<藤岡議員>
日本共産党県議団の藤岡義英です。
まず始めに、記録的な大雪災害によって被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、豪雪災害の復旧のために不眠不休でご尽力された職員や関係者の皆様に心からの感謝と敬意を表する次第です。
今回の記録的な大雪によって特に農業被害が深刻です。我が会派の石坂団長の代表質問でも取り上げましたが、ビニールハウス・畜産施設など農業生産施設の被害が広がり深刻です。佐久浅間農協管内だけでも2250棟の施設が倒壊。災害評価金額は約2億5千万円だとお聞きしました。ちなみに豪雪災害統一算定額で計算すると約8億1400万円、再取得見込み金額で計算すると、21億6600万円という被害です。佐久浅間農協でお話を伺ってきましたが、施設被害も深刻ですが、今後一番問題になるのが、7割の育苗ハウスが被害にあったため、苗の生産が単純に3割代に落ち込む可能性があること。つまり今年の農業生産額が激減する事態になりかねないとの話でした。未曾有の豪雪災害でした。佐久浅間農協の幹部の方々から「思いきった、踏み込んだ支援を!」と訴えられました。佐久地域の被害状況をつかむために、現場に行き被害に遭われた農業関係者からお話を伺ってきました。「ビニールハウス22棟のうち19棟がつぶれた」「2週間前に建てたばかりのハウスがやられました」、また養鶏業者さんのところでは鶏舎が倒壊、ひよこ約1,500羽が圧死するという被害に遭われました。農業関係者のみなさんは再建できるのか、国や県など自治体がどこまで支援してくれるのか、そうした情報がなかなか入ってこないことがより、不安を募らせている原因となっています。県としても災害緊急対策事業の発動も視野に支援策を検討されているとのことですが、そうした情報をできるだけ早く農業関係者に伝え励ましていただきたいと思います。また昨日の石坂団長の代表質問でも要望がありましたが、私からも従来の支援策にとどまらない実情にあった支援を検討していただくよう強く要望いたします。さて、佐久地域の調査の中で、新規就農者のみなさんも深刻な被害に遭われていることが明らかになりました。トマト栽培のハウス4棟全てが倒壊、被害額250万円の方。「パイプハウス2棟が全壊。育成中の春花が全滅。暖房機などの設備も破損しているかもしれない。被害総額は200〜300万円くらい」中には、農業を始めて1年足らずで今回被害にあい、「借金返済はこれからの中、出端をくじかれた。この状況にも前向きに次のステップを考えている方もいれば、今年の農業に絶望している農家さんも少なくありません。どうか農業者に希望の光が見えるようお力添えをよろしくお願いいたします」との切実なメッセージもいただいています。
農業関係者全体の支援はもちろんですが、特に新規就農者について手厚い支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。実際に受けられる支援はどのようなものがあるのか、農政部長にお聞きします。
今回の大雪災害で何を教訓にすべきか、検証が必要だと考えます。1つは「的確な情報を」早く伝えることではないかと思います。立ち往生したトラックの運転手や、孤立した集落の住民、動けなくなった電車の乗客など、それぞれに情報が入らないことが被害の拡大、不安の増大につながったのではとの指摘も聞こえてきます。
一方で、マスコミも含めて一気に降り積もり、被害地域にたどり着くことさえ困難だった状況の中、SNSの一つ、短文投稿サイト「ツイッター」を活用して活躍した県や自治体、
情報収集や発信、災害対応の判断に活用して成功した例もありました。国道20号を管理する国土交通省甲府河川国道事務所の公式アカウントでは、14日から雪情報・道路状況やスタック車両の情報、また立ち往生した車に向けたメッセージを写真をつけながら発信して、積雪量がピークとなった15日には頻繁に情報を発信し、これが多い時には800リツイートされ、情報が拡散・伝達されました。
