日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2016年6月定例会 毛利栄子議員一般質問

  1. 保育問題について
  2. 環境保全と自然エネルギーについて
  3. 大北森林組合の問題について

1.保育問題について

【毛利議員】
 保育問題について知事並びに県民文化部長に伺います。
「保育園落ちた。日本死ね」とブログに書かれたことが大きな世論となり、子供を預けたくても預けられない待機児問題が大きくクローズアップし、一大政治問題に発展しています。
 信毎6月1日付では、未満児保育の需要の高まりの中で、長野県でも入園が困難となり、育休などを延長せざるを得なくなっている事例が報道されています。 私のところにも、夫のDVで離婚し、8月から就職することになったシングルマザーが公立保育園に未満児保育を申し込んだが空きがなく困っているという話などが届いています。

①長野県はこれまで「待機児童はいない」といってきました。しかし、その認識は果たして実態を反映しているでしょうか。特に未満児保育に関して県民文化部長の見解を伺います。
②年度途中の未満児保育は希望してもなかなか入れない事例が各所で出てきています。県下で待機児はどのくらいいるのか。入れないがためにやむなく仕事をやめたり育休を延長してしのいでいるいわゆる「隠れ待機児」問題を県として把握しているでしょうか。育休の延長や仕事を辞めることは即、生活の困難と直面することにつながり「子育て安心県ながの」どころではありません。 希望する子供は全員認可保育所で保育できることが不可欠です。待機児が生まれる原因と待機児解消のための対策について県民文化部長に伺います。
③未満児保育が足りない原因は保育士不足です。平成27年県が実施した実態調査結果によると、結婚・妊娠・出産・家族の介護などを機に保育士をやめたという理由が上位を占めています。
 保育士は勤務時間のすべてを子供の保育にあたっており、子供のお昼寝中も安全を確保しながら連絡帳をかき、長時間労働やサービス残業、持ち帰り残業などもせざるを得ず過酷な労働実態となっていることもやめていく一因になっています。
 さらにどのような条件が合えば再就職するかという問いには「給料・賞与等の改善」が1位を占めています。保育士の賃金の月額平均は全産業平均と比較して10万円以上低いものとなっており、保育士不足の最大の原因になっています。  幼い子供の成長・発達を保障し、子育て家庭を支える保育という重要な仕事に対し、専門職としての処遇の改善が求められていると思います。保育士の処遇の改善と保育士の確保策について県民文化部長に伺います。

