日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2014年6月定例会 藤岡義英議員一般質問と答弁

  1. 豪雪被害に対する農業支援について
  2. 「信州F・POWERプロジェクト」について
  3. 子ども医療費窓口無料化について
  4. 原発・放射能汚染について

1.豪雪被害に対する農業支援について

【藤岡議員】
 日本共産党県議団の藤岡義英です。順次質問してまいります。
 2月の豪雪によって被害を受けた農業関係者への支援について、農水省はこれまでにない柔軟な支援を打ち出していますが、この中身が市町村段階になると狭く解釈されている問題があります。
 佐久市では「3社から見積書が必要」「6月20日が申請締切」といった説明がされています。この時期は農家の皆さんは大変忙しい時期です。「俺は諦めた。とても書類が間に合わない」といった声も聞かれます。
 農水省に最近確認しましたが、来年の3月31日までの支援策であること、見積書に関しても1社だけでも、残りは努力したが出してもらえなかったという記録があればいいとの回答でした。
 そもそも今回の支援事業は、農家のみなさんの生産意欲を奪わないようにするために設けられたはずです。県から市町村へ、農水省の打ち出した支援策を正しく活用するよう徹底していただきたいと思いますがいかがですか。農政部長にお聞きします。
【農政部長】
 豪雪被害を受けました農家への支援対策の周知についてのお尋ねでございます。
 県ではこれまで地方事務所を通じまして市町村、JA、そしてまた農家の皆さんを対象といたしまして、支援策の具体的内容などにつきまして、のべ42回の説明会を開催をして、支援策の周知の方を図ってきたところでございます。
 この中で、ご指摘の、被災農家の個別の事情に配慮した対応に関する農林水産省が作成いたしましたQ&Aなどにつきましても、しっかりと説明をしますとともに、県のホームページなどを活用して、周知に努めてきたところでございます。
 市町村におきましても、支援策の活用に当たっての国が示した柔軟な対策については、お伝えをいただいているところでございますけれども、実際の農家ご自身の復旧事業の計画、実施段階においてもですね、農家の抱える個々の事情を十分にお聞きいただいて、適切に指導をおこなっていただきますように、徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
 また県といたしましても、農業改良普及センターに設置しております相談窓口等におきまして、個別の相談にきめ細かく対応してまいりたいと考えております。以上でございます。
【藤岡議員】
 ぜひ、全ての農家の皆さんが農業を継続できるように、引き続きご支援をよろしくお願いしたいと思います。

2. 「信州F・POWERプロジェクト」について

【藤岡議員】
 次に「信州F・POWERプロジェクト」について質問致します。この事業では木質バイオマス発電、毎時1万kwの大規模な施設を併設する計画です。当初から我が県議団は、規模が大きすぎるのではないかと指摘をしてきました。この事業の今後を考える上で、岡山県の真庭市の取り組みを紹介したいと思います。
 真庭市は、現在豊富な木質資源を利用した「バイオマスタウン構想」が展開されています。まず、真庭の木材業の特徴は、真庭地域だけで森林から製品化まで全て体制が揃っていることです。原木市場は3ヵ所、製材所は30社、製品市場が1ヵ所あるなど、木質バイオマス産業のしっかりとした土台があることが、現在の発展を支えています。
 年間約7万8千トンもの木質副産物、製材時に発生する製材屑や廃材などですが、それらを有効利用し、木質資源を地域内で循環させようと、バイオマス集積基地を完成させ、そこに木質副産物を収集し、チップやペレットなどの燃料や資源に加工をしています。そうした基盤が整備された上で、2013年にバイオマス発電事業を計画しています。本県プロジェクトと同じ規模の発電能力1万kw、すでに年間運転に必要とされる燃料は確保できる見込みができているとのことです。
 このように真庭市では、木材供給に関して入口から出口までの体制が整っています。また複数の事業者や森林組合などが協力した体制があります。それに対し、本県のプロジェクトは、バイオマス発電所ありきで、そこで燃やすものを後付けで集めるとしています。また1社に対する支援となっており、導入を急ぎすぎたのではないかと心配しております。入口から出口までの体制をしっかり整えた上で、実施するべきと考えますがいかがかでしょうか。
