日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年11月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. パーキング・パーミット制度と福祉のまちづくり条例改正案について
  2. TPP協定交渉「大筋合意」について
  3. 米軍機飛行問題とオスプレイについて
  4. 産業廃棄物処分場問題について

1.パーキング・パーミット制度と福祉のまちづくり条例改正案について

【藤岡議員】
 日本共産党県議団の藤岡です。順次質問いたします。
①パーキングパーミット制度について質問いたします。パーキングパーミット(Parking Permit 今後はPP制度と略します)とは、身体障がい者用駐車場を利用する際、利用許可証を発行する制度です。現在31府県で実施されている制度であります。長野県も今回の11月議会に「長野県福祉のまちづくり条例」を改正し、信州PP制度を導入する計画となっており、障がいのある家族を抱えられているみなさんから歓迎の声が寄せられております。
 一方でPP制度導入により、障がい者等の駐車区画に高齢者や妊婦さんも駐車が可能となるため、区画のキャパシティが不足する懸念もあります。このように、先に導入している他県で明らかとなっている課題はどのようなものがあり、その課題にどう対応するのでしょうか。また、この制度に「信州」と頭に付けたということは、他県の制度と異なる特長があるのでしょうか。健康福祉部長にお聞きいたします。

②このPP制度についてですが、県民に交付する利用証を、同様の制度を導入している他県においても利用ができるようにするいわゆる相互利用協定を結ぶなど、利便性向上のための今後の展望はもたれているでしょうか。これも健康福祉部長にお聞きいたします。

③障がいを持っているみなさんは外に出かけるときに、まだまだバリアが多く、いろいろと困難があるんだというお話を聞く機会がございました。改正案が提案された「福祉のまちづくり条例」に定められていることを、この機会にしっかりと成し遂げられるようにしていただきたいと思いますが、予算措置を含めた今後の取組ついてどう考えておられますか。知事にお聞きいたします。

【健康福祉部長】
 パーキングパーミット制度と「福祉のまちづくり条例」の改正案についてのご質問に順次お答えします。
①パーキングパーミットの課題と特長についてでございますが、パーキングパーミットを本県で導入するに当たり、先行導入した近県の状況について検証したところ、課題としては議員ご指摘の通り、まず利用者数の増加に対応する駐車スペースの不足がございます。このため本県では、施設を管理する事業者の協力をお願いする中で、必要な駐車スペースの確保ができるように、車椅子を使用する方向けの幅広の駐車区画に加え、妊産婦やけが人など必ずしも幅広の区画を必要としない歩行困難な方向けに、通常の幅の駐車区画を確保するプラスワン方式を推進することといたしました。
 またそれに加えて「信州パーキングパーミット制度」の特徴といたしましては、駐車区画等利用証を2種類設定することも挙げられます。具体的には障がいのある方や高齢者、妊産婦等のニーズに応じて幅広の車椅子区画用か、通常幅のプラスワン区画用のどちらかの利用証を交付することによって必要な人が適合する駐車区画に停めやすい制度にしてまいると考えております。

②次に他県との相互利用についてでございます。同様の制度を導入している32府県では、利用証の相互利用に関する合意確認書を締結することにより32府県の全ての協力施設で利用証の相互利用が可能となってございます。本県もご議決をたまわれば、制度の導入を予定している来年度の早期に他府県と合意確認書を締結し、相互利用を可能とするとともに、協力施設の状況を県ホームページで情報提供することなどによりまして、県民の利便性向上を図ってまいりたいと思います。以上でございます。

