議15号「特定秘密の保護に関する法律の制定中止を求める意見書」(案)の提案説明を行ないます。
安倍内閣は今月26日、特定秘密保護法案の原案を自民党のプロジェクトチームに提示し、10月上旬にも閣議決定、10月15日に召集予定の臨時国会に提出し、成立をめざす構えです。この法案では、防衛、外交、外国の利益を目的とする特定有害活動の防止、テロ活動の防止にかかわる情報を、国家の安全保障に大きな支障を与える恐れがある場合、関係行政機関の長が「特定秘密」に指定し、その情報を漏らした者、「特定秘密」の保有者の管理を侵害してその情報を取得した者、未遂、共謀、教唆、扇動も処罰の対象とし、最高10年の懲役刑となるというものです。
法案原案は、「報道の自由に十分に配慮」「拡張解釈し国民の基本的人権を不当に害してはならない」としているものの、国民の「知る権利」の保護は明記されず、政府に都合の良い情報管理が行なわれて、国民には重要な情報が知らされなくなる恐れの一方で、特定秘密に該当する情報は実は生活の身近なところに有る場合もあり、国民には何が特定秘密か、何が違法かがわからず、知らないうちにアクセスしたり、知りえた情報をブログなどに書き込んだことが特定秘密の漏えいとされるなど、国民の誰もが、突然、強制捜査の対象になる可能性があり、行政の都合で「特定秘密」に指定された情報をすべて刑罰の対象として国民から遠ざけると言う仕組み自体が、民主主義に照らして重大な問題をはらんでいます。
国会に対しての「秘密」の提供は非公開の秘密会であることが前提とされ、秘密会で知りえた情報を漏えいすれば5年以下の懲役に処され、国会議員も処罰の対象です。これでは、議員が所属政党で議論したり、専門家の意見を聞くという当然の立法・調査活動が不当に制限を受け、「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼす」と認めれば、国会にも秘密を公開しないと言う構造になっているため、国会による行政の民主的コントロールと言う憲法原則、衆参両院の国政調査権、議員の言論や政党活動までも大きく制限する内容となっており、行政優位、完了優位への構造転換をもたらす違憲立法です。
政府が3日から17日まで実施した法案概要のパブリックコメントの集計状況では、約9万件の意見がよせられ、賛成は1割強にとどまり、8割弱が「特定秘密の範囲が広範かつ不明確」「内部告発ができなくなる」などの反対意見だったと報告されています。
かつて日本で国民の「知る権利」が奪われ、軍機保護法などによって情報は国民に知らされず、国民が国政を批判できない状態が過去の侵略戦争にもつながった苦い経験を思い起こし、まもなく国会に提案される危険な動きが進む「特定秘密の保護に関する法律の制定中止を求める意見書」に、議員の皆様の賛同をお願いして提案説明とさせていただきます。