日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年6月定例会 備前光正議員一般質問

  1. 子どもの医療費窓口無料化について
  2. 塩尻市の分娩環境整備について
  3. 介護保険制度について
  4. 大北森林組合補助金不正受給問題について

1.子どもの医療費窓口無料化について

【備前議員】
 日本共産党県議団、備前光正です。子どもの医療費の窓口無料化について伺います。
 2012年の日本の子どもの貧困率が16.3%と過去最大となり、6人に1人が貧困であるという計算になります。さらにひとり親家庭の貧困率は54.6%、実に2人に1人は貧困状態にあるという深刻な状況といわれています。
 昨年、わが党の代表質問で両角県議が子どもの歯科保健についてふれ、県保険医協会の2013年報告書では学校歯科検診で、要受診と診断された児童生徒のうち小学生が4割強、中学生の6割強も歯科受診していないということを明らかにしました。しかも受診しない理由は、親の仕事が忙しく、長期にわたる治療には通えないなど、家庭の経済状況の深刻さもあることを取り上げました。
 子どもの健康問題である小児科医師からの話ですが、3歳の女の子の喘息による発作と思われる咳が2週間ほど続いていたのですが、保育園の担任からは「咳がひどくて、お医者さんの受診を勧めたが、なかなか医者にかからないことがあった」といいます。母親は「お医者さんにみせた方がいいのはわかっている。でも今お財布に千円しかない。これでは病院で支払いができない。家にある薬で様子をみるしかない」と言われたそうです。医師は子どもの貧困対策として、「そうはいっても命に関わることではないのではないか。困る人はわずかではないか」と思われるかもしれないが、実際にはそうではない。と、現場から医療費窓口無料化の実施を求めています。

 これらを踏まえて以下質問いたします。
①子どもたちの健康診断について、学校保健統計調査がおこなわれていますが、長野県の子どもたちの疾病、異常についてどういった傾向がでているでしょうか。また、県保険医協会の学校歯科治療調査にあるように、歯科受診を指摘されても未受診の子どもたちが多いということですが、教育委員会ではどのように状況をつかみ対応されているのでしょうか。教育長に伺います。

②また学校保健統計調査の内科的項目異常が指摘された者の中で、喘息が指摘される割合はどうなっているでしょうか。教育委員会のデータから作成してみましたが、2014年度の学校保健調査における内科的疾患出現率ですが、異常が指摘された中で、喘息をピンクで示すように小中学生で30%前後、幼稚園・高等学校で20%前後と緑のアトピーと並び最多です。
 次にここ2年間の喘息の被患率は赤・黄色の本県は幼稚園・高校は青と水色の全国データとほぼ同様ですが、小・中学校で全国値より2%近く高くなっています。これらについて本県の状況はどうあるとお考えか教育長にご所見を伺います。

③また先ほどの小児科医の話のように子どもの貧困が進む中、経済的理由から治療を中断・中止する事例があると聞きますが、子どもたちを取り巻く状況はどのように認識されているか、以上教育長に質問します。

【教育長】
①学校保健統計調査の傾向及び小中学生の歯の治療についてのお尋ねでございますが、平成26年度の学校保健統計調査によりますと、本県におきましては、いずれの校種においてもむし歯及び裸眼視力1.0未満の者の被患率が高く、幼稚園児及び小学生では虫歯が、中学生及び高校生では裸眼視力1.0未満の者が1位となってございます。
 傾向といたしましては、かつては全ての校種でむし歯が疾病等の1位でございましたが、虫歯のある子どもの割合は一貫して低下してございまして、中学生及び高校生では平成19年度から裸眼視力1.0未満の者が1位となっています。その他の疾病等の割合は、過去5年程度大きな変動はなく、全国平均と比較しても、項目によって若干の上下はございますが、大きな乖離はないところでございます。
 各学校におきます定期診断後の治療実施状況については把握はしてございませんが、虫歯の治療に関しましては、後処置あるいは治療中のものが小学生が21.9%、中学生が13.8%でありまして、10年前と比較しますと2割から3割程度低下してきているところでございます。

