日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年11月定例会 備前光正議員一般質問

  1. 特別支援学校の整備について
  2. 介護保険制度について
  3. 産業廃棄物処分場問題について
  4. 子どもを性被害からまもる取り組みについて

1.特別支援学校の整備について

【備前議員】
(1)特別支援学校の整備についてお尋ねします。特別支援学校の老朽・過密・狭隘化は先の議会でも両角議員が指摘したように深刻なものがあります。過密化解消のため極端に狭くなった校庭に使えなくなった大きなジャングルジムなどの遊具も放置されています。暗く古い寄宿舎や食堂。クールダウン部屋は印刷室を仕切った場所。教室不足により職員室も教室に変更し、ストレッチャーや車椅子がはいれないトイレなど人権問題です。そこでそれぞれの養護学校の在籍者数、および小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数の10年間の推移はどうなっていますか。また児童生徒数の10年間の増加率はどのようになっているのか、教育長に伺います。

(2)この度視察した千葉県では2010年に児童生徒数の増加と設立時に想定した児童生徒数の差を全県1555人過密と算出し、さらにその後10年間の推移を予測し、これに対応した整備計画を作り、5年間で11校の特別支援学校の新設を行っています。しかもこの新設は高等学校の廃校舎などの改修によって行っています。
 埼玉県では児童生徒の2.3%が特別支援教育を受けるとし、この受け皿として2005年から5年間で7校設置と3分校の設置をおこないました。また、文教委員会で視察した山形県でも「子どもや地域の実態に応じた特別支援学校づくりの推進」として全県的な特別支援学校の新増設、分校設置をおこなっております。
 このように他県では学校の新設を職員配置等体制の充実もはかりながら、改善させています。本県は17年間で特別教室をつぶしたり、25回85教室をプレハブ工法による教室増設が行き詰まったら、他の障害の異なる学校等に分教室を作ることで対応しようとしており、施設整備や教職員体制でも他県との差を実感しました。
 これまで教育長は「子どもの数がいずれ減少する」と、部分的な対応にとどまっています。現在でも教育を受ける機会の均等の権利を妨げ重大問題です。上田・飯田・伊那等の現状をみても過密で、なぜ全県を網羅した再編の計画をつくらないのでしょうか。まず今在籍する子どもたちの学習・生活環境の整備を改善するための拡充策を抜本的に再考すべきであると考えますが教育長のお考えをうかがいます。

(3)また8月に中信地区の再編整備計画が出されましたが、どのように児童、生徒、保護者ならびに現場教師等関係者に理解をはかっているのか教育長に伺います。

【教育長】
 特別支援学校の整備についてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。
(1)まず知的障がい特別支援学校と特別支援学級の生徒数の増加率についてのお尋ねでございます。知的障がい特別支援学校に在籍する児童生徒数は、10年前の平成17年度は1569人で、今年度は1978人と、409人の増となっております。なお、この間のピークは平成25年度の2009人であり、この2年間では31人減少しているところでございます。増加率で見ますと、ピーク時の平成25年度は17年度の1.28倍、27年度は平成17年度の1.26倍となっているところでございます。また、小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数は、17年度の2560人から一貫して増加し、27年度は5779人で、増加率は2.26倍となってございます。
 なお、この間の児童生徒数増加の主な要因としましては、発達障がいのある児童生徒数の増加に伴い、自閉症情緒障がい特別支援学級の児童生徒数が増えたことによるもので、知的障がい特別支援学級に限って見ると、増加率は1.43倍となっているところでございます。

(2)次に、全県を対象とした分校や新設校の整備についてのお尋ねでございます。特別支援学校の新設等を進めている県があることは承知をしてございますが、県によってはこの10年で1500人から2500人規模で対象児童生徒数が増加しているなど、対象児童生徒数の推移に違いがあり、またこれまでの特別支援学校の整備の取り組みに対する県の考え方も異なるため、単純に比較することは難しい面があるものと認識してございます。
 本県では以前より県内10の広域すべてに知的障がい特別支援学校を設置しており、児童生徒数の増加に対応し、9校にのべ85教室の増設を行うことで対応をしてきたところでございます。
 また、長野地区と中信地区においては特別支援学校の再編計画を策定し、分教室設置等の取り組みを着実に進めているところでございます。
 今後児童生徒数全体の減少が見込まれる中で、特別な支援を必要とする児童生徒数の見込みや、それぞれの地域の状況を勘案しながら、引き続き特別支援学校の学習環境の改善に努めてまいりたいと考えております。

