2016年2月定例会 備前光正議員一般質問
1.リニア中央新幹線について
- 【備前議員】
- リニア中央新幹線について伺います。リニア中央新幹線計画は、これまで環境破壊や安全性、経済性、またエネルギーの浪費などの問題が指摘され、住民の間でも疑問や不安が広がっております。ところがJR東海は、南アルプスのトンネルの県側工区で建設工事契約を結び、夏ごろには着工することが報じられております。そこで以下の点についてお尋ねします。
①県内でも工事が行われると報じられておりますが、関係自治体とJR東海間の合意が得られない中での着工はあってはならないのですが、大鹿村ではトンネル掘削における土砂運搬車両等の環境への影響、トンネル排土の処理への対応などの要望に応えられていないことから工事開始に同意していないのは当然ではないでしょうか。県はどう捉え対応しているのか建設部長に伺います。
②次にリニア中央新幹線は多くの断層を横切る計画でありますが、日本列島には2千以上の活断層があると言われ、断層が動いたらそれを止める土木技術はありません。防災上の観点・見地からどのような対応を考えているのか、また地震発生時にはどう対応するのか建設部長に伺います。
③南木曽町では岐阜県側からのトンネル掘削工事の問題があり、このトンネルは妻籠水源域の真下まで達します。県の水環境保全条例によって指定された区域です。これに対しJR東海の説明は全く不十分なものといわざるを得ないことは南木曽の対策協議会でたびたび問題となっております。これに対して県はどう対応しているのでしょうか。環境部長に伺います。
④また2箇所の非常口から出る残土処理では搬出の工事車両は一日最大690台も通過し、観光地は死活問題であることも大問題で、特に私どもも国会議員団と調査に入った際、妻籠の観光協会では様々な努力で、今や外国人観光客が好んで訪れるようになり、50年にも及ぶ取り組みが、リニアによって水枯れ、残土、さらには交通渋滞などの問題でどうしたら良いのかと涙ながらに怒って話されました。こうした生活や観光への影響に対し、県による支援や援助を求めますが、県はどう認識し対応をしようとしているでしょうか。建設部長に伺います。
⑤次に同様に県関係でトンネルや斜坑の工事にともなう排土は約1000万㎥、大鹿村で300万㎥以上とも見込まれ、工事車両は一日最大1350から1736台とも言われておりますが、生活への影響とともに、村が求める迂回路設置や道路改良とともに、大量の排土の処理方法をJR東海は未だ示していません。さらに斜坑は施工後は非常口とするようでありますが、この非常口はJRがどのように使うのか、また非常口までの取り付け道路を誰がつくり管理するのでしょうか。南木曽町でも2本の非常口はいずれも新設の道路が必要といわれ、当然JR負担で作るものであると考えますが、県はどう考えているのか建設部長に伺います。
- 【建設部長】
- 頂きました質問に順次お答えいたします。
①まず関係自治体とJR東海との着工に向けた合意形成について、県はどうとらえ対応しているのかとのご質問です。
県としては工事着工にあたり地元理解は不可欠と認識しておりまして、工事用車両の環境へ影響や、トンネル発生土の処理につきまして、これまでも平成26年3月のJR東海に対する環境影響評価準備書に対する知事意見、リニア中央新幹線整備に対する知事意見などにより、地域との丁寧な合意形成を進めてきたところでございます。今月8日に、南アルプストンネル長野工区の工事契約が締結されましたが、契約が即工事着工ということではありません。JR東海に対しましては昨年4月に取り交わしました基本合意書にあわせて行なわれました県との確認において、JR東海からは誠実に対応し地元の理解を得るとの回答がなされております。引き続きJR東海に対しまして必要な対応を求めてまいります。
②次にリニア中央新幹線の断層と地震への対応についてのご質問でございます。JR東海は長期間、広範囲にわたり綿密にボーリング調査等を実施し、関係地域の活断層の状況について十分把握したとしております。そのうえでJR東海はリニア中央新幹線の路線について、活断層はなるべく回避し、やむを得ず通過する場合は、活断層をできる限り短い距離で通過することとし、さらに適切な補強を行なっていくなど、注意深く配慮して工事計画を策定しております。
次に地震が発生した場合の対応につきましては、リニアはもともと地震に強い構造であるに加え、東海道新幹線と同様な早期地震警戒システムを導入して、早期に列車を減速停車させること等により、安全を確保する旨JR東海からお聞きしています。
