2014年9月定例会 藤岡義英議員の一般質問と答弁
1.若年層の雇用問題について
- 【藤岡議員】
- 日本共産党県議団の藤岡義英です。順次質問いたします。
若年層の雇用問題について質問します。2013年に民間企業で働いた労働者のうち年収200万円以下のワーキングプアが1100万人を超えました。安倍内閣発足1年で30万人増です。青年の2人に1人が 非正規雇用と言われています。若年層の雇用対策は急務です。
県は平成25年に「多様化する就業形態の労働実態調査」と、「長野県離職状況調査」を実施しました。この調査結果では、非正規社員の現在の働き方については、悪い面として「収入が低い」「このまま同じ処遇で働き続けられるか分からない」という意見が多く、行政に対しては「最低賃金や賃金水準のアップ」「景気回復策による正社員雇用の拡大」が希望されています。県内の民間事業所に平成22年度に新卒採用された正社員のうち約2割が3年以内に離職しています。理由として「職場の人間関係がうまくいかない」「仕事上のストレスが大きい」といった、職場特有の理由が多くあります。この結果について、どのように分析・課題があると認識していますか。産業労働部長にお聞きします。また、調査結果の公表からずいぶん時間が経過していますが、これまでに事業所に対して具体的な働きかけはしてこられたのか、これも産業労働部長にお聞きします。
そして今後、どのような積極的な対策をしていくのか、知事に決意をお聞きします。
- 【産業労働部長】
- 順次お答えいたします。まず、労働環境等実態調査についてのご質問でございます。「多様化する就業形態の労働環境実態調査」では、非正規社員が増加している事業所の割合が、4割と増加傾向にあること、正社員を目指していたが、やむなく非正規社員として勤めている人が増えていること、非正規社員の約半分が、賃金・収入面において将来への不安を抱えていることなどが、浮き彫りになりました。これらの点から、非正規社員の正社員化が今後の大きな課題であることを認識しております。
次に離職状況調査におきましては、離職の理由として、労働条件や仕事上のストレスが多く挙げられ、そのための対策として、従業員側からは、職場環境の改善を挙げている一方、経営者側からは、教育や訓練を挙げております。このことから離職防止に向けては、労使が協調し一体となった職場環境の改善が課題と認識しておるところであります。
次に事業所に対しての働きかけについてでございます。先程の調査結果を踏まえまして次のような取り組みを行ってまいりました。まず非正規社員の正社員化につきましては、毎年6000社を超える事業所に、知事と労働局長の連名で、新卒者の正社員採用枠の拡大を文書で依頼している他、この8月には経済団体を直接訪問いたしまして、採用枠の拡大と正社員への登用につきまして協力を要請したところであります。また離職中の若者を4ヵ月の研修後正社員につなげる「若者未就職者等人材育成事業」等も実施しておりまして、現在80名の若者が正社員を目指して研修を重ねております。
次に職場環境の改善でございますが、労政事務所が開催いたします「労務管理改善リーダー研修」などで、働きやすい環境に対する啓発を、企業の労務管理者に対しまして実施している他、昨年秋から3000社を超える企業を訪問いたしまして、ワーク・ライフ・バランスなどへの配慮を求めた結果、110社が短時間正社員などの多様な勤務時間の勤務体制の導入を進めたところでございます。
また社員の子育て応援宣言におきましては、現在590社が登録をし、この取組内容は県のホームページで紹介しているところであります。以上でございます。
- 【阿部知事】
- 若者の雇用についての、対策と決意というご質問でございます。若者たちが自らの人生しっかり歩んでいってもらう上で、就業の促進・雇用の安定、極めて重要なテーマだというふうに考えております。まだまだご質問にありましたが、非正規求人が占める割合が高い、あるいは就職後まもなく離職してしまう若者が多いといったような課題があるということは、我々も認識しておりますし、大変こうした状況を改善していかなければいけないというふうに考えております。
新しい産業の創出、更には雇用の安定化、そして創業の支援、さまざま取り組んでいくべきことがあるというふうに思っております。県の政策を総動員する中で、この若者の雇用の安定化あるいは就業の促進、全力で取り組んで行きたいと考えております。以上です。