【県民文化部長】
①まず待機児童についてお答え申し上げたいと思います。
 待機児童に関しましては、例年4月1日現在および10月1日現在の状況を保育の実施主体である市町村に対して調査しているところでございます。待機児童の定義は、調査日規定において保育の必要性の認定がされ、保育所等の利用の申し込みがされているが利用していないものとされておりまして、逆に待機児童に含めないものといたしましては、産休育休明けの利用希望を事前に申し込んでいる、利用可能な保育所がありながら特定の保育所を希望しているなどとされているところでございます。
 子育てをしながら働く女性が増加してございまして、保育所に入所する3歳未満児の数は本年4月時点では12283人と、5年前の平成23年4月時点の10339人から約19%増加したところでございますが、本年4月1日現在におきましても、市町村から3歳以上児、3歳未満児ともに、待機児童の報告はなかったところでございます。
 未満児保育についての関係でございますけれども、ただいま申し上げましたように3歳未満児についても待機児童の報告はないところでございますが、先ほども触れました待機児童に含めないものとして把握している数字といたしましては、本年4月1日現在、産休育休明けに保育所の利用を希望し事前に申し込みがされているものが18名、特定の保育所等を希望し保護者の個人的な利用に待機しているものが61名、計79名の報告があったところでございます。
②待機者の生まれる原因、それから対策というお尋ねでございますけれども、調査基準日であります4月1日および10月1日現在では待機児童の報告はないわけでございますが、年度途中の突発的な未満児保育の需要に対しましては、必ずしも速やかな受け入れができない事例があることは承知をしているところでございます。
 その背景といたしましては、未満児保育は配置基準上多くの保育士が必要となるところでございまして、入所していない児童、年度途中に入所するかもしれない児童に対しまして保育士をあらかじめ配置しておけないという事情があるものと考えています。このため県としましても、低年齢児保育支援事業を県単独事業で実施しており、中核市である長野市を除きます民間保育所に対しまして、年度途中の乳児受入れのための保育士を年度当初に配置する費用を助成しているところでもございます。
 また、昨年度から実施しております、子ども子育て支援新制度におきまして、少人数単位でゼロ歳児から2歳児までを預かります家庭的保育事業や小規模保育事業等への取り組みに、県では運営費の一部を負担しているところでもございます。
 引き続き市町村とともにこうした事業の充実を図り、年度途中であっても保育所に入所できないという状況が生じないように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
③続きまして、保育現場で働けない理由等の関係でのお尋ねでございます。
 保育士の確保についてというお尋ねでございますけれども、保育所の退職理由につきましては、先ほど議員ご指摘のとおり、昨年度実施いたしました潜在保育士掘り起し事業の結果によりますと、もっとも多かったのは妊娠出産の18.8%、次に介護等の家族の事情が15.5%でございました。
 保育士の確保につきましては本年度から保育士養成施設の学生や潜在保育士に対する返還免除型貸付制度の創設、それから従来年1回でありました保育士試験の年2回実施、それから保育士の配置の特例等に取り組むことによりまして、保育士の確保などに努めているところでございます。
 また保育士の処遇改善についてでございますけれども、公立保育所の運営費は一般財源化されてございまして、民間保育事業につきましては全国一律の制度により国・県・市町村の財政負担及び利用者負担により運営されているところでございます。
 保育士の給与等処遇の改善に県独自に取り組むことは財源の確保に大きな課題があるものと認識しておりまして、保育士が処遇面においても魅力が感じられる職となりますよう、給与等抜本的な処遇改善につきましては引き続き国に要望してまいる考え方でございます。
 また、非正規保育士につきましては、本年4月1日現在、保育所に勤務する職員のうち非正規雇用となっている保育士が、公立で約6割、私立で約3割となっているところでございます。近年の延長保育でございますとか一時預かりなど多様な保育事業への対応や労働者側の働き方の要望等により、非正規職員で対応せざるを得ない状況があるものと認識しているところでございます。
 保育士の配置につきましては、先ほども申し上げましたように県の単独事業で応援させていただくなど県としても引き続き努力をしてまいりたいと考えているところでございますけれども、保育現場の実態に即した適正な配置ができますよう、先ほど申し上げました処遇改善とともに配置基準の見直し、必要な財源措置等を引き続き国に要望してまいりたいと考えているところでございます。
【毛利議員】
 調査の中で4月1日、10月1日の時点では待機児がいないというご報告がありました。
これは前年度希望している人については前年度の10月に市町村が希望をとって、4月からの子どもたちに対して入所を方向付けしていくことをやられているがためにそういうふうになっているわけであります。
 しかし現実は先ほどにもご答弁ありましたが、途中入所は未満児の場合にほとんど入れないというのが実態であります。

