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議会質問

2016年11月定例会 山口典久議員一般質問

  1. 1.地域振興局について
  2. 2.国民健康保険の広域化について
  3. 3.長野県立大学について

1.地域振興局について

【山口議員】
、地域振興局について  最初に地域振興局についてうかがいます。知事は、本定例会の議案説明の中で、地域の強みや特性を最大限に活かした地域振興を進めていくために、県の現地機関が連携し、これまで以上に主体的、積極的に地域課題の解決に当たっていくことができる体制を構築することが急務である説明されました。
   地域振興局は9月定例会でも論議されたところですが、地域振興局が取り上げるべき横断的な課題とは何なのか、今の地方事務所や現地機関の体制では解決できないのかなどの疑問は残ります。
そこで、おうかがいいたします。
①9月15日の総務部行政改革課による資料の中で、地域振興局が解決にあたるものの具体例として、諏訪湖を生かしたまちづくりやリニア中央新幹線整備への対応などがあげられております。知事も9月定例会で、諏訪湖を活かした街づくり、リニア中央新幹線が横断的な課題になりうると言われています。こうした課題を現在の体制で解決しようとした場合、何が問題なのでしょうか。地域振興局で対応することによる具体的なメリットは何でしょうか。
 地域振興局の枠組みについてうかがいます。9月定例会では、職員との討論、対話の中で、地方事務所、保健福祉事務所、ならびに建設事務所の3所を集約する案など三つの選択肢を示して議論をしたと説明がありました。
 しかし、地域振興局や総合事務所の枠組みは県によって様々です。例えば岩手県は、12ヶ所の地方振興局を1つの広域振興局、6ヶ所の地方振興局に統合・再編し、この中に保健福祉事務所や建設事務所を含んでいます。熊本県は、2000年に立ち上げた10ヶ所の地域振興局を、その後2013年に4つの広域本部と10ヶ所の地域振興局体制に再編を行っています。一方、千葉県のように、総合出先機関である10カ所の支庁を廃止し、各種相談、申請、届出など、地域密着型の業務に限定した5つの県民センターに再編した例もあります。
➁他県の様々な枠組みがあり、それが新たな再編も行われている中で、長野県はなぜ地域振興局+建設事務所等の単独現地機関方式を採用するのでしょうか。
③次に長野県がこれまで実施した再編の検証についてです。この問題では、行政機構審議会で、県が本格的に組織再編などに取り組んだ昭和56年から現在に至る長野県の行政改革の歩みを紹介し、平成21年4月の保健福祉事務所の設置や、建設事務所、教育事務所の再編などの大幅な現地機関の見直しについても説明をしたとされています。
しかし、これまでも組織再編については様々な議論がありました。例えば、2005年には、県内10地域に地域本部長を配置し、そのもとで各現地機関が緊密に連携しながら地域課題の解決を図るとともに、現地機関再編の枠組みが示されました。その時も、地域本部長に、総合調整機能、予算、人員配置などの権限を付与する中身で、今回の再編案に似たものであると思われます。今回の組織再編にあたり、こうした過去の組織再編の検証はどのように行われ、どのように活かされたのでしょうか。
 以上、総務部長にうかがいます。
【総務部長】
 地域振興局についてのご質問に順次お答えいたします。
①まず横断的な課題に地域振興局が対応することのメリットについてでございますが、メリットといたしましてはまず、地域振興局長に横断的な課題、これは一つの現地機関における個別の対応では容易に解決できないものでございますのでその統括、調整を行う権限を付与すると共に新たに企画振興課を設置することなどによりまして地域振興局における総合調整力や政策形成機能を強化し現地機関が連携して横断的な課題に取り組む体制を構築することができるようになることでございます。
 また予算面では従来の地方事務所長総合調整推進員の予算規模を大幅に増額し、新たに総額1億円程度で、他の現地機関でも執行することのできる、これは仮称でございますが、地域振興推進費を創設することを予定してございます。これらによりまして、例えば中山間地域振興の方向性を地域振興局が中心となって調整し、これに基づいて局が特産物の産地づくりや販路拡大、観光ルートの設定などを支援するとともに建設事務所ではこれに資する道路を整備し、保健福祉事務所では健康づくりのウォーキングコースの設定を支援するなど、それぞれの責任事を組織連携で現地機関が取り組むことで当該年度の当初からスピード感を持って事業が実施できるようになることをメリットと考えているところでございます。