④次に工事用車両の影響についてのご質問でございます。工事用車両に伴います観光や住民生活への影響につきまして、JR東海では今後工事用車両の運行ルート、車両台数、通行時間などの車両運行計画を策定し対応することとしております。加えてJR東海は、斜坑の近くに仮置き場を設置して、発生土運搬車両のピーク台数を減らすことも検討しております。工事用車両の運行に関して地元からは、観光シーズンの台数を抑制することや、休日や通勤・通学時間帯は運行しないなどのご要望が寄せられております。また工事用車両の運行に影響が出る道路については、例えば主要地方道松川インター大鹿線のトンネル新設など、県も影響の低減に努めてまいります。県としては地元からの要望を踏まえ、観光や住民生活に配慮し、極力影響を及ぼさない運行計画となるよう引き続きJR東海に求めてまいります。
⑤続きまして建設発生土および非常口についてのご質問でございます。リニアのトンネル工事に伴います建設発生土に関しましては、JR東海は公共工事や窪地の埋立などに有効活用することを予定しております。そのための活用先の候補地に関する情報につきましては、平成26年7月に県からJR東海へ提供し、JR東海はその情報を元に市町村などとの協議をすすめ、候補地の環境調査や測量を実施しております。現在はJR東海が優先度の高い箇所から県・関係市町村と概略の計画図について調整し、順次地元の役員への説明を行なっているところでございます。
次に斜坑に関してはJR東海は、施工後は非常口として使うと説明していますが、具体的な使い方は今後も検討するとしております。また非常口までの取り付け道路についてですが、JR東海は工事のために必要となる道路や施設は自ら整備することとしております。工事終了後の取り扱いにつきましては、地元が道路として利用するかどうかも含め、今後地元と調整し決定するとしております。以上でございます。
- 【環境部長】
- ③妻籠水源の水枯れ懸念に対する対応についてお答え申し上げます。水道資源保全地区内におきましては、1haを超える土地の形質の変更を行なおうとする場合は、予め知事に協議し同意を得るものとなっております。
JR東海からはまだ正式に事前協議はなされておりませんが、事務的な打合せは何度か行なっており、このトンネル掘削工事は事前協議が必要な行為に該当するだろうと考えておるところでございます。JR東海から正式に事前協議がなされますと、南木曽町長および県環境審議会の意見を聞いた上で同意するかどうかの判断をすることとなりますが、同意する場合にありましても、工事実施にあたり水源保全のため必要な条件を付すことも条例上可能となっておるところでございます。条例を適正に運用することにより妻籠水道水源の保全に万全を期してまいりたいと考えております。以上です。
- 【備前議員】
- 活断層でありますけれども、特にリニアが貫通する主要な活断層のうち、長期評価が調査されず不明なものは県関係では清内路峠断層であるといわれております。予想地震規模がマグニチュード7.4ともいわれますけれども、この活断層の安全性の調査について県は国に対し着工前に前倒し調査をさせ解明を行うよう求めるべきであると思いますが、これに対しては危機管理部長に伺いたいと思います。
南アルプスのトンネルは地表からの深さが最大1400mにもなるというこれまでにない「難関」工事で、地層や水脈も複雑に重なっているため、JR東海自身が「掘らないとわからない」と認めるほどの危うさであります。
昨年南アルプスはユネスコのエコパークにも指定され、貴重な自然の宝庫に長大トンネルを設けることは、世界的な自然保護の流れに完全に逆らうものであります。前社長が自ら「絶対にペイしない」と発言しておりますけれども、JRが行き詰まった場合、巨額な国民の税金で穴埋めにもなりかねず、「建設ありき」で突き進むのは余りにも無謀であると思います。今立ち止まらないと将来に禍根を残すと言わざるを得ませんが、これにつきまして知事の所見を伺います。
- 【危機管理部長】
- リニア中央新幹線に関連しまして、清内路峠断層の長期評価を前倒しで要請してはどうかということでございます。文部科学省の地震調査研究推進本部では、地域に存する活断層で発生する地震を総合的に長期評価する活断層の地域評価をお話しのとおり行なっているところでございます。
すでに九州地域、関東地域では地域評価を行ない公表しており、来年度以降になりますけれども中国、四国、そしてお話しにございました清内路峠断層を含む中日本と、順次地域評価を行なって公表していくスケジュールであるというふうに聞いているところでございます。
- 【阿部知事】
- リニア中央新幹線、全幹法に基づいて国の認可も受けてJR東海が進めるわけです。国においてもしっかり責任をもって対応いただくことになると思いますし、当然事業主体であるJR東海には我々関係者の声を真摯に受け止めて、責任ある事業推進を図ってもらいたいと思っております。以上です。
- 【備前議員】
