4月14日に熊本県や大分県地方を震央とする最大震度7の地震が発生し、引き続き16日には本震が発生し甚大な被害が発生しました。地震でお亡くなりになられた方々にご冥福と被災されている皆さんにお見舞い申し上げます。
今回の地震は最大震度7の国内観測事例としては4、5例目ということで、前震に続いての本震の観測は地震学者からはこれまでの通説を覆しているとも指摘されています。さらに深刻なのは今もなお続く有感地震が1700回を超えるなど、住民の生活の復旧に重大な影響を及ぼしています。
またこの地震は日奈久(ひなぐ)断層帯北部、布田川(ふたがわ)断層帯の活動による大陸プレート地震といわれていますが、大分県中部では別府―万年山(べっぷーはねやま)断層帯においても多くの地震が起きており、これらは長野県にも伸びている中央構造線の延長ではないかともいわれています。
今回熊本県では行政の庁舎が被災し使えないという問題や、また耐震対策工事が行われたばかりの体育館等の指定避難所が2度の震度7を経て損壊するなど公共的施設の被災が問題となりました。そこで危機管理部長にお尋ねしますが本県も断層・活断層の非常に多い県として対応が求められていますが、
① 長野県では昨年3月第3次長野県地震被害想定調査報告書を作成していますが、想定されている地震災害ではどの程度の被害予測をされ、またそうした中でどの程度の公共的施設が含まれているのか調査されているのか危機管理部長にお尋ねします。
今月10日、政府の地震調査研究推進本部は「全国地震動予測地図2016年版」を発表しました。この中で長野県の結果が特に牛伏寺断層を含む糸静岡構造線全体でM8程度の発生確率を14%としていたのを中北部ではM7.6の確率が13~30%へと上昇するなど、さらなる地震発生の確率が高まっていることが明らかになりました。これらの知見も踏まえた対応が必要であると思います。そこで
② 徳島県では2012年に南海トラフ巨大地震や中央構造線活断層帯を震源とする直下型地震から住民を守るために、特定活断層調査区域内で特定施設を新築等行う場合には、県への届出を求める「徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例」を制定しました。徳島県では地震発生確立を30年以内に0から0.4%という段階で条例化をはかっており、長野県の牛伏寺断層を含む糸魚川―静岡構造線の中北部の地震発生確率は13~30%と国内有数であることからも、同様の条例を参考にして指針等を作成するつもりはないか危機管理部長に伺います。
【危機管理部長】
地震対策につきまして2点お答え申し上げます。
① まず、第3次長野県地震被害想定についてでございます。長野県に大きな被害を発生させる地震といたしまして、8つの活断層モデルと東海地震および南海トラフの巨大地震を想定地震といたしまして、建築物の倒壊や死傷者などの物的・人的被害想定を行ったものでございます。想定のうち、県内で最大規模の被害を発生させるのは糸魚川静岡構造線断層帯が連動して全体で動く地震でございます。被害は最大で、建物の全壊・焼失9万7940棟、半壊10万9620棟、死者数7060人、避難者数36万7540人を想定しているところでございます。
この被害想定のなかでは、市町村の防災上の重要施設についても、機能に支障をきたす可能性を、平成25、26年度の時点でございますが、一定の条件を置いて評価しておりまして、糸魚川静岡構造線断層帯の全体が動く地震では、災害対策本部施設、避難活動拠点施設など812施設が機能に支障をきたす可能性があると評価をしているところでございます。
② 2点目の、徳島県の条例を参考にした指針等の策定についてでございます。国が評価の対象としている主要活断層のうち、徳島県では中央構造線断層帯のみが県土を横断しており、その断層も地表に現れている部分もありますことから、県独自の詳細な活断層調査を行って、条例で、ただいまお話ございましたけれども、特定施設の新築等の届け出とその後の調査を行ってもらい、活断層の直上を避けてもらうという特定活断層調査区域の指定を行うという制度でございます。
