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議会質問

2014年9月定例会 高村京子議員の一般質問と答弁

  1. 「医療介護総合確保推進法」に対する県の対応について
  2. 国民健康保健制度の課題について
  3. 子ども子育て支援新制度の取り組みについて

1.「医療介護総合確保推進法」に対する県の対応について

【高村議員】

 御嶽山の噴火によりまして犠牲になられた方々に心からのお悔やみを申し上げます。

 「医療介護総合確保推進法」に対する県の対応について伺ってまいります。

今年度成立した「医療介護総合確保推進法」は、医療や介護保険制度を大きく再編する内容であり、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて入院ベッド減らしや、介護施設抑制を本格化させる大変革の内容を含んでいます。今まで受けられたサービスが受けられなくなる一方、保険料や利用料の負担を増やすことや、病院から施設へ、施設から在宅へと流れを作り、加齢による身体の不自由・認知症などの不安の中にある高齢者に、在宅での自立を求める内容が打ち出されています。来年度4月からの制度改編の実行が求められ、さまざまな計画の策定作業の渦中にあり、医療・介護・福祉の制度を利用する方々や、事業者・市町村など関係する皆さんに先が見えない不安をもたらしています。

(1)まず介護保険制度の変更について、健康福祉部長に伺います。

来年から要支援1・2の訪問介護と通所介護が全国一律の介護保険から外され市町村主体の独自事業に移行されます。介護保険本来の理念である介護予防や生活支援が、財源も縮小され体制の弱い内容となり市町村によって違いが出ることになります。現在、要支援1-2の方は約2万5千人、このうちの3分の一に当たる約9千人が訪問介護・通所介護を受けています。この皆さんの受け皿となるサービスはどうなるでしょうか。また実施主体となる市町村の受け止めや準備状況はどうでしょうか。

もう一点は、現在要支援者・要介護者を支えている訪問介護・通所介護の事業所・施設から要支援の利用者は外されることにより、利用者が減ることで経営的にも苦しくなり、事業所の縮小や閉鎖等の心配はないでしょうか。県が認定する事業所が減ることで要介護の人々の利用にも影響は出ないのか。要支援の利用者約9千人の給付額は約44億円ですが、市町村でのサービスに移行となるとこれらの財源はどうなるのか。

この2点について健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

地域医療介護総合確保推進法に対する県の対応について2点お答えいたします。制度改正後も訪問看護や訪問リハビリ等は予防給付として残るほか、市町村の地域支援事業に移行する訪問介護・通所介護につきましては訪問型や通所型のサービスとして受け取ることになるということでございます。

市町村でございますが、早いところは27年度から、遅くとも29年4月から、この訪問型・通所型のサービスとともに生活支援サービス等を提供する介護予防日常生活支援総合事業を開始すべく準備をしておるということでございまして、それぞれの開始年度もございますので、そうしたものに向けて進められているというふうに承知しておるところです。

またこれらサービスの提供でございますが、市町村窓口において利用者が介護サービスと同様に利用を申し込みまして、サービスの利用者に該当するかどうかの判定を経て地域包括支援センターのケアマネジメントを受けた上でサービスの提供を受けることとなっております。

また、事業の財源が保障されるのかとのご質問でございます。市町村の地域支援事業は、介護保険制度の枠内で行われており、現在保険給費の3%以内が事業の上限とされていますが、今回の制度改正により、先程申し上げました総合事業においては、訪問・通所型のサービスに要する費用も賄えますように前年度の実績に75歳以上の高齢者の伸びを乗じたものが上限とされました。

この総合事業は、国の負担に加え、県の12.5%の財源負担により財源構成されており、こうした財源保障の枠組みによりまして市町村ごとの事業規模は確保されていると考えております。今後市町村がサービス提供体制を整えるなかで、事業者、NPOなどのサービスの担い手が切磋琢磨することにより、全体として介護サービスの向上につながりますよう、県としても情報提供や助言等必要な支援をしてまいりたいと考えております。

