2014年9月議会 和田あき子議員の一般質問と答弁
1.生活保護について
- 【和田議員】
- 昨年8月の生活保護基準の切り下げによる影響について、昨年9月議会では「生活保護世帯の8割が減額という影響をうける」ことや、「世帯構成や居住地域などで多少異なるが、30代のご夫婦と4歳の子ども1人という世帯を例に郡部では2,500円程度、市部では4,800円程度の減額」との答弁でした。
生活扶助基準の切り下げ以前に、母子加算や老齢加算が廃止され、生活保護世帯の生活はギリギリのところに、更なる引き下げによって生活実態はどうなっているか、福祉事務所が生活保護受給者を定期的に訪問調査をして、状況をどうとらえているのか、実態を把握しているのか健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
- 生活保護についてのご質問にお答えいたします。生活保護基準の改定に伴う影響ということでございます。今回の改定は平成25年8月から27年まで、3年程度で段階的に実施するということでございまして、議員ご指摘のお話にもありました25年、それから本年4月において改定されましたが、この中では消費税率の引上げ等も勘案されたというところでございます。
標準的な世帯の例でモデル的に計算しますと、昨年の25年8月の改定につきましては議員ご指摘のとおりでございます。また本年4月の改定では、郡部は900円程度の増額、それから市部は900円程度の減額という形になってございます。改定の状況につきまして県が所管しております郡部の受給世帯について確認をいたしましたところ、昨年の8月の改定では、お話にありました1100世帯のうち8割の世帯が前月と比較して減額ということでございましたが、本年4月の改定では9割以上の世帯が増額という形になっております。
また個別の受給世帯ごとの生活実態につきましては、ご指摘のとおりでございますが、担当ケースワーカーが定期的に家庭を訪問して状況を把握するというなかで、今必要な生活・就労支援、家計管理などそうした援助を実施しているとそういうところでございます。以上であります。
- 【和田議員】
- 今、郡部では多少プラスというお話もありました。実態ということをつかむには程遠いと今のご答弁でお聞きをしていました。 長野県民主医療連合会が、今年1月から3月に生活保護受給者224人に聞き取り調査をした結果。1日の食事回数「1回」「2回」が76人。3回の食事ができない人が3割。1週間の入浴回数「3回以下」75%にものぼっていました。
保護費での生活はギリギリでこれ以上削れない、しかたなく食事を1回減らす、これが日常的になることを想像できますか。1日3回でも食事の内容は、ある方は、朝はごはんと卵豆腐と味噌汁。昼はごはんと佃煮。夕飯はカップラーメン。また、ある方は、朝はパン。昼は33円のうどん。夜は88円のレトルトカレー。体にいいわけないけどそうするしかない。何人もの方が節約のため、ガスは止めた。夏は日が長いから電気止める。着るものは何年も買っていない。親族やご近所も付き合うお金がないから一切断ち切った。本当に深刻な実態が語られております。
今年4月から、消費税8%増税と円安で、水光熱費、食料品はじめ生活必需品の値上げラッシュは、厳しい生活に拍車をかけるばかりです。県として生活保護受給者世帯の深刻な実態を把握して、国に対して生活保護基準の見直しを求めるべきではありませんか。健康福祉部長に伺います。
また条件付きで、車の保有、住宅など資産があっても生活保護の申請・受給ができます。厚労省の通達の適正な運用を行うよう、改めて県として繰り返し徹底してほしいと思います。また、車の保有によって生じる経費についても生活保護費に加算されるよう国に求めるべきと考えます。健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
- 生活保護につきまして続きましてお答えいたします。今回の改定ということでございますが、先程申しあげましたところ、増税分ということもございます。更に年齢ですか世帯人員、地域差等の、いわゆる歪みと言いますか、そうしたいろんな所の是正と言いますか、いうところも調整をされたということで、若干各世帯によって異なると考えているところでございます。 そうしたものの中で国に保護基準の見直しを求めるべきというお話につきましては、本年7月に全国知事会を通じまして、セーフティネットとしての機能が十分発揮されるよう生活保護制度の不断の見直しを行なうように要望したところでもあり、今後も国に対して要望を行ってまいりたいとこういうふうに考えているところであります。
