2012年6月定例会 7月6日 和田あき子

議第1号 平成24年度長野県一般会計補正予算(第1号)案、賛成討論

 第1号 平成24年度長野県一般会計補正予算(第1号)案に賛成の討論を行います。
 今回提案された補正予算は、障がい者自立支援法の定着促進に11億円。グリーンニューディール基金を積み増し自然エネルギー推進10億円。緊急雇用創出基金活用事業に8億円等で、8割近くを占めています。その財源は基金の活用が23.6億円。国庫支出金12.1億円と補正予算額38億円の9割以上を占めています。
 知事は、議案説明で「このまま何も対策を講じなければ平成26年度には基金の枯渇が想定される厳しい状況におかれています」と県財政の厳しい現状に言及しました。
 県財政の問題は、県債残高が2002年度末の1兆6645億円をピークに5年連続で減少していたものが、2008年度末からふたたび増加に転じ、5年連続増加していることです。その要因は、臨時財政対策債の増加と減収補てん債の導入であります。これらによって県債残高(借金)が今年度末(2012年)には県政史上初めて1兆7千億円台に達する見込みです。
 県税収入は、2年連続して2000億円を割り込んでおり、補正予算でこれ以上県債を増やさない努力をして、基金の活用での補正予算が組まれました。
  その中で、「全国最大となる10億円が本県に配分されることになったグリーンニューディール基金事業を『1村1自然エネルギープロジェクト』の一つと位置づけて、災害時の防災拠点となる避難所・病院等へのエネルギー自給システムの導入など、自然エネルギーを活用した災害に強い自立・分散型の地域づくりを進めてまいります」と知事は提案されました。私たち共産党県議団は繰り返し、自然エネルギーの戦略目標策定を求めております。早期に目標の策定をして、自然エネルギーの普及促進、意識啓発が県のイニシアですすむよう期待しております。昨日の、国会事故調査報告で、原発事故は「明らかに人災」と踏み込んだ分析がされました。この状況で原発再稼働はまったく道理のないものであります。多くの県民は長野県の豊かな自然を生かして、原発ゼロを展望する取り組みを全国に発信してほしいと望んでいます。さらに拡充していただきたいと思います。

 昨年の大地震から間もなく1年4か月を迎える栄村に、今回の補正予算で営農活動再開に必要な施設整備はじめ、農地や農業用施設の復旧など、栄村の復旧・復興支援に1.4億円が組まれました。復旧・復興までの道のりに欠かせない支援であり、将来に希望をつくりだすものとなっています。
 震災や円高の影響などにより離職を余儀なくされた失業者の雇用確保をすすめるため約8億7千万円の緊急雇用創出基金を活用し、822人分の雇用が見込まれる対策などは、県民要求に応えたものとなっていると思っています。

6月県議会前に発生した教員や警察官の不祥事は、県民の信頼を崩す問題として、内部努力を尽くし反省と再発防止に取り組むことは当然です。
 今回、教員の資質向上制度のあり方検討会議の設置が予算を伴って提案されました。教員の倫理向上策の検討にとどまらず、採用、人事、研修、評価のあり方を検討するため、外部有識者による検討会議の設置がされるとのことであります。
 学校現場では非正規職員の増加、子どもや家庭環境、社会環境の変化という幾多の課題があるなかで、先生方はがんばっておられます。教員増、長時間労働の改善など環境を整えることも迫られています。外部からの検討に重きがおかれ、学校の自由を奪い、閉鎖的な教育環境にならないか懸念されます。検討会議に現場の声と実情が反映されることを保障していただきたいと要望しておきます。

 長野市権堂B−1地区の市街地再開発事業に補助率10分の1で8千6百万余が計上されました。長野市民会館建て替え問題で市民の世論が二分し、予定地が二転三転。B−1地区も予定地になったこともあり、今回の市街地再開発事業への市民合意があるのか疑問であります。
 また、従来の市街地再開発事業をみると、テナントは入れ替わりが激しく、有機的に活用されなければ、公費によって再開発したところに、さらに公費を補てんする、それでも利用率の低い施設になっています。再開発事業によって本当に賑わい創出につながるのか懸念されるということを指摘しておきます。

20年後の長野県のすがたを展望しながら、今後5年の中期総合計画策定が進んでいます。安心、安全はもとより、長野県で暮らす喜びが実感できる県政へと要望して、賛成の討論と致します。