日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年2月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 介護保険制度について
  2. 特別支援学校のあり方について

1.介護保険制度について

【両角議員】
 日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。まず始めの質問事項は介護保険制度についてであります。2015年度国は、9年ぶりの介護報酬マイナス改定を行う予定です。
 その中身を見ますと、2.27%の介護報酬削減。政府の言い回しでは、介護職員の処遇改善分プラス1.65%。重度、認知症対応等分プラス0.56%改定。合計プラス2.21%。これが、2.27%マイナス分とは別にプラスされるような表現でしたが、実際には、事業の適正化、効率化等その他の部分が、実質4.48%マイナス改定であり、処遇改善等プラス分2.21%引いた残りがマイナス2.27%であるということで大変分かりづらい表現でした。したがって、プラス改定分を入れても、全体で2.27%マイナス。1%引き下げると1,000億円引き下げられる計算との事で、総額2,270億円減額となるわけです。
 厚労省は、今回の改定に盛り込む予定の「処遇改善加算」によって賃上げが実現できると説明していますが、介護職でない、事務職員や理学療法士などは対象外ですし、報酬全体を引き下げれば「労働条件改善」などできるはずもありません。介護現場は、慢性的な人手不足であり、厚生労働省の数字でも昨年7月の有効求人倍率は全職種平均の0.95倍を大きく上回る2.19倍。
 報道されているように給与の低さも一因で、13年で見ると介護職平均月額22万円。全職種平均より10万円も低い。しかし、仕事は重労働。特養は寝たきりや認知症など、家庭では適切な介護が難しい高齢者を対象とした施設です。排せつや食事の介助、おむつ交換、入浴などきめ細かなケアが必要。ベッド移動は相当な体力が必要、月に4~6回の夜勤も。これが実態です。今、介護報酬の削減を強行すれば、労働条件がさらに悪化し、介護現場の人手不足を加速させることは必至です。利用者に対するサービス内容の引き下げにも直結します。
 国は、現場を分かっているのかと疑いたくなる改定です。

 特別養護老人ホームの基本報酬は、6%の大幅引き下げ。特養の3割は赤字経営と言われています。長野県内での特養待機者は5,000人。全国で52万人もの方が待っているのに、特養建設計画がストップせざるを得ない状況も生まれています。

 特養の個室ではなく多床室の部屋代を新たに徴収計画。負担は1日470円、月額1万4,100円。通所介護の小規模事業所が最大で9%削減。
介護保険から外すとされる、要支援者では、訪問介護を約5%削減。通所介護は約20%も引き下げる。4月開始となる市町村事業への要支援サービス移行を加速させる狙いが透けて見えます。
 県は今回の改定をどう受け止めておられるか健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
 お答えいたします。介護報酬の引き下げに対する県の受けとめ方についてでございますが、今回の報酬改定におきまして、基本報酬は平均4.4%の引き下げになりますが、サービスや人員配置の充実に伴う加算の拡充により0.56%の引上げ、職員の処遇改善に取り組んだ場合の加算の上乗せなどにより1.65%の引上げが図られ、全体は2.2%の引き下げ改定となってございます。このため多くの事業者にとっては報酬による収入は減少する一方、利用者にとっては、介護保険料と利用者負担額の軽減となるほか、国・県・市町村の介護給付費の負担額も軽減されることとなります。
 また、事業者の経営環境は厳しさを増すということとなりますが、今後益々増加すると見込まれる中重度の要介護者や認知症高齢者の対応として基準を上回るサービスの提供や人員配置を行った場合の加算ですとか、人材確保への対応として任用要件と賃金体系を整備した場合の加算など、各種加算の新設・拡充が図られていることから、これらをいかに活用するか、人材確保を求めましていっそうの経営努力が求められていると理解しているところでございます。
【両角議員】
 ①再質問いたします。事業所においては、今でも人手不足・赤字経営の所もある中、今回の介護報酬マイナス改定により、経営そのものが立ち行かない事業者も出てしまうのではないかと心配されます。今の答弁とは少し違いますが。県として、直接的または間接的にも支援策を考えているか。小林健康福祉部長に伺います。