- 【藤岡議員】
- 県の行った2つの調査結果発表後も深刻な労働実態が明らかになっています。青年団体が集めた24時間営業店実態調査では、コンビニオーナー40代男性の方。「深夜労働は週2~3日、1回8時間、健康保険は国保。年金は国民年金。不安なことは、長時間過密労働、給料が少ない・減っている、交通費や制服代が自己負担、季節により収入に差がある、休みが少ない、有休が取れない、心の健康が心配」といった声。
佐久地域では、超長時間残業、一方的な賃下げ、残業代が支払われない、休みがとれないなどの不満から、仲間で労働組合を作って改善を求めたら、ある日突然社長が工場閉鎖を発表し、元々存在しなかった東京事業所への転勤か、退職かを迫る、というブラック企業など、労基法違反の実態の声が多数寄せられています。事業所へも出向かれて、さまざまな取り組みでご尽力されているとのことですが、さらに積極的に対策を講じるべきだと考えますし、青年労働者の心も体も使い捨てにするブラック企業に対しては、県としても強く改善指導を行うべきと考えますがいかがですか。もう一度、知事に決意をお聞きします。
労働者派遣法改悪案を、安倍政権が国会に再提出しました。派遣労働を無制限・無期限に拡大するものです。「生涯ハケン」を強要されるとともに、正社員を派遣労働者に置き換える「正社員ゼロ」をすすめる重大な内容です。ホワイトカラーエグゼンプション、解雇自由化など、こうした「雇用破壊」に対しての所見と、またこうした労働法制に対して、明確に反対を表明すべきだと考えますがいかがですか、知事にお聞きします。
- 【阿部知事】
- お答えします。まず働いている皆様方の労働環境の改善、これは私どもも、そして国の関係機関、労働基準監督署・労働局などとも連携してですね、しっかり取り組んでいくべき課題だと考えております。労働法制の改正については、国において現在議論がされているところであります。
県としては、新しい産業の創出等による持続可能な経済成長を図っていくということと同時にですね、雇用の確保、職場環境の整備等、労使双方の視点からバランスのとれた法整備が必要であるというふうに考えております。
先般もご答弁申しあげましたが、過重な労働の歯止めがかからなくなるのではないかというような懸念もあります。まずは関係者の合意形成がしっかりと図られるというようなことが必要だと考えております。
県としても、少子化に歯止めを掛け、地方創生を進めていく上でも、雇用の安定ということは大変重要だと考えております。今後の状況を見ながら、必要があれば国に対しても働きかけ等行って行きたいと考えております。以上です。
- 【藤岡議員】
- 是非ですね、本気でこの雇用問題について解決を考えておられるのなら、私は、是非知事自身が「雇用破壊は止めよ」という立場で取り組んでいただきたいですし、県としてもブラック企業を根絶するための対策を緊急に打つべきと考えます。さらなる対策を講じられるよう強く求めまして次の質問に移ります。
2.再生可能エネルギー普及の取組について
- 【藤岡議員】
- 再生可能エネルギーの取り組みについて質問に入ります。まず、長野県は「固定買取制度」いわゆる「FIT」開始後、「設備導入容量の増加率が2倍となった」とのことですが、設備別(太陽光・小水力・木質バイオマス・風力・地熱など)の割合はどうなっていますか。環境部長お答えください。
また国に一層の支援充実を求めるとともに、本県独自の先進的な取組を、さらに求めたいと思いますがいかがでしょうか。これも環境部長お答えください。
- 【環境部長】
- 自然エネルギー設備導入容量の設備別の割合と、本県独自の取組についてのお尋ねでございます。始めに設備別の割合でございますが、本県の「固定価格買取制度」開始以降の導入量の割合は、平成25年度末では、太陽光が99%、水力が0.3%、バイオマスが0.7%となっております。
続いて、本県の取組についてでございます。「固定価格買取制度」は、事業の採算性を高め、自然エネルギー普及の大きな追い風となっておりますが、それだけでは県が目指す地域的に大きな利益をもたらす地域主導型自然エネルギー事業の普及拡大にはつながらないものと考えております。
