議第9号「尖閣諸島の実行支配を推進するための法整備を求める意見書案」について、反対討論を行います。
歴史を振りかえってみますと、尖閣諸島は1895年、明治28年1月の日本政府閣議決定によって日本領に編入して以来、日本の実効支配が行われてきました。戦後の1時期アメリカの施政権下におかれましたが、1972年に施政権が日本に返還され、今日に至っています。
日本共産党は、その1972年に、尖閣諸島が日本に帰属しているとの見解を表明し、歴史的にも国際法上も日本が領有している明確な根拠があることを明らかにしてきました。2010年には、領有の正当性についてあらためて明らかにし、日本政府ならびに中国を含む各国政府に、わが党の見解を伝えてきました。
一方、中国側は、1970年以降になって突如、領有権を主張し始めましたが、その主張は成り立ちません。何よりも1895年以来75年間、一度も日本の領有権に対して異議も抗議もしていないのです。中国の領有の主張に正当性はありません。
しかし同時に、尖閣諸島をめぐる紛争を解決するために、何よりも重要なことは、日本政府が尖閣諸島の領有権についての歴史上、国際上の正当性について、理を尽くして正々堂々と主張し外交努力を尽くすことです。
この点で、歴代の日本政府は、今まで力を尽くしてきたとはいえない弱点があります。国家間の領土問題に地方自治体が介入することも適切ではありません。
日本共産党は、尖閣諸島及び周辺海域の領有権の正当性について、日本政府が、中国側との緊張を高める対応や言動は避けて、冷静で誠実な対応を求めるものです。日本と中国は長い交流の歴史があり、現在貿易額はアメリカ以上となり、経済文化の交流が花開いています。もちろん豊富な周辺海洋資源の保全管理振興は当然です。
日中国交正常化40周年にもあたる今年、日中両政府が双方の問題を率直にかつ、平和的に話し合い解決できるよう、いっそうの外交努力を求めるものです。その外交努力がなされないまま、日本政府が新たな法整備を一方的に行うことは、中国側の反感を助長し尖閣諸島問題の解決を一層困難にするのではないでしょうか。
以上の理由で、本意見書案には反対いたします。議場の皆様の慎重なご判断を期待して討論といたします。