 また地産地消を基本に、地域の川上から川下までの木材供給体制の確立にふさわしい適正な規模で実施すべきではないでしょうか。それと事業費が当初の70億円から約109億円に増加しているようですが、どうして増えたのか。以上の質問を林務部長お答えください。
【林務部長】
 始めに、「信州F・POWERプロジェクト」におけるバイオマス発電施設についてのお尋ねでございます。
 当プロジェクトは、今まで県内に無かった集中型の木材加工施設を整備いたしまして、フロア材の生産等をおこなうとともに、そこから生じます製材の端材や、製材に利用できない曲がり材などを活用する発電施設を併設することによって、森林資源を多段階的に無駄なく有効利用する取り組みでございます。また素材生産から木材利用までの各関係者の参加の下に、産学官の連携で推進することによりまして、県内の林業・木材産業全体の活性化を図る事業でございます。
 原木の安定的な供給に向けましては、森林組合や素材生産事業者、素材流通事業者などを構成員と致しますサプライチェーンセンターによりまして、川上から川下までの木材流通体制の構築に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に発電施設の規模についてのお尋ねでございますが、発電の燃料と致します木材は、木材加工施設の製材過程で発生いたします端材7万5000㎥、また低質な間伐材や松くい虫被害材等の未利用木材10万5000㎥を見込みまして、合わせて年間18万㎥を使用する計画としております。このうち間伐材や松くい虫被害材等の未利用木材につきましては、主な集材範囲を半径50㎞圏内としておりますが、これらの区域におきます民有林の森林の蓄積の年間の増加量でございますけど、約73万㎥と豊富な森林資源が存在しているところでございます。県と致しましては、路網整備や機械化、また人材育成などの林業経営基盤づくりを集中的に進めることによって、これらの森林資源を有効に活用し、この計画を実現してまいりたいと考えているところでございます。
 次に事業費の増加についてのお尋ねでございますが、その一つめの理由と致しましては、計画発表時の概算事業費が約70億円でございます。詳細な設計をおこなったことによりまして、チップ製造施設など新たな施設の追加、また施設規模の見直しがございまして、事業費が増加しております。二つめの増加の理由でございますけれど、製材機械がアメリカ製、フロア材の加工機械がドイツ製であったことなどから、為替相場の変動によります円安の影響を大きく受けたことも事業費の増加の要因となっております。以上でございます。
【藤岡議員】
 事業費ですが、70億円が約109億円に、これ割り算しましたら約1.55倍に増えたということでございますが、どうしても疑問に感じてしまいます。
 知事にも質問しますが、規模の過大な1ヵ所の施設のみに県の支援を集中するのではなく、各地域に適正な規模の施設を設置していくことに支援していくべきではないかと考えますがいかがでしょうか。
【阿部知事】
 「F・POWERプロジェクト」に関連してのご質問であります。
 各地域に適正な規模の施設を設置していくことを支援すべきじゃないかということで、私は両面必要だろうというふうに思っております。長野県、全国第3位の森林面積を有する森林県でありますが、私は色々なところでも森林県だけれども林業県ではないんじゃないかということを申し上げてきております。素材生産量は全国14位ということに留まっております。これまで必ずしも十分な木材生産活動がなされてきていない状況にございます。
 この主な原因は、海外あるいは県外の木材製品と競争し得るだけの効率的な大規模集中型の木材加工施設が、県内には存在しなかったという部分もございます。
 こうした観点で「信州F・POWERプロジェクト」、本県において新しい林業・木材産業を創生していく起爆剤となり得るものであります。将来的には世界に誇れる林業地域となるための、ブレイクスルーのステップとなる重要なプロジェクトであるというふうに考えております。このプロジェクトの成功に向けて、本県の充実した森林資源と木材利用のスケールメリット等を最大限生かすためには、現在の木材加工施設そして木質バイオマス発電施設、併設型でしっかりと進めていくことが必要だと思っております。
 他方で、お話ありましたように、長野県環境エネルギー自立地域の創造ということも謳っている訳であります。そういう観点で、県内各地域の森林資源を活用した地産地消的な木材加工あるいは木質バイオマス事業の取り組みについても、「県産材供給体制整備事業」あるいは「森のエネルギー総合推進事業」等により支援をしてきているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みは更に進めていきたいと思います。両面合わせて新しい林業・木材産業を長野県から創り出していきたいと考えています。以上です。
