日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2016年9月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. オスプレイ飛行訓練問題について
  2. 中部横断自動車道について
  3. 大北森林組合補助金不正問題について

1.オスプレイ飛行訓練問題について

【藤岡議員】
順次質問いたします。オスプレイの飛行訓練問題について質問いたします。
昨年10月、米空軍による環境影響評価の文書で、オスプレイの訓練場所が長野・群馬・新潟3県の周辺空域も該当することが明らかになり、県が10月14日に北関東防衛局にどこの市町村が該当するか照会したところ、県内17市町村が該当することが明らかになりました。
 県は10月15日づけで市町村に対し「CV‐22オスプレイの横田飛行場配備に関する環境レビューについて」という照会文書を送り、意見や質問などその内容を集約し、10月28日、北関東防衛局宛に質問書を提出されました。ここまでの内容については、昨年11月定例会で質問させていただきました。
 その後、今年の2月17日に北関東防衛局から回答があったと聞いております。 ①その内容はどの様なものか、どの様に分析・評価されていますか。
②県は北関東防衛局からの回答を受けた上で、市町村に対し、CV‐22オスプレイに関する2度目の照会文書を2月24日に出されています。市町村から回答があったと思いますが、その意見などについてどのように分析され、集約されていますか。
 9月20日に県は県市長会、県町村会と合同で、「オスプレイの飛行訓練について」という要請書を環境大臣、防衛大臣宛に提出され、北関東防衛局と長野自然環境事務所を訪問し、要請行動を行われました。
③要請書では特にどの様な点を強調されたのかそのポイントと、要請行動の時に話し合われた内容はどの様なものだったのか、以上3点を危機管理部長にお聞きいたします。
【危機管理部長】
オスプレイの飛行訓練について三点順次お答え申し上げます。
①まず、一点目の防衛省、北関東防衛局からの回答内容の分析と評価についてでございます。
 北関東防衛局からは訓練区域に関係する市町村名が明示をされ、また訓練は既存の全ての日米間の合意を遵守して行なわれる旨、米側から説明を受けていること、また、環境への影響を最小限に留めるよう、米側と執拗な協議を行なうこと、など、一定の回答をいただいたと認識をしております。
しかし、県内自治体や住民への説明については具体的な解答がございませんでした。また、訓練内容等は米軍の運用に関わる事項であり、承知していないとの回答であったことなどから、県内全市町村の意見等を十分踏まえた上で県の対応を検討していくこととしたところでございます。
②二点目の、北関東防衛局からの回答に対する市町村の意見についてでございます。
市町村からは安全性や訓練内容などを事前に十分説明すること、情報開示や安全確保について強く要請すること、住民に不安を抱かせないことなどの意見をいただいたところでございます。
また、一部の市町村からは訓練区域からの除外を望む意見もございました。
③三点目の国への要請内容、その際のやりとりについてでございます。
