日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2014年2月定例会 日本共産党代表質問と答弁

今回の大雪による雪害対策について

大雪による農業用ビニールハウスの倒壊や苗などの農作物に被害が生じている。ビニールハウスの撤去・再建への支援、農作物の被害への保障などの対策を検討してほしい

石坂議員
 質問に先立ちまして、昨日も山梨県内で車が立ち往生したため、歩いて富士見町に向かった男性が雪の中で亡くなっていたという痛ましいニュースがありました。このたびの大雪被害で亡くなられた皆様のご冥福をお祈りし、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。また、除雪の対応や情報収集、課題解決のために、不眠不休で対応された職員、関係者の皆様に心からの感謝と敬意を表するものです。阿部知事も、早速被害救済と激甚災害指定など、国への支援要請に出向いていただいたとのことですが、例年に無い大雪被害でもあり、従来の対応を超える手厚い支援の陣頭指揮を執っていただきますように要望します。
 さて、今回の大雪で、全県的には5000棟を超える農業用ビニールハウスが倒壊し、農作物に被害が出ています。倒壊したビニールハウスの撤去、再建等に必要な費用の支援、被害農作物への補償などの対策が求められています。ところが、被害額の算定基準が現実に見合っていないという、被害農家の皆さんの声が寄せられています。たとえば、中野市が2月20日現在でまとめた資料によれば、ビニールハウスの倒壊被害91棟中、ぶどうのハウスは23棟の倒壊で被害額わずか14万4000円、イチゴのハウスは倒壊2棟で135万8000円などとなっています。農家の皆さんは、これでは一桁も二桁の違うのではないか、とやりきれない思いをぶつけておられます。
 実際、私も16日に中野市のイチゴ農家の倒壊したビニールハウスを見せていただきましたが、収穫の真っ最中の10棟のハウスがすべて倒壊したこのイチゴ農家は、従来のアスパラガスのハウスを8年前に2800万円かけて改修し、借金もまだ500万円残っているとのことで、せっかく息子さんが後継者になってくれたのに、このままではもう続けられないかもしれないと肩を落としておられました。天気予報を見ながら除雪もし、支柱を補強していたのにもかかわらず、予想外の雪の重みで、ビニールハウスのパイプが逆方向にグニャリと曲がり、支柱は倒れ、ビニールは破れ、赤く色づき始めたイチゴはこの寒さで凍りつき、4月までは実り続けるはずだった1万4000株のびっしりと白い花の咲いたイチゴが全滅です。ここまで育てた農家の皆さんの気持ちを思うと心が痛みます。このような被害の実態と算出された被害額とは、あまりにも大きな乖離があると感ぜざるを得ません。
 農業用施設被害額の算出に当たっては、評価額から年償却額に経過年数をかけたものを差し引くという計算をするとお聞きしました。この被害額は、あくまで被害を受けた農業用施設の資産価値の算定であって、実際に倒壊したビニールハウスの撤去や再建に要する費用への算定の基準ではない、つまり、支援を検討する場合のビニールハウスの撤去や復旧費用は、実際にかかる経費を基準にすると考えて良いでしょうか。
 被災した農業用施設等への支援は、従来、復旧資材の購入費を市町村が支援した場合、費用の2分の1を県が支援する「農作物等災害緊急対策事業」、国が直接30%を支援する「被災農業者向け経営体育成支援事業」などで対応されてきたと思いますが、今回の雪害を乗り越えて、農家の皆さんが、若い後継者を含めて希望と意欲を持って農業を続けることができるように、従来の支援策にとどまらない実情にあった支援を検討して頂くように要望します。
 2011年の栄村の地震災害による農地の復旧にあたっては、国、県、村の支援で、最終的に農家負担は1%での復旧ができ、翌年の大雪が溶けた後で被害が判明した水田も対象になりました。今回の被害に対しては、具体的にどこまでの支援が可能になるのでしょうか。農政部長にお伺いします。
農政部長
 大雪によります農業被害への対策についてのお尋ねでございます。
 ご指摘がありましたように、県下におきましては、農業生産施設、農作物を始めとしまして大変甚大な被害が発生いたしているところでございます。私からも被災をされました皆様方にお見舞いを申しあげるしだいでございます。
 お尋ねの被害対策につきましては、農作物、農業生産施設の災害緊急対策、被害農業者の皆様の経営安定対策、少し時間がたちますけれども残雪対策ということで、3つの柱で体系的な支援を検討させていただいているところでございます。
 倒壊したハウスの撤去とか再建に対する支援につきましては、国の特別対策とあわせて、市町村と連携した農作物等災害緊急対策の実施を検討しているところでございます。また、被害を受けた農作物への補償につきましては、果樹の植え替えとか、代作用飼料の購入への支援、低利資金の融通などを検討しております。
 具体的な補助率等につきましては、近く国の特別対策の助成範囲や補助率が決まってまいります。これを踏まえまして早急に検討し、営農意欲が低下しないように、市町村や生産者団体の要望にもこたえられるように、積極的に支援してまいります。
 なお、これらの対策予算の編成にあたりましては、施設などの再建費用をベースに計算措置をしてまいりますので、ご理解をいただきたいと思っております。

家屋や駐車場、物置なども倒壊している。県の災害見舞金を積極的に活用して救済を図ってほしいがいかがか

石坂議員
 各方面で大きな被害を生んだ今回の大雪ですが、個人の家屋や駐車場、物置なども倒壊し、高齢者を始め、生活弱者の負担も大変です。県の災害見舞金などを積極的に活用して救済を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。危機管理部長にお伺いします。
危機管理部長
 災害見舞金の活用についてのお尋ねでございます。
 制度の説明になりますが、県単独事業の災害見舞金は、県内で発生した自然災害により、同一市町村内で5世帯以上の住家の全壊など一定規模以上の災害が生じた場合に交付する制度であります。住宅被害の見舞金の額は、全壊で1世帯あたり最大で30万円、半壊10万円、床上浸水2万円となっております。また、災害弔慰金や被災者再建支援金などが適用される場合には、県の災害見舞金は交付されないこととなっております。
 今回の県の対応でございますけれども、今回の大雪災害は現時点で住家の一部損壊が13棟、床上の浸水が3棟という被害が報告されておりますが、全壊や半壊の被害は報告されておりません。県内の被害状況が今後判明したところで、県の災害見舞金の制度が適用できるかどうか判断したいと考えております。
 なお、今回は県内で災害救助法が適用されましたので、県内全ての市町村において、志望者に対する災害弔慰金、負傷者に対する災害障害見舞金、災害援護資金の貸付金が対象となりますので、この件につきましては市町村と連携して対応してまいります。

物流や企業活動、観光などにも大きな影響を与えた今回の大雪被害に最大限の支援を検討し、今後に生かしていただきたいがいかがか

石坂議員
 今回の大雪で、一定期間交通網が麻痺したことにより、物流が停滞して県民の消費生活は不便を強いられ、企業活動、観光などにも大きな影響を与え、長野県内の観光客の宿泊のキャンセルは5万人を超えたと報道されました。各分野で可能な限りの最大限の支援を検討していただくとともに、今後に生かしていただきたいと思いますが、知事にお伺いします。
阿部知事
 大雪被害への支援についてのご質問にお答え申しあげます。
 常々職員には共感力ということを求めてきておりますが、まさにこうした災害のとき、応急対策あるいは事後の対策についても被災された皆様方の思いにどう寄り添うかということが問われているだろうと思っています。そうした観点でさまざまな支援に取り組んでいきたいと思っています。 今回の大雪による被害につきましては、農業、観光関係において大きな被害がでているほか、物流、企業活動においても少なからぬ影響が出たと考えております。 2月19日の第3回目の災害対策本部会議におきまして、私からは、災害の局面が応急対応から県民の日常生活への影響を極力抑制し、農林業者等被害を受けた方をいかに支援していくかという局面に移行しているということを認識して対応するように指示したところです。また、翌20日には国の各方面に対しまして、必要な要望を直接お伺いして要望させていただいたところです。
 それぞれの分野における支援・対応でございますけれども、まず中小企業に対して、運転資金の確保等が難しくなってきている中小企業に対しましては、各地方事務所、長野県信用保証協会等で相談に応じております。県の中小企業融資制度等活用して支援を行なってまいりたいと考えております。
 観光面につきましては、災害が起きると災害がいつまでも続いているんではないかという誤った認識を持たれ続ける場合がありますので、まずは正確な情報を発信しようということで、交通・スキー情報をまとめた総合サイトを20日に立ち上げました。観光関係者にも協力を呼びかけてツイッター等で積極的に発信していただいているところでございます。まだまだ滑れる長野県ということをPRしていきたいと考えておりまして、3月上旬にはガイドプロモーションも東京でおこなっていきたいと考えております。
 物流に関しましては、主要道路を寸断したことによりまして商品等の物流が滞りました。JRも各線で運休、特急あずさは長期間の運休ということで県民生活に大きな影響を及ぼしたところでございます。こうしたことから県としては、商品等の入荷状況、情報収集に努めました。そうしたなかで、石油製品については供給不足が懸念されたところでございますので、19日にJR貨物に対して石油製品の輸送について要請をおこないました。翌日以降順調に入荷してきている状況です。
 また、県民の交通確保のため、特急あずさ早期開通を、私からJR東日本に要請させていただきました。20日から通常運行再開されたところでございます。
 最新の道路情報を提供して欲しいというご要請強くございます。ITを活用して、適時適切に情報発信できるような仕組みに今後検討していきたいと考えております。
 また、農業関係、今後、最も大きなテーマだと認識しておりますけれども、農業生産施設等に大きな被害が発生しております。被害を受けられた農家の皆さんの営農意欲が低下することのないように、市町村・農業団体と連携して、農業生産への影響が最小限となるように、総合的な支援に全力で当たってまいりたいと考えております。
石坂議員
 それぞれご答弁いただきましたが、ぜひ今ある制度はもちろん十分生かし、新しい知恵も使って最大限の手厚い支援をお願いしたいと思います。

