日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年2月定例会 石坂ちほ議員一般質問

  1. 生活困窮者への県の支援について
  2. 若者サポートステーションについて
  3. しなの鉄道北しなの線の開業準備について
  4. 県の女性管理職の登用について

1.生活困窮者への県の支援について

【石坂議員】
 生活困窮者への県の支援についてお伺いします。
 東京日比谷公園での年末派遣村の取り組みをきっかけに始まった「絆」再生事業は、国のモデル事業として民間の取り組みに行政が支援する事業として、長野県では3年目を迎え、今年度は一箇所100万円の補助金が7箇所に支援されました。ホームレスや病気、失業で働けない生活困窮者、心を病み、人生に疲れた人たちの日常的な相談活動や生活必需品、食糧支援や助け合い活動、居場所作り、生活困窮家庭の子どもたちのための無料学習塾など、ほとんど無償提供のボランティア活動や募金で成り立っている活動に、この事業での財政支援は本当に喜ばれてきました。
 しかし、来年度、国は「絆」再生事業の財源措置をしないことになり、新年度予算案では県単独事業として継続されることになりました。事業の継続を歓迎するものの、補助額は一箇所100万円から50万円に減額されることとなり、関係者は困惑しています。実際には補助額以上の運営費がかかっている実態を踏まえ、県の支援を最低でもこれまでと同額とすべきと考えますが、いかがでしょうか。小林健康福祉部長にお伺いします。
【健康福祉部長】
 絆再生事業の県の支援についてお答えをいたします。絆再生事業は、民間団体が不安定な就労・居住環境にある方々に総合相談や居場所の確保などに支援を行う取り組みに対しまして、今年度までに財源としてその全額に国の緊急雇用創出基金を充てて助成したものです。国は本年4月の法施行により、絆再生事業の取り組みの多くが新しい制度における自立相談支援事業などとして実施するものと位置付けまして、この事業を国庫補助の対象から除外したところでございます。
 県といたしましては、これまでの実績を考慮しつつ、来年度も必要な事業が実施できるよう、新たに県単独事業により実施することとしたものでございます。厳しい財政状況のなか、国庫補助対象から離れたこの事業の必要性を県として認めまして、単独事業として新たに一般財源を確保し、新しい制度との整合を図りつつ事業を実施できるよう対応したものでございますので、そうした状況であることをご理解いただきたいと考えております。
 来年度は生活就労支援センターが全県下に設置されその充実が図られることから、そうした体制のもと、この事業などによりましてさまざまな団体との連携を深めながら、生活困窮者に寄り添いつつ、必要な支援あるいはこの支援の実績などもお伺いしながら、必要な支援ができるように努めてまいります。
【石坂議員】
 部長のご答弁ですけれども、全然実態に合っていないんですね。
 たとえば、長野市の反貧困ネットワーク長野の場合、この事業を活用して交流のための居場所を開設し、今年度だけでも年間のべ1476人の方が利用しています。利用者のホームレスだった50代の男性は、生活保護を申請し、住居を得て、非正規雇用で就労できるようになり、この居場所の運営にもボランティアとしてかかわり、昨年9月に生活保護から自立し今年1月から正社員になってがんばっています。この居場所の家賃一ヶ月35000円を含めた光熱水費、維持費だけで昨年度は61万円がかかっています。これで県の補助金50万円は終わってしまい、残りはすべて持ち出しになります。見返りは一切求めない活動であっても、行政のささやかな100万円の支援が、ここで50万円に後退するのは、本当に残念でなりません。相談と支援が一体のこの活動が、これでいいんでしょうか。健康福祉部長、このままでいいのかお答えいただきたいと思います。
【健康福祉部長】
 絆再生事業への県の支援につきまして改めて質問をいただきました。
 県といたしましては、先ほど申し上げましたように、これまでの実績を考慮しながら国庫補助の対象外となったこの事業の必要性を認めて県単独事業として今回措置したものでございます。
 それぞれの団体のそれぞれの実情というものはあろうかと思いますが、全体とすれば、この事業につきまして、特に相談事業については、今回全県下で展開する就労支援センターが担う部分もかなり多いと考えているところでございますので、こうしたなかで、事業の実施について私どもとしては支援をしてまいりたいと考えております。
 ただし、こうした全県下で行われる生活就労支援センター、この事業につきましては27年度が初年度となることから、この実情、実績についてはこれからもお伺いしながら支援について考えてまいりたいと考えております。
【石坂議員】
 実態にあった支援ということを改めておねがいしておきたいと思います。
 知事にお伺いします。アベノミクス効果や「地方創生」が叫ばれる中でも、現実の県民生活の厳しさや格差と貧困の広がりの中で、生活困窮者の支援は、政治のますます重要な課題となっています。生活困窮者の自立支援にかかわる県事業を、今後、全体としてさらに充実、発展させて行くことが必要と考えますが、阿部知事のご見解をお伺いします。
【阿部知事】
 生活困窮者の支援に関わる県事業の充実発展についてというご質問でございます。長野県、平成23年度から関係の皆様方と連携していわゆるパーソナルサポートモデル事業進めてまいりましたし、今ご質問にありました絆再生事業等、生活困窮者自立支援に取り組んできたところです。
