2016年6月定例会 備前光正議員一般質問
1.地震対策について
- 【備前議員】
- 4月14日に熊本県や大分県地方を震央とする最大震度7の地震が発生し、引き続き16日には本震が発生し甚大な被害が発生しました。地震でお亡くなりになられた方々にご冥福と被災されている皆さんにお見舞い申し上げます。
今回の地震は最大震度7の国内観測事例としては4、5例目ということで、前震に続いての本震の観測は地震学者からはこれまでの通説を覆しているとも指摘されています。さらに深刻なのは今もなお続く有感地震が1700回を超えるなど、住民の生活の復旧に重大な影響を及ぼしています。
またこの地震は日奈久(ひなぐ)断層帯北部、布田川(ふたがわ)断層帯の活動による大陸プレート地震といわれていますが、大分県中部では別府―万年山(べっぷーはねやま)断層帯においても多くの地震が起きており、これらは長野県にも伸びている中央構造線の延長ではないかともいわれています。
今回熊本県では行政の庁舎が被災し使えないという問題や、また耐震対策工事が行われたばかりの体育館等の指定避難所が2度の震度7を経て損壊するなど公共的施設の被災が問題となりました。そこで危機管理部長にお尋ねしますが本県も断層・活断層の非常に多い県として対応が求められていますが、
① 長野県では昨年3月第3次長野県地震被害想定調査報告書を作成していますが、想定されている地震災害ではどの程度の被害予測をされ、またそうした中でどの程度の公共的施設が含まれているのか調査されているのか危機管理部長にお尋ねします。
今月10日、政府の地震調査研究推進本部は「全国地震動予測地図2016年版」を発表しました。この中で長野県の結果が特に牛伏寺断層を含む糸静岡構造線全体でM8程度の発生確率を14%としていたのを中北部ではM7.6の確率が13~30%へと上昇するなど、さらなる地震発生の確率が高まっていることが明らかになりました。これらの知見も踏まえた対応が必要であると思います。そこで
② 徳島県では2012年に南海トラフ巨大地震や中央構造線活断層帯を震源とする直下型地震から住民を守るために、特定活断層調査区域内で特定施設を新築等行う場合には、県への届出を求める「徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例」を制定しました。徳島県では地震発生確立を30年以内に0から0.4%という段階で条例化をはかっており、長野県の牛伏寺断層を含む糸魚川―静岡構造線の中北部の地震発生確率は13~30%と国内有数であることからも、同様の条例を参考にして指針等を作成するつもりはないか危機管理部長に伺います。
- 【危機管理部長】
- 地震対策につきまして2点お答え申し上げます。
① まず、第3次長野県地震被害想定についてでございます。長野県に大きな被害を発生させる地震といたしまして、8つの活断層モデルと東海地震および南海トラフの巨大地震を想定地震といたしまして、建築物の倒壊や死傷者などの物的・人的被害想定を行ったものでございます。想定のうち、県内で最大規模の被害を発生させるのは糸魚川静岡構造線断層帯が連動して全体で動く地震でございます。被害は最大で、建物の全壊・焼失9万7940棟、半壊10万9620棟、死者数7060人、避難者数36万7540人を想定しているところでございます。
この被害想定のなかでは、市町村の防災上の重要施設についても、機能に支障をきたす可能性を、平成25、26年度の時点でございますが、一定の条件を置いて評価しておりまして、糸魚川静岡構造線断層帯の全体が動く地震では、災害対策本部施設、避難活動拠点施設など812施設が機能に支障をきたす可能性があると評価をしているところでございます。
② 2点目の、徳島県の条例を参考にした指針等の策定についてでございます。国が評価の対象としている主要活断層のうち、徳島県では中央構造線断層帯のみが県土を横断しており、その断層も地表に現れている部分もありますことから、県独自の詳細な活断層調査を行って、条例で、ただいまお話ございましたけれども、特定施設の新築等の届け出とその後の調査を行ってもらい、活断層の直上を避けてもらうという特定活断層調査区域の指定を行うという制度でございます。
一方本県の活断層の状況は、糸魚川静岡構造線断層帯、長野盆地西縁断層帯、伊那谷断層帯などの主要断層帯が県下に数多く存在しており、あらゆる地域に地震による被害のリスクがあるため、徳島県とは状況が違うものと認識させていただいております。
長野県におきましては、大地震がいつ起きてもおかしくないという危険性と日頃の備えの重要性につきまして、市町村と連携し様々な手段を用いまして、啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。
- 【備前議員】