- 活断層につきましては、この東京名古屋間で2つ不明な活断層があると言われております。ぜひともこれは前倒しで解明していただくように国に対して要望をしていただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。
2.廃棄物行政について
- 【備前議員】
- 引き続きまして廃棄物行政について質問いたします。まず高レベル放射性廃棄物の県内搬入について。先の議会で藤岡議員が取り上げましたが、知事は「国全体で考えているところであるので、県としての見解を示す段階ではない」と答弁されました。
しかし、高レベル放射性廃棄物は、原子力発電で核燃料に使うウランの採掘、核燃料の加工、発電、そして再処理といったさまざまな過程で発生します。使い終わったウラン燃料は、桁違いに放射能が強いためこう呼ばれております。国は一般的に地下埋設を言っておりますが、特に本県は活断層とこれと連動する大地震や火山活動等、地殻変動が最も激しい県であることは明らかであります。
処分場は地上施設も含め、地震や火山、土地の隆起などによって大きな影響を受けます。何十年をもこえる将来にわたって、地震などの影響を絶対に受けないと保証できる場所を現時点で選ぶことは不可能ではないでしょうか。地下水の流れも複雑で影響も懸念され、本県は特に不適であるといわざるを得ません。
①これらを踏まえ高レベル放射性廃棄物については、ぜひとも県として受け入れはきっぱりと拒否の立場を表明していただきたいと思いますが知事の所見を伺います。
次に廃棄物行政について、先の議会で取り上げました塩尻市内東山における管理型最終処分場計画について伺いたいと思います。計画をしている事業者は2011年にそれまでの会社を子会社化したわけでありますけれども、この前会社がおこなってきた安定型最終処分場について質問します。
②これまで5期にわたって施設拡大が行われてきたといいますが、その間に何が埋められてきたのか県はどう認識しているのか環境部長に伺います。
③また計画地は航空写真から見ても、幾度となく地形が変わるほど搬入物が持ち込まれております。その1つには昭和58年開通の当時国鉄の塩嶺トンネル工事排土も30万㎥も搬入されたと、工事記録に残されております。またその後2000年初頭には諏訪湖浚渫土、さらには農業用マルチシートも埋設されたままの記録もあります。昨年11月、地元の塩尻東地区環境対策委員会が処分場直下の水質調査を行った際、電気伝導率が周辺の水質の7倍以上にもなっていることが判明しました。
この水は下流のみどり湖に入り、その後田川に流れ込み水田や流域の飲料水への影響が懸念されます。事故を起こしている処分場ではないのか、県は調査すべきではないでしょうか。許認可してきた県はどうお考えか環境部長に伺います。
④業者は2012年から4年間の説明では、安定型処分場にアスベスト含有建材を処分量の8割以上処理したと説明していますが、会社の示す写真等では周辺へのアスベストの飛散防止に適切な処理を欠いているように見え、環境省の石綿飛散防止マニュアルに沿っているとは思えず、周辺住民の健康被害等を心配させるものとなっています。
アスベストは静かなる時限爆弾とも言われ、吸引することで20年から40年で肺がんや悪性中皮腫などを引き起こして死に至ると言われておりますが、県において現場の調査や周辺住民の健康調査を行っていただきたいと思いますが、どうお考えか環境部長に伺います。
⑤また、先の議会での私の質問に対し部長は「法には活断層や深層崩壊という文言が無いことから事業者の出す計画書に基づいて県は判断する」。この旨の答弁をされましたが、長野県が特に活断層が多く、また深層崩壊の危険箇所が一番多い県という、こうした長野県の特性を反映させた、廃棄物条例の改正をすべきであると提案しますが環境部長に以上を伺いたいと思います。
- 【阿部知事】
- ①高レベル放射性廃棄物の最終処分地の受け入れについてのご質問でございます。このことは11月の定例会でご質問いただいたわけでありますが、1つの報道機関からののアンケート調査に対して現時点での回答は差し控えるということで、回答したものです。本県としてこの件について見解を示す段階ではないというふうに考えております。以上です。
- 【環境部長】
- 順次お答え申し上げます。
②初めに塩尻市の安定型最終処分場のこれまでの埋立についてでございます。埋め立てられている廃棄物は当初から廃棄物処理法により県から埋め立てが許可されておりますがれき類、ガラスくず、廃プラスチック類、金属くず、ゴムくずの安定5品目となっておりまして、埋立の基準に従って処分されていると認識しております。
