2016年9月定例会 和田明子議員一般質問
1.県営住宅の環境改善について
- 【和田議員】
- 毎年、県の関係部局と懇談・要望をしている生活と健康を守る会が、県営住宅入居者からの要望をもとに改善を求めた結果、浴槽・風呂釜が設置されていない県住に計画的に入浴設備設置をするという改善が図られていることは関係者共々感謝申し上げます。
今回も県営住宅の改善について建設部長にお聞きします。
今年の夏も厳しい暑さでありました。猛暑日・熱帯夜など厳しい暑さのなかで、駒沢団地などの入居者から「網戸をつけて欲しい」と生活と健康を守る会に要望がありました。
①以前からもこの要望は上げていましたが、回答は「網戸は1万円ぐらいでつけられる。ご自分で」ということでした。しかし、古い県住には、網戸をつけることができない窓枠の構造になっている住戸があることを県は認識されているでしょうか。問題がある住戸の実態を把握しているのか、お聞きします。
網戸がつけられない構造になっている窓枠は欠陥住宅ともいえます。窓枠の取り換え工事は入居者の責任ではありませんし、できません。
②入居者の安全・健康面からも網戸がつけられる窓枠に改修をすべきと思いますがいかがですか。
③また、窓枠の構造上の問題はないが、経済的に網戸を入れられない生活保護世帯、生活困窮世帯等には、県として網戸を入れて欲しいと思います。あわせて建設部長にお聞きします。
- 【建設部長】
- 県営住宅の環境改善に関するご質問に順次お答えいたします。
初めに県営住宅の窓枠の構造に関するご質問でございます。県営住宅におきましては約1万5000戸ある住宅のうち、おおむね平成元年以降に建設したものから網戸を設置してきておりまして、それ以前の約9000戸は建設時に県による設置を行っていませんでしたが現在は大規模改修の際に網戸の設置を進めることとしております。
①網戸を設置していない住宅の中には、窓枠の構造上、網戸を入れることができないものもございます。建物ごとの状況につきましては建設年度や改修履歴によっても異なるため、今後速やかに各団地の詳細な実態を把握してまいります。
②次に網戸が設置できる窓枠への改修についてのご質問でございます。
入居者の居住環境の改善を図る観点から網戸の設置が可能となる窓枠など住宅の構造上の改修は、設置管理者である県が実施すべきものと考えております。このため各団地の詳細な状況を把握した上で今後の団地ごとの維持管理計画もふまえ大規模改修や個別修繕の際に整備する他、窓枠の改善が必要な建物について改修の検討を進めてまいりたいと考えております。
③次に生活に困窮する入居者への対応についてのご質問でございます。
県営住宅においては住宅の維持管理等に要する費用について設置管理者である県と入居者のそれぞれが負担することとしております。
網戸の設置につきましては建設時に県が設置をしていない住宅について入居者のご負担によりまして設置をしていただいているところでございます。
生活に困窮されている入居者への配慮につきましては収入に応じまして家賃の減免を行うことにより生活する上で必要な費用の負担を軽減しているところでございます。
また、生活保護制度におきましても住宅扶助の活用で網戸の設置が可能とされております。
今後とも居住環境の改善におきまして福祉部門と連携を密にしながら入居者へきめ細かな情報提供や丁寧な相談対応に努めてまいりたいと考えております。
2.視覚障がい者が利用する録音図書ついて
- 【和田議員】
- 長野市社会福祉総合センター内にある録音図書の利用者から、図書を借りるため電話をしても、松本市にある県視覚障がい者協会に電話が転送になり、図書を借りるのに2度、3度電話をすることがある。何度も転送になると遠慮してしまう、以前より不便になったのは職員が減っているからではないかという相談がありました。
私も以前から、録音図書のボランティア活動をしている「愛あいの会」の方から音訳の実情を伺ったことがあり、先日おたずねしたところ、県の委託事業の委託先が社協から県視覚障がい者協会に替り、社協の協力で録音図書の貸し出しは複数体制だったが、4月から一人になってしまったとのことでした。お聞きをすると、視覚障がい者の方が利用する図書の作成、音訳ボランティアの養成・研修など県から委託されている業務は多岐にわたり、愛あいの会のボランティアの皆さんに協力してもらっているが、図書の利用者に不便をかけてしまうことがあるとのことです。視覚障がい者への行政情報や生活情報はじめ、図書など必要な情報を提供する県の委託事業には人件費は見込まれているのでしょうか。委託事業の実情はどうなっているのか健康福祉部長にお聞きします。
