2014年2月定例会 一般質問 高村京子 3月4日 

1.県内のお産ができる施設の充実強化等について

<高村議員>
 県内のお産ができる病院や診療所の現状は大変に厳しいものがあります。まず日夜お産を取り上げお母さんと赤ちゃんの安全安心のためにご奮闘されている産婦人科の医師や助産師さん関係者の皆さんに感謝と敬意を申し上げます。

 県内でのお産ができる病院と診療所の数は、2001年に68施設ありましたが、それからも減り続け2013年には、45施設となっています。助産所17か所と合わせても62施設しかありません。原因は、24時間365日にわたるお産に対応できる医師や助産師の体制が整わずに、やむなく閉鎖をせざるを得ない事態が続いてきました。最近では女性医師が増えており結婚や子育てなどで、仕事と家庭の両立が困難なことが原因と言われています。
私ども県議団では、2007年7月、この問題について調査研究し、まとめた冊子を発行し、お産ができる施設充実への具体的施策を提案しました。内容は助産師の専門性をいかし、その力を最大限に発揮してもらうよう研修の実施、助産師外来や院内助産所の開設支援、勤務医師の過酷な労働環境の改善や女性医師の働きやすい環境院内保育所の整備やワークシエアリングの実施等です。

 県として努力はされていますが、しかし、安曇野赤十字病院は昨年の春お産を7年ぶりに再開されましたが、わずか半年で休止となりました。またこの4月に市立岡谷病院がお産を休止となります。長野や松本地域以外の中心都市でさえお産ができる施設の存続は厳しい現状にあります。

 こんな中、上小地域でもハイリスのお産を扱っていた旧長野病院(現信州上田医療センター)での休止があり、上田市立産院の閉鎖の危機がありました。市民の力を結集して、全国で唯一の行政立病院として上田産婦人科病院を上田医療センターの隣接地に新築移転でき充実発展しました。この取り組みには県が関与していただき、地域医療再生基金の活用が生かされています、休止していた信州医療センターでの医療的環境が必要なハイリスクのお産の再開が来月4月に実現します。東御市立の助産所や上田市内の二つの産院との連携もいっそう強化されます。本当にうれしいことであり、この間の関係者のご努力に敬意と感謝を申し上げます。
長野医療生協の長野中央病院でも、2009年の3月から女性医師を中心として、新たにお産を開設して、助産師の増員を行いながら奮闘されています。しかし医師確保を含め安定した体制への課題があります。公的だけでなく民間医療機関への県の支援も切望されています。


(1)県は、安心してお産ができる施設の存続・開業支援をいっそう強化していただきたいがいかがか。
またお産は、女性に与えられた自然で豊かな営みです。助産師さんが開業するには、産婦人科や病院や小児科との連携が必要です。診療所でもハイリスクは対応が困難です。産婦人科病院や小児科との連携強化にも県が積極的に関わり開業に向けての支援を求めたいがいがいかがか。⇒健康福祉部長に伺います。

(2)産科医には女性医師が多くなっており、仕事と家庭の両立を図り、お産の現場で、持てる時間と力を出しいただくよう環境を整えて、女性医師とともに助産師も働き続けることができるような一層の支援強化を求めたいがいかがか。⇒健康福祉部長

少子化が止まりません。
2000年には、県内で年間2万件のお産がありましたが、2012年には1万1661件に減りました。
県内には高校の数が県立89校・私立19校合わせて106校あります。現在助産所を含めて62か所です。せめて、高校の数並みにお産ができる施設数の充実に向けて、県として特別プロジェクトを組んで強化をしていただきたい。

(3)核家族化や夫や家族の長時間労働もあり、お母さんの体の回復と赤ちゃんのケアーが困難な家庭もあります。産後の母子が不安定な状態では、育児ノイローゼ等で児童虐待につながるとの指摘もあります。産後母子が宿泊して、専門家の援助を受けながら、赤ちゃんとともに産後のケアーが受けられる施設「産後ケアー」の施設を市町村との連携によって進めていただきたいがどうか 
⇒健康福祉部長

2.看護師の労働環境改善と困難な看護師確保への対応について

(1)看護師を確保できないため、ベッド閉鎖や経営難に陥る病院もあります。看護師は、高度医療や早期退院に向けてのスケジュールをこなし、救急患者や認知症患者への対応、夜勤の過酷な勤務等によって「いい看護がしたい」との思いと現実のギヤップの乖離に看護師としてのやりがいを失ったり、心身ともに疲弊し、仕事と家庭の両立ができずに離職を考えざるを得ない状況におかれています。
日本医労連は、この1月に2013年の看護職員3万2千人以上の実態調査結果を発表しました。
それによると、「疲れが取れない・強いストレスがある」が67,2%、「健康に不安がある」が60%、健康不調は35%もあり夜勤の加重負担や時間外労働が原因となっています。看護師確保法に抵触する月9日以上の夜勤は36,6%にもなっています。深刻なのは、72,5%が「仕事を止めたい」その理由を「人手不足で仕事がきついから」と答えています。
また、今年1月に日本看護協会が出した都道府県別の看護師の求人倍率では、長野県は3,92で全国2番目に高く、看護現場の人員不足は深刻です。
このような状況をどのように認識されているか伺います。
⇒健康福祉部長