一方本県の活断層の状況は、糸魚川静岡構造線断層帯、長野盆地西縁断層帯、伊那谷断層帯などの主要断層帯が県下に数多く存在しており、あらゆる地域に地震による被害のリスクがあるため、徳島県とは状況が違うものと認識させていただいております。
長野県におきましては、大地震がいつ起きてもおかしくないという危険性と日頃の備えの重要性につきまして、市町村と連携し様々な手段を用いまして、啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。
塩尻市東山地区の管理型最終処分場建設計画について、先の議会でも取り上げましたが、地元環境対策委員会が環境協定書に基づき、地域住民や専門家を伴っての立ち入り調査を求めましたが、業者はこれを度々拒否し、結果、参加者名簿提出や写真撮影を許可しないなどの条件付けするなど、全く不誠実な対応をとっています。
またこの間、信州大学等の学者らによる度重なる学習会を行い、学者らからは既設の安定型処分場も隣接の計画地も活断層近くである事からも建設不適地であるとの指摘がなされました。既設の安定型処分場も、かつて国鉄の塩嶺トンネルの建設排土や諏訪湖浚渫土などが持ち込まれたところに、安定5品目と共にアスベスト含有建材も大量に処理されています。
しかもここの地下には信濃川水系の最上流部である田川の水源域でもある水盆があり、現在は上水道など飲料水や農業にも活用されるなど重要な水資源となっています。
こうした地質構造の上につくられた安定型処分場からの放流水、滲出水などの電気伝導率の異常な高さ、また地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭問題などは住民からの声が上がっておりますけれども、これら地下水への影響も懸念を抱かずにおられません。現在、現地では市による水質測定や独自グループによる水質測定も継続的に行っています。
こうした中、5月22日には塩尻市東地区における処分場計画で現地塩尻東地区全13区、北小野地区でも建設反対決議があげられ、今月8日には松本地方事務所にも決議文が提出されました。また昨日の塩尻市議会におきましては県に対し「管理型最終処分場の建設許可をしないことを求める請願」が全会一致で採択されました。そこでお尋ねしますが、
① 安定型処分場の水質調査が年1回行われていますが、04年から15年までの調査で水の汚染度を相対的に評価する電気伝導率は平均して78 mS/mと非常に高い値が出ています。今年3月に市が行った周辺地下水が4あるいは河川が1から20ということからも周辺より高いことが言えます。さらにはこの調査の12年間のうち7年分は上部井戸のデータのほうが高いという逆転現象がおきています。
また同社が現地東地区に提出している毎月測定の自主検査でも、浸透水や放流水が基準値・地区協定値やあるいは環境基準を守れないときがありました。また7年余りの86回の測定中36回は電気伝導率は上部井戸のほうが高く「逆転」しています。
これらは他の項目でも言え、化学的酸素要求量(COD)で59回、浮遊物質(SS)で34回が上部の観測井戸の方が高くなっています。本来上部の観測井戸は対照、いわゆるコントロールとされるはずですが、このように周辺よりも高い電気伝導率や上下逆転について観測井戸の設置場所として適切なのか、また地域住民が地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭や河川の石の変色問題などについて指摘していますが、これをどう認識されているのか、県として原因調査も行っていただきたいのですが、これらについて環境部長に伺います。
② この安定型処分場にはアスベスト含有建材が処分されています。即日覆土を10から20センチ行うことが義務付けられているはずですが、これはどういった処理が求められているのでしょうか。先の議会での部長答弁は飛散性ではないので合法だとの答弁でした。ところが必要とされる散水等による飛散防止措置等は認められず、破砕処理なども行っていたことが住民からは言われます。これらについての環境部長のご認識と違法性はないのかお尋ねします。