- 【健康福祉部長】
- 視覚障がい者への情報提供の実情についてのご質問に回答させていただきます。
視覚障がい者が社会生活に必要となる情報の点訳、音訳をお願いするボランティア奉仕員の要請や、図書の貸し出し等による情報提供については毎年障がい者団体への委託事業、業務委託等により実施をしております。
ボランティアの要請・研修については、昨年度、点訳奉仕員の研修に述べ179人、音訳を行なう朗読奉仕員の研修に述べ666人の方に参加していただきました。
これらの方々を含むボランティア奉仕員の皆様のお力によって昨年度点訳された図書は66冊、合計で4万6703冊となり、また昨年度音訳された録音図書は299冊、合計で7841冊となっております。図書の貸し出しについて点字図書は上田市にあります上田点字図書館で、録音図書は長野市にあります県社会福祉総合センター内の通称「声の図書館」において行なっており、郵送による貸し出しも可能となっているところであります。
なお、昨年度の貸し出し件数は、点字図書5046冊、録音図書5756冊となっているところでございます。
- 【和田議員】
- 今お聞きしたように、それぞれのところでそれぞれの貸し出し業務等を行なっています。
点字や音訳など関係するところは、長野市にある録音図書、上田市の点字図書館、その他自治体でも関係図書を持っているところがあります。それぞれの、図書館にある蔵書のデータベースを共有して、貸出窓口にあたる電話の転送先を一本化するなど、利用者の利便性を向上させる観点で改善を図れないか健康福祉部長にお聞きします。
- 【健康福祉部長】
- 録音図書の貸し出しに関する業務の改善についてのご質問でございます。 録音図書の貸し出しにつきましては社会福祉法人長野県視覚障害者福祉協会が声の図書館において業務を行なっておりますが、今年度から窓口職員一名体制となり先ほどご指摘ありましたとおり当該職員が不在となる場合には、松本市にある協会事務局に電話を転送し、利用者への対応を行っているところであります。
しかしながら希望者の手元に録音図書が届くまでに従来よりも時間を要することなど、利用者の方に不便が生じている状況も考えられますので早急に当協会と共に現状の課題を整理した上で貸し出し業務の改善方法や今後の窓口のあり方など検討してまいります。
- 【和田議員】
- 是非利用者の利便性を向上させるという観点で改善を検討していただきたいと思います。この事業はほとんどボランティアに支えられて成り立っている状況ですので、予算の拡充を図って欲しいと要望させていただきます。
3.リニア中央新幹線について
- 【和田議員】
- JR東海は下伊那郡大鹿村で秋中ごろにもリニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(約8.4Km)の準備工事を始めると報道がされています。工事を開始するにあたって8月から9月に全村民対象とか自治会別で地元住民説明会が開かれました。
その場で、懸案の一つ、トンネル残土の処分地についてJR東海から、松川町生田地区と示されたとのこと。ですが、この話は松川町にとっては寝耳に水。候補地が処分地のように扱われたことが松川町で問題になったとお聞きしています。県側からJR東海に照会した候補地の豊丘村でも急傾斜の沢への残土処分は災害の心配があり撤回されたとのことです。現時点でトンネル工事によって搬出される残土の行先が決まっているところがあるのか。リニア整備推進局長にお聞きします。
- 【リニア整備推進局長】
- リニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区の建設発生土の行先に関するご質問をいただきました。JR東海は大鹿村からの発生土の搬出路となる県道松川インター大鹿線の改良に先立ち、当面の仮置き場として大鹿村内に候補地を3か所計画しており、いずれも地権者の同意が得られたことから環境影響評価の事後調査も実施しております。
最終的な発生土の行先につきましては道路改良やグラウンド整備などの公共事業での活用と民有地等への盛土が予定されており、このうち公共事業での活用につきましてはJR東海が施設の管理者となる県や大鹿村と発生土の搬入時期や具体的な計画について調整を進めています。また、民有地等の盛土につきましてはJR東海が大鹿村内と松川町内に置き場の候補地を想定しており、現在段階的に環境調査と地元の調整などを進めている状況でございます。
