日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年9月定例会 高村京子議員一般質問

  1. 県営住宅の充実について
  2. 介護保険制度について
  3. 太陽光発電施設対策について

1.県営住宅の充実について

【高村議員】
 県営住宅の充実について伺います。この度提案された「長野県人口定着・豊かな暮らし実現総合戦略」では、人口減少への歯止めと地域社会の維持・活性化に向けた取り組みをさらに進化・展開するものとし、阿部知事は「若い人たちが安心して家庭を築き、子どもを持ち、育てられる環境を作らなければならない」と述べられました。経済効率優先の社会構造が蔓延して若者の置かれている現実は大変に厳しいものとなっています。20歳代30歳代では非正規雇用者が約半分を占め、ブラック企業などで人間らしく働けない、低賃金や長時間不安定労働、離職によって自立した生活が困難な若者が増えており、総じて若者世代の年間収入は減ってきています。
 私は、知事が言われるように若者世代が安心して家庭を築くためにも、急激な人口減少にある現在、若者のUターン、Iターンを促進し、職業の不安定や低賃金でも独り立ちできる居住を保障して、そこから若者が自立ができる住環境整備を行うべきではないかと考えます。

(1)そこで改めて県営住宅の役割と現在抱える課題について伺います。一人世帯入居の状況も含めて、社会的弱者とされる世帯の県営住宅への入居状況についてどのようになっているでしょうか。建設部長に伺います。

【建設部長】
(1)県営住宅に関するご質問にお答え申し上げます。はじめに県営住宅の役割でございますが、公営住宅法あるいはその基となります憲法第25条の趣旨に則り、住宅に困窮する低額所得者に対し安定した居住を確保することであり、住宅困窮者の暮らしを支えるセーフティネットとしてその役割は重要であると認識しております。課題と致しましては、老朽化の進む住宅が多く、これらの居住環境を早期に改善すること、また入居者の高齢化等による団地内コミュニティの希薄化が顕在化していることなどがございます。
 続きましていわゆる社会的弱者の平成27年4月1日現在の入居状況でございますが、全入居世帯12,793世帯のうち生活保護世帯は953世帯、7.4%です。母子・父子のひとり親世帯でございますが、1,701世帯、13.3%。障がい者世帯は1,505世帯、11.8%。65歳以上の高齢者世帯は5,407世帯、42.3%という状況でございます。以上でございます。
【高村議員】
(2)平成22年策定し、平成30年度を目標とした「長野県公営住宅等長寿命化計画」で、老朽化が進んでいる住宅の対策はどうでしょうか。県営管理住宅15,321戸の内、昭和40年代に建設された住宅が約8,068戸で52.7%を占め、耐用年数を経過した住宅は3,817戸で24.9%、約4分の1もあります。ところが新規建設は昨年から実施されていませんが、どうしてでしょうか。また風呂なし、追い炊き機能なし、網戸なしなど住環境の劣悪な状態を放置していることは、大変問題です。早急な改善を求めます。
 住環境が整備された団地では5倍10倍もの入居希望が殺到しています。応募倍率は県全体平均で1.8と約2倍あるわけです。居住環境の早急な改善を図り、入居希望者の多くが入居できるよう、新規建設計画、修繕、リフォームを積極的に進めるべきですが、どのような計画で推進しますか。建設部長に伺います。
【建設部長】
(2)次に長野県公営住宅等長寿命化計画に関してのお尋ねでございます。まず、昨年度から県営住宅の新規建設がない理由でございますが、県と市町村との役割分担の観点から、公営住宅は住民に身近な市町村が提供することが望ましいと考えておりまして、建て替えは所在地市町村への移管協議が整ったものから実施することとしております。このことから現在複数の市と協議を進めているところでございまして、早期に建て替え事業が行えるよう努力しているところでございます。
 また今後のリフォームや改築の計画でございますが、毎年度トイレの水洗化や外壁の補修などを計画的に実施しているほか、全面的リフォーム、いわゆるリニューアルでございますが、この事業を平成25年度から、また浴室のユニットバス化を平成26年度から順次進めております。現在作業を進めております長寿命化計画の見直しにおいて、県営住宅の実情をふまえ今後の方向性を明らかにした上で、入居者の居住環境の改善に向け計画的に取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
【高村議員】
 県営住宅環境改善事業は平成20年には、13億円余の建設費で決算は18億円余でしたが、その後は一貫して減額となっています。昨年度からは建設予算はなく、住環境改善事業の決算は4億9,000円余と3分の1にも減少しています。
 午前中の今井愛郎議員へのご答弁では、改修は46.4%、建て替えはたったの9.7%の達成率です。これでは県営住宅の環境改善には追い付かず、長寿命化どころか、いっそう老朽化を深刻にするものです。老朽化団地の建て替えとリフォーム予算の確保を強く求めます。建設部長に改めてご答弁を求めます。