また生活保護受給の方の自動車の保有ということでございます。これにつきましては適正な運用を行うように、私ども福祉事務所等に対しまして徹底を図っているというところでございます。こうした保有の緩和につきましても7月に国に対して要望をしたところでございまして、今後も必要に応じて要望を行ってまいりたいと考えております。以上であります。
- 【和田議員】
- 車の保有についての緩和ということを求めていくということですけれど、適正な運用も県としてしっかりやっていただきたいと思います。
次に、下諏訪町では今年の灯油の値上がりと厳しい寒さに対して「福祉灯油券」を検討したが実現できず。低所得世帯、生活保護世帯には「福祉灯油券」にかえて、下諏訪町内で使える「生活応援商品券」の配布を行おうとしました。この商品券の配布に当たり、下諏訪町が福祉事務所に相談したところ、諏訪福祉事務所長名で6月19日付「下諏訪町が配布する商品券の扱いについて」という通知をだし、平成26年4月の保護基準の改定により消費税率の引き上げによる負担増への対応が既に行われているため、商品券は収入認定する。商品券5000円分については、消費税率引き上げに伴う負担増のために支給されるものであると認められることから、受領した場合には7月から11月までの5カ月間、分割して毎月1000円の収入認定を行い、生活保護費を1000円減額する。配布された商品券は必ず受け取り、7月中に収入認定申告書を提出すること。なお商品券を受け取らない場合、収入申告を行わない場合保護の変更をする。と記載があり、受給者の方は保護の打ち切りになるかと心配して共産党に相談がありました。
結局、下諏訪町は福祉目的で商品券を配ろうとしたことが、消費税対策と福祉事務所に受け取られ、これが収入認定、保護費の減額の扱いといわれたため商品券は断念しました。 この下諏訪町の事例について、諏訪福祉事務所から本庁担当課に相談されたが、あくまで消費税対策で「経済支援目的である」という指導をしたわけです。自治体の福祉目的でという意向を尊重してできるだけ実施できるように県はサポートすべきではなかったのか、健康福祉部長に伺います。
問題はその後にもおきました。実際には商品券が配られなかったにもかかわらず、福祉事務所は商品券が配られたと思いこみ7月分の保護費を1000円減額しました。この事実に気付いて諏訪福祉事務所が出した通知は、翌月の保護費を増額するという一遍のもので、謝罪の言葉もなく、7月中に返還することもしようとはしなかった。収入申請がないのに、勝手に収入認定をして保護費を減額支給しておきながら、翌月「増額」とはあまりにひどい話です。1000円減額は死活問題です。気が付いた時点ですぐに謝罪しながら返すのが当然のことです。この一連の事実に対して、県として改めて下諏訪町と受給者に対して謝罪すべきではないですか。健康福祉部長に答弁を求めます。
- 【健康福祉部長】
- それでは生活保護受給の方への商品券配布ということについてお答えいたします。下諏訪町が議員ご指摘の6月に計画しておりました、一定の要件を有する非課税世帯等への商品券の配布につきましては、これは生活保護世帯にも配布されるということをお伺いいたしまして、厚生労働省にも確認のうえ、目的や時期から収入認定の対象になるものといたしまして、事前に町とお話をさせていただきました。そうした中で、町の判断により商品券を配布する旨の連絡を受けましたので、収入認定をする事務処理を行ったものであります。
その後、この町の判断でございますが、配布を中止されたということのため、収入認定した金額を翌月支給することを、対象の世帯に通知をいたしました。それとともに、福祉事務所のほうでは担当する職員がですね、該当する各家庭につきまして個別に経過の説明を行いまして御理解いただくように努めてきたところでございます。こうした一連の手続きにつきましては、県としては生活保護制度に沿って対応させていただいたものと考えております。以上です。
- 【和田議員】
- 今部長から生活保護制度に沿ってとのことでありますけれども、結局下諏訪町は商品券を、高齢者、母子・父子家庭、生活困窮者には配りました。けれど、青木町長は思わぬ事態になり一番受け取って欲しかった「生活保護世帯には町の施策が届かなかった」と言われたそうです。今回の商品券は福祉灯油と同様の扱いで8000円までは収入認定除外規定が当てはまるケースとして、健康福祉部は生活保護世帯を応援しようとした下諏訪町の真意を汲んで対応すべきだったのではないですか。この点をどう考えるのかもう一度お答えください。
- 【健康福祉部長】