【阿部知事】
③福祉のまちづくりの今後の取り組みでございます。条例を制定しただけではいけないと私も思いますので、いくつかの観点でしっかりと取り組みを進めて行きたいと思います。まず県独自の整備基準で建物のバリアフリー化を進めていこうというかたちにしています。このことについては建築設計者に対しまして詳細な設計マニュアルを作成・配布して周知を図って行きたいと思っております。またより高い目標基準に適合する施設に対しましては、新たにゴールド適合証を事業者に交付をしてホームページ等で積極的にPRを行って普及に努めてまいります。
 また、「信州パーキングパーミット制度」については、まずしっかりとご紹介しなければいけないわけですが、紹介と利用証の申請案内を兼ねた申請用紙付きチラシ、これを作成してスーパー等の商業施設にも配置をして、多くの県民のみなさま方が手に取りやすく、利用者が申請しやすい工夫をしていきたいと思っております。こうした経緯については今議会に補正予算案というかたちでご提出をさせていただいているところであります。
 このほか条例案に盛り込んでおります啓発や教育として、まず「信州あいサポート運動」、しっかりと進めていかなければいけませんが、この推進役となる「あいサポートメッセンジャー」を養成して、地域において障がいに対する理解の輪を広げて行きたいというふうに思っています。また障がい者・高齢者へのサポートを観光事業者等によりますおもてなしの1つとして取り組んでもらえるように支援をしてまいります。こうしたことを通じて福祉のまちづくりを一層推進していきたいと考えております。以上です。
【藤岡議員】
 お子さんに重度の障がいがあり、外出するときは車椅子に乗せて出かけるというお母さんのコメントを紹介いたします。車椅子用の3.5m幅の駐車場が埋まっていると大変だった。車椅子の人と、そうでない人と分けて利用証を発行するとの制度はありがたい。大きな一歩となるのではと。佐賀県で導入されてから、9年もかかった。他の福祉政策も早く実施していただき、誰もが住みやすい長野県を実現してほしいとのことでした。

2.TPP協定交渉「大筋合意」について

【藤岡議員】
 信州PP制度の次に、TPP協定交渉のいわゆる「大筋合意」の問題について質問いたします。
 政府はTPPの概要を明らかにしました。市場開放分野では、全品目の95%で関税を最終的に撤廃。過去に締結したどの協定よりも高い割合です。自民党自ら賛成された国会決議で、「聖域」として、交渉対象にしないように求めた農産物重要5項目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)でも、586品目のうち174品目、約30%で関税が撤廃いたします。国会決議違反は明白であり、政府が公約を投げ捨て、日本国民の利益と経済主権をアメリカの多国籍企業に売り渡すものであり、決して許されません。
 長野県も、これまで政府に対し、「国会決議を踏まえ、毅然とした交渉方針を貫き、国民の真の利益の確保に全力をあげること」と、TPP交渉参加は、国会決議が守られていることが前提で対応されてきたと思います。その上で、いくつか質問します。

①日本がTPPに参加した場合の県への影響試算で、農業分野では34億円減としていました。試算の際、重要5項目はいわゆる「聖域」であるから、影響は出ない、若しくはほとんどないため計算に入れなかったと理解しておりますが、34億円減とした根拠は何でしょうか。また県は、国会の決議を、重要5項目は守られる前提と解釈していたということでよろしいでしょうか。お聞きいたします。

②JA長野県グループが、県内の主要農産物の生産額が392億円程度減少するとの試算を公表したことについて、県としてどう評価いたしますか。このような危機感がある中で、長野県の農業を守るためにどの様な対策を考えますか。お聞きいたします。

③改めて県として、農産物について影響試算を出すつもりはありますか。出すとすればいつ頃までにやられますか。お聞きいたします。

④TPP交渉参加から大筋合意までの間に、政府から県に交渉過程の内容の説明はありましたか。以上を農政部長にお聞きいたします。

⑤知事にもお聞きいたします。TPP協定交渉「大筋合意」についての知事コメントを読ませていただきますと、国会決議について全く触れられておりません。県は「国会決議を踏まえて農林水産分野の重要品目の関税撤廃を例外とするなど国民の真の利益の確保に全力を挙げること」を要望してきたはずですが、結果は国会決議を踏まえた交渉となったと評価するのでしょうか。お聞きいたします。

⑥また、議案説明にあった政務官への要請内容は、政府の動きを受け入れた上でのものに見えます。国会決議を明らかに反する動きをしたのですから、政府に対しTPPから撤退をすべきと求めるべきではありませんか。知事にお聞きいたします。