②次に地域振興局の方式についてでございます。
議員ご指摘の職員討議の時に職員からは保健福祉事務所長や建設事務所長の専門職としての判断が生かされるよう屋上屋的な体制は避け、危機管理対応などの際に意思決定が迅速に行われる組織にすべきとの声が多く寄せられました。
また市町村を対象としたアンケート結果でも地方事務所に比べて専門分野を担う保健福祉事務所や建設事務所に対する評価と期待の声が多かったということもございます。
 このようなことから本年9月の行政機構審議会の答申においても保健福祉事務所や建設事務所についてはそれぞれの専門性の審議や危機管理対応等での迅速性を考慮し、現行通り存続させることが適当、とされたところでございます。
以上の考えなどを踏まえまして地域振興局長のリーダーシップのもと、地域振興局と他の単独現地機関が連携協力し、地域の課題の解決に取り組む現在の案の法審議が本県にとってはもっとも適当であると判断したところでございます。
③次に過去の組織再編の検証についてでございます。
県の組織体制につきましては毎年度職員が現地機関に出向き現場の状況を確認するとともに各部局への聞き取り等を通じて組織運営上の課題を把握・検証し、より良い組織の構築に向けて常に改善に務めているところでございますが、とりわけ今回の見直しにあたってはこうした毎年度の検証作業の他、議員ご指摘の行政機構審議会に対しまして21年度に実施した保健福祉事務所の設置や建設事務所の再編等の現地機関の大幅な組織改正の状況などを報告し、委員の皆様からは保健福祉事務所は他の機関と統合させることなく存続が必要だ、あるいは建設事務所は現在の体制を維持するべきだ、などのご意見をいただいたところでございます。
 一方調査アンケートを実施したところ中央事務所については積極的なリーダーシップを期待する声がある一方で、本庁の判断をあおるために時間がかかる、あるいは調整力、決定力に不安。などのご意見をいただいてございます。
 これら様々なご意見をもとに行政機構審議会から平成21年度における現地機関の組織改正等踏まえ、これまで以上に現地機関の連携促進や組織の総合力の発揮が求められる、との答申をいただいたところから新たに地域振興局を設置するとともに、そこに企画振興課を新設することで局長のリーダーシップのもと現地機関の企画力、調整力や連携を強化することと考えているところでございます。
【山口議員】
 私が質問したのは県も例示しているリニア中央新幹線や、諏訪湖を活かしたまちづくりについて具体的に何が障害になっているのか、この横断的な課題が解決は何が容易でないのかということをお伺いをいたしました。再度答弁をお願いいたします。
 続いて地域振興局の設置や再編でどんなメリットがあったのか。実は私ども熊本県にも伺ってお話を伺ってまいりました。しかし、熊本県のこの十数年来の取り組みをお伺いいたしましても、これが今なぜ長野県において地域振興局を設置する意義があるのか、なかなか見えてこないと言わざるを得ません。ここは、時間をかけた丁寧な説明や議論も求められているのではないでしょうか。総務部長の見解をうかがいます。
【総務部長】
地域振興局ついての再度のご質問にお答えをいたします。
例示としてあげられている諏訪湖を活かしたまちづくりやリニア中央新幹線の対応などにおいて何が現状ではネックなのか何が課題となっているのかというご質問だというふうにご理解をさせていただきました。
 現状でも地方事務所には総合的な調整という機能は与えられてございますが、今の地方事務所の組織体制、あるいは県の予算ということでありますと具体的に他の現地機関と総括調整してその課題にあたる、とうことが必ずしも明確ではないというところがございます。あるいは取り組みが不十分であるということもございます。
 また予算的に申しますとやはり地域から提案がございましても当該年度で実施しているのは今までで言いますと地方事務所の総合調整推進費というものでございまして一所あたり50万しかございませんでした。そうした取り組みにつきまして当該年度でスピード感を持って事業化するということには不十分であったと考えているところでございます。そうした点を今回総合的に緩和いたしまして先ほど申しましたような企画振興課の新設、あるいはそうした現地機関の長の情報共有の場、そうした全体を構成いたしましてあたるようにしたいと考えたところでございます。
 また、丁寧な検討につきましては行政機構審議会でも十分、二か年度にわたり検討され、その間に県民間意見の申しあるいは市町村へのアンケート等あるいは職員との討議等、十分な検討を今まで図ってまいったと考えているところでございます。
【山口議員】
地域振興局のメリットがさらに私には見えなくなってまいりました。