- 商品券配布についての再度のお尋ねでございます。議員今のご指摘のとおり、商品券の配布ということにつきましては、その目的等によって扱いが異なるということもございます。しかしながらいずれにいたしましても生活保護制度においては、関係法令を順守いたしまして公平な適用と言うことを努めなければいけないというふうに考えておりますので、そうしたうえで適正な実施をしてまいりたいというふうに思っております。以上であります。
- 【和田議員】
- 今回本当に心の無い対応だったと思います。国は、保護基準の切り下げにとどまらず、いわゆる「改正」生活保護法が施行され、生活保護の利用の抑制が強まるのではないかと危惧を抱いているところです。生活保護は最後のセーフティネットです。以後本当に心ある生活保護行政に努めて欲しいと思います。
2.生活困窮者自立支援事業について
- 【和田議員】
- 次に生活困窮者自立支援事業について伺います。 4月からパーソナルサポートセンターを4か所から6か所に増やし、委託先を労福協から社協に変えたのは、来年度から生活困窮者自立支援事業に移行していく過程でのことと思われます。その際に、委託先を変えても相談支援員の雇用の継続や、年度当初の事業を引き継では相談支援に空白期間が生じないよう体制を整えて欲しいと繰り返し要望してきました。知事も、PS事業による寄り添い型支援の要は相談支援員という認識を持ち、相談支援員の雇用継続を担当課に求めると公言しました。
にもかかわらず、事業の委託先が変更になることで雇用が継続できないのはやむを得ないと手のひらを返す結果でした。雇用の継続の約束は裏切られた思いです。今後、生活困窮者自立支援事業に移行するにあたり、県の責任を後退させることなく、今以上に自立支援の関係事業に本気で取り組んでほしいと思います。知事の決意をお伺いします。
- 【阿部知事】
- パーソナル・サポート事業でございますが、裏切られたという趣旨のご発言がありましたが、その発言は私は正直素直に受け取るわけには行かないなと思っております。担当課にはその旨伝えておりますし、担当課の方でもそうした趣旨はしっかり伝えていただいております。どうしても雇用の主体が変わるわけでありますから、すべて100%ということはなかなか行かないわけでありますけれども、極力雇用を継続していただくことができたと私は考えております。ここは見解の相違かもしれませんけれど、最大限ご努力いただいたということは、是非認めていただきたいと思います。 今年度のモデル事業、そういう意味で新しい体制となりましたけれど、出来る限り雇用継続していただいているわけでありますし、支援のノウハウ等も引き継いでいただいているというふうに考えております。私も現場の職員と面談しましたが、これまでの成果を活かしながら地域のボランティア団体あるいは民生委員の皆さんとも連携して、創意工夫により意欲的に取り組んでいただいていると心強く感じております。
来年平成27年度、制度改正があるわけでありますけれど、パーソナル・サポート事業の理念あるいはこれまで築いてきたノウハウ、こうしたことを着実に、市にも継承する中で県内全域で、生活に困窮されている方々に心のこもった支援が届くことが出来るように、市町村あるいは関係の皆さんと思いを共有してしっかりと取り組んで行きたいと考えております。以上です。
- 【和田議員】
- 知事がしっかりと取り組んでいただくということに大変期待をしております。また、4月当初から事実上相談事業が中断したセンターがあったことも含め、県の対応が現場を混乱させたと指摘をせざるを得ませんが、委託先が変わって半年経過しましたが、これまでの相談者への相談支援の引継ぎ状況はどうなっているか。又、新たな相談者への支援状況はどうなっているか健康福祉部長にお聞きします。
- 【健康福祉部長】
- それではパーソナル・サポートセンターの事業に対しましてお答えいたします。
パーソナル・サポート事業の委託先変更に伴います相談支援の引継ぎにつきましては、この3月までに相談者一人ひとりに対して、それぞれにお話をいたしまして、支援を継続させていただくかどうかというところで、意思を確認させていただいたところであります。 県下6カ所の生活就労支援センターでは、必要に応じまして本人と連絡をとり、生活状況などをお伺いするとともに、相談者がいつでも気楽に相談できるように配慮して対応に努めてまいりました。その結果8月までの5ヶ月で135名の方々に対しまして、今継続して支援を行ってきているところであります。またそれに加えまして8月末までに新たに486人の方から相談がございました。
各センターでは相談者ごとに自立支援プランを作成しまして、ハローワークの動向、企業の採用面接に向けた指導、住居を失った方への住まいの確保など、それぞれのご相談の方に寄り添いながらさまざまな支援を実施しているところであります。以上です。