- リスク回避を促す法的なリスクコントロールが必要になると思います。先ほど812施設ということでありますけれども、いわゆる行政、医療、学校や介護もまた燃料基地などの防災に重要な施設だけでも活断層から離したほうがよいことは有識者から言われております。2012年には静岡県でも調査をしたそうです。
一方、東日本大震災以降に「津波防災地域づくりに関する法律」が施行され海岸地域は津波災害警戒区域を指定し、予めその地域がそうした地域であることを最低限住民に知らせているわけです。
長野県も複雑な活断層が走行しているということで徳島県とは違うということをおっしゃられるわけでありますけれども、こうした内陸地でも断層上であることを知らせ、まずは公共的施設建設を避けることや、また耐震基準の強化がさらに必要になると思いますが危機管理部長のお考えを再度お尋ねします。
- 【危機管理部長】
- 活断層につきまして制度的な枠組みの中で公共的な重要な施設について避ける措置を、という再度のお尋ねでございます。これについて、活断層の性質上、すでに学術上認知をされているものもございますし、これまで大きな被害をもたらした活断層、いわゆる隠れた活断層が動いたという地震もございます。
また、つい先ごろ、全国地震動予測地図というものが発表されたばかりですけれども、このなかでも確率が高い地域はよりリスクを認識し、低いからといって決して安心することのないようにということがコメントをされたところでございます。繰り返しになりますが、長野県におきましては県土のあらゆるところに大きなリスクがあるということで、事業者の方も県民の方もそういうリスクをしっかりと認識していただきますように啓発にしっかりと努めてまいりたいと考えているところでございます。
- 【備前議員】
- ただいまリスクを認識しつつ活断層が非常に多いということでありますけれども、やはり耐震強化等もさらに進めていく必要があろうかと思いますのでこれにつきましての検討を要望します。
2.廃棄物対策について
- 【備前議員】
- 塩尻市東山地区の管理型最終処分場建設計画について、先の議会でも取り上げましたが、地元環境対策委員会が環境協定書に基づき、地域住民や専門家を伴っての立ち入り調査を求めましたが、業者はこれを度々拒否し、結果、参加者名簿提出や写真撮影を許可しないなどの条件付けするなど、全く不誠実な対応をとっています。
またこの間、信州大学等の学者らによる度重なる学習会を行い、学者らからは既設の安定型処分場も隣接の計画地も活断層近くである事からも建設不適地であるとの指摘がなされました。既設の安定型処分場も、かつて国鉄の塩嶺トンネルの建設排土や諏訪湖浚渫土などが持ち込まれたところに、安定5品目と共にアスベスト含有建材も大量に処理されています。
しかもここの地下には信濃川水系の最上流部である田川の水源域でもある水盆があり、現在は上水道など飲料水や農業にも活用されるなど重要な水資源となっています。
こうした地質構造の上につくられた安定型処分場からの放流水、滲出水などの電気伝導率の異常な高さ、また地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭問題などは住民からの声が上がっておりますけれども、これら地下水への影響も懸念を抱かずにおられません。現在、現地では市による水質測定や独自グループによる水質測定も継続的に行っています。
こうした中、5月22日には塩尻市東地区における処分場計画で現地塩尻東地区全13区、北小野地区でも建設反対決議があげられ、今月8日には松本地方事務所にも決議文が提出されました。また昨日の塩尻市議会におきましては県に対し「管理型最終処分場の建設許可をしないことを求める請願」が全会一致で採択されました。そこでお尋ねしますが、
① 安定型処分場の水質調査が年1回行われていますが、04年から15年までの調査で水の汚染度を相対的に評価する電気伝導率は平均して78 mS/mと非常に高い値が出ています。今年3月に市が行った周辺地下水が4あるいは河川が1から20ということからも周辺より高いことが言えます。さらにはこの調査の12年間のうち7年分は上部井戸のデータのほうが高いという逆転現象がおきています。
また同社が現地東地区に提出している毎月測定の自主検査でも、浸透水や放流水が基準値・地区協定値やあるいは環境基準を守れないときがありました。また7年余りの86回の測定中36回は電気伝導率は上部井戸のほうが高く「逆転」しています。
これらは他の項目でも言え、化学的酸素要求量(COD)で59回、浮遊物質(SS)で34回が上部の観測井戸の方が高くなっています。本来上部の観測井戸は対照、いわゆるコントロールとされるはずですが、このように周辺よりも高い電気伝導率や上下逆転について観測井戸の設置場所として適切なのか、また地域住民が地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭や河川の石の変色問題などについて指摘していますが、これをどう認識されているのか、県として原因調査も行っていただきたいのですが、これらについて環境部長に伺います。