知事の政治姿勢

集団的自衛権について

石坂議員
 引き続き、知事の政治姿勢についてお伺いします。
 安倍政権は、「積極的平和主義」を掲げながら、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認しようとしています。歴代政権は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を禁じてきました。政府の「法の番人」と呼ばれる内閣法制局は、戦争放棄などを明記した憲法9条に照らし、専門家の立場から容認できないとの見解を示してきました。政府は、この解釈に基づいて、自衛隊は「専守防衛」の組織だと説明してきました。1960年に改定された日米安保条約も、この解釈を前提にしています。
 ところが、安倍総理大臣は、「最高責任者は内閣法制局長官ではない、私だ。」として、時々の政権の意向で憲法解釈の変更が勝手にできるかのように、世界の民主主義国家が共有し、憲法の根幹とも言うべき立憲主義を否定するような発言を繰り返しています。
 知事は、この集団的自衛権の行使に対して、どのような見解をお持ちでしょうか、お伺いします。
阿部知事
 私の政治姿勢について順次お答えします。
 まず集団的自衛権の行使についてです。このことについては、この議場でも何回かお答えさせていただいてきておりますけれども、集団的自衛権を行使することは、わが国を防衛する為の必要最小限の範囲を超えるもので、憲法上許されないという政府の見解、維持をされてきているわけですので、私も同じ考え方でございます。
 憲法解釈、定着して確立してきているわけでございますので、この集団的自衛権の議論については、仮に考え方を改めると言うことであっても、そのプロセスとしっかりとした国民合意を得ていくことが必要だと考えております。

日米共同訓練について

石坂議員
 日米共同訓練についてお伺いします。
 昨日2月25日から3月8日まで、新潟県関山演習場と群馬県相馬原演習場において、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊による日米共同訓練が行なわれ、訓練終了後の3月9日には、研修視察に長野市内に来ると伝えられています。当初この訓練に参加するとされていた垂直離着陸輸送機オスプレイは、今回の訓練には参加しないことになりましたが、小野寺防衛大臣は、今回の共同訓練について「沖縄の基地負担軽減につながる」と説明しています。もちろん、戦後長きに渡ってさまざまな犠牲と被害を生んできた沖縄の基地負担は軽減するべきですが、それを口実に、なし崩し的に本土にその負担を拡大していくことは許されません。長野県では、昨年夏ごろから、東北信地域を中心に米軍機の低空飛行訓練が頻発して県民の不安をよんでいます。
 今回の訓練を含めて、繰り返される日米共同訓練について、県民生活の安全を守る立場から、国に対して中止、反対の働きかけを強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
阿部知事
 日米共同訓練についてであります。
 昨日、2月25日から3月8日にかけて新潟県関山演習場、群馬県相馬原演習場を使用して、陸上自衛隊及びアメリカ海兵隊の部隊が共同訓練を実施しているところであります。両演習場を同時に使用して日米共同訓練が行なわれるのは18年ぶり2回目と聞いております。
 本県に近接する演習場での日米共同訓練ということでありますので、県としても県民の安全を守るという立場から防衛大臣に要請させていただいています。一つは、県民の安全を第一に県民生活に支障をきたすことの無いよう万全の措置を講ずること。2つ目として、特に県内は市街地やスキー場等の観光地が多くあるので、県内上空の飛行はできるだけ避けるとともに、飛行の際には地域住民や観光客に不安を与えないよう配慮すること。3点目として、訓練に関する情報をできる限り提供すること。こうしたことを防衛大臣に要請したところでございます。引き続き国の情報収集を行なっていきたいと思っております。

秘密保護法は廃止するべきだと思うがいかがか。

石坂議員
 秘密保護法の廃止についてお伺いします。
 安倍政権は、昨年12月6日、国会の多数で秘密保護法を強行しましたが、法律成立後も、この法律に反対する国民の世論と運動が大きく広がっています。地方議会では、法律制定後に廃止や撤廃を求める意見書採択が続き、1月31日現在で全国56自治体、長野県では小布施町、富士見町、長和町、下諏訪町、中川村、木島平村、高山村、生坂村、阿智村の9自治体で採択されています。マスコミも「法律の制定後に、廃止や撤廃の意見書がこれほど多く出されるのは異例」と報じています。長野県弁護士会も、12月16日、「特定秘密の保護に関する法律」の成立に強く抗議し、同法の廃止と憲法改悪阻止のための幅広い行動を呼びかける会長声明を発表しました。12月15日に結成された秘密保護法の廃止を求める長野県連絡会の緊急の呼びかけで、信濃毎日新聞の一面を買い取っての意見広告を通常国会開会日の1月24日に掲載し国会に届けようという取り組みがされ、年末年始の条件の中で一人一口1000円、目標の3000名を超えて4500名と大きく広がり、2面に掲載、中日新聞にも掲載する取り組みにと広がりました。これが現物の、信濃毎日新聞に掲載された広告です(新聞を提示)。ご覧になった方もおられると思いますが、一口1000円で名前を掲載した人たちの4500名の、思いのこもった名前が掲載されている意見広告です。共同通信社が1月25,26日に行なった世論調査では、秘密保護法を通常国会以降に「修正するべき」が46.6%、「廃止する」が28.2%で、あわせて74.8%となっており、納得している国民は少数です。
 知事は、11月県議会で、県の情報が特定秘密に指定される恐れや県の情報公開制度への影響はほとんど無いなどと答弁されていますが、県が進めている情報公開の理念にもそぐわず、多くの県民が望んでいない秘密保護法の廃止を求める立場に立つべきではないでしょうか。改めて、知事の見解をお伺いします。
阿部知事
 次に特定秘密保護法についてでございます。
 国民の知る権利、民主主義を支える重要な権利だと考えています。情報公開制度はその国民の知る権利を保障する根幹的な制度であります。県民から付託された県政をあずかる知事として、県民からの信頼が得られるよう情報公開、説明責任の徹底に努めてきております。
 特定秘密保護法につきましては、複雑な国際情勢の中で国や多くの国民の安全確保を図っていく上で、防衛、外交、テロ防止等安全保障上秘匿性の高い情報の漏洩防止を図る観点で、一定の法整備は必要と考えております。
 しかしながら、国民の知る権利との関係におきましては、将来に禍根を残すことが無いよう、まだ法の施行前でございますので、さらに十分な議論が為されなければならないと考えております。
 具体的には、1月に設置された情報保全諮問会議において、特定秘密の指定等が行政機関の恣意的な運用とならないよう、なにが特定秘密に該当するか等、その運用基準、しっかりと議論して定められる必要があると思います。
 また、国会の関与、国権の最高機関である国会が存在しているわけでありますので、行政機関の特定秘密にかかる運用状況を監視できる体制を整えていくということが必要だと考えております。  こうした情報保全諮問会議あるいは国会の場における十分な議論、そして慎重な議論を経ることによって、国民の懸念・不安が払拭されるよう国として取り組んでいただくことを強く期待しております。

柏崎刈羽原発、浜岡原発の隣接県として、原発再稼動はやめるよう働きかけていただきたいがいかがか。

石坂議員
 原子力発電所の再稼動についてお伺いします。
 長野県に隣接する世界最大の原発といわれる新潟県の柏崎刈羽原発と、老朽化が心配されている静岡県浜岡原発が、それぞれ再稼動に向けて動き出しています。政府は、原発を「基盤となる重要なベース電源」として、最近の報道では「ベースロード電源」に修正するようですが、再稼動を進めることを明記したエネルギー基本計画を決定しようとしています。
 しかし、福島第一原子力発電所事故の収束の見通しがいまだ立たない中、核燃料を冷却する大量の汚染水が流れ出し、使用済み核燃料の処分先もいまだ決まらず、すでに飽和状態を迎えようとしています。
 何よりも、ひとたび事故が起これば、あの事故からもう3年がたとうとしているのに、福島では、いまだ住みなれた故郷へ帰る見通しも立たない16万人もの人たちが不自由な避難生活を送り続けており、計り知れない大きな犠牲を生み出すことになります。
 政府は、安全基準を満たしたものから再稼動するといいますが、新規制基準は、福島第一発電所の事故原因が明らかになっていない中で策定されており、重大事故に対する立地評価もされていないものです。
 東京電力柏崎刈羽原発で事故が発生した場合を想定した住民避難の行動指針を新潟県が2月4日に公表しましたが、原発から50キロ圏内には飯山市、栄村などが含まれており、風向きや地形によっての影響も心配されるところです。共同通信社の世論調査では、「安全が確認された」原発の再稼動に、賛成が31.6%、反対が60.2%となっています。
 県民生活の安全を守る立場から、知事には、両原発の再稼動の中止を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
阿部知事
 原発の問題でございます。柏崎刈羽原発、浜岡原発の再稼動についてです。柏崎刈羽原子力発電所6,7号機については昨年9月に、浜岡原子力発電所については本年2月に、電力会社から原子力規制委員会に対して、原子力発電所の新規制基準の適合性に係る審査申請がされたところです。
 原子力発電につきましては、私としては国において責任ある対応をしていただくことが必要だと考えております。具体的には東京電力福島第一原発における事故の検証を十分に行うとともに、同様の事態を二度と起こさないという決意の下、いかなる事情よりも安全性を重視した政策を取っていただく必要があると思います。
 また、原発依存度を可能な限り低減させるための具体的な道筋を示していただくことが必要だと思っております。
 さらに、原子力発電所の再稼動については安全審査だけではなくて、原子力発電の必要性についても国民の十分な理解を得るなど、丁寧なプロセスを踏んで慎重に判断していくということが重要だと考えております。
 国においては新しいエネルギー政策の策定を予定していることでありますので、こうした点について国に対して近々に要請を行ないたいと考えております。

