「地方財政の充実・強化を求める意見書(案)」賛成討論
6月県議会本会議において「地方財政の充実・強化を求める意見書(案)」の審議がおこなわれ、意見書案は全会一致で可決されました。審議においては、和田議員が賛成討論をおこないました。
- 和田議員
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議第8号「地方財政の充実・強化を求める意見書(案)」に対する賛成討論をおこないます。
安倍晋三政権が「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる「骨太方針」と、「日本再興戦略改訂」いわゆる「新成長戦略」を閣議決定し、法人税の税率を来年度から大幅に引き下げることを正式に決めました。これを受けて、政府税制調査会も法人「改革」の基本方針を了承したとされています。
企業の国際競争力を高め、国を強くすると閣議決定した新成長戦略は、経済界の要望を取り入れた企業の優遇策です。内容は法人税の税率を、国税と地方税を合わせた実効税率で現在の35%前後から20%台に引き下げるものです。地方公共団体の重要な財源である法人税課税の見直しは、地方税財政に深刻な影響を与えることが懸念されます。
法人税は「欧米より高い」などを口実にしていますが、実際には法人税には租税特別措置や政策減税等、さまざまな減税措置があるため、実質税率は見かけよりも低く、しかも赤字を出した欠損法人は支払わなくていいため、トヨタの豊田章男会長が5月8日の会見で表明したように日本最大企業のトヨタが2008年から5年間にわたり1円も法人税を払っていなかったように、大企業の多くは各種の優遇税制によって実効税率よりはるかに低い税負担しかしておらず、一方で、内部留保は2013年度末に304兆円と過去最高を更新していると6月23日付日経新聞でも報じているように、貯めこまれるばかりです。法人税1%の税率引き下げで約5000億円の税収減ですが、法人税を払っている企業は約3で、減税はごく一部の大企業を応援するものです。
また、法人税の実効税率を来年度から引き下げるにあたり、税収減の穴埋めとして、現在資本金1億円超の大企業にのみ適用されている外形標準課税を「広く薄く負担を求める構造にする」として、赤字企業にも課税するなど、中小企業への大増税につながるもので、行き過ぎた優遇税制の是正無しに外形標準課税の拡充をおこなうことは、税によりさらに格差を広げるものです。
消費税の増税とともに、不公平拡大の大企業減税は、国と地方の安定した財源確保にはつながらないと言わざるを得ません。
意見書案で求めるように、地方の財政需要に見合う地方財政の充実・強化のためには地方交付税等の一般財源総額の拡大を図ることは当然のことであります。長野県の交付税をみても2000年度の2865億円をピークに2001年度から8年間下がり続け、小泉内閣の「三位一体改革」が低下に拍車をかけ、今年度は2100億円台にとどまり、県としても厳しい財政運営を余儀なくされております。<
よって国においては、地方交付税等の一般財源総額の拡充と、地方交付税による財源調整及び税源保障の機能の一層の強化を図り、財政力の弱い地方公共団体に配慮すること等、地方財政全体の安定確保に向けて、対策を講じるよう求めて賛成討論といたします。