(3)次に、中信地区特別支援学校再編整備計画の関係者への説明についてのお尋ねでございます。本計画の策定に当たっては、6月に再編整備計画案を公表後、地域懇談会やパブリックコメントの実施に加え、関係校の保護者、教職員、同窓会の方々と複数回にわたり丁寧に懇談を重ねご理解を得たうえで、8月に計画を正式決定したところでございます。また計画策定後もその具体的内容やスケジュール、各校の教育環境の改善などについて、保護者、同窓会、教職員等に説明し、意見を伺う機会を重ねてまいりました。
 また、松本盲学校内に来年4月から設ける松本養護学校高等部分教室の入学を希望する生徒を対象に、学校見学などを通して入学後の学校生活をイメージしてもらえるよう丁寧に教育相談を行い、保護者への十分な情報提供に努めているところでございます。今後も再編計画の推進に当たっては、学校関係者や地域の方々の理解を得ながら丁寧に進めて参りたいと考えています。

【備前議員】
 中信地区の再編計画について、先月、現場教職員に対して「通学利便性を視点にした知的障がいのある児童生徒の新たな学びの場の再配置について」との課の文章が突如示されたと聞きました。これは、これまでまったく論議されていないもので、現場では保護者には伝えるなとの指導もされていると聞きます。主人公である子どもたちや保護者には伏せて進めようとする拙速で乱暴なやり方であるとの声も出されています。この事実関係と説明を教育長に求めます。
【教育長】
 中信地区の特別支援学校再編整備計画についての再度のお尋ねでございます。この中信地区特別支援学校再編整備計画では、全体の計画案を示すとともにそれを二段階にわけて行うということで、この計画案の中にすでに再編整備にかかるスケジュールとして、第一弾として松本盲学校に松本養護学校高等部分教室を併設すること、松本養護学校分教室重度重複障がい部分を併設すること、また寿台養護学校に重度重複障がい部分を拡充することを明記し、そしてこれを平成28年度から実施するということで保護者の方々にもお伝えをしてきているところでございます。あわせて、この再編整備計画野中で、松本聾学校、寿台養護学校に含めた学びの場の再配置について、平成30年以降開設するということを明記した上で平成29年までの間に、諸調整、実施準備、開所を行うということでお伝えをしているところでございます。
 今回ご指摘をいただいたもの、私は今どのような文書なのか手にしてございませんので、詳細は申し上げられない部分はあるかと思いますけれども、この29年度までの間にこれから具体の計画をつくっていく、このことについてまずは学校関係者と意見交換をしていくという観点で、ステップを踏んで議論を進めているという段階の途中段階のものがどのような理由か分かりませんけれども外部に出たのかもしれないというふうに思いますが、いずれにしてもこの整備計画のなかで全体像をきっちり示して、ステップアップを踏みながら、またその時々で説明できる段階で保護者にもしっかりご説明しご意見も伺いながら、計画を進めて参りたいというふうに考えてございます。
【備前議員】
 盲・聾学校への松本養護の分教室設置は障がい種の混在など不安が多く、理解が得られず根本解決にはならないと思います。またこうした拙速な非民主的なやり方は現場とくに子ども・家族の混乱と不信を呼びます。いったん撤回して現場での論議を当事者も入れて丁寧に行うべきではないでしょうか。
 そして根本は、他県のように学校の新設も含め計画的に行い児童生徒への対応をすべきではないでしょうか。この返答を2月までに求められているというのが現場の状況であります。私どもはこれまでも教育委員会に求めてまいりましてけれども、全県網羅した計画を作り、とくに松本地区では前回も提案させていただきましたように、中信松本病院の借り受けも視野に入れ検討すべきであると考えますが教育長のご答弁を求めます。
【教育長】
 中信地区特別支援学校再編整備計画含めた、特別支援学校の整備に関して再度のお尋ねにお答えを申し上げます。先ほどご答弁申し上げましたとおり、児童生徒数全体の減少が見込まれる中で、特別な支援を必要とする児童生徒数の見込みやまたそれぞれの地域の状況を勘案しながら、特別支援学校の学習環境の改善に努めてまいることが重要と考えてございまして、まずは喫緊の課題である中信地区の特別支援学校の再編整備計画案に則って、この整備を進めて参りたいというふうに考えております。
【備前議員】
 まずは今いる子ども達の教育環境の整備をしっかり行うということ、そしてやはり私はこういった現場に不信を持ち込むようなやり方というのは、教育の現場にあってはならないということを申し上げたいというふうに思います。

