日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年2月定例会 高村京子議員一般質問

  1. 視覚障がい者に対する支援の充実について
  2. 安心してお産ができる長野県にするために
  3. 県有料道路の料金徴収について

1.視覚障がい者に対する支援の充実について

【高村議員】
(1)中途失明者は、子どもや親がいて家庭の生活の中心にいる方が多く、失明の原因となる基礎疾患を抱え、仕事に就けないことで家に閉じこもりがちになるなど生活面や移動で多くの不安を抱えておられます。これらの方々に対する相談体制と障害福祉サービスの現状はどうなっているでしょうか。小林健康福祉部長に伺います。
【健康福祉部長】
(1)中途での視覚障害をお持ちの方々に対する相談体制及び福祉サービスについてでございますが、県では市町村と連携いたしまして、障害のある方のだれもが地域で安心して暮らせるよう、県内10圏域に障害者総合支援センターを設置し、障害福祉サービスの利用や就労など、様々な相談にワンストップで対応しているところでございます。このなかで、ご質問の中途での視覚障害のある方からの相談にも対応する体制をとっております。
 また、視覚障害のある方への福祉サービスといたしましては、法に基づく自立支援給付として外出時の同行援護サービス、あるいは居宅において代筆代読などを行う居宅介護サービス、また矯正眼鏡などの補装具費支給などのサービス提供がございます。それに加えまして県の事業としては、中途視覚障害者指導員派遣事業や、盲導犬給付事業などを行っているところでございます。
【高村議員】
(2)中途失明者の自立訓練には、県リハビリセンターが行う訓練がありますが、約半年の入所または通所が必要であり、入所は家庭生活もあり簡単ではありません。光を失った中で通所も困難です。なかなか訓練が受けにくいと思いますが現状はどうでしょうか。 (3)県が委託し県視覚障害福祉協会が行っている中途視覚障害指導員の派遣の現状と課題はどうなっているでしょうか。小林健康福祉部長に伺います。
【健康福祉部長】
(2)総合リハビリテーションセンターにおけるにおける訓練についてでございますが、総合リハビリテーションセンターでは平成7年から中途での視覚障害のある方に対する訓練を行っているところでございまして、これまでに55名が訓練を受けているところでございます。昨年度は東北信地区お住まいの方5名が、入所または通所などによりまして平均で6ヶ月程度の間、杖を用いた歩行訓練や音声パソコンなどを利用した日常生活訓練などを行いまして、家庭での自立へとつなげているところでございます。同センターの訓練は、国の専門研修を受講した3名の職員がマンツーマン対応で行っておりまして、今年度新たに2名を国の専門研修に派遣いたしまして、さらなる態勢の強化を図っているところでございます。

(3)次に、中途での視覚障害をお持ちの方の指導員の派遣状況と課題ということでございます。
 県ではそうした障害のある方が自宅で訓練を行えるよう、長野県視覚障害者福祉協会への委託事行として中途視覚障害者指導員の派遣事業を実施しております。平成25年度は10名の方からの要請を応じまして指導員を派遣して、歩行指導や点字指導、パソコン操作訓練などを実施したところでございます。この事業は中途での視覚障害のある方が身近で必要な訓練が受けられるということで、有効な取り組みと考えておりますが、サービスの提供地域が指導員の住居地付近に偏っていることや指導員の高齢化などの課題もあると考えております。

【高村議員】
(4)県が委託し、松本にあります県視覚障害者福祉協会が行っている中途視覚障害指導員の派遣の現状ですけれども、県下全域に中途失明した人への在宅派遣による歩行や生活訓練にあたっていただいておりますが、この視覚障害者指導員は身分が不安定で、ボランティアのような状態におかれています。専門性を身につけた方々です。県は、専門職として位置つけ、身分を保証し、全県下への派遣が安定充実するようにすべきと求めます。健康福祉部長に再度伺います。

(5)私は昨年の11月県議会で、全盲の方が65歳になると介護保険サービスを優先して受けるよう指導され、今までの専門的で安定した生活援助の内容も時間も、かなり削減される一方、利用料金の負担は重くなり、むしろ生活不安が大きくなる問題を指摘し改善を求めました。障がい者全般に対する65歳からの福祉サービスの対応について、最近国から事務連絡が来ていると思いますが、その内容と県の対応について健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
(4)中途視覚障害者指導員の身分保障についてでございます。現在、中途視覚障害者指導員は県視覚障害者福祉協会におきまして日本盲人会連合などが行います研修を受講された方7名が任命されております。県と致しましては先ほど申し上げた課題もありますので、そうしたことへの対応も含めまして支援を必要とする方が必要なサービスをより利用しやすくするためにはどうしたらいいかという視点から、改めて市町村や県視覚障害者福祉協会などと情報交換を行いまして、訓練実施のあり方や体制について研究して参りたいと思います。