【藤岡議員】
 本県のこの事業は、木質バイオマス発電を造ることが、手段ではなく目的になっているのではないか、そのように感じてしまいます。
 まず燃料の供給体制の構築を優先し、そしてその供給体制に合わせた規模の施設を設置していくという事業を、ぜひ各地域に進めていかれることを提案させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。

3.子どもの医療費窓口無料化について

【藤岡議員】
 福祉医療費について質問します。
 「お財布の中身を心配することなく医療を受けたい」との切実な住民の声に応え、すでに37都府県で子どもの医療費の窓口無料化が実現・実施されていますが、長野県ではいまだに実施されていません。これまでわが県議団が何度も一般質問で福祉医療費の窓口無料化を求める質問をしてきましたが、県は国からのペナルティと財政負担問題を理由に拒否されています。
 しかし、他の実現している県では、国からペナルティとして不当な減額をされてもなお窓口無料化を実施しています。財政が厳しいとよく説明されますが、となりの群馬県は長野県の予算規模より小さいのですが、立派に窓口無料を実現させています。さらに所得制限も自己負担金もない完全な無料化を実現しています。どうして長野県で実現できないのでしょうか。
本県でも同様の窓口無料化-現物給付方式を取るべきではないですか。知事お答えください。  5月20日、「福祉医療給付制度の改善を進める会」のみなさんが、署名7万3947人分の福祉医療費窓口無料化を求める署名を知事に提出しました。そのとき知事は、7万筆以上も集めた苦労へのねぎらいは一切なく、テレビカメラを意識されたのでしょうか、会のみなさんの発言を途中で遮り、15分間の懇談予定でしたが、18分以上も知事が持論を述べる場となりました。私もいっしょに同席していましたが、あまりにも一方的な態度に驚かされました。参加者も唖然とされていました。
 その時知事は「子どもの医療費無料化は高校卒業まで実施している市町村が全国より多い。半分は県が負担している」と、長野県の成果のように主張されました。が、これは間違いでして、県の補助対象範囲は、通院は小学校入学前まで、入院は小学校3年生までであり、それ以上の対象部分は各市町村独自の上乗せ分であります。市町村の独自の政策を県の成果として横取りすることは許されません。
 もし長野県の成果だと主張されるのであれば、市町村が担っている部分まで対象範囲を拡大し、給付事業を更に拡充させるべきと考えますがいかがですか。これも知事、お答えください。
 また1レセプト当たり500円の負担金を徴収していますが、一部の市町村ではこれについても独自に負担をしています。この負担金もやめるべきではないですか。これも知事、お答えください。
【阿部知事】
 福祉医療についてのご質問でございます。
 まず福祉医療の現物給付化についてのご質問でございます。
 現物給付化している都府県、私も承知はしております。藤岡議員の数え方、全年齢を現物給付化しているところだけではなく、一部の現物給付等も加えて都道府県の数を数えているというふうに受け止めさせていただきますけども、ご承知のとおり福祉医療の制度は、県によって制度設計が様々あるわけであります。例えば、今、現物給付化しているじゃないかというふうにご指摘いただいた県の中でも、例えば対象が3歳未満ですよという県であるとか、受給者負担金は月3000円ですよというところとか、あるいは所得制限をつけていますよということもあって、現物給付の一点のみを取り上げるのではなくて、やはり全体で比較しないと手厚さというのは必ずしも比較し得ないんじゃないかというふうに思っております。
 その意味で他県と比較するにあたっては、対象年齢の範囲とか、受給者負担の多寡とか、所得制限の有無とか、そうしたことを全体的に評価して考えていかなければいけないというふうに思っています。そういう意味では、現物給付のみ論点としてそこだけどうするのかというふうに論じるのではなくて、全体的な議論が必要だと思っています。
 また先般ご要請いただいた時にねぎらいもなかったという点は、もし不愉快な思いをさせたということであれば申し訳なく思いますが、福祉医療については、今、申し上げたように一側面だけとって遅れているとか進んでいるとかはなかなか論じきれないわけでありますので、そういう意味で長野県がやったからというふうに私は申し上げたつもりはなくて、市町村の取り組みのおかげで全国的にみれば対象範囲が非常に広い県である。進んでいるのではないかと、そういった側面で申し上げたわけであります。