 要請は、”安全保障の重要性は認識していること” ”一方一部の市町村では訓練区域からの除外を望む意見”また、”一部の市町村議会において訓練中止を求める意見書が可決されていること”などを述べた上で要請内容につきましては、まず一点目はオスプレイの飛行訓練内容の情報開示と安全性等についての関係自治体及び地域住民に対する事前の十分な説明、二点目は県民や観光客に不安や懸念を抱かせることがないよう日米合同委員会合意事項の遵守、三点目はイヌワシやライチョウといった絶滅危惧種の生息環境に与える影響の低減に配慮した適切な対策、この三点を要請をしたところでございます。
両要請先からは要請の内容を本省に伝えるという回答と共に北関東防衛局からは米軍オスプレイの安全性や運輸等に関する情報が得られた場合には速やかにお知らせしたいという回答があったところでございます。以上でございます。
【藤岡議員】
県の2回の照会文書に対する市町村の意見や質問などの回答文書を私も拝見させていただきました。
「飛行訓練範囲に当地域が入る事に強く反対します」とか、「実施しないよう要請します」とか、すでに問題になっている米戦闘機などのジェット機の低空飛行訓練・ごう音問題について、「”どこの飛行機なのか特定できない”との防衛省の説明では、回答書の信頼性に疑問を持つことは当然」など、17市町村からはもちろん、それ以外の市町村からも反対の意見が上がっています。特に事前の訓練内容の通告・情報提供を求める意見が圧倒的です。
 今回提出された要請書には、「訓練区域からの除外を望む意見がある」「一部の市町村議会でも訓練中止を求める意見書が可決され」ていることなどもふれられており、飛行訓練の内容については、「事前に十分説明すること」「日米合同委員会の合意事項の遵守を在日米軍に強く求めること」など、市町村の切実な意見を反映していただいており、心から感謝致します。
一方で、防衛省からは事前通告や事前の情報提供が市町村にされるのか一切説明がありませんし、部長の答弁でもありましたが説明会開催への返答もありませんでした。このことは市町村の最低限の要望であり、さらに強く求めるべきでありますがいかがですか。また、沖縄等では住宅地上空や学校上空を飛ばないようにするとの日米合同委員会の合意事項が全く守られていない現状があります。守られる保障をどのように勝ち取っていくのでしょうか。もう一度危機管理部長にお聞きいたします。
【危機管理部長】
 オスプレイの飛行訓練につきまして日米合同委員会合意事項の遵守につきましてどのように求めていくかということでございます。
 今回市町村の意見を十分踏まえて集約をし、オスプレイの飛行訓練に関する事前情報の提供、そして日米合同委員会合意事項の遵守等を三者連盟で要請をしたものでございます。
オスプレイのこの問題につきましてはもとより国のしっかりした対応が求められるというふうに思っております。
 今回の要請につきましても国としてしっかり対応いただきたいと考えており、要請をしたところですので、まずは国の対応を市町村と共に注視をしていきたいというふうに考えているところでございます。
【藤岡議員】
以前にも紹介しましたが、このCV22オスプレイは特殊作戦部隊を乗せ、超低空飛行で敵地に進入し、強襲作戦などを行う訓練をするとしています。
高度60メートルから30メートルでの超低空訓練や夜間山岳訓練など特殊訓練を行うと米空軍の手順書に記述されています。この内容は日米地位協定、日米合同委員会で合意された内容に反しています。
沖縄県のオスプレイ対策の取り組みを現地調査した時には、体調不良を引き起こす低周波や、排気ガスの異臭問題があり、低周波についてはまだ環境基準がないとのことでした。こうした問題が解決されない限り、オスプレイの飛行訓練は絶対に認めてはいけません。引き続き、市町村や県民の立場にたっていただき、強く要請を続けられることを求めまして、次の質問に移ります。

