日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年6月定例会 毛利栄子議員一般質問

  1. 既存商店への支援策、商店版リフォーム助成制度について
  2. 再生可能エネルギーの大規模開発について
  3. 地域医療構想と地域包括ケアについて
  4. 諏訪湖スマートインターチェンジ(仮称)について

1.既存商店への支援策、商店版リフォーム助成制度について

【毛利議員】
 日本共産党県議団の毛利栄子でございます。順次質問させていただきます。
 安倍政権は「アベノミクス」を盛んにあおりましたが、都市と地方の格差、大企業と中小企業の格差は広がるばかりで、地方をいっそう疲弊させ貧困を増大させています。
 内閣府は2月、14年度のGDP成長が「ゼロ」だったと発表、14年の実質雇用者報酬も前年4月比で1%減、金額にして2兆6000億円も減額しました。長野県関係の資料をみても14年の一人当たり県民所得は対前年比マイナス0、6%、家計調査結果では消費支出が-3、2%、とくに卸・小売業は経済活動で-4,7%と落ち込みが際だっています。
 街を歩けば、つい先日まで営業していた商店に「閉店」の張り紙が出されていて驚くことも少なくありません。
 小売業の県内事業所数の減少率も平成13年からの5年間は11、8%でしたが平成21年から24年までの3年間ですでに11%が減少しています。商店は単なる商売にとどまらず、街づくりの大きな一翼を担っており、シャッター通りが増えれば衰退感が増し、そこに住む人々の活力にも少なくない影響を及ぼします。
 地域のお店がなくなることは高齢者の日常生活にも大きな不自由を強いることになり、買い物に外出しなくなることで体力や精神生活にも影響します。このような状況の中で国は画期的にも、小規模事業者の地域で果たしている役割や経済活動・雇用に改めて光を当て「小規模基本法」を作りました。長野県でも中小企業振興条例を制定し、取り組みを強化しようとしています。5人以下の事業者に光を当てていこうとしていることが重要です。そこで伺います。

①県は小売店などの果たしている役割や課題をどうとらえ、基本法に基づきどのような施策を講じているのか。

②また、帝国データバンクの資料によると、県内では休廃業などで閉めた件数が倒産した件数の5倍を超え、全国平均の2倍にもなっており、増え続けているとのことです。
空き店舗対策は常に問題になりますが、同時に休廃業しない取り組みが大事ではないかと思います。産業労働部長の見解を伺います。

③昨年県が実施した「商店街実態調査結果」では「個店の魅力アップ」が断トツであります。品ぞろえなどの中身とともに、バリアフリーや店の明るさ、清潔さ、快適さなども求められるところです。
 そこで、知事に伺います。地域経済への波及効果や街づくりに重要な役割をはたしている商店を応援する施策が重要であります。
 「商店版リフォーム助成制度」を実施している自治体は増えており、かなりの効果を上げ、歓迎されています。この間何回か日本共産党県議団が制度の実施を求めてきていますが、これまでの市町村の実施から、高知県のように県の制度しても広がり始めています。
 長野県としても導入を検討・推進すべきではないかと思いますがいかがですか。

【産業労働部長】
 2点順次お答えいたします。
①まず小売店などの果たしている役割や課題、県の施策についてのお尋ねでございます。国の基本法につきましてはお話がございましたが、県におきましても昨年3月に施行いたしました中小企業振興条例におきまして、県内の企業の約9割を占める小規模事業者、とりわけ地域に根ざした小売店などが、地域の社会や経済で重要な役割を担っていることを踏まえまして、小規模事業者や商店の振興につきまして必要な措置をとるものとしております。小規模事業者は大きな企業に比べまして資金や人材など経営基盤が弱い、為替レートの変動等外部の経済状況の影響を受けやすい、さらに後継者の問題に直面している事業者も多いと認識しております。
 そのため県では小規模事業者の自助努力を前提としつつも、市町村、関係団体と連携を図りながら、小規模事業者の経営基盤の強化と安定を図るとともに、商店街に対する支援を努めているところでございます。
 具体的には、事業引継ぎ支援センターにおける後継者問題の解決を図る試み、魅力的な商店街の創造に挑戦する次世代を担うリーダーの育成、小規模事業者の創業などを支援する商工会などに対する助成などの支援策を総合的に実施しております。