(3)さらに環境の整備改善を図った場合、入居費の値上げが発生します。低所得者に負担が重くなり、入居の継続が困難となり、他の団地への転居もままなりません。駐車場は今や必要不可欠ですが、上田のある団地では、今まで年間1,000円程度の料金が、駐車場整備後には年間約2万4,000円と一気に24倍以上の値上げになるなど、問題ではないでしょうか。当然の居住環境の整備と低所得者への低廉な入居費の在り方について再度検討を求めますがいかがか。合わせて建設部長に伺います。

【建設部長】
 現在長野県公営住宅等長寿命化計画を見直しているところでございます。午前中も答弁させていただきましたが、住宅・土地統計調査結果に基づいて住宅困窮者の状況を把握した上で、市町村とも協議しつつこの公営住宅の方向性について議論しているところでございまして、それに基づきましてより計画的に事業を推進させていただければというふうに考えております。

(3)次でございますが、県営住宅の改修等に関する家賃の値上がりについてでございます。県営住宅の家賃は、公営住宅法により入居者の家賃負担能力と住宅からの便益に応じて補正する応能応益制度に基づき決定することとされておりまして、利便性が向上する改修等をおこなった場合には、一定程度の家賃上昇をお願いすることとなっております。この場合におきまして、激変緩和措置がございまして、6年間をかけて段階的に上げていくこととなります。
 また駐車場でございますが、駐車スペースの確保と違法駐車の解消という観点から、団地自治体の協力を得ながら順次整備を進めておりますが、近隣の民間駐車場と比較し低廉な料金を設定しているところでございます。
 いずれに致しましてもこれらの改修等を実施する場合に当たりましては、事前に入居者の皆様に丁寧な説明を行い、ご理解をいただくよう努めております。また個別の事情がある場合には家賃減免により負担軽減を図っているところでございます。以上でございます。

【高村議員】
(4)入居者の募集や管理、料金設定と家賃の減免支援などに、県担当者や住宅公社の職員が、日夜奮闘されておられることには敬意を申し上げます。
 高齢者世帯、母子父子世帯、・身体・知的・精神障がい者などへの対応では、福祉の専門的な対応が必要ではないでしょうか。減免状況を見ると平成22年度で3,747件、26年度では4,887件と4年間で176%も減免対応件数が増えています。千葉県で起きた母子家庭での事例のように、福祉対応が遅れて悲劇を出さないような対策が求められています。
 公営住宅の入居者は社会的弱者が多いわけですから、医療・福祉・介護等の専門的な知識と対応ができる職員の配置を考えるべきではないでしょうか。知事に伺います。
【阿部知事】
(4)県営住宅の管理における福祉対応ができる職員の配置についてというご質問でございます。千葉県の公営住宅で起きた家賃滞納で立ち退きを迫られた母子家庭での痛ましい事件、こうした事件は起きてはならないことだと思っております。本県では従来からひとり親家庭や障がい者等で特に生活に困窮して家賃を滞納しがちな入居者の方に対して、職員ができるだけ早い段階から電話や直接お宅を訪問することによりまして接触を図らせていただき、生活状況などをきめ細かく把握することに務めてきております。また長野県ではこうした方々に対しては、福祉的配慮から明け渡し訴訟の対象とはしておらず、千葉県での事例の様なことが起こらないようていねいな対応に務めているところであります。
 また入居者の状況に応じて家賃の減免を行なうとともに福祉事務所や地域の生活就労支援センター(マイサポ)等の支援機関に話をつなげるなど福祉部門との情報共有を密にし、連携を図りながら生活支援にあたっているところであります。県営住宅管理に関わる職員については生活困窮者自立支援制度や生活保護制度等福祉関係施策を十分理解した上で、生活に困窮する入居者に配慮した上でより一層丁寧な対応ができますよう研修等を通じて資質の向上を図っていきたいと考えております。
【高村議員】
 いま知事がおっしゃっていただきましたような、そういう大変配慮した県営住宅の運営をお願いしたいと思います。
 高齢者世帯が多くを占める団地も増え、自治会機能の低下によって、草刈りや除雪などの共同作業ができないなど、コミユニティ機能を維持するにはどうしたらよいのかも課題となっています。県は、自治会やコミユニティ機能がある活力ある団地をめざしていただきたいと思います。これは、要望と致します。