2.中部横断自動車道について

【藤岡議員】
中部横断自動車道について質問いたします。中部横断自動車道は、静岡県静岡市を起点とし、山梨県を経由、小諸市に至る延長約132kmの高速自動車道です。平成23年3月から小諸・佐久JCTから佐久南IC間が開通、佐久南ICから八千穂IC間では、平成29年度の供用開始に向けて工事が行われています。
 一方、その先の八千穂ICから長坂JCT間ですが、対応方針というルート案が示された段階で、整備計画への格上げまでは、まだいくつかのハードルがあります。同時に建設計画を進めていく上で、地域住民へ丁寧な説明を行い合意形成を図っていくことは必要なのはいうまでもありません。
 これまで、国土交通省による地元説明会の開催状況は山梨県の北杜市では10回行われたのに対して、長野県側では南牧村平沢地区で平成25年に1回のみと聞いています。
①国と地元住民とのパイプとしての役割のある県が、地域の不安解消のために、もっと説明会を開催することを国交省に求めるべきだったと考えますが、いかがですか。

②中部横断自動車道は南北佐久地域・東信地域にとって重要な高規格道路であります。建設を進める上で何が課題となっているのかを知ることは、地元住民はもちろん、佐久地域全体で共有されなければならないことだと考えます。内外に開かれたオープンな説明会を早急に開催すべきだと考えますがいかがですか。
 また、国交省の決定した対応方針で示されたルート案では、レタス、白菜等の高原野菜を生産している優良農地の広範囲が壊されることになり、地元地域では不安の声が出されています。
 これまでの国交省の作成した資料によりますと、中部横断自動車道の効果として、「農産物生産性の向上に寄与し、市場への輸送時間の短縮によって、遠方の関東圏、京阪神への出荷量を拡大できる」としていますが、道路建設によって優良農地が壊されてしまえば、本末転倒となってしまいます。
③地元住民の合意と納得が必要不可欠と考えますが、県は今後どのような対応を考えていますか。また、国への働きかけをどのように進めていきますか。以上を建設部長にお聞きいたします。

【建設部長】
中部横断自動車道につきましていただきました質問3問につきまして順次お答え申し上げます。
①まず、県は国にもっと頻繁に説明会の開催をなぜ求めなかったかという点でございます。
中部横断自動車道の長坂-八千穂間は計画段階において第三者の有識者による審議を踏まえ事業評価を行う計画段階評価の手続きが行われているところでございます。
 この手続きの中で地域の声を聞くために平成22年度から平成24年度にかけてアンケートが2回、国の職員が会場で来場者に直接説明するオープンハウスが長野県内で16回、山梨県内で2回、計18回、意見交換会1回などが開催されております。
 この段階で長野県内では目立った異論はなく、第三者の有識者による審議において次の手続きである環境アセスメントの準備調査を行う段階に進んでも良いとされました。一方で山梨県側では南麓地域での整備の異論等が出たため、ルートを検討する有識者によるワーキンググループが設置されました。
このワーキンググループは基本的に山梨県内区間を対象としておりまして、そのため対象区間であります山梨県側では10回の地元説明会が開催されましたが、長野県側では県境部のみが対象となるため1回の開催となったものでございます。 ②次に内外に開かれたオープンな説明会を早急に開催すべきではないか、というご質問についてでございます。
長坂-八千穂間の整備促進にあたりまして、県が窓口になりまして沿線市民市町村と協力し、様々なご意見をお持ちの方々と丁寧に対話を継続するなど積極的に合意形成に努めることが重要であると考えております。
南牧村において今年度になりまして計画段階評価で決定されたルート帯について、住民から不安や要望が寄せられていると村から情報が入り本年7月29日に県と村の共済で住民の声を丁寧にお聞きするための勉強会を開催いたしました。
   この勉強会では参加者からの忌憚のないご意見をいただくために参加対象を村民限りとさせていただきました。今後は他の市町村における同様な取り組みも含めまして代表者等の傍聴など、できる限り透明性の確保に配慮したいと考えております。
さらにそれぞれの課題が整理が済んだ段階で地域全体で情報共有を図る場を設けることも考えてまいりたいと考えております。
③次に県の今後の対応と国への働きかけについてでございます。
7月29日に行ないました南牧村での勉強会の参加者の方々からは、優良農地の通過や気象条件による安全性への不安、説明機会が少なかったのではないか、などの声をいただきました。
 勉強会での不安や要望は国に伝えるとともに、県としても適切な対応ができるように県内の関係部局と組織横断的な体制作りを考えているところでございます。今後も南牧村を含め関係する市町村において同様な勉強会を継続するとともに、道路事業が地域にもたらす効果と影響を住民の方々と一緒に考えながら国とも連携を図り地元の合意形成に努めてまいりたいと考えております。
【藤岡議員】
平成25年2月16日、南牧村平沢地区行われた説明会では、複数の地元住民から長野県側で更なる説明会の開催を求める意見が出されていたと記録が残っています。
 あれから3年と7ヶ月間、一度も国交省による地元説明会は行われていません。たった一度だけ開かれた説明会でも「ルート案についての説明は全くなかった」と当時の参加者からの証言もいただいております。
地元住民・国双方への働きかけを強めていただき、早期に説明会を長野県側で広くオープンに開催していただき、課題解決のためにご尽力していただくことをことを強く要望させていただきまして、次の質問に移ります。