 格差社会と言われるなかで、やはり生活に様々な課題を抱えてらっしゃる県民の皆様方を支援していくということは、県としてもしっかり取り組むべきテーマだと考えて、この間ずっと取り組んできております。特にパーソナルサポートについては、この議場でも何度もお答えしておりますが、私自身の強い思いもありまして担当課にも相当頑張らせて、その期待にこたえて来年度に向けても市町村との調整、地域福祉課中心に頑張ってもらったところです。
 その結果として、今年度は6市でパーソナルモデル事業を共同で実施してきておりますし、また寄り添い型の支援という理念が継承できるよう取り組んできました。体制の整備につきましては一昨年の秋から各市と協議を重ねてまいりました結果、県内19全市と県は町村を担うということで、市と県とが緊密に連携して事業に取り組むということで、この4月から生活就労支援センター県内23箇所オープンして、相談態勢がこれまでに比べると飛躍的に拡充されるという予定になっております。
 本県におきましては他の県とかなり進んだ所があると思っております。市とかなり調整をしてまいりましたので、まずこうしたセンターの名称「生活就労センター」愛称「マイサポ」と呼んでいますけれども、これは県と市で統一的に運用してまいりますので、相談される方にとって分かりやすくなると思います。また、市と共同でセンターを設置する等、広域単位での効果的な支援ということも行ってまいります。さらには、行政の機関だけではなく消防団体等多様な団体含む支援ネットワークをこれまでも構築してまいりましたし、そうしたものをこれからも生かしていきたいと思っています。
 これは全国にも誇れる制度・仕組みと考えております。また今後、全市町村に、就労生活支援センターの前段階での一時相談窓口を置いてもらうようにしていきたいと思っておりますし、市の支援員についてもこれまでの私どもの経験や成果を生かした研修を行って、市町村との連携、人材育成についても充実強化を図っていきたいと思っております。
 また、一般就労に結びつかない若年就労に対する就労準備支援事業、あるいは金銭管理に課題があり生活の再建が困難な方々に対する家計相談支援事業にも新しく取り組んで事業の充実を図ってまいります。
 生活困窮者支援事業については県の重要な施策と考えています。来年度、国の制度改正もあって、県と市でいっしょに事業に行う形になります。
 今年度県が取り組んでまいりましたパーソナルサポート事業が約1億9千万でありますけれども、来年度は市町村分と合わせて4億3500万円と、ほぼ倍以上の事業費を県と市町村で投入して生活困窮者支援にあたっていくという形になっています。
 今後とも、様々な困難を抱えた方々が地域で孤立していくことが無いように、行政だけではなくて民間団体の皆様方との連携の輪をさらに広げていくことによりまして、自立支援の充実そして制度仕組みの発展に向けて取り組んでいきたいと考えています。
【石坂議員】
 事業の重要性については十分認識していただき、全体としては取り組みを強めていただいていると思いますので、私も県の財政の厳しさは重々承知していますが、一箇所100万円の生活困窮者の自立支援の活動への補助金の数箇所分が捻出できない長野県ではないはずです。何億円もの費用額を出すという状況が一方であるわけでありますから、是非、さまざまな知恵を絞って、絆再生事業、新年度補正予算での対応も含めて、今後の前向きな検討を求めたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
【阿部知事】
 絆再生事業についてしっかり取り組めとご質問でございます。
 先ほど部長が答弁したように、これは国の制度としてスタートしたものを、やはり意義があるということで県単独事業として継続していこうということで意思決定したわけです。今の直近のご質問にもございましたように、福祉とか生活困窮者支援、国が制度を変えたから右だ左だというふうには本来いってはいけない話ですが、どうしても分権がまだ、私とすれば不十分、振り回されている感は正直否めないなと思っております。
 ただ、この絆再生事業については先ほど私が答弁申し上げた、生活就労支援センターを充実してまいります。私どもも単に財政的に厳しいからどんどん切っていくということだけではなくて、今回例えば専門の皆様方の相談の部分については、予算査定のなかで削減させてもらっています。それは今回例えば生活就労支援センターのなかでの相談態勢を充実していこうとでありまして、そうした部分、私の立場からすると、率直に言ってもっと我々の側も連携しなければいけないし、様々な支援活動行っている皆さんも、ぜひ一緒になって、それぞれが、行政だけが頑張るあるいはNPOだけが頑張るという観点ではなくて、やはり行政が得意な分野、そしてNPOが得意な分野、それぞれあるわけでありますから、しっかりと連携していくことでより効果的な対応をしていくということが重要だろうと思っています。
 そういう観点で予算のあり方については、私は県として理由がない、単なる削減とは考えていません。ただ、こうした活動されている皆様方の声とか思いというものを十分聞きながら、さらに連携できるように、どういう形で県として対応すればいいのかということについては、しっかりと考えていきたいと思っています。