②次に休廃業対策についてのご質問です。昨年度県が行いました商店街実態調査によりますと、商店街の空き店舗率は8.8%と、3年前の調査時から0.3ポイント増加しております。このため県では一昨年度から地域の特色を生かした商店街創造支援事業を実施いたしまして、空き店舗を活用した地域の取り組みを支援してまいりました。
 加えて、市町村におきましても岡谷市のように、空き店舗を活用して創業を目指す企業の方々に事務機器の購入やホームページの作成などに支援を行う取り組みが進んでおります。
 また、先ほどの商店街実態調査では、商店主の平均年齢が60歳以上の商店街が全体の55%と半数以上であり、後継者がいないお店の割合も64%となっております。こうしたことから、休廃業を避ける取り組みに必要なのは商店主の高齢化と後継者問題への対応であると考えております。そこで休廃業対策といたしましては、昨年設置いたしました事業引継ぎ支援センターにおきまして小売店を含む約3万社を対象といたしましたアンケート調査を実施いたしました。現在把握した後継者を求める事業者に対しまして、商工関係機関と連携して引継ぎ希望者とのマッチングに取り組むなど、事業の継承を望む事業者への具体的な支援を進めております。

【阿部知事】
③商店街の振興であるとかあるいは小規模事業者への支援ということは、私も大変重要なテーマだというふうに思います。
 ただ、商店版リフォーム助成制度、これは単純に改築するのに補助しましょうというだけであれば、県の施策としていかがなものかなというふうに率直に感じています。県としても様々なコンセプトでこれから地方創生取り組んでいかなければいけませんが、そういうものに合致するものを支援するということはあり得ると思いますけれども、単純に商店街あるいは商店をリフォームすると、それに対して改修費用を県が助成するというのは、やはり住民に身近な市町村が一義的に対応していただくテーマではないかなと考えております。現実問題として須坂市あるいは岡谷市等でも商店のリフォーム等含めた改修費補助しているというふうに承知しております。
 県としては例えば人材育成であったり、あるいは商店街のモデル事業であったり、こうしたことを進めるなかで地域の活性化、商店街の振興、そうしたものを図っていきたいと考えています。
【毛利議員】
 今知事から答弁いただいたもののなかで、地方創生に合致するものでなければ県の施策として実施するのはいかがなものかというふうに仰いましたが、再度知事に再度伺います。わが党の国会議員の質問に対し、国の14年度補正で盛り込まれた「地域住民生活等緊急支援のための交付金」が「消費喚起につながると認められれば住宅リフォーム助成も、商店版リフォーム助成も対象になる」と答えられておりまして、県内市町村ではこれを後押しにしてこの交付金をつかった取り組みも始まっています。県の20億円余の交付金を有効に使うためにも、過日ご答弁いただいた子育て支援とともに、ぜひその一部を商店の活性化のためにあてていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
【阿部知事】
 お答えします。先ほど地方創生に合致しなければやらないといったわけではない。地方創生等、県としての政策目的がはっきりしないものに対して単純に補助金をまけばいいという話じゃないんで、それをやりだすと何でも補助するという話になってしまいますので、そういうスタンスではないと。県としてのしっかりとした政策目的がなければいけないだろうということを申し上げたわけであります。
 今お尋ねありました交付金の活用につきましては、旅行券それから商品券、こうしたものに活用すると同時に、前回もご答弁申し上げまいたけれども児童養護施設等に対する支援、そして子育て世帯への支援ということで考えておりますので、今ご指摘があったような使途に使うという考えはありません。
【毛利議員】
 今、県の政策目的に沿わなければということで、新たな交付金に使えると言われても使う気はないとのご答弁でございましたが、まさに県の政策目的そのものだという立場で、もう一回ご質問させていただきます。
 県の中小企業振興条例でも第22条で「県内小規模事業者の事業を振興することにより地域経済の安定、次世代産業の創出等を図るためその事業環境その他の必要な措置を講ずるものとする」とあります。県は国の法律にのっとって、毎年効果や結果を報告しなければいけないという立場にあると思いますが、ここにありますように「事業環境の必要な措置」として具体化していただきたいと思いますが、知事いかがでしょうか。
【阿部知事】
 商店街のリフォームについての重ね重ねのご質問でございます。中小企業振興条例制定して、中小企業の皆様の支援、県としてもしっかり行っていきたいと思っています。しかしながら、それイコール、商店街の振興イコール商店のリフォーム助成がまさに県の政策目的だというのは、いささか短絡的というか、いささか牽強付会(けんきょうふかい)な解釈ではないかと考えています。
 中小企業の振興、様々な観点があるところでございますし、今回消費喚起型の交付金で主として私ども県と市町村とで大きな考え方としては、市町村が域内の消費を喚起して、県としては県外、域外から消費を取り込むと、そういう視点で制度設計をさせていただいているところでございまして、先ほどから申し上げているように、今回の交付金でご指摘ありましたような商店のリフォーム助成をするという考え方はとっておりません。