3.大北森林組合補助金不正問題について

【藤岡議員】
 大北森林組合補助金不正問題について質問いたします。
①大北森林組合等の補助金不正問題に関し9月9日付けで、国から補助金返還命令書が届き、県は12日に加算金3億5300万円を含む、11億1,700万円の国庫補助金を返還しました。年10.95%の割合で計算された加算金は罰金とも言えるものです。林野庁は「森林整備事業の補助金返還命令では過去に例がない規模」としており、そうした国の厳しい認識に対して知事はどのように受けとめていますか。 ②大北森林組合事件の公判が9月14、15日に行われ、北安曇地方事務所林務課に当時勤務していた8人の県職員の証人尋問が行われました。私も傍聴しました。証言内容は公務員としての規律を疑うものばかりであり、県民からは「県側にも問題があるのでは」との声や全容解明を求める意見が高まっています。
 我が会派もこれまで、なぜこのようなことが起こったのか原因を明らかにするとともに、15億円が補助金不正事件によって何に使われたのかを明らかにすることが全容解明だとの立場で追及してきましたが、知事は何をもって全容解明との認識でおられますか。

③公判の県職員の証人尋問では、新年度に入ってから工事を完了させることを前提として未完了の申請を認めるいわゆる、「期づれ」「闇繰り越し」という用語が使われていたとの証言がありました。余った予算、端数の予算を消化するための現場を「調整現場」「端数現場」と、そんな言葉まで出てきました。昨年私は農政林務委員会で検証委員会の報告、林務部からの説明で一切こうした言葉を使っての行政執行の話は聞いておりません。
 県はこの様な言葉での対応があったことを把握していたのでしょうか。知事もご存知でしたか。なぜ県議会に説明がなかったのですか。

④これまで県は「行き過ぎた助言」があったが、事件ついて主体的・能動的に不適正受給を行い、多額の利益を得ていた組合側に責任があると説明されてきました。
 しかし、証人尋問では、むしろ県職員から予算消化の為に大北森林組合に、未完了状態でも、つまり闇繰り越しだろうと思っていても申請を依頼したとの証言も出されています。さらに既設の作業道を改良する工事として申請すべき事業を、新規の事業として申請を受付ける。「間伐の予算を流用してペレットストーブ設置の補助金を出す」「検査野帳に検査していないのに検査したと虚偽記載した」「書類を整えるために組合員に頼んで、別の場所で現場写真を撮影、検査書類に添付した」「23路線の審査を担当したがどの現場も確認していない」などなど、驚くべき証言の連続でした。
 これはもはや、「行き過ぎた助言」レベルでなく明らかな違法・脱法行為であります。「行き過ぎた助言」との考え方は撤回すべきはありませんか。また、不適正受給ではなく「不正支給」「不正申請」との言葉に改めるべきではないですか。

⑤県はこれまで「架空申請を容認した職員はいなかった」と一貫して説明してきましたが、事業の完了後に事業主体が補助金の交付申請を行う「実績補助方式いわゆる事後申請」がルールであり、「工事をしていないのに補助申請を行うこと」自体が架空申請であります。しかも完了後のチェックもありません。架空申請そのものを容認してしまった事実を認めるべきではありませんか。
以上5点を知事にお聞きいたします。