(5)65歳以上の障害者に関わります介護保険サービスへの移行についてでございます。今月18日付けで厚生労働省から障害福祉サービスと介護保険サービスの適用にかかわる留意事項についての通知が都道府県宛に出されたところでございまして、議員ご指摘の通知はこれにあたるものと考えております。  その内容と致しましては、利用者の意向を聞き取りにより把握したうえで、介護保険サービスにより適切な支援を受けることが可能か判断すること、あるいは介護保険の支給量では十分なサービスを受けられない場合には障害福祉サービスを支給するなど適切な運用に努めること、また、障害福祉サービス利用者に介護保険制度の案内を早めに行なうこと、さらに介護保険と障害福祉サービスをあわせて利用できる場合があることを利用者に適切に案内することなどにつきまして、市町村に周知徹底を求める内容でございました。
 県ではこの通知を受けまして、直ちに今月23日付で市町村に通知したところでございますが、さらに来月開催する市町村担当者会議におきましても制度の適切な運用につきましてさらに周知徹底を図って参ります。

【高村議員】
 障害をお持ちの方が障害福祉サービスと、それから65歳から受けられる介護保険サービスの両方で、いっそう障害をお持ちの皆さんの生活が豊かになりますように、そういう観点でぜひ市町村と力を合わせていただきたいと思います。 (6)上田点字図書館の運営と今後の方向に関係者の皆さんは希望が見えない中に今おかれています。私は平成22年6月県議会で県に検討を求めましたが、その後どのように対応いただいたでしょうか。
 今日果たしている上田点字図書館の役割や課題を整理し、県として委託をしている県身体障がい者福祉協会、実際に運営している上田市、そして日常的に利用されている当事者の上田市視覚障がい者福祉協会のみなさんやボランティアなど関係者との協議の場をもって、全国にも誇れる上田点字図書館の今後の在り方や発展の方向を改めて、検討していただくよう求めますがいかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。
【健康福祉部長】
(6)まず長野県上田点字図書館についてでございます。長野県上田点字図書館は議員ご指摘のとおり、県身体障害者福祉協会が設置し、上田市に運営が委託されているところでございますが、平成23年5月に上田市が開催した交流会において、上田市利用者の方々及び上田市視覚障害者福祉協会との間で意見交換が行われ、運営を今後も上田市が受託していく方向性が確認されたというふうに聞いております。
 また平成25年12月には県に対して、県視覚障害者福祉協会が運営したい旨の要望が出されましたが、県からは県身体障害者福祉協会や上田市との協議を持つことを提案致しましたところ、その後そうした要望は寄せられていないところでございます。
 長野県上田点字図書館は、本県唯一の点字図書館として視覚障害のある方の福祉向上に大きな役割を果たしていると考えておりまして、その安定した運営に資するため、県は国庫補助も活用しまして運営費を助成するとともに、特に本年度は老朽化したボイラーの修繕工事につきまして助成したところでございます。
 今後、県身体障害者福祉協会や上田市からご相談があれば、点字図書館の発展の方向性などにつきましてともに検討してまいりたいと思っているところでございます。