新年度予算編成と県財政の健全化について

石坂議員
 新年度予算編成と県財政の健全化についてお伺いします。
 内閣府が今月17日に発表した2013年10月から12月期の国内総生産GDPの実質伸び率は0.3%にとどまり、4期連続のプラス成長ではありますが、13年1月から3月期の1.2%以降、伸び率は下がる一方です。輸出も0.4%と低い伸びで、円安効果も輸出を押し上げるにはいたっていません。
 雇用者報酬が伸びていないため、実質GDPの6割を占める個人消費はわずか0.5%の増、消費税増税を見越した住宅などの駆け込み需要があったにもかかわらず、低い伸びにとどまっています。アベノミクスの効果は地方に及んでいないばかりか、全体の伸び率が鈍化しており、景気回復は決して磐石ではありません。
 新年度の長野県予算編成では、消費税増税による景気の腰折れリスクがあることを認めながら、財源として景気回復と消費税増税分を見込んでいます。知事も提案説明の中で、バブル経済が崩壊した後も低いながらも続いていた経済成長が1998年には名目成長率がマイナスとなり、本格的なデフレ時代に突入することになり、長野県でも有効求人倍率が1997年の1.23倍から、1998年には0.92倍へと後退し、その後今日に至るまで1997年の数値を上回ることが無い状況が続いていると述べています。
 まさに、その1997年に消費税が3%から5%へと増税されたのであり、今年の4月にはさらに8%へと増税されることになります。長野県の年間予算規模約8500億円の2倍近い県債残高も高止まりの傾向にありますが、はたして今後の県財政の健全化は見込めるのでしょうか。知事の見解をお伺いします。
阿部知事
 次に財政についてのご質問でございます。財源確保と県債残高への懸念、財政健全化の見込みについてです。
 まず財源確保への懸念ということのご質問でございますが、景気下振れリスクがある中で財源を確保できるのかというご指摘でありますが、景気動向によりまして影響を受ける代表的な税目は法人関係税であります。平成26年度の税収に影響する今年度の企業業績は総じて回復傾向にあります。そうしたことから、主要企業の決算見込み、各種の経済指標を参考として、26年度収入、的確に見込ませていただいたと考えております。
 また、県債残高についてですが、県債残高が高止まりとしているという指摘がありました。次世代に過大な付けまわしをしないということが財政運営を考える上で重要だと思っております。県がコントロールできる通常債につきましては、そうした観点で発行抑制に努めてまいりました。平成26年度には行政財政改革方針策定前の23年度と比べて、1173億円減の1兆337億円ということで、今後も着実に減少していく見込みとなっております。他方、国の地方財政対策によりまして、多額の臨時財政対策債の発行が常態化しております。これが、総額が高止まりしている最大の要因であります。臨時財政対策債については、これまで私としても国に対して廃止を要望してまいりました。そうしたことも一部国は受けとめていただいたと思っておりますけれども、平成26年度は地方財政対策において9.9%の削減ということで、本県においても前年度に比べて87億円減額して計上しております。
 県債残高総体は依然として、臨時財政対策債を入れると高止まりの状況でありますが、財政健全化指標につきましては今後改善していく見通しでございます。平成17年度に20.1%で全国ワースト1位でありました実質公債比率につきましては、26年度には13.8%というところまで改善をする見込みであります。
 県財政の安定的運営は活力ある経済活動あってこそでございます。これまでも、経済・雇用対策と、県財政の健全化、バランスを取って財政運営をしてまいりました。 当面は消費税率引上げに伴う影響を最小限に抑え、景気回復を確かなものとするよう努めるとともに、引き続き長野県の行政財政改革方針に沿って財政健全化の取り組みを進めていきたいと考えております。
石坂議員
 それぞれご答弁いただきましたが、特定秘密保護法の廃止、原発再稼動中止の働きかけ等はぜひとも多くの県民の思いの側に立ってさらに積極的な中止・廃止の働きかけを強めていただくことを強く希望しておきたいと思います。
 県財政の健全化につきましては、知事もご答弁で触れられておりましたように、私たちも普通債の減少などのご努力は認めるものです。しかし、根本的には県民の所得が増え、つまり県民消費が増えて景気が本当の意味で活性化しない限り県税収入の確保はできない、そのことに消費税増税が本当に水をかけるような状態になっている、この悪循環を断ち切るため一層の国への働きかけもお願いしておきたいところです。 引き続き、県財政の健全化にさらなるご努力をお願いしておきたいと思います。

リニア新幹線への対応について

1、環境影響評価への知事意見書提出について

石坂議員
 リニア中央新幹線の対応についてお伺いします。
 日本共産党権議団は、2月の4から6日まで、リニア新幹線工事予定地の南木曽町、阿智村、喬木村、飯田市、豊岡村、大鹿村にお邪魔し、現地調査を行なうとともに、関係自治体の町村長さん、議長さんはじめ議会関係者、観光協会、地域振興協議会、飯田市の中間駅設置予定地周辺の上郷飯沼区、北条地区対策委員会や多くの住民の皆さんから御意見、ご要望を聞きしてきました。
 率直な感想として、出された多くの不安や懸念、課題を果たして解決できるのか、27年開業を大前提として、その期限は変えず、環境配慮はその枠内でとしているJR東海の方針のもとで、果たしてこの事業は進められるのだろうか、という大きな疑問が改めてわいてきました。  工事の残土運搬車両の激増で、一日690台、1700台というダンプが、生活道路を40秒に1台、それが7年も10年も続いたら、「日常の普通の暮らしそのものが成り立たない」「妻籠は無くなってしまう」「昼神温泉がだめになる」など、さまざまな深刻な訴えをお聞きしてきました。
 マスコミ報道で、県の技術委員会事務局が「市町村の意見をそのまま知事意見に反映してJRが受け入れられないようなものにするより、技術委員会での議論の深まりを踏まえて知事意見を作成していくことになる」とコメントしたという新聞記事を見て、関係自治体の皆さんは、自分たちの意見は抹殺されてしまうのかと、心配されておりました。
 知事意見書は、県民や関係自治体から出されている要望や懸念を最大限反映するものにするべきだと考えますが、基本的な立場、反映するべき課題、事項についての知事の見解をお伺いします。
 環境や住民生活、産業などへの影響が大きい課題について、必要な調査や根拠ある説明を求め、課題解決が見込めない場合は、計画の見直しも求めていただきたいがいかがでしょうか。

2、 知事意見書提出後の対応について

石坂議員
 また、意見書を提出してよしとするのではなく、意見書提出後は、意見書の内容が誠実に事業に反映、実施されるよう責任を持ってJR東海に求めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 課題解決に当たっては、事業主体はあくまでJR東海であることの責任を明確にし、住民合意に基づいて進めるべきだと考えますがいかがでしょうか。