③続きまして周辺の水質及び当時の許可についてお答えします。おたずねの安定型最終処分場につきましては浸透水、放流水の他、上部と下部2カ所の周辺地下水について年1回の行政検査をしており、すべての地点において有害物質は基準を超えておりません。電気伝導率は、数値の高低よりも時間的変動や上部と下部の地点の数値の差を見ることにより管理型最終処分場の地下水への影響の有無を判断するものでありまして、地下水との遮断構造のない安定型最終処分場については検査項目とはなっておりません。しかしながら県はすべての最終処分場において周辺地下水の行政検査にあわせて電気伝導率も測定しているところでございます。
おたずねの処分場の数値はここ10年処分場の上部と下部の差はなく、また大きな変化もないことから、特に問題があるとは考えておりません。今後も引き続き行政検査を実施し、最終処分場の安定確保に努めてまいりたいと考えております。またこれまでの最終処分場の設置・変更にかかわる許可につきましては、それぞれの許可基準に照らし合わせて適正に判断してきたものと考えております。
④続きまして最終処分場のアスベストについてお答えいたします。石綿の取り扱いに関しましては吹き付け石綿など飛散の恐れのある石綿が使用された建築物の解体等を行う際の石綿の飛散防止等を目的とした「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル」と石綿含有廃棄物等の適正な処理を目的とした「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」がございます。
この処分場に埋め立てられているアスベスト含有建材につきましては、飛散の恐れのない石綿含有廃棄物であり、これについては申し上げました「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」により適正に処理が行われております。従いまして周辺住民への影響はないものと考えておりますが、今後とも引き続き適正な処理が行われるよう監視指導をしてまいります。
⑤続きまして深層崩壊等の条例改正についてでございます。廃棄物処理施設の設置許可の申請にあたりましてはその施設の構造体力上の安全性についても廃棄物処理法の許可基準の1つとして審査をしております。昨年の11月定例会でも答弁いたしました通り、法令に深層崩壊等の文言はございませんが、地滑りの危険性はその構造体力上の安全性を判断する上での重要な要素の1つであり、文献や現場の調査による資料をもって個別事案ごとに法令に基づく審査において確認をしております。以上です。
- 【備前議員】
- この業者に対し市も含め地元環境対策委員会や市民が協定書に認められている立ち入り調査を申し入れてきましたけれども、3度目の昨日は50名もの住民が門前で入場を拒否されております。どういった状況になっているのか分からないから見せてくれというこの協定が明らかに不履行の状態になっております。県において適正な対応をするよう指導を求めますが環境部長に伺います。
- 【環境部長】
- 処理業者と地元の皆さんとの協定につきましては、お互いが誠意をもって履行に努力するものと考えておりますので、業者に対して適切な対応をするよう指導をしてまいりたいと思います。
3.障がい者福祉について
- 【備前議員】
- 引き続きまして障がい者福祉について伺います。今年4月からは障害者差別解消法が施行されます。この問題で私は2010年と11年に、当時全国初の条例制定をした千葉県の条例を参考に、本県での障害者差別禁止条例の制定の提案をしてまいりました。
その後県当局は2011年7月から委員17名の「障がいのある人もない人も共に生きる社会を目指す研究会」これを設置し、2012年11月には10回の研究会の開催で報告書がまとめられたと認識しております。この報告書では条例制定への思いとして「地方公共団体として条例という形で法的な位置づけがなされることを強く期待している」旨の記述がなされ、知事に提出されたとお聞きしています。
この4月には富山県でも条例施行されるなど11の都道府県と4市区町村で施行していると聞いておりますけれども、本県の2ヵ年におよぶ研究会の議論による報告書の具体化についてどのようにお考えか知事に伺います。
昨年「障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」を施行した京都府では肢体、視覚、聴覚、内部、知的、精神の各障がいを解説した「心のバリアフリーハンドブック」を作成し府民の啓蒙を1年前から先行して行っています。そこで、
①このたびの手話言語条例の制定も大切な条例であると思いますが、各種障がい者全体に関わるこの障害者差別解消に関わる条例は法の施行に相まって長野県でも行うべきと考えますが、知事のお考えを伺います。