2.安心してお産ができる長野県にするために

【高村議員】
次に安心のお産できる長野県にするために伺います。

(1)大町市立総合病院の産婦人科が3月末で閉鎖し、2次医療圏の大北地域でお産ができない事態となってしまいました。全県的にもお産ができる病院や施設が全体として減っており、大変危機的な事態です。ここ10年間になんと県内では病院は43から26施設に約4割も減っています。診療所や助産所などを含めてもこの3月末では59施設となってしまいます。県はお産ができる施設の減少の実態をどのように受け止め、対処されてきたのか健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
 次に分娩取扱施設の状況についてでございます。県内の分娩を取り扱う医療機関は、平成27年には55施設ございましたが、産科医確保が困難になるなかで、平成20年には46施設まで減少いたしまして以降、ほぼ横ばいで推移してございます。平成26年9月現在でございますが、44施設でございまして、これに助産所を含めますと分娩を取り扱うのは60施設となってございます。
 本県では分娩取扱施設が減少し続けてきた状況を踏まえまして、平成19年、県産科小児科医療対策検討会の提言を受けまして、県地域医療対策協議会において緊急避難的に産科医療の集約化・重点化を進めることはやむを得ないという方向性を決定したところでございます。この方針のもと今日まで、信州大学医学部のご協力を得ながら、各医療圏において産科医療機関の機能分担と連携により、県内の産科医療体制を維持してきたところでございます。
 同時に、地域医療再生基金によりまして、分娩施設の整備を推進するとともに、平成23年には信州医師確保総合支援センターを設置いたしまして、ドクターバンク事業などによりましてこれまでに産科医16名を確保してきたところでございます。このほか、信州大学や県内医療機関などのご努力もありまして、県内の産科医は最小であった平成18年の158名から平成24年には191名まで増加してきたところでございます。
【高村議員】
 上小地域でもここ10年の間はお産の施設存続が危機的事態となった経過があります。閉鎖の危機にあった全国で唯一の行政立上田市産院、ユニセフに登録された赤ちゃんに優しい自然で豊かなお産を守るために、上田市民は力を合わせて存続、さらに信州上田医療センターの隣接地に、上田市立産婦人科病院として発展充実しています。
 東御市立病院の敷地内に助産所が開設され助産師が丁寧なお産子育ての支援をしています。さらに昨年春には、5年間休止となっていた信州上田医療センターの産婦人科が再開されリスクを伴うお産ができるようになりました。この間を支えていただいた二つの民間施設のご奮闘もあり、安心のお産へ連携がいっそう強化されました。里帰り出産ができる上小地域と今なっています。

 党県議団では、10年程前から、県内外のお産事情について聞き取りを重ね、2007年に「安全・安心のお産を信州で」とのパンフレットを作成し、助産師活動への支援・産婦人科医師の過酷な勤務実態の解消、女性医師や助産師等の働きやすい環境の整備、医療事故の原因究明と再発防止に第三者機関の設置と無過失補償制度の確立を提言してきました。
 提言に沿って伺います。

①お産は病気ではありません。お母さんに自然に与えられた力があります。そこを援助する助産師の活動を支援し、助産所の開設や病院の中に助産師外来を設置し、健診や産後ケアなど行える体制の整備など助産師の専門性を生かしその力を最大限に発揮してもらうことが必要と考えますが、いかがでしょうか。大町総合病院でも是非助産師さん11名いらっしゃると伺ってます。この活動を応援してください。これからの取り組みはどうでしょうか。

②2014年に策定された県の地域医療計画の文書に「産婦人科の医師不足の要因の一つに過酷な勤務実態があり、男性医師でなければ勤務は務まらない‐男性産婦人科医師の確保が求められる」等の記載があります。現在医師国家試験では女性が増えております。産婦人科でも女性医師の活躍の場を応援することこそ大切ではないでしょうか。
 産婦人科に限る問題ではなく、昼間目いっぱい勤務された医師は、夕方から深夜、早朝までは当直扱いとされる場合が多くあります。特に産婦人科では、夜間のお産、帝王切開など緊急事態の対応があり、大変過酷であります。医師不足の中で集約されたお産の施設では断るわけにはいかず、幾重にも過酷な現実があります。事故が起きるリスクが常にあります。命を託される医師を大幅に増やし、休養も休みも取れない現状を改善し、男性医師も女性医師も昼間8時間、夜は当直制ではなくしっかりと交代勤務となるよう県として取り組むべきではないでしょうか。

③女性医師の働きやすい環境を後押ししてください。
 女性医師が増えている現実を見れば、院内保育所・夜間保育の実施支援が求められます。これは子育て中の女性医師だけではなく、助産師や看護師の労働環境の充実ともなります。病院まかせにするのではなく県と市町村も一緒になって支援すべきと考えます。

以上3点について健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
①助産師の専門性を生かした体制の確立についてでございますが、分娩を取り扱う医療機関が減少する中、県民の皆様が安心してお産の出来る体制を維持するためには、助産師の皆様がその専門性を発揮し、産科医と協力して力を発揮してもらうことが一層重要になると考えておるところでございます。県では、院内助産所や助産師外来の開設・整備に対する補助の実施や、産科医が助産師に最新の技術を伝える研修会を開催するなどによりまして、助産師が活躍できる環境の整備や人材の育成に力を入れているところでございます。