3、 リニア新幹線活用基本構想(案)について

石坂議員
 リニア中央新幹線活用基本構想(案)についてですが、関係地域の皆さんからお聞きした課題のあまりの大きさ・深刻さに、正直、私自身は、活用基本構想の前に、やることがあるのではないか、あまりにも前のめりではないかという印象は否めません。
 その上で、この活用基本構想(案)を実現していくためには、道路や鉄道アクセスの整備などによって関係自治体や住民に新たな負担が生じることが考えられます。そのため、構想実現の前提として関係自治体や住民から出されている課題や懸案事項が解決されることが不可欠だと考えますがいかがでしょうか。また、構想(案)を実施する場合の事業費負担はどうなるのでしょうか。知事にお伺いします。
阿部知事
 リニア中央新幹線についてのご質問に順次お答えします。
 まず、環境影響評価準備書に対する知事意見書についてです。基本的なスタンス、会見等でもお話しておりますけれども、長野県とりわけ環境を大切にしてきた県であります。環境を守ることが県として大変重要なテーマだと思っておりますので、そうした観点で市町村長のご意見も十分尊重しながら、知事意見については環境負荷を極力低減した事業計画となるよう求めていきたいと思います。
 環境影響評価技術委員会では、住民や市町村長からの環境への影響を懸念するさまざまなご意見を踏まえて、審議を行なっていただいております。工事用車両の通行に伴う生活環境への影響とか、トンネル工事に伴う地下水への影響等、大きな審議項目となっていると承知しております。
 こうしたことから発生土量の詳細や見込み、地質のボーリングデータ等の追加資料の提出や予測評価の根拠の説明など事業者に求め、準備書の記載内容について専門的な見地から慎重に審議を進めていただいているところでございます。  事業者による環境への配慮が不十分と判断される場合には、準備書に記載された事業計画の変更を求めるということも視野に入れながら、環境への負荷ができる限り低減されるよう、知事意見において事業者に要請してまいりたいと考えております。
次に、知事意見提出後の対応でございます。事業者、知事意見を勘案して準備書の記載事項について検討を行い、必要な修正を加えた上で次の段階である環境影響評価書を作成するという手続きになっております。こうしたことから、まず知事意見を出すにあたりまして、事業者に対しましては、地域の環境保全に責任を有する私の意見、知事の意見、非常に重いものだということを十分に認識していただく必要があると思っております。その上で、準備書の修正について真摯に検討し知事意見が評価書に適切に反映されるよう、求めていきたいと思っております。
 また精査の手続き上、評価書の審査は環境省など国の機関に委ねられるという形になります。知事意見提出後は県が法的に関与する場面はなくなってしまうわけですが、知事意見を出せば終わりということでは考えていません。沿線都県とも十分連携をとりながら、適切な対応を求めていくとともに、知事意見の評価書の反映が不十分であった場合には環境省に対しても要望することを検討したいと思っております。
 なお、事業の円滑な推進には地域の理解と協力が不可欠であることから、地域において丁寧な説明を行い、住民の不安を払拭するよう引き続き事業者に求めていきたいと考えております。
 リニア活用基本構想実現については、課題解消がまずは必要ではないかというご質問です。リニア中央新幹線の整備効果、広く県内に波及させる為に、今リニア活用基本構想、年度内の策定を目指して進めているところでございます。基本構想に掲げた取り組みを実現するにあたっては、当然のことですが、リニア建設に伴う自然環境、あるいは住民生活への影響といった地域の不安を払拭していかなければ次の段階に進んでいくことはできないだろうと思っておりますので、そういう意味で、先ほど申しあげた環境影響評価準備書に対する対応はしっかりと行っていきたいと思っております。
 事業費負担についてですが、基本構想実現に向けて、県だけではなくて国、市町村、さまざまな主体・担い手が必要な役割分担のもと、連携を図りながら事業を進めていくことが必要だと考えています。基盤整備に関する事項、とりわけ駅機能や駅周辺整備、あるいは道路等の交通ネットワークについては、リニアの詳細なルートあるいは駅位置が明らかになってからまだ日が浅いわけでありまして、今後より具体化を図っていくということが必要だと思っております。県と地元の自治体で今伊那谷自治体会議等、さまざまな機会を通じて役割分担等について調整を行なってきているところでございます。事業主体、事業負担等について、こうした中で必要な検討を進めるなかで確定をしていきたいと考えております。
石坂議員
 活用基本構想について知事からご答弁いただいたんですが、担当部長のお立場で原山企画部長、追加のご答弁がもしありましたらお願いしたいと思います。
 改めて、知事が懸案事項を解決しない限りそちらには進めないと認識を示していただいたので、ある意味安堵はしているのですが、実際に知事もよく地形も、それからいろんな状況もご存知の、あの下伊那地方において、先ほど申しあげた、30秒に1台、40秒に1台というような大量の残土搬出のトラックが、果たしてあの狭隘の道路を住民の日常の穏やかな生活を脅かさないで通行することができるのかどうか。また、不可能だとすればそのための道路を、私はあくまで事業主体はJR東海ということを申しあげているんですけれども、道路建設が可能なのか。かなり不可能と思われるんですけれども、その事業費の支出などはどこの責任で行なっていくのか、また可能なのか、その辺の知事のご認識についてもお伺いしておきたいと思います。
企画部長
 リニア活用基本構想についてのお尋ねでございますが、知事から先ほどご答弁申しあげたとおりでございますが、さらに付け加えるとすれば、知事が会長を務めておりますリニア中央新幹線建設促進長野県協議会でも、昨年秋の時点で、JR東海に対して、建設工事による環境への影響低減にむけてとりうる最善の策を講じることを要望しております。以上の念頭のもとに進めていきたいと考えております。
阿部知事
 リニア関係の事業については、非常に多岐にわたる事業が想定されるところであります。そういう観点で、国、県、市町村、リニアの主体であるJR東海、そうしたさまざまな関係者がどの部分をどう担うか、しっかり確定させていく必要があると思います。
 これは、私どもとすれば環境負荷を極力低減していただくと同時に、このリニア新幹線の効果が県内に広くプラスの効果を発現できるようにしていくということも、片方で重要な使命だと考えておりますので、そうした観点で基盤整備も含めて、ハード面、ソフト面、全体にわたってしっかりと対応していかなければならないと。
 その対応の方向を固めるなかで、財源についても、当然私どもも責任を持って財源確保していかなければいけないわけでありますが、国家的なプロジェクトでもありますので、国とも十分話をしながら、国の財政支援等もいただける形をとりながら、事業の全体像を固めていきたいと考えております。
石坂議員
 現地に行ってお話をお聞きし、現地を見れば見るほど、荒唐無稽と言っては失礼かもしれませんけれども、期限内にこの工事をやり終えていくのはかなりの神業、さまざまな犠牲を伴うと思わざるをえません。ぜひ、住民の立場に立っていただき見切り発車とならないよう、県民の立場での意見をあげていただき働きかけを強めていただくように、改めて知事にはお願いをしておきたいと思います。

県の契約に関する条例について

石坂議員
 県の契約に関する条例についてお伺いします。
 長引く景気低迷や深刻な雇用情勢、好転の兆しの見えない国の財政状況を反映し、地方自治体の財政状況も、いまだ厳しい事態にあり、長野県もその例外ではありません。しかし、県財政の厳しさを背景に、経費削減を優先しての業務の民間委託や臨時・非正規の職員への置き換えがすすめられ、安ければよいという風潮が放置されれば、税金を使って行なう県の公的な事業やサービスで、こともあろうに、その収入だけでは生活できない低賃金労働者を作りかねず、公共サービスの質の低下にもつながりかねません。本来、このような事態を根本的に解決し、良質な公共サービスを適正な価格、適正な費用で県民に保障する為の条例が、県の契約に関する条例を制定する目的だと思います。
 今回提案されました「長野県の契約に関する条例案」は、県が締結する契約についての透明性・公平性や品質の確保、県内中小企業の受注機会の確保、労働者の賃金水準の適正化、障害者雇用の促進などの社会的要請にこたえるものとして、基本理念と県及び県の契約の相手方の責務、県の取り組み方針を定めるものとなっています。
 このうち、基本理念のなかに、「県の契約は・・・経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素を考慮し、総合的に優れた内容のものとしなければならない」という点と、「県の契約の履行にかかる業務に従事する労働者の賃金が適正な水準にあること、その他の労働環境が整備されていること」としている点が特に重要だと思いますが、県が発注する公共事業や物品購入、指定管理者等の委託業務などにかかわる労働者の賃金が適切に保障され、合わせて受注した事業主にも適切な利益が保障されること、公共事業を例にとれば、元請けも下請けも保障される適正な価格を発注者の県が保障するのだという点が、もうひとつ明確ではありません。
 表現の仕方が適切ではないかもしれませんが、どちらかといえばまだまだ上から目線で、発注者の県は、透明性や公正性が確保され、談合その他の不正行為が無い適正な契約を見届けるというようなニュアンスがあるのですが、この条例の目的は、むしろ発注者である県を縛るもので、受注者を守るものであるという点を基本理念、県の責務においてもっと明確にするべきではないでしょうか。
 最近の公共事業等の入札が不調に終わる傾向や、落札率を上げていくだけでは限界があり、解決できない問題があることを考えれば、県が発注する業務においてはいわゆる官製ワーキングプアは生まない、労働者の適正な賃金と雇用の確保とともに事業主の適正な利益の保障もし、安心して県からの仕事を受注できるという観点を明確にするべきではないかと思います。建設部長の見解をお伺いします。
建設部長
 長野県の契約に関する条例案についてのお尋ねでございます。長野県の契約に関する条例案は契約制度の公正かつ適正な運用を図りつつ、多様化する社会的要請に応え、県の行政目的実現のため、契約の活用を図るものです。
この条例ではダンピング対策として、適正な履行が通常見込まれない金額による契約を防止することを謳い、総合的に優れた契約の締結となるよう、適正な応札関係を整備していくこととしております。
 また、労働者の賃金が適正な水準にあることなど、労働環境の整備に配慮することとしており、これらを踏まえた契約となるよう、県の責務として必要な措置を講ずることとしております。
県といたしましては過度な競争入札により、企業の健全な経営が損なわれることがあってはならないと認識しており、入札制度において失格基準の運用や契約後確認調査等のダンピング対策、また総合評価落札方式や最低制限価格制度の対象拡大などにより、過度な競争を防止し、企業の健全な経営が確保されるよう配慮してまいります。
石坂議員
 長野県の契約に関する条例案について建設部長からご答弁いただきましたが、せっかく作る条例ですので、ぜひ県の仕事を請けたら安心という部分が明確になるような、発注者と受注者の信頼関係が保障されるような、そういう条例が制定されることを心から要望しておきたいと思います。