【高村議員】

木曽郡では、専門職からボランティアまで人材不足の上、NPO等の団体もなく、多様なサービスを用意することは困難と対応に苦慮されています。

また要支援の高齢者を受け入れている施設では約2割の方が今後3年以内に市町村事業に移行され利用できません。施設長さんは「施設運営の財政的な不安もあるけれども、一人暮らしも多く、買い物や洗濯、入浴介助ができなくなればこの方々が自宅で安全な生活ができるのか心配です」と言われます。

県はこの市町村や事業所の思いにどう寄り添うのか、再度健康福祉部長に伺います。

(2)次に、65歳からの障がい者福祉から介護保険サービスへの移行についてです。

障がいを持つ人が65歳になると障害福祉のサービスから介護保険のサービス利用を優先することとなっています。しかし障がい者への支援は、個人によって必要とされるサービス内容は様々です。日常的な生活環境整備から専門的なヘルプまで幅広い支援が必要とされます。介護保険では、サービス内容や時間が制限され、その上福祉サービスより高額な一割の利用料の支払いが求められます。今までのサービスが受けられずに、安定した生活が維持できない事態も現に発生しています。

<全盲のSさんの訴えです。>

光も見えない全盲の75歳のSさんは、今一人暮らしです。障がい者福祉によるホームヘルプサービスを長年にわたって受けることができ、結婚子育ても仕事も定年まで勤め上げることができました。しかし65歳になったとたんに介護保険が優先され、生活支援が週二日半日から2時間に制限されてしまいました。庭の草取りやシーツ交換など目が見えないために生活環境を整えてもらうことが欠かせません。昨年まで要介護1だったのに、今年から要支援に認定され、一日一時間週3回、つまり一週間に8時間から4時間に制限され、そして要支援になることで一週間に3時間、このサービスへと縮小されてしまいました。してほしいことの半分しかしてもらえなくなったわけです。来年からは要支援が市町村事業となり、さらにサービスが縮小されれば、安全安心の生活ができなくなるのではと大きな不安を抱えています。

この現状についてどうお考えでしょうか、健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

サービスに若干地域差があるということで、利用者に寄り添っていくのかという再度のご質問でございます。ご指摘のとおり、地域によりやはりまだサービスの提供体制というのは大きく異なるというふうに私どもも認識しております。私ども県といたしましては、それぞれの地域でより水準の高いサービスが受けられるように利用者に寄り添って対応してまいりたいと考えております。

65歳以上の障害者にかかわる介護保険サービスの移行についてお答えいたします。

この制度は、ご指摘のとおり、65歳になった障害者がサービスを利用する場合、訪問ヘルプなど、障害福祉と介護保険に共通するサービスは介護保険が優先して適用されるというものですが、障害福祉固有のサービスや介護保険だけでは必要なサービス量が確保できない場合などは、引き続き障害福祉のサービスが利用できる仕組みとなっています。その場合、適用するサービスの特定は市町村がおこないますが、そうした時にも利用者の心身の状況や意向を把握した上で、利用者が必要としている支援内容を適切に判断することが求められており、これまで県では市町村に対し、利用者の状況や意向などを踏まえて制度の適切な運用について周知を図ってきたところでございます。

介護保険サービスを利用した場合、所得区分に応じた自己負担が生じることとなりますが、これについてはさまざまな議論があることは承知しております。そこで国では、障害者総合支援法の附則において平成28年4月を目途に高齢者の障害者に対する支援のあり方について検討することとしておりますので、県としてはまずはこうした動向を注視してまいりたいと考えています。

またご指摘のとおり、障害者が65歳以上になったとき、介護保険事業者のヘルパーに変わる場合もありますが、こうした場合でも引き続き同様のサービスを受けられるよう、県では介護職員の初任者研修を通じて障害の特性の理解促進ですとか、介護技術の向上に努めているところでございます。これらの取組を通じて、県としては障害者の方々が何歳になっても安心して必要なサービスが受けられるように努めてまいります。

【高村議員】

 障害の実情や本人の希望によって選択でき、障害と高齢化による介護と福祉の両方が受けられて初めて高齢障がい者の生活の安定が図れます。

県は平成28年を目途にこのサービスがしっかり受けられるよう改善策を講じていただきたいと思いますが、もう一度健康福祉部長に伺います。

(3)次に特別養護老人ホーム入所についてです。

現在でも県内で約5千人が特別養護老人ホームの入所を希望し待っておられます。現在この方々すべてに特養入所を保障しなければなりませんが、できない現実です。国はこの切実な問題を解決をするどころか、要介護度3以上でないと入所資格がないことにしました。現在の要支援1・2の特養待ちは1672人34,4%になります。この方々の入所介護に対しこれからどのように対応されるのか健康福祉部長に伺います。