そこで県では、「1村1自然エネルギープロジェクト」や「屋根貸太陽光発電」「おひさま分散メガソーラープロジェクト」などの実施を通して、また特に本年度は「自然エネルギー地域基金」を創設し、地域が取り組む発電事業を支援する「自然エネルギー地域発電推進事業」に新たに取り組むことにより、地域に根ざした自然エネルギーの普及・促進に努めております。また戸建て住宅を含む点で、全国初の試みであり注目されております「建築物自然エネルギー導入検討制度」も本年度から運用を開始したところであります。
なお国に対しましては、従来より規制緩和の措置や自然エネルギーの普及・拡大に向けた支援措置の拡充等を要望してきたところでございますが、今後ともさまざまな機会をとらえて要望をしてまいりたいと考えております。以上でございます。
- 【藤岡議員】
- 「FIT」開始後、設備導入容量の割合で太陽光発電は99%とのことでした。他の設備はほとんど増加していないわけです。本県における地域主導の自然エネルギーの普及・発展を促進する取り組みの中で、小水力発電、木質バイオマス、地熱発電の研究とその成果の実施に向けての検討は進んでいるのでしょうか。又、普及させるために更なる努力が必要ではないですか。その見解を環境部長にお聞きします。
続いて、信州F・POWERプロジェクトについて質問します。9月18日の読売新聞で、F・POWERプロジェクトの記事が掲載されました。「当初70億円だった総事業費は、昨年末に約109億円に増え、最近では120億円という数字も飛び出す」「木質バイオマス発電所の稼働時期を当初より遅い『2016年秋頃になる』と表明」と。さらに、「政府系の低利融資を得るため、県と市にも発電所建設費用を出資してもらう方法も検討中」、とも書かれています。
そこで質問します。前回の県議会でも質問で取り上げましたが、改めて事業規模と県の負担分を林務部長にお聞きします。
また、F・POWERプロジェクトのバイオマス発電施設については固定価格買い取り制度の適用を受けるため追加の支援策は考えていないというのがこれまでの県のスタンスだったと理解していますが、このスタンスに変わりはありませんか。林務部長お答えください。
また、現時点での計画する施設整備の契約状況と進捗状況はどうなっていますか。これも林務部長にお聞きします。
- 【環境部長】
- 小水力発電、木質バイオマスの利用、地熱発電の検討および普及についてのお尋ねでございます。
長野県は森林に囲まれ、また急峻な地形、多くの温泉を有することから、小水力、木質バイオマス、地熱といった自然エネルギーのポテンシャルは全国有数のものがありますけれども、太陽光に比べますと導入が進んでいないという状況でございます。自然エネルギー信州ネットや長野県小水力利用推進協議会などにおきまして、小水力、バイオマス、地熱発電を巡る技術面、資金面などさまざまな課題について情報交換や意見交換を、また課題の整理、検討を行っているところでございます。そのような意見交換を踏まえまして、県内金融機関を構成メンバーとした金融研究会を開催いたしまして、自然エネルギー発電事業への地域資金の導入を促進する研究を行い、現在研究成果を取り入れた施策について検討をしているところでございます。
木質バイオマスや温泉熱の利用につきましては、先行的な取り組みに対しまして支援を行い、栄村北野天満温泉の木質チップボイラーや高山村七味温泉の温泉水を利用したバイナリー発電が、県の支援を受けまして本年度稼動したところでございます。
小水力発電につきましては、地域における知見や経験が少ないことから、11月に全国小水力発電サミットを開催いたしまして、先進事例の紹介や地域における課題等に対する議論を通しまして、情報共有により小水力発電の普及促進に向けた機運の醸成を図ることとしています。
今後も本県の高いポテンシャルを生かすことが出来るよう、地域の特性を生かした自然エネルギー事業に対しましては、自然エネルギー地域基金の活用などにより幅広く支援をしていきたいと考えております。以上でございます。
- 【林務部長】
- 信州F・POWERプロジェクトについてのお尋ねをいただきました。
始めに事業規模等のお尋ねでございますが、木材加工施設が年間原木使用量10万㎥と県下最大級の工場でありまして、木質バイオマス発電施設は原木使用量が製材端材を含め18万㎥で、発電量は毎時1万kWの規模となっております。事業費は発電施設の実施設計に向けた調整段階のため、確定しておりませんが、計画ベースでは用地造成、木材加工関連施設、発電施設の合計で約109億円となっております。
