「農業施策の充実を求める意見書(案)」賛成討論
9月県議会本会議において「農業・農村の活性化に資する施策の充実を求める意見書(案)」の審議がおこなわれ、意見書案は全会一致で可決されました。審議においては、藤岡議員が賛成討論をおこないました。
議第9号 農業・農村の活性化に資する施策の充実を求める意見書案に賛成の立場で討論を行います。
今年の2月定例会の代表質問で米価下落の問題を取り上げた時に、ある佐久市内農家の方の声を紹介しました。「10町歩以上の農家は1000万円の減収。どうやって暮らしていけばいいかわからない」と。国や県の農業政策に従い、大規模でやれと言われて、そのとおり頑張ってきたのに、大規模農家ほど深刻な打撃を受けたわけです。この米価対策で苦しむ農家のみなさんへの救済を求めましたが、県の対策は「販売強化キャンペーンの実施」だけという不十分と言わざるを得ないものでした。
あれから米価はどうなったのか。2015年産米の概算金は長野県は10,852円。昨年より少し高くなっているものの、稲作が続けられない低米価のままです。
農水省の調べでは、全国的な平均生産コストは約16,000円です。今年の米価もコストの6割程度。労賃や農薬代がでない「赤字米価」です。第2次安倍政権が発足する前の2012年産米は、取引価格が14,000〜15,000円でしたが、13年産、14年産、と連続して下落しました。「所得倍増」どころか、「赤字倍増」が実態であります。「コンバインやトラクターが壊れたらやめる」という農家が増えています。
大きな原因は、民間に流通する「過剰米」であります。しかし、安倍政権は過剰米を買い入れるなどの受給安定責任を放棄し、市場原理にゆだね、暴落を放置しています。
さらに、安倍政権は「戸別所得補償制度」や、米の販売価格が標準的な価格を下回る場合に差額を補う「米価変動補填(ほてん)交付金」などを廃止し、米価暴落の対策をとらないばかりか、直接支払交付金を半減し、農家を苦境に陥れていれています。円安や消費税増税による資材高騰で、生産コストも増大しています。農業経営を続けていくことがますます困難となっています。
その上、TPP推進とは!言語道断であります。9月30日からアメリカで閣僚会合が開かれていますが、甘利担当大臣が現行の77万トンの輸入米に加え、5万トンから7万トンの追加輸入枠をつくる譲歩をすると発言しており、明らかに国会決議違反であります。さらに重要5品目の一つ、小麦の関税を「45%」削減するという方針まで出されているとの報道もあります。
明らかに現在のTPP交渉は、国会決議違反の合意がなされようとしている状況であるにも関わらず、国に対し「国会決議を守っていると信じている」とのスタンスに留まっている、県の弱腰ともとれる姿勢をあらため、県民と共に国会決議違反の合意は反対だとのスタンスを堅持していただきたくことも強く求めます。
稲作農家の収入減少に対応するために、「米・畑作物の収入減少影響緩和対策」(いわゆるナラシ対策)があるというものの、積立金を出した農家に対し、減少分の実質7割程度を補てんするだけであります。米価が下がるにつれて、基準収入額が下がる致命的欠陥がある制度です。意見書(案)にある、「農業・農村の所得を倍増させ、農業・農村の活性化を実現するためには更なる施策の充実が求められている」との指摘は、まったくそのとおりであります。
今やるべきことは、深刻な危機を打開する上でも、需給調整のために、余剰米の買い入れを行なうなど緊急対策を講じ、米の需給や流通の安定に政府が責任を果たすことであります。
また、米価に過去3年の生産コストの平均を基準として、販売価格との差額を補填する「不足払い制度」を創設すること。主食米以外の増産に力を入れること。全量輸入は義務ではない77万トンもの米輸入を強要するミニマムアクセス制度はきっぱり廃止すること、TPPは直ちに撤退することなど、再生産可能な米価安定対策と所得対策としての我が党の政策も紹介し、賛成討論とします。