 再度県民文化部長に伺います。
①待機児問題の現状はぜひ正確につかんでいただきたいと思います。「保育園に入れないので一時預かりを3日利用し、後2日はおばあちゃんに頼んで何とかみてもらっている」「年寄りにお金を払ってみてもらっている」こんな現状を放置しておくことは子供にとっても親にとっても好ましいことではありません。ましてや今議会に条例提案されているように認定こども園の条件を緩和して、無資格者で保育できるようなやり方は本末転倒です。これで保育の質が担保できるのか、県民文化部長に再度伺いたいと思います。
 また、保育士不足の大きな原因は賃金などの待遇が劣悪な上に非正規での雇用が多いことがあげられます。T市の例を挙げれば、184人の保育士中、正規は67人の36,4%。あとは嘱託や臨時です。他の自治体でも6~7割は非正規です。  この最大の原因は保育に関わる費用、国からくるものが一般財源化されたということにあるわけでありまして、先ほど部長答弁にもありましたが国に対してはしっかり処遇改善を求めていただきたいと思います。
   続いて保育料について知事に伺います。
②多子世帯に対する県の補助制度は歓迎されていますが、若いお父さんお母さんにとって未満児で5~7万、以上児で2~3万になる保育料は過大な負担です。少子化対策というなら、ぜひ2人目をと考えられるように第1子から保育料の減免を検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【県民文化部長】
①保育士の質の担保という観点でのお尋ねをいただいたところでございます。先ほど答弁させていただきましたとおり、近年の延長保育でありますとか一時預かりなど多様な住民の皆様方のニーズがあるなかで、非正規職員で対応せざるを得ない部分も現実にはあるというふうには考えているところでございます。
 保育園、幼稚園もそうなんですけれども、その中での職員の資質の問題というのは非常に重要な問題だというふうに私どもも捉えております。そういった関係で、研修の態勢の在り方等も含めまして今後しっかりと検討していく課題があるものと認識しているところでございまして、今後ともそういった視点に立ちながら努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
【阿部知事】
②保育に関するコストの削減、支援のご質問でございます。  ご承知のとおり、県としては平成26年12月に子育て支援戦略を策定いたしました。市町村の皆様方とも十分調整したうえで、子育てに伴う経済的負担の軽減をしていこうということで、具体的な取り組みを始めているところでございます。
 ご指摘の保育料につきましては、平成27年度から、第3子以降の保育料を市町村が軽減する場合に県も一定の支援をして、平均的な所得階層で見た場合には国が定める利用者負担額の半額以下になるような支援を行っているところでございます。
 第1子の保育料につきましてご指摘あったわけでありますけれども、今年度新たに県も財源を出しましてひとり親世帯等の低所得世帯につきましては、国が定める利用者負担額の半額以下となるような措置を講じているところでございます。引き続き子育てしやすい環境をつくるという観点で、この経済的負担の軽減についても検討を行っていきたいと思っています。
【毛利議員】
国の統計では一人しか子供のいない世帯は46,4%、2人いる世帯は40,5%、3人以上は13,1%という結果です。一人目からの応援は理にかなっていると思いますので是非とも検討をお願いいたします。

2.環境保全と自然エネルギーについて

【議員】
 環境保全と自然エネルギーについて環境部長に伺います。
日本共産党は原子力にたよらない再生可能エネルギーの環境に配慮した本格導入と省エネ・低エネルギー社会の実現めざし、国会でも県議会でも繰り返し取り上げてまいりました。固定価格買取制度開始後、環境破壊のメガソーラー建設が、猛烈な勢いで進み、地域住民との間でトラブルになっていることは憂慮すべき事態です。
 県議団は開発における「ルールづくり」や「新たな条例」の制定を提案してきましたが、この1月から太陽光発電がアセス条例の対象に加わり、その第1号として、「諏訪市四賀ソーラー事業」が該当になりました。敷地面積は諏訪湖の7分の1の188ha、95haの森林を伐採し、31万枚のパネルを敷き詰めて89メガワットの発電をするという巨大な計画です。
 業者からの住民説明会やアセス方法書が示され、茅野市長や諏訪市長の意見に加え、住民からの意見は115件にも及び関心の高さが示されました。県の環境影響評価技術委員会の意見もふまえ、6月3日、44項目にわたる知事意見書が出されました。