県立4年制大学と高等教育の充実について

石坂議員
 県立4年制大学と長野県の高等教育の充実についてお伺いします。長野県短期大学を4年制にとの請願を県議会が全会一致で採択してから22年がたちました。バブル経済がはじける中で長野オリンピックの大事業を成功させる一方で、他県の県立短大が次々に4年制大学に改組されていく中で長野県での4年制化への具体化は進まず、村井知事時代に、県の包括外部監査から、県短大が時代の変化にふさわしい存在意義を持つためには管理栄養士養成課程を軸とする4年制大学への改組が必要との指摘を受け、検討委員会での繰り返しの議論の中で4年制大学への発展的改組が必要とされました。
 その後の設立準備委員会の議論を経て、一昨年9月の基本構想素案の公表、県議会の議論やパブリックコメント、私学関係者との話し合いなどの過程を経てまとめられた基本構想に沿って、ようやく施設整備や教育課程を検討する2つの部会も動き出し、開学に向けての具体的な準備が始まったことを歓迎するものです。
 ここにいたるまでの知事はじめ関係の皆様のご尽力に敬意を表し、いよいよこれからが正念場となりますので、いっそうのご尽力をお願いするものです。
 さて、そのうえで、残念ながらいまだ一部に、県内私学との競合を心配する声があります。県立4年制大学は、長野県の人材育成の受け皿、とりわけ4年制大学の受け皿が全国的に見ても最低レベルである現状を打開し、充実させるため設立するもので、決して県内で学校間の競合を招くものではないこと、県内の高等教育のレベルを私学とも協力して全体として充実させることを目的としていることを、県としてももっと積極的に発信して、いっそう理解を深めていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 また、知事は提案説明の中で、開学の時期は平成30年4目標にするとされましたが、昨年の2月県議会での私の質問に対しては、遅くとも平成29年4月の県の総合計画の計画年度内に開学すると答弁されています。  開学の時期は、学生の進路の決定のためには大変重要で、ひとりひとりの学生の進路を大きく左右することにもなります。お隣の新潟県立大学は、従来の短大のキャンバスで校舎の増改築を行なって4年制大学を開学し、開学後に学生食堂などの建設を行なっています。できれば知事自身が表明された総合計画の計画年度内に、できるだけ早く開学してほしいと思いますが、平成30年度まで延びてしまうのはなぜでしょうか。高田総務参事にお伺いします。
総務参事
 新県立大学設立の目的や高等教育全体の充実に取り組むことを発信する必要性、及び、開学時期が平成30年度になる理由についてのお尋ねです。
 新県立大学設立の趣旨及び県高等教育全体の振興につきましては、議員ご指摘の通りでございます。現在長野県の大学の収容力は全国最低であり、高校生の8割以上が県外大学に進学している状況にあります。新県立大学は、県内高校生に大学進学の新たな選択肢を提供し、地域を牽引していく人材を県内で育て輩出していくことを目指すものです。
 これまで私立大学の皆様とは継続した意見交換をさせていただいており、今議会に提出しました高等教育振興策に係る予算案はそうした意見交換のなかから生まれてきたものとも言えます。
 県民の皆様にはこれまでも意見交換会や関係団体への説明、県議会等の場で説明してまいりましたが、今後とも専門部会などの取り組みの状況を明らかにし、ご理解をいただきながら進めてまいりたいと考えております。。
 開学の時期につきましては、基本構想の中では平成29年4月の開学を目標とするが施設整備計画等を策定する中で決定していくとしていたところであり、今回施設整備基本方針の作成に合わせて開学目標年度を決定したものです。決定にあたりましては、施設整備の状況に加えまして、文部科学省の大学設置認可申請時期が約半年早まったことも背景に、体系的カリキュラムの構築、優秀な教員の確保、海外プログラムの受け入れ先など、教育の特徴づけをしっかりと準備する為の期間を考慮いたしました。
 これから進路を定めていく学生の皆さんにとっても、できるだけ早期に開学目標時期を決定し明らかにすることが必要と考え、これらを総合的に判断し、開学時期を平成30年度としたところです。

教員への満足度調査について

石坂議員
 教員の評価制度についてお伺いします。
 残念ながら教員の不祥事が相次いで発生し、多くの県民が不祥事の根絶と教育への信頼回復を求めています。県教育委員会は、新年度に教職員の非違行為根絶を図るため、教職員からの通報相談窓口やアドバイザーの設置と教職員や学校の評価制度の改善に取り組むとされています。
 しかし、私は、現在検討されている児童・生徒や保護者による匿名性を担保した評価制度の導入には、大きな疑問を持っています。(大いに満足、大体満足、普通、あまり満足しない、大いに不満)の5段階評価のマークシート方式の集計を評価の参考にするということですが、果たしてこんな方法で教員の資質向上に役立つ評価ができるのでしょうか。
 授業が理解できているか、いないか、先生の指導が実情にあった親身なものであるかどうか、などを生徒から評価されるのは、教員にとって反省点や今後の指導にいかす点があり有益かもしれません。しかし、日常の授業に参加していない保護者に、いったいどれだけの評価ができるのか、子どもと保護者が話し合って記入するということと、匿名であるために、そこに保護者の恣意的なものは働かないのか、厳しい先生、嫌いな先生というだけで悪い評価になったとしたら、その評価に誰が責任をもてるのか、など、教育は時間をかけて効果を発揮するものでもあるだけに、さまざまな危惧を感じます。
 検討されている匿名性を担保した評価制度は、個々の教員の授業と学校という教育活動を、満足するかしないかという、まるでホテルや商店の顧客サービスを評価するような方法でチェックしようとしているように思えてなりません。
 不祥事の根絶のために必要なのは、教育への情熱や生きがいが持て、そのための高い能力をつける研修などを通じて教育の質の向上を図り、教師集団の協力、切磋琢磨する信頼関係を作ることではないでしょうか。教育とは、本来、生徒と教師、保護者の信頼と協力関係のなかで作り上げていくものです。
 無機質なマークシートで集計された評価ではなく、改善すべき点があれば直接指摘しあい、話し合い、高めあっていくべきもので、直接では言いづらいのであれば、記述式の匿名アンケートで十分ではないでしょうか。教師集団としての協力関係や信頼関係を壊しかねず、評価を良くしたいと困難学級を担当することを避ける傾向を生み、教員の教育への情熱をそぐことにもつながりかねないこのような評価制度の導入は再検討するべきではないでしょうか。教育長の見解をお伺いします。
教育長
 匿名性を担保した評価についてのお尋ねでございます。教員評価につきましては、現在でも多くの学校で授業評価や学校評価アンケートを実施し、児童・生徒・保護者の声を参考にしながら、評価権者である校長が教員の自己評価や授業観察等のさまざまな視点から総合的に行なっているところでございます。
 今回、その総合的な評価を行なう上での参考資料の一つとして、匿名性を担保とした授業評価の導入を考えているところでございます。匿名性を担保することにより、記名式では漏れてしまう率直な意見を拾い出し、いっそうの授業改善や学校改善に役立てることを目指しているところでございます。
 保護者による授業評価につきましてはこどもの発達段階を考慮し小学校において導入を検討しているところでございますが、学校と地域との結びつきが強く保護者が授業参観をする機会も多いので、学校評価の中で保護者が児童から学校の様子を聞きながら、個別の教科ごとというものではなくて、授業全体について一緒に評価を行なうことで、従来得にくかった視点から参考となる情報が得られ、より適切な評価に資するものと考えております。
 導入にあたりましては、PTA等通じ保護者に対しても趣旨を丁寧に説明し、今回の評価制度の改善が、学校教育の改善の充実につながるようにしてまいりたいと考えております。
 また、マークシートというのは評価シートの一部分でございまして、マークシートのなかで、特に評価する、もしくは特に評価しないという記述をされる場合には、その理由を具体的に記述していただきたいということで、学校改善、授業改善につながるような評価シートの工夫もしていきたいと考えております。
石坂議員
 教育長のご答弁をお聞きしましても尚、匿名性を担保した評価制度ということが本当の改善につながるのかという事が、とても説得力を欠くものだと私は受けとめました。この制度でなくて教育長のご答弁でもありました様に、いままで行なってきた授業アンケートや様々な制度を充実するという事で、十分対応できるのではないでしょうか。また無理やりこの制度を取り入れて改善という事にしなくても、いろいろそのことで有識者の方に検討していただいたからこれを何とかやらなければというお気持ちはあるかもしれませんが、現場が本当に生きがいを持って教育に携われるような、それを改善というのだと思うんですよね。何かおくじょう句を重ねるような、やらなくてもいいような、そんな調査にエネルギーを使うように私には思えてなりません。
 私の好きなフランスの詩人ルイ・アラゴンの詩の一節に「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸にきざむこと」という一節があります。これは長野市松代の大島博光さんの訳詞なんですけれども、他の方の訳では「教えるとは未来を共に語ること、学ぶとは真実を心に刻むこと」こうゆう訳詞もあるんですけれども、この詩が謳っておりますように、先生が生徒に希望を語って、生徒は学ぶことで誠実を胸に刻む、そんな教員と生徒と保護者の信頼関係を作りだす、そんな長野県教育であってほしいと、私は願っています。
 匿名性の担保とマーク・シートによる満足度調査、じゃあ記述式でもいいじゃないか、というといままでの記述式アンケートで良いじゃないですか、そんな教育とは無縁で異質な調査がとても改善につながるとは思えません。こんな評価制度の導入に教育委員会の議論では異論がでなかったのでしょうか。
 村石議員の代表質問でもこの問題について指摘がありました。この議会の議論も教育委員会に是非ご報告をいただき、導入を判断するのは教育委員会ご自身なのですから、安易な導入は見送る、慎重な再検討を強く求めたいと思いますが、教育長の見解を改めてお伺いいたします。
教育長
 評価制度の改善についてのお尋ね、再質問を頂戴しました。
 評価制度につきましては正に先程もご答弁申しましたとおり、授業アンケート、学校アンケートの調査等がそれぞれ行なわれているところでございます。但しこの中で学校と保護者との関係、また生徒と先生との関係の中で、記名式であると率直な意見がなかなか伝えることができないと、このような声も聞いているところでございます。今回はそういう意味ではその改善という観点でそこを匿名性にしていくという事を考えご意見をいただきながら今議論をしているところでございます。
 本制度については様々なご意見を頂戴しているところでもございますし、今後その実施に当っては、学校現場で今行なっている調査等を充分うまい形で生かしながら、どの様な形で主旨というものを導入できていくのかということを、更に教育委員会で検討しながら判断していきたいと考えてございます。

