日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年11月定例会 山口典久議員一般質問

  1. 地域経済、製造業支援について
  2. 浅川ダムについて
  3. 県と長野市保健所の共同設置について

1.地域経済、製造業支援について

【山口議員】
(1)はじめに、地域経済の振興、製造業支援について質問します。10月22日に決定された長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略では、信州創生の基本方針の一つとして活力と循環の信州経済の創出をあげ、信州らしさを伸ばす突破策として価格決定力のある製造業への転換、日本一創業しやすい県づくりなどが掲げられています。そして、重要業績評価指標として、製造業の労働生産性を平成24年度一人当たり1,184万2千円から、29年度には106万円増の1,290万円に引き上げるとしています。今後5年間の具体的な施策として、付加価値の高い製品づくり、販路開拓の促進や地域をけん引する中小企業の育成なども打ち出されているところであります。

 いうまでもなく、製造業は長野県で最も大きい生産額を誇る産業であり、長野県経済の大黒柱です。
 私はこういう立場でこの間、中小企業の製造業の現場を訪ねて直接お話もうかがってまいりました。南信地方のある企業は自動車や航空機の部品の製造にかかわり、独自の製品開発も行うなかで、価格決定も基本的に自社で行っております。悩みの種、後継者もいるということでした。そういう意味では、元気な企業の一つだと言えると思います。

 この経営者とお話ししても、たとえば、価格の決定力を全体としてどうやってつけていくかということでは、大手や取引先から、利益が出ないと言われればコストダウンをせざるを得なくなること、また、特殊な技術を持っていても品質や一定の量産体制、安定性が大手企業に認められる必要があること、さらに日本経済のあり方についても、重層的な下請け構造の現実なども指摘され、価格の決定力をもつ製造業への転換について、それは大事なことだけれども、現実は容易ではなく、夢のような話だと語られました。元気な企業を持ってしてもこれが現実であります。私は、現場には困難や課題がさまざまあって、改めて現場に足を運ぶことの大切さを実感したところであります。
 そこでお伺いいたします。長野県は現場の実態、生の声や要望をつかむために、どのような取り組みをされているのでしょうか。

(2)この間、製造業を巡る環境は、大きく変化してきています。付加価値の高い製品づくり、成長期待分野への展開、販路の拡大も求められています。
 一方、長野県の製造業は、関係者のみなさんの努力もあって安定した仕事の流れや生産量の拡大が長い間定着してきました。そのために、新しい技術や分野への挑戦がかえって難しくなっている面があると思います。また、生産も営業や管理も経営者が一手に担っているような企業もあります。新しい流れに長野県内の中小企業が対応していくためには意識の改革も含めた具体的な手厚い支援が必要ではないでしょうか。

 東京の大田区では、独自の制度をつくり、中小企業診断士など専門家を無料で派遣して経営革新計画を作成し、そしてその計画の実行にあたっては上限50万円まで直接支援を行っています。この制度は小規模な企業に焦点をあて、簡易に事業計画が策定できるもので、派遣する専門家については、俯瞰的な視野は必要だけれども、「上から目線」はだめだ、まさに経営者の目線で経営者の話を聞き、計画作りを応援する、こういう中小企業診断士、税理士を登録し、企業の求めに応じて派遣しているということです。利用した企業の7割以上から使ってよかったと評価されているそうです。
 長野県でも、中小企業診断士など専門家の派遣、経営革新計画の策定など、非常に有効な取り組みだと私は考えます。県として、もしくは、県と市町村の共同で経費の助成をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

(3)下請けの中小企業では、自動車関連の親企業は過去最高の利益を上げながら、単価のカットが強要されて、この年末一時金も支給されない、また、親会社の要請で巨額の投資をした製造ラインが、海外シフトのしわよせで突然必要ないと迫られて途方にくれている企業もあります。深刻な実態です。大企業や親会社の社会的な責任も問われる問題でもあります。長野県として相談窓口を設ける、またあまりにもひどい事例については、調査や企業名の公表などを行うことを考えられないでしょうか。以上3点について産業労働部長にうかがいます。