【阿部知事】
 大北森林組合の補助金の不適正受給についての一連のご質問にお答えしたいと思います。

①まず国からの加算金についての受け止めということです。これは、予算上は6月県議会にお諮りして、加算金も含めてお認めていただいているところでございますが、その際の提案説明で、私から県民の皆様方にお詫びを申し上げさせていただいたとおり、県としての指導監督の不備により国に加算金を納付するということになったわけでありまして、極めて遺憾でありそして県としては重く受け止めているところでございます。
②それから、何を持って全容解明かということです。今回の事案、非常に長期にわたって、しかも切り口が様々ありますので、私は全容解明というのが、この間共産党の皆様方がおいでいただいたときに、ちょっとあまり例が十分ふさわしくないかもしれませんけど、泥棒がお金をもっていったと。そこから泥棒が生活費に使ったかあるいは遊興費に使ったか。そこのところは分からなくても泥棒は泥棒じゃないかというお話をさせていただいたかと思います。小林団長から分かりやすいとご評価をいただいたのでもう一回この場で繰り返させていただいておりますけれども、要は私ども行政として明らかにすべきこと、取り組むべきこと、そうしたことについてはしっかりと解明していこうということで取り組んでまいりました。
 例えば、大北森林組合との間のお金のやり取り、これは国ともすり合わせをして最終的に返さなければいけないわけでありますので、国とも精査した結果平成19年度から25年度にかけて約14億5千2百万円、これが多額の不適正申請の総額だということを把握をさせてきていただいておりますし、また、先ほど来県職員の話、県職員は私ども処分させていただいているわけですが、徹底した聞き取り調査あるいは検証委員会の皆様にもご検証いただいて事業が申請時までに完了していないことを知りながら補助金を交付していたと。あるいは先ほどのご質問の中にもありましたけれども、適正な検査業務を行わなかったと。
 こうしたことが明らかになったことから、昨年の12月には職員25名に対して停職等の懲戒処分等、行政上の措置も含めて行わせていただきました。本年3月には元職員1名に対して、これは懲戒免職相当ということで退職金の一部返納処分も実施をしたわけです。
こうした行政処分を行うにあたりましては、当然職員にとっての不利益処分でありますから、そうした事実関係をしっかり積み上げたうえで処分させていただいているところであります。  また検証委員会での検証結果を踏まえて昨年8月には大北森林組合、そして元専務、私ども県として刑事告発させていただいているところでございます。司法当局の捜査等の結果、大北森林組合あるいは元専務とも補助金適正化違反等については認めているというふうに私ども認識しているところでございます。
こうしたことは、我々が積極的に今回の事案の全体像を解明しようということで動いた成果でもあるというふうに考えております。
 引き続きまだ組合からの補助金の請求等もあります。損害賠償請求等もしていかないといけないと思っております。こうしたことについては、県民の皆様方、納税者の皆様方の思い、あるいは県民の皆様方を私は代表する立場ですのでしっかりと責任を持ってこれからも取り組んでいきたいと考えております。

③それから、「期ずれ」「闇繰り越し」「調整現場」等、こうした用語が説明されていなかったけど把握していたのかということです。例えば「期ずれ」と「闇繰り越し」は同じような文脈で使われていると思いますけれども、私ども、様々な表現、今回の公判でも取り上げられていますけれども、例えば申請時点で未完了の事業が申請されていたことであるとか、あるいは年度末に予算調整のやり取りが行われていたということ、実際に行われていた行為の状況については私どもとして事案の調査によってすでに把握してきたところであります。 ④それから、行き過ぎた助言と不適正受給のところでありますが、まず行き過ぎた助言の説明は間違っているから撤回すべきではないかというご質問です。少し誤解があるような気がするんですが、私ども、行き過ぎた助言だけ言っているわけではなくて、これまでもご説明させてきていただいている通り、北安曇地方事務所からは予算消化を目的とした不適正な申請もあったとすでに申し上げてきているところです。
したがって、どっちか片方だったからということではなくて、行き過ぎた助言と不適正な申請が両方あったというのが私どもの認識でありますので、どっちか片方を撤回するということではないと思っています。