そこで環境部長に伺います。
 ①一つつとして知事意見書の中には住民意見もかなり反映されています。事業者に特に配慮してほしいと思った事項は何か。それはどのような理由によるものでしょうか。
 ②二つつとして計画地には貴重な湿原群や、県のレッドリストに載っている希少な植物群、地下水の涵養源などがあります。下流の茅野市横河川は災害氾濫記録もあり、諏訪市側の湧水は銘酒の醸造にも使われています。これらへの影響が懸念されています。 環境アセス内において関係法令や条例など規制がかかったり慎重に対応していかなければならない問題が多数存在しています。アセスのなかで法令や条例遵守はどのように担保されていくのでしょうか。
③三つつとして県はエネルギーの地産地消を掲げ「地域主導型」「1村1エネルギー」事業の推進を図ってきたところですが、県外業者が大規模開発をし、長野県の自然や環境を破壊し、住民の反対を抑え込んで、自然エネルギーを儲けの対象にしている事例が少なからずあります。
1ヘクタール以上の林地開発許可の事前相談はわかっているものだけでも31か所、大きなものは佐久穂町の203ha、御代田町の101ha、駒ヶ根市の69ha、富士見町の44haなどです。10メガを超える太陽光発電所計画が多数計画されていることに加え、風力発電の動きもあるなか、乱開発でなく、環境と調和できるエリア設定などの開発規制が必要ではないか。また、大規模事業には住民合意を取り付けることを条件にすべきではないか伺います。

【環境部長】
 ただいま、環境保全と自然エネルギーについて順次お答えさせていただきます。
①はじめに、諏訪市四賀のソーラー事業に対する知事意見についてのお尋ねでございます。
 当該の事業は広大な敷地面積の約半分の森林を伐採し太陽光パネルの設置をする計画でありまして、太陽光発電所として本県の環境影響評価条例が適用される初めての事業となります。
 方法書の知事意見では特に、事業計画地は地下水資源の重要な涵養域になっている地域でありますことから、事業の実施が周辺地域の水源等に及ぼす影響を湧水の機構解明など幅広く的確に予測評価をするため、地形的な集水域の内外に調査範囲や調査地点を適切に設定するよう求めました。また、防災のための調整池に設置に伴って発生する残土を事業計画地内で盛土として処理する計画でありますことから、豪雨や地震等に対する盛土の安定性を慎重に検討するよう求めたところであります。
②次に、環境影響評価と関係法令による規制の関係についてのお尋ねでございます。
 環境影響評価の審査に当たりましては、関係する許認可等を所管する部局に広く意見照会を行い、それらの意見を踏まえた指導を行っているところであります。
事業の実施に必要な許認可については、環境影響評価書の公告後に行われることになりますが、環境影響評価条例の規定により知事は事業の実施に必要な許認可等の権限を有する者に対して許認可等の行為を行うにあたり、評価書の内容に配慮するよう要請しております。
 また事業着手後においては、事業者に事業の実施状況について定期的に報告することを求めておりまして、評価書に記載した環境保全のための措置の適切な実施を担保することが可能であります。
こうした手続きを通じて、関係法令における許認可等に際しましても環境影響評価の結果が適切に反映されるものと考えております。
③最後に、新たな開発規制の必要性、住民合意の条件化についてのお尋ねでございます。国際的に温暖化対策が求められる中で、長野県におきましては地域主導型の自然エネルギー普及拡大を積極的に進めているところでございますが、それが自然環境に大きな負荷を与えるものであったり、また防災上懸念を生じさせるものであってはならないと考えております。このため、自然エネルギーに伴う一定規模以上の開発について、昨年度条例を改正し環境影響評価制度の対象とするとともに、防災のための調整池の対象降雨確率の引き上げを行ってきたところでございます。
 また住民との合意形成につきましては、事業者が市町村や住民に対し丁寧に説明し理解を得て事業を進めることが重要だと考えております。
 このため、公定価格買取制度の設備認定の権限が経済産業大臣にあることから、知事会を通じて国に対し、認定の際に地域の意見を聞く仕組みを構築するよう求めているところであります。
 また、太陽光発電事業への対処方法を整理した市町村対応マニュアルにおいて、事業者に対し、事業利益の地域還元、事業による影響の住民への説明を促すなどの対応を提示しているところであります。
【毛利議員】
 静岡県富士宮市では富士山の景観・自然環境及び生活環境を保全するために太陽光発電設備設置抑制区域を指定し、そのエリアでは原則市長が同意しないことを条例で規定しています。
長野県も観光や移住の売りにしている豊かな自然環境を保全し、未来に禍根を残さないためにぜひ規制や住民合意が必要なルール作りを検討していただきたいことを要望いたします。