②また4月から障害者差別解消法が施行されるもとで、本県の対応状況はどうなっているのか健康福祉部長に伺います。
③また合わせて学校現場においては今後「知りませんでした」では済まされなくなります。文科省は障がい者への「不当な差別的取り扱い禁止」「合理的な配慮の義務化」を言っておりますが、学校現場での対応状況について教育長に伺います。
④次に先の議会でも私は特別支援学校や特別支援学級での児童生徒の急増について対策を求めてまいりました。この質問後に20代の障がい者を看ている保護者数人から、「特別支援学校の過密化も大変だったが、卒業後の生活はもっと大変です」と相談が寄せられました。「子どもが成長していくにつれ、親はどんどん歳をとり、自分達が支えられなくなった時のこの子の行く末が心配」「独り立ちは困難ではあるが、グループホームに入れないか探したが空きが無い」と切迫した様子でした。
そこでこのように障がい者のグループホーム入居希望をしても空きが無いことがいわれるわけでありますけれども、県では入居希望者の状況と施設の状況はどのようにつかんでおられるのか健康福祉部長に伺います。
⑤また松本圏域自立支援協議会の2014年調査では、グループホーム利用希望者は、行政と指定相談支援事業所で把握するだけでも228名にものぼることが判明しております。緊急度の高い人と空きがあればすぐという人だけでも81名にも上っております。グループホームの施設整備が待たれており、全県での調査と施設整備を求めますが、健康福祉部長のお考えを伺います。
- 【阿部知事】
- ①障がい者の差別解消を目指す条例についてのご質問でございます。ご質問にありましたように研究会を設置して報告書を24年の11月にまとめていただいております。「障害がある人もない人も共に生きる社会を目指す研究会」ということで、障がいを理由とした差別の定義付け、あるいは差別を理由とした差別事例の募集、また県民学習会の開催等行っていただき、大変熱心なご検討をいただけたものというふうに思っております。
この24年の11月にこの報告書を取りまとめていただいた直後、翌年の6月に障がい者差別解消法が成立したわけでありますが、この法律、不当な差別的取り扱い禁止、合理的配慮の提供、相談・紛争解決体制の整備といったことが定められておりまして、報告書の主要な内容と合致している部分が多いところでございます。県としてはこの法施行に向けて県職員対応要領の策定と、法の実効性が上がるように取り組んできております。
この条例につきましては、法施行の状況等も踏まえまして、研究会でご議論いただいた皆様方をはじめとする関係者のご意見も伺ったうえで、方向付けを行なっていきたいというふうに考えております。以上です。
- 【健康福祉部長】
- ご質問に順次お答えいたします。
②障がい者差別解消法施行への対応についてでございますが、県における対応として、まず1つ目は本年1月に職員対応要領を策定いたしまして、職員に対する研修会の開催により周知徹底しているところでございます。
2つ目といたしましては、相談及び紛争防止などのための体制整備でございますが、国の基本方針では、新たな機関は設置せず既存の機関の活用・充実を図ることとしてございます。そこで県では市町村等身近な相談窓口の後方支援を行うとともに、障がいのある方やその保護者などの皆様から直接相談に対応する専門相談員を4月から障がい者支援課に配置する予定としてございます。
また紛争になりそうな案件や、法の対象となっていない私人間の案件については、長野法務局の人権侵犯事件調査・救済の制度を活用する報告で調整をしております。さらに教育委員会、自立支援協議会、労働局等関係機関と連携を図り、障がいのある方、あるいは保護者の皆様からの相談に適切に対応してまいりたいと思っております。
3つ目といたしましては、法の周知でありまして、市町村に対しましては昨年11月に通知を発信するとともに、先月には市町村担当者に向けた研修会を開催したところでございます。県民に向けたものといたしましては、本年度これまでに20回以上開催した出前講座を今後も継続実施していくほか、来年度県民向け学習会を県下4地区で開催することとしてございます。
④次に障がい者グループホーム入居についてでございます。グループホームに入居する際は、本人や家族の希望ということだけではなく、本人の心身の状況や生活状況などにつきまして総合的なアセスメントなどを行ったうえで、グループホームでの生活が適当と認めた場合に市町村が支給決定をおこなうことが要件となるものでございます。
そこで県内のグループホームの需給状況についてみれば、平成27年4月1日現在、県全体の利用定員2654人に対し、市町村が具体的に給付決定を行っている者は、約9割の2435人となっておりまして、県全体としては需要を上回る供給が確保されているものと考えております。しかしながら地域別にみると利用定員に対して実際の給付決定者数が上回っているところもあり、身近な地域で利用できない状況もあるものと考えております。