県独自にも市町村との協力のもと、特養など施設整備状況は、今年度1万1035が定員です。いっそうの充実を求めます。この計画はどうなっていますか。

制度改正の中でも特別な事情の要介護者については「特例入所」として特別に入所を可能としています。市町村と施設との協議を行い長野県として独自にも「特例入所」の考え方を強く打ち出し図るべきではないでしょうか。

今後の介護施設についてどのような計画を持つのか、合わせて健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 28年を目途にどのようにという再度のご質問でございます。

私どもとしましては、これは障害者福祉の関係、介護保険の関係、様々な経緯を経て今の制度になっていると考えておりまして、これに対する考え方も様々あるということでございます。こうした論議を十分それぞれに耳を傾けながら、国の動向も注視しながら、私どもとしても考えてまいりたいと考えております。

次に、特別養護老人ホームの待機者の関係についてお答えいたします。

代表質問におきまして両角議員の質問に知事からお答えいたしましたとおり、要介護1・2の方につきましては施設の判断により引き続き特例的に入所できることとされている。この関係につきましては、軽度の要介護者が制度改正により一律に排除されるものではないということでございまして、それぞれ要件が定まっておりますので、この適切な運用を図るように私どもとしても支援してまいりたいと思っております。

また特別養護老人ホームの増設は、現制度においては介護保険料の上昇につながるものであります。また、2025年以降は高齢者人口が減少に転じるとの推計もございますので、そうした様々な視点から特別養護老人ホームの増設を検討する必要があると考えてございます。

県としては施設と在宅のバランスのとれた整備を進めるということが必要と考えておりまして、特別養護老人ホームとともに、グループホーム、あるいは小規模多機能型居宅介護事業所などの整備について、ただいま策定を進めております第6期高齢者プランの中で方向を定めてまいりたいと思っているところでございます。

【高村議員】

日常的に健康と安全が守れない事態の特別な事情があるから特養入所を希望しているのであり、ほとんどの方が特別な事情と判断すべきです。要介護1・2の方々は、入所資格からも外され可視化できない事態となるのではないでしょうか。介護難民など高齢者が社会の中で漂流し最悪の「孤独死」などの事態を発生させない取り組みを求めておきます。次の第6期の介護保険計画にこのような視点をしっかり組み入れていただきたいと思います。

(4)介護保険料は改定ごとに値上げされ、今回の改定で、2割の利用料負担を求められる人もでます。年金額は年ごとに削減され消費税も8%へ増税されました。次々に負担を増やす一方で、サービス内容は大きく縮小する方向です。

高齢者と家族の不安に寄り添わず、現実を見ないこのような制度について、早急に介護水準が保てるように抜本的な見直しを国に対し強く意見を言うべきではないですか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 制度改正に対します県の対応ということでございます。国では、消費税の引上げを、社会保障制度の安定財源を確保するために用いることとしておりまして、その中で病床の機能分化及び連携、地域包括ケアシステムの構築といった医療介護の充実を図るとしております。

県としては、県民の皆様が地域に安心して住み続けられるよう医療福祉の充実に向けてこうした財源を活用してまいりたいと思います。

また県では本年5月にも国に対し、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、さらなる国庫負担を充実することを求めるとともに、サービス利用者が継続して支援を受けられるような十分な経過措置を設け、安定的な財源措置を講ずるよう要望したところでございまして、今後とも必要に応じて国に対して要望してまいりたいと思っております。

【高村議員】

今進められている医療介護総合推進法は、国の財政負担を縮小し、多くの県民に不安をもたらしています。長野県は、きっぱり立ち向かっていただきたいと思います。高齢者の安心安全を脅かし、NHKでも社会問題として報道されているように「介護難民や漂流高齢者」を増やし悲惨な事態を出さないために、一人一人の高齢者に光を当てた対応をしてください。県としても独自の支援を検討すべきと考えますが、再度健康福祉部長に伺います。合わせて知事にも伺いたいと思います。