2.若者サポートステーションについて

【石坂議員】
 若者サポートステーションについてお伺いします。
 いわゆるニートと呼ばれる仕事を持たない若者や学校中退者など15歳から39歳までの若者を対象に、本人や保護者に寄り添った粘り強い相談活動を通じて、働きたい気持ちがあっても踏み出せない若者に、各種セミナーやグループ活動、職場体験などを通じて自立をサポートする活動を行なっている厚生労働省の認定事業で、長野県内には3箇所が設置されています。
 長い間社会とのかかわりがなく、コミュニケーションが苦手、自分自身に自信が無いなど、何らかのメンタル的な疾患を抱えている若者たちが、サポートを受けて時間をかけて自立して行く大切な事業です。長野若者サポートステーションでは、進路決定に至った若者が5年前には16人、翌年は25人、次の年は65人、昨年度は91人、今年度は現時点で88人と、多くの若者の自立をサポートしています。
 ところがこの事業は、NPOなどが都道府県の推薦を受けて、毎年、企画競争に応募して選定されるという方式になっているため、今年の場合で言えば2月18日までに計画書を提出し、選定の結果は3月半ばということで、実績を上げてがんばっている事業者が翌年も必ず選定されるという保障はありません。支援員の雇用が1年契約のため、若者の相談を受ける立場である支援員が、自分の身分の不安を抱え、年度末にはハローワークで自分自身の求人を探しながらでは、満足に若者の相談を受けられません。支援員を最低でも3年程度の雇用継続ができるよう、事業の仕組みの抜本的な改善を国に強く働きかけていただきたいと思いますが、県としてはどう位置づけているのでしょうか。産業労働部長にお伺いします。
【産業労働部長】
 若者サポートステーションについてのご質問です。
 この事業は国の事業でございまして、厚生労働省が選定した民間団体が働くことに悩みを抱えている地域の若者やその家族を支援するものでございます。
 そこではご指摘のように、キャリアコンサルタントによる専門的な相談や、自立に向けた支援プログラム、協力企業によります就労体験など、多様な支援策が提供されており、若者の就労に向けた重要な役割を果たしていると認識しております。
 ご指摘の支援員が一年契約の雇用であることにつきましては、実施団体の選定が国において毎年度、事業内容の提案型の競争で決定されているため、年度ごとの契約となっているものと思われます。若者に寄り添った相談や、個々の状況に対応した丁寧な対応を行うためには、支援員の身分の安定も必要ではという質問は、私どもといたしましても同じ思いでございます。
 県といたしましては、支援員が不安を抱えることなく若者の就労に向けた支援に専念できるよう、少しでも早い段階で事業の改善を国に要望してまいりたいと考えております。