2.再生可能エネルギーの大規模開発について

【毛利議員】
 次に再生可能エネルギーの大規模開発について伺います。
 県下各地で問題化し、住民との間でトラブルにもなっているメガソーラーに関し、日本共産党県議団は、25年11月、26年2月と定例会で取り上げてきました。
 山林を大規模開発することよって、景観の阻害や土石流災害などの危険が危惧される、住民の命と安全を守ることこそ最優先だとして、住民合意のないものは強行すべきではないと県の対応を求め、「開発におけるルールづくり」や「新たな条例の制定」を提案してきました。

①県は市町村と連絡会議を持ちながら課題や問題の洗い出しを行い、メガソーラーを環境影響評価条例に加える検討を進めていますが、どのような問題や課題意識をもっているのか。環境部長に伺います。

②また、再生可能エネルギーならどのような形態でも歓迎というのでなく、地域それぞれの条件にみ合った開発利用が必要で、県外資本が自然エネルギーと言いつつ膨大な自然を壊し、利益だけを持っていくというやり方は納得できません。用地となる森林の大規模伐採により保水効果がなくなり下流の集落等への土石流災害などが起こり、命や財産を脅かす懸念はないのか。林務部長に伺います。

③環境影響評価条例にメガソーラーも加えることになったことはこの間の住民運動の反映でもあり、歓迎しますが、どのような改正になるのか環境部長に伺います。

④エネルギー政策においても、地元の中小企業の仕事や雇用に結びつき地域経済活性化に還元される地産地消が必要だと思いますが、県の考え方を伺います。
 また、長野県が実施している再生可能エネルギーで得た利益を地域へ還元する収益還元型の「基金活用事業」は全国的に見ても優れているものでありたいへん注目に値するものです。さらにアピールして推進すべきではないかと思いますが環境部長いかがですか。

【環境部長】
 いただきました3点のご質問に順次お答え申し上げます。
①初めにメガソーラーに対する問題、課題意識に関するお尋ねでございます。
 県内の太陽光発電の状況は、固定価格買取制度開始後、急速に導入が進み、自然エネルギーの普及拡大を牽引しておりますが、一部のメガソーラーの建設におきましては景観・災害・環境影響等の懸念からトラブルも発生しているところでございます。
 県におきましても自然エネルギーの普及拡大を進めているところでございますが、自然環境に大きな負荷を与えるものであったり、災害上懸念を生じさせるものであってはならないものと考えております。また事業を進めるに当たりましては、設置事業者が市町村及び地域に対して丁寧に説明を行い、住民の理解のもとに事業を進めることが重要であり、それを強く望んでいるところでもあります。
 このようなことから県では、環境影響評価条例の見直しを進める中で、大規模メガソーラーを対象とするとともに、市町村と県関係機関を構成員とした、太陽光発電の適正な推進に関する連絡会議を開催し、市町村が抱える課題についての意見交換や県の支援策についての情報共有を行っているところでございます。