   ②続けて、制度改革により、要支援1・2の高齢者向けサービスを介護保険から外す。要支援者の6割ともいわれる皆さんが利用している訪問介護・通所介護を介護保険本体(予防給付)から切り離し、本年4月から最終期限17年度までに、市町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」に移行させる「要支援はずし」と言われるものです。これもまた介護保険制度の精神から外れるものです。
 現行制度が在宅生活の支柱になっている現実があります。在宅でのほとんどの要支援者は「ヘルパーさんが来てもらうのが楽しみ」「ヘルパーさんやデイサービスの職員が唯一の相談相手」「デイサービスに行くようになって明るくなった」週2回の訪問介護で入浴介助と掃除。通所介護時が唯一の入浴機会の方。
 専門的な知識・経験をもつ介護職員によって精神面・健康面で支えられ在宅における日常生活が成り立っているのが今の現状であります。この事業を在宅へ、在宅へと言う国が介護保険からはずし、自治体に移行。しかし、受け入れ側の自治体で15年度中に移行できるのは全国で114自治体7.2%。
 この数字を見ても移行する上で自治体が困難を抱えていることが理解できます。

 介護専門職が行ってきたサービスを、ボランティアなど非専門職に置き換えて安上がりなサービス。しかし、受け皿がない。事業には、予算に上限がつけられる。サービスが低下し利用者の重度化が進む、の声もあります。県としてこの事態をどのようにとらえ、市町村に対しどのような支援を考えているか。小林健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
 ①事業所に対する支援でございますが、今回の報酬改定が事業所の経営にどのような影響を及ぼすかにつきまして、国で主な介護サービスについて試算したところ、処遇改善加算を含む各種加算を積極的に活用した場合、通所介護や特別養護老人ホームでは報酬改定前の収入を下回りますが、訪問介護では上回ると見込まれているところでございます。
 また、事業所の規模や事業内容、さらには先ほど申し上げたとおり、今回の改定への対応等によりまして経営環境は異なるものと思っております。
 いずれにいたしましても、これらの介護サービス事業所の事業者や管理職の職員などには経営感覚を身につけていっていただくということが求められていると考えております。そこで県といたしましては、労働環境処遇の改善を図るために、県が開催する介護人材確保定着セミナーや独立行政法人福祉医療機構が開催する社会福祉施設経営実務セミナーへの事業者等の積極的な受講を働きかけることなどによりまして、支援を行っていきたいと思っております。
 ②次に、要介護1・2の方々への対応についてでございます。現在要介護1・2の方で介護予防給付における訪問介護、通所介護サービスの利用者は9千人程度であろうと思われますが、本年4月以降3年間の経過措置期間を経て、平成29年度までに新しい総合事業へ移行するものと考えております。
 現行の訪問・通所介護は、サービスの内容・単価等が全国一律でございますが、この新しい総合事業では、地域住民・ボランティアなどを活用した訪問型、通所型サービスや、配食などの生活支援サービスを利用者のニーズに応じきめ細やかに提供できるようになります。しかしながら、現時点では生活支援サービスの提供体制が整っていない市町村があることや、利用者とサービス提供者を結びつける生活支援コーディネーターの確保が十分ではないなどの課題があると考えております。
 このため県といたしましては、NPOや社協の職員等を生活支援コーディネーターとして養成し、生活支援サービス提供者の掘り起こしや、利用者との結びつけを行うことや、新しい総合事業への円滑な移行にむけ市町村職員や介護支援専門員に対する研修会を開催することなどによりまして、地域における人材育成を図りつつ市町村を支援してまいる所存でございます。
【両角議員】
 再質問いたします。今の答弁を聞いていますと、国の意向を全て受け入れてしまうようなものであるかなと思いますし、県も現場を知らないのではないかと、そういう声がたぶんいろんな事業者、市町村の保険者から出てくるのじゃないのかと思います。4月から始まってしまうわけでございますので、ぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 知事に伺います。介護保険制度は3年に1度の見直しが繰り返されて来ました。介護保険スタートから、間もなく15年。導入時国が掲げた「介護の社会化」とは裏腹に、利用者・家族には、利用制限と負担増、現場では報酬を引き下げる制度改悪が進むなど、だれの眼からも制度開始時に描いていたものと乖離している事は明らかです。

 今回も、介護保険の大改悪により現場は深刻な矛盾と行き詰まりに直面しています。健康長寿「地域包括ケア体制」整備に力を入れるとする県として、介護保険そのものの方向性について、どういう考えを持っているか。また、国に対し介護保険財政に対する現行25%の国庫負担割合の引き上げ、これを求め、市町村保険者が上げざるを得ないとしている介護保険料、これを逆に結び付けるなど、利用者・県民の負担軽減を図ることが大切であると考えます。このことは「せめて」国に求めるべきと思いますがいかがでしょうか。知事に伺います。