2.介護保険制度について

【備前議員】
 政府は4月から介護報酬の2.27%の引下を実施しました。このマイナス改定は深刻なものです。9月議会では高村議員からわが団が7月に県内事業者に対して行ったアンケート結果をもとに改善を求める提案をしてきました。
 共産党県議団は11月7日に塩尻市内で、介護事業所関係者に集まっていただき「安心・持続可能な介護保険制度にむけての交流フォーラム」を開催しました。そこで現場からの声は「加算の取得での経営改善は見通せない」「介護職員の確保や処遇改善ができない中で経営改善につながらない」「小規模事業所の存在を評価し存続できるように支援を」等、今回の報酬削減による様々な切実な声が出されました。そこで以下の点について健康福祉部長に伺います。

(1)県も介護事業所に対してアンケートをおこなっていると聞きますが、県内事業所の状況をどうとらえ対応しようとしているのでしょうか。

(2)また、特定事業所集中減算に対して改善を求める声が非常に多く出されています。今回訪問看護にも導入されましたが、主治医と密接に連携する訪問看護ステーションなど診療上も継続性が問題となってまいります。また通所介護、訪問介護は集中割合が80%に下げられたことにより、所によって200万円もの減収になってしまったという声も寄せられています。またある山間部の旧村部では通所介護は社協などに集中せざるを得ず、この制度でわざわざ山を超えた遠方の事業所に行かなくてはならないような状況もあります。非常に矛盾した制度で長野県には特にふさわしくない制度であると言われております。このことについて県はどのように対処されているのか伺いたいと思います。

(3)介護の担い手不足も深刻です。専門学校に入学する介護を目指す高校生も減少し深刻です。介護現場では採用試験で「5人募集したが応募したのが1人」というような声も出ています。介護人材の育成は前者の質問にもありますが、どのようにしようとしているのでしょうか。介護福祉士等就学金貸付制度がありますが、募集枠を増やすことは先に答弁がありましたが、特に私は返済免除が同一施設に5年勤務という縛りがありますが、就学年限が2年である介護士の離職率は3年未満で74%という驚異的な数字からも2,3年に短縮すべきではないかと思いますが、以上健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】
 介護保険制度に関するご質問に順次お答えを致します。
(1)まずアンケートについてでございます。県では10月下旬から11月上旬にかけて県内の介護サービス事業所4694事業所に対して、介護報酬改定の影響調査を実施したところ、61.2%の2872事業所から回答があり、現在集計・分析しているところでございますが、これまで取りまとめたところによれば、介護報酬による収入は増加が19.9%で、ほぼ同じが21.2%であったものの、減少が57.9%あり、引き下げを受けて厳しい状況にあるところが多いというふうに考えております。
 一方、本年度の報酬改定で拡充された職員の処遇改善加算の取得については76.6%の事業所が申請しているとしてございまして、一定程度普及しているものと考えております。また、中重度ケア体制加算などの加算も63.3%の事業所が申請したとしていますが、申請していない事業所では加算取得に必要な人員配置ができないなどの理由を上げ、人材確保に課題があると考えております。
 今後の事業展開につきましては、複数回答で80.1%の事業所が現在と同じ事業を継続するとし、12.2%が新総合事業への参入をあげており、また複数事業所による共同したものが8.8%ございまして、事業継続への意欲のある事業所が多いものの、収入減などの対応に迫られている状況も伺えます。今後、この調査結果をさらに詳細に分析するとともに、実施指導などにあわせて事業所を直接訪問し、お考えやご要望をお伺いしながら現状把握に努めてまいります。