県の負担分につきましては、森林整備加速化・林業再生事業を活用いたしまして、木材加工関連施設への補助と発電施設への資金融通を併せて約35億円の支援を予定しております。なお現時点では県のスタンスに変更はなく、施設整備に対する追加支援は考えていないところであります。
次に事業の契約、進捗状況についてのお尋ねでございます。木材加工施設につきましては、本年6月中旬に、事業主体の征矢野建材株式会社が、地元建設会社2社を含みます「西松・ハシバ・松本土建建設工事共同事業体」と契約いたしまして、現在建物の建築中で、本年度中の竣工に向け、工事が進められております。
木質バイオマス発電施設につきましては、本年度中の契約締結を目指しまして、実施設計に向けた準備をし占めているところでございます。以上でございます。
- 【藤岡議員】
- 6月定例会では、F・POWERプロジェクトの質問に対し、林務部長は、「集材範囲は半径50キロメートル圏内で路網整備を行う」との説明があり、さらに「半径50キロ圏外からの運搬費補助につきましても…国に要望してまいりたい」とも、答弁されました。集める地域は半径50キロ圏内と理解していましたが、50キロ圏外からも集めるということでしょうか。35億円の支援と、路網整備、そして運搬費補助と、「一点集中主義」ではないでしょうか。ある林業関係者は、「運搬費補助ならこちらにも出してもらいたい。県内等しく公平に、林業・木質バイオマスの取り組みを応援してもらいたい」と話されていました。
果たして事業としてうまくいくのか。疑問です。冷静になって、改めて採算が取れるぎりぎりの規模へ縮小する、若しくは事業全体の見直しを行うべきでないかと考えますが、いかがですか。知事にお聞きします。
- 【阿部知事】
- 信州F・POWERプロジェクトの規模についてのご質問でございます。
見直しをしてはという趣旨でございますが、この発電規模については、2つの観点から計画をしてきているところであります。1つは併設しております木材加工施設の木材の使用量、そしてもう1点が木材の買取価格の上昇。これは林業関係、山、木材関係の皆様方の収益につながっていくわけでありますが、木材に使用量につきましては、木材加工施設で使用する丸太の伐採時に発生する製材に向かない材、それから製材時に出てくる端材、これを併せた量が18万㎥でございます。これを無駄なく活用していくという観点で1万kWの規模ということが必要だと考えております。
また木材の買取価格に関しましては、発電規模が大きいほど発電効率が上がってくるということで、まあ小さくすればするほど価格が、どうしても山からもってくるから下がってしまうということでありますので、そういう観点で、林業所有者等の収入等を考え、県内林業への波及効果という面でも1万kWが適当だということで、計画をしたところでございます。
現在林務部を中心に、関係者の努力で木材を供給する体制が整ってきたところでございます。計画した規模でのプロジェクトが実現できるよう、県としても引き続き全力を傾注していきたいと考えております。以上です。
- 【藤岡議員】
- いまですね。1ドル約110円。円安が進んでいます。さらに進むと言われています。6月定例会のときに、F・POWERの事業費が増えた理由に、「円安」を挙げられました。さらに事業費が増えるのではないかと心配しています。「大丈夫もうこれ以上事業費は増えません。県の追加支援もありません」との理解でよろしいでしょうか。もう一度、知事にお聞きします。
- 【阿部知事】
- この事業費については事前通告がございませんでしたので、今、実際プロジェクトが直接関わっている林務部長の方からご答弁をさせていただきたいと思います。
- 【林務部長】
- 再質問にお答えいたします。事業費の今後の見通しも含めたご質問でございますが、プロジェクト全体の事業費でありますが、先程答弁を申しあげましたたように、計画ベースでは現在109億円でございますけれども、現在発電施設の実施設計に向けた調整を進めているところでございます。資材費の高騰や今後事業費の変更も考えられる状況ではございますが、県は総合調整役といたしまして、事業全体を掌握しつつ、事業主体や関係の皆さん、金融機関等との緊密な連携のもとに、年度内には事業費の決定と発電施設の着工に導いてまいる考えでございます。以上でございます。
- 【藤岡議員】