所得制限がなく高卒まで対象にしている市町村が県内の市町村の半分以上というのは、これは全国的にみてかなり対象範囲としては広いのが私どもの県だというふうに思っています。  ただ、もとよりご指摘ありましたように全部県が2分の1負担しているわけではありません。市町村の努力のおかげでこうした状況になっている。私ども長野県として例えば県外に移住者向けに発信するときは、長野県がこうですということでなく、市町村の取り組みと合わせて発信をしなければいけないと思いますし、住民目線で見たときは、県がどこまで負担しているかということではなくて、市町村の取り組みも含めてトータルで福祉医療になっているわけでありますから、そうした観点で誤解のないように申し上げたつもりでございます。もし、これ県がやっているというふうに私が自慢げに話したと受け止められたとすれば、それは本意ではありませんし、そうしたつもりで申し上げたことではございません。
 今回、福祉医療については、県と市町村の検討の場を経て決定した制度で今動いているわけであります。市町村からすれば、私も逆の立場であれば当然市町村負担をもっと軽減できるようにということで要望すると思いますし、現にそうした要望があるということは承知しているところであります。ただ、仮に市町村と県の負担割合が今市町村が取り組んでいるところを県が負担して、あと制度的には何も変わらないということでは住民にとってのメリットがない。子育て支援であったり少子化対策が充実することにつながらないだろうというふうに思っています。そういう観点で先般、県と市町村の協議の場で、この点についてもテーマにして今後検討していこうというふうにしたところでございます。少子化の時代にふさわしいあり方を、市町村と一緒に知恵を出して考えていきたいという風に思っています。以上です。
【藤岡議員】
 答弁いただきましたけれども、やはり市町村が先進的であり、県が後進的であるということが正しいのではないかと思います。また、県が対象範囲を拡げて欲しいと、すでに市町村会や町村会から何年も前から陳情や要望書が出ています。それに応えていれば、たとえば中学校卒業までのサービスをしている市町村は今度は高校まで伸ばすことができますし、高校卒業までのところは更なる充実ができるわけであって、県が相談にもっと積極的に乗っていくべきではないかと思います。
 更に質問を進めていきます。知事は20日の懇談の時に「県の職員のような安定した雇用の県民にまで支援が必要か」と、福祉医療費について所得制限を設けるかのような発言もされていました。これは、これまでの福祉医療費の対象だった子どもたちが親の収入によって受けられなくなるという、いわゆるサービスの後退を意味します。先進県を目指すどころか後進県に向かってしまうことになりますが、まさか所得制限を設けることを検討されているのでしょうか。お答えください。
【阿部知事】
 お答えします。藤岡議員も同席をされていらっしゃったんで、私の発言の趣旨が十分に伝わっていないようでございますので改めて申し上げますけれども、ご要請いただいたのは現物給付化あるいは窓口無料のところを中心にお話いただいたと思っています。そうした中で現物給付化、いわゆる立替払い的になっているわけでありまして、最終的な負担は変わらないわけですよね。最終的な負担が変わらないときに、国のペナルティを受けてまで雇用が安定している、あるいは高額な所得がある方まで同じような制度を作るということが皆様方のご要請の趣旨なのかということを、私は確認したいということで申し上げたところでありまして、私が所得制限をつけるということで話をしたという事実はないというふうに思っています。以上です。
【藤岡議員】
 知事から、所得制限を設けるつもりの発言はないと申されました。これからもその立場でずっと行っていただきたいと思うわけであります。
 所得のある人は、すでに高い税金を収めています。保育料は国基準で3歳未満児で最高額一人1ヶ月10万4000円、例えば佐久市でも5万6000円といった高額な保育料をすでに払っています。消費税も導入され、物価も上がっています。その上、仮に更に所得制限を設けることは更なる負担となりますので、そのようなことが無いように強く要望しておきたいと思います。
 ここで、なぜ所得制限も自己負担金も無く完全窓口無料化を実現させたのか、群馬県知事の発言を紹介致します。「県内どこに住んでいても均一のサービスが受けられ安心して子どもを生み育てられる環境を整備することが、少子化対策にとって重要であり、将来に豊かな社会を築く為に未来への投資と考えまして、子育て支援の目玉政策としたところであります」と答えたそうであります。このような見地に立って、ぜひ福祉医療費の窓口無料化の実現を求めたいと思います。