(2)次に、特定事業所集中減算についてですが、ご指摘のとおり、本年4月国の周知によりサービス提供の公平・中立性の確保をさらに推進するという観点から、これまで訪問介護など3種類のみであった集中減算の対象を、訪問看護などを含めたすべての制度に拡大するとともに、減算の対象となる集中の割合を90%から80%に引き下げることとなりました。
 一方、国の通知で定められた減算を適用しない基準として、サービス事業所数が地域に5事業所未満である、あるいは山村振興法等の指定地域にある場合や、居宅介護支援事業所が小規模である場合などが定められておりまして、この場合は集中減算を適用してございません。
 これに加えまして、各県において、集中減算しない独自の基準を定めることが認められおり、訪問看護などでは特定の事業所でのサービス提供が利用者にとって適切となる事例もあることから、この8月に県独自の基準を見直し、地域の判断を尊重する考えから、地域ケア介護において認められた場合についても減算しないことと致しました。この見直し以降、すでに4ヶ所の地域ケア介護において計13事業所で減算を適用しないことを認められてございまして、これまで以上に地域の実状を踏まえた対応ができるようになっているものと考えております。

(3)次に、介護を担う人材の育成や増加のための取り組みについてでございますが、県内の介護福祉士養成施設の入学者が減少傾向にあることの要因としては、介護職に対するマイナスイメージが先行し、社会的意義ですとかやりがいなどプラスの点がきちんと伝わっていない面があると考えております。このため、本年度新たに、県内高校生が取り組む介護とものづくりなどを紹介するパンフレットを作成・配布することや、オープンキャンパスの開催費用を助成することなどで若者向けのPRに取り組んでおります。さらに、若い方を含めて転職する方や移住してくる方などを対象に、本人の適正にあった事業所とのマッチングを行い、施設に働きながら介護の資格を取得する事業を新たに実施するなど、多様な人材の就職に向けて積極的に事業を展開しております。
 また、介護福祉士等就学資金の返済が免除になる就労年限につきましては、国の基準が5年であり、介護の職場に定着していただきたいという趣旨からも、現行の5年とすることが適当と考えておりますが、貸付対象者はこの3年間で希望者の7割程度に止まっていることから、この拡大にむけて検討しているところでございます。

【備前議員】
 集中減算についてですけど、市町村での対応にむらがあることがこの間私どもに寄せられております。飯田市では非常に丁寧なお取り組みをしていただいて助かっている、正当な理由と認められて適用外になるということで対応されたということをお聞きし、丁寧な対応が必要だなと言うふうに思いますけれども、やはりそういったことが非常に徹底ができない自治体もあるようであります。どうか、徹底と援助を丁寧に行っていただきますよう要望させていただきたいと思います。

 安倍首相は「介護離職ゼロ」を掲げましたが、介護報酬の引き下げは現場の介護士などの離職者をさらに増やすことになり、一方で必要な介護が受けられずに家族が介護のためにいっそう離職せざるを得なくなるのは必然です。11月22日には介護をよくする信州の会がよびかけた「誰もが安心して介護保険制度を考える県民集会」が行われ400名が集まり活発な議論が行われました。今本当に介護離職ゼロを目指すのなら、直ちに介護報酬を引き上げ、特養ホームの入所制限をやめ、緊急増設をすべきです。国は介護に対して今回1130億円も削減させました。一方でトヨタ1社の研究開発減税だけでも年間1200億円。たった一社の減税額でまかなえます。長野県としても介護現場が危機的事態に直面している認識をもち、介護報酬の引き上げ等を国に強く働きかけるよう要望します。