(5)次に地域医療について、健康福祉部長に伺います。

国民総医療費の削減のために、都道府県には、「病床機能報告制度」と「地域医療構想」の作成が義務づけられました。都道府県の責任による病床の再編削減策の具体化を進めこととされました。初めて医療機関に義務づけられた「病床機能報告制度」とはどのようなもので、この報告をどのように活用するのでしょうか。

また、県はこの医療機関から出された報告を集約し「地域医療構想」を策定されることと思いますが、現状は、医師や看護師の不足のために病床が稼働できない医療機関もあることや、がん・心臓・脳の三大疾患に対する専門医療やお産ができる施設の充実が求められ、地域医療の現状はまだまだ充足にはほど遠い現実があります。このような課題をどのように受け止め対応されるのでしょうか、国の言うままに病床の削減をしないことを求めます。以上2点について健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 県による独自の支援をすべきとの再度のご質問でございます。県としては、県単独自業により高齢者の多様なニーズに応えられるよう、広域型特別養護老人ホーム等の施設整備の支援や県社協に配置したキャリア支援専門員による事業所と求職者のマッチングなど、人材の確保・養成に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に病床機能報告制度でございます。病床機能報告制度は、医療機関の有する病床が担っている医療機能の現状と今後の方向性について、病棟単位を基本として都道府県に報告する制度となっております。報告内容につきましては、現在担っている病床機能と6年後に予定している病床機能の他、具体的な医療内容、医療従事者数や医療機器等の保有状況、入院患者数などです。

報告内容につきましては、地域の医療機関が担っている医療機能の把握・分析を行い、その結果について、2025年における二次医療圏ごとの医療需要と各医療機能の必要量を示す地域医療構想の策定において活用してまいります。

病床の削減等についてでございます。県におきましては、将来目指すべき病床数はこれから策定いたします地域医療構想により定めるものと考えております。本県といたしましては今後構想の策定に際し、必要病床数、病床構成について具体的な検討にあたっては広範な関係者の合意形成を図るなど、慎重に進め、地域の側に立って地域の事情に配慮したものとするよう努める所存でございます。

【阿部知事】

 小林健康福祉部長から縷々(るる)ご答弁させていただいていることに関連して私の見解もというご質問だと思います。今、高齢者の皆さん、障害者の皆さん、介護保険その他の制度のなかで県・市町村応援をさせていただいているわけでありますけれども、やはり国の制度に単純に従っているというだけで本当にいいのかという視点をやはり我々もしっかり持つということが重要だと思います。どうしても国の視点は持続可能な国の財政運営ということに行きがちであります。私は国の責任としては当然それは必要な視点だと思いますが、他方で我々住民に近い都道府県あるいは市町村は、やはり一人ひとりの実態というものもしっかり受けとめて、きめ細かに対応していくことが求められていると考えています。

 そういう観点で政府、国に対しては、しっかりと現場の声を伝えていくということが大事だと思っておりますし、県も限られた財政ではありますけれども、必要に応じてきめ細かな支援を行っていくという観点で、主体的に政策を考えていくということが重要だと考えています。

今後も、高齢の皆さんあるいは障害者の皆さんの思いにしっかりと寄り添いながら、県政を進めていきたいと考えております。

【高村議員】

 ただいま知事からは、国の制度に単純に従うのではなく、市町村とともに一人ひとりの実態に対してきめ細かな対応をしていくと、財政的にも厳しいが主体的に取り組むとご答弁をいただきました。

(6)そこで知事に伺います。

知事は「スタートダッシュ・アクション7」で「医療提供体制強化のための基金」として、在宅医療の推進を掲げておられます。

この基金で具体的に何をどのように向上させるのでしょうか。

また、一人暮らしや高齢者のみの世帯などが今後ますます増加する中、国がめざす病院や施設から在宅へ、療養病床の削減計画も掲げる中、在宅医療強化のみのアクションだけでいいでしょうか。県の責務として、病床施設整備と在宅医療の両方の体制を整え地域医療の充実を図るべきと考えますが、知事に地域医療の現状と課題について、また、対応について伺います。