【阿部知事】
 介護保険制度のあり方についてのご質問でございます。介護保険制度の今回の改正であるとか、あるいは介護報酬の引き下げの影響、こうしたものについては、しっかりとその影響、状況を見極めていくことが必要だと思います。
 その上で県として行動すべきことはしっかり行動していかなればいけないと思いますが、まずは市町村が主体となってしっかりと介護サービス維持できるように取り組んでいただくことが基本だと思います。
 介護保険制度、これまでも何度か改正されてきたわけでありますけれども、やはり介護サービスの利用者が急増するというなかで、やはりその時々のニーズに即したサービスのあり方ということを追及していくということは必要だろうと思います。また、やはり制度が持続可能性があるものにしていくという意味では、安定的な運営が維持できるものでなければいけないと思っています。これから高齢者の方々が増える一方で、生産年齢人口が減少するという時代になってまいりますので、そうしたなかで、受益と負担の関係、あるいは地域の介護資源、こうしたものをどう組み合わせて持続可能な仕組みにしていくか。これは、国の制度にただ任せるということだけではなくて、我々地域もしっかり知恵を絞っていかなければいけないと思っています。
 そういう意味で、財政負担についてもご質問がございましたが、財政負担のあり方についてはこれまでも時期をとらえて国と地方の負担のあり方を含めた制度の改善あるいは財政支援の充実、こうしたことについて国に求めてきております。今回の制度改正による影響についても、現場の声も十分お伺いしながら状況の把握に努めて、必要に応じて国に対する要望等も行っていく必要があると思っております。
【両角議員】
 国にしっかり要請していただくということはぜひともよろしくお願いいたします。
 部長答弁に経営感覚というような話がありましたが、よく内部留保と呼ばれる資金の多くは、各施設が努力して経費を節約し、将来に建て替えや修繕のために積み立てているものでありまして、以前は施設建て替えの時には補助金が7割は出ていたが、現在は1割以下に抑えられているためであります。
 非営利法人は事業撤退の自由も無く、多額の借り入れも禁止され、会計基準も一般企業とは違います。その収支の差を一般企業の内部留保と単純に比較すること自体、無理があることを指摘して、次の質問に移ります。

2.特別支援学校のあり方について

【両角議員】
 次の質問事項は、特別支援学校のあり方についてであります。

 ①長野地区で行われた、盲学校・ろう学校に分教室増設、ふたつの高校の空き教室を活用しましたが、長野養護学校過密拡大の解消になったのか疑問が残ります。数字で見ても児童数平成14年226名から平成25年182名に減少しましたが44名減少しただけで、その後年度が変わっていますから改善があったと思いますが、長野養護学校は開校当時130名規模。従っていまだにプレハブ校舎を使用していると伺っています。

 今回、「長野県特別支援教育連携協議会」が、5回の協議を重ねられ最終的な検討結果がまとめられ、今後、協議会からの報告を基に具体的な施策について検討をすすめる。とされる、中信地区、松本地区でありますが、長野地区と同じような方向で結論を出すとすると、松本盲学校・ろう学校に分教室を設置することになると思われますが、松本養護学校の生徒数は、平成25年272名。開校時は160名。はたして何名減少できるのか。こういう方向では、根本的な解決にならないのではないかと心配をするわけです。
 私がろう学校の卒業式に出席したときの話なんですが、ステージ上にスクリーンがありまして、校長先生のあいさつがスクリーンに同時に写し出される工夫がされるなど、学校全体に造りからしてあちこちに配慮されていました。あのスペースに養護学校の生徒が空き教室があるからと同居したときに果たしてうまくいくのかと大変に疑問です。
 盲学校・ろう学校・養護学校、それぞれの成り立ちを考えれば、自ずと結論は出ていると感じています。見解を求めます。

 ②長野・松本地区以外はどうするのか。盲学校・ろう学校のない地区もありますし、高校を間借りしての分教室は、作り上げる独自の文化祭も無く、高校でもない、養護学校でもない、分教室が生徒の学校となっている。年々卒業生が増えると、同窓会はどこで、卒業後の相談はどこで、自分の母校はここでいいのか。一時しのぎの空間を用意すればいいではないはずです。特には、松本地区の今後と長野県全体について、特別支援学校のセンター的機能充実と謳っているわけでありますし、今後この分野どう進めていくのか、考えを教育長に伺います。