3.産業廃棄物処分場問題について

【備前議員】
 廃棄物行政について伺います。塩尻市の東山地区ではかつて安定型最終処分場を運営してきた会社が、産業廃棄物管理型最終処分場の建設計画を発表した直後に民事再生手続きになったり、県許可を上回る埋め立てが発覚するなどずさんな管理が問題視され、地元地域との信頼を損ねていました。その後平成23年に他会社の傘下に入り、今年8月新会社が任意の説明会を行いました。住民からは「付近に活断層があり危険」「何が持ち込まれるかチェックができるのか」「汚染水の浸透が地下水に入り、下流の稲作などへの環境影響が心配」など危惧の声が出されました。同地区には環境対策委員会がかねてよりあり、平成14年に今後各種産業廃棄物処理施設の設置は認めない旨の塩尻東公害防止宣言を行っています。そこで以下環境部長にお尋ねします。

(1)先ず長野県の産廃排出と処理状況はどういう状況にあるのでしょうか。また、処分場の残余年数との関係など新たな処分場の必要性はどうでしょうか。また平成21年の廃棄物条例の施行後、最終処分場の設置計画はどうなっているのか、お尋ねします。

(2)現地付近は糸魚川静岡構造線に接した地域であり、牛伏寺断層の延長線上に位置し、地質学者からは活断層や断層が多く、複雑な地質構造であると言われます。さらに平成22年には、深層崩壊という本県の危険性が特に高い地域が48%と、最も高いことが公表されています。この深層崩壊や東日本大震災などの巨大地震は条例が作られた頃には想定されていなかったわけでありますけれども、県の許認可の審査にあたり、これはどうしても考慮していただく必要性があると思いますがどうでしょうか。

(3)こうした調査を地元住民だけで行うことは困難であり、専門家に依頼するにも住民組織だけでは財政負担もままならないのですが、県として技術支援をしてほしいと要望されていますがこれについてのお考えを伺いたいと思います。

【環境部長】
 産業廃棄物処分場問題につきまして、順次お答えを申し上げます。
(1)はじめに、廃棄物の排出量及び県内外における処理状況についてでございますが、平成25年の統計になりますが、県内で排出された廃棄物の総量は434万1千トンであり、5年前の平成20年度と比べ63万2千トン、17%の増となっております。このうち40万3千トンが県外において処理され、一方15万トンが県外から流入し県内において処理されているところでございます。
 続きまして残余年数と必要性でございますが、県内の産業廃棄物処理場の残余年数は、平成25年度において7.9年と見込まれております。現時点におきましてただちに新たな処分場が必要とは考えておりませんが、将来的に不足する状況が予測される場合には、その可能性が高くなるものと考えております。
 続きまして、条例施行後の産業廃棄物処分場設置計画についてお答え申し上げます。これまで最終処分場に係る条例の事業計画協議は6件行われておりまして、うち3件は新規設置、残り3件はかさ上げ等の既存処分場にかかるものでございます。これらのうち、既存処分場にかかる3件は、いずれも事業計画協議は終了し、法に基づく申請により許可がなされております。一方で新規設置の3件は協議中でありまして、そのうち1件は地元の反対を受け説明会を開催できない状態、1件は事業者自身が計画の見直しに入ったまま説明会を開催していない状態、そしてもう1件は順次手続きを進めている状態でございます。

(2)続きまして、塩尻市東地区の処分場設置計画と、巨大地震、深層崩壊について申し上げます。最終処分場の設置には満たすべき様々な許可基準がありますが、最も重要な基準の一つは構造耐力上の安全性です。法令で定める許可基準には巨大地震や深層崩壊といった用語の記載はございませんが、一般に処分場の設置申請に当たりましては、予定地の地質やそこにどのような構造物を建築するかといったことが明らかにされ、申請者自らがその安全性について説明することが求められます。なお、地滑りは一般的には深層崩壊に伴って発生するとされていますが、文献や現場の調査によって地質などを把握することで、地すべりが起こる可能性がある程度想定できるものと見込まれ、そうした地質などの特性は構造耐力上の安全性を判断するための一つの要素と考えております。
 また、審査に当たりまして前提とすべき地震の規模につきましては、法令には明確な基準はございませんが、一般にその地震によって処分場が周辺に与える損害とあらかじめその施設に求められるべき安全性のレベルを勘案して判断すべきものと考えております。県と致しましては、事業者が法に基づく許可申請をしてきた際には、庁内の関係課やあるいは専門家に意見を聞き、総合的に安全性を判断してまいります。