3.しなの鉄道北しなの線の開業準備について

【石坂議員】
 しなの鉄道北しなの線の開業準備についてお伺いします。
 3月14日、北陸新幹線の金沢まで延伸に伴い、長野以北の並行在来線は、しなの鉄道北しなの線として開業します。現在、しなの鉄道はワンマン運転となっていますが、北しなの線でもワンマン運転が予定されているとお聞きします。しかし、もともとワンマン運転については、しなの鉄道の労使で合意しているわけではなく、会社側と労働組合側とは継続協議の状態のまま運転されているのが実情とのことです。労働者側は、ワンマン運転については安全面で不安をもっている上に、北しなの線は現在のしなの鉄道よりも条件の悪い、全国有数の豪雪地帯を走るわけであり、このまま、合意のないままでワンマン運転で開業することは、乗客の安全にも関わる重要な問題だと考えます。現在運行しているJRでさえ、ツーマン体制で運転しているのに、豪雪地での運行は初めてのしなの鉄道がワンマン運転でよいのでしょうか。県としての見解を企画振興部長にお伺いします。
【企画振興部長】
 北しなの線のワンマン運転についてのお尋ねでございます。しなの鉄道では平成16年からワンマン運転を導入し、現在では軽井沢から篠ノ井までの全区間で3両編成以下の列車についてワンマン運転が実施されている所でございます。
 開業を迎えます北しなの線につきましても、平成24年に策定いたしました長野以北並行在来線対策協議会が策定しました経営基本計画におきまして、現在のしなの鉄道線と同様に、3両編成以下の列車でワンマン運転を実施することとされています。
 現在しなの鉄道では、自社の車両を北しなの線の区間に乗り入れるなどしまして、豪雪地帯でのワンマン運転にむけた習熟訓練を実施しているところでございます。またこの北しなの線におけるワンマン運転の実施については、これまでもしなの鉄道と労働組合の間で話し合いがもたれており、開業後におきましても改善が必要な場合には労使間で対応を協議すると聞いております。
 県では、これまでもしなの鉄道ではワンマン運転の実績の元、北しなの線のワンマン運行にむけて必要な準備を着実に進めていると認識しておりますけれども、引き続きしなの鉄道に対し北しなの線の安全が十分に確保されるよう求めてまいりたいと考えております。
【石坂議員】
 今、お話のありました習熟運転の中身なんですけれども、JRの運転士さん付き添いの下、当然教えていただくわけですから、4回ほど一人の運転士さんが運転してそれも昼間だけということで、ワンマンでの豪雪地での習熟運転の訓練はしていないわけですよね。そのまま開業するわけです。
 仮に、豪雪時に、運行中に列車が立ち往生した場合、運転手は、まず乗客の安全確保とともに車輌の安全管理、保全の責任があります。ひとりその両方の責任、乗客の安全と車両の安全はとても負えないのではないでしょうか。そもそも、しなの鉄道の車輌にはトイレが無いのですから、駅でない、周囲に人家も無い場所で立ち往生したら、もう最悪の事態です。非常時の代行運転などの手立て、体制は大丈夫なのでしょうか。このことは豪雪時でなくても、起こり得ることです。また、過去においては、この路線で、線路脇の融雪溝に住民や鉄道職員が流されて亡くなった事故もあったとお聞きしています。豪雪地帯特有の困難な条件に見合った体制の確保ができるように、一定期間の習熟運転、豪雪の時期を経た習熟期間、その間ツーマン運転、車掌の配置などができるよう、県も支援して行くべきではないかと思いますけれども、再度、企画振興部長にお伺いします。
【企画振興部長】
 再度のご質問でございます。県の立場といたしましては、北しなの線が安定的で安全な運行が十分確保されることをしなの鉄道には改めて求めてまいりたいと考えております。運行後につきましても改善が必要な場合には、労使間で対応を協議するときいておりますので、そうしたことも踏まえてしなの鉄道として十分な態勢にもっていただくことを求めていきたいと思っております。
【石坂議員】
 平成16年以降ずっと労使の合意のないままのワンマン運転、それがさらに困難な路線でワンマン運転。それで良いのでしょうかということを申し上げておりまして、ぜひ労使の合意を勝ち取っていただく為の県のご支援をお願いしたいと思います。
 北しなの線は、軽井沢―篠ノ井間に比べれば、豪雪地帯を抱えて、乗降客数も少なく、当初から困難な条件の中での出発となります。利便性の向上、乗降客数確保のためには、人口の多い長野市市街地への中間駅の設置や駐車場の確保などにも、長野市とともに支援して行くことが重要と思われます。中間駅の設置の場合の県としての支援策をどのように検討されているかも、あわせてお伺いします。
【企画振興部長】
 北しなの線の中間駅設置についてのお尋ねでございます。しなの鉄道へ新駅を設置する際には前提条件がございまして、採算性の確保、利便性の向上、設置費用を地元市町等で負担することなどが前提とされているところでございます。
 北しなの線への新駅設置につきましては、現在地元長野市におきまして、北長野、三才駅間への駅舎の設置、駅前広場や駅周辺へのパークアンドライド用駐車場の整備等の可能性について、詳細な調査を実施しているところでございます。今後この調査結果を踏まえて長野市としての方向性が決定されるものと承知しておりますので、県としてはその決定を踏まえたうえで対応を検討してまいりたいと考えております。
【石坂議員】
 決定した場合には支援をしていくという立場ということでいいでしょうか。確認をさせていただきます。
【企画振興部長】
 県の支援についてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたとおり、長野市の方向性が決定した段階で、その決定を踏まえたうえで対応を検討してまいりたいと考えています。
【石坂議員】
 長野新幹線の開業にあたりまして、JRから経営分離される並行在来線を県が責任を持って鉄道として存続させる、これは県の沿線市町村に対しての約束です。しなの鉄道の安全運行は、県に最終的な責任が、その意味であります。コストを優先するあまり、安全が損なわれることの無いように、いっそうのご支援を要望しておきたいと思います。

