「緊急事態条項新設の憲法改正に反対する意見書案」提案説明
2月県議会本会議において「緊急事態条項を新設する憲法改正に反対する意見書(案)」の審議がおこなわれ、意見書案は賛成少数により否決されました。藤岡議員が提案説明をおこないました。
緊急事態条項を新設する憲法改正に反対する意見書案の提案説明を行います。
昨年11月の国会予算委員会において、安倍首相は憲法改正について緊急事態条項の新設を重視する旨の発言をしております。
自民党の憲法改正草案の緊急事態条項の内容は、内閣総理大臣は、外部からの攻撃、内乱などの社会秩序の混乱、大規模自然災害のさいに緊急事態の宣言ができ、法律と同一の効力を有する政令の制定をすることができ、地方自治体への指示ができ、基本的人権の制限ができるというものであります。法律に基づかないで国民の権利を制限できないという法治主義のルールが骨抜きになり、国会の十分なチェックが及ばなくなります。また、国その他の公の機関は、国民に服従まで求めることができるようになります。まさしく、「戒厳令」「独裁国家」そのものであります。
「緊急事態条項」の”災害対応策”のように描く主張もありますが、災害対策の問題は、憲法にあるのではなく、現行の法律を臨機応変に生かせなかった運用面、国民の生命・財産を守る責任のある政治に問題があるからであります。
現行法においても、災害対策基本法や災害救助法で、内閣の緊急政令の制定権や知事の強制権が定められており、物資の買い占めの規制や施設の強制利用など例外的な権利制限を認めています。
「結局、法律を待たないで、内閣が物事を決められるようにすること」「議会を飛ばして決定できることと、軍隊を動かせるのがポイントだ」との厳しい批判もあります。
昨年の9月に、日本を「海外で戦争できる国」にする、安保法制いわゆる戦争法が強行成立しました。この法律により、南スーダン展開中の自衛隊PKO部隊に、戦争法による新任務付与を検討していることが首相答弁で明らかになっています。
さらに、防衛省の内部文書によりPKO下で「狙撃・射殺」を前提にした突入作戦まで検討されてきたことが国会で暴露されています。正当防衛でも専守防衛でもなんでもありません。これは明らかな武力行使であります。
戦前の「戒厳令」などに見られるように、戦争を現実に遂行したいと考える権力者は、国内の治安統制を強めることが必要だと考えるようです。なぜなら国民の批判を抑えなければならなくなるからです。
外部からの武力攻撃を「緊急事態」として、首相に権限を集中し、国民の人権を停止する「緊急事態条項」が浮上しているのも、国民の批判を押さえつけるためではないかと疑われるのも当然であります。
よって緊急事態条項を新設する憲法改正は、立憲主義を破壊し国民主権を蹂躙する危険性があり、絶対に認められないことを申し上げ、提案説明とさせていただきます。みなさまのご賛同をよろしくお願いいたします。