- 追加支援もないということでよろしいでしょうかということで、もう一度林務部長に後でお答えいただきたいと思います。
今後もこのプロジェクトについては、しっかり注視して参りたいと思いますし、県民に理解される支援と事業内容で進めていかれることを強く要望します。
つづいて、木質チップの普及について質問します。カラマツなどの間伐材の燃料利用に弾みをつけようと、佐久地方を中心とする林業関連5社の代表らが、チップ製造販売の新会社、「佐久森林エネルギー」を設立。一定の品質のチップを安定供給し、地域で木質チップボイラー導入をすすめて、地域資源をうまく利用する仕組みづくりに挑戦されています。
長野県にはカラマツがあり、乾燥した気候であるため良質のチップの供給地域としての可能性をもっていること。木質ペレットはエネルギー当たりの単価は灯油と同じくらいですが、木質チップは約4割も安くなること。
課題として、仮に民間施設で導入する場合、補助制度を活用しても半分は事業資金が必要になってきます。
そこで例えば地方自治体や地域金融機関との共同出資で会社、あるいは組織を設立し、ボイラーをリースするなどしてリスクを減らすサービスを提供できれば、導入が加速するのではないかと考えますがいかがですか。林務部長にお聞きします。
4・5000万円程度のコストで済むと言われる「木質チップの供給から消費までの仕組み」を県内各地で作る方が、地域で普及しやすい現実的な方策と考えますがいかがですか。林務部長お答えください。
やはり自然エネルギー設備容量の増加の視点ばかりではなく、「エネルギーの地産地消」「地域主導」の視点を持って、どれだけ活用が進んだのかが大切であると考えます。そこで質問します。自然エネルギー設備導入容量の増加状況ですが、地元の個人と個人以外の導入割合はどうか。又、県外に本社のある企業と地元の個人及び個人以外の導入割合はどうなのか。環境部長お答えください。
木質チップボイラーの農業用ハウスへの本格的活用や、小水力発電機を生産するためのものづくり産業への参入などの自然エネルギーへの取り組みが、雇用創出効果や付加価値を生み出し、引いては地域の活性化につながると考えます。このような取り組みに対し、県による支援の充実を図ってほしいのですがいかがですか。またそうすることで、「地産地消」「地域主導」の自然エネルギーの普及が進んでいくと考えますがいかがですか、知事お答えください。
- 【林務部長】
- まず信州F・POWERプロジェクト事業に対する追加支援につきましての再質問でございますけれども、現在のところ、この県のスタンスについては変更はございません。現時点では施設整備に対する追加支援は考えていないところでございます。
次に木質チップのボイラーのリースによる導入についてのお尋ねでございます。木質チップボイラーの導入を進めることは、自然エネルギーの普及はもとより成熟しつつある本県の森林資源の利用促進という観点からも大変重要と認識しております。チップボイラーを始めとする木質バイオマス・ボイラーの導入については、これまで「森のエネルギー総合支援事業」によりまして、積極的に支援してきたところです。この事業では事業主体となります森林組合や企業などがボイラーのリースを行うことへの支援も可能でありますことから、今後更にこうした事業を周知して、木質バイオマス・ボイラーの導入を積極的に進めてまいります。
次に木質チップの供給から消費までの仕組みづくりについてのお尋ねです。木質チップなど県内の木質バイオマスの生産量は、平成25年で約2万7000㎥に留まっておりますが、「長野県森林づくりアクションプラン」では、平成32年の目標量を、生産量の目標を現在の約4倍に当たる約11万㎥に設定しております。
この目標を達成して県内の林業を活性化させていくためには、信州F・POWERプロジェクトのような大規模な取り組みに加えまして、森林資源を各地域の特色に合わせて活用する「地産地消」的な取り組みが重要であると考えております。このため引き続き「森のエネルギー推進事業」等によりまして、各地域における木質バイオマスの供給から消費までの仕組みづくりを推進しまして規模の大小併せて、新たな林業、木材産業を創生してまいりたいと考えております。以上でございます。
- 【環境部長】