⑤それから不適正受給から不正受給と言葉を改めるべきという質問でございます。今回非常に長期間にわたって、しかもいろんな類型のものがあります。
そういう意味で、例えば不要萌芽除去のように地方事務所の不適切な指導で実施したものもあります。これは例えば、不正受給、不適正受給のどちら側から見るか。支給した側から見るか受け取った側から見るかというので微妙に違ってきますけれども、県側が指導したものについて、森林組合の不正受給というふうには言い切れないものもあるというふうに考えています。そういう意味で、全体像を総称して不適正受給と申し上げているわけでありまして、例えば我々が告発をしているようなものについては、不正受給というふうに言って差し支えないと思います。
 ここのところはしっかりと全体像を理解していただかないと、一部だけ取り上げられてご指摘いただくと間違いではないかなというふうに思います。
それから架空申請の容認についてであります。これも用語の使い方の話でありますので、用語の使い方としてどういう文脈でどういうことを指して使っているかということがはっきりさせなければいけないと思います。
今回の事案では補助金の交付申請時に工事が完了していなかったもの、これ大きく分けると、着手されているけど未完了であった未完了時の申請、それから2つ目として着手はされているけれども施行の予定がある申請、3番目として組合がまったく作業を実施するつもりがなかったまったくの架空申請。この3種類が大まかに分けると時期的にはありうると思います。
前提条件として、どれが良くてどれが悪いという話ではなくて、これは全部不適正な処理でありますが、これまでもご説明してきた通り、県職員が組合を信用しすぎていた面もあるかもしれませんが、時期が遅れても必ず完了するということを前提に未完了もしくは施工の予定のある現場の申請に対して補助金を交付したものと考えています。私に対する答えは以上でございます。

【藤岡議員】
 事業の完了後に事業主体が補助金の申請交付を行うのが実績補助方式であります。それがルールです。ですから、工事をしていないのに補助申請を行うこと自体が架空申請であります。これは県民の常識であります。
先ほど答弁いただきましたが違法脱法行為だったわけであります。これは、私は全体像を見ても傍聴して実感しましたが、これは不適正レベルではないなという実感であります。
 県の「架空申請」の定義は、県民との捉え方とかけ離れていると思います。「長野ルール」と言われても仕方がないと感じています。
県はあくまで、「組合が行った架空申請の事案を県職員が容認していた事実はない」とのスタンスを続けるようですが、それではその客観的根拠は何かお示しいただきたいと思います。担当職員の証言以外に何かあるのでしょうか。
 証人尋問では、「4月5月にはやってくれるだろう」「森林組合を信じていた」と主張しながら、後任に「期づれ」「闇繰り越し」の引き継ぎをしていない。森林組合に必ず工事を完了するよう念書を求めていないし、完了したとの報告も求めず、現場確認もしていなかったことが明らかになりました。こんな行政執行がまかり通れば、県民の県政への信頼が揺らぐばかりです。知事いかがでしょうか。お聞きいたします。

   公判の証人尋問では本庁の林務部の担当者から、「闇繰り越し」になっても予算消化を求めるプレッシャーがあったとの証言もありました。
「かなり精神的に追い込まれていた人もいるのでは」「県庁の林務部は『穴埋めをするんだろうな』と、無理な時期に予算消化を北安曇事務所に押し付けていることは明らか」「最低でも闇繰り越しになることは認識していたと思う」と公判で追及された弁護士はコメントされています。
検証委員会では、本庁林務部は北安曇地方事務所で不正な事務処理が行われていたことを知らなかったとしていますが、公判での証言と明らかに食い違っています。再調査が必要と考えますがいかがですか。県民が驚く内容が公判で明らかになりましたが、今後さらに厳しい対応をすべきではないでしょうか。以上、知事にお聞きいたします。