- 【和田議員】
- ①明確に残土処理の受け入れ先が決まらない状態では仮置き場村内は永遠にここが置き場になってしまう状況ではないでしょうか。受け入れ先が決まらない状況で、工事を強行しないようJR東海に県として確認をとっているのか。お聞かせください。
②また、トンネル残土の運搬車両(1日1736台~1350台)の問題はたびたび質問してきましたが、それに加え、工事用資材運搬車両や工事関係者の車両の通行がどのくらいになるのかなど安全な交通確保、道路問題は地域住民の生活や観光にとって死活問題です。
住民説明会でも関係車両の通行時間を規制してほしい。大鹿歌舞伎や観光シーズンは工事を休んでほしい。村の中心を通過しないようにつくられる迂回道路は保育園や宅老所などに近くなって、子どもやお年寄りが危険になる。などなど、住民の日常生活に多大な支障が出ることも大変心配しています。このような生活道路の確保に対する不安・要望にどう応えるのか、リニア推進局長にお聞きします。
- 【リニア整備推進局長】
- ①発生土置き場につきましては、下流域を含めまして地区全体の理解を得ながら決定に向けた手続きを進めていくようJR東海に対しては具体的な計画に基づき丁寧な説明を今後も求めてまいりたいと思います。特に安全性の確認につきましては大変重要な課題と認識しておりますので、県も一緒になって確認できるよう取り組んでまいりたいと思います。
②次に、工事関連車両の生活道路の利用に対する対応についてでございます。 大鹿村におきましては工事関連車両の影響を懸念する声が多く寄せられていることから、JR東海はこれまで地元の対策委員会や住民説明会での協議等を重ねてきています。これまでの協議等を踏まえまして、JR東海では県道松川インター大鹿線の2本の道路トンネルの新設、小学校や保育所、福祉施設等を避けた大規模な工事用迂回路の設置、発生土運搬車両の運行台数の平準化など地元要望の対応策を計画してすでに一部の対策工事に着手しております。
また、県道松川インター大鹿線などの改良工事に際しましても交通誘導員をきめ細やかに配置するなど、工事に伴う影響を低減させ安全が確保できるよう取り組むこととしています。
県としましても、今後もJR東海に対し住民との対話を重視し課題の解決に向けて誠実に対応するよう求めてまいります。
- 【和田議員】
- 道路改良や迂回路建設など対策を講じても、また別のところに新たな負担が生じてしまう状況ということをお聞きしております。道路改良に着手した段階でリニア工事を始めていいことにならないと思います。村民の生活を守る立場で不安・要望に応えるよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。
知事に伺います
JR東海中央新幹線建設部担当部長は「地元の理解と同意がなければ着工できない」と繰り返し発言し、住民の前で約束をしているにもかかわらず、この間、開かれた地元住民説明会後にJR東海関係者が「住民の理解が進んだと考えている」旨の発言をし、住民は「どんな工事が実施されるのか理解することと、納得することは違う」とJR東海のやり方に不信、不安、疑問を募らせています。
釜沢地区住民説明会で地元住民ではない対策委員を説明会に入れない、地元自治会役員が退席などの報道もあり、知事も会見で「JR東海の対応は悪い」との見解を示しました。JR東海に対して、住民の立場で対応をしていただきたいと思います。知事いかがですか。
- 【阿部知事】
- リニア中央新幹線に関連してJR東海への対応についてのご質問でございます。
工事を進めていくうえでは地域の住民の皆さんの理解と協力が不可欠だというふうに思っております。
JR東海にはこれまでも十分かつ丁寧な説明を通じて住民との対話を重ねるなかで様々な課題の解決に向けて誠実に対応してもらうように繰り返し求めてきたところでございます。
これからもJR東海には地域の様々な声にしっかり耳を傾け、地元の理解と協力が得られるように最大限努力してもらうよう、私どもの立場としては働きかけていきたいというふうに思っております。
- 【和田議員】
- ぜひ知事には住民の立場で対応をしていただきたいということをくれぐれも申し上げておきたいと思います。
安倍政権は、リニア新幹線への巨額の公的資金の投入なども経済対策としているようですが、これは全額自己負担としてきたことと話が違うことは大手新聞各紙からも指摘されています。もともとJR東海が民間資金で行うとしていた事業に公的資金が投入されても工事量が増えるわけでなく、景気対策とは無関係で、公的資金の投入による国民負担のリスクだけが増大します。