2.介護保険制度について

【高村議員】
 次に介護保険制度について伺います。この4月に実施された介護保険制度改革により、介護報酬は大幅に減額され、介護施設の運営は深刻な事態に直面しています。また、要支援者へのサービスは縮小され、介護3以上でないと特別養護老人ホームにも入所できなくなりました。
 デイサービスは大規模で5%、小規模では9%もの引下げ。要支援1では25.6%、要支援2では23.8%もの引き下げ。訪問介護では、身体介護20分未満で3.6%、生活介護45分以上が4.7%の減額。地域包括支援の要となる訪問看護ステーションからの訪問看護は2%以上の報酬の引き下げなど、介護保険サービスで軒並みの減額報酬となっています。
 大幅な制度改定による影響は県内でどのようになっているのか、私たち共産党県議団では、7月に県内1,700余の介護保険事業所にアンケートをお願いし、約200か所(11%)からの回答をいただきました。8月にまとめをしたところ、そこには大変深刻な事業所の実態が浮かびあがっています。
 介護報酬の減額は約8割の事業所が減収となっており、介護職員の確保も厳しいという現実。6割以上の事業所が「赤字」と回答されています。約57%の事業所が経営と存続に希望がもてないと回答され、県や国に対する切実な要望が綴られていました。

(1)今年度の制度改正による事業所への影響について、県として、どのように把握され、対応をされていますか。健康福祉部長にお伺います。

【健康福祉部長】
(1)介護現場の深刻な状況についてのご質問にお答えいたします。制度改正による事業者への影響についてでございますが、今回の介護報酬の改定については、事業者単位で収入状況を算出するため長野県国民健康保険団体連合会の協力を得まして、本年4月から6月に事業者が実施した介護サービスに関わる収入金額について、前年度当月との比較を行いました。合わせて対前年度比との増減の理由や今後の対策について、27の事業所から個別に事情を聴き取ったところであります。
 こうした調査の結果、介護報酬に引き下げにより経営環境は前年度より厳しさを増してございますが、加算の申請や利用者の増への取組が収入確保のための有効な手段となっているものがあるというふうに考えております。
 今後も事業者からの相談に応ずるとともに、更に実態把握に努めまして、そうしたところで得られた調査結果などの分析を進め、事業者への助言や研修を重視してまいりたいと思います。以上でございます。
【高村議員】
(県議団で行った)このアンケートには「介護報酬の引き下げに伴い、多くの可算が盛られていますが、条件が厳しく小規模では可算は受けられません。収入は減るばかりです。小規模事業者への配慮をしていただきたい」など特に小規模事業所がこの先の経営が成り立たないという深刻な声を寄せています。
 県内では地域に密着した小規模事業所が、地域介護を担う中核として頑張っています。しかし今回の改定によるダメージは大きく宅幼老所や小規模デイサービスの存続が危機に瀕しているのです。

(2)長野県は宅幼老所への取り組みを支援してきた経過があり、現在約450箇所ありますが、特養など施設入所やショートの空きがない中で、これら小規模施設での宿泊受け入れは大変に喜ばれている事業です。県独自に1泊4,000円の補助がありますが、人件費さえも捻出できず採算が取れません。
 県として小規模施設への宿泊補助の増額など、支援の一層の充実を求めますがいかがですか。健康福祉部長に再度伺います。