【産業労働部長】
 三点順次お答えいたします。
(1)まず中小企業の実態把握についてのご質問でございます。産業労働部では景気動向調査を県内の製造業300社、非製造業400社を対象に年4回実施しております。特に製造業につきましては書面調査に加え、県職員が毎回65社の企業に直接出向き、最近の業況、生産量、収益率の状況、経営上の課題などを伺っております。さらに県中小企業振興センターにおきましても、任意に抽出した200社を対象に経営動向調査を実施し、中小企業の実態把握に努めております。
 最近のこれらの調査からは、経営上の課題として、受注量の減少や求人難をあげる中小企業が多く、これに伴い中小企業の経営者は今後の対策として、取引先の拡大、人材の確保と養成が必要と考えております。

(2)次に中小企業診断士の派遣とその経費についてのご質問でございます。
 ご指摘のとおり、中小企業診断士など専門家を派遣して中小企業の経営支援を行うことは大変効果的なことと考えており、現在中小企業振興センターの専門家派遣事業のなかで進めております。この事業では中小企業における経営、技術、海外展開、マーケティングなど様々な課題に対応できる専門家約700名を希望する中小企業に紹介し、一企業あたり6回を目途に企業の求める支援を実施しております。
 なお経費につきましては、これまではすべての事業者に2分の1をご負担していただいておりましたが、県版地方創生総合戦略の対策の一つとして、創業間もない5年以内の事業者につきましては創業支援の観点から全額県が費用負担できるようこの9月補正で充実強化したところでございます。
 本来企業の経営計画の策定は、各企業が責任を持って主体的に取り組むべきものと考えております。しかし中小企業が行う付加価値の向上につながる研究開発や販路拡大などモデル的な事業につきましては、国の助成金や制度資金などを最大限活用できるようお手伝いをしてまいりたいと考えております。

(3)次に下請け事業者についてのご質問です。下請事業者の具体的相談につきましては、現在中小企業振興センターの下請け駆け込み寺が中心となって対応しており、昨年度は34件の相談に対応してまいりました。また、毎年国と連携して下請けの適正化に関する講習会を開催するほか、親事業者約300社を対象に文書でその適正化を要請しております。
 なお、不適切事案の調査や企業名の公表につきましては、下請け中小企業振興法や下請け代金支払遅延等防止法を所管する中小企業庁、公正取引委員会など国の機関で対応することになっております。

【山口議員】
 ご答弁をいただきました。
(4)長野県の製造業は、生産額が10年間で2600億円も大きく減少しています。こうしたなかで、総合戦略では、先ほどもご紹介したとおり、労働生産性を5年間で一人当たり106万円も引き上げる目標を掲げているわけです。本当に企業も行政も県民も力を合わせなければ達成は困難だと考えます。とりわけ、今日も頑張っている県内の中小企業の現場にどこまで足を運ぶことができるかが、成否を左右すると言っても言い過ぎではないと思います。市町村とも協力しながら、長野県内、製造業の中小企業1万1千社を越えています。この1万1千をこえる業者をすべてたずねるくらいの思い切った取り組みが必要だと思いますがいかがでしょうか。産業労働部長にうかがいます。

(5)また、支援の問題では先ほどご答弁もいただきました。具体的支援の問題で、これは使い勝手のよさが問題になってくると思います。とりわけ、経営を改善する、振興する計画を立てた、それへの支援が求められているのではないかと思います。原材料や機械装置、工具の購入、または、試作や改良に関する経費への補助など、申請書類の作成も含めて大変使いやすい制度をつくって好評な市町村が長野県内にも存在しています。
 ぜひ、そうした効果の上がる、使い勝手のいい喜ばれる制度を生かして、全県に取り組みを広げるために、この支援制度を作っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。産業労働部長の見解をうかがいます。

【産業労働部長】
 二点順次お答えさせていただきます。
(4)まず中小企業の支援についてでございます。昨年春につくられました中小企業振興条例に基づきまして、私どもは中小企業に対する支援を行っているわけですが、長野県だけではなく、関係機関、これが全体となって応援するという形になっております。各企業を訪ねるということはとても重要なことと考えておりますので、商工会または商工会議所、または地域の金融機関、これと連携いたしまして、各中小企業の課題につきましてお話をお伺いしてまいりたいと考えております。