4.県の女性管理職の登用について

【石坂議員】
 県の女性管理職の登用についてお伺いします。
 内閣府男女共同参画局の調査によれば、昨年4月1日現在、長野県の警察を含む県職員で課長級以上の管理職797人のうち、女性は27人にとどまり、その比率は3・4%で、全国の都道府県のうち最低の山口県(2・4%)、秋田県(3・0%)に次いで低いほうから3番目となっています。
 長野県では、平成14年12月、議員提案で、議会と県で一緒になって男女共同参画社会づくり条例を制定した経過があり、私も委員として制定にかかわらせていただきました。企業、労働をはじめとする各分野のかたがたにもご参加いただき、県下4箇所で県民の皆さんのご意見を聞くフォーラムを開催し、全国的には県レベルでは遅いほうの制定であったため、長野県らしさを盛り込もうと議論し、前文には「女性就業率が高く、農業などの産業でも女性が重要な担い手となっている長野県で、・・(中略)・・・性別によって制約されることなく、伸びやかに暮らせる長野県」にするために、この条例を制定することを明記し、第25条では、県の職場における環境整備等について、第2項で「県は、県の職員について、女性の登用を促進し、及び職域を拡大するための総合的な取組を推進するものとする。」と規定したことに、長野県条例の特徴と、制定にかかわった県議会の思いがあります。
 その後、県議会の男女共同参画社会づくり推進議員連盟として、ワーキング・チームを作り、精力的に県内外の調査を行ない、村井知事時代には、石田治一郎会長を先頭に、県の総合計画に、女性管理職登用の数値目標を持つことも提案してきました。
 ようやく、しあわせ信州創造プランにも数値目標が掲げられ、一歩一歩前進してきているはずだったのに、全国レベルからは大きく立ち遅れている現状は、本当に残念でなりません。また、内閣府の調査結果がマスコミ報道された際、県の担当者の「必要な研修が不十分だった」とのコメントがテレビで報道されました。数値目標を掲げながら、その目標達成のための研修が不十分というのでは、あまりにも無責任です。この状況をどう受け止めているのか、研修を含め、今後どうしていくのか。知事の見解をお伺いします。
【阿部知事】
 県職員の女性管理職員の登用についてのご質問でございます。私も長野県以外の地方自治体あるいは国家公務員として勤務しておりましたので、長野県は著しく低いというのは皮膚感覚としても実感しておりますし、先ほどご紹介いただきましたように、調査においても管理職への登用割合が低いと出てしまったことは、早急に改善に向けた取り組みを進めていく必要があると思っております。
 ただこれまでも全く何もしてきていないわけではないわけでありまして、石坂議員のご質問にもありましたけれども、男女共同参画の方向の中でいろいろ取り組みを進めてきたところであります。