特別支援学校の教育環境充実について

石坂議員
 特別支援学校の教育環境充実についてお伺いします。
 現在、全国的にも特別支援学校で学ぶ児童・生徒は少子化にもかかわらず増え続け、この10年間で特別支援学校の生徒は約4割増、特別支援学級、通級指導教室は2倍になったとされ、長野県でも高等部を中心に生徒が増加し、教員も教室も足りない現状にあります。このような中で、新年度に特別支援学校から小・中・高等学校への支援体制を強化するため、自立活動担当教員を平成29年までに80人増員し、新年度新たに介助職員20人を配置するとともに、専門性を生かした支援を行なうため理学療法士、作業療法士の派遣なども行ない特別支援教育の充実が図られることを歓迎します。
 しかし、同時に、文部科学省の学校基本調査によれば、長野県の小中学校における特別支援教室の児童・生徒の在籍率は小学校で全国6位、中学校で全国1位の高さであり、そのうち自閉症・情緒障害の子どもが占める割合が小学校で全国2位、中学校で全国1位となっており、今後も高等部の生徒の増加が続くことが予想され、新年度からの取り組みが実施されても、特別支援学校の過密化、過大化を解消し、行き届いた教育を実現するためには、まだまだ程遠く、いっそうの努力が必要になっています。
 県教育委員会は、今までも、標準法との乖離の計画的な解消に努めると、議会でも繰り返し明言されてきました。是非、その取り組みをいっそう促進していただきたいと思いますが、今後の見通しはいかがでしょうか。
 また、児童・生徒の増加に施設整備が追いついていない現状として、文部科学省のまとめによれば、2012年、平成24年5月1日現在、全国の公立特別支援学校で4633の教室不足が生じており、特別教室を転用している教室は1788、一時的に間仕切りで設けた教室が1285となっています。そのうち、長野県では、教室不足が46、特別教室の転用が31、間仕切りの教室が8、廊下等の間仕切りが11となっています。慢性的な教室不足、その上に、昨年の9月県議会では両角友成議員も質問し、日本共産党県議団として繰り返し指摘してきました長期のプレハブ教室での対応は一刻も早く改善していただきたいと思います。昨年11月5日の参議院文教科学委員会では、日本共産党の田村智子参議院議員の質問に対し、下村大臣が、「文科省では、各設置者において増加傾向にある児童生徒数を的確に把握し、解消計画を順次策定、更新するとともに、新設校の設置や校舎の増築、分校、分教室による対応など教育上支障の無いよう適切な対応を求めているところであります。また、こうした教室不足を解消するための校舎等の新築、増築等に対して国庫補助を行なっており、今後とも地方公共団体において計画的な整備が行なわれるよう、引き続き予算の確保に努め、教室不足の解消を図ってまいりたいと思います」と答弁しています。
 私たちも、かねてから、統廃合した高等学校の校舎の活用なども提案してきましたが、特別支援学校の生徒増に見合う学校建設を本格的に検討するべきではないかと思いますが、教育長の見解をお伺いします。
教育長
 特別支援学校の教職員定数の乖離解消の促進についてのお尋ねでございます。
 特別支援学校の教職員定数の改善につきましては、児童生徒の障がいの重度化重複化にきめ細かく対応するとともに、特別支援学校のセンター的機能の発揮により、小・中・高等学校への支援体制を強化するため、自立活動担当教員を平成29年度までに80人増員することとし、平成26年度には20人を増員することを予定をしているところでございます。
 教員定数と配置人員との間には依然として乖離が生じるところでございますが、来年度新たに学校介助職員20人を配置するとともに、専門性を活かした支援を行なうため、理学療法士、作業療法士等の派遣なども行い、教員と専門家による全体的な体制のなかで、特別支援教育の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に特別支援学校の生徒増に見合う学校の増設についてでございます。 これまでも児童生徒増に対応するため、平成9年度以降9校に72教室を増設してきたところでございますが、来年度中には新たに上田養護学校および飯田養護学校に、各6教室を増設することとしてございます。また高等学校の余裕教室の活用や、教育ニーズに応じた教育課程を踏まえ、4通学区それぞれへの特別支援学校高等部、分教室の設置を進めているところでございまして、本年4月には臼田高校内に、小諸養護学校高等部分教室の開設を予定してございます。
  今後の知的障害特別支援学校の児童生徒数につきましては、各市町村の就学相談や各校の教育相談の状況から、ここ2,3年がピークで児童生徒全体の減少に伴いながら、中、長期的には減少していくという風に見込んでいるところでございますが、今後とも児童生徒数の推移等的確に把握しながら、各学校の教育的ニーズや地域の状況に応じた教育環境の整備充実に務めてまいりたいと考えてございます。
石坂議員
 また、特別支援学校の教員、教室不足の問題ですけれども、分教室を作っていただいたり教室を増やしていただいたりいろいろ新年度も、教員増とともにご努力をいただくことは大変うれしく思います。でもどうして最も支援をしなければならない特別支援教育の子どもたちの足りない教室の対応が、プラハブとか分教室だけなんでしょうか。
 下村文部大臣が国会で答弁しておりますように、国は県がやれば、新築増築のお金も出す、国庫補助をつけます、と言ってるんですよね、ぜひ新しい学校の建設、他県ではやっております、教育県長野ですから是非そんな検討もしていただけないでしょうか。このことも改めて教育長にお伺いをしたいと思います。
教育長
 次に特別支援学校の校舎の関係についてのお尋ねでございます。 先程もご答弁いたしました通り、中長期的な見通しのなかで児童生徒数の減少をいうことも見込まれる中で、その間、しかしできるだけ良い環境を子どもたちに与えようということで、教室の増設ということを取り組んできているところでございます。その教室の増設に当りましても、その設計ですとか使う素材等のなかで、できる限り子どもたちに通常の教室と変わらないような環境を提供しようということで、設計に配慮しながら取り組んでいるところでございます。今後の対応につきましても、子どもたちへの環境ということを考えながら取り組んでいきたいと考えてございます。
石坂議員
 それぞれご答弁いただきましてありがとうございます。ぜひ特別支援学校の子どもたちの良好な環境と言っていただきましたので、どう考えてもプレハブが良好な環境かと、プレハブの質がとてもいいとのお話があるんですけれども、学ぶ場所、しかも様々な障がいのある子どもたちを考えていただきまして、本当の意味で良好な環境へご尽力いただきたいと思います。