(2)実効ある夜勤規制や労働条件を改善するに見合う増員が切実に求められています。第7次長野県看護職員需給見通し(平成23〜27年)は、前回の第6次見通しとの乖離1千人が不足していることを土台として、平成23年2万4300人余から平成27年には2万5800人余へと5年間で1,500人の増加を見込んでいます。平成25年の中間年では、729人が不足となっています。
現実に合った看護師確保策を強めていただきたいと思います。
夜勤労働の軽減や看護師の労働環境が改善するに見合う増員が切実に求められています。
島根県では、勤務環境改善に向けて、勤務実態の詳細な調査を行い、看護師の労働環境改善へと取り組んでいます。個々の病院の努力では、解決できない現実があり、看護師確保は困難です。長野県でも県内看護師が置かれている実態を丁寧に調査し、実態に見合った看護師確保対策へとつなげていただきたいと思います。
また、国の地域包括ケアー体制への流れが強まり、在宅医療看護の充実が一層求められ、訪問看護の果たす役割もいっそう大きくなります。次の第8次看護師需給見通しが実際の医療現場が求める充足に見合うものになるよう、取り組んでいただきたいがいかがか ⇒健康福祉部長

3.若者を使い捨てにするブラック企業への対策について

長野県労働局は、昨年の9月に「若者の使い捨てが疑われる企業への重点監督の実施状況を発表し、若者の使い捨てが疑われる企業113事業所に対して集中的に重点監督を実施し、101の事業所(89,4%)で、違法な時間外労働が58事業所であり、賃金不払い残業が31事業所であったなど、労働基準関係法令違反があったーとしています。

(1)県はこの実態をどのように受け止めておられるでしょうか。
労働者が労働基準法を守り人間らしく暮らせる当たり前の働き方が、実際の現場ではゆがめられ、企業利益・効率優先・自己責任で追い立てられる、若者を使い捨てにする、ブラック企業が県内でも横行している現実が明らかになりました。県として、この調査を労働者を守る雇用環境の改善に生かしていくべきと考えます。ブラック企業は許さない―との毅然とした県の立場を堅持していただきたいと思います。
労働局とのさらなる連携を強化し、働く人の権利啓発、労働相談体制の更なる強化を求めますが、いかがか⇒商工労働部長

 ブラックバイトや派遣など劣悪な条件で働く非正規労働者は、2013年は前年より93万人も増え雇用者全体の37%1万923万人にもなっています。一方正規雇用者は3294万人で、前年より46万人も減っています。多くの労働者は、労働基準法を守る安定した正規雇用職場を求めていますが、非正規で働く理由は「正規の仕事がない」現実があります。
ところが、安倍政権は今国会で、労働者派遣法と労働契約法の改定を行うとしています。企業が派遣労働者を受け入れることができる3年の上限を事実上撤廃し非正規雇用をいっそう拡大し、正規雇用も不安定にするものです。
労働契約法の改定では、安定した無期雇用への転換できる権利を奪うものです。
非正規雇用では、安定した暮らしができません。また正規雇用者も厳しいノルマを課せられて、過労死や過労自殺へと追い込まれる人々が後を絶ちません。
国において、ブラック企業を規制する法律の制定を強く求めるものです。

 また、過労死問題が深刻となり、過労自殺を含め労災認定への訴えが増え続けています。平成23年の労災申請を見ると心臓疾患が約330件、脳血管疾患が約550件、精神疾患が約1300件、過労自殺は約150件の申請がされていますが、認定はそれそれ三分の一程度であり、苦しんですでに亡くなった本人も家族も浮かばれません。

(1)知事に伺います。
過労・ストレスによる病気や死亡そして自殺は深刻な社会問題であり、家族はもとより社会としても大きな損失です。将来を担う若者にも広がっていることは実に憂慮すべきで事態です。
国に向けて、知事からも過労死防止法の制定を求めることを要請していただきたいがいかがですか。⇒知事に伺います。
 働く意欲のあるすべての人々が、その能力を発揮し、安心して働き、安定した生活を送ることができるための労働であるべきです。働く人々を使い捨て、最後は過労死させる企業を許してはならないと思います。働く人々の安定した労働環境があってこそ、出会いも、恋愛も、結婚も子育てにも夢と希望がもて、安定した社会へとつながると思います。

 

4.地元住民の反対を受けている施設の問題について

(1)上田市丸子飯沼自治会では、地域の真上の20ヘクタールの山林に、所有者が10メガワットの太陽発電計画が検討されており、集落の安全を守るために、反対の立場を貫いておられます。昨年の11月県議会で藤岡義英県議がこの問題を取り上げて県の考えを質問しましたが、その後の状況について変化があるのかどうか伺います。塩入林務部長は地元住民の不安を受け止めて慎重に対応されるとお答えいただいていますが、この県の姿勢を改めて確認させていただきたいがいかがですか。⇒林務部長

(2)自然エネルギーの普及促進は必要なことですが、大規模な太陽光発電計画はその設置場所によっては、近隣の住民の安全や自然環境に悪影響を及ぼしたり、景観を損ねたりと今回の丸子飯沼自治会のみなさんが訴える不安のように、林地開発許可制度の枠組みでは、規制ができない問題が発生する場合が出てきます。
佐久市では、この1月に「自然環境保全条例」の施行規則を改正し、大規模な太陽光発電施設を設置する場合は許可申請または事前協議を必要としました。
県下の市町村でも同様の条例等の検討の機運があるのではないでしょうか。
県として、県民の安全と環境保全のために、大規模な太陽光発電設置に県が関与できる独自の条例の制定や現行条例の改正などを含め、検討すべきではないでしょうか。⇒環境部長に伺います。

(3)上田市丸子腰越地区に建設が計画されているシカなどの獣肉処理場について、地域住民はこの計画の具体性にさまざまな疑問を持ち、三自治会を上げて、建設の反対を表明しています。ジビエ振興の在り方や建設にかかる国の交付金の使い方として、地元住民や猟友会など関係者の同意が求められていると思いますが、どうですか。⇒林務部長