③つづきまして、メガソーラーに関わる環境影響評価条例の改正についてのお尋ねでございます。大規模なメガソーラーの建設は他の開発事業同様の環境影響が懸念されることから、一定規模以上のメガソーラーを環境影響評価条例の対象事業に加える方向で、本年5月から長野県環境影響評価条例の改正に係る専門委員会議において検討を進めており、現在見直し案についてパブリックコメントを実施しているところでございます。
 メガソーラー設置による環境影響は、ゴルフ場の建設等条例対象となっております他の面的開発事業と基本的に同様のものと考えられるため、それらの規模要件であります第一種事業50ha以上、第二種事業30ha以上を基本として検討してまいりました。しかしながら、知事が環境影響評価手続きの実施の必要性を判定する第二種事業につきまして、森林面積が多い本県の地域特性を考慮致しますと、これらの地域等に設置される場合には環境保全上の配慮が特に必要であると考えますところから、規模要件を20ha以上とする見直し案をお示ししているところでございます。これは他の都道府県と比較しましても規模の小さい開発を対象としているところであり、メガソーラー建設事業の実施に伴う環境への配慮が適切に行われることとなるものと考えてございます。

④つづきまして、地域におけるエネルギー政策の県の考え方、及び自然エネルギー地域基金を活用した発電支援事業についてのお尋ねでございます。県では、省エネルギー化や自然エネルギーの普及により県外に流出している資金が県内に留まり循環していく姿を目指しているところでございます。このため、自然エネルギー信州ネット等と連携しながら、地域の担い手が地域の資源を活用して行う地域主導型の自然エネルギー事業に対して、集中的に支援を実施して参りました。特に事業化における最大の課題が資金調達でありますことから、自然エネルギー地域基金を活用した自然エネルギー地域発電推進事業を平成26年度から実施しており、本年度補助対象をソフト事業からハード事業まで拡充したところでございます。
 この事業は地域金融機関の融資と協調して資金調達支援を行うものであり、地域における事業化がいっそう促進されるものと考えております。これまで金融研究会や自然エネルギー信州ネット、各種研修会等を通じて事業の周知を行ってきましたが、今後もあらゆる機会をとらえて地域の方々への周知に努めますとともに、地域の金融機関等とも連携しながら推進して参りたいと考えております。