② この安定型処分場にはアスベスト含有建材が処分されています。即日覆土を10から20センチ行うことが義務付けられているはずですが、これはどういった処理が求められているのでしょうか。先の議会での部長答弁は飛散性ではないので合法だとの答弁でした。ところが必要とされる散水等による飛散防止措置等は認められず、破砕処理なども行っていたことが住民からは言われます。これらについての環境部長のご認識と違法性はないのかお尋ねします。
③ 同地の地質構造について信州大学の酒井名誉教授や大塚教授らがいくつもの断層をみつけており、これまで不明であった地質構造が解明されつつあります。糸魚川―静岡構造線に伴う南北の断層に対して交差するみどり湖断層は特に重要で、東側が600メートルも落ち込んで予定地の上部の荷直し峠断層につながるらしいこと、また北部の県畜産試験場北側には高ボッチ山塊西麓を塩尻側に流下する幅約750メートルの崩壊地形が存在しており、これらの断層等に囲まれているエリアである等解説しています。
この傾斜地上に塩嶺トンネルの廃土30万立米と諏訪湖の浚渫土などが埋められ、ハザードマップの土砂災害特別警戒区域でもあるところが一層軟弱地盤になっていること。しかも数百メートル南は岡谷市で、以南は東海地震など南海トラフ地震の地震防災対策強化地域に指定されていることからも、建設許可はすべきでないと説明されています。業者側は処分場は地震に耐え得る構造といいますが、今回の熊本地震では2回の震度7で耐震建築物が倒壊するなど被害が拡大しています。こうした活断層付近での処分場建設は規制されるべきであると思いますが、環境部長の御所見を伺います。
- 【環境部長】
- ただいま廃棄物対策についてご質問をいただきましたので、順次お答えを致します。
① 初めに、最終処分場の検査用井戸についてのお尋ねでございます。
安定型最終処分場につきましては、環境省令の維持基準によりまして、処分場から排出される有害物質によります地下水への影響の有無を判断するため、2か所以上の場所から地下水を採出することが事業者の責務として定められております。県では、廃棄物の適正処理の確保ならびに周辺環境への影響等を確認するため、行政検査を実施しておりますけれども、お尋ねの塩尻市東山地区の最終処分場の上部と下部2か所の検査結果では有害物質23項目についてこれまで基準の超過はございません。
また水質の状況を広く把握するための基本的な項目として県独自に電気伝導率等を測定しております。これらの数値を見ますと、上部の井戸の値が下部の値よりも若干高いときもありますけれども、常に高いというわけではなく、またここ数年上部と下部で大きな差はなく、検査地点としても問題はないものとして考えております。
次に、最終処分場付近の地下水の濁りなどについてのお尋ねでございます。先ほど答弁いたしました地下水の他、浸透水を処理した後の放流水についても検査を行っておりますが、この結果は浸透水の基準に照らしても超過はございません。議員ご指摘の地下水の濁りや処分場付近の硫黄臭、河川の色の変色につきましては職員が現地で確認をしております。現時点でただちにこれによります生活環境保全上の支障があるとは考えておりませんが、必要であれば再度現地の確認や検査等を行い生活環境上の影響の有無を確認したいと考えております。
② 次に、アスベスト含有建材の埋め立てについてのお尋ねでございます。飛散の恐れのないアスベスト含有建材の埋め立て方法につきましては、環境省によります石綿含有廃棄物等処理マニュアルに定められております。これによりますと、覆土については厚さの基準はありませんが、一日の作業終了後に埋め立て面の上面を覆土することとされております。また、荷下ろし等の作業時の留意点として、破砕等により石綿が飛散する恐れがある場合は散水等により受け入れ物を、湿潤化してから荷下ろし等の作業を実施することとされております。
この処分場につきましてもマニュアルに沿って処理がなされているものと考えておりますが、今後とも引き続き適正な処理が行われるよう監視指導をしてまいります。
③ 最後に、活断層付近の最終処分場の設置についてのお尋ねでございます。
最終処分場の設置には満たすべき様々な基準がございますが、もっとも重要な基準の一つは構造体力上の安全性でございます。県廃棄物条例に基づく事業計画説明会や法に基づく設置許可申請にあたりましては、申請者自らが予定地の地質やそこにどのような構造物を建築するかについて明らかにし、地震による影響も含めその安全性について説明することが求められます。