③ 同地の地質構造について信州大学の酒井名誉教授や大塚教授らがいくつもの断層をみつけており、これまで不明であった地質構造が解明されつつあります。糸魚川―静岡構造線に伴う南北の断層に対して交差するみどり湖断層は特に重要で、東側が600メートルも落ち込んで予定地の上部の荷直し峠断層につながるらしいこと、また北部の県畜産試験場北側には高ボッチ山塊西麓を塩尻側に流下する幅約750メートルの崩壊地形が存在しており、これらの断層等に囲まれているエリアである等解説しています。
この傾斜地上に塩嶺トンネルの廃土30万立米と諏訪湖の浚渫土などが埋められ、ハザードマップの土砂災害特別警戒区域でもあるところが一層軟弱地盤になっていること。しかも数百メートル南は岡谷市で、以南は東海地震など南海トラフ地震の地震防災対策強化地域に指定されていることからも、建設許可はすべきでないと説明されています。業者側は処分場は地震に耐え得る構造といいますが、今回の熊本地震では2回の震度7で耐震建築物が倒壊するなど被害が拡大しています。こうした活断層付近での処分場建設は規制されるべきであると思いますが、環境部長の御所見を伺います。
【環境部長】
ただいま廃棄物対策についてご質問をいただきましたので、順次お答えを致します。
① 初めに、最終処分場の検査用井戸についてのお尋ねでございます。
安定型最終処分場につきましては、環境省令の維持基準によりまして、処分場から排出される有害物質によります地下水への影響の有無を判断するため、2か所以上の場所から地下水を採出することが事業者の責務として定められております。県では、廃棄物の適正処理の確保ならびに周辺環境への影響等を確認するため、行政検査を実施しておりますけれども、お尋ねの塩尻市東山地区の最終処分場の上部と下部2か所の検査結果では有害物質23項目についてこれまで基準の超過はございません。
また水質の状況を広く把握するための基本的な項目として県独自に電気伝導率等を測定しております。これらの数値を見ますと、上部の井戸の値が下部の値よりも若干高いときもありますけれども、常に高いというわけではなく、またここ数年上部と下部で大きな差はなく、検査地点としても問題はないものとして考えております。
次に、最終処分場付近の地下水の濁りなどについてのお尋ねでございます。先ほど答弁いたしました地下水の他、浸透水を処理した後の放流水についても検査を行っておりますが、この結果は浸透水の基準に照らしても超過はございません。議員ご指摘の地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭、河川の色の変色につきましては職員が現地で確認をしております。現時点でただちにこれによります生活環境保全上の支障があるとは考えておりませんが、必要であれば再度現地の確認や検査等を行い生活環境上の影響の有無を確認したいと考えております。
② 次に、アスベスト含有建材の埋め立てについてのお尋ねでございます。飛散の恐れのないアスベスト含有建材の埋め立て方法につきましては、環境省によります石綿含有廃棄物等処理マニュアルに定められております。これによりますと、覆土については厚さの基準はありませんが、一日の作業終了後に埋め立て面の上面を覆土することとされております。また、荷下ろし等の作業時の留意点として、破砕等により石綿が飛散する恐れがある場合は散水等により受け入れ物を、湿潤化してから荷下ろし等の作業を実施することとされております。
この処分場につきましてもマニュアルに沿って処理がなされているものと考えておりますが、今後とも引き続き適正な処理が行われるよう監視指導をしてまいります。
③ 最後に、活断層付近の最終処分場の設置についてのお尋ねでございます。
最終処分場の設置には満たすべき様々な基準がございますが、もっとも重要な基準の一つは構造体力上の安全性でございます。県廃棄物条例に基づく事業計画説明会や法に基づく設置許可申請にあたりましては、申請者自らが予定地の地質やそこにどのような構造物を建築するかについて明らかにし、地震による影響も含めその安全性について説明することが求められます。
県といたしましては、個別の審査に際してその施設の立地場所等により求められるべき安全性のレベルを確認の上、専門家の意見を聞きながら総合的に判断してまいりたいと考えております。