②次に喘息の割合についてでございますが、先ほどお示しをしていただきました図のとおり、平成26年度の本県と全国の喘息の被患率は、小学生段階では本県5.6%、全国平均3.9%、中学生では本県4.5%、全国平均3.0%と、いずれも全国平均を上回ってございますが、高校生の段階になりますと本県は1.4%で全国平均1.9%を下回っているということで、学年があがるに連れて治癒、治療されて治っているという状況でございます。
 なお、本県、全国とも過去5年程度、同程度で推移しているところでございます。

③次に、経済的理由による治療の中断等についてのお尋ねでございますが、学校における定期健康診断の結果を踏まえまして、治療が必要な場合には本人及び保護者に通知をしており、治療が行われない場合は文書で促す、学級担任が治療予定を確認する、保護者懇談会等の際に養護教諭から指導するなど、学校の実情に応じ対応しているところでございます。個々の治療の未実施や中断の状況等については把握してございませんが、保護者や本人の健康に対する意識が低いことことに加え、一部には経済的負担が困難などの理由もあると思われます。なお、本県でも市町村から就学援助を受けた児童の割合は近年徐々に増加してございまして、子どもの貧困対策は学校教育においても大変重要な、対応が必要な課題であると考えております。

【備前議員】
 小児喘息は発作時に呼吸困難など緊急で受診することの多い病気ですが、発作を起こさないようコントロールすることで治癒する可能性が高いといわれています。すなわち、発作を起こさないように子どものうちに治療していけば成人まで引きずらさず、将来的には医療費の削減にもなると思われます。そこで現行の一旦窓口で医療費を支払う償還払い方式は、重要な小児期の受診時に所持金の持ち合わせがなければ受診を躊躇させ、発作のコントロールをしづらくしないか、これらの事について健康福祉部長の見解をお尋ねします。

 子どもの医療費について、今年度対象年齢の拡大を行って頂いたことは評価するものです。しかしこうした子どもたちの貧困と格差の拡大が進む中、全国の趨勢や昨年来県民から知事と県議会に対し10万人近くの署名が寄せられておりますし、今回の県議選の中でも福祉医療給付制度の改善をすすめる会のアンケート調査では、判明しているだけでも24名の議員が賛意を示しているといいます。国会では与党公明党の代表からも、こどもの医療費窓口無料化をすすめる上で足かせでもある国保への国庫補助金カットのペナルティの解消を言及するなど変化が現れております。そこで今こそ子どもの医療費窓口無料化の実施を求めるものですが、知事の英断を求めますがご所見を伺います。