リニア新幹線は、巨額の建設費、採算見通しの無さ、環境破壊など様々な問題点を指摘され、東京-名古屋間の全線での工事の見通しはまだ立っていません。なのに、名古屋―大阪間の工事を前倒しで進捗をと、安倍政権が、JR東海に財政投融資をして、国が後ろ盾になるようなやり方が、JR東海をさらに強気にさせ「説明会を開けば理解が深まる」同意の判断はJRがする。ということにつながっているように思えてなりません。
先日、共産党国会議員団と大鹿村に行き、村役場で懇談するなかで「住民生活を守るのが村の立場。JRの計画を、どうのこうのというわけにはいかないが、問題が多いという認識で、環境の保全措置、通行車両の確認書、水枯れの保障など対策をしていかなければならない。村単独ではどうしようもない」こういう自治体や住民に寄り添って、JR東海に対応をしていただきたいとを知事には強く要望させていただきます。
4.浅川ダム試験湛水について
- 【和田議員】
- 試験湛水の開始時期の変更について、いつ、どこで、だれが変更したのかお聞きします。
明日、10月1日浅川ダム試験湛水が開始されます。
試験湛水は今年2月に開かれた第10回浅川ダム施行技術委員会においては、11月1日から開始が予定されていました。施工技術委員会で県事務局から、「長野県では平成16年10月に台風が2つ来ており、非常に大きな災害被害が発生したことを経験しています。
また、過去にも、昭和元年からの統計上でも、年最大の降水量が10月に発生した件数がかなりあったということから、浅川ダムにおいては、非洪水期から試験湛水を始めるということで、11月1日と決定したところです。」と提案説明がされました。施工技術委員会では、委員からも「開始時期を11月でなく、申し少し早められないか」と質問が出され、県側から再度10月の降雨について説明を繰り返す場面があり、委員会では11月開始が了承されました。
第10回の委員会の最後に、「実際に試験湛水やることを計画したものを出していただく。」次回委員会は試験湛水前、秋ごろ予定したいと委員会を閉じています。第11回の施工技術委員会は行われたのでしょうか。
11月1日開始から10月1日に変更された経緯はどういうことなのか。この施行技術委員会が開かれなかったのであれば、委員各位にどうやって諮ったのでしょうか。
試験湛水については国交省とやりとりをして、県の出した計画は認められたということですが、国からの技術的な指導・助言があったのか。建設部長にお聞きします。
- 【建設部長】
- 浅川ダム試験湛水の開始時期についてのおたずねでございます。
試験湛水につきましてはダムが通常の管理に移行する前にダム本体、基礎地盤、貯水地周辺斜面等の安全性を確認するために実施するものでございます。
また、試験湛水では湛水によって変化する漏水量や変異量等の観測データを確実に得られる時期とするということが重要なことでございます。
平成28年2月16日に開催した第10回、浅川ダム施工技術委員会では建設部から現地での施行状況の確認、地すべり対策工事の品質管理結果や試験湛水を11月1日から始めるとする試験湛水計画案についてのご説明会を行ないました。
また施行技術委員会では、過去10月に台風が二つ来たことがあること、年最大の降水量が県全体として多かったことから11月1日から試験湛水を開始したいとの説明をしたところでございます。
施工技術委員会では複数の委員より貯水位と漏水量等の関連をしっかりと把握するためには水位の上昇をゆっくり行なったり中間水位などでの水位保持やもう少し前倒しをして余裕をとっては、とのご意見をいただきました。
建設部では施工技術委員会でのご意見を踏まえ、その後、10月の降雨について再度ダム周辺での雨量やダム上流で観測した河川流量を確認し、その結果、台風や大雨による影響が少ないことを確認いたしました。
このことから、浅川ダムの洪水期間を6月20日から9月30日として、10月1日以降で2月下旬からの融雪期を避けて実施し、試験湛水中の観測データを確実に得るために試験湛水計画の見直しを行ない、一つめとして貯水位の上昇時、および下降時の速度を一日1メートル以内とすること、二つめとして最高水位および、中間水位にて水位を数日間保持すること、三つめとして試験湛水を10月1日から開始すること、とした計画案を7月中旬までに作成いたしました。