 今の長野県の状況を申し上げますと、まず県職員全体に占める女性職員の割合は約2割であります。そもそも全体の中での女性職員が少ないですが、特にご指摘の管理職となる年齢層、どうしても公務員の場合、いきなり20代の課長をつくるということはできないわけでありますので、50歳代の職員のうちの女性の割合13%というのが現状であります。これまでの人事異動の流れからいうと、だいたい係長に昇任してから課長には10年程度かかっているというわけでありまして、1,2年あるいは3,4年の間で飛躍的に管理職の女性を増やすというのは率直に言って難しい状況です。しあわせ信州創造プランのなかにも数値目標を設けましたが、私はもっと管理職で目標をつくるべきではないかということも言いましたが、ただその前の段階の女性層が少ないということで、しあわせ信州創造プランにおきましてもまずは係長級以上の職員についての女性割合を増やそうということで数値目標を作ろうということで、目標設定をさせていただいたところであります。
 平成28年度当初に12%以上という形で目標設定をさせていただいておりまして、私が知事になった平成22年当時は8.1%という状況でありましたけれども、これは5割増しにいていこうという数値目標を掲げて女性職員の登用に努めているところであります。26年度当初の段階で申し上げますと10.8%ということで、22年度のときの女性係長級以上職員が222名だったところが310名ということで、かなり増えてきている状況であります。
 そういう意味で将来の管理職候補は着実に増えてきているというふうにぜひご理解いただきたいと思います。
 またあわせて、一般職以外、特別職の選任についても私はやはり女性の参画の視点も重要だと考えておりまして、そういう観点でこれまでも男性女性問わず人選を行っているところであります。組織の活力を高めていく上では男女問わず職員一人一人が意欲を持って能力を発揮していく環境を整えるということが大変重要だと思っております。来年度新しく職員キャリア開発センター設置をさせていただく予定であります。職員が主体的に能力開発を行えるよう、研修体系を見直してまいりますし、あわせて、ワークライフバランスの推進等にも取り組んで、女性職員もさらに一層活躍できる環境づくりに努めていきたいと考えています。
【石坂議員】
 ただいまの知事のご答弁にもあったわけですが、内閣府の調査は、本庁課長相当職以上の登用率ということで全国の調査をしておりますが、県のしあわせ信州創造プランでは、係長級以上の数値目標の設定になっています。裾野を広げて行くという点では、係長級以上の数値目標を持ち、達成の努力を進めていただくことは重要と思っておりますので、どうでしょう、しあわせ信州創造プランの係長級以上の計画年度内に達成できる見込みかどうかをお伺いし、その数値目標を達成していく流れのなかで、本格的な課長級以上の数値目標も持っていただいて、いっそう全国レベルに近づく努力をしていただくと。そういう目標設定と努力の方向をお願いしたいわけでありますけれども、現状打開のためにぜひ課長級以上の数値目標の設定を検討していただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。

 あわせて、県警本部長、教育長にお伺いします。
 県職員の女性管理職登用率全国45位の長野県ですが、警察本部は全国平均1.0%に対し、長野県警は0%です。0%の県は22県ありますが、最高は香川県の2.9%で、2%台の県は8県あります。女性職員の採用では、がんばっていただいている長野県警ですから、女性ならではの分野で管理職の登用にもご努力いただきたいと思いますが、県警本部長、いかがでしょうか。