3.大北森林組合の問題について

【毛利議員】
 大北森林組合の問題について知事ならびに林務部長に伺います。
「大北森林組合」の問題は、7年間という長期にわたった点でも、15億近いお金がいまだ全容解明されない点でも、知事以下25人の職員が処分対象となったという点でも、県政史上、一大事件です。私はこれまで、徹底的な真相究明と責任あるものがまずきちんと責任をとることを求め、議会で取り上げてきました。今回補正予算には、事業費返還金7億9900万円、加算金3億5400万円で総額11億5300万円が提案されています。

そこで知事に伺います。
①国から返還命令も出ていないのに、今回見込み額の補正予算を計上していますが、あまりにも先走りではないでしょうか。あわせて、加算金3億5000万円と「大北ルール」などにより組合に請求できない分は県の指導監督責任があるため「しごと改革」などで全庁挙げて採用抑制や残業代の縮減など経費を削減し、捻出するとしています。
 県への信頼回復の名のもとに真相が不明確なまま、全職員の責任に転嫁することはいかがなものでしょうか。職員の十分な納得や理解が得られないまま実施すれば、働く意欲の低下につながる心配はないのでしょうか。

②続いて林務部長に伺います。
大北森林組合が総代会で決定した50年で返還するという計画に対し、県は、従来の延長ではだめ、人件費の削減や事業活動による収益の増加、役員の責任の明確化、増資の検討など厳しい経営改善をするよう計画変更を求めたといいます。しかし、赤字体質で補助金頼みの組合が、どんなにがんばったとしても返済できる見通しは希薄です。そもそも組合の県への債務は8億7400万円にも上ります。これだけの負債を抱える団体が本当に再生できると考えているのでしょうか。

【阿部知事】
①大北森林組合の問題に関連して私に2問ご質問いただきました。
まず国への返還金の補正予算案への計上についてです。
 これは、これまで県として調査してまいりましたが、その内容を一件一件説明をさせていただいたうえで国が返還命令を行う金額を県として見込める状況になったということで補正予算案に計上させていただいているところでございます。
 これは先走りではないかというご質問でございますが、これは現時点で国からの返還命令が出されておりませんが、今回加算金が課されるという形が見込まれておりますので、加算金によります国庫返還額の増加を極力抑制していくうえでは、返還命令後ただちに返還を行うことが必要であるというふうに判断しているものです。したがって今回補正予算でお願いをしているところでございます。
 それから、しごと改革等で経費削減し返還金に充てていくことは、職員の働く意欲の低下につながる心配はないかというご質問でございます。今回の事案では、毛利議員のご質問のなかにもありましたが、関係職員の責任の所在を明らかにしたうえで停職・減給など厳正な懲戒処分を行わせていただきました。また、退職した職員からも退職手当の一部返納をしていただいているところでございます。また私も県政の責任者として自らの給料の減額を行ったところでございます。
 その上で、県の指導監督の不備等により多額の返還等を行う事態を招いたといこと、これはやはり県組織全体、全ての職員全体が重く受け止めていかなければいけないというふうに考えています。多額の加算金等に対応するため、全庁挙げてしごと改革を断行し、組織全体として行政コストの削減を図り、コンプライアンスの徹底に努めるという考え方でございます。決して、個々の職員に責任を転嫁するというような類いのものではないというふうに考えています。
 コンプライアンスの推進にあたりましては、風通しの良い組織風土づくり、ワークライフバランスに配慮した、職員にとって働きやすい職場づくりに取り組み、職員のモチベーションを向上させて、県民の利益につながるようにすることによって、県民の皆様方の理解、そして県政に対する信頼回復に努めていきたいと考えています。
【林務部長】
②大北森林組合の再生に関するお尋ねでございます。
 大北森林組合が策定しました補助金等返還計画に対しましては、抜本的な経営の見直しを現在強く求めているところでございます。県としましては、多額の債務を抱える大北森林組合に対しまして、増資等による経営基盤の強化を図るとともに、新たな事業展開や徹底した事業管理費の削減によります収益の確保を通じて再生することができるよう、指導を継続してまいりたいと考えております。
【毛利議員】
林務部長に伺います。
①全国的には森林組合が破産する事例はいくつもあります。究極の判断を迫られる時期が来るかもしれません。
 9億近い返済金が返る見込みがないのに加え、今回、国への立て替え払い分6億2800万円、これを県が用立ています。5億5200万円は時効になっていて請求できないというわけですから、県民負担は2重にも3重にもなり、犠牲になっているのは県民で、これだけのお金があれば、ほかの施策の充実にまわすことだってできるのではないでしょうか。「しごと改革」で県民の信頼を回復するどころか一層の不信を招きます。県民への説明責任をどう果たしていくのか林務部長に伺います。