(3)続きまして地質調査への技術支援についてでございますが、条例の事業計画協議では、周辺地域の皆様が環境保全上の観点から不安な点や疑問点などを事業者に投げかけ、事業者はその疑問点に回答することとされております。県といたしましては、事業者に住民から寄せられた不安な点や疑問点について十分な調査を行いその結果について丁寧な説明を行うよう指導すると共に、その事業計画協議におけるやりとりの内容について確認し、最終的に許可申請に至った際には専門家などの意見も聞きながら民主的な判断を行うことで、許可権者としての県の責務を果たしてまいりたいと考えております。

【備前議員】
 今回、塩尻の管理型最終処分場を計画している会社が変わったわけでありますけれども、民事再生手続を受けた会社が継続的に安全性を確保できる会社であると、県はどんな調査で判断をしたのでありましょうか。また会社が法人化や合併し変更になっても、事業計画に変更が生じない時、改めて概要説明会は必要ないとしておりますけれども、新会社が出した計画書では、計画年数や規模の基本データが異なっておりますが、これを同一と認めることは問題ではないでしょうか。環境部長に再度伺います。
【環境部長】
 処分場の事業計画書の継続についてお答え申し上げます。廃棄物処理法上、法人が連続しているか否かにつきましては登記簿の記載で確認しており、その履歴を持ってその法人がまったく新たな法人なのか、あるいは合併や商号変更で社名が変わったものかを判断しております。お尋ねの法人につきましては、平成23年に東京に本社を置く産業廃棄物処理会社の子会社となり、本年4月に商号変更を行い現在の社名となっております。この経過は登記簿の履歴事項全部証明書で確認されたことから、当該法人は継続しているものと考えております。
【備前議員】
 ただいま答弁漏れだと思います。基本データ、計画年数やあるいは規模が異なっているわけですけれども、これは同一と認めることは問題ではないかということについてお答えいただきたいと思います。
【環境部長】
 お答えを申し上げます。基準となる、あるいは基本となる数字に変更がある場合には、異なる計画の出し直しというようなお尋ねでございますが、基本的に同じ法人がつながっているわけでございますので、その事業計画が出された段階と、それから我々が許可する段階で数字が違うということで判断するということではなくて、全体の計画を許認可する段階で全体を判断させていただきますので、それは計画自体が地元の皆さんに説明する中身でございますので、それが正しいかどうかにつきましてはその話し合いの中で皆さんと業者の中でお話し合いを進めていただくべき問題だと考えます。
【備前議員】
 私のほうからは、平成21年の前社が出した埋め立て面積1万6千平米、そして容量が24万トン、そして計画年数12年。しかしながら今回出されているのでは、計画埋め立て面積1万7400平米、そして容量としては24万7千トン、そして計画年数8年と変わっているので、これはよく精査していただきまして、いずれにしましても、塩尻東地域の処分場計画の当該地域では、計画に対する非常に不安そして反対の声が強く、県としてもこうしたもののチェックを厳正に行うよう求めておきたいと思います。

4.子どもを性被害からまもる取り組みについて

【備前議員】
(1)若者の性の問題として近年、薬剤耐性の梅毒やクラミジア症やエイズ・HIVなども含めて性感染症が増加していることが伝えられています。県内の若年者の状況をどのように掌握しているのか、健康福祉部長に伺います。

(2)子どもを性被害から守るタウンミーティングでは性教育の重要性の発言が多く出されています。現場教師や養護教諭からも早期から特に中学生からの性教育の重要性が語られています。ところが教育現場では東京の七生特別支援学校での性教育で裁判にまでなったことにより、萎縮してしまう傾向にある事や、性教育を十分に受けてきていない教員が対応しているとの声もあります。特に中学校の性教育は学習指導要領の対応では現実にそぐわない実態もあると聞きますが、教育委員会としてどう対処しようとしているか教育長にお尋ねします。