【健康福祉部長】
 子どもの医療費の窓口無料化についてのご質問でございますが、子ども医療費の窓口の負担のあり方につきまして、県といたしましては受給者の給付申請手続きの負担軽減のために、償還払い方式のなかでも自動給付方式を採用しております。
 窓口での支払いが経済的に困難な方については、市町村が実施する福祉医療費貸付制度などの利用が可能であり、安心して子どもを受診させることのできる環境をさらに整備してまいりたいと考えております。さらに県といたしましては、その貸付制度に関わる利用手続きの簡素化について市町村と共同研究を進めているところでありまして、そうしたことで経済的に困難な方々の負担軽減を図ってまいりたいと思います。
【阿部知事】
 子ども医療費の窓口無料化についてのご質問でございます。共産党県議団の皆様方からは何度もご質問いただいている件でありますけれども、基本的にはこうした社会保障の根幹に関わるようなものは国の制度でしっかりやってもらいたいというのが、率直な考え方であります。ただ県としても、単に国に何とかしてくれと言うことだけではなくて、しっかりと子育て家庭の皆さんの経済的負担の軽減に取り組まないといけないと思っております。
 そういう観点で、昨年12月に子育て支援戦略を策定して、まずこの福祉医療費については入院小学校3年生まで助成対象にしておりましたが、中三まで拡大をしています。何度も言わないとなかなか世の中に広がらないので、色々繰り返していますけれども、障害児の所得制限も、18歳までの障害児については所得制限を廃止しています。加えて市町村で取り組んでおられる福祉医療費の資金貸付制度の手続きの簡素化、これも市町村に働きかけると同時に県も一緒になって簡素化に取り組んでいこうという方向を出して、市町村と一緒に具体的な取り組みを始めているところであります。
 福祉医療制度のみならず子どもの支援、ぜひ多角的多面的な観点から進めなければいけないと思っておりまして、子育て家庭へのアンケートをみると、保育料支援が一番ご要望として高かったということもあり、今まで県として保育料支援はやってきておりませんでしたが、今年度新たに多子世帯への保育料支援も県から市町村から補助金を出して対応するということを始めたわけであります。
 そしてうちの県の場合は市町村もかなりがんばっていただいていますので、全国レベルで28年4月から県下すべての市町村で所得制限なしで中学校卒業までの入通院を対象として医療費助成がなされるという方向になっています。全国的に見ればかなり高い水準であるというふうに考えております。
 今後とも子育て支援と言うのは地方創生の大きなテーマでもありますので、市町村とも協議をしながら、あるいは子育て家庭の皆さんのご意見もお伺いながら県として取り組んでいきたいと思っております。
【備前議員】
 ただいまご答弁いただきました。何度も共産党県議団というふうに言われますけれども、この議会でも24名の方々、そしてやはり全国の趨勢でみるべきと思います。38の都府県ということで広がりつつあり、石川県では市町村が窓口無料化をすすめることによって県が今動きつつある。三重県、福井県もそうである。
 そうした中において、今月知事のもとに県小児科医会から子ども医療費窓口無料を求める要望書が届けられたと思います。ここでは貧困対策として子育て支援としても極めて重要な優先順位の高い課題として求めるというふうに言われていると思いますけれども、今回は喘息を課題としてお話しをさせていただきました。小児医療を現場で担われる医師たちからの要望は重いものであると思いますが、知事はこれをどう受け止めておられるか、お伺いいたします。
【阿部知事】
 私の答弁分かりにくかったかもしれませんけれども、けっしてその医療費の支援がまったく遡上にのらないということを申したわけではなくて、まずは本来国がしっかり考えるべきものと。これは再三国に対して言ってきています。その上で子育て世帯に対する支援については様々ご要請もありますから、幅広く検討していくということであります。

2.塩尻市の分娩環境整備について

【備前議員】
 塩尻市内での分娩施設がなくなり5年が経過しました。またこの3月をもって大北地域の分娩を担ってきた大町市立総合病院の分娩中止など分娩環境の深刻さは一段と増しています。ここでは私は塩尻市での分娩施設の再構築について取り上げたいと思います。
 5年前に塩尻市で市産科医療研究ネットワーク協議会を設立してきました。この時約4000人からの市民アンケートでは実に9割以上の方が市内に分娩施設ができれば利用したいと答えています。
 松本医療圏域ということでは分娩医療機関は松本市・安曇野市に6ヶ所ということですが、塩尻市からこれらの施設へのアクセスは、渋滞する松本市内を通過しなければならず、一方諏訪地方へは距離が離れているなど妊婦にとって、同一圏内でも不便を強いられています。
 こうした中、地域の医療状況が変わりつつあります。現在塩尻市に隣接した松本市村井で、塩尻や松本南部地域の医療を担っている国立病院機構まつもと医療センターの病院再編計画がすすめられています。ここの分娩は2007年に休止したままですが、この再編計画に対し院内助産所を含め分娩再開の要望を行う、このお願いをしていただきたいと思いますが健康福祉部長に伺います。
【健康福祉部長】
 塩尻市におけますお産の環境の整備についてご質問でございます。本県では分娩取扱施設が減少し続けていることを踏まえまして、平成19年に県産科小児科医療対策検討会の提言を受けて、県地域医療対策協議会において緊急避難的に産科医療の集約化・重点化を進めることはやむを得ないという方向性を決定したところでございます。
 こうした中で塩尻市を含む松本圏域におきましては、分娩を取り扱う医療施設は7施設あり、助産所を含めると13施設で分娩を取り扱っているところであります。
 また松本地域出産子育て安心ネットワーク協議会を設置し、平成20年から妊婦健診を分娩医療機関と健診協力医療機関の協力体制で実施する等、先駆的な取り組みを実施していただいているところでございます。
 現在の国立病院機構松本病院は平成19年9月から分娩の取扱は休止しているものの、ネットワーク協議会の健診協力医療機関として婦人科において妊婦健診を実施していただいております。今後松本市村井に松本医療センターとして一体化整備された後もこの婦人科は存続するものと承知してございます。
 引き続き全県的に産科医確保が厳しい状況でございますので、県としては産科医療機関の機能分担と連携により、地域の産科医療体制が維持できるよう努めてまいります。
【備前議員】
 塩尻市の分娩環境についてでありますけれども、この間助産師も分娩を扱うということで、我が党の高村県議が多く取り上げてきているかと思います。この助産師の分娩を扱うために嘱託員の協力が不可欠であると言われています。他県での状況と比較し、県内では伊那地域以外での長野県では協力が得られにくいということが、分娩を扱う上でネックになっていると聞いております。こうした障壁を解消する為にどのような手立てをお考えになっているのか、健康福祉部長に再度お尋ねします。
【健康福祉部長】
 助産所におきます分娩の態勢につきましての再度のご質問にお答え申し上げます。
 議員ご指摘の通り、これにつきましては産科医の協力体制ということが不可欠でございます。しかしながら先ほども述べましたとおり、県全体的に産科医確保が厳しい状況がございます。こうしたなかでもいかに産科医の協力が得られるか、医療関係者とも検討してまいりたいというふうに思います。
【備前議員】
 助産所のことにつきましては、県内でも盛んなところとそうでないところがある。この違いを県としてもよく調査検討していただきたいと思います。また全国的にもむらがあるということがあります。どうか長野県のなかで、全て産科医で賄うということは、非常にこれは困難であるということは皆さん承知されているのではないかなと思います。そうしたなかにおいて、助産師さんの力を地域でつくり上げていくということを私は、県当局としても行っていただきたい。そのことを要望させていただきます。