阿部知事に伺います。
②今回の対応を見れば、面倒なことは県民と職員に押し付けて幕引きに走っているといわれても仕方ない状況です。ことは貴重な税金にかかわる問題です。
党県議団が繰り返し解明を求めていますが、不正に取得した補助金はどのように使われたのか、依然として解明されず、県民は納得していません。徹底的な解明が必要ではないでしょうか。
検証委員会は会計帳簿がなく、解明は限定的と言いつつ人件費・管理費は1円の単位まで数字をあげて報告しています。赤字の補てん分もおよそわかっています。さらに元専務の横領は1億2000万円、後はいったいどこに行ってしまったのでしょうか。現段階でお金の流れはどこまで解明でき、何が解明されていないのか。今後どう解明されていくのでしょうか。明確にしていただきたいと思います。

【林務部長】
①加算金等につきましては県の指導監督不備などで多額の返還を伴うということで、先ほど知事も申し上げましたように、全ての職員が重く受け止めて、加算金に対応するために全庁挙げてしごと改革断行をして、それを県民のみなさんにも説明をしていくということでございます。  また、大北森林組合に対しましては現在返還計画を見直しを求めているところでございまして、また5月30日に策定されました返還計画、それに基づいてこちらで見直しを指導したところ、組合側から6月8日には代表理事の名前でメッセージが寄せられました。組合としても、自立的主体的な発意のもとで知恵を絞り、様々な取組を進め、少しでも前倒しとなるよう取り組むとともに、深い林業活動を通じた地域貢献が果たせるよう深い決意のもと取り組んでまいりたいというメッセージも出ております。まだまだ見直すべき点がありますから、6月16日に通知にて現在強く指導しているところでございます。 いずれにしても時効等でこちらで徴収できない分については、損害賠償請求等も含めまして今後検討してまいりたいと考えています。
【阿部知事】
②大北森林組合の不適正に受領した補助金の使途についてというご質問でございます。
 まず、面倒なことは県民と職員に押し付けという言葉がありましたけれども、まったくそんな発想はないということは明確に申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 この問題に真摯に向き合うことによって県民の皆様方の信頼回復に努めていくということが私に課された責任でもあり、県組織全体で取り組むべきものと考えております。
 これまで検証委員会での報告等を踏まえ、そしてその後も先ほど申し上げましたけれども、今回の返還金の確定に当たりましては、会計書類の調査あるいは立ち入り調査等行いまして、本当に丁寧に1件1件事案を精査してきたところでございます。
 大北森林組合がどのように不適正な申請を行い、どれだけの補助金を不適正に受領していたかなど、今回の事案に関しまして県と組合との間において明らかにすべき点については、十分に解明できたものというふうに考えておりまして、その結果今回返還金の予算案を県議会にお示しをさせていただいたところでございます。
 この問題、刑事事件の部分と職員の処分の部分、それからお金の返還をどうするかということ、それぞれ法的な観点からしっかり詰めながら我々取り組んできているわけでありますので、どうか全体像について十分ご理解いただいたうえでご指摘いただければというふうに思っております。
【毛利議員】
知事に伺います。この間、事件の発端は元専務のワンマン体制のもと、森林組合が主導して、補助金不正受給が始まったとの説明が繰り返されてきました。