(3)モデル報告書では性教育の文字が消えましたが、性教育の重要性を知事はどう考えているのでしょうか。子どもたちの性の現状について、日本教育新聞の2005年調査で、ある地方都市の高校生3000名を対象にしたクラミジア感染が男子7.3%、女子では13.9%といい、この値は米国などに比べ格段に高いことを報じています。インターネットには商業主義で劣悪な性情報が氾濫し、子どもたちは正しい性について学ぶことをしなければこうした悪質な情報を性情報として学び、悪意のある大人の誘いに抵抗することなく乗ってしまいます。こうしたデータからも子どもが性を知り自、何が性被害であるのか判断し被害を受けないよう主体的に行動する力を身につけさせてあげることが重要であると考えますが、知事はいかがお考えかお尋ねします。

(4)規制項目では「子どもに対し威迫し、欺き、若しくは困惑させ又はその困惑に乗じて性行為又はわいせつな行為を行ってはならないものとする」とありますが、弁護士からは、実際に真面目な恋愛の過程において困惑ということは有りうるのではないか。冤罪を生む可能性があると指摘されています。民法では婚姻は女性は16歳以上になれば認められているのですが、16歳以上の女性が婚姻しようとしている場合に、真面目な恋愛でも引っかかる可能性が否定できないのではないでしょうか。このモデルでは上位法との整合性をどう考えているのでしょうか。県民文化部長に伺います。

(5)なぜ今、条例の制定をする必要性があるのでしょうか。困惑という概念は恋愛にはつきものであり、非常にグレーな部分も存在すると思いますが、善意と悪意をどう判断するのでしょうか。警察本部長に伺います。