計画案についてはその間におきまして施行技術委員会の全ての委員に詳細なご説明を行い、ご理解いただき、委員からは試験湛水開始前に開催を予定していた委員会の開催は、不要。とのご意見を頂くとともに、関係機関との協議を行なってまいりました。
7月末には国土交通省による最終的な確認をいただき、試験湛水計画を策定したものでございます。
また、試験湛水の実施に先立ち、8月下旬から9月上旬にかけて10月1日から開始する旨のお知らせを浅川流域の皆様に回覧すると共に9月12日および16日の地元説明会を開催し、10月1日より開始する理由を含め試験湛水の方法などについてご説明させていただいたというところでございます。
なお、ここ数日間での話でございますが、台風18号が現在フィリピン東方の海上を進み、沖縄の南方に週明けにかけて到達する予定がされております。
この台風はその後勢力を強めながら来週月曜日以降に沖縄や本州に接近する恐れがあり、大雨による降雨の影響が予想されております。
こうした状況から明日から開始を予定しておりました浅川ダムの試験湛水につきましては施行技術委員会での委員からのご意見にもありますとおり、水位の上昇についてはゆっくりと慎重に行ない、確実にデータを得る必要があることから延期することといたしました。
試験湛水の開始日につきましては今後の台風18号の進路や、降雨の状況を確認しながら検討してまいります。
- 【和田議員】
- いつ、どこで、誰が変更したのかについては今ご説明がありましたが大変無理がたたって明日からはできないということのようであります。
ここで知事にお伺いいたしますが、私達が知事への9月県議会前の申入れの際に、浅川ダムの試験湛水が10月に開始される予定ですが、大雨が危惧される時期であることからも再検討をしてください。という申入れに対して建設部の担当者から「10月は非洪水期で降水量は多くない」との説明があり、知事から「10月は雨が少ないと言っているのに、大雨が危惧されるというのはおかしい」とコメントがありました。
しかし、矛盾をした説明をしているのは建設部であり、安全よりも今年度中には絶対に試験湛水を終わらせ、浅川ダム事業を完了したいという建設部の都合を優先させているということではなかったのか、と思われてなりません。
知事は、11月から10月に変更になったということについて建設部から詳細にご説明を聞いているのかお伺いします。
- 【阿倍知事】
- この間の経過につきましては部長からご答弁していただいたとおりであります。
私の段階では10月1日から行なうという旨の説明を受けていたわけでありますし、11月1日から10月に変化したというのは先ほどの部長の答弁でご説明した経過であります。
私どもとすれば、安全性の確認というものはこれまでもしっかりと行なってきておりますし、これからも安全性の確保を最優先に取り組んでいきたいというふうに思っております。
この試験湛水につきましてもしっかりと安全性の確認を行う場としていきたいというふうに思っておりますし、その状況についても試験湛水中の貯水位、あるいは状況写真等、こうしたものについては積極的に情報提供させていただく中で、多くの皆様方のご理解、ご協力を得てきたいと思っております。
- 【和田議員】
- 試験湛水を安全に行っていくという上では、11月から10月に変更というのはかなり大きな変更にあたると思うんですけれども、知事は11月から始めるということだけをお聞きしているというような今のお話でありました。本当にこれでいいのかということを、どうして変えたのかという経緯を知事は詳細にお聞きになっていないということは大変疑問と言いますか、こんなことでいいのかということを今感じたわけであります。
この洪水期か否かという判断をする際、2月の施工技術委員会で県は、まず安全を優先して11月開始を提案しておりました。
浅川ダムの周辺の降水の確認をしたとか先ほどいろいろ言っておりましたけれども、やはり10月開始の判断には安全ということよりもまずは今年度末までには試験湛水を何としても終わらせてダム工事を完成すること。これが最優先されたのではないかと指摘せざるを得ません。