 しかし、昨日の第4回公判の検事の「供述調書」の中では歴代県職員の中で「闇繰り越し」として不正が認識され、業務引き継ぎもされていたということが明らかにされたとの新聞報道があります。この言葉づかい事態、県として不正を認識していたことの証左ではないかと思います。
 本来、年度内にできないものは繰り越し明許などの手続きによって翌年度事業にしていくのが当たり前です。現地確認もしない、手続きもしない、大北森林組合にはお金だけが渡っていたということではないでしょうか。検査野帳がないのも意図的に証拠隠滅を図っていたと思われても仕方ありません。便宜を図ることで本当に大北森林組合以外の関係者に見返りがなかったのか、疑問が残ります。
 だからこそ余計に徹底的な真相究明が求められると思いますが、いかがですか。知事の見解を伺います。
【阿部知事】
お答えします。毛利議員のご質問お伺いすると、県職員に対して厳しいスタンスなのか優しいスタンスなのか、どちら側なのかが非常に不明確だなというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、今回の事案につきまして関係する職員については私ども職員からも十分聞き取り等を行ったうえで厳正な処分を行わせていただいているところでございます。その上で、さらには組合役員、もっともこの問題について私は大きな責任があると思っておりますけれども、刑事告発をさせていただいているところでございます。
 そうした全体的な対応を我々させていただいております。これは、私は県組織の代表でありますから、先ほどからご質問いただいておりますように、県職員のモチベーションが落ちないようにということは、これはやはり責任を持って、県民の皆様に対するサービスが滞ることがあってはいけないということで、全力で取り組ませていただいておりますが、他方で、やはり県民の皆様方の信頼をしっかり得ながら進めていくことが必要であります。
 そういう意味で、今回の返還金への対応にあたりましては、これはやはり県組織全体がしっかりと重く受け止めて、人件費の削減等で対応していくべきだというふうに判断しているところでございます。
 そういう意味でこの大北森林組合の問題については、県としては誠実に一件一件精査しながら対応してきているところです。
【毛利議員】
今知事から県職員に対して厳しいのか優しいのかというお話がありましたが、そういう認識でとらえられる事の自身の中に私は今度の問題の解明ができない大きな問題があると思います。
 県民利益のためにまじめにやってくださっている職員の皆さんのご努力は当然認めますし、いつも本当に感謝しております。しかしながら違法な形で不正をはたらいている職員の皆さんがあれば、厳正に処分するというのは当り前のことなんです。そういう立場であります。
 この問題をめぐっては知事のスタンスがあるときは、これは大北森林組合が指導してやってそこに一番の根源があるというふうに言いつつ、例えば今回3億5000万円を加算金として返すということになれば今度はまた県の全体の、まず県が責任があって指導監督を怠ったからこういうことになったので県費で返しますと、その県費で返すにあたっては県民全体、県職員全体の責任だと、こういうやり方が私は非常に問題を解明していく上でネックになっているというふうに思います。
 ぜひ厳正な対応を、真相究明はまだまだされていないという立場でしていただくことを求めまして私の一般質問を終わります。

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