 次に移ります。過日、「子育て同盟サミット」が開催されましたが、参加県10県から11県に増えたそうでありますが、11県のうち9県が福祉医療費について窓口無料制度を実現しています。実施していない県は、三重県と長野県だけであります。参加県の鳥取県では、医療費の窓口無料化を実現し、更には県の支援で保育料を無料とするなど先進的な取組をおこなっています。
 これらの子育て支援につながる部分について、知事は先進県を目指すと言われておりますが、本県の取組で先進と言える取組は何でしょうか。 子育て世代の県民の切実な要望に耳を傾けなくて、子育て先進県といえるのでしょうか。今のままでは私は、長野県は子育て後進県だと思ってしまいますが、いかがですか。知事の所見をお願い致します。
【阿部知事】
 お答えします。子育て後進県という厳しいご指摘、ご意見でありますけれど、ぜひ藤岡議員には県外に行かれたときは、負の側面ではなくポジティブな側面を、ぜひ長野県議会議員としては発信をしていただくように私からお願いしたいというふうに思います。先ほども「子育て同盟」の県の話もありましたが、先ほどから申し上げているように、福祉医療は所得制限をつけたり、つけなかったり、様々あるわけでありまして、「子育て同盟」の各県でも、私どもはお話あったとおり所得制限なしの制度でありますが、所得制限をつけている県のほうが現時点では多いというふうに私は承知をしておりますので、そうした点も広くぜひ比べて頂きたいというふうに思います。
 本県の取り組みで先進的といえる取り組みがあるのかというご質問でありますが、「子育て同盟サミット」の開催前に実は各県知事、すべての県知事・・・まあちょっと時間の都合で来れない知事もおりましたが、何人か子ども病院を視察していただきました。子ども病院、非常に優れた取り組みをしているわけでありまして、ここ最近の取り組みでも、例えば成人の先天性心疾患患者の信大との協定の締結でありますとか、あるいは食物アレルギー診療支援の設置とか、そういう自助努力をしていただいております。
 また財政負担が伴うような観点でもコンパクトドクターカーの導入でありますとか、発達障害児の専門外来の設置とかそういう取り組みをすすめてきております。各県知事、非常に私どもの子ども病院のとりくみは参考になると、すばらしいということをおっしゃっていただいております。医療関係で申し上げれば、こころの医療センター駒ヶ根にも児童精神科病棟を新しく作らせていただきましたし、子ども病院には口唇口蓋裂センターの設置もいたしました。
 全県的な医師確保という側面でも、特に小児科・産婦人科数が不足しているということで確保に努めた結果、おかげさまでやっと10万人あたりの人数が全国平均以上に戻って乗せることができました。また発達障害の分野では、発達障害サポートマネージャーを配置したり、あるいは長野障害学園、今年からスタートしたわけでありますけれど、本当にこうした若者たちをしっかり支えていこうというパワーが充満してきていると思っていますし、また「ぷれジョブ」という取り組み、平成22年に1ヶ所県内でおこなわれていたものを、15箇所に拡大をさせてきていただいているところでございます。
 また保育分野でも、「小規模放課後児童クラブの施設整備」でありますとか、「病児病後児保育の個別・広域対応支援事業」、更には「病児病後児保育施設の整備事業」、こうしたものについて、3事業、昨年から新たにスタートして、きめ細かい保育についても支援をさせていただいているところであります。
 また、これは規制改革との関連で、県営住宅への入居基準、かつては収入基準を上回った方は小学校就学前の子どもの世帯までを対象としていましたが、これを中学校までということで子育て支援にシフトさせていただいておりますし、またご存知のとおり教育分野では30人規模学級を中学校3年生まで拡大をしたところであります。ここまで30人規模学級を広げているのは、全国でうちを入れて5府県のみというふうに承知をしております。こういう、ぜひプラスの側面、もちろん私はまだまだ改善すべき点がないと申し上げるつもりはありません。まだまだ改善しなければいけませんけれど、しかしながら長野県として誇れるところ、進んでいるところ、ぜひ、そういうところにも目を向けていただいて、しっかりご評価いただければありがたいというふうに思っております。以上です。
【藤岡議員】
 35人規模学級など前進している政策もあると思いますが、今、実際に子育てをしている皆さんから直接意見を聞いて、ぜひ政策を出していただきたいと思います。「今、子育て支援政策で第一にやって欲しいことは?」と聞かれましたら、今、お父さんお母さんたちはみんな「医療費の窓口無料化」と答えますよ。「なぜ長野県でやっていないのか」という声をよく聞きます。7万筆も短い期間で署名が集まったことでも私はわかるのではないかと思います。
