保険料負担・利用者負担へと変えられました。
第5期保険料は全国平均で19.5%アップし月額平均4971円、長野県では平均22%アップし月額4920円と大幅に値上げされました。制度の開始時点から見ると1.7倍にもなります。今後年金額が削減される中、高齢者にはもう限界の保険料となっています。
このように介護保険制度改正は、保険料の負担が大幅に増える一方で、在宅サービスも施設入所も利用がいっそう厳しくなっており、制度設計そのものも限界となっています。
介護支援専門員は、要介護者の支援対応に日々追われ、苦悩しています。
このままでは、行き場のない「介護難民」はますます増え、本人や家族の経済的、身体的、精神的負担苦痛からくる悲惨な事件がさらに増える事態を招くことになるでしょう。また介護事業所でも一層の人材確保困難と経営難となり、日本の介護全体の崩壊を招きかねません。
高齢化率が30%を超える2025年に向けて、「高齢者が安心して老いてゆける社会、介護で泣かない日本の実現」に向けて、抜本的な介護保障制度への充実を国に強く求めるものです。
議場の皆様のご賛同を心からお願いして、提案とさせて頂きます。