臨時的任用の教員の身分向上について

石坂議員
 臨時的任用の教員の身分向上についてお伺いします。
 今、教育現場で非正規で働く教員が増えています。文部科学省の調査では、2012年度の臨時、非正規などの教員は、公立の小中学校で11万3千人、これに特別支援学校や高校、また市区町村費による非正規任用などをあわせると約20万人となり、その結果、公立学校では教員の5人に1人が非正規という状態で、しかもほとんどの自治体がそれを定員の中に入れているため、自治体によっては担任教員の4分の1が臨時任用という事態まで起きています。長野県内での非正規教員の実態は、小学校で880名(教員の11.8%)、中学校が632名(12.91%)、高校は269名(6.94%)、特別支援学校は200名(13.41%)となっており、実に2000名近くの臨時教員が任用されています。
 教育現場は、臨時教員の存在無しには、一日たりとも教育活動ができない事態となっています。しかし、臨時的任用の非正規教員は、勤務時間や任用期間の都合によって、児童生徒に対する継続的な指導が制約されたり、体系的な研修を受ける機会が乏しく、教職員間、保護者との連携が困難になるなどさまざまな課題があります。教員が正規でも臨時的任用の非正規でも、教育には臨時はありません。教育長は、このような現状をどう受け止めておられるのでしょうか。臨時的任用の教員について、正規雇用化を検討し、促進するべきではないでしょうか。教育長の見解をお伺いします。 現在、臨時的任用の教員は、地方公務員法22条を任用根拠に、人事委員会の承認を経て、6ヶ月を超えない期間で臨時的任用を行なうことができ、さらに6ヶ月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない、つまり1年を超える任用はできないとされているため、長野県では、ほとんどの場合、年度末の5日間任用を中断し、4月1日から再度任用を繰り返すということが行なわれています。このような任用が常態化していることについて、承認するお立場の人事委員会委員長は、どのように受け止めておられるのでしょうか。見解をお伺いします。
 現在、長野県では、臨時的任用の教員が次年度に再度任用される場合、5日間の雇用中断、空白期間がおかれ、その空白期間に年金及び健康保険の基準日である3月31日が含まれている場合、年金や健康保険が継続せず、切り替えを臨時教員自身で行なう負担や脱退手続きのために保険証も返却を求められ、国民年金への切り替えで年金額にも不利益が生じます。 昨年11月28日の第185回臨時国会の参議院文教科学委員会で日本共産党の田村智子参議院議員がこの問題を取り上げ、「一日もしくは数日の空白期間があるという者の場合、引き続き健康保険、厚生年金の被保険者になるか」と質問したことに対し、厚生労働省は「事業主と被保険者の間であらかじめ次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるといったようなケースで事実上の使用が継続していると認められる場合には被保険者資格は継続する」と答弁し、改めて年金機構に対して必要な周知・指導を図ると回答しました。この回答に基づいて、今年の1月17日、厚労省は保険局保健課長ならびに年金局事業管理課長名で、「事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させること無く取り扱う必要がある」と、「適用事業所等に対する適切な周知・指導等」を求める通知を出しています。
 本来、学校に必要な教員は正規で配置することが基本であり、約2000人の臨時的任用の教員の不利益をできる限り解消し正規教員との均等待遇に努めるよう、年金、社会保険料等の公費負担を実施するべきではないかと思いますが、教育長にお伺いします。
教育長
 臨時的任用の教員の正規雇用化についてのお尋ねでございます。 正規教員の採用につきましては、小中学校において法改正ではなく国の予算措置により毎年度加配されている教員数が増加している事や、また少子化による児童生徒数の減少に伴い教員の必要数の将来的な減少が見込まれることなどから、中長期的展望に立ちながら、毎年度の採用数を決めているところでございます。今後も将来的な見通しを持ちながらも、正規教員の割合を高められるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に臨時的任用の教員の社会保険についてでございます。 期間を定めて任用される臨時的任用の教員は、その任用期間中、厚生年金保険及び健康保険の被保険者になるが、任用期間終了後は被保険者資格が喪失することから、国民年金保険や国民健康保険など他の制度に加入する必要がございます。
 この事に関しましては、先般厚生労働省が日本年金機構に対しまして、有期の任用が数日の間を空けて再度行なわれる場合の被保険者資格について、被保険者資格を喪失させないことがあるとの取扱いを示したところでございまして、この旨、この2月10日に文部科学省から各教育委員会に対し、通知されたところでございます。又一昨日24日でございますが、日本年金機構長野南年金事務所から当委員会にも要請があったところでございます。現在その通知の内容につきまして日本年金機構に確認しているところでございまして、それを踏まえ今後の対応を検討してまいりたいと考えているところでございます。
人事委員会委員長
 臨時的任用につきましては、各任命権者からその状況について年1回報告を受けております。これによりますと、臨時的任用の教員につきましてはここ数年増加傾向にあり、この中には臨時的任用を繰り返されている方が相当数おられることも承知しております。また職員団体からの申し入れの場におきましても、臨時的任用の教員に関するさまざまな要望をお聞きしておりまして、当委員会といたしましても課題の一つとして認識をいたしております。
 教育長の答弁にもありましたように、教育委員会といたしましても将来的見通しの中で正規教員の割合を高める方向で努力されているという事でございますので人事委員会といたしましては、その動向を今後とも注視してまいりたいと思います。
石坂議員
 地方公務員法第22条は、「臨時的任用または非常勤職員の任用を除き、職員の採用は、すべて条件付きのものとし、その職員がその職において6月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。この場合において、人事委員会は、条件付き採用の期間を1年にいたるまで延長することができる。(2)人事委員会を置く地方公共団体においては、任命権者は、人事委員会規則に定めるところにより、緊急の場合、臨時の職に関する場合又は任用候補者名簿が無い場合においては、人事委員会の承認を得て、6月を超えない期間で臨時的任用を行なうことができる。この場合において、その任用は、人事委員会の承認を得て、6月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。」と定めています。
 このことに関して総務省の通知では、「再度の任用についての留意事項」の項目で「同一の者が長期にわたって同一の職務内容とみなされる臨時・非常勤の職に繰り返し任用されることは、長期的、計画的な人材育成・人材配置への影響や、臨時・非常勤職員としての身分及び処遇の固定化などの問題を生じさせる恐れがあることに留意が必要である。」としており、本来、地方公務員法22条は、臨時的任用を長期に継続することを禁止しているのであると思います。臨時的任用が年度を越えて繰り返される場合、任期が終了した時点で正規採用に切り替える地方公務員法17条を適用するべきではないかとも考えます。人事委員会委員長に、改めて地方公務員法22条、17条を踏まえて、人事委員会としても、臨時的任用の教員の処遇改善について、積極的なご議論をいただきますように要望します。
 県教育委員会自身が、増え続ける臨時的任用教員の常態化を当然のこととして官製ワーキングプアを促進するのではなく、臨時的任用教員の正規雇用化に、真剣な努力をお願いしたいと思います。あらためて教育長のご決意を。
 すでにご承知のこととは思いますが、全国的には、東京、広島、京都、北海道などの自治体で、臨時的任用の教員の雇用中断日が生じる3月分の社会保険料を教育委員会が負担しています。静岡、和歌山でも職員団体との確定交渉の中で公費負担の検討が回答されています。本来ならば、そう難しいことではないのですから、補正予算を検討して今年度末からの実施を求めたいと思いますが、実施の時期はいつごろになるのでしょうか。昨日追加提案されました追加分補正予算案によれば、教育委員会は27億7900万円の減額補正となっており、その圧倒的部分は常勤職員の給与費と共済組合負担金となっています。全体のやりくりのなかでは十分可能ではないかと思われますが、教育長にお伺いします。
教育長
 臨時的任用教員についてのお尋ねでございます。
 臨時的教員につきましては、先ほどもご答弁申しましたようにここ数年、国の方針の中で教職員の増が、制度的身分が安定していないなか法改正ではなく予算措置により毎年加配されている、というような状況もございまして、私どもも出来る限りその率を高めようという事で年々採用数は増やしているところでございますけれども、そうした全体の国の動向等も見ながら中長期的なバランスを失わないようにということで取り組んでいるところでございます。
 条件付き採用につきましては、教員採用選考に合格した者が、一定期間実地の勤務について、能力の実施を行なった上で正式採用するための制度でございまして、地方公務員法22条により臨時的任用教員には適用されないこととなってございますが、一方で、本県の教員の採用選考におきましては、臨時的任用等の教員を対象とした選考区分を設け、一部試験科目の免除などによりまして、優秀な教員の採用に務めているところであります。義務教育におけます26年度の新規採用のうち、1年以上の任期的職員経験者は65%と、新卒者の35%を大きく上回っているところでありまして、今後も優秀な教員の採用に務めてまいりたいと考えてございます。
 尚保険の関係につきましては先ほどもご答弁もうしました通り、一昨日日本年金機構長野南年金事務所の方から要請があったところでございまして、通知の内容を必ずしも明確でない部分が多いものですから、機構の方に確認をしているとことでございまして、それを踏まえ今後の対応を検討していきたいと考えております。
石坂議員
 5日間の空白期間で雇用が事実上継続されている臨時的任用の教員の処遇改善の問題ですけれどもできるかぎり早期に是非改善をしていただけるようにお願いをしておきたいと思います。

子育て、子ども支援について

石坂議員
 長野県は「子育て先進県の実現」をめざしています。そのため、「長野県子ども・子育て支援事業支援計画」を策定し、広域性と専門性を有する立場から市町村を支援するとして、多様な保育サービス、病児・病後児保育や放課後児童クラブの運営に対する支援、発達障害の疑いのある「気になる子供」をサポートする保育士の加配、夜間や休日の急な子どもの病気に関する小児救急電話相談事業などに取り組むとされています。その「長野県子ども・子育て支援事業支援計画」に、是非、すでに全国37都府県で実施されている子どもの医療費の窓口無料化を位置づけていただきたいと思います。このまま、窓口無料化を実施していない数少ない県に長くとどまっているのでは、「子育て先進県」の看板は、残念ながら下ろしていただくしかありません。
 日本共産党県議団は、先日群馬県の子ども医療費無料化制度の調査に行ってきました。群馬県では、少子化対策や子育て環境の充実を図るため、子育て世代の経済的負担を軽減するとともに、県内どこに住んでいても子どもの医療が無料で受けられるように、平成19年まで入院は5歳未満まで、通院は3歳未満までだった子どもの医療費の窓口無料制度を段階的に対象範囲を拡大し、平成21年10月からは現在の入院・通院とも中学校卒業までを対象に、所得制限なし、自己負担無しの完全窓口無料化が実施されています。
 群馬県国保援護課が平成24年7月に高崎市内の保育園、小学校、中学校の子どもの保護者3000人を対象に行なったアンケート調査によれば、「この制度はどのような点で生活に役立っていますか。」の問いに対し、95.7%が「経済的負担の軽減」、89.4%が「早期治療による子どもの健全な成長促進」と答えています。「早期治療のおかげで、仕事を休むことも無く助かっている。」という働く母親からの回答もありました。
 完全窓口無料化になれば、安易な受診が増えるのではないかという一部の疑問に対しては、夕方6時から翌朝8時まで電話相談に応じる、#8000番の群馬子ども救急相談の利用が進んでいることもあり、通院が小学校就学前までだった平成21年の4月から9月の通常診療時間以外の受診件数が10152件だったのに対して、中学校卒業までに拡大された平成22年の4月から9月までの受診件数は9406件で、むしろ減っているとのことでした。
 一方、10歳から14歳までの、喘息の子どもの平成21年5月の受診件数が724件、中学校卒魚まで無料化となった翌年5月の受診件数は872件で20%増え、同じくアトピー性皮膚炎を含む皮膚炎及び湿疹の平成21年5月の受診件数が638件に対し、中学校卒業まで無料化となった平成22年5月の受診件数が741件で16%増え、慢性疾患の治療がしやすくなっていることが伺えます。  同じアンケートで、中学校卒業までの子どもの医療費が通院でも入院でも所得制限無し、自己負担無しで県内どこでも無料なのは群馬県独自の制度であることを知っているのは12.9%という結果になっており、群馬から長野県に来れば、多くの保護者が戸惑うことになるわけです。
 知事は、子どもの医療費の無料化は、本来国が実施するべきことと、長野県での実施を拒んできました。しかし、国が今なお実施しないなかで、全国で37都府県で子どもの医療費の窓口無料化が、30都道府県で障害者の医療費の窓口無料化が実施されています。(これは、群馬県が作っている中学生までの子ども医療費無料化をPRするポスターです。このイラストは群馬のゆるキャラ、群馬ちゃんです。県や市町村の担当窓口などに張られています。)  人口198万人、年間予算規模6800億円の群馬県が実施して子育て世代に喜ばれている子どもの医療費の窓口無料化が、人口200万人、年間予算規模8500億円の長野県で、なぜ実施できないのでしょうか。窓口無料化による国保の調整金、いわゆるペナルティは群馬県で12億5800万円、うち子どもの医療費分は2億4000万円とのことでした。長野県の福祉医療費の窓口無料化を、健康長寿の推進、子育て支援、障害者支援の立場からも実施できるよう、是非検討していただきたいと思いますが、知事の見解をお伺いします。また、窓口無料化がすぐに実施できなければ、対象年齢の拡大、診察と薬局での500円の負担金の廃止等について、一歩づつでも実施するべきではないでしょうか。合わせて知事にお伺いします。
阿部知事
 福祉医療の充実についてのご質問でございます。
 少子化対策、これからの本県にとっても、そして日本全体にとっても大変重要な課題だと思っています。10県の知事と子育て同盟をつくって相互に情報交換をして、この少子化問題とりくんでいこうとしているのも、こうした問題意識からです。
 子育て支援についても4月から県民文化部を新設して子ども若者支援を一体的に推進する態勢を整えて総合的な施策展開を図っていこうと考えています。
 ご質問にもありましたが、隣の県と制度が違って引っ越してくるとなかなか大変だというのは現実問題あると思います。特に首都圏なんかでは常にそういう議論はあるわけで、本来であれば私は国が行うべきであると何度も申しあげてきました。しかしながら、どうも今回の社会保障制度改革の中でもこうした方向になってこないという現状があります。そうしたなかで、福祉医療、少子化対策あるいは子育て支援施策の重要な政策だと考えています。制度実施主体が市町村でありますので、市町村の意向は十分尊重しながらも少子化の時代にふさわしい福祉医療のあり方については検討していきたいと考えております。
石坂議員
 本来国がやるべきことというお言葉は知事から繰り返し繰り返し、耳にたこができるほどお聞きしているんですけれども、その本来の国がやらないなかで全国圧倒的な都府県が実施しているわけです。長野県の周りは全部、窓口無料の県に囲まれているわけでありまして、そういうなかで、お答えいただいてない点といたしまして、窓口無料化ができないならば、500円の負担金の廃止はどうですか。対象年齢の拡大はどうですか。ということをお聞きしておりますので、たとえ一歩でも二歩でも前進させるということは検討できないとなれば本当に悲しくなりますが、その検討ができないのかどうか、知事に伺いたいと思います。
 松本市が、平成24年2月から3月にかけて松本市在住の10歳から18歳の子ども1800人を対象に行なったアンケート調査では、「子どもにかかわる取り組み」で、自分にとって大切だと思う取り組みについてダントツでトップが「病気になったとき治療を受けられる。」で、2位の「虐待やいじめをなくす」、3位の「楽しい学校生活が送れる」より多くなっています。子どもたちにとっても、健康で過ごせることは何よりも大切なことなのです。医療費の心配をしないで治療を受けられる環境づくりは、おとなにとっても、こどもにとっても子育て支援の重要なメニューのひとつです。長野県でも是非とも子どもの医療費の窓口無料化に一日も早く踏み切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
阿部知事
 お答えします。私の答弁の趣旨が十分伝わってないと思います。今までは国が行うべきということで、県においての検討については慎重な姿勢を表明させていただいておりましたが、先ほど申しあげた趣旨は、国においても今回の社会保障改革のなかでも、こういうテーマに取り組んでいくということに、どうもならないと思っておりますので、そういう観点で、福祉医療のあり方について県として検討していくと申しあげているわけです。
 ただ、ご承知のとおり制度自体が市町村の制度でもありますし、県は市町村に対して助成するという形になっております。私は県の制度見直しがこの市町村の財政負担の軽減に留まるというだけにあってはならないだろうと思っています。やはり県民の皆さんにとってプラスになる制度という観点で見直していかなければいけないと思いますので、制度の主体である市町村と十分調整していかなければいけないと思っています。窓口無料化、対象年齢の拡大、受給者負担金の廃止等、さまざまな角度の論点がありますけれども、どこか一つだけ取り出して議論するというわけではなくて、相対的に考えていくべきものと思っています。そういった観点で少子化の時代にふさわしい福祉医療のあり方について検討していきたいというのが私の考え方でございます。
石坂議員
 検討するということで、いわゆる善処しますということではなく、やりますということと受けとめましたので、ぜひ前進させていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