【農政部長】
 TPPに関するご質問に順次お答えいたします。
①はじめに平成25年に行いました本県への影響試算についてでございますが、この試算は当時国が「関税は即時撤廃され追加的な策も講じられない」ということを前提として品目別に試算した計算式を本県の主要品目に当てはめて試算したものでございます。その際、重要5品目につきましては、政府が衆参両院農林水産委員会の決議を踏まえ、国益を守り抜くよう全力を尽くす考えで交渉するというふうにしております。そのため関税が全て即時撤廃され追加的な策も講じられないという前提条件には当てはまらないことから、試算から除外し+αとさせていただいたところでございます。

②次にJA長野県グループが公表した試算についてでございますが、この試算は東京大学の鈴木教授が本県農林水産業の減少額等について試算を行ったものであるというふうに認識をしております。現在この試算の根拠につきまして、JA長野県グループに対しまして、長野県の生産販売状況を考慮したものであるかなど、鈴木教授から品目別に詳細な説明をいただくようお願いをしているところでございます。
 また本県農業を守るための対策でございますけれど、まずは今後国が打ち出す対策を進めてまいります。さらに中長期の影響を見据えたとき、園芸・畜産・コメについて、体質強化のための担い手の育成・確保と、生産基盤の整備が特に重要と考えておりますので、市町村や農業団体等と連携を密にいたしまして、対策を検討してまいります。

③次に県としての農業分野への改めての影響試算についてでございますが、国は11月25日に策定した「総合的なTPP関連政策大綱」において、TPPの経済効果分析結果を年内に公表するとしております。県といたしましては、今後出される分析結果について詳細な情報提供が国からおこなわれた段階で、対応してまいりたいと考えております。

④次に国から県に対してのTPP交渉経過の内容説明があったのかということでございますが、交渉参加から大筋一時合意までの間に、国において数回にわたりTPP交渉に関する説明会が行われておりまして、いずれもその時点においての概要が説明されております。以上でございます。

【阿部知事】
⑤TPP協定に関連して、今回の結果、国会決議を踏まえた交渉となったと評価するかというご質問でございます。厳密にはやはり国会決議遵守かどうかというのは最終的には国会がご判断されるものというふうに思います。ただ農業関係者等の受け止めとしては、やはり不安・懸念が残るものとなっていることも事実だと思います。ただ政府においては、こうした国会決議を踏まえつつ、国益にかなうようにするべく交渉を行ってきたものというふうに私としては認識をしております。

⑥したがって先ほど農水省への要請についてもあわせてご質問いただきましたが、これは私とすれば交渉の大筋合意後影響が懸念されます県内農業者のために、県としてできることを速やかに最大限取り組んでいくということが私の責務であります。そういう意味で農政部にも私のほうから指示をして、なるべく抽象的ではなく具体的に要請をするようにということで指示をして、その上で現場の農業者あるいは農業関係団体からのご要望を取りまとめた上で、国に対して要請を行ったところであります。私からも直接政務官に対して、県としての思いをお伝えしたところであります。今後とも県内農業、大変重要な産業でございますので、農業の体質強化等力強い農業の実現に向けて全力で取り組んでまいります。以上です。