県といたしましては、個別の審査に際してその施設の立地場所等により求められるべき安全性のレベルを確認の上、専門家の意見を聞きながら総合的に判断してまいりたいと考えております。
- 【備前議員】
- ただいま部長答弁は、年一回の行政検査については異常がないということでありますけれども、同社がホームページ等で報告しております自主検査、これ毎月行っているものについては異常値を呈しているところがたびたび出ているわけであります。
ここでやはり要望させていただきたいと思いますけれども、現地の地元対策委員会は、現場を立ち合いたい、専門家が一緒に立ち会っていただくということでより詳細に現地の状況をつかみたいということであります。
これらのことも含めて、県の立ち合いの下、地元対策委員会の皆さんの立ち会うような形で調査をしていただく、そうした用意はあるかどうか、再度ご答弁をお願いします。
- 【環境部長】
- ただいま現地におきまして、現地の委員会と業者の間におきまして協定が結ばれております。その協定に基づき立ち入りの調査ですとか資料等の確認が行われることになっておりまして、本来この協定に基づきましてお互いに誠意をもってその履行に努力すべきものと私ども考えておりますので、業者に対しては適切な対応を行うよう指導してまいりたいと思いますし、また地元のみなさんからもお話を聞いてまいりたいと考えております。
- 【備前議員】
- ぜひともお願いをしたいと思います。
塩嶺トンネル工事中の昭和50年に異常出水があり、この計画地域の地下数百メートルにたまっている水盆の水といわれますが、現在はその水は良質な飲料水として塩尻の上水道やミネラルウォータや農業用水として利用されています。先週18日には、この流れで守ってきた在来種のゲンジボタルの恒例のほたる祭りが多くの住民参加で行われました。
県ではこうした水源地域となっている地域を保全するために、「長野県水環境保全条例」や、さらには「長野県豊かな水資源の保全に関する条例」を制定していますが、こうした場合、同地域の水環境の保全のためにはどう活用できるのか、またその指定手続きと効果について環境部長にお尋ねします。
- 【環境部長】
- 水道水源の保全等に関する条例の手続きと効果についてのお尋ねでございます。
まず長野県水環境保全条例では、水道水源保全地区として指定されますと、その地区内で廃棄物最終処分場の設置など一定の開発行為を行う際には知事への事前協議を義務付けられることとなりますので、水質汚染防止の観点からの効果が期待をされます。
また長野県豊かな水資源の保全に関する条例では、水資源保全地域として指定をされますと、その地域における土地取引等の事前届け出を義務付けられることとなりますので、水の資源の保全の観点からの効果が期待されます。
これら地域の指定にあたりましては、市町村長の申し出に基づき環境審議会の意見を聞いたうえで知事が指定することとなっております。
なお申し出に当たりましては市町村長はその地域の土地所有者および地域住民等の関係者に対して説明会等により合意を得るように努めることとしております。
3.福祉のまちづくりについて
- 【備前議員】
- 公共交通機関等における障がい者の安全対策は急務です。この間、聴覚障がい者のみなさんから視覚的に列車到着やリアルタイムの運行情報表示の設置が求められています。私も調査もしましたが、無人駅等でも列車到着を表示する警報機が設置はされています。ところが表示が非常に小さくホームの端に設置されているなど目につかないようなものも多く見受けられました。
JR等の大きな駅には列車運行状況がリアルタイムで表示する電光掲示板がありますが、無人の駅にはそれがありません。そのため列車の遅延情報等が伝わらない。また、特急列車や高速バスでは次の到着駅やバス停の視覚的表示がなされていますが、在来線やバス路線においてはそれが徹底されておらず、聴覚障害者にとっては非常に不便を強いられています。
4月より施行された障がい者差別解消法には「合理的配慮」が掲げられ、第5条では鉄道会社等では施設の改善や設備の整備をする努力をしなければならないと規定されており、これにはこうした情報を伝えるための施設整備も含まれます。そこで県ではこのような聴覚障害者をとりまく状況をどう掴み改善をはかろうとしているのか健康福祉部長に伺います。
さらにホテル旅館等でのインターホンや緊急時に音声ガイドでは逃げ遅れることもあり、県は客室50室以上ある施設に対して回転灯やキセノンランプの点灯設備の設置を行うなどの独自基準を新設していますが、こうした施設の設置見通しはどのようにお考えか健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
- 福祉のまちづくりについて2点ご質問をいただきました。
まず聴覚に障害がある方を取り巻く状況と改善策についてお答えさせていただきます。