【阿部知事】

 地域医療の推進についてのご質問でございます。

ます、医療提供体制強化のための基金の新設による在宅医療の推進についてご質問でございます。今後、高齢化が進んで、医療需要が増大していくなかにありましては、限られた医療資源を効率的かつ効果的に投入すると。あわせて可能な限り、患者の皆様方が住みなれた場所で療養できる環境を作っていくことが重要だと考えております。

こうした観点から、今年の9月にスタートダッシュ・アクション7を発表いたしました。まず着手する施策の1つとして、この基金を活用して訪問診療を担う医療機関を増やす等、在宅医療の推進、そしてマンパワー確保の支援ということを掲げたところでございます。

今後新設いたします、この地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、在宅医療を担う医療機関の運営の支援、そして訪問看護師を養成・育成するための実務研修の実施、病状急変時に円滑に入院できる病院の病棟整備支援等を計画しております。こうした事業によりまして、円滑に入院から在宅への以降が図られ、24時間体制で患者の皆さんが望む在宅での療養あるいは看取りが可能な体制が構築できると考えております。

現在約20%という在宅の看取り割合、これは全国でもトップクラスでございます。この割合をさらに高めて、団塊の世代の皆さんが75歳となる2025年の段階においてもこの最も進んだ水準を維持していきたいと考えています。

それから、地域医療の課題と対応ということであります。本県におきましては平成24年度、全国に先駆けて電子レセプトデータによります疾病事業ごとの二次医療圏分析を実施しております。この結果に基づきまして、ガン・脳卒中・急性心筋梗塞等の標準的な医療提供体制がなお十分確保されていない二次医療圏の状況を把握した上で、こうした脆弱な二次医療圏の体制強化、政策の中心に据えてきております。

こうしたなかで今回新設しようと考えております基金の県計画案のなかにも、脆弱二次医療圏、三次医療圏の医療提供体制の強化というのを長野県独自の柱として設けております。大北医療圏あるいは北信医療圏等におけますガンの医療機器整備などを盛り込んでいきたいと考えています。

今後この基金を活用しながら、在宅医療の充実とともに県内の各医療圏におきます医療提供体制の強化を図っていきたいと考えております。

【高村議員】

在宅体制だけではなく医療体制双方の充実策を求めておきます。

2.国民健康保険制度の課題について

【高村議員】

次に、現在の国民健康保険が抱える課題について伺います。政府は、国民健康保険の都道府県単位化へ移管する法案を来年通常国会にかけようとしています。県は、国保の広域化計画については、慎重な対応を国に求めてきました。引き続き県として従来の姿勢を堅持し、現在の国保が抱える課題解決に市町村と連携してゆく必要があると思います。

非正規雇用や失業・農家や自営業などの困窮世帯も増えている中、保険税の高騰がすべての市町村で大きな課題になっており、「払いたくても払えない保険料」となっています。滞納世帯も増え昨年6月で4万670世帯で加入世帯の12、5%です。19市で最高額の上田市では所得150万円の子供一人の3人家族でなんと年間所得の18%にもなる27万5千円の保険税です。一番低い伊那市でも21万7千円で所得の14%です。19市の平均は年間収入の約16%にもなっています。保険税を払ったら医療にかかれない保険税額となっているわけです。市町村ごとの保険料の格差も大きくなっています。

短期保険証の発行は1219世帯で滞納世帯の約30%にもなっており、窓口預かり置きの実態、2011年には3925世帯が発生しています。国民皆保険制度として、国民すべてが保障される命のパスポートが公布されていない人がいることは制度違反の大問題です。このことを県はどのように認識し対応されているのか伺います。

収入状況に応じた保険料分割相談や生活相談へと親身になっての相談の強化も必要ではないでしょうか。県はどう認識され対応されますか。

県内35の市町村では独自に、一般財源からの法定外繰り入れ合計金額約26億千200万円余などの努力をしています。県は保険料の安定化のために市町村支援をしているでしょうか。していればその額はいくらでしょうか。

以上、保険料の高騰の問題・短期保険証や保険証未交付・県独自の支援3点について健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 国民健康保険の関係3点のご質問でございます。