(5)次に支援制度についてでございます。産業労働部といたしましては、この夏に、創業間もない企業の為の全額負担というふうの新しい制度をつくってまいりましたので当面は、創業に対しましては全額負担、その他の企業に対しては2分の1負担、これで進めてまいりたいと考えております。ただ、具体的な事案でモデル的な事業がございましたならば、国の制度を十分活用できるような形で応援してまいりたいと考えております。

【山口議員】
 石原産業労働部長からご答弁いただきました。前向きなご答弁をいただけたと思います。
 ぜひとも、関係団体、業界とも連携し力を合わせながら、そうは言ってもこの中で足を踏ん張って頑張っている中小企業と、語り合い互いに力を合わせて、長野県の経済の再建に奮闘いただきたいと思うわけであります。

2.浅川ダムについて

【山口議員】
(1)次に浅川ダムの建設についてうかがいます。浅川ダムは、軟弱な地盤のために20年も建設予定地が定まらず、建設の目的が下流域の内水災害の防止から、上中流域の外水災害の防止に変更されました。貯水型ダムは穴あきダムに変わるなど目的も内容も大幅に変更されてきました。また、洪水時の流量の予測が過大に設定されていること、すでに河川改修も進み費用対効果も大幅に減少していること、安全性についても様々な問題がこの間指摘されてまいりました。長野県北部では近年でも地震被害が発生しております。こうした中で、工事は進められてきたわけですが、現在の工事の進捗状況、また今後の計画はどうなっているのでしょうか。

(2)つぎに、安全性と試験湛水(たんすい)についてうかがいます。この間、ダム提体の直下を走るFV断層は活断層であるという指摘に対し、県議会でも知事からは、安全性については念には念を入れて進めてきたという答弁もありました。しかし、活断層か否かの判断を行う最も重要とされる基盤に重なる新しい地層、つまりFV断層上の礫層の調査はまともに行われてはおりません。ダム建設の安全性に責任を有する長野県は、これが断層活動とは無縁のものであるということを立証すべき責任があると考えますが、立証はされておりません。
 さらに、地すべりの問題です。そもそも流水型ダムにおいては水位の低下が急激になり、事前の降雨量によっては土壌が湿潤状態になって、地滑りによってダム下流域に深刻な被害がでる可能性もあるとされているところです。
 また、技術検討委員会でも大規模地すべりの危険性があるとしてボーリング調査を求められても、極めて不十分な調査で危険斜面の証拠がないと判断してしまいました。さらに、この間、岩盤遮水のためのカーテングラウチング工等の契約変更がなされ工事費が増額された経緯もあります。
 こうしたなかで、このまま工事を続行していくこと、とりわけ、完成後の試験湛水には大きな不安を抱かざるを得ません。奈良県川上村の「大滝ダム」では、試験貯水が始まって間もない2003年4月、地層に水が入り込んで地すべりが発生し、全37世帯77人が移転を余儀なくされ、総事業費も大幅に膨らんでいます。
 以上のことから、必要な調査や検証を行うこと、安全性が担保されるまでは試験湛水を行うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。以上、阿部知事に見解をうかがいます。