- 自然エネルギー設備容量の個別の導入割合のお尋ねでございます。「固定価格買取制度」による再生可能エネルギー導入の状況につきましては、現在経済産業省から都道府県別、また今回新たに市町村別の導入状況が開示をされております。しかし現段階では、稼動設備の設置者、出力規模、設置場所等の個別の情報は開示されていないため、議員ご質問の内容につきましては、県では把握は出来ておりません。
なお個別情報の開示につきましては、かねてから機会のあるごとに国に対して要望してきたところでありますが、地域の自然エネルギーを推進する自治体にとっては、必要な情報と考えておりますので、引き続き国に対して要望を行ってまいります。以上でございます。
- 【阿部知事】
- 再生可能エネルギーの普及の取り組みについて、支援についての取り組みでございます。長野県としては、自然エネルギーの普及・拡大、県政の大きなテーマだということで、取り組んできております。自然エネルギー信州ネットをつくって、官民連携のもとで地域主導型の自然エネルギー事業を促進していこうということで取り組んできておりますし、「1村1自然エネルギープロジェクト」ということで、地域・市町村の取り組み等をサポートしてきております。
特に森林資源につきましては、長野県、高いポテンシャルを有していると考えております。間伐材の活用等も含めて、「森のエネルギー総合推進事業」あるいは「グリーン・ニューディール基金事業」等によりまして、温泉施設等へ木質ボイラーの導入支援、行ってきているところであります。
また産業の育成という観点からも、この環境エネルギー、重要な分野だと考えております。県のテクノ財団で地熱利用あるいは小水力発電設備の開発に向けた取り組みを始めとして、県内企業、関係機関と一体で、取り組みを進めてきているところであります。今後ともこういった事業、拡充を図って行きたいというふうに考えております。しあわせ信州創造プランで掲げる環境エネルギー自立地域の創造に向けて、更に力を入れてこの分野に取り組んで行きたいと考えております。以上です。
- 【藤岡議員】
- 是非ですね、国へは引き続き、県内の自然エネルギー設備導入容量の増強の、詳細な情報提供を求めていただき、分析していただき、そして県が地域主導の再生可能エネルギーの取り組みの普及のために、先進性を発揮していただきたいと思います。一点に集中し過ぎず、長野県全体で発展するよう、努力していただくことを強く要望しまして、次の質問に移ります。
3.豪雪被害について
- 【藤岡議員】
- 2月の豪雪被害による農業施設の復旧支援の課題について質問いたします。
2月の豪雪による佐久地域の農業生産施設の被害は5600棟以上におよび、農業者の皆さんはその再建に懸命であります。再建の申請があった施設のうち、納品されたのは約5割であり、未着工のうちの3割は来年度まで竣工予定が延びる見込みであること。佐久地域は冬季の施工が厳しいため、多くの施設が再建できないおそれがあります。全県的にも約3割近くが今年度の復旧が困難になることが予想されます。そこで国に対し、申請さえあれば、複数年にわたっての支援の継続を、と県としても強く求めるべきであると考えますがいかがですか。農政部長にお聞きします。
補助の申請について農水省の方針では、「複数業者の見積もりが望ましいとしているが、実情に合わせて1者でも可。また、実際に大雪被害にあって、撤去、修繕、再建をしたことが証明されれば領収書は無くてもよい」と、されています。群馬県議会の委員会では、農水省の方針どおりに対応しているとの答弁がされているそうです。またつい先日、直接農水省の担当の方とお話しましたが、「その内容は変わっておりません」との回答もいただいております。本県も農水省の支援スタンスと同じということでよろしいでしょうか。農政部長にお聞きします。
- 【農政部長】
- 豪雪被害対策についてのお尋ねについて、まず2点お答え申しあげます。
最初に国の支援事業の延長についてでございます。国は復旧事業の実施期間を平成26年度末までとしているところでございまして、県では市町村、JAと連携いたしまして、被災施設の復旧に全力をもって取り組んでいるところでございます。一方で、資材や施工業者の人員の不足などから、一部に施設につきまして年度内の建設が困難となるおそれがありますことから、事業を複数年にわたって継続できますように、本年6月に関東6県が共同で農林水産省に対しまして要請を行ったところであります。