国民健康保険におきまして、低所得等の事情がある被保険者に対しましては、保険料の軽減措置等が講じられております。また、特別な事情などにより保険料や一部負担金を支払うことが困難となった被保険者からの相談が市町村、福祉事務所などに合った場合の対応でございますが、必要に応じて保険料や一部負担金の減免制度あるいはご指摘のような生活保護制度などについてきめ細かな相談対応と制度の周知を図るよう、市町村にこれまでも助言を行なってきたところでございますが、引き続きこうした対応につきまして助言をしてまいりたいと考えております。

次に保険証の交付の関係でございます。保険料の滞納世帯に対して、市町村窓口における納付相談の機会を確保するためということで、短期被保険者証を交付しているところでございますが、ご本人がすぐに取りに来ない場合、市町村が一旦預かり置きをしております。短期被保険者証はご本人が窓口にお越しいただき納付相談等に応じていただければ速やかに交付されるべきものでございますので、そうした預かり置き期間が長期間に及ぶことは望ましいことではないと考えておるところでございます。引き続きこうした考えのもと、市町村に対して助言を行なってまいります。

県としての市町村国保に対する支援の関係でございます。県におきましては、国と協調して本年度は調整交付金や低所得者支援策、高額医療費対策などで、約161億円を負担して市町村国保の安定的な運営を支援しております。

【高村議員】

 保険証を窓口に留め置くということは大問題です。おいでにならない方があったら、滞納世帯があったら国保の担当者はそこへ行ってそして状況を見て、すぐにでも相談にのっていくということをする必要がありますし、長野県の独自支援ということは為されていないと思います。法定の、決められた国の基準による支援を行っているということであって、県独自の支援というのはやっていただいていませんが、そういう認識でいいでしょうか。

根本的な問題解決には国の財政負担の拡充が必要です。県はその点で国に対し意見を言ってきていますが、来年広域化法案が国会に出されると予測されている今、さらに強く国に求めるべきと考えますが、知事いかがでしょうか。

また県独自の国保料金、国保税の安定化のために補助支援をすべきです。知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 国民健康保険制度の安定策についてのご質問でございます。

国民健康保険、わが国の国民皆保険制度の基本でありますし、この保険制度については国の責任において将来を見据えた持続可能な保険制度としていただくことが必要と考えています。

実際の運営主体は市町村でありますし、これは国の制度でありますので、県の立場は非常に中途半端な状況だと思っております。そういう意味で、何となく県が腰が引けている感じで見えがちですが、これはやはり、基本的に構造的な国保が抱えている問題を国が解決することなしに、単純に多少県が財政支援をしてどうこうなる程度の問題ではないだろうと考えています。

この問題については知事会等を通じて、そうした発言を知事会の場でも私しておりますし、知事会からも国に対してそうしたことは伝えてきております。そういう観点でまずは、国の責任において国保が抱えている構造的な問題をまずはしっかり解決もらうということが重要だと考えております。

【健康福祉部長】

 県としての市町村国保に対する支援の再度のご質問でございます。

 先ほど申し上げましたとおり、県におきましては国と協調して約161億円を負担し、市町村国保の安定的な運営を支援しているところでございます。

【高村議員】

 大変厳しい国保税の高額化が現実問題です。ぜひ県としての独自の補助金、支援策を検討すべきと言わせていただいておきます。

3.子ども子育て支援新制度の取り組みについて

【高村議員】

県と市町村は来年度4月からの新制度によって保育園の認定や運営基準の条例制定などを急ピッチで進めなければならない時期となっています。

県は「幼保連携認定こども園」、市町村は家庭的保育事業の許認可などの条例を整えなければなりません。長野県は、新制度の「子ども子育て支援事業」の全体像をどのようにとらえていますか。大きな方向として公的保育から民間企業への受け皿を増やし、自治体が責任を持つ保育から個々契約の企業的保育に変質されてゆくことが危惧されます。

(1)県はこの新たな子ども子育て新制度についてどのような認識をお持ちでしょうか、まず県民文化部長に伺います。

【県民文化部長】

 子ども子育て支援新制度の認識についてのお尋ねでございます。

 この制度は、子ども子育て支援の量と質をこれまで以上に充実させるということで、国と都道府県、市町村が連携して取り組もうとするものでございます。これは、社会全体でそれを支える仕組みを構築するという姿勢が強く打ち出されたものであると認識しておりますので、実施主体は市町村ということになりますけれども、県としてもしっかりバックアップしていく所存でございます。