【健康福祉部長】
(1)子ども性被害防止の取り組みについてのご質問にお答えを致します。
 性感染症の県内若年者の傾向についてでございますが、県では医療機関からの届出や報告をもとに、性感染症の罹患の動向を把握しているところでございまして、エイズを含むHIV感染症と梅毒については、医師が診断した際すべての症例を保健所に届け出ることになっており、平成16年以降、19歳以下の届出は、平成21年と本年、梅毒の届出がそれぞれ1件ありましたが、エイズを含むHIV感染症はございません。また、代表的な4つの性感染症については、県内14医療機関から診断した患者数を報告していただいておりますが、例えばそのうち最も患者数の多い性器クラミジア感染症については、平成16年の1医療機関あたりの患者は全世代の総数で38.0人であったものが、平成26年には21.2人に減少し、19歳以下も平成16年の5.9人が平成26年には1.8人に減少するなど、何れの感染症も総数が減少する中で、若者の減少はさらにそれよりも大きくなっているということでございます。
 しかしながら今だ根絶するには至らないものでございますので、学校や医療機関、市町村と連携いたしまして、普及啓発の強化、検査の充実などにより若年者の性感染症の予防、早期治療に努めてまいります。
【教育長】
(2)学校のおきます性教育の充実についてのお尋ねにお答え申し上げます。学校における性に関する指導は学習指導要領に基づき、保健体育や特別活動の時間に児童生徒の発達段階に応じ行っているところでございます。また、思春期を迎える中学生期など、生徒により発達の差が大きいことも踏まえ、個々の生徒の状況に応じた個別指導も行っているところでございます。
 近年の社会環境の変化に伴い、性被害防止などの現代的課題についても適切な指導が求められていると認識をしており、教育委員会では子ども達を取り巻く性に関する多様な問題に対応するため、教員向けの指導資料とし昨年3月に性に関する指導手引きを、さらに今年の3月には実践的で専門性の高い外部指導者の活用を図るための実践事例集を作成しました。これらの手引きでは中学生を対象としてインターネット等に氾濫する性情報等を正しく選択する目を養う為、グループでの話し合いを通じて学ぶ授業や、外部講師とし年齢の近い大学生等のピアカウンセラーを招き価値観を共有しながら性について自主的に学びあう指導など、具体的な指導事例や指導方法を示しているところでございます。
 さらに教員を対象とし、実践的な指導方法を習得する為の研修会を開催するなど、学校における性に関する指導の充実について、積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後も、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけると共に、自己や他者を尊重する態度を醸成されるよう、学校における指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
【阿部知事】
(3)性教育についての認識というご質問でございます。これは子どもを性被害から守るという観点からも、性について学ぶということは重要だと思っています。
 現在学校教育におきましては、性に関する指導の手引き、また外部講師を活用した性に関する指導の実践事例集を教育委員会が作成した上で、すべての小中学校・高校・特別支援学校に配布をして、発達段階に応じた性に関する指導の充実に努めています。また、性被害の状況に詳しい有識者あるいは情報モラル教育の専門家によります、子どもの性被害防止教育キャラバン隊、これを県立高校等に派遣を致しております。11月末現在で81校に実施をしています。
 他方で、子どもの性被害を予防するためには、子どもだけではなく保護者を含む大人に対する性教育の取り組みも必要だと考えております。このため、青少年健全育成県民会議が開催します、地域において大人が学ぶ性教育研修会などについて、県としても支援をしてまいります。
【県民文化部長】
(4)条例のモデルの困惑させる行為についての、まずお尋ねでございます。条例のモデル検討会でございますけれども、この検討会は弁護士を含む4人の法律の専門家により構成をいたしまして、仮に条例を制定する場合の例えば構成要件の明確化等の法的課題を中心に検討していただきました。このモデル検討会では通常の恋愛でも起こりうる可能性も慎重に検討されたところでございまして、最高裁が淫行について解釈を致しましたいわゆる第一類型のうち、誘惑については通常の恋愛でもあり得ることから採用しなかった所でございます。一方、困惑については問題ないことから採用を判断されたところでございます。
 詳しく、若干ご説明しますと、この困惑させるということは、困り戸惑いどうしていいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができない状況にすることでございまして、その典型的な用例といたしまして、家出中の児童を家に泊めて応じなければ追い出させて居場所がなくなってしまうと思わせる、でございますとか、車に乗せて一人では帰れないような状況においたというようなケースが示されているところでございます。なお、困惑という用語につきましては、消費者契約法でございますとか、売春防止法、暴力団による不当な行為の防止等に関する法律等、多くの法律で使用されていまして、以上のことから検討会におきましては、構成要件上必要な明確性を備えているとして整理され、モデルの規定に採用されたところでございます。
 民法と条例のモデルとの整合性についてもお尋ねをいただきました。女性は16歳で婚姻することとの関係でございますけれども、条例のモデルでは、このような18歳未満の子どもとの性行為等を一律に規制するものではございませんで、真摯な恋愛を規制するものではございません。あくまで禁止する行為は、先ほど議員からもお話ございました、威迫しあざむき、もしくは困惑させ、または困惑に乗じた性行為等に限定したものでございます。従いまして、18歳未満の女子が真摯な恋愛で婚姻をしようとしているような場合は整合性という問題は生じませんで、また処罰の対象とはなり得ないとされているものでございます。
【警察本部長】
(5)二点お答えいたします。まず条例の必要性についてでございますけども、長野県におきましても、仮に他都道府県と同様の条例があった場合、捜査対象となりうる事案として、平成25年、26年の2年間で17件20人の子どもの性被害の実態が認められることから、警察と致しましては、子どもを性被害から守るための条例は必要であると考えておりますが、条例制定の是非の判断は県議会における審議等を通じた県民の総意に委ねられるものと理解しています。
 次に、困惑かどうかの判断についてでございますけれども、一般論として申し上げれば警察の捜査では具体的な事案について法令と証拠に基づいて判断することとなります。
【備前議員】
 総括説明で知事は2月定例会までには基本方針を取りまとめると言明されましたが、大人が真摯に恋愛していると思っても相手の親が良く思っていない場合「困惑」を使って訴えることも危惧される。今回警察からだされている17件につきましても9件は親が訴えているわけであり、そこに本人がしっかりとこうしたことは危ないんだと、そうしたことも判断させていかなければならないと思います。青年の自由な恋愛への介入は絶対に許されないと申し上げ、私の発言を終わります。

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