 先ほど紹介した群馬県では、中学卒業まで完全な医療費窓口無料化を実現していますが、さらに今度は、給食費の無料化の運動が市町村段階から広がり始めています。こうした動きこそが、子育て先進県だと言えると思います。県民の切実な声に耳を傾けず、子どもと障害者の医療費窓口無料化に背を向ける長野県は、私はやはり子育て後進県だと強く指摘させていただいて、次の質問に移ります。

4.原発・放射能汚染について

(1)原発再稼動問題
【藤岡議員】
 原発・放射能汚染についての対応について質問します。知事は、平成25年2月定例会における私の質問に対し、原発事故後の対応について「知事会を通じて国に対し要望してきている」「国に対して言うべきことは言っている」と答弁されましたが、どういう要望をしてきましたか。
 また5月には福井地裁において、大飯原発の再稼働の運転差し止めの判決が出ましたが、この素晴らしい判決についてどう思いますか。
 更に柏崎刈羽原発及び老朽化している浜岡原発が再稼働に向けて動き出していることについて、2月議会で石坂団長から答弁を求められたわけですが、これまでの国への要望も「再稼働はすべきではない」というべきではなかったでしょうか。改めて再稼働の中止についての国への働きかけを、これからしてはいかがですか。以上の質問を、知事、お答えください。
【阿部知事】
 原子力発電所についてのご質問に順次お答え申し上げます。まず国への要望というご質問でございます。原子力発電所の安全確保、そして防災対策の強化についての国への要請活動と致しましては、全国知事会として昨年の7月に、そして関東知事会、そして中部圏知事会では昨年の11月にそれぞれ提言等を作成して実施をしております。再稼働に関する主な内容としては、徹底した福島第一原子力発電所事故の原因究明、そして原子力安全施設の安全審査に当たっては、審査方法を明確にして、新規制基準を厳格に適用すること、原子力安全規制の取り組み状況や安全性については、国が責任をもって国民・地方公共団体に対し明確かつ丁寧な説明をおこなうこと等でございます。
 なお、今年の2月には、長野県独自として要請をしております。その内容でありますが、原子力エネルギーの扱いについては、東京電力福島第一原子力発電所における事故の検証を十分おこなうとともに、同様の事態を二度と起こさないという決意の下、いかなる事情よりも安全性を重視した政策を講じること、二つとして原発依存度を可能な限り低減させるための具体的な道筋を示すこと、三点目、原子力発電所の再稼動については、安全審査だけではなく、原子力発電の必要性についても国民の十分な理解を得るなど丁寧なプロセスを踏んで慎重に判断すること、こうしたことを要請しております。引き続き県民の安全・安心を守る立場から対応をしていきたいと思っております。
 それから、大飯原発に関する福井地裁の判決についてどう思うかということであります。これについては、関西電力が控訴して係争中ということでもございますし、個別の事実関係を私が詳細を承知しているわけではありません。そういう意味で、今後の動向について注視をしていきたいというふうに思っております。
 それから、原発の再稼動について、中止についての働きかけをしてはどうかというご質問でございます。2月の県議会でもご答弁申しあげたところではございますが、原子力発電所の再稼動については、国において責任ある対応をしていただくということが基本だと思っております。具体的には東京電力福島第一原子力発電所における事故の検証を十分におこなうとともに、同様の自体を二度と起こさないという決意のもと、いかなる事情よりも安全性を重視した政策をとっていただく、これ先ほどの要請の中で述べているとおりであります。また、安全審査だけではなくて、原子力発電の必要性というものが住民に十分、国民に理解が得られるようにしていかなければ、単なる安全審査だけでは十分ではないのではないかということを申しあげてきているところであります。こうした観点で、国に対しては要請をしておりますし、これからも基本的にはこのスタンスで対応していきたいと考えております。以上です。
【藤岡議員】
 知事の答弁でありました規制委員会のもとで、新たな規制基準の審査をクリアした原発、ちゃんと審査するようにと答弁ありましたけれど、もう一つ答弁がありましたが、未だに福島第一原発、私は究明されていないと思います。その究明をした上での審査というお話でした。現時点で究明はされていない中で、規制委員会が新しい規制基準で再稼働を容認した場合、これについて賛成されるのか賛成されないのか、これははっきり答弁していただきたいと思います。