3.介護保険制度について

【備前議員】
 介護保険制度は今年診療報酬の大幅な引き下げがなされました。しかも要支援の方々はこれまで受けてこられた、訪問介護、デイサービス等から今後外され市町村事業に移行され、さらに特別養護老人ホームには要介護3以上でないと入れなくなり、行き場のない介護難民がさらに増える事態となります。一方で施設側にとっては介護報酬の引き下げ、特に低すぎる給与が人材不足を招いています。介護職員への加算は施設基準があり、小さな事業所では職員の待遇改善どころではないといいます。2.27%の介護報酬の大幅削減で、一段と運営が困難になっています。
 いま松本地域の事業所に対し、大手人材派遣会社が「4月の介護報酬改定以降施設の売却相談急増中」との見出しで無料相談会を行う旨のFAXが一斉に流されています。ご存知のように県内では有料老人ホームが人材不足等で経営破綻したり、デイサービスセンターではすでに要支援の方々を引き受けたがらないといった心配な声が寄せられています。そこで以下質問いたします。 

①この4月の介護報酬改定で、特養の運営や訪問介護やデイサービス等小規模事業所への影響をどのように掴んでおられるのでしょうか。あわせて利用者側のサービス打ち切りや削減についてはどのようにつかんでおられるのか健康福祉部長に伺います。

②また、宅幼老所は26年度までに450箇所設置され、このことは本県が先進的に取り組んできた成果であると思います。宅幼老所設置時には県は補助金助成を行ってきましたが、この4月の改定を前後していくつもの施設が閉鎖や今後検討しているところもあると聞いています。過日担当課にどの程度の影響がでているのか伺いましたが、「地域密着型の事業は市町村管轄なので承知していない」と言われました。しかし現にこれまで何人もの高齢者が利用してきた施設が閉鎖されるということは、利用者と家族にとっては死活問題です。一刻も早く調査し対策をとるべきと思いますが、健康福祉部長にお尋ねします。