聴覚障害者の当事者団体からは、駅等において電光掲示板など見てわかる情報の提供が必要であるとのご意見が寄せられており、聴覚に障害のある方は音声による情報の取得やコミュニケーションに困難さを抱えていることが生活のしづらさにつながっていると認識しております。
議員ご指摘のとおり、公共交通機関等の事業者は障害者差別解消法に基づき社会的障害の除去に努めることとされており、県においても事業者向けの説明会等の機会をとらえ、法の趣旨の理解と事業者における実質的な取り組みを継続して促してまいりたいと考えております。
また障害のある方の情報取得やコミュニケーション支援について、手話言語条例により手話の普及を進めるとともに、昨年10月に設置した長野県情報保障コミュニケーション支援研究会において社会生活を送るうえでの課題解決に向けた検討を行っているところでございます。
さらに、障害者差別解消法の規定に基づき、当事者、教育、福祉、経済などの分野の関係団体等で構成する障害者差別解消支援地域協議会を設置し、聴覚に障害がある方のこうした課題についても、関係者の情報共有や連携を図り、合理的な配慮の提供に結びつくための取り組みを推進してまいりたいと考えております。
次に、ホテル・旅館の聴覚障害者への対応についてお答えさせていただきます。
客室50室以上のホテル・旅館に緊急情報を点灯と音声で伝達する装置を備えた客室を1室以上設置することは、障害者団体からの要望を踏まえ福祉のまちづくり条例改正の際、県独自の基準として追加したものでございます。この整備基準は本年12月1日以降に着工する建物から適用となりますので、現在、事業者団体や設計士団体等に対し、改正事項の周知に努めているところでございます。
なお、既存の建物については設置の負担等が大きいため基準適合義務はございませんが、機会をとらえて障害者も利用しやすい配慮をしていただくよう理解を求めてまいります。
- 【備前議員】
- 障がい者差別解消法は県では健康福祉部が中心となってということで福祉のまちづくり条例ということでありますけれども、いずれ高齢化してくことによりましてそうした障害に対応したまちづくりをしていただきたい、そのためにもしっかりと対応する体制もとっていただきたいということを要望します。
4.県道床尾大門線の問題について
- 【備前議員】
- この問題は再三取り上げてきましたが、今期再度取り上げたいと思います。この県道は国道19号線の木曽と国道153号線を結ぶ旧中仙道の一部です。
近年旧街道文化をめぐるウォーキングや塩尻市ですすめるワイナリーめぐり、さらには遺跡公園として整備されたかつて「日本3大遺跡」と呼ばれた平出遺跡などの多くの観光客も訪れるとともに、地域住民の生活道路であります。
二つの国道を短絡してつなぐ道路のため交通量が多く交通事故が絶えません。4年ほど前には平出遺跡公園付近で中学生が通学中事故死する痛ましい事故も発生しています。またこの県道にはJRのガードがあり、狭隘なガード内に安全対策で歩道を設置してきましたが、死亡事故も発生しさらなる安全対策でこのガードの歩道を1.5倍ほど拡幅した結果、車道は片側交互通行になってしまいました。中心市街地でこのような県道は他にあるのでしょうか。この県道床尾大門線の歩道設置を含めた拡幅改良を是非とも要望するのですが、建設部長のお考えを伺います。
- 【建設部長】
- 県の床尾大門線の拡幅改良についてのお尋ねでございます。大門JRガード下の安全対策につきましては、平成19年より歩道部の拡幅や歩車道を分離する樹脂ポールの設置など考えらえる対策を実施してまいりました。
さらに議員ご指摘の死亡事故を受けまして、歩道入口部の段差解消や照明の改善などの対策を実施しました。
またガード下以外についても、車道の外側の路面を緑色に着色するグリーンベルトや注意喚起の看板を設置するなど安全対策に努めてきたところでございます。
ガード下の拡幅改良につきましては、平成23年より検討を進めてきておりまして、鉄道交差につきましてはJR東日本と協議を進めてきております。しかしながら、塩尻駅に近接し軌道敷が広いため、延長の長いトンネルになるなど、技術的に困難な課題が多く、また沿道には人家が連担し多くの家屋移転が伴う可能性があることから、財政上の問題も含めさらなる検討が必要となってきております。
従いましてこの区間の拡幅改良につきましては、周辺道路網と合わせた道路整備の在り方も含め、引き続き関係機関と検討を進めてまいります。
- 【備前議員】
- ガード部では待つことができずに歩道の法面を乗り上げていく他地域からの車両も見受けられます。
また、自転車での通行者は自動車から追いたてられながら坂を上っている状態もあり、お年寄りでなくても身体への負荷も相当です。ぜひこれらのことも考慮していただき、引き続き検討を要望させていただきます。