【高村議員】

(2)「幼保連携認定こども園」は、事業者と保護者との直接契約となります。市町村の保育実施義務が形骸化される危険があります。教育と保育が合体して、保育現場に混乱が生じることが危惧されます。

一学級の幼児数は基準では35人以下となっていますが、長野県では小中学校で35人以下学級を実施しており、国の基準はあまりにも現実から乖離しています。特別支援が必要な子ども、幼少期にふさわしい学級編成となりますように学級編成の人数を縮小していくという努力が求められます。また食事はすべて自園給食に、園舎は2階以下とするなど、保育環境の向上を図るべきと考えます。

現在パブリックコメント中の「幼保連携認定こども園の条例案」について県民文化部長、ご説明ください。

(3)学童保育の設置基準が国において示され、加えて児童福祉法の改正により小学校6年生まで対象となりました。学童保育の運営は大変厳しく過密化などの実態にあり、指導員も劣悪な処遇におかれています。現在の学童保育の現状が果たして改善が図られるのか県民文化部長に伺います。

【県民文化部長】

 2点ご質問ございました。

まず、幼保連携型認定こども園にかかる県の独自基準というお尋ねでございます。

本県では現行の認定子ども園の、認定の要件に関する条例におきまして、1学級の子どもの数を、国の基準では35人以下としておりますところを30人以下としております。子どもの安全安心な保育環境の確保という観点から、このように国の基準を上回る基準をもうけたところでございますけれども、基準の設定にあたりましては、事業者側の施設整備でありますとか職員配置などの負担にも大きな影響を及ぼすということから、そのあたりも考慮する必要があると考えております。

そうしたことも考え合わせまして、県といたしましては国を上回る現在の独自基準を維持してまいりたいと考えておりまして、現在パブリックコメントしております、幼保連携型認定子ども園の基準につきましても1学級30人以下という案でお示ししているところでございます。

次に学童保育の改善というお尋ねでございます。放課後児童クラブ、いわゆる学童保育の設置・運営につきましては、県が作成した手引きによりこれまで実施されてきたわけでございますけれども、来年度からの子ども子育て支援新制度の実施にあたりまして、その設備でありますとか運営に関しては市町村が条例で基準を定めることとなっております。これによりまして、国の基準はあるものの、一定程度市町村の実情に即した運営ができるようになりまして、また、県が行います研修を終了した放課後児童支援員の配置が必須になるということで、今後放課後児童クラブの質の向上が図られるものと考えております。

また、過密化というようなお話がございました。児童福祉法の改正によりまして、来年度から事業の対象が低学年の児童から高学年の児童まで拡大されるということでございます。国では従前より、市町村に対しまして高学年の児童の積極的受け入れについて配慮を求めてきているところでございまして、本県では実際、事業を行っている市町村の約9割が高学年まで受けいれているところでございます。県といたしましては、放課後児童クラブの過密化あるいは大規模化が進むことの無いよう、その運営でありますとか施設整備について、引き続き市町村を支援してまいります。

【高村議員】

(4)本県は、独自に保育園への支援を講じています。「ポストの数ほど保育園を」と保育関係者をはじめとした県民と県との長年の努力によるものです。

県の独自支援事業について、県民文化部長から説明願います。そしてこの支援事業の継続を求めますが合わせてお答えください。

(5)県内には、子どもの数が減少して、認可保育所として必要な20人が確保できない地域、山間過疎地域とか都市中心部でも発生しています。小規模保育事業による保育展開が認可されますので大いに進めていただきたいと思います。県は子ども子育て先進県を目指しています。県内どこに住んでいても安心して公的保育が受けられるように、小規模保育による展開について努力を求めますが見解を県民文化部長に伺います。

【県民文化部長】

 まず保育に関する県独自の取り組みに関するお尋ねでございます。本県では保育に関する様々な県単独事業を実施しております。主なものを申し上げますと、一つには、0才児や1才児の担当保育職員の加配を支援する低年齢児保育支援事業、また国庫補助対象とならない病児・病後児保育事業、あるいは小規模な放課後児童クラブを支援する事業、また保育所等におきます産休代替職員の確保を支援する事業、認可外保育施設の運営等を支援する事業などがございます。