【林務部長】
②メガソーラーに関しまして森林伐採による下流地域への影響についてのお尋ねでございます。
 民有林におきまして1haを越える開発を行う場合には、森林法に基づく林地開発許可が必要となります。林地開発許可の審査に当たっては、洪水の発生など下流の地域への影響を防止するための詳細な技術的基準を定めておりまして、降った雨を安全に排出させる対策の実施等を要件としております。特にメガソーラー設置による林地開発では、相当数の樹木が伐採されることで、森林が裸地化し下流地域への雨の流出量が増加する恐れがありますことから、降った雨の流れ出しやすさ等についてより厳しい数値を適用し審査を行っております。
 県と致しましては、引き続き林地開発に当たっては、県民の皆様の生命や財産の安全を確保するために、事前相談の段階から事業者に対し必要な指導を行ってまいります。
【毛利議員】
 上田市飯沼地域でのメガソーラーは私も藤野衆議院議員とともに県議団として調査させていただきましたが、設置場所は急峻で崩れやすい地形であり、土砂災害特別警戒区域、直下は保安林指定にもなっています。地元のみなさんは3回も決議を上げ、絶対認められない姿勢です。
 今回、林地開発におけるメガソーラーのアセス対象が20ヘクタール以上とのことですが、業者は当初の20ヘクタールから17ヘクタールにしたと伺っています。アセス逃れといわれても仕方ありません。
 ゴルフ場、スキー場などと違って、先ほど林務部長もご答弁されましたが、メガソーラーは、何万枚とパネルを傾斜させて敷き詰めて使うため、ゲリラ豪雨などの際には水がパネル上を流れ、いっきに谷に集まって、土石流災害になることが懸念されますし、パネルの下は草1本生えない裸地同然です。
 また、過日伊勢崎で起こった突風時には、風が入り込んでめくれ上がり、パネル200枚が破損し散らばるなど、大事故につながる危険もはらんでいます。厳しいチェックが必要です。
 20ヘクタールということで、全国の状況を見ながらより厳しいというご答弁がありましたが、この妥当性について伺います。山梨県では15ヘクタール以上となっています。さらに厳しくする考えはないでしょうか。
 また、地元合意のないものは強行すべきではないと思いますがいかがでしょうか。
 現在県内で開発計画が示され、事前相談をしているアセスの対象になると思われる計画は何か所くらいあるのか林務部長に伺います。
【林務部長】
 メガソーラーに関しますご質問をいただきましたが、事前相談数等につきましては手元にその数値はございませんけれども、案件としては少ない状況でございますが、事前相談につきまして必要適切な指導を行なっている状況でございます。
 それからまた、ご質問ありました点につきましては、環境部長のほうから答弁申し上げたいと思っています。
【環境部長】
 先ほどご説明申し上げました第二種事業の20haについての再度のご質問にお答え申し上げたいと思います。今回、一般的な条例内におけます均衡を図る意味では二種事業につきましては30haを基本として考えましたというふうに先ほど申し上げましたが、なぜ20haにしたのかということにつきましては、1点目として、まず森林地域につきましては土地価格が低いことから、このメガソーラー事業が進出しやすいものであること、そして他県近県の規模要件を考慮する、いわゆる均衡が必要であること、そして他の開発事業に比べまして事業の分割実施が容易であること、こういった太陽光発電建設の特性を考慮する必要があること、などから、20haとしたところでございます。
 なお、20haでございますが、議員からのお話もございましたが、地域によりましては様々な事情によりまして開発の必要あるいは阻止の考え方があろうかと思います。こうした考え方を整理するうえでも、一定の基準を設ける中では、比較的長野県としては基準の厳しい数値を求めたところでございます。
 また、この環境影響評価条例におきましては、開発行為そのものを中止する権限はなく、環境保全への配慮を求めるものでございますので、阻止するもの、道具としてこの環境影響評価条例を適用することは不可能になるというふうにも考えております。
【毛利議員】
 住民合意のないものにつきましては法律の範囲内で強行することの無いようにということでご配慮を求めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

3.地域医療構想と地域包括ケアについて

【毛利議員】
 国は医療費を減らすことを最大の眼目に、病床の機能分化とベッド数の削減で患者を病院から施設へ、施設から在宅へとどんどん締め出していく方針をとっています。いまでも入院日数の短縮で「手術をして日がたっていないのに、管をつけたまま家に帰ってこられても困る」と不安の声が上がっています。

①最初に知事に伺います。国は長野県のベッド数は3600床多いと今より2割近い削減を迫っており衝撃が走っております。
 知事は長野県の現在のベッド数と病床削減の推計についてどのような認識をもっておられるか伺います。

②県は地域医療構想を現行の2次医療圏をベースに策定していく方向です。県には今後厚労省に代わって、命令・指示など強力な権限が与えられます。強権的な対応ではなく、日常的に患者と接し、地域の医療需要など一番把握している病院関係者と最初から医療圏ごとに調整会議を立ち上げ、しっかり相談していくことが不可欠だと思いますが健康福祉部長、いかがですか。