(2)小諸市焼却灰最終処分場問題
【藤岡議員】
 次の質問に移ります。放射性物質を含む焼却灰の最終処分場である小諸市のフジコーポレーションについてお聞きします。この間、処分場の敷地がかさ上げがされたことや、業者から処分場の埋め立てが完了し処分場廃止の届出があり、県も許可し、すでに処分場が廃止となっていることを知事は認識されているでしょうか。お答えください。
 また、廃止されたあとも、放射性物質を含む廃棄物が、佐久地域に残り続けるという事実が今存在する中、今後について業者も県も引き続き、放射性物質が漏れ出さないか検査をしていくとのことでありますが、処分場の廃止となったことで、廃棄物処理法上、こうした検査をする責任は、今業者にも県にもなくなっています。こうした現状について私も最近知って衝撃を受けていますが、この現状について県民には十分知らされていないと私は考えていますが、きちんと説明責任を果たされているのでしょうか。その件についても知事、お答えください。
【阿部知事】
 まず、最初の質問は仮定のご質問でございます。先ほど申しあげたとおりの要請を知事会とかしている段階でありますので、ここではご答弁は控えたいと思います。
 フジコーポレーションについてのご質問に順次お答えしたいと思います。まず、私の認識についてのご質問でございました。ご指摘の最終処分場が、放射性物質を含む廃棄物を受け入れてきていること、昨年には処分場のかさ上げをし、埋立容量を増やしてきたということは承知をしております。廃棄物処理法上の個別の手続きである廃止の手続きについては、担当部局において法令に基づき適正におこなわれたものというふうに承知をしております。
 次に最終処分場に関わる説明責任ということでございます。この処分場に関しましては、放射性物質を含む廃棄物の受入が始まった平成23年の6月以降、県としては法に定めはありませんが、独自の放流水の放射性濃度あるいは敷地境界での空間放射線量率などの検査をおこなってきたところでございます。また事業者も自主的に放射性物質汚染対処特別措置法に定められた測定頻度を上回る検査をおこなって、それらのすべての結果を公表してきております。さらに、これまでもいくつかの説明会・申し入れでのご要請を受け、処分場からの粉塵でありますとか受け入れ廃棄物の放射能濃度の測定・公表をおこなってまいりました。問題がないことを確認し、住民の皆様方の不安解消に努めてまいったところでございます。こうした状況の中、この事業者から今年の3月埋立終了に伴って廃止確認の申請が県にあったところでございます。
 県としては一つとして法の基準に照らし合わせ慎重に審査をおこない、地下水や放流水の水質、擁壁の構造等法令で定める廃止基準には適合していることを確認しました。二つとして更に県および事業者の放流水の放射能濃度、敷地境界での空間放射線量率などの検査においても問題となる値は出ていないということを確認しています。三つ目に仮に法に基づき適正になされた申請に対し、放射性物質を含む廃棄物を埋め立てていたことをもって廃止の確認をおこなわないとすれば、行政の不作為となってしまうということから、法に定めのない放射能にかかる検査などを継続するよう事業者に要請した上で、廃棄物処理法上の廃止を認めたところでございます。
 県としては、この最終処分場には放射性物質を含む、これ放射性物質を含むといいますが、管理型処分場の基準1kgあたり8000ベクレルとありますが、この処分場に持ち込まれている、自主基準として設けられていた基準はそれを大きく下回る2500ベクレルでありますが、この放射性物質を含む廃棄物が埋め立てられていることから、廃止後も引き続き周辺地下水などの水質や敷地境界における空間放射線量などの県独自の検査を継続して、事業者についても県の要請を受けて独自の調査を継続してもらい、そうした調査結果についてはすべて公表していく予定であります。またこうした廃止の経過については、事業者においても周辺住民等に説明をおこなってきたと承知をしております。県としても廃止手続きあるいはモニタリングに関する住民の皆様からのお問い合わせには随時お答えをしてまいっております。
 いずれにしても平成23年6月以降、県ではさまざまな放射能にかかる独自調査をおこなってきたところであり、最終処分場の廃止後も、法に定めのない県独自のモニタリング調査による安全性の確認と、そうした調査結果の公表を通じ最終処分場にかかる県民の皆様の不安解消に努めてまいりたいと考えております。以上です。
【藤岡議員】
 知事は法律上は適法だと申されましたが、それでも住民が納得しているか?不安を持ち続けているわけであります。その県民に対してどう寄り添っていくのかということが今問われているのではないかと思います。