【藤岡議員】
 再質問いたします。知事は、平成25年11月定例本会議での答弁で、「政府としては重要5品目等の聖域の確保に全力を挙げるということで交渉し続けているわけでありますから、…そうした政府の取り組みを応援していかなければいけない」と答弁されております。この答弁を聞けば、県民は重要5項目は「聖域」であり、基本的には守られると信じてしまうと思います。まさか、重要5項目まで3割も関税撤廃されるとは想像しなかったでしょう。これ完全に政府に裏切られたんじゃないでしょうか。明らかに、政府は国会決議を違反したのではないでしょうか。知事として個人的にどう判断されるのか、もう一度知事にお聞きいたします。
【阿部知事】
 私としてどう考えるのかということでありますが、先ほど申し上げたように、政府としても国益を守る、国益にかなうような交渉を全力で行われたというふうに認識をしています。確かに農業者のみなさま方の間には、不安や懸念があるわけでありますので、そうした部分に対してはしっかり私たち対応していかなければいけないわけでありますが、ただすべて藤岡議員のいつものご質問は「○か×か」「100か0か」というお話になってしまうんですが、今回の大筋合意の内容を見てみますと、農林水産物における関税、日本以外の参加国は平均1.5%というのが関税が残った割合であります。それに対しましてお話をうかがいました重要5品目70.3%ということは、まったく桁違いの残り方ということでもありますし、また農畜産物の関税についても、これはアメリカあるいはオーストラリアに対して、特別枠を設定いたしたものの、国家貿易制度は堅持されておりますし、また牛肉につきましては、関税撤廃を回避しているということでありまして、先ほど申し上げましたように国益にかなうような交渉をした結果が、今回の大筋同意ではないかと思っています。
 ただ、何度も申し上げますが、今後長野県の農業に対する影響をしっかり把握して、われわれとしては最善の対策・方策を講じていくということがあわせて重要であります。従いまして、政府も問題意識を持ってこのTPPへの対策というものを講じているわけでございますので、そうした政府の取り組みもしっかり生かしながら長野県の農業が更に発展するように取り組んで行きたいと考えています。以上です。
【藤岡議員】
 答弁をお聞きして、今回の「大筋合意」を一定評価されているのだなということを理解しました。
 11月6日に行われたJA長野県大会での「TPPから食といのちとくらしを守る」特別決議の文章の一部を紹介します。
 「今般の大筋合意では、農林水産物の細目の81%が関税撤廃され、そのうち重要5品目だけでも30%が関税撤廃されるなど、国会決議や与党決議を大きく逸脱したものであり、断じて容認することは出来ない」「このまま国会批准に向かうのであれば、反対運動を継続・強化する」と怒りをあらわにしております。国に対して県が毅然とした態度で要請しなければ、県民から、長野県の農業を守る気があるのかと思われても仕方がありません。そのことを厳しく指摘しておきます。
 「大筋合意」との報道がされていますが、まだ決着したわけではありません。日本でもアメリカでも他国でも、「医薬品特許の保護期間の長期化で安価な薬を買えなくなる」「国民が希望する環境保護政策を取った国が大企業に訴えられるなんて民主主義じゃない」など、反対する意見が数多くあがっています。今後協定文書の作成、調印、批准という段階があります。闘いはこれからであります。県民のみなさんと力を合わせ、TPP撤退のために全力をつくすことを表明し次の質問にうつります。

3.米軍機飛行問題とオスプレイについて

【藤岡議員】
 つづいて、米軍機の飛行問題とオスプレイについて質問をいたします。
①東信地方を飛行する米軍機の騒音問題については、私が6月議会でも取り上げたところでありますが、その後8月20日に行われました長野県市長会総会においても「長野県内、佐久市上空を飛来する米軍機などの『ごう音』が住民不安を与えていることから、適切な対応を国・県に対して要望する」と、課題として取り上げられました。
 6月県議会では、「市町村の意見も聞きながら対応する」との答弁でありましたが、その後の対応はどうなっていますでしょうか。危機管理部長にお聞きいたします。

②11月5日に、県内の17市町村が垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの訓練空域に該当することが新聞報道されました。訓練空域は長野県・群馬県・新潟県3県にまたがる自衛隊の高高度訓練空域「エリアH」と言われているところを含めるとしています。県ではこのことについてどこまで承知しておりますか。また区域が決定したことで、いつオスプレイの訓練がされるのかという県民の不安が広がっております。情報収集はどこまでされておりますか。更に市町村に対し、オスプレイ配備に関する「環境レビュー」についての聞き取りがされていると確認しておりますが、市町村からどのような回答がありましたか。これを受け、国に対しどのような行動をとられましたか。これも危機管理部長にお聞きいたします。

③以前、オスプレイがいわゆる「ブルールート」を飛行するということに対し、防衛省と環境省に対し要望書を出された経緯がございます。このときの要望は「ブルールート」に留まっているので、更に「エリアH」における飛行訓練に関する要望が必要ではないかと考えますがいかがですか。この質問も危機管理部長にお聞きいたします。