②次に産科医師の人員の充実と勤務環境の改善についてでございます。
 現在の医師不足を解消するためには、新たに医師を確保すること及び離職を防止することの二つの観点から対策を講ずることが重要と考えております。
 そこで、産科医師の新たな確保については県のドクターバンク事業や医師研究資金を活用いたしまして、これまでにドクターバンクで10名、医師研究資金で6名、それぞれ県外から県内に来ていただき活躍されているところでございます。
 また、離職を防止するということでは、産科医の処遇を改善し定着を図るため、県といたしましては従来から実施している分娩手当ての補助に加え、来年度から新たに帝王切開の手当てへの補助も始める予定でございます。
 このほか県といたしましては、産科も含め全診療科の医師を対象とした、病院勤務医が働きやすい環境整備推進事業によりまして、これまで育児中の女性医師の当直の低減を行う15病院を支援してまいりました。
 さらに県では、平成27年度医療従事者の離職防止等を目的とする医療勤務環境改善支援センターを設置しまして、医療機関が実施する勤務環境改善の取り組みに対して支援を充実していくなどにより、産科医の医師の確保と勤務環境の整備に取り組んでまいります。

③次に、女性医師の働きやすい環境整備支援についてでございます。県では、院内保育所の施設整備と運営費の助成を行ってまいりまして、平成25年度の運営費の補助は、民間10病院を含む29病院に対して支援しているところです。出産や育児等で医療現場を離れた女性医師の復職を支援する事業を行いまして、事業を開始した平成20年度からこれまでに14名の復職を支援したところでございます。
 今後も結婚出産を迎える女性医師の増加が見込まれるなか、県といたしましては、院内保育所の整備運営の支援や医療現場への復職支援に取り組むことによりまして、女性医師が結婚出産を経ても働き続けられるような、働きやすい環境整備に努めてまいる所存でございます。

【高村議員】
 キーワードは、助産師さんへの、本当にバックアップ、応援をするということと、特に激務である産婦人科の勤務環境を改善して、そして女性医師の力を後押しする、この3つがキーワードではないかと思います。それぞれ引き続きのご努力をお願いしたいと思います。

(2)知事に伺います。二次医療圏の一つで初めてお産ができない事態となった現実を踏まえ、大北地域のお産の施設再開に向けてどのように取り組まれますか。県内どこでも、安心安全のお産ができる長野県とするため知事の決意を伺います。

【阿部知事】
 大北地域でのお産の再開支援、そして安心安全のお産の出来る長野県づくりについてのご質問でございます。県としても今回の市立大町総合病院における分娩取扱休止という事態、大変重く受け止めております。一刻も早く事態を改善しなければいけないと思っています。そういう観点で、県のドクターバンク事業を活用いたしまして、県外の産科医師1名なんとか確保させていただいて大町総合病院に紹介をさせていただいたところでございます。この結果、妊婦健診は継続ということになりましたが、しかしながら分娩取扱再開にはまだ至らないという状況であります。今後も分娩の再開に向けて、地域の市町村、大町総合病院、関係者の皆様方と一緒になってしっかり取り組んで、本当に安心してお産ができる環境に1日も早く戻るように努めていきたいと思います。
 それから県全体の話でありますが、先程も健康福祉部長からご答弁申し上げましたが、産科医療の維持・充実のため様々な取り組みをさせてきていただいております。医師確保総合支援センターの設置を行ってドクターバンク事業あるいは医師研究資金の貸与ということで、産科医の確保にも取り組んでまいりました。助産師の皆様方の力もこれからますます発揮をしていただく環境づくりが、私も重要だと思います。
 先般、上伊那での移動知事室の際に、助産所を訪問させていただいて、あるいは助産所で出産されたお母さん方とも懇談させていただきました。家庭的な環境のなかで出産をして、出産前後も助産所の皆様が丁寧に対応していただいているということで、お母様方も非常に安心した環境だという印象を強く受けました。こうした皆様方の力がもっと発揮できるように県も応援していかなければいけないだろうと思います。
 また昨年12月に地域医療介護総合確保基金を設置いたしましたが、この基金活用いたしまして信州大学医学部との連携、あるいは地域における病院・診療所・助産所相互の連携、こうしたものを強化しながら、県全体として安全で安定した周産期医療体制の維持、そして充実、知恵を出しながら、関係の皆様方の知恵もいただきながら、取り組んでいきたいと思います。
【高村議員】
 医師が少ないので集約、集約ということをやってきました。そして集約された大町病院でいよいよ出産ができない、こういう事態が発生しているわけです。ですから、助産師さんにもっと日常的な自然分娩を頑張っていただいて、そして病院にはリスクのある方を受け入れる体制、分散型の、そういうことを長野県から取り組んでいただきたいと思います。
 党県議団の提言についても是非受け止め取り組んでいただきたいと思います。お産の施設関係者、市町村もご一緒になって、安心安全の豊かなお産ができる長野県へ、県民の皆さんと共に力を合わせてまいりたいと思います。