(3)知事の姿勢
【藤岡議員】
 原発事故後3年以上が経過しました。事故後の平成23年12月に軽井沢町で開かれました放射能についての住民説明会には、加藤副知事が出席されていましたが知事の姿はありませんでした。またその後佐久合同庁舎で開催された説明会にも知事の姿はありませんでした、私は何度か一般質問で知事自らが現地に足を運び、直接住民の放射能汚染に対する不安、この払拭のために行動すべきだと提案してきましたが、知事は検討すると言うだけで、一度もこの問題での対応はありませんでした。
 知事には、放射性物質を含む廃棄物の受け入れに関する不安や、目には見えないが原発事故以降継続していると思われる放射能汚染-山菜などの汚染もありました-そうした不安を持つ住民に対し、住民の不安を払拭するような対応をしなければならないという自覚が薄かったのではないかと私は厳しく指摘したいと思いますがいかがですか。知事、お答えください。
【阿部知事】
 厳しくご指摘をいただいているわけでありますが、先ほどの住民の不安に寄り添っていないのではないかということは、先ほどから縷々申しあげておりますように、法律でこうなっているからそれで良しというふうな対応は決してしていないということがご理解いただけないというのは大変残念だなというふうに思います。
 これまでも原発の事故後、この放射性物質に対しては県として県民の皆様方の不安が解消できるよう、検査きめ細かくおこなうと同時に、情報の公開あるいは相談実施、さまざまな対応をしてまいりました。
 議員ご指摘の住民説明会、平成23年の12月に放射能の健康への影響と県の取組について、また24年の1月には放射性物質を含む廃棄物の埋立処分等について、それぞれ専門家のご講演と住民の方の意見交換をおこなって、放射能に対する不安感の解消を図ってきたところでございます。また関係部局が連携しながら、県内の空間放射線量の測定、最終処分場のモニタリング、延べ3万7000件あまりにわたる農林畜産物、流通食品、学校給食等の放射能検査を実施して、すべての検査結果を県のホームページで速やかに公表をさせていただいているところでございます。検査結果、大部分が不検出、基準値を下回るというかたちになっておりますが、先月一部の山菜で基準値を上回る値が検出されました。その際には東北信すべての市町村から検体を採取して速やかに検査するよう指示するとともに、検査結果が判明次第公表をした上で、基準値を超えた市町村に対して直ちに採取、出荷、摂取の自粛等の要請をおこなったところであります。この際土日にも職員が常駐して県民の皆様方からの相談に応じるという体制も取らせていただいたところであります。
 そういう意味で自覚が薄いということのご指摘ではありますが、私とすれば、単に法令に基づいて粛々とやっているということではなくて、住民の皆様方の不安の解消、そして本当に危険なものは危険だということでやらなければいけないわけでありますから、こうした検査結果であるとか、あるいは住民との説明会・対話等を通じて、安全確保と不安の除去を全力で努めてきたところでございます。
 まあ会合に私が行けない行けるというのは他の公務との関係性もあるんで、すべて出席要請のあったものに対して対応できないということについては大変申し訳なく思うところもありますが、しかしながら県全体として、組織としてそういう対応をしてきているというふうに考えておりますし、これからも住民の皆様方の思いをしっかり受けとめて対応をしていきたいと思っております。以上です。
【藤岡議員】
 私が申したのは、知事が不安解消のために直接行って、「大丈夫だ」と、「色々心配をされているがしっかりこれからも健康を守るために県として責任を果たしていくんだ」というメッセージを発信して欲しかったということであります。同時に、廃止になった処分場も、これから法律的には県も業者も検査する義務は生じなくなります。どうなるんだろうということに関しても、「いや、これからもやり続けるんだ」ということを知事から発信していただきたいということを申し述べさせていただきました。
 私は、この間ずっと原発の問題等質問して来ましたが、その質問に対して一度も原発再稼動に対してこれはおかしいということもなかった。そして国に言うべきことも言えなかった。3年以上が経過しても、県民の不安にも解消にも動けない。このような知事に私は県政を任せられない、このことを申し述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

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