新潟県知事は、16日に「本日、職員を山梨県に派遣しました」とつぶやきを開始してから、山梨県と埼玉県秩父の孤立地区へ除雪車チームを派遣し、山梨県民、埼玉県民から感謝の声が、そして全国から評価の声が上がっています。佐久市長も除雪対策にツイッターを活用し、的確に対応を取られていました。
ちなみに県の公式ツイッターでは17日まで情報提供がありませんでしたが、SNSとりわけツイッターは情報の拡散性に優れ、災害の時こそ威力を発揮すると言われています。今後は県も災害時により積極的な活用をするよう検討すべきだと思いますがいかがでしょうか。危機管理部長にお聞きします。
知事もツイッターとフェイスブックと両方の公式アカウントをお持ちですが、今回の大雪災害に対して活用されていなかったことは残念でした。今後、仮に県内に災害が発生した場合に知事自ら、ご自身の公式アカウントを活用されて、情報収集、発信、災害対応の判断に活かしてほしいと思いますがいかがでしょうか?今回の教訓は何かも含めて、知事の所見をお聞きします。
つづいての質問に移ります。小諸市の国立公園の普通地域に指定された私有地に、廃棄物再生利用業者の(株)リニューアルの産業廃棄物中間処理施設(木くずの破砕施設と堆肥化施設)が事業を行っています。この国立公園内に有する作業場から強烈な悪臭と汚水を排出し続け、15年以上にわたり住民生活と自然環境に重大な影響を与え続けていることから、近隣住民や関係者が県や小諸市に適正な指導を求めてきた経過があります。
そこでまず、最初の質問となりますが、自然公園法では国立公園普通地域において「産業廃棄物を処理するための施設」を設置することは原則認められないこととなっています。
どうして、廃棄物再生利用業を営むことができたのか。環境部長にお聞きします。
(再質問)
平成22年4月1日に環境省の自然環境局長が「国立・国定公園内における廃棄物処理施設の設置について」という通知を出しています。これを一部紹介しますと、こう書いてあります。
「国立・国定公園内における廃棄物処理施設については…施設の設置及び、廃棄物の運搬等の関連する行為により、騒音等を継続的に発生することから、国立・国定公園の風致に著しい影響を与えるものであり、…原則として施設の設置を認めないこととする…ただし、当該公園区域内で生ずる産業廃棄物を処理することが主たる目的の施設であって、当該普通地域外において設置することが、自然的、社会的その他の観点からみて著しく不合理な場合は、その設置について検討するものとする」とあります。
この通知から見ても、原則として認められない施設であると解釈できますがいかがですか? 環境部長お答えください。
廃棄物再生利用業者は、再生利用されることが確実である産業廃棄物のみの処理を事業として営んでいることを基準として事業が認められます。また、「営利を目的としないこと」も指定基準として定められています。
しかしこの事業者は、廃棄物の引き取り手数料を利益とし、再生した(堆肥)は販売できず、しばらく施設設置場所以外に保管されていて問題となり、その後、無償で配布して対処したと確認しています。このような状態は再生利用業の認定の基準不適合であり、法律違反ではないかと思いますが、県はこの違反にどのように対処されたのでしょうか。これも環境部長お答えください。
この事業者については昨年の12月末にこの施設からの臭気に悩んでいるとし、近隣の市内4区・準区の区長や準区長らがその業者への適正処置を県に要請するよう求めた意見書を小諸市議会が全会一致で採択、県にこの意見者が提出されていますが、県はこの意見書をどのように受けとめ、どのように対処していくのか。これも環境部長お答えください。
この業者は、今年の2月末で再生利用業の指定期限の5年が経過し、期限が切れるため、更新手続きが必要になっていましたが、今度は再生利用業ではなく、廃棄物処分業者として営業許可の申請を県に出していると聞いています。当初、国立公園内に施設を作ることになったときに、「産業廃棄物処理業者ではありません。資源をリサイクルする業者ですので」と地域住民に説明し納得を得て、事業を始めています。今回の廃棄物処分業許可取得への変更指定申請は最初の住民への説明と矛盾します。一時悪臭が臭気指数19という工業地域での規制基準を超える数値が確認された過去などもあり、住民の業者への不信感は根強いものがあります。この地域住民の不安払拭のために、県はどのように対処するつもりか。これも環境部長お答えください。