④県民生活や、長野県の観光にも重大な影響を与えることにつながる米軍機や、CV22オスプレイ・MV22オスプレイの飛行訓練が実行されれば、地方自治・地方再生に逆行することになります。特にCV22オスプレイは、MV22よりも事故率が高いと言われています。欠陥機であります。訓練中止を求める姿勢を打ち出すべきと考えますいかがかですか。これは知事にお聞きいたします。

【危機管理部長】
 米軍機の飛行とオスプレイにつきまして、私には3点ご質問をいただきました。
①まず6月県会以降の対応についてでございます。これにつきましては、本年9月に佐久地方の関係市と県関係機関によります検討会を開催をいたしまして、今後の状況把握の方法につきまして意見交換を行いました。
 この検討会での議論を踏まえまして、県に直接寄せられる情報に加えまして、住民生活に最も身近な市町村においても実態を把握してもらうことが必要なことから、これらの情報の集約と共有を図るために、これまで聞き取る方によって差異が出るものもございましたけれども、全県統一の航空機騒音にかかる受付様式を定め、9月30日に県内全市町村に協力を依頼したところでございます。なおこの統一様式に基づく騒音の把握、10月から現在までで7件ということでございます。今後この統一様式によりまして、住民生活への影響の程度をできる限り客観的に把握してまいりたいというふうに考えております。

②2点目のオスプレイCV22の県内訓練区域についてでございます。これにつきましては本年10月14日に北関東防衛局職員から横田飛行場配備に関する「環境レビュー」の説明を受けた際に、県内上空が訓練区域になることが示されたものでございます。その際訓練区域に含まれる市町村が不明であったため、北関東防衛局に対しまして市町村名を照会し、17市町村が該当するとの回答を11月4日に得て、承知をしたところでございます。
 訓練の時期でございますが、オスプレイの横田飛行場への配備予定は平成29年後半と聞いているところでございます。訓練時期等の詳細については、10月28日に北関東防衛局に対しまして質問書を提出をしておりますが、現時点でまだ回答はございません。
 市町村に対する照会の結果ということですけれども、北関東防衛局から説明を受けた翌日に、市町村に対しまして文書により質問・意見等の照会をいたしました。市町村からの回答では、質問としては、訓練の頻度や内容、飛行する場合の事前の通告、安全性等の情報開示、市町村等を対象とした説明会の可否などがございました。
 また意見といたしましては、平成25年3月に行った国への要請事項の再度の要請、訓練区域からの除外などがございました。
 これらのうち、まず質問事項につきまして、北関東防衛局に提出をしたところでありますけれども、市町村からいただいた内容につきましては、それに反映させたところでございます。

③また要請書の提出ということでございます。今回のオスプレイの横田飛行場配備に、先ほど申し上げましたとおり、北関東防衛局に対しまして、質問書を提出しているところでございます。この質問書に対する回答や、それに対する市町村の意見等も踏まえた上で国に対する要請について検討をしてまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