3.県有料道路の料金徴収について

【高村議員】
(1)昨年4月から三才山・新和田・平井寺トンネルの朝夕の通勤時間帯の半額割引を市町村との共同事業として実施されたことは、通勤通学等での利用者の負担軽減となったところですが、各市町村の実施内容と利用状況はどうなっていますか、県として現状をどのように受け止めますか。奥村建設部長に伺います。
【建設部長】
 県有料道路の料金徴収についてのお尋ねでございます。まず利用者負担事業の実施状況についてでございます。今年度から実施している本事業につきまして取り組み市町村は、年度当初は6市町村でございましたが、現在松本市や上田市など13市町村で取り組みをいただいております。また、12月末現在で取りまとめた割引回数券の販売状況は約41万枚となっております。まずは1年間を通した結果を踏まえ、市町村のご意見を伺いながら、さらに利用拡大が図れるよう取り組んでまいります。
【高村議員】
(2)ここに、パネルを作成しました。道路公社管理の有料道路の各トンネルの建設費・青です、料金収入の総額は赤です、償還率・緑の線で示しました。  建設費に対する料金収入の総額の比率は、三才山では10倍・新和田では5倍・平井寺トンネル1,6倍であり、通行料金総額は明らかに建設費を大幅に上回っています。一方松本など後で建設したトンネルでは、建設費に見合う料金収入はありません。しかし償還率は三才山が70%・新和田55%・平井寺が75%であり全額償還がなされていることになっていません。一方岡谷延伸トンネルはまったく収入がないのに55%、中野・白馬・五輪も60%を超える償還がなされています。
 このグラフからわかることは、すでに建設費の償還が終わっているはずの三才山・新和田・平井寺トンネルからの通行料金が後から建設した道路の償還に充てられているのです。
 どこから見ても、この三トンネルを利用せざるを得ない上小・佐久・松本地域県民の負担があまりに重く、不公平であります。
 この三トンネルより後で建設したトンネルの料金を大幅に軽減し利用者の利便性を図っているのですから、この3トンネル料金の軽減・早期無料化を強く求めます。建設部長いかがですか。

(3)これら三トンネルの後に建設された有料道路は、社会実験として昼間100円、夜間無料等となっています。昨年消費税増税に伴う通行料金の改正で、三才山は500円から510円、新和田は600円から620円、平井寺は200円から210円へと、片道です、増額されました。一方松本と志賀中野は310円となりますが実際には昼間100円夜無料のままです。上小・佐久地域から信州大学病院や県立こども病院に通う患者さんやご家族たくさんおられます。逆に松本地域から鹿教湯リハビリセンター病院等への利用で通う方、病院や介護施設等から松本地域への医療・介護の訪問活動は昼間であります。軽減策の恩恵は受けられません。
 県は、このことをどのように受け止めますか。建設部長に伺います。

【建設部長】
 無料化または料金軽減についてのお尋ねでございます。有料道路事業は路線ごとに建設時の政府貸付金、出資金、及び金融機構等の借入金の償還金、借入金利子、維持管理費などを通行料金収入で賄う制度でございます。また、借入金等の償還は建設時に国の認可を得た計画に基づき償還しておりまして、その年の料金収入額の状況で決まるものではございません。また、社会実験の費用でございますが、これは県が補填しているものでございまして、三才山、新和田、平井寺の有料道路の通行料金で賄っているものではございません。有料道路は路線ごとに認可を受け独立しているものでございまして、お話の3路線を直ちに無料化あるいは料金低減することは困難でございます。

 次に事業によります利用者負担額についてのお尋ねでございます。
 障害者割引は、路線・車種・時間に応じた通行料金を半額としているものでございます。したがいまして、社会実験により100円としている場合はその半額としております。有料道路の料金はその利用により得られる時間短縮などの受益を金額に換算し、その範囲内で設定しております。一方で、消費税率が上がった後も全車種100円とする社会実験の通行料金は支払いやすさ等を考慮して決めているものでございます。昨年4月の消費税率引き上げは、有料道路の通行料金のみでなく、あらゆるモノ・サービスに適用されたものでございます。道路公社の有料道路につきまして、本年度から通院を含めた日常的利用者の負担軽減を実施したところでございまして、今後とも実施市町村の拡大にむけて取り組んでまいります。