【教育長】
 ①特別支援学校の過密化解消のあり方についてについてのお尋ねでございます。長野地区では平成21年5月に再編整備計画を策定いたしまして、これに基づき、平成22年度に長野盲学校内に長野養護学校の高等部の分教室を、25年度には長野ろう学校内に小学部分教室を設置したところでございます。この結果、長野養護学校の本校の児童生徒数は計画を策定した平成21年度222人から今年度は177人と2割減少してきており、分教室の設置は長野養護学校の過密化解消に十分効果が上がったものと認識してございます。
 さらに平成28年度から須坂商業高校内に長野養護学校の高等部分教室を設置することとしており、過密化のさらなる解消に努めてまいりたいと考えております。
 また障害の異なる児童生徒が同じ敷地内で学ぶことについては、計画策定の過程で懸念する声はありましたが、分教室設置後、これまで不都合は生じておらず、むしろ生徒同士、教員同志の交流が進むことで教育活動が活性化されつつあると聞いております。
 中信地区の特別支援学校のあり方については、先行した長野地区の状況を参考にしつつ、特別支援教育連絡協議会の検討結果を十分踏まえ、具体的な整備計画の策定に取り組んでまいりたいと思っています。

 ②また、特別支援学校全体でございます。特別支援学校の生徒、ここ数年ずっと数が伸びてくると、多くなるという状況がございましたが、今ちょうど頭打ちの状況になってきておりまして、徐々に減少に向かっていく段階でございます。今後さらに児童生徒数の減少が見込まれる中で特別な支援を必要とする児童生徒数の見込みやそれぞれの地域の状況を勘案しながら、特別支援学校の学習環境の改善に引き続き努めてまいりたいと考えています。

【両角議員】
 この現場からは懸念する声も聞かれておりますし、連携協議会の検討内容、中信地区特別支援学校のあり方についてという報告書も私も読ませていただきましたが、検討内容を解決するには、まず新たな特別支援学校の設置は不可欠ではないかと私は思います。特別支援学校の適正規模を考えれば、県内養護学校、開校当初100名ほどの規模であったわけですからここにもどす努力が必要ではないでしょうか。先ほどの質問でもありましたが、いまだにプレハブ校舎が使われそれが主になっていると、このこと事態が問題であることをもう一回しておきたいと思います。
 今までの対応策が、プレハブ校舎の増設をするだけだったことも異常と考えます。教育の質、学校の総合的な力をおとさないためにも、地域と連携し、小規模の特別支援学校の新設も含め設置を考えるべきと思いますがいかがでしょうか。もう一度教育長に伺います。
【教育長】
 特別支援学校のあり方につき、再度ご質問をいただきました。先ほどご答弁申し上げましたとおり、全体としては児童生徒数、ピーク超え、やや減少の局面にたっているところでございます。しかしながら、ご指摘の通り、地域ごとにみれば状況異なってございまして、特に中信地区については過密化は大きな問題があるということで、今年度協議会を設け、検討を重ねてきているところでございます。
 松本地区につきましては過密化の問題のみならず専門性確保の問題、医療的ケア提供の問題等ございまして、協議会のほうで鋭意ご検討いただいたところでございまして、具体的に課題への対応とし、一般就労を目指す知的障害のある高等部生徒の学びの場を松本市街地に設けることや、通学利便性等を考慮し、知的障害のある児童生徒の学びの場を再配置すること、また医療機関と連携しながら安全安心な医療的ケアを提供する体制の整備など、これまでの特別支援学校の枠を越えた今後の特別支援学校のあり方についてご提案いただいたところでございまして、こうしたご提案を踏まえながら、喫緊の課題である松本養護学校の過大化・過密化の解消や障害のある子ども達への教育の充実に向けて、協議会の検討結果を十分踏まえながら整備計画の策定に努めていきたいと考えてございます。
 いずれにしましても、今後とも児童生徒数の推移等を的確に把握しながら、各学校の教育的ニーズや地域の状況に応じた環境の整備充実に努めてまいりたいと思っています。
【両角議員】
 新設と言う点では残念ながらなかなか噛み合わないやり取りになってしまった感があります。昨年の秋若いご夫婦から養護学校の生徒がラッパ上に増えていると、今の学校スペースではとても間に合わない、何とかしてほしい、の話のなかで、このおじちゃんがあなたの行く学校のことを一生懸命がんばっている方だと私を紹介したお母さんと、ぺこりと頭を下げてくれた男の子の澄んだ目を忘れるわけにはいきません。
 一番手厚い支援を必要とする一つの学びの場所です。今後も粘り強く改善のために力を尽くしますと申し上げ、一般質問といたします。

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