- 【和田議員】
- ますますPS事業が必要になっているということが伺えます。派遣や期間工など人を調整弁にして、企業のもうけのために人をモノのように使い捨てにする、就労しても不安定、低賃金、企業は十分な研修を保障しない。仕事を失えば住むところも失う。年収200万円以下の働く貧困層1100万人のうち年収100万円以下の労働者は421万人にも上ります。劣悪な労働環境によってPSの相談者は人格を傷つけられ、すぐに就労につなげられない方が多く、相談支援だけでは不十分だと思います。ところが、国は生活困窮者自立支援事業のうち、相談支援事業は必須事業とするが、就労準備支援事業、家計相談事業、学習支援事業、一時生活支援事業は任意事業で必須事業の扱いになっていません。しかし、どの事業も必要ではないでしょうか。県はどう認識しているのでしょうか。
任意事業の中から実施する事業は自治体が選択するということでは、自治体ごとで格差を生んでしまいます。自治体ごとの特性・独自性などと矮小化することなく、すべて必須事業とするよう国に要望すべきではないかと考えます。 また、今回の委託先変更でも、相談支援員の身分が保証されず、相談を受ける側の雇用まで不安定だということが明らかになりました。自立相談事業を担う相談支援員の養成と身分保障が必要です。正規職員として人件費を保障することを国に求めるべきではないかと考えます。健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
- それでは、任意事業についてお答えいたします。生活困窮者自立支援法により制度化されました就労準備支援事業それから家計相談支援事業等の事業につきましては、議員ご指摘のとおり、任意事業ということでございますが、福祉事務所をお持ちする市や県そうした所が地域に特有の課題や社会資源の整備状況などそれぞれの実情に合わせて判断するということからと理解をしております。また本年5月には国に対しまして、2点これまで取り組んできた自治体の成果を反映して地方の実態や利用者の状況に応じた柔軟な運用が可能なものとすることですとか、就労準備支援事業等の任意事業についても必須事業に準じた国庫補助率とするよう検討すること、こうしたことを要望いたしましたが、県および市が積極的にそれぞれの事業に取り組めるよう引き続きそうした要望をしてまいりたいと考えております。以上です。
- 【和田議員】
- 今相談支援員の身分保障のことは答弁がなかったように思いますが、ご答弁をお願いいたします。
県がパーソナルサポート事業と絆再生事業を拡充してきたことは、とても大事なことだと思います。先ほど就労準備支援事業、家計相談事業、学習支援事業、一時生活支援事業を必須事業に位置付けるよう求めましたが、これは県がすでに絆再生事業にとしてその具体的な事業活動はされてきました。絆再生事業は県下10箇所で、反貧困ネットワークなどで年間を通して相談会や支援物資の配布活動。年末きずな村の活動、子ども達の無料学習支援活動もしています。さらに長野では里庵という居場所ができ、毎月延べ200名を超える利用者があり、遊休地でコメ作りに挑戦したなど多面的な活動に発展しています。無料塾もサポーターの協力で毎月継続しています。絆再生事業によって大きな絆ができてきました。その中で、引きこもっていた人が就労の面接に行けるようになりました。絆再生事業は大きな役割を果たしております。来年度以降も継続していくべきだと思います。健康福祉部長にお聞きします。 また県としてはパーソナルサポート事業を、平成27年度には実施主体が福祉事務所設置自治体に設置義務になるため、県および19市で実施するということになるわけですが、19市で均等なサービス提供は容易にはできないと思います。今後事業における県の役割をどう考えているのか伺います。
また寄り添い型のPS事業でしっかりサポートして自立につなげていくには、NPO、民間支援団体、企業や行政などの協力が必要という認識で、県は連絡会をひらいているわけですが、今後県と19市へ移行していくにあたっては、いままでの連絡会を核に広域的なネットワークの構築が必要になると考えます。県が責任をもってネットワークを構築して、コーディネートは県が担っていくべきはないでしょうか。そのために県は人的な配置をすべきと考えます。健康福祉部長にお伺いします。
- 【健康福祉部長】