③いま、それぞれの地域では包括ケア会議などが開かれ対応を検討していますが、課題山積です。
 病院と介護施設・在宅との連携をどうするか、老々世帯や独居世帯が多い中で在宅移行は可能か、高齢世帯の財政的負担の限界、介護人材の不足、総合支援事業の不透明さなど苦慮しています。
 対応に困難している市町村への県の支援と専任でコーデイネートする人を配置できるかどうかが大事だと思いますが、健康福祉部長の見解を伺います。

【阿部知事】
①2025年の必要病床数の推計についてのご質問でございます。
 毛利議員ご指摘の国の推計につきましては、患者の都道府県間の流出入等を考慮しないものでありまして、機械的に全国の人口推計等を用いて推計を行った参考値としての位置づけだと認識しております。本県の病床の現状につきまして、平成26年3月1日現在の国への届出状況を調査致しましたところ、既存病床のうちおよそ60%が急性期病床であり、回復期病床や慢性期病床は比較的少ない状況となっております。
 全国と同様の傾向にありますが、今後団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けては、急性期に偏った病床を回復期に転換していくということも必要ではないかと考えています。今後地域医療構想の策定を進めていく中で、長野県におきます2025年の必要病床数、あるいは病床機能の転換について、各地域の関係者の意見を十分にお聞きすることにより、地域の実情を踏まえた医療提供体制となるように取り組んでいきたいと考えております。
【健康福祉部長】
②地域医療構想についてのご質問でございます。
 団塊の世代が75才以上となる2025年に向けまして都道府県が地域医療構想を策定しその実現を図るためには、病院や病床の機能分化、連携の推進、在宅医療、介護サービスの充実を視野に入れながら、行政や医療機関、医療関係者等が話し合い、将来の医療需要がどうなっていくかなどの状況を共有いたしまして、それに応じた適切な医療提供体制を構築するための地域における自主的な取り組みが必要であると思っております。
 地域医療構想の策定に際しましては、本年度秋以降、長野県医療審議会のもとに地域医療構想策定委員会を設置するとともに、二次医療圏を原則として設置いたします地域医療構想調整会議を早期に立ち上げまして、病院をはじめとする医療関係者の参画を得ながら、それぞれの皆様のお考えを十分にお聞きして、広範な関係者の合意形成が図られるよう丁寧に策定作業を進めて参ります。

③次に、医療介護分野のコーディネーターの配置についてでございます。平成26年度の介護保健法の改正により、平成30年4月までに、基本的に市町村ごとに在宅医療介護連携に関する相談支援等を行うコーディネーターを配置することとされました。このコーディネーターは今後、在宅への移行が進む中で、医療と介護をつなぐ役割として重要であると思っております。松本市では、平成26年度から松本医師会に看護師と主任介護支援員の資格を持つコーディネーター1名を市単独で配置して在宅医療介護の連携を進めてまいりました。これにより医師も地域ケア会議に参加する中で、認知症高齢者への対応などについて医療的側面を含めた検討が行われるようになったというふうに承知しております。
 こうした松本市の先行事例を、平成27年1月に市町村の職員を対象にした地域包括ケア推進研修会で紹介したところでございます。
 一方で、小規模な町村では単独でコーディネーターを配置することは困難であることなどの課題もございます。県としては今後、広域的な連携による対応も含めまして、地域の実情に合ったコーディネーターの配置について、医療介護関係者のご意見も伺いながら市町村とともに検討いたしまして、その中でまた、必要とあらば地域医療介護総合確保基金なども活用いたしまして、コーディネーターの確保養成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