【高村議員】
 このグラフでもわかりますように、三才山、新和田、平井寺トンネルは、償還額以上に料金収入があります。やはり県民全体の公平性、利便性を考えていただきたいと思います。

(4)有料道路の料金は、建設費の償還に充てるために徴収するのではないでしょうか。県は道路管理者として当然に負担しなければならない維持管理費にもこの3トンネルの料金収入で全体の維持管理費に充てていますが、おかしいと思います。現在道路公社の道路維持管理費に年間15億3千万円が充てられていますが、無料化の際には一般財源から拠出することになります。将来を見据え、料金収入に頼らない維持管理を求め3トンネルの無料化を改めて強く求めます。再度奥村建設部長いかがでしょうか。

【建設部長】
 有料道路の維持管理費についてのお尋ねでございます。道路整備特別措置法施行令第7条第2項によりまして、有料道路の維持及び修繕に関する費用、これは通行料金で賄うこととなっておりまして、長野県有料道路の道路公社においても国の認可を受けているようなところでございます。また、将来県が有料道路を引き継いだ後も適切な維持管理に努めてまいりたいと考えています。ということでございまして、ただちに無料化あるいは料金の低減ということは困難と考えているところでございます。
【高村議員】
 鹿教湯三才山リハビリセンターには、県が指定する療養介護施設があり、筋ジスなど重度身体障がいを抱えた方々が利用されています。この方々が通行する際、事前の登録車のみに半額割引が適用されますが、消費税増税改定額の半額であり、社会実験をしている料金所では50円です。不公平ではないでしょうか。雪となり道路が危険でタクシーなど他の車両を利用すると半額割引はされず全額負担です。こんな冷たい対応は、県として改め、県の有料道路ですので、障がい者認定を受けた方々の通行は、すぐにでも無料にすべきと思います。
 知事に伺います。このように多くの疑問を抱えている有料道路料金についてどうお受け止めでしょうか。償還がすんでいるはずの3トンネルの無料化を決断していただきたいと思います。ご答弁をお願いします。
【阿部知事】
 有料道路についてのご質問でございます。私ども、行政でありますので、基本的に法律あるいは国から認可を受けているものについては認可事項に即して事業を執行していくというのが基本であります。高村議員のご説明にあるようなご指摘というのは、やや少し独自の理論ではないかなと。今の有料道路制度の先ほど部長からも答弁申し上げましたけれども、法律であるとか認可された内容であるとか、それをまず十分共有していただいた上で、その上でどうすべきかということを議論していただきたい。私どもこの有料道路、まずお話がありましたが、障害者の皆様方のご利用、これは割引制度については全国一律の制度という形になっています。私とすれば独自の工夫ができるのか、また必要性があるのか、余地があるのか、そうしたものについては研究をしてみたいと思います。
 また、有料道路事業の今後でありますけれども、先ほど申し上げましたけれども、これは国等からの借入金で建設して、通行料金収入で建設費の償還と維持管理を行うと、これはこういう制度となっております。そうしないほうがいいということもあるかもしれませんけれども、制度上そうだということをまず共有していただいた上で議論を進めさせていただくといいのではないかと思いますが、また料金徴収期間についても国の認可を受けています。三才山トンネルが平成33年、新和田トンネル平成37年、平井寺トンネルが平成30年までというのが、今の認可の内容になっております。
 有料道路につきましては、県議会はじめ住民の皆様方からも無料化あるいは負担軽減という声があることは私も十分承知をしております。そういう意味で日常的な利用者の負担軽減を目的として、市町村の協力も得て、割引制度、今年度から新しく開始しているところでありますし、またこうした割引の実施市町村の拡大に向けても取り組んでいきたいと思っております。
 有料道路という形で建設したわけでありますので、基本的には当初の設計の趣旨を前提にしながら、できるだけ負担軽減につながるようにということで、これまでにも社会実験等で取り組んできているわけです。
 我々、財政、財源が最大限にあればすべて無料と、何でもサービスしますということを言えば、私としては非常に楽な立場でありますけれども、今後の収支の状況等も見ながら県財政全体のなかで考えていかなければいけないということはぜひご理解いただきたいと思います。
【高村議員】
 この3トンネルは命の道路であります。幹線道路であります。そこに日常的に大変負担がかかる、これを解消していただきたいことを強く求めて、私の質問をすべて終わります。ありがとうございました。

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