【阿部知事】
④オスプレイの質問でありますが、その前にTPPについて、先ほど私の答弁、非常に「100か0か」でまた総括をしていただいたわけですけれども、藤岡議員の理解されている仕方と答弁したことと、いささか違っているんじゃないかというふうに思っております。私は国会決議を踏まえた交渉が行われて来ているのではないかという観点で、具体的な数字を申し上げたわけでありまして、先ほどの国会決議に対する評価は冒頭ご答弁したとおりでございますので、そういう意味で「0か100か」「○か×か」という受け止めではなく、中身をご理解いただければというふうに思います。
 オスプレイについては、訓練の中止を求める姿勢を打ち出すべきと考えるがいかがかというご質問でございます。まずオスプレイの配備、米軍機の訓練、これは国が基本的に責任を持って対応をすべき課題だというふうに思っております。しかしながら県民生活に関連するものについては、私どもとしても無関心でいるわけには行きません。そういう意味で北関東防衛局に質問書を提出させていただいているところであります。今後それに対しての回答が戻ってくるというふうに思います。こうしたものに対する市町村のご意見等も踏まえまして、国に対しての要請について検討をしていきたいというふうに思っております。県民の生活を守るという立場から国に対して申し上げるべき点はしっかりと申し上げていきたいというふうに考えております。以上です。
【藤岡議員】
 TPPについてですが、知事は一定評価されたのかなと私は理解しております。
 米戦闘機のごう音問題への対応は一定評価いたしますけれども、オスプレイの問題で再質問させていただきます。私も市町村に聞き取りをさせていただきましたが、いくつかの市町村は県への回答で「住宅地上空は飛ばないでもらいたい」「わが自治体の上空では飛行訓練はやめてほしい」「飛行訓練は絶対に認められない」など答えたと教えていただきました。しかし、県が北関東防衛局に出された質問事項では、訓練区域・訓練内容・安全性などについて質問はされていますが、市町村の「飛行訓練をしないで」という声をダイレクトに伝えていません。市町村の意見を集めておいて、これはひどいのではないですか。知事にお聞きいたします。
【阿部知事】
 お答えします。先ほどもご答弁させていただいたように、私どもとすればいま質問をしている状況です。たとえば国の各省庁間のやり取りでもそうですけれども、法令協議がきた時には質問をバンバンだして、それに対して回答をもらって、それについて意見を言うというのが普通のやり方でありますので、質問と意見ごちゃ混ぜにして出すということではなくて、まずは質問を出して、で回答をもらって、それに対して市町村からいただいている意見等も踏まえて検討して、どういう意見を出すかということを考えて出して行こうということでありまして、先ほどのご質問ですとなにか県が市町村から聞いたものを県の段階でそのまま横においてしまっているとようなご質問になっておりますが、決してそういう考え方ではないということは申し上げておきたいと思います。以上です。
【藤岡議員】
 知事の答弁で、いずれは市町村の意見をダイレクトに届けてやっていただけるということを理解いたしました。
 1月に当選した佐賀県知事は「オスプレイ配備は白紙」と表明し、これまで佐賀空港について軍事的利用は慎重姿勢のスタンスで政府と交渉してきたそうであります。その効果があったのか、最近米軍のオスプレイ配備については見送られることとなったとの報道がされております。単純な比較はできませんが、知事のスタンスと県民世論が、このオスプレイ問題の鍵となります。県民の暮らしを守る、観光県としてふさわしくないと、国に対し「エリアH」「ブルールート」での飛行中止を求めるべきだと強く要望し、次の質問に移ります。

4.産業廃棄物処分場問題について

【藤岡議員】
 産業廃棄物処分場問題について質問をいたします。放射性物質を含む焼却灰を埋め立て処分してきた小諸市の廃棄物処理業者フジコーポレーション、隣接するイーステージに、その安全性を疑問視してきた「放射能を考える佐久地区連絡会」が、この2社から訴えられるという裁判が2013年から2年あまり争われました。その内容は、インターネット上で処分場の井戸水に漏洩の疑いがあること、また焼却灰を搬入する際に舞い上がりがみられる、と掲載したことが名誉毀損だとして、損害賠償合計2200万円を求められるものでした。この裁判は一市民や市民運動をつぶすことをねらったいわゆる「スラップ訴訟」ではないかとして、会のみなさんは、自分たちの活動の正当性アピールし、埋立地の危険性を徹底的に調査しながら正面から裁判を闘われました。それぞれの裁判ともに一審、二審でも、汚染水の漏洩や、埋め立てるときに放射性物質が含まれる粉じんが舞い上がっているという表現についても、「真実であると信じるに相当の理由がある」と認めた判決となりました。
 今回の裁判は民と民の裁判でありますが、産廃業者が適正に廃棄物を処分しているかどうかを監督するのは県であります。以上のことからいくつか質問してまいります。

