「27年度一般会計予算案」反対討論
平成27年度一般会計予算案および平成26年度一般会計補正予算案が提案され、賛成多数で可決されました。日本共産党県議団から、和田議員が反対の立場で討論にたちました。
第1号 平成27年度一般会計予算案、および第69号 平成26年度一般会計補正予算案に反対の立場で討論します。
新年度予算案は、阿部知事2期目の最初の予算案です。
日本経済は、消費税増税による不況とアベノミクスによる格差が広がり、個人消費の低迷で停滞状況に陥っており、社会保障の拡充や賃上げなどにより個人消費を回復し内需の拡大が望まれます。
新年度予算は、8,694億余円、対前年度比203億余円増と予算規模が大きくなっています。その要因には消費税増税分が、歳入・歳出ともに見込まれており消費税依存度が増しています。これを「社会保障施策に要する経費」に充てるとしていますが、それは、従来一般財源で賄ってきた予算を付け替えているだけで、民生費の大幅な拡充にはなっていないと指摘せざるを得ません。
また、国は消費税増税しながら社会保障費の自然増分まで削減という状況にあるときに知事は「受益・受益では制度が成り立たない」と国に従う姿勢であり、新年度長野県予算が残念ながら医療福祉切り捨ての安倍暴走政治に立ち向かう予算とはいえず、新年度予算案に反対せざるを得ません。
すでに東日本大震災・長野県北部地震から4年が経ちました。東北の被災地の復興はまだまだです。長野県において昨年は、各地で自然災害がおこり改めて生活再建のため支援制度の拡充が求められています。新年度、長野県の防災・減災対策の拡充とあわせ、県と市町村の災害の支援制度のあり方の検討をされることに期待するものです。
子育て支援戦略「みんなで支える子育て安心県」で、子育てに伴う経済的負担軽減は、第3子以降の保育料軽減と子ども医療費の入院の対象年齢を中学3年生に拡充することを歓迎します。県の対象拡大を受けて、長野市が入院・通院とも中学3年生まで引き上げるなど市町村の支援が前進することになりました。今後も対象年齢拡充と窓口無料化を実現するために市町村と検討を重ねていただくよう要望します。
家庭の経済状況で進学をあきらめることがないよう、給付制の奨学金を全国に先駆けて実施したなかで、新年度はさらに企業の寄付で奨学金制度が拡充されることを県として周知してほしいと思います。
国のモデル事業を取り入れ実施してきたパーソナルサポート事業と絆再生事業は、国が生活困窮者自立支援事業へと移行させることに伴い、市の事業に移管されても県の役割を果たしていただき、絆再生事業を継続したことは評価します。しかし、補助金を半減したことは残念でなりません。絆再生事業の実情・実績を踏まえて補助金の見直しを求めます。
予算案中 建設部関係 道路建設費にリニア関連として5億2500万円が含まれています。これらの、道路はすでに道路整備計画を持っていたものであり、リニア計画がなくても、整備すべき道路であり、「リニア関連予算」として扱うことが妥当か疑問です。関係自治体、住民の中に不安、懸念があるなかでリニア推進し、リニアによって地域に公共事業がもたらされると誤解を招くことがないよう事業費は精査すべきです。そして、リニア関連事業費がどのくらいになるか見通しを示せないまま、推進はやめるべきと申し上げます。
浅川ダム建設は、ダム建設地周辺の地質、断層、地滑り等の安全性の確認を求める県民の声に背を向け、工事を進め、脆弱な地盤の補強のために繰り返し増工が必要になり、追加補正の1億円の増額とあわせ、新年度の16億円の予算は反対です。
また、国はTPP交渉妥結に向けて重要農産物5品目を含む関税の引き下げや主食用米の輸入拡大が現実味を強めている中で、米価暴落への対策も不十分であり、さらに「農協改革」を打ち出し、安倍総理は根拠もなく農業所得倍増と言っている下で、農地中間管理機構による集約化や、農業所得向上支援事業で、農家戸数日本一の長野県で頑張っておられる農業者や新規就農者への確かな支援になるのか疑問です。県は、国に対して価格保証・所得補償制度を求めて欲しいと思います。
最後に、早期議決をした「地域の消費喚起の交付金」は、「ふるさと名物商品、ふるさと旅行券」20億8500万円によって見込まれる消費額は40億円程度であり、地域の消費喚起としての経済波及効果が小さいと言わざるを得ません。交付金のほとんどを「ふるさと名物商品」「ふるさと旅行券」にあてるのではなく、国は低所得者支援のメニューも示しています。県民の暮らしを応援するために交付金を組み替えることを再度検討すべきです。
以上申し上げまして、平成27年度一般会計予算案と平成26年度一般会計補正予算案の反対討論とします。