【健康福祉部長】
 介護報酬改定の影響についてでございます。
①今回の報酬改定において、基本報酬は平均で4.48%の引き下げとなりますが、サービスや人員配置の充実に伴う加算の充実によります0.56%の引上げ、職員の処遇改善に取り組んだ場合の加算の上乗せなどによる1.65%の引上げが図られまして、全体は2.27%の引き下げ改定でございます。このため加算等により増収となっている事業者があるものの、多くの事業者にとっては報酬による収入は減少することになると考えられます。
 またその一方で、利用者にとっては負担の軽減となるほか、国・県・市町村の介護給付負担額も軽減されることとなります。4月以降県から市町村への訪問や電話等で聞き取ったなかでは、事業者の方から収入が減少して厳しいといった声が寄せられていますが、加算の活用や配食サービス、洗濯など新しい事業展開などにより収入の増加に取り組んでいる事業者もあると認識してございます。
 こうした介護報酬改定の影響につきましては、4月におけるサービス提供分の事業者の介護報酬の受領が6月末となることから、実績としてはこれから判明してくるものと認識してございます。今後さらに事業者の方への個別の聞き取りを行うとともに、介護報酬の審査支払いをおこなっている長野県国民健康保険団体連合会の協力を得て、介護報酬にかかわる収入状況の把握を行なうこととしております。こうした情報を活用することで事業者の経営マインドの向上や職員の確保に資するキャリアパスの構築につなげていくとともに、必要に応じて国への要望に反映してまいります。

②続いて宅幼老所についてでございます。県では宅幼老所は地域包括ケア体制の拠点のひとつとして位置付けており、開設に当たっての設備整備費とともに、緊急宿泊を行っている施設への運営費の助成を行っております。また、県に提出のあった宅幼老所の廃止届けは昨年度末に3ヶ所、今年度に入り1ヵ所でございますが、廃止の理由は利用者減、職員不足であり、今回の介護報酬改定に起因するものは確認されておりません。
 なお、これらの廃止した事業所の利用者は、いずれも他の事業所に移動され引き続き必要な支援が受けられているものと認識してございます。
 また5月の長野県宅老所グループホーム連絡会との意見交換の場において、連絡会が実施した介護報酬改定に関する調査結果の説明をいただきました。それによりますと今回の介護報酬の改定により回答のあった会員の約7割の会員の事業所が減収となりましたが、約3割の事業所は加算の申請により増収となっており、加算の活用により一定の収入の確保は可能であると考えてございます。県としましては、これまでも事業者を対象とした報酬改定の説明会を開催してまいりましたが、今後も加算制度やその活用なども含めまして、報酬改定の周知に努めてまいりたいと思います。

【備前議員】
 介護保険制度につきましては、加算があるということを言われるわけですが、厳密には6月に分かるということでありますけれども、先ほどお話がありましたNPO法人県宅老所グループホーム連絡会の調査で、昨年同期との比較で減収は10~15%あるということ。これが最多であり、1割から1割5分減ってしまっているということが出ているわけです。利用者の重度化とあるいは利用者減によるものが多いということを聞いております。認知症の加算をとろうとしようにも、小規模では特に態勢不足で認知症実践者研修会に出せなかったり、また研修枠がいっぱいで申し込みがすでに出来なかったということも言われています。また処遇加算研修も2年前までは内部研修をやれば良かったものが現在は外部研修をしなければ認められず加算がとれなくなり、態勢に穴を空けてまで研修に出せないとまで言われています。

①そこで、2年前まであった現任介護職員等研修支援事業のような制度の復活を求める声がありますけれども、健康福祉部長におきましてはこれについてのお考えをお示しいただきたいと思います。

②また宅老所などの小規模施設は当初は設置義務のなかったスプリンクラーの設置が義務付けられ、その性能検査だけでも一事業所あたり年約40万円もの出費が課せられるそうです。この事業所の運営を圧迫することとなり、県としても補助を行っていただきたいという要望も出されています。
 この二点について健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】
①現任介護職員等研修支援事業の関係の再度のご質問でございます。ご指摘のこの事業につきましては、国から示された事業メニューをもとに、平成21年から25年度まで実施したものでございます。平成25年度以降は新たに介護人材雇用定着促進事業を平成26年度、27年度と継続して実施しております。この事業は失業者を雇用し、介護事業所で就労している間に介護職員初任者研修の受講により資格を取得してもらい、以降、継続して働いてもらうことを目的としたものです。この事業の活用は現任職員の研修受講の促進にも寄与しているものと考えております。
 研修を受講しやすい環境の整備は、介護人材の確保にとって重要な視点であり、事業所の意見を聞きながら問題意識をもって対応してまいりたいと考えております。