①まず、住民の不安の払拭に向けた今後の対応はどうされますか。県の監督責任をどう認識されておられますか。お聞きいたします。
 廃棄物を運搬する際や埋立地への投下の際の留意事項について環境省が、「埋立処分を行う際に、ばいじん、燃え殻等が大気中に飛散しないように、……埋立地への投下に当たっては、投げ込み式は極力避けることとし」、ダンプアップですね、と通達を出しているにも係わらず、業者が適切に行っていないため粉じんが舞い上がっていた可能性がありました。これを市民が指摘して、業者に名誉毀損で訴えられたわけでありますが、そもそも通達どおりに県が業者を指導しておれば、問題は起こらなかったのではと考えますが、当時の県の監督についてどう認識されておられますか。お聞きいたします。

②宮田村にも放射能を含む廃棄物の最終処分場の建設計画がございます。県はどこまで把握されておられますか。地元住民の要望などもつかんでおられますか。以上を環境部長にお聞きいたします。

③知事にも質問いたします。この小諸市の業者の処分場の問題を取り上げて4年ほど経ちますが、この間、この現場をご覧になられましたでしょうか。もしご覧になられておられましたら、どのような感想を持たれましたでしょうか。また、今後も県外から放射性物質を含む廃棄物の搬入がされる可能性があります。このような廃棄物は出た場所で管理・処分すべきであって、拡散させるべきではありません。一定のルールづくりが必要ではありませんか。知事にお聞きいたします。

【環境部長】
 順次お答えいたします。
①はじめに佐久地域の2つの最終処分場に関するお尋ねでございます。まずイー・ステージにつきましては、最終処分場周辺地下水の悪化が見られましたが、その原因の特定には至らなかったため、事業者に地下水の汲み上げと月1回のモニタリングを継続実施させ、県自らも年1回の水質検査を継続実施しているところでございます。この地下水の汲み上げを開始して以降、水質が改善してきたとの検査結果もありますことから、県といたしましてもこれらの対策を引き続き実施してまいります。
 次にフジコーポレーションの最終処分場跡地につきましては、廃棄物処理法上の廃止後も引き続き、県、事業者ともに地下水の放射能濃度や空間放射線量率のモニタリングを継続させ、その結果もホームページで公表しているところでございます。こちらの処分場跡地の管理責任は、まずその土地の所有者にありますが、県といたしましても事業者の協力を得ながら、必要な行政指導を行い、住民の皆様の不安の払しょくに努めてまいりたいと考えております。
 続きまして最終処分場での埋め立て時における粉じんの舞い上がりについてお答え申し上げます。埋め立てを行っていた当時、この処理業者は、法の埋め立てにかかる処理基準に従い、加湿されたばいじん等をセメントと混練りした上で、水を噴霧しながらばいじん等が飛散しないよう処理を行っておりました。当時も住民のみなさまから、粉じんが舞い上がっているとのご指摘があり、県では処分場周辺での浮遊粉じん中の放射性物質の測定を行いましたが、粉じんからは放射性物質は検出されませんでした。このように当時処理業者は法に定められた必要な措置を講じ、また処分場周辺への飛散・流出による放射能汚染は、県の調査では確認されなかったことから特に問題はなかったものと考えております。

②続いて宮田村での民間事業者による最終処分場建設計画についてお答えいたします。その事業者からは、今年6月に行われました地元説明用の資料を地方事務所にも提出していただいております。その資料によれば計画されているのは管理型最終処分場であり、その予定地、施設規模、埋立物、埋立方式などの概要について把握しております。
 この計画には多くのみなさまから反対の声が県に寄せられており、私自身も直接宮田村長から処分場建設にかかわるご懸念をお聞きしているところでもございます。また先月には村の「宮田の環境を守る会」から地下水汚染や放射性物質の拡散、村の産業への風評被害の懸念などを訴える1万4185名の方々の建設反対署名を知事あてにちょうだいしたところであり、その場でもみなさまから担当課長がお話をお聞きし、私もその内容については承知しているところであります。以上でございます。