【阿部知事】
 再度、大北森林組合の問題についてご質問をいただきました。
まず、架空申請これは法律上の用語がないわけでありますので、これが架空申請でこれは架空申請でないというようなことをちょっと言いあてても事跡が乏しいと思っております。ただ、何度も繰り返して申し上げていますように、県職員が、補助金を出しながら何も行われていないということはどっかにお金がいっちゃったことを容認するわけでありますけれども、そういう認識はしていなかったというのが我々の把握している現在の状況であります。
 基本的に、私も藤岡議員と同じように、今回の一連の県の組織的な対応はとんでもないものだという認識であることは繰り返し申し上げている通りであります。そういう意味で、私自身も給与の減額等させていただき、きっちりと責任をとらせてきていただいているわけでありますし、先ほど申し上げたように、これからもこの問題にしっかり向き合っていかないといけないというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほど、架空申請の事案を県職員が容認していた事実はないと、これは「まったくの」ですけど、その客観的根拠は何かということであります。一つは、当時北安地方事務所林務課に在籍していた職員17名に対しまして約1年間にわたり徹底した聞き取り調査を行ってきました。そういうなかで、職員全員、容認はしていないというふうに述べています。
 先日の組合そして元専務理事の刑事事件の公判、これは刑事事件の公判ですから議事録が公表されているわけではないのですが、その証言のなかでも、県職員8名が当時組合がやっていないという認識はなかった、あるいは、信頼していたけど騙されたと証言していると私は認識しています。
 また今回、証言だけではなくて、先ほど申し上げた通りお金のやり取り等を確定していくうえでは、文書等も相当精査させていただいています。これは国ともしっかり返還額確定させていくうえでも必要なわけでありますけれども、そうした過程でメールであったり引き継ぎ書であったり、そうしたものを調査をしています。また、県職員のみならず組合職員にも聞き取りを行ってきています。こうしたものについては検証委員会の第3者の皆様方にも報告し認識していただいているわけですが、そうしたなかで先ほど申し上げたように、県職員が未完了事業の依頼や容認をしていたと。このことについては確認をしたわけです。これ自体とんでもない話だと思っています。
 他方で組合が事業を実施していない、完全に未来永劫行わない、行わないということはお金がどこかへ行ってしまうということでありますから、そうしたことを県職員が容認していたことを示すものは確認されなかったわけであります。
 もとより私は県民の代表でありますから、県組織に対しては基本的に、他の一般の職員に比べると厳しく向き合っていかなければいけない立場だと思っていますし、そうとうこの問題についても厳しく向き合ってきています。しかしながら県職員がこの事案解明に努めてきた結果、先ほど申し上げたようなことが我々が把握している状況です。
 繰り返しになりますが、職員に対してはすでに処分を行っています。職員に対する不利益処分を行っているわけです。
藤岡議員がさらにもっと問題があったということをご指摘なのであれば、ぜひ具体的な根拠を示していただければ、そうした点についても我々としてはしっかりと検討しなければいけないと思います。
それから、裁判等のなかでの話で、これからの調査についてであります。私どもとすれば、事態が本当に我々が把握しているものと違うというようなことが明らかになればそれは改めて調査していくということも当然必要というふうに思っています。
 現在一連の公判が続いている状況でもございます。今回の公判で出てきた内容等について私どもとしてはしっかり整理したうえで再調査の必要性があるかといったようなことを含めて判断して取り組んでいきたいというふうに思っています。
 今回の刑事事件の被告人は元専務理事とそれから大北森林組合だということを前提にやり取りされて行われているということはぜひご理解いただきたいと思います。
【藤岡議員】
架空申請を容認していないとの客観的根拠は聞き取りによる証言だけだったと確認させていただきました。
公判で裁判長からは「組合と阿吽の呼吸だったのではないか」との指摘もありましたし、取材した記者は「一連の対応を見る限り、県職員は不正を黙認していたと言われても仕方がないと思いました」とコメントしています。これらが通常の感想、受け止めだと思います。
 7年間も違法、脱法行為が続いてしまったことは現場の県職員だけの問題にとどまらない県組織の問題、県組織トップの引責辞任に匹敵する中身であります。15億円の税金が消えたままで行方が分からず、返ってくるあてもない。さらに11億円余も立替払い。県民は二重にふみにじられています。「一体お金の流れはどうなってるんだ」「森林税を払いたくないがどうしたらいいか」との県民からも厳しい意見が直接寄せられています。