(3)県は介護サービス事業所が各種可算を取得することを勧めていますが、経営が厳しく赤字化している中で「処遇改善可算」を受けられず、介護職員の給与増額ができる状態にない。介護、看護、リハ、ケアマネ等々、専門職員の確保が必要です。全国的にも介護職員が不足している中、ましてや専門職員の確保などいっそう困難です。
 小規模事業所の経営改善に向けて県は、具体的にどのような方法で可算取得ができるように指導されるのですか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
(2)宅幼老所などへの宿泊補助の増額についてでございます。宅幼老所は地域の支え合いの拠点として整備が進みまして、平成27年4月現在で県内に463か所ございます。このうち介護者が急病や冠婚葬祭等によりまして一時的に介護ができないいう場合に利用する緊急宿泊は155事業所で実施しております。
 緊急宿泊については、夜間の職員配置など一定の要件を満たす場合に一泊4,000円を上限として利用者の負担を軽減するため、市町村と県がそれぞれ2分の1を負担して補助してございます。平成26年度は58事業所、のべ2,000回の緊急宿泊に対して支援してまいりました。
 補助金の実績報告によりますと、食費等を除く一泊の利用料金は1,000円から10,000円と幅があり、利用者負担額は平均で2,200円程度となってございます。
 緊急宿泊につきましては、市町村と県が協力して補助をしており、制度の運用につきましては、実施主体でございます市町村のご意見も伺って参りたいと思います。また市町村や事業所からのご要望が多いこの事業でございますので、この事業が継続して実施できるよう、引き続き必要な予算の確保に努めて参ります。

(3)次に加算取得のための県の支援でございます。処遇改善加算につきましては、専門職の配置は必要とはしませんが、キャリアパスの整備を必要としてございまして、現在8割を超える事業所が利用してございます。しかしながら個別の聴き取り調査では、算申請をしていない事業者から申請事務が煩雑で事務量が多いといった声を聞いております。こうした事業者の声を踏まえ、事務の権限のため、県では申請書類の入力箇所を減らすソフトを作成し、小規模事業者を始めすべての事業者に対して送付して、研修会で周知を図っているところでございます。
 一方特定事業所加算は介護福祉士など専門職の配置が求められ、事業所からはそうした人材が不足しているとの声がございます。専門職の確保に向けては、県では介護福祉士養成校入学者への就学資金の貸与や、介護の仕事についていない介護福祉士の復職支援研修等を実施しているところでございます。県としてはこうした支援を更に充実することで、少しでも多くの事業所が加算が取れるように取り組んでまいります。以上でございます。

【高村議員】
(4)アンケートには、「高齢者が増える中、家族での介護が困難になっている。現状を知りながら介護報酬の引き下げは逆行している、国は小手先ばかりの政策を繰り返し、何の解決もせずになお一層事業所も介護者も苦しめている。もっと現場を知ってほしい」との厳しい声が寄せられています。7割の事業所が深刻な経営実態にあり、全国的にはすでに、廃業倒産する事業所も出てきています。6月県議会で私は介護保険制度の抜本的改善を求める意見書案を提案しましたが、残念ながら否決されました。一方県では6月に知事要望を国に上げておられますが、その要望の要旨について知事ご説明願います。
【阿部知事】
(4)お答えします。国への要望の趣旨であります。6月15日に国に対して平成28年度予算に対する提案・要望を実施しております。介護保険に関しては介護保険制度が将来に渡り安定したものとなるよう更なる国費負担の拡充、利用者負担の適切な見直しなど必要な制度の改善を図る旨の要望をしているところでございます。以上です。
【高村議員】
 阿部知事にもいま申し上げました私ども県民の、事業所からいただきました切実な声がありますけれども、また後ほど知事にもごらんいただきたいと思いますけれど、本当に切迫している状況であります。そして知事、意見を国に上げていただきましたけれども、その後の国による改善はみられるでしょうか。
 安倍首相は最近、新たな三本の矢の1つに社会保障の充実を掲げ、具体的には「介護離職をゼロにする」と表明されました。しかし年間約10万人もの介護離職者が発生している現状や2025年には介護職員が12万人も不足することへの対策は全く見えません。介護保険制度の創設では、「高齢化が進む中で、介護を社会全体で担う、その人らしい生活を支援する介護保険制度」としてスタートしたはずです。
 介護保険事業所の経営を危機的にするような改革を次々に行った上に、介護保険料は当初の1か月平均2,500円から5,000円台へと2倍もの値上げになっています。所得や資産によって利用料を1割から2割負担への増額。さらにサービスの低所得者減免制度をなくす。さらに国は高齢化に伴う必要な福祉予算もこれから年間4,000億円規模で毎年減額する方向を示しています。どこに「介護離職者ゼロに」となる制度設計があるのでしょうか。
 知事に再度お願いしたいと思います。県は真剣に介護現場の切実な実態を把握してください。全国一の長寿県、本県から、「せめて、この4月改定の前に戻してください」とのこの切実な訴えをぜひ受け止めてください。国に対して現状の危機的事態からの早急な改善を求めて下さい。知事にもう一度ご決意を伺います。
【阿部知事】
 介護保険制度の要望について先ほど要旨、要点を申し上げたわけでございまして、提案書として持って参った中の課題の問題認識については、もう少しいろんな観点を入れさせていただいていることはもちろんであります。例えば介護保険制度の改善で市町村主体の新しい介護予防・日常生活支援総合事業が創設されたわけでありますけれども、市町村はサービス提供体制の構築が必要となり、新たな負担の発生、格差が生じることが懸念されているといったようなことであるとか、あるいは介護職員の処遇改善加算では看護職あるいはリハビリ職が加算の対象職になっていないと、こういう課題があると問題点を指摘もさせていただいているところであります。
 国においては私どもの要請受けとめていただいた訳でございますが、具体的な対応は予算に関連する話でありますから、これからの対応という形になろうかと思います。国の対応状況、我々もしっかり把握をしていきたいと思っております。また私から健康福祉部に対してもこの報酬改定の現状等しっかり把握するようにということを指示をしているところであります。他の産業分野と違ってすべていろんな部分が公定価格で動いているわけでありますので、そういう意味では行政の、私どもも責任が重い分野であるというふうに思っております。今後ともそういう意識をしっかりと持ちながら、現場の声を十分お伺いするなかで適切な対応を行なっていきたいと思っています。以上です。
【高村議員】
 ぜひこの長野県の介護事業所および介護関係の皆様のなかに生じている実態を、本当に真剣に受け止めていただいて、国のほうにしっかりと意見を上げていただきたいと思います。私ども共産党県議団としても社会保障制度としての介護保険の充実を求めて力を尽くしてまいりたいと思います。