【阿部知事】
③放射性物質を含む廃棄物の搬入についてのご質問でございます。
 まず小諸の現場を見ているかというお話でありますが、これまで適正に処理されているという報告を受けておりますので、私が直接視察ということは行っておりません。組織全体で対応してきているところであります。
 またルールづくりというご質問でございます。原発事故の直後からこの拡散の問題いろいろ議論されていたわけでありますので、国がもう少し踏み込んだ対応をすべきだという要請は、これまでもして来ているところであります。
 ただこれ要請するだけで県として何もしないということでは責任を果たせませんので、県としてはすでにこの放射性物質を含む廃棄物を埋め立てている処分場については、敷地境界での空間放射線量あるいは周辺地下水の放射性物質濃度のモニタリングを年4回行っております。また県から要請をさせていただく中で、事業者に対しても、法律上は義務はないわけでありますけれども、地下水の放射能濃度、敷地境界での放射線量のモニタリングを毎月実施をしています。
 こうした法体系で定められた以上の、長野県として独自の対応をしてきています。こうした中で環境汚染が生じていないということを確認し、そしてこうしたものすべての結果についてホームページ等で公表をすることで、周辺住民のみなさま方の不安解消に努めているところでございます。引き続きこうした対応を取り組んでいきたいと考えております。以上です。
【藤岡議員】
 小諸の現場っていうのは一度見ていただいて、ああいったものが今後県内にどんどんできてしまうのではないかということを、やっぱり知事に直接見ていただきたいということは、強く要望しておきます。
 宮田村では、環境に関する条例の整備を検討しているそうであります。村議会も反対の決議をあげられたそうであります。また先ほど環境部長からご答弁もありましたが、この問題はとなりの駒ヶ根市だけでなく、県内外で話題となり、署名が1万4000筆以上も集まったそうであります。こうした地元住民のみなさんや県内外の世論も受けとめていただいなと、このように思うわけであります。
 小諸の処分場は廃止となりましたが、県内では他にも次々と処分場計画が上がっていきております。このままでは県外から放射性物質を含む廃棄物が長野県に集中して持ち込まれるのではないかと心配しております。早期の対応強く求めたいと思います。
 最後に一つ再質問いたします。11月27日に原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定をめぐる受け入れの考えの調査において、「21道府県、事実上拒否」との報道がありましたが、その中に長野県は含まれていませんでした。本県は方針を明確にしなかったとありました。なぜ拒否の考えを明確にされなかったのか。知事にお聞きいたします。
【阿部知事】
 高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定についてのご質問でございます。これはメディアからのアンケートに対して答えているものでございます。高レベル放射性廃棄物につきましては、平成12年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定され、地下300m以上の深さの地層に最終的に処分するということとされています。その後平成14年から最終処分の候補地の全国募集が行われたわけですが、応募する自治体はなく現在に至っているという状況です。こうしたことから国では本年5月に「最終処分に関する基本方針」を改訂して、今後広く国民の理解を得るなかで、科学的により適性が高いと考えられる地域、科学的有望地を国が提示するということにしているわけであります。このことについては先般全国知事会の中でも経済産業副大臣から話があったわけであります。
 もちろん県民の暮らしを脅かすようなものを受け入れるという考えはもとよりないわけでありますけれども、しかしながらまだこれ国における検討が始まったところということでありまして、具体的な内容とか考え方とかそういうものを十分お聞きすることなく、先ほどの「100か0か」というようなかたちで対応をするというのは、いささかちょっとそれは結論を急ぎすぎじゃないかなという風に思っています。
 これ国全体で、いま考えているところでありますので、私どもとしては今の時点で県としての見解を示す段階ではないだろうということで、今回の回答をさせていただいたところであります。そういう意味で受け入れる方向だとか、受け入れの可否について慎重に検討するとか、そういう選択肢ではなく、考え方まだ示さないというのが私どもの現時点で行った回答でございます。以上です。
【藤岡議員】
 長野県はですね、やはり水と緑の豊かな県であります。そういった点で考えれば初めから断固拒否と21の道府県が言っているわけですから、長野県もそこに入ってほしかったなと大変残念な思いであります。ぜひ核のゴミは長野県は断固拒否の立場でがんばっていただくことを強く要望いたします。
 どの問題でも県民の不安解消、暮らし第一のスタンスで県政をすすめていただきたいということで質問をさせていただきました。私もその立場で今後も奮闘する決意を申し述べさせていただきまして、一切の質問を終わります。

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