生活保護制度の見直しについて

石坂議員
生活困窮者の支援について、最初に生活保護制度の見直しについてお伺いします。
 社会保障改革推進法の成立により、最後のセーフティネットである生活保護の給付水準が3年にわたって最大10%生活費が切り下げられることになり、これでは最低限の生活さえ保障されず、自立支援にも結びつかないと全国で生活保護受給者が不服申し立てを行なう事態となりました。このような現状をどう捉えているのか、健康福祉部長にお伺いします。
 また、生活保護の申請や受給の現場では、いまだに、持ち家があることが、即、申請や受給ができないことにはつながらないことや、公共交通が著しく困難な場所での通院、求職、就労のための自家用車の保有や使用を認めている国の通達の内容が生かされておらず、申請の条件として自家用車の処分を迫るなどの対応が残されています。このため、生活保護の申請や受給が滞る事例が後を絶ちません。
 長野県のような、中山間地が多く公共交通の不便なところで、自家用車の処分を迫れば、就労や日常生活に多くの不便や不利益を生じ、自立していく条件をますます悪くして、生活保護から抜け出せない条件を助長していくことにもなってしまいます。このような事例をなくし、制度の適正な運用がされるよう、いっそうの徹底を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。
健康福祉部長
 生活保護制度についてです。不服申し立てでございますけれども、昨年8月の生活保護の基準改定にかかる審査請求ですが、これまでに71件提出がございました。請求の趣旨は、保護基準の見直しによりまして保護費が減額された、これを不当として取り消しを求めるというものですが、審査の結果、請求の趣旨を認めて取り消しをしたものはございませんでした。この請求が多く出されているという現状につきましては、今回の基準改定によりまして、郡部では約8割、市部では7割から9割の受給世帯で保護費が減額となっていること、受給者の方からは日頃から困難な生活の状況について切実な声をお聞きしているところでして、真摯に受けとめているところでございます。
 しかしながら、生活保護の基準自体は厚生労働大臣が定めることとされております。今回の改定も国の審議会の検証結果や物価動向などを踏まえて適正に判断されたものと承知しております。  次に、生活保護受給者の自動車等の保有についてです。生活保護法におきましては、利用できる資産があればまずは生活のためにそれを活用するということは原則として定められておりますが、ただし、居住用の家屋については原則として保有が認められております。また、自動車につきましても、議員ご指摘のとおり、地理的条件やその目的、自立を進める観点から、例外的に、例えば通院とか、そういうことについては保有が認められている場合がございます。
 この取り扱いでございますが、国の通知に基づきまして、対象となる世帯の個別の状況をもとに、福祉事務所が検討を行い総合的に判断しております。研修会や生活保護法施行事務監査等を通じまして、徹底を図っているところでございますが、今後とも適切な対応について指導してまいりたいと思っております。

パーソナル・サポート事業の充実について

石坂議員
 パーソナルサポート事業の充実についてお伺いします。仕事を失い、さまざまな困難を抱えた経済的困窮者や社会的孤立者等の自立生活を粘り強く寄り添い型で支援してきたパーソナルサポート事業が、これまでの成果と経験を生かして、来年度は市町村との共同事業として相談支援拠点も6箇所に増え、予算も増額されることをうれしく思っています。  昨年の11月県議会でも、私はこの問題について質問し、人と人との信頼関係で成り立っている事業であるだけに、その信頼関係が継続、充実できるように要望したところです。
 新年度は、委託先の変更もありうるとお聞きしているところですが、せっかく築き上げてきた信頼関係が断ち切られることの無いように、また、支援に当たっている支援員が委託先の変更で路頭に迷うことの無いように、事業の受託者が変更になっても現在の支援員が望めば雇用が継続できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いします。
健康福祉部長
 パーソナルサポート事業についてでございます。県が来年度実施を予定しております信州パーソナルサポートモデル事業におきましては、相談支援の拠点をこれまでの4拠点から6箇所に拡大しまして、生活困窮者自立支援法が施行される平成27年度に向けて準備を進めるということにしております。
 県では現在、この事業の受託者を公募型のプロポーザル方式により募集しているところでございますが、職員の雇用はこの受託団体が行なうこととなりますけれども、相談者に対する支援を途切れることなく行なうことが重要であると考えております。  このため事業を共同実施する市とも協議しながら、現在の相談支援員と相談者との信頼関係を踏まえた支援が継続できるよう配慮してまいりたいと思っております。

福祉灯油の実施について

石坂議員
 福祉灯油の実施についてお伺いします。
 記録的な豪雪と灯油やガソリン代の高値が続き、円安による生活必需品の値上げなどが暮らしへの負担を重いものにしています。このようななかで、秋田、山形の両県が福祉灯油の実施に県として踏み出すことになり、2月定例県議会に関係予算が提案されました。  秋田県では、県単独の灯油購入費緊急助成事業として、灯油高騰に伴う低所得者世帯の経済的負担の軽減を図るため、市町村が実施する灯油購入費助成に関する事業に対して助成するものです。対象は市町村民税非課税世帯の高齢者世帯、障害者世帯、一人親世帯、生活保護世帯等で市町村の助成額の2分の1、2500円を上限に助成するもので約8万世帯が対象となり、予算額1998万円です。
 山形県では、生活困窮世帯への灯油購入費助成事業として、市町村が支援対象とする生活困窮世帯を対象に、補助率2分の1、1世帯あたりの補助限度額5000円、予算額3500万円です。
 阿部知事は、日本共産党県儀団の申し入れに対して、「実施主体は市町村だから」として県として実施の意向は無いと回答されましたが、秋田県でも、昨年末に秋田生活と健康を守る会が秋田市長に申し入れたときは、「今のところ実施は考えていない」との回答でしたが、今年になって県の事業が確定したことから市としても補正予算で対応することになったということです。  県が支援を表明することで、踏み切れずにいた市町村が実施に踏み出せるというところに、市町村を支援する県の役割があるのではないでしょうか。
 豪雪地、寒冷地では5月の連休前まではストーブが手放せない地域もある長野県です。相次ぐ年金の引き下げや暮らしの大変さの中で、高齢者の中にも、ストーブは朝の1時間しかつけない、昼間は厚着をして布団にくるまっている、などという人もいます。県としての福祉灯油の実施を、是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
健康福祉部長
 福祉灯油についてお答え申しあげます
 昨年来の原油高騰、円安の影響によりまして灯油価格が値上がり傾向にありまして、県内では現在、1市7町9村の計17市町村で灯油購入費用への補助制度が行なわれていると承知しております。国、総務省は、こうした福祉灯油の全国の実施状況について調査しておりまして、2月13日の衆議院予算委員会におきましては、総務大臣から、寒冷地の自治体が行なう福祉灯油事業について3月分の特別交付税で必要な措置を講じる方向で検討している旨の答弁をされたと承知しております。この福祉灯油ですが、住民の暮らしに最も身近な市町村が地域の実情を踏まえて実施を判断されるべき事業だと思っておりますが、県としての対応につきましては、この市町村の実施状況や国の動向等見ながら検討してまいりたいと考えております。

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