⑤次に障がい者グループホームの入所希望調査等についてでございます。ご指摘の松本圏域自立支援協議会の調査ではグループホームに関する様々な検討・研究を進めるにあたっての1つの方法として実施されたものと考えております。
先ほどお答えいたしましたように、グループホームに入居する際は、本人からの入居希望とともに相談支援事業所などにおいて総合的なアセスメントなどを行なったうえで、グループホームでの生活が適当と認められる場合に市町村が支給決定を行うものであることから、入居を希望される方が必ずしも入居の対象となるものと考えているわけではございません。
県といたしましては、第4期長野県障がい福祉計画の策定にあたり、各市町村がそれぞれの状況により算定した利用見込み者数に基づき、グループホームの整備目標を定めており、平成26年度から29年度までの4年間に県全体で利用定員を446人分増やすこととし、松本圏域におきましては61人分増やすこととしているところでございます。
県ではこれまで全国に先駆けて西駒郷入居者に地域生活移行への取り組みを積極的に行い、またそれにあわせてグループホームの整備につきましても積極的に進めてまいりました。今後もこの計画に基づきまして、市町村と連携してグループホームの整備を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。以上であります。
- 【教育長】
- ③学校現場での対応の状況についてのお尋ねにお答え申し上げます。学校現場では従来から障害のある児童生徒に応じて配慮や支援をしてまいりましたが、法律の施行によって学校においても体制面、財政面において過度の負担とならない範囲での合理的配慮の提供が義務付けられることから、これまで以上に授業や学校行事において児童生徒の障害に配慮した教育を受けられるよう、本人、保護者と十分に合意形成を図りながら教育的ニーズに柔軟に対応していくことが必要であると認識をしてございます。
このため、法律の施行を学校現場に周知するべく、今年度各種会議や研修会のほか、約160回の出前研修を通じて、のべ9千人余の教職員に説明を行なったところでございます。なかでも各学校の管理職を中心とした組織的対応が重要であるとの認識から、小中高特別支援学校全ての校長、教頭に対して研修の機会を設けたところでございます。
またこの3月には教職員向けに学校現場における配慮点等をまとめたリーフレットを作成するほか、来年度は学校現場における相談事例や合理的配慮の具体例を広く共有できるよう、実践事例集を作成し、各学校において適切に対応できるよう進めてまいりたいと思っています。
- 【備前議員】
- 教育長に伺いますが、議会で度々取り上げられております特別支援学校の過密化、老朽化等への対応は努力いただいているとは思いますけれども、昨日の衆議院予算委員会で差別解消法の土台となっております障がい者権利条約の「児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」との条文に反していると質された馳文部科学大臣は、法を活かす立場で特別支援学校の改善に言及するなど前向きな答弁をしました。
これについての教育長のご所見を伺いたいと思います。
- 【教育長】
- 馳大臣の答弁への所見というおたずねでございますが、、馳大臣の答弁自身は私はまだ詳細は承知していませんので、それはまた改めて国会の議事録等は確認したいと思ってございますが、障がい者差別解消法施行等にともないまして、各学校において合理的配慮の提供というものを行なっていくことは当然学校に求められている、また教育委員会としても求められていることだと考えてございますので、今議会でもご答弁を申し上げたとおり特別支援学校の教育環境ができるだけ良いものとなるよう、来年度予算ではその修繕等に必要なお金も今年度の約3倍以上の額を確保させていただいているところでありますが、そうした形で私たち今後とも特別支援学校の教育環境をより良くするために努力を続けたいというふうに考えております。
- 【備前議員】
- 先ほど知事には条例化について前向きな答弁と私は受け取りたいと思いますけども、いわゆる障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本方針という閣議決定が昨年なされているわけですけれども、これについても障がいに加えて女性や障がい児は更に困難な状況に置かれているということで、他県の条例やそして本県の身近なところでの条例制定での支援を願って以上ですべての質問を終了させていただきたいと思います。