 教育委員会は、女性管理職の登用率全体では、全国平均9.4%に対し、長野県は10%で、全国平均をやや上回っていますが、小中学校、高校、特別支援学校の校長、教頭では、高校の教頭以外はすべて全国平均を下回っています。中でも中学校の校長が全国平均5.7%に対し、長野県は2.8%、特別支援学校の校長が全国平均21.3%に対し、長野県は11.1%でともに約半分となっています。学校現場での女性管理職登用のための今後の課題と登用率向上の決意を教育長にお伺いします。

【阿部知事】
 まずしあわせ信州創造プランの目標達成、これは対外的にも議会の皆様にもお示ししている目標でありますから、達成にむけて全力で取り組んでいきたいとと思っております。
 また管理職以上の設定というご指摘でございますが、今まさに来年度の人事作業中と言う状況でもあります。そうしたなかでもこの女性の職員配置ということは、私も意を用いて考えているところでございますが、そうしたことも踏まえて、管理職以上の目標設定、どういう形でできるのか、可能なのかという点については、今の人事作業が終わった段階で、どこまでできるかということも見定めた上で考えていきたいと思います。
【警察本部長】
 本県警察では平成元年に初めて女性警察官を採用致しまして、現在全警察官に占める女性警察官の割合は7.9%になっておりますが、平成23年に策定致しました女性警察官の採用登用の拡大にむけた計画に基づき、平成33年4月までにその割合を10%にすることとしています。警察官の承認はそれぞれの階級における一定の勤続年数等の資格を有する者が昇任試験に合格することが必要でございまして、性別にとらわれることなく能力実績などに応じて幹部になります。
 現在警部の階級に3人の女性警察官がおりまして、警察本部のこども女性安全対策課の課長補佐、警察署の生活安全課長の要職に就いておりまして、みな活躍しております。女性警察官の職域はその能力適性に応じた配置をしておりまして、あらゆる分野に広がっておりますが、特にストーカーや配偶者からの暴力などの人身安全関連事案、それから性犯罪に係る被害者支援、こういった業務でその特性を発揮しておりまして、今後も積極的に人材登用に努めてまいりたいと考えております。
【教育長】
 学校におきます女性管理職の登用に関するお尋ねでございます。県教育委員会では平成25年3月に策定を致しました第2次長野県教育新興基本計画におきまして、平成29年度の女性管理職の割合を市町村立小中学校では15%、県立高等学校では7%にすることを目標に設定し、女性管理職の登用に努めているところでございます。
 その結果平成26年5月時点で、女性管理職の割合は市町村立小中学校で14.1%、県立特別支援学校で16.7%、県立高等学校で6.8%となり、いずれも前年度を上回り順調な進捗状況にあるという状況であります。
 今後さらなる女性観利殖の登用を目指すためには、次の管理職を目指す層の拡大を図ることが重要だと考えておりまして、女性教員が積極的に研修等に参加できるように、また学校内で指導的な立場に任用されるよう、市町村教育委員会や学校に働きかけるとともに、家庭状況に配慮した人事配置を行うなど、女性教員が力を発揮しやすい環境づくりに一層努め、女性管理職の登用率向上を図ってまいりたいと考えております。
【石坂議員】
 女性管理職の登用の先進と言われる県の取り組みを以前調査にお伺いした折に、人事担当の部門に例えば、長野県の組織で言えば男女共同参画課とか女性課とかいうようなところの担当している女性の幹部が人事課にも席を置くという形で、全体としての底上げのために、男女共に同じテーブルで人事の作業をしたり、そういういろんな工夫もされておりました。
 長野県にどういう方式がいいのかということは私は分かりませんけれども、ぜひそのへんも心がけていただいて、いっそうのご努力をお願いしたいと思います。

 さて、様々な角度からお答えを頂きましてありがとうございました。
 私は長野県議会では36年ぶりの女性議員として、「弱い立場の人たちに、あたたかい県政の光を」ということを私の政治信条として、6期24年間県会議員をつとめさせていただきました。県民の皆様、知事はじめ理事者や県職員の皆様、同僚議員の皆様には大変お世話になり、心から感謝を申し上げます。
 今後は、一県民として、県民の願いに寄り添った希望ある県政の発展を心から願い、私の最後の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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