②続きましてスプリンクラー等の維持管理経費についての再度のご質問でございます。宅幼老所等の小規模な事業所であっても、宿泊を伴う高齢者施設等につきましては本年4月からスプリンクラー及び自動火災通報装置の設置が義務付けられました。既存施設に対するスプリンクラーの整備については、国交付金の地域介護福祉空間整備等施設整備交付金で、1千平米未満の小規模な施設の場合、1平米あたり9260円の助成制度がございます。緊急宿泊については宅幼老所等の事業所が介護保険制度以外に自主事業として利用者負担により行っているものでございますが、これに対して県では地域福祉総合助成金により、一泊4千円を限度に支援を行ってきているところでございます。

【備前議員】
 答弁ちょっと噛み合わないところがあるわけですけれども、特にスプリンクラーの関係で性能検査でも非常に多額なお金がかかるということについてそうしたところを支援していただけないかということです。再度ご答弁いただければと思います。
 また、ぜひ現場に、さきほど加算についてもマッチした研修制度でないと使えない制度では現場で困るだけということ。私たち共産党県議団も県内におきますこうした施設に対しましてアンケート調査を行わせていただき、次回の議会におきまして、その結果もお示しさせていただきたいと思います。
【健康福祉部長】
 宅幼老所におけるスプリンクラー設置に関する再度のご質問でございます。先ほど申し上げました支援につきましては、スプリンクラーのメンテナンス、維持管理への直接的な支援ではございません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、スプリンクラー等の設置の義務付けは宿泊を伴うということでございます。そうした意味で宿泊に関しまして、私どもとしてストレートに、メンテナンスに対するものではございませんが、支援を申し上げているということでご答弁をさせていただきました。

4.大北森林組合補助金不正受給問題について

【備前議員】
 大北森林組合による巨額の補助金不正受給問題について質問します。この間、森林組合側の第三者委員会が不正受給の背景に県の関与を指摘しているのですが、県が設置した検証委員会の中間報告書では「行き過ぎた助言」を県北安曇地方事務職員が行っていたことが事の発端と主張し、一方の組合側は県職員が不正の手口を示したのが発端とあります。この「行き過ぎた助言」とは余りにも県を慮った報告と言わざるを得ないものであるとも思います。
 そこで以下お尋ねしますが、

①組合側から「既設の森林作業道を測量だけして補助申請のやり方もあると、県職員から聞いた」と県主導で不正受給が始まったと語っていますが、実際にこうした事があったのかお尋ねいたします。

②その上で、県中間報告で不正受給額は13億円2363万円とありますが、組合側はこのうち、約7億2000万円が「手続きが不正であった」と認めているわけですが、実際には事業が未終了であるのでから、その支払われた金の行方がどうなっているのか、これにつきまして、補助金の返還請求額、国庫補助金がいくらになっているのか、この点についてもお答えいただきたいと思います。

③そしてこの不正に支出された補助金の行方につきましては、中間報告ではこれから精査すると記載されていますが、公金の不正受給に対して余りにも緩慢な対応と言わざるを得ません。県が増税までして県民に課税をしている、森林づくり県民税が使われていると思いますが、その金額はいくらかお尋ねします。

【林務部長】
 大北森林組合の補助金不正受給につきましてお尋ねをいただきました。答弁に先立ちまして、本事案により県民の皆様の信用を大きく損なうことになりましたことを、担当部長として心からお詫びを申し上げます。

①お尋ねをいただきました、始めに県の関わりについての組合側の見解に対するお尋ねでございますが、県といたしましては今回の事案は中間報告でご指摘をいただきましたとおり、県側が、先ほど議員からご指摘のあった事案の契機となる行き過ぎた助言を行なったこと、また十分な申請書類の確認や現地調査がなされないままに補助金の交付が行われるなど、不適切な対応が行われていたことなど、県の対応に問題はあったものの、大北森林組合がこうした行き過ぎた助言を契機として、検査体制の脆弱性、それからまた不備につけこむ形で、極めて多数かつ多額の不適正申請を長期に渡り主体的かつ能動的に行ってきたものと考えているところでございます。

②次に補助金の不正受給額のうち、国庫補助に関わる部分についてのお尋ねでございますが、現在までに判明している不適正な受給額14億2900万円余のうち、国庫補助に相当する額は9億4600万円余となっております。

③また、これまでに判明をいたしました森林づくり県民税にかかる不適正な受給額は2億600万円余となっております。

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