「安全保障法制に関する意見書(案)」反対討論
安保法制に関連し、以下の意見書が提出され、高村京子議員が反対討論に立ちました。
2015年7月3日可決
共同提案:信州・新風・みらい(民主党、社民党など)、新ながの・公明(公明党など)
賛成:自由民主党県議団、信州・新風・みらい、新ながの・公明、維新の党
反対:日本共産党県議団、無所属(今井正子議員、高島陽子議員)
(順不同、敬称省略、なお議長は採決に含まれません)
安倍政権は、通常国会を戦後最大となる95日間も延長して、230名以上多くの憲法学者、日本弁護士連合会、元内閣法制局長官など法の番人ともいわれる人々が憲法違反であり、立憲主義に反すると断じている「平和安全法整備法案」と「国際平和支援法案」を強行可決しようとしています。昨年7月1日に閣議決定した「集団的自衛権の行使容認」の立場をとる政府の姿勢は国会論戦が重ねられる中で、平和国家としての行く末に、不安と疑問を持つ国民世論が日に日に大きく湧き上がっています。県内地方議会では、昨日2日現在、50議会が「撤回・反対・廃案や慎重審議を求める」などの意見書案を提出しています。
この意見書案が述べている前半の部分は、意見書を提出する根拠として大いに共有できるものです。
しかし、賛同できないのは、意見書案の最後の部分、
「国民的な理解が得られるよう、国民の疑問や不安を真摯に受け止め、わかりやすく丁寧な説明を行うよう強く要請する」との文言です。
今、安倍政権が歴代の自民党政権が憲法9条のもとに示してきた憲法解釈を変えて、自衛隊が海外で武器を持ち闘わざるを得ない事態を作り、殺し殺される、戦争に参加する国となってしまうのではないか―など国民の不安は日々大きく膨らむ一方であり、どの世論調査でも「今国会での強行可決はすべきでない」との世論が7-8割を占め、憲法違反であり立憲主義に反するとの専門家の指摘などを踏まえれば「国民的理解や丁寧な説明」を求める文言には、矛盾があります。意見書案は、国民の理解が進むように努力すれば、法案の可決も認めることとなり、法案可決を前提としているようにも取れるこの意見書案には賛同できません。
平和主義、戦争放棄の憲法9条や国民主権、民主主義条項そして憲法99条の国務大臣等の憲法尊重擁護義務など、多くの憲法条項に違反する安倍政権の姿勢こそ、今地方から問うことが求められているのではないでしょうか。
児童文学者大川悦生が綴り、学校の教科書にも載った「お母さんの木」の映画を見ました。戦争中の長野県で実際にあったことです。7人の男の子をうみ苦労し育て上げたお母さん、7人の息子たち全員に次々に赤紙が来て出兵してゆきました。待てど暮らせども『お帰りなさい』との言葉を言える日はついに来ませんでした。お母さんは言います。「何も、お前らが悪かったんでないぞえ、日本中のお父さんお母さんが弱かったんじゃ。みんなして息子を兵隊にはやらん、戦争は嫌だと、一生懸命云うておったら,こうはならんかったでなー」。
今、国及び政府に長野県議会から意見書を提出するならば、このお母さんの言葉を心の底から思いに答える意見書こそ発するべきではないでしょうか。法案可決をも含むような本意見書に反対の日本共産党県議団としての意思を表明させていただきます。