- それでは失礼いたしました。支援員の育成それから正規職員の配置というところからお答えをさせていただきます。さまざまな課題を有する生活困窮者に対しましては、包括的かつ継続的支援を適正に行うということが必要でございまして、専門性を有する支援員を持続的に育成していくということが、私どもにおいても重要だと考えております。 そこで今年度から当分の間、国が計画的に研修を実施するということとしておりますのでこれを活用するということで支援技術の着実な向上ということを図ってまいりたいと思っております。また本年度のモデル事業を行いました中で、委託先において正規職員ですね、組織の中核に据えました相談態勢を整備したというところで一人ひとりに寄り添っていって、先程も申しあげました包括的継続的な支援をおこなうように努めているというところでございます。
県といたしましては来年度以降も委託先の団体に対しまして、同様な体制で事業を執行できるということを求めてまいりたいと思っておりますし、国に対しては必要な人件費の確保など支援を要望してまいりたいと思っております。 また絆再生事業の関係でございます。絆再生事業は不安定な就労、居住環境にある方などに対しまして、安心して過ごせる居場所の提供ですとか生活・就労相談を行なう取組を支援するものでありまして、本年度は県下7団体に対して補助を行っているところであります。この事業は生活困窮者に対する支援等の1つとして考えているわけでありますが、国の予算編成の動向等ございますので、そうしたものを見極めながら来年度以降の実施について検討して参りたいと考えております。 また来年度以降の県の役割ということでございます。町村部における自立相談支援事業というのは県が行うということでございます。また市の取組に対しては必要な助言、情報の提供を行なっていくとこういうことであります。我が県では昨年度まで3年間は県が取り組んでまいりました。また本年度は県と6市が主体となってモデル事業を推進してきているというところの中で、ノウハウとか経験というのは蓄積したところでございます。こうした成果は県として研修や支援調整会議などの参加も通じまして各地に対しても継承されまして、どこにおいても身近な地域で一定水準のサービスが受けられるようになる、そうした体制作りに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
また関係機関のネットワークの構築ということでございます。ご指摘のとおり県では多くの関係機関との連携・協力が必要であると考えておりまして、県下全体および県下6地区の福祉団体、経済団体、NPO、行政機関などで構成します事業連絡会を設置してネットワークを構築しているところだと、これを支援に生かしていくというところでございます。これにつきましては来年度以降におきましても、こうした構築が更に着実に円滑に進むように私どもとしては積極的な役割を果たして行きたいと考えております。以上であります。
- 【和田議員】
- 今までの県の取り組みで、生活困窮者自立支援事業の先進的モデル的な取組が各地で行われている。その各地の取組をしっかりと県がつかんで、県が来年度以降もイニシアを発揮しなければ生活困窮者自立支援事業は進みません。是非その点で県もその役割をしっかりと果たしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
3.子どもを性被害から守るための県の取り組みについて
- 【和田議員】
- 最後に、子どもを性被害から守るための県の取組みについてお伺いします。知事にあてて「子どもを性被害等から守る専門委員会」や県青少年育成県民会議から検討した結果の報告書が提出されました。これを受けて知事は条例制定の検討も含めて9月25日に「子どもを性被害から守るための県の取組み(案)」を公表しました。このなかで、予防・被害者支援・県民運動の再活性化の3つの取組みを早急に実施するとしています。
子どもの性被害は、大人社会のモラル、更に、こどもを性の対象にする、商品化するという点で日本が欧米各国と比べ異常な環境だという認識を持って、早急に県民参加で3つの取組みを実施してほしいと思います。
まず、学校での性教育について伺います。小学校から発達段階にあった性教育をするため、教育委員会が独自のテキストを作成したということですが、その中でいのちの大切さを教え、こどもたちは自分を大事にすることを学んでいると思います。性教育の具体的な充実について教育長に伺います。
- 【教育長】
- 学校におきます性についての指導についてお答えいたします。学校におきます性に対する指導については、生命や自己および他者の個性を尊重するとともに、相手を思いやり望ましい人間関係を構築する力をつけることを重視していることろであります。具体的には、今年3月に策定をいたしました「性に関する指導の手引き」のなかでも、具体的な指導事例、指導方法等を示しながら、こうした点につきしっかりと保健の時間等で指導が出来るよう充実をしているところであります。
