「TPP協定に関する意見書(案)」賛成討論
9月県議会本会議で、「環太平洋連携協定に関する意見書」について審議がおこなわれ、全会一致で可決されました。備前議員が賛成討論をおこないました。
日本共産党県議団を代表し、議第11号について賛成の立場で討論いたします。
環太平洋連携協定について協議していたアメリカ、日本など12カ国は、協定の大筋で合意したと発表しました。協議では懸案となっていた医薬品のデータ保護期間や乳製品の市場開放、自動車の原産地規制などでも合意したといいます。
「大筋合意」の内容は、TPPは農業、雇用、医療、保険、食品安全、知的財産権など地域経済と国民の生活・営業に密接にかかわる分野で、国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すものであり、とりわけ中山間地域農業に取り組む、本県農業に与える影響は、昨日の突然の発表にもあるようにトマト加工品、りんご、ブドウといういずれも本県主要農産物の関税撤廃にまで及び、壊滅的影響は避けられないことは明白であり、断じて容認できるものではありません。
日本はアメリカなどとの交渉で牛・豚肉、乳製品や主食であるコメについてまで大幅な市場開放を受け入れました。政府は密かに「守秘義務契約」に署名し、日本政府の提案も交渉相手国からの要求も一切明らかにせず、まさに国民の目から隠れて徹底した秘密交渉を行ってきました。今回の「大筋合意」で日米2国間の協議では、米国産のコメを対象に年7万トンの無関税輸入枠を新設するとともに、ミニマムアクセスの年77万トンの枠内で米国産のコメの輸入を現状の36万トン程度より実質的に年5万トン増やし、かつオーストラリア産米も年8400トンの無関税輸入枠を設けるといいます。さらに豚肉は関税を10年で低価格帯を10分の1に、高価格帯は段階的に0にするとし、乳製品でもバター・脱脂粉乳などで生乳換算7万トンもの輸入の特別枠の創設をするなど文字通り大幅譲歩です。重要農産品の「聖域は守る」としてきた自民党の公約も国会決議にも違反するものです。これにより日本が関税をかけている9018品目のうち約95%の関税が撤廃されることが分かり、2013年の国会決議を守れば撤廃される品目の割合が93.5%であったものが、交渉の結果、関税をなくす品目が増えたとの報道もあります。また、完全撤廃を原則にするといいながら、自動車の関税は日本がゼロなのに、アメリカ自身は25年間にわたって関税を維持するという不公平な屈辱的内容です。
安倍首相は大筋合意をうけて6日、「聖域なき関税撤廃は認めない」とする「自民党のTPP交渉参加に先立って掲げた国民との約束はしっかり守ることができた」と語り、コメ、麦など重要5品目について交渉から「除外」「再協議」するとした2013年4月の衆参両院農水委員会の国会決議にも反しないとの驚くべき認識を示しました。
安倍政権が「大筋合意」をしてもTPP交渉が決着したわけではなく、これから協定文書の作成と調印、各国との批准、国会承認などの段階があります。
これまで農家や農業団体だけでなく、労働組合や市民団体など、広範な国民がTPPに強く反対し撤退を求めています。日本共産党は安倍政権の公約違反、秘密主義で国民無視の暴走政治を許さず、TPPからの撤退と調印中止を求め、引き続き全力を挙げていく決意を申し上げ、本議案の賛成討論といたします。