 一方、知事の議会での提案説明は、大北森林組合補助金不正問題への言及が余りにもあっさりし過ぎていました。また会見では、「相当丁寧な、しつこい聞き取りをさせていただいた上で事実認定している。今の時点の判断が変更を要するものだと考えていない」「今まで聞いている話と全く違う話ということではないので、そんなに時間をかけてやるような話でもない」との趣旨で答えられていますが、このような認識では、県民から信頼回復は得られないと思いますがいかがですか。
 10%3ヶ月減給という処分でしたが、県税を預かっている最高責任者の責任がその処分で済むとお思いですか。さらなる県民への説明、再調査が早急に必要だと考えますがいかがですか。以上あらためて、知事にご所見をお聞きいたします。
【阿部知事】
お答えします。  まず、先ほどの答弁に関連して、職員への聞き取りだけだったという答弁をしたつもりではなくて、まったくの架空申請を容認していた事実はないという客観的根拠は聞き取りだけだったとこの議場でご発言されたのであえて訂正させていただきますけれども、そうしたことではなくて、先ほど申し上げたように、メールや引き継ぎ書の確認であったり、あるいは組合側職員に対しての聞き取りもおこなったうえで、組合が全く事業を実施しないということを県職員が容認していたことを示すものはなかったということを申し上げたわけです。ぜひ曲解をされないようにお願いしたいと思います。
 それから補助金の不適正受給問題については、再三にわたって私はこの問題にしっかり向き合っていきたいと。で、県民の皆様方にも深くお詫びをさせていただいています。藤岡議員すでにお忘れなのかもしれませんが、6月県議会での提案説明で、あるいは2月県議会でもお詫びをさせていただいるところでありますし、また会見の場においても事案の説明と同時に県民の皆様方に対するお詫びを申し上げています。
 ただ、これ忘れていただいては困るのは、この事案で利益を得たのはいったい誰なのか、金銭的利益を得たのは誰なのかということを除外して県の職員の問題だということだけ強調されるのはいささか如何なものかと。
しかしながら、あえて申し上げますけれども、事案の全体をぜひ把握していただきたいと。その上で何度も申し上げておりますけれども、職員の対応は悪かったんです。藤岡議員と私は、問題意識は同じだというふうに思います。こうしたことはあってはならないと。だから、コンプライアンス推進へ全力で取り組むんだということを林務部のみならず全庁挙げてやっていこうということで進めているわけであります。
 ぜひ林務部の職員からどういうことをやってきているのかということを聴取もしていただきたいと思いますが、例えば林務部改革としては、本庁と現地期間のコミュニケーションの活発化ということでテレビ会議を開催した打ち合わせ機会の増加であるとか、あるいは今回の事案の反省みんなで共有して迅速な対応をしていこうという取り組み、あるいは不適正事案が発生した際も迅速に対応していこうというような取り組み、あるいは林務部全体としてのしごと改革を進めていこうと。
 もとより、まだこうした取り組みは着手したばかりであります。したがって、悪い状況を作り出してきた組織が胸を張ってこうですというような状況ではまだまだないと思いますが、しかしながら、私は県民の皆さんに行政サービスを継続的に安定的に提供する県の組織としては、林務部の職員がけして下を向くことなく、誇りを持って取り組んでもらうということも、こうした事案の解明あるいは処分と同時に重要だというふうに思っています。
 ぜひそうしたことについても県議会の皆様方にはご理解いただき、もちろん改めるべきところは改める、そして悪いことは悪いということで改善していくということはしっかり行っていきます。しかしその上で、職員が本当に林務行政をしっかり推進していくと決意を新たに取り組みを始めておりますので、ぜひそうした取り組みについては県議会の皆様方にも、特に藤岡議員にもご支援いただきたいと思っております。
【藤岡議員】
私も、県職員の皆さん、林務部の皆さんがこの問題を受け止めご尽力されていることをしっかりと理解しているつもりです。このことだけは言わさせていただきます。
飯綱町議会は事件の真相解明を県議会に求め、県議会に100条委員会の設置を求める要望書を23日賛成多数で可決しています。信頼回復のために、さらなる真相解明が求められています。県議会としても100条委員会設置をすべきではないかと申し上げ、いっさいの質問をおわります。

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