3.太陽光発電施設対策について

【高村議員】
 最後に太陽光発電施設の対策について伺います。環境影響評価条例の改定案が今県議会に提案されました。太陽光発電の普及を促進し、自然エネルギーによって持続可能、地産地消循環型経済への転換へ、「原発はゼロへ」と真剣に取り組みを強めてゆくことが多くの人々の願いです。
 しかし、昨日も今井敦県議が質問されたように、メガソーラーなど自然エネルギー開発でも、自然景観への影響や山腹、山林破壊による土砂災害などさまざまな悪影響や不安も発生しています。県の環境影響評価の対象とすべきだとわが会派としても重ねて求めてきましたので、今回県が従来想定をしていなかった太陽光発電設備等などの大規模建設について、環境影響評価の対象拡大など見直しを行うことは歓迎するものです。しかしなお環境影響評価に基づく知事意見書に、規制ができる権限は附置されていないなど、住民の不安は払拭されません。
 近年、ゲリラ豪雨によって土石流による大災害が発生し、なお甚大な被害が出ています。県が広報している土砂災害防止法の警戒区域など、県が指定する土砂災害の危険がある区域の上流での建設については、災害対策の視点で、林務部とも連携して、規制するなどの対応が必要ではないでしょうか。
 また先日の鬼怒川の堤防決壊では、民間業者が現場の堤防付近にメガソーラーするため、掘削をしたことが氾濫に与えたということを検証するとの考えを政府は示しました。太陽光発電所の建設が河川に与える影響も含め、堤防管理にも配慮した規制の対応が必要ではないでしょうか。
 建設部長に、防災の観点から山腹の砂防と堤防管理についての対策をお伺い致します。
【建設部長】
 土砂災害計画区域の上流部における太陽光発電施設の建設に関するお尋ねでございます。土砂災害の危険性のある区域につきましては、土砂災害防止法に基づき土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定を行っております。これらは土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、自然現象による土砂災害が発生する恐れがある土地の区域を明らかにすることで、危険な区域への人が居住する施設の新規立地を抑制するものでございますが、太陽光発電施設は対象にはなっておりません。
 土砂災害防止法の趣旨としましては、土砂災害の恐れのある区域を明らかにすることが目的でありまして、上流での太陽光発電施設の建設に関して規制をするといったものではございませんけれども、土砂災害に対する啓発を強化し、意識の改革をできる限り図ってまいりたいと考えております。
 また森林法に基づき、民有林におきまして、1haを越える開発をしようとする時は、知事の許可を必要とする林地開発許可制度がございます。この制度では土砂の流出または崩壊の防止、水害の防止といった点からも審査をしております。
 次に河川の堤防管理に対するお尋ねでございます。堤防に影響を及ぼす恐れのある区域は、通常河川区域または下線保全区域に指定されておりまして、これ等の区域において工作物の設置や土地の掘削等を行う場合には、河川法の許可を要するため、この手続きの中で河川管理上必要な規制を行なっているところでございます。
 また堤防に影響を与える行為については、日常の河川巡視や堤防点検の中でも確認しておりまして、必要に応じて行政指導等を行なっているところでございます。今後とも引き続き河川の堤防管理に十分に配慮して対応してまいりたいと考えております。以上でございます。
【高村議員】
 さらに突風により発電施設が破壊され、パネルが舞い上がるなどの危険な事例も出ています。太陽光発電施設設置については、ある程度の強度を持った建造物にする必要と考えます。現在は業者の技術に任せられており、国の建築基準法の対象にはならないとのことですが、建造物としての基準があってしかるべきではないでしょうか。県として設置場所や規模に応じた設置基準の策定を、国に求めて頂きたいんですけれどいかがですか。環境部長に伺います。
