「28年度一般会計予算案」反対討論
平成28年度一般会計予算案が提案され、賛成多数で可決されました。日本共産党県議団から、山口議員が反対の立場で討論にたちました。
議第1号平成28年度長野県一般会計予算案に反対の討論を行います。
知事は、県政運営に当たる基本姿勢で、コンプライアンス推進を打ち出しました。しかし、補助金14億8千万円が不正に受給された大北森林組合の問題では、全容は未だ解明されておりません。組合からの補助金の返還の見通し、また県から国に返還が求められる補助金の総額や返還の見通しも立っておりません。今後の県財政に大きく影響しかねない問題です。
提案されている一般会計の規模は8757億円、対前年度比62億円増で2年連続の積極財政です。このなかで、地方消費税収179億円は、これを「社会保障施策に関する経費」に充てるとされています。しかし、それは従来一般財源で賄ってきた部分を付け替えたにすぎません。
県債は60億円減ですが、県債残高は1兆7494億円で、依然として県財政を硬直させる要因になっています。さらに、県債残高の37%、6569億円が本来地方交付税として配分されるべき臨時財政対策債であることも今後の不安要素です。
歳出面では、相次ぐ災害や事故から県民の安全をどう守るのか、アベノミクスによって長野県の地域経済や県民のくらしがいっそう深刻になる中で県民要望をどう実現するのか問われています。
この点で、TPP協定にかかわり、まだ関連法案も国会で成立しておらず、批准もしていないのに対応策が講じられることは矛盾です。同時に、その施策も大規模化など、これまでの延長線上のもので、生産農家が強く望む価格や所得補償には新たな対応は見受けられません。
リニア中央新幹線工事は、地元合意もないまま見切り発車しようとしていますが、ここに用地取得事務費が計上されています。
長野市に建設中の県営浅川ダムの試験湛水が予定されています。施工技術委員会の議論をふまえ、試験湛水の日程の見直しが検討されているようですが、地滑りや直下の活断層のまともな検証もなく、災害を誘発する危険性がある湛水実験を行うことは不安です。
子どもの貧困対策に、大学の給付型奨学金制度が創設され、スクールソーシャルワーカーの予算が現在の8人から18人分へ増大されています。貧困世帯への食事提供など子どもの居場所づくりは歓迎するものです。しかし、県が行った「子どもの声アンケート」にも、「アレルギーで病院に通いたいがそのお金がない」などの切実な訴えが寄せられていますが、強い県民要望である福祉医療の窓口無料化はいまだに実現しておりません。
老朽化した高等学校や特別支援学校の校舎等の修繕には、従来予算の3倍以上となる9億5千万円の事業費を確保し、今後、3年間で集中的、計画的に事業を行うことになりましたが、過密化・狭隘化した学校を根本的に打開していくためにも共産党県議団がくりかえし求めている特別支援学校の整備計画は実現していません。
介護支援専門員の研修費は、実務研修が現行2万2百円から4万6千円に引き上げられるなど大幅な改定となっています。介護報酬の削減のもとで、収入が減り運営に困難をきたしている現場にいっそうの負担を押し付けるものです。
以上、一般会計予算案は、総じて、県民要望とかけ離れたものであることを指摘して反対討論とします。