【毛利議員】
 医療から介護、介護から在宅へということで、川上から川下へとよく言われますけれども、このような形で次々ところてん式に追い出していくというのが国の方向であります。私はここで、一番大事な役割を果たすキーパーソンとなるのが、コーディネーターの役割だと思っています。今部長さんの方から丁寧に対応していきたいということでございましたが、なかなか財政力の少ない市町村におかれましても本当に一人ひとりの患者や利用者の立場にたって、丁寧な対応が出来るようにということで、配置できるよう求めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 長野県の場合は特に、医療機関までのアクセスが不便、老夫婦だけの世帯、一人暮らし老人世帯が多いという特性を持つ状況にございます。在宅医療と言っても医療機関からお家まで来る時間がそんなに短くないということや、在宅を担える家族構成にもなっていないということが大問題だと思います。医療難民・介護難民がたくさん出てくることが危惧されます。医療・介護で泣かない長野県をどう作っていくかという点で、今の国の施策との関係で知事の見解を伺います。

【阿部知事】
 これからの医療体制の確保については、県としても最大限力を入れて取り組むべき重要なテーマであると思っております。地方創生の中でも、色々なところで私申し上げておりますのは、これから地域間の競争力の現勢、差がついてくるのはやはり教育と医療じゃないかというふうに考えております。
 先ほどご答弁申し上げました地域医療構想、これから策定していくわけでありますけれども、本当に現場の医療関係者の声というものもしっかり受けとめながら、そして片方で、住み慣れたところに住みつづけたいという方も大勢いらっしゃるなかで、在宅医療についても力を入れていこうということで取り組んでおりますので、市町村とも連携して、全体としてバランスのとれた、そして県民が安心して住みつづけることができる長野県づくりのために、この医療という観点でもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

4.諏訪湖スマートインターチェンジ(仮称)について

【毛利議員】
 諏訪湖スマートインターチェンジをつくることで利便性が高まり、産業・経済・観光面から期待が持てる、国道20号が寸断された場合に中央自動車道が代替路になる、リニア駅にも早く行けるとの理由で県・岡谷市・諏訪市はいいことづくめの宣伝をしながら事業を進めようしています。
 突然のルートが示されたことで、地域の皆さんのなかで今混乱、反発、不安が広がっています。民家が10軒以上立ち退きを迫られる可能性があるということで、「景色が良く諏訪湖を毎日眺められる静かないい場所だと思って家を建てたのに立ち退かなければならないなんてとても納得できない」「この年でまた引っ越さなければならないかと思うといろいろ心配で眠れない」など切実な声が寄せられています。
 昨年の地元説明会は住民の反発で県は入れず不成立になった経過もあり今に至っています。住民の合意なくして建設を強行するわけにはいきません。丁寧な対応が求められます。示されたルート案はまずは撤回すべきだと思いますがいかがでしょうか。
【建設部長】
 仮称諏訪湖スマートインターチェンジについてのお尋ねでございます。この計画は丘やインターと諏訪インターの中間にあります諏訪湖サービスエリアを活用し、高速道路と諏訪湖周を直結することで、諏訪地域の観光振興や渋滞緩和などを図ろうとするものでございます。平成24年に岡谷市と諏訪市が主体となって勉強会を設置し検討がすすめられておりまして、両市から国に対しまして整備に向けた支援の要望も出されております。
 県としましても昨年、リニア中央新幹線の山梨県駅を活用した交流拡大を見込み、リニアに関連した道路整備箇所に位置付けたところでございます。
 昨年10月から地域へのご説明を始めておりますが、現時点は概略イメージをお示した段階でございます。岡谷・諏訪両市とともに、整備の必要性を地域の皆様方に丁寧にご説明し、ご意見を伺いながら地域の合意が得られる計画作りを目指してまいります。
【毛利議員】
 急峻な地形へアクセス道路を建設するということで安全面、採算面、技術面で問題が多いと思われます。設計上も上り線は本線へ直結するなどサービスエリアには入れず、利便性につながるとも思えませんし費用対効果も望めません。個人の財産に手を付けるわけですので、くれぐれも慎重な対応を求め私の一般質問を終わります。

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