【阿部知事】
 浅川ダム建設についてのご質問でございます。
(1)まず進捗状況及び今後の見通しについてということでございます。浅川ダムの建設につきましては、昨年度中にダム本体の工事が概ね完成させ、貯水地内の地滑り対策であります押え盛土や管理棟の建築も本年9月末までに終了しているところでございます。現在ダムの管理に必要な観測機器の設置あるいは管理用道路の整備などすすめいるところでございます。
 来年秋からは試験湛水を行い、28年度末にはダムが完成予定という状況でございます。
(2)続きまして、試験湛水についてのご質問でございます。浅川ダムにつきましてはこれまでも地質、断層、地滑り、こうしたものにつきまして、文献調査、現地調査、地質調査など様々な調査を行い、安全性、確認しながら進めてきているところでございます。工事におきましては、ダムや地質の専門家など6名で構成されます浅川ダム施行技術委員会を設置致しまして、委員の専門的なご助言もいただきながら、押え盛土工など必要な地滑り対策を進めてきているところでございます。
 試験湛水につきましては、ダムが通常の管理に移行する前に、ダム本体、基礎地盤、貯水池周辺斜面など安全性を確認するために実施するものでございまして、ダム事業においては必要不可欠であり、安全性を確認するという上からも計画どおり実施してまいりたいと考えております。
【山口議員】
(3)浅川の問題についてであります。今知事からご答弁をいただきました。今後の進捗状況についてもお話をいただいたわけでありますが、内水対策についてです。中長期の整備の目標として、毎秒21トンの浅川排水機場の増設、千曲川合流点から200mから1.7キロメートル区間における堤防のかさ上げ、並びに、商業施設周辺への二線堤の設置、この2線堤は商業施設の来場者を浸水被害から守るためだということですが、いずれにしてもこの3つが示されているところであります。
 とりわけ、21トンの浅川排水機場の増設ですが、これは、いつごろをめどに整備する計画でしょうか。そもそも21トンの排水機場は、浅川ダムの完成までに設置するという約束だったと思いますが、いかがでしょうか。排水機場の確保は、県の説明でも、ダムの建設で懸念される内水被害の悪化を解消するためということですから、いずれにしても早期の完成が求められているのではないでしょうか。知事の答弁を、お願いをいたします。
 また、下流域の住民のみなさんの間では、ダム建設の賛否を超えて遊水池の設置を求める声が強くあります。例えば、大きな遊水地ではなくても、北堀や中の池に建設中の雨水調整池を下流域に作って対応していただくことはできないでしょうか。住民の皆さんからもそういう要望が出されています。知事にぜひご検討をお願いしたいと思います。雨水調整池の設置をお願いいたします。いかがでしょうか。

(4)また、試験たんすいについてご答弁をいただきました。
 地すべり調査対策マニュアルの改訂版でも「湛水によって発生した地すべりのうち、約6割は初期湛水時」つまり試験湛水の時に6割の地すべりが発生しております。「その余は2回目以降の湛水時に発生」しております。「初期湛水では貯水位上昇時に」、つまり水が増えている段階で、「2回目以降では貯水位低下時に地すべりが発生する傾向がみられる」と言われています。改めて、試験たんすいの危険性は明らかだと思うんです。その試験たんすいの前に調査、必要な対策を求めたいと思いますがいかがでしょうか。
 以上二点について阿部知事にお伺いを致します。

【阿部知事】
 浅川ダムの関連についての追加のご質問でございます。
(3)まず内水対策につきましては、これはダム建設のときにも様々ご意見をいただくなかで、やはり内水対策もしっかり取り組んでいくことが必要だというふうに認識しております。そういう意味でこの内水対策、ダム完成時を目途に取り組んでいくことが必要だと私から建設部にも指示をしているところでありますので、今の現状については後ほど建設部長からご答弁をさせていただきたいと思います。
(4)それから試験たんすいにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、安全性を確認していく上ではやはり計画どおり実施していくことが重要だと考えておりますので、地すべり対策等これまでも行ってきたわけでありますから、この試験たんすいをしっかり行うことによって、安全性の確認をしっかりと行っていきたいと考えております。
【建設部長】
 浅川の内水対策についてというところでございます。特に排水機場の増設についてというところでございますが、これは予定通り平成28年度、浅川ダムが完成されるまでに、排水機場の排水機能をしっかりもたせるというところの工事は完成させるという予定で進んでおります。若干の関連工事は29年度に残りますが、排水機能は平成28年度中に確保できるように頑張りたいというふうに思っております。以上でございます。
【山口議員】
 私がお聞きしたのは、21トンを設置する予定の排水機場について、14トンが完成するということで、残りの7トンはいつ設置していただけるのでしょうかということであります。建設部長に再度答弁をお願いしたいというふうに思います。
【建設部長】
 浅川の排水ポンプ上のさらなる増設の予定というところに関するご質問でございます。現在のところ、明確に何年度というようなところは申し上げられませんが、なるべく早期に整備できるように、我々としても努力してまいりたいというふうに考えております。
【山口議員】
 建設部長からは、残り7トンについてはいつ設置するか申し上げられないというお話でしたが、住民はそれでは困ります。住民は内水被害の不安に苛まれています。責任を持ってこの7トンの排水機場は早期に設置すべきであることを求めます。