知事にもお聞きします。今後更に地域住民の不安払拭のためのに、県のさらなる誠実な対応が求められますが、知事としてどう対応されますか。お答えください。
世界一の山岳観光を目指す上でこの問題がこのままの状態で良いのか。知事にはぜひよく検討していただきたいことを強く要望しまして次の質問に移ります。
農地と太陽光発電の共存を目指すソーラーシェアリングという方策が注目されています。農水省は、昨年3月、生産性の高い優良農地に太陽光発電の支柱を立てて営農を続ける場合、支柱の基礎部分を一時転用許可の対象とし、太陽光発電の設置を認めるという通知を出しました。ただし、設置前の収穫量の80%以上の生産が求められるなど、農業生産に大きな影響が出ないことが条件です。
私は、国内初のソーラーシェアリング成功例とも言われている公園や庭の緑化に使われる園芸品種タマリュウの栽培農家、三重県の小椋緑化さんの施設を現地調査に行ってまいりました。この3月で稼働開始から1年半年となる施設で訪問者も農業関係者、政府関係者、一般観光客までこれまで5000人以上訪れているとのことでした。
小椋氏は、「営農と発電の両立を実現させることで経営を安定させ、継承や世代交代のきっかけになる」と、農地を守る太陽光発電であることをアピールされていました。そのことが大変印象的でした。
農作物による収益と売電による収益、両方を得ることによって「食べていける農業」を実現できるよい方策だと思いますが、このソーラーシェアリングについて、県としてどう認識されているのか、農政部長にお聞きします。
この小椋氏がソーラーシェアリング施設を計画したのは、東日本大震災直後の4月からでした。震災による原発事故、テレビの電源喪失のテロップ、メルトダウン、汚染水の流出など連日報道がされる中、「原発に頼らない世界を作るためには、まず自分が電気をつくらねば」、との思いと、「東北の被災地の小規模農家再建のためのモデル事例になれば」との思いから、この施設設置のとりくみは、法人でなく個人として進めてこられました。こうした信念と情熱をもった小椋氏個人が、当初不可能と言われていたソーラーシェアリング施設建設を実現させました。
小椋氏は「食料自給率が低い日本で、農地や耕作放棄地などの農地転用には反対です。農地は農地として活用し、発電する。このシステムを開発し、津波の塩害を被った農家の方に提供するこれが最終目標だ」と話されました。
小椋氏のような情熱をもった方は、県内にもたくさんおられるのではないでしょうか。このような個人の先進的な取り組みについて、県として評価すべきではないでしょうか。法人やNPOなどへの取り組み支援の補助制度も大事ですが、個人でも活用できる補助制度は必要と考えますがいかがでしょうか。また、ソーラーシェアリングは法人やNPO、そして個人での取り組みとしても、農業継承と再生エネルギー普及の両方が促進される取り組みとして、有望だと考えます。来年度の予算案でも相変わらず個人向け太陽光発電への補助制度は見送られたようですが、「バラマキ」という言葉で片づけないで、個人の情熱的取り組みに対し、補助制度による推進を検討してみてはどうですか。知事にお聞きします。
東日本大震災からもうすぐ3年になりますが、福島第一原発の汚染水の問題も解決どころか、海に流出し続けている深刻な実態が明らかになり解決策が見えてきません。「なんとかしたい」と、小椋氏のように、日本や将来や子供たちの未来を考えて、個人の情熱で切り開こうとする努力や奮闘が長野県内でも必ず高まってくるだろうと確信しています。そこにも焦点をあてて応援する。夢や希望を形にする、実現させる。そうした支援策を新年度には実行されるよう、強く求めまして私の質問を終わります。