試験湛水を始めるに当たり、9月に2回の住民説明会が開かれました。浅川ダムの貯水池周辺は地すべり地です。FV断層は未解明のままです。堤体の下も含め裾花凝灰岩の脆弱な地盤です。そのダムにサーチャージ水位まで水を溜めることには、市民が大変不安を持っています。不安・疑問、こういうものが説明会でも次々に出されました。県の担当者はその不安に対して十分に納得にいく説明とは思えませんでしたけれども、「安全性は確保しているから大丈夫」と答えています。ここで、この試験湛水にあたっての安全の確保ということでお聞きを致しますけれども、24時間常時監視体制をとる、試験の状況は毎日写真をホームページに掲載する。とのことでしたが、市民はもっと情報を出してほしい。異常事態が発生したときの対応はどうするのか。との質問に、異常事態について、どういうとき、どうするのかというような細かいマニュアルはない。という発言も事務所から飛び出し、「異常事態があったとき、だれが異常を判断するのか」についても住民説明会では明確な答えはなかったと記憶しています。
これだけ、十分に準備を進めてきたのですから、万が一の異常事態が発生した場合、まず、異常事態の判断を誰がするのか、その後の対応、連絡体制など関係部局、地元自治体、専門家共通のマニュアルはあると思っておりました。1回目の説明会ではこの辺がよくわかりませんでしたので、改めてどうなっているのか確認したいと思います。建設部長にお聞きます。
- 【建設部長】
- 浅川ダム試験湛水に関するマニュアルについてのお尋ねでございます。
浅川ダムは、ダム本体には基礎岩盤からの漏水量や揚圧力等、また貯水池の斜面には地表面の変動や地中の変位等について観測する計器を設置して観測しております。
試験湛水中にこれらの観測で異常を検知した場合はすみやかに注意態勢および警戒態勢に移行するためのマニュアルに相当するものとして、各態勢への移行基準および開示基準を策定済みでございまして、それにより対応することとなっております。
また、万が一想定を超えるような事態が発生した場合には関係する機関への連絡体制も整えております。
浅川ダムはこれまで地質や断層、地滑りについて文献調査、現地調査、地質調査など様々な調査を実施して安全性を確認しながら慎重に進めてまいりました。
工事におきましては浅川ダム施工技術委員会から専門的なご助言をいただきながら、念には念を入れてダム本体工事や貯水池地滑り工事を進めて随時安全性を確認してきたところでございます。試験湛水におきましても、想定を超える事態に備え、安全基準や連絡体制を整備することにより慎重に試験湛水を実施してまいります。
- 【和田議員】
- 試験湛水を進める間に何をデータとして得るかということも、十分なそういうものも用意したし、万が一の時に、こういうことが起こったらということで一応手順を作成済みと言いましたけれども、住民説明会の時に改良事務所からの説明では、そのようなマニュアルはない、というのが回答だったんです。
ここにまたなんでそういうことになるのか、このことについての回答には当たらないわけですけれども、現地期間と本庁との間はどういうことになっているんですか。それで本当に安全を確認する体制になっているのかということを大変疑問に思います。この点もう一度お願いしたいと思います、建設部長。
- 【建設部長】
- 地元説明会の場でございますが、マニュアルが整備しているかという質問が出た際に、文脈の理解にもよりますが、担当者はダムの大きな崩落など極端な事象を考えたマニュアルを整備しているのかという質問ととらえて、そのようなものは作っていないと答えたというふうに伺っております。
- 【和田議員】
- ちょっとますます心配になってきました。説明会でどういう意見が出たのかということは、建設部長はお聞きになっていないのですか。異常事態ということも、漏水が異常だったりとか地滑りが発生したりとかいうことで、今建設部長が言ったようなことはだ誰も言っていないんです。もう一度お願いします。
- 【建設部長】
- 説明会における担当者の理解は先ほど申し上げたとおりでございまして、そのような理解でそのような答弁をした次第でございます。
実際にマニュアルをつくっているかどうかにつきましては、先ほど来私が答弁させていただいた通り、観測で異常を検知した場合には注意態勢、警戒態勢に移行するマニュアルに相当するものがきっちり作っておりますし連絡体制も整えておりますので、万が一想定を超えるような事態が発生した場合にはそのような対応をとるということでございます。
- 【和田議員】
- これ大事なことですからやはり、担当者任せにしないで建設部長がお出になられたら本当によかったと思います。
全国的にダムの試験湛水中に発生した課題の調査・分析をしている、土木研究所ダム構造物チームの調査結果では、調査対象124ダム中、16.9%で問題が発生しています。くれぐれも慎重に安全第一でとお願いを申し上げまして質問を終わります。