3.県と長野市保健所の共同設置について

【山口議員】
(1)長野県と長野市の保健所の共同設置についてうかがいます。これは、2011年度の地方自治法の改正で可能になったと言われております。実現すれば全国で初めてということです。この共同設置に関しては、一つの医療圏に二つの保健所があることで、窓口で混乱が生じていることなどがその理由にあげられています。では、現実にはどのような混乱が生じているのでしょうか。具体的に教えていただきたいと思います。また、共同設置を行うことで、どのような効率化が図られるのでしょうか。お伺いを致します。

(2)共同設置によって、庁舎や業務システムの改修が当然必要になるかと思いますが、新しい庁舎を建設するのでしょうか、場所はどのように選定するのでしょうか、予算の規模はどれくらいを見込んでいるのでしょうか。

(3)そもそも、長野市が中核市となり、市の保健所が16年前に設置された時に、混乱や効率の低下は予測できたことであり、対策が取られてきたのではないでしょうか。なぜ今改めて必要なのでしょうか。見通しの甘さがあったと思えますがいかがでしょうか。以上、健康福祉部長にうかがいます。

【健康福祉部長】
 県と長野市の保健所共同設置検討につきまして順次お答えを致します。
(1)まず現実の混乱の有無についてでございますが、議員ご指摘のとおり、平成11年4月に長野市保健所が設置して以来、16年間を経過した現在でも、例えば住民や事業者からの問い合わせや届出について、市の保健所にすべきものが県の保健所になされるというような市と県の保健所を混同する事例があると聞いているところでございます。
 次に、共同設置による効率化についてでございますが、県として現時点で考えているところでは、新たな共同設置保健所に窓口を一本化した統合窓口を設置することにより、問い合わせや圏域全体の許認可手続き等にワンストップで対応したり、管轄区域をまたがる災害や感染症発生時に、県と市による一体的で迅速的な対応が可能になることなどがあげられます。それに加え、長野市においては、医師である保険所長や獣医師、薬剤師、臨床検査技師などの専門職の確保がしやすくなり、また多様な職場を経験した県職員と共に勤務することで採用後のスキルアップが図りやすくなるなどの効果があると考えられているところでございます。

(2)次に、庁舎や業務システムの改良予定、予算の見込みについてでございますが、保健所の共同設置については、11月17日に県、長野市、県長野保険福祉事務所管轄市町村をメンバーとする検討会を立ち上げたところでございます。
 今後、共同設置による効果や課題の整理、関係市町村への影響、組織、設置場所などをその中で検討することとしてございまして、議員ご指摘の新しい庁舎、場所などを含めた庁舎や業務システムの改良についても、例えば、管理業務の効率化ですとか施設設備の共用などが想定されますが、その中で検討していく予定としてございます。また予算についてもそうした課題を整理する中で見込んでまいりたいと思います。

(3)次に、保健所設置時点での見通しについてでございますが、中核市は地域保健法および地域保健施行令の規定に基づき保健所を設置することとされていることから、長野市において中核市の移行にあわせて保健所を設置したものでございます。以来、長野市は設置した保健所において、保健所業務と共に、母子保健や生活習慣病予防などの市町村業務を一元的に実施し、企画立案からサービス提供までひとつの組織で対応してまいりました。こうした利点を生かして長野市は独自の施策を展開することができ、それが住民サービスの向上につながっているものと認識してございます。その一方で議員ご指摘の、長野市内に2つの保健所窓口ができることや、県保険所管轄区域が虫食い・飛び地になることも当時から認識してございました。
 それに加え、近年は日常生活の更なる広域化や行政需要の高度化・専門化への対応などとともに、少子高齢化や人口減少社会の到来により、いっそうの事務処理体制の効率化も求められてございます。また、そうした状況も踏まえ、平成27年度の地方自治法改正により、新たに対象が機関に拡大され、共同設置が幅広く可能となりました。そこで今回、そうした新たな共同設置制度を用い、長野市保険所の築き上げてきた独自の取り組みを生かしながら、それを長野圏域にも広げることなどにより、住民サービスの更なる向上につなげることができないかという視点で、県と長野市がともに関係市町村を加えて、保健所共同設置の検討をはじめたところでございます。

【山口議員】
 ただいま、健康福祉部長からは保健所の共同設置についてお話を伺いました。これまで県は、保健所を統廃合して実施してまいりました。統合先にありきではなくて、県民の意見もよく聞きながら進められることを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

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