9月末現在の施設の復旧率につきましては、工事を開始しているものから竣工したものまでを合わせますと54%、これは棟数でございますが、併せて資材の発注が済んでいるものが33%という状況でございまして、合わせて約9割が事業に着手をしていただいております。佐久地域におきましてもほぼ同様の状況と認識をいたしておるところでございます。国はやむを得ない理由があると判断した場合には、補助事業の予算を繰り越して執行することを検討しているというふうに伝えられておりますので、復旧を希望される農業者の皆様には、年内には申請をしていただきまして、県といたしましては国に対して適切な対応を要望してまいりたいというふうに考えております。
また補助事業に申請に必要な添付書類についてでございます。県では3月以降、国の支援事業につきまして、申請書類等の簡素化や事業の柔軟な運用を繰り返し要望してまいったところでございます。必要書類の取扱いにつきましては、本県におきましてもすべて農林水産省の方針通り市町村と連携して、農業者に周知をしてきたところでございます。以上でございます。
- 【藤岡議員】
- しかしながらですね、農業者に対する市町村の説明が3者からの見積書の提出などを求めたため、実際、申請をあきらめた人もおられます。県の資料でも、被害棟数に対し、約2割強(資料では3267棟分)の施設の申請がされていません。党県議団としても直接農水省に何度も具体的な確認をとってきましたが、現場に徹底されていません。県は市町村に対して、正しく説明をされたのでしょうか。周知徹底がされていなかったのではないですか。今回の措置を正確に速やかに市町村に徹底し、手続きをより簡素化させることを指導し、更なる再建への後押しをすべきと考えますがいかがですか。もう一度農政部長お答えください。
仮に申請が出されたものに関して、国が複数年度にわたって継続支援を可能にすれば、これから農閑期に入る農業者の皆さんも一度あきらめた方も、事務的な申請手続きができるようになります。改めて、未申請者の掘り起こしを行い、解決のために県として積極的に動いてほしいのですがいかがですか、知事お答えください。
- 【農政部長】
- 農業者への国の方針等の周知徹底についてのお尋ねでございます。県では国の事業の具体的な内容が明らかとなりました3月以降、県段階および地域段階での、国の担当者を求めるなどしての説明会を開催いたしまして、市町村、JAなどに対しまして、国の方針の、あるいは事務の進め方につきまして繰り返し周知を行ってきたところでございます。また市町村が主催をいたしました説明会に対しましても、県の担当者が出向きまして、農業者の皆様にも直接周知を行ってまいったところであります。具体的には県段階では3回、地域段階では70回開催をいたしておりまして、市町村主催の農業者を対象とした説明会には38回出席して、職員が説明させていただいているところであります。
特に7月以降につきましては、市町村に対しまして、農林水産省の柔軟な運用について毎月農家への周知徹底をお願いしてまいったとともに、農林水産省におきましても、要請がございました市町村などに、職員が直接出向きまして、指導を行うなど更なる周知に努めてまいったところでございます。今後も市町村と連携をいたしまして、ホームページへの掲載、更にはチラシの提供などによりまして、さらなる周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えているところであります。以上でございます。
- 【阿部知事】
- 豪雪被害に関する対応でございます。被害にあわれた農業者の皆様が意欲をもって営農継続をしていただくことが、私ども重要だと思っております。
今回の事業で施設の復旧を希望される農業者の約9割の施設で復旧着手されておりますが、補助金の申請手続きについては、農閑期に申請をする予定の方がいることなどにより、9月4日の段階で申請は約6割に留まっております。申請の終わっていない農業者につきましては、現在各市町村において国への申請に向けた相談や受付を行っているところであります。
復旧を希望されている農業者が年内に漏れなく申請いただけるよう、引き続き市町村と連携して、周知を図って行きたいと考えています。以上です。
- 【藤岡議員】
- 是非ですね、豪雪災害を理由に農業経営を辞めたという方を一人も出さないとの決意で、市町村と一体で、国へも強く働きかけられることを重ねて要望しまして、私の一般質問を終わります。