 来年度からの子ども子育て支援新制度の実施後も、県と致しましてはこれらの事業を引き続き行ってまいりますとともに、保育の実施主体であります市町村のご意見をお聞きしながら、必要な支援を今後も検討してまいりたいと考えております。

 次に、小規模な保育の展開についてということでございます。少子化が進み、子どもの数が少ない地域におきましては、認可保育所の維持が困難となって他の保育所と統廃合されるというようなケースがあると承知はしております。この様な地域におきます小規模保育の施策といたしましては、従来からの僻地保育事業の他、本年度より定員20人未満の小規模保育事業、そして5人以下の家庭的保育事業といった事業の利用が可能となっておりますので、県といたしましては地域の実状に即したきめ細かな保育が実施され、子どもたちができるだけ地域で保育を受けることができますよう、保育の実施主体であります市町村に対し、こういった事業の活用を働きかけていきたいと考えております。

【高村議員】

(6)知事に伺います。

鳥取県では、市町村と共同で同時入所でなくとも第3子の保育料負担が3万円から1万円になるよう支援をしています。さらに新たな支援として中山間地域保育料無償化モデル事業を実施して、中山間地域では、すべての子供の保育料を無料にして子育てしやすい環境の充実を図っています。合わせて子ども医療費窓口無料化も実施されています。ともに同じ子育て同盟に加盟する長野県阿部知事としても鳥取県のように思い切った小規模保育園の充実や保育料の軽減策を実施すべきではないでしょうか。知事にその意欲がおありでしょうか、決意を伺いたいと思います。

【阿部知事】

 子育て支援、保育の充実について、鳥取の取り組みをご紹介いただいたわけでありますが、私も他の県の取り組みも十分見ながら、参考にすべきところはしっかり参考にしなければいけないと思っております。

 鳥取の制度、これは中山間地域における市町村の取り組みを支援するということですから、必ずしも一律に制度があるわけではなくて、市町村が負担した分の半分と、対象市町村は6つの町で行われているという状況でありまして、ある意味で一般的な子育て支援というよりは、先ほどもお話ありましたが、中山間地域の市町村支援という色彩が強いかなと感じています。

 子育て支援の観点、様々な角度があるというふうに思います。今のように、市町村が取り組んでいる部分を県としてサポートするような形もありますし、また直接的に子育てをされている皆様側の負担軽減を図っていくというやり方も、様々あろうかと思います。

 県としても先ほど県民文化部長がご答弁したように、県単事業でいろいろな施策、これまでも取り組んできております。これからさらに、この少子化対策あるいは子育て支援というものは、我々として積極的に取り組むべき重要なテーマだというふうに考えておりますので、今市町村とワーキンググループ設置して子育て支援戦略を出そうということで鋭意取り組んでいます。そのなかにも、経済的負担の軽減ということも検討の柱に据えているところでありますので、市町村の皆様方ともしっかり話し合いを行う中で、年内にはこの戦略、方向性をしっかり出していきたいと考えております。

【高村議員】

阿部知事を含め子育て同盟11県の知事は、「ながの子育て声明」を発表され、子どもを育てることに幸せを感じられる社会を実現するため子育て支援に全力で取り組むことを宣言されました。国に対しても医療・保育・教育での子育てに関わる財政的な支援も求めています。

是非、長野県として、子ども医療費窓口無料化や保育料無料化にも積極的な姿勢を示していただきたいと思います。

子ども医療費窓口無料化を求める声を紹介します。

「岐阜県に住んでいました。当時から子ども医療費は窓口無料でした。長野県は子育てにやさしくない県だと思います」

「実家愛知県は完全窓口無料。それが当然だと思っていました。長野県は窓口無料でなく1レセプト500円をとられることに驚きました。恥ずかしいです」

「東京から引っ越してきて、窓口負担と500円負担があり子育て施策の遅れを日々感じています」

このように、県民の皆さんの声を受け止めて、子育て世代に喜ばれる具体的な経済対策を実行されるよう阿部知事の決断を強く求め質問を終わります。

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