【建設部長】
 太陽光発電の設置基準についてお答え申し上げます。他の県におきましては軽自動車が横転したり、住宅の屋根が飛ぶような強い突風によりまして太陽光発電施設の倒壊事例があることは承知しているところでございます。
 太陽光発電システムの設置にあたりましては、主要メーカーが施工基準を設け、施工者に対し技術研修の受講を義務付けているということも聞いているところでございます。また環境省や業界団体におきまして、事業者向けの手引書の作成や講習会の実施などを行い、適正な施工を促進しているところでもございます。
 現在のところ、県内での倒壊事例は承知しておりませんが、本県を含む34道府県で構成し自然エネルギーの普及拡大を目的とする自然エネルギー協議会を通じまして、情報収集を図るとともに、必要に応じてこの協議会による国への提言などの対応を研究してまいります。以上です。
【高村議員】
 長野県民を代表して阿部知事には、この大規模なメガソーラー等の開発の諸問題が発生しているいま、災害対策として大規模開発に対する規制と基準を整えていただくよう、国(環境省、国土交通省、経済産業省など)に対策を強く求めていただきたいと思います。
 さまざまなお取り組みも、いま環境部長からご答弁あったわけですけれども、やはり制度の根幹、国の制度の対策を強く求めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。一部の財政力がある事業者が開発し、利益を持ってゆく環境破壊型の開発ではなく、各家の屋根等への設置を応援し、多くの県民が太陽光発電に積極的に取り組み、経済的にも恩恵が受けられるような政策を作っていただきたいと思います。
 知事は「地消地産」経済を提唱されましたので、太陽光発電設備の各戸設置支援についてどのようにお考えか伺います。
【阿部知事】
 太陽光発電についてのさまざまな規制等についても国にするようにとのご質問でございます。今般、環境影響評価条例の改正案も審議をしていただいているところでありますけれども、自然エネルギー普及拡大に積極的に取り組むと同時に、負の側面、マイナスの面にもしっかり着目をしていくということが重要だと思っています。庁内でもさまざまに検討しておりますし、市町村とも問題意識を共有しています。そういうなかで必要なものにつきましては先ほどの青柳部長からもご答弁申し上げましたように自然エネルギー協議会等もあります。そうしたところでの検討研究を通じまして、必要な要請を行っていきたいと思います。
 それから太陽光発電施設への各戸補助支援というご質問でございます。経済産業省の統計によりますと、長野県、本年5月末時点における10kw未満の住宅用太陽光発電の導入状況、世帯当たりで全国第3位ということで、非常に普及が進んでいる状況であります。これ固定価格買取制度の活用と自然エネルギー信州ネット等との連携による相乗効果というふうに考えています。また、地球温暖化対策条例、議会の皆さまにもご理解いただいて、改正を致しました。新築時に自然エネルギー導入の検討を義務付けた「建築物自然エネルギー導入検討制度」、今年の4月から戸建住宅にまで対象を拡大しているところでありまして、住宅における自然エネルギーの普及を後押しをしているところであります。こうしたことから、住宅用太陽光発電については、本県では順調に普及が進んでいると認識しておりまして、現段階では新たな支援策について検討する状況にはないというふうに考えております。以上です。
【高村議員】
 山岳観光県として、山林、里山、河川のかけがえのない恵みを大切に維持保全しつつ、大規模開発が環境破壊や安心の暮らしへの悪影響がないよういっそうのご努力を求め、一切の質問を終わります。

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