またいのちの大切さにつきましては、道徳に時間においても生命の尊さを理解し、かけがえの無い自他の生命を尊重することを学ぶことを重視をしてございまして、文部科学省が策定をいたしました「わたしたちの道徳」等の中でも生命を考えるということでさまざまな教材の提示、またこれまでの生活を振り返ることによっての「気付き」、こういった観点からその指導に当たることとしているところでありまして、保健の時間はもとより、学校の教育活動全体を通じ、指導の充実に努めているところでございます。
- 【和田議員】
- 県教育委員会が独自に作成した「手引き」については、お伺いしたときには各学校に1冊とのことでありましたが、これは使う方、先生一人ひとりに届くようになっていると思いますが、一層充実をしていただきたいと思います。 次に県内には退職後の養護教諭のみなさんが「まちの保健室」を開いて、様々な相談を受けてくださっています。深刻な性被害に至る前に身近に相談できるところとして、地域でがんばっておられます。また、長野県はこれまでも県民運動で頑張ってきた経過があります。これを再構築し充実、活性化させていけばよいのではないですか。
また淫行処罰条例でなければ対応できない事例というのはどういうものなのか。厳罰化で果たして被害がなくなるのか、現行法でも性犯罪を取り締まり、逮捕や処罰ができるにもかかわらず、処罰規定を盛り込む県条例の必要性はないと思いますが、知事に伺います。
- 【阿部知事】
- 子どもを性被害から守るための取り組みについてでございます。
まず「町の保健室」といった地域社会の取組があるということでございますが、私ども今回県としての取組の案をまとめさせていただきました。まず基本は被害にあい苦しみ精神的に傷ついている子どもが存在しているという現状から対策を考えていこうというものであります。今回の取組案の中では、予防、被害者支援、そうしたことに加えて県としての県民運動の再活性化への支援ということも早急に取り組む必要があると考えています。
私は本県の青少年健全育成、これまでもそうですし、これからも県民運動を基盤として取り組んでいく必要があるというふうに考えております。しかしながら先程お話がありましたが、日本は異常な環境だというご趣旨でご発言いただいたわけですけれど、私も条例をつくるということが前提にして議論をしていこうというふうには考えていません。子どもたちを性被害から守るために何が必要なのかということを考えるなかで、現行法で対応できない事例、これ現行法で対応できるかできないかというところが、たぶん共通に認識をですね、しっかりと持つことなしには次の議論にたぶん進まないのではないかというふうに思いますけれども、今回県として取りまとめたものでも、必ずしも子どもたちが傷ついている案件すべてが現行法で対応できるわけではないのではないかというふうに考えております。ここはしっかりとコンセンサスを作っていかなければならないというふううに思っておりますし、また私たちは子どもたちが実際に悩んでいる、精神的に大きな傷を負っていると、そういう現実を重く受け止めて、そこから具体的な行動を考えていくことが必要だと思います。とかく「マルかバツか」みたいな話になってしまいがちなところがありますけれど、そういうことではなくて本当に県民の皆様方を含めて幅広い合意形成をしていくことが重要だろうと思っております。県民運動の再活性化、早急に取り組んでいきます。 そして条例の話については、これはまず条例ありきではないということで皆さんと一緒になって考えていかなければいけないというふうに思っています。ただ、構成要件をどこまで明確化できるか、自由な恋愛まで規制することにはならないのかといったようなことがありますので、条例化ということの前にですね、やはり幅広い合意形成が必要だろうと思っています。十分かつ慎重な検討をおこなった上で、県民の皆様のご意見を伺い、最終的にその是非を判断していきたいと思っています。
ただ具体的条例のイメージ、案というものがなければどうもこの話は議論になっていかないなと思っておりますので、そうしたことも含めて今後考えていくことが必要だろうと思って降ります。以上でございます。
- 【和田議員】
- 知事のご答弁の中で、特に前段、子供たちが性被害にあい深い傷を負っている現状から取り組んでいく、知事がそのことに心を寄せているということには、私たちも県民も思いを共有できるわけであります。ですから是非とも幅広い合意を形成していく、県民運動の活性化に向けて知事に頑張ってほしいということを要望いたしまして、一般質問を終わります。