2.国民健康保険の広域化について

【山口議員】
 次に、国民健康保険の広域化についておうかがいします。
①2018年度から国民健康保険の広域化が実施されます。これにより、国保の運営主体は市町村から都道府県に移され、県内の統一的な国保運営方針が策定されます。市町村は、これまでどおり保険料を決め、徴収もおこないますが、県が市町村ごとの標準保険料率を定めます。市町村が納める「納付金」も県が決定します。給付については、保険の給付に要した費用を県が市町村に支払います。
広域化は1年3ヶ月後にせまっていますが、標準保険料率の決定など現在の進捗状況、今後の予定はどうなっているのでしょうか。
②国民健康保険の県内の被保険者は約33万世帯、60万人に及びます。職業は年金生活などの無職の方が4割弱、被用者保険に加入できない非正規労働の方が3割です。被保険者1人当たりの平均所得は61万4千円で、1人当たりの保険料は、(2014度で)7万7千円です。
 61万4千円の所得で7万7千円の保険料ですから、保険料は所得の12.5%に相当します。保険料滞納世帯は4万世帯をこえ、10世帯に1.3世帯になっています。そして滞納世帯は、ペナルティーとして保険証が取り上げられ、期限付きの短期保険証や、病院の窓口でいったん10割全額を負担する資格証明書が発行され、その数は1万世帯に及びます。
 いま、格差と貧困の広がりの中で、保険料を払いたくても払わないといけないとわかっていても払えない深刻な実態が広がっています。
こうしたなかで広域化が行われるわけですが、それぞれの被保険者のさらなる保険料の負担増をまねかないようにどう設計するかそれが最も重要なポイントだと考えますがいかがでしょうか。
③国民健康保険は、被保険者の年齢構成が高く医療費水準が高い、所得水準が低く、保険料負担が重いなど、そもそも構造的な問題をかかえています。こうしたなか、10月に発表された長野県の事業状況では、2014年度の市町村国保の特別会計の決算は、27億円近い単年度赤字となりました。さらなる保険料の負担増は、滞納を拡大し国民健康保険の存立基盤を、そのものをおびやかしかねません。まさに悪循環となりかねません。
 市町村ごとの所得の格差が大変大きい事も長野県の特徴です。最も所得が高い軽井沢町は298万円で、最も低い売木村は30万円。その格差は9.9倍です。保険料の格差も大きいのが長野県の特徴です。保険料が最も高い南牧村は11万5千円、最も低い大鹿村は3万1千円で、格差は3.7倍になります。
このように長野県では広域化する場合、特別に難しい、大変難しい側面がありますが、他県に比べても特に大きい保険料の格差を、高いところに合わせるのではなく、被保険者のくらしをまもるには、県の法定外繰り入れ、県独自の支出金も必要だと考えますがいかがでしょうか。
④次に、県内の自治体では、世帯主の入院、通院に対し9割の給付をおこなっている信濃町、同じく通院に対し8割給付の飯綱町、本年度から66歳以上になりましたが10割給付を行っている原村など独自の給付を実施している自治体があります。私の昨年の一般質問で、市町村の法定外繰り入れは広域化しても可能である旨の答弁でありましたが、地域で生まれ、地域で維持されてきたこうした独自の給付制度も保証すべきと考えますがいかがでしょうか。
⑤この間、国は3400億円の財政支援のうち数百億円減額する方向だと報じられています。この財政支援は、もともと全国知事会が1兆円の支援を求めていたものですが、それが3400億円に削られました。ただでさえこの不十分な支援をさらに削り込むとはまさに矛盾した話で財政基盤強化のためと言っていたこの広域化の意義そのものが問われる事態です。
 そもそも、年々高くなる国保料を作り出している主な原因は国庫負担の削減にあります。1984年の国保法改悪で、国保会計の総収入にしめる国庫支出金の割合は当時の50%でした。しかし現在約25%。半分くらい国庫支出が引き上げられてまいりました。国が国保の財政基盤を掘り崩すような事は認められません。財政支援を削減せぬよう、国へ強く働きかけてほしいと思いますが、いかがでしょうか。以上、健康福祉部長におうかがいいたします。
【健康福祉部長】
 国民健康保険の広域化についてのご質問について順次回答させていただきます。
①現在の進捗状況、今後の予定については、本年4月に厚生労働省から都道府県に対して国民健康保険運営報酬の策定や納付金および標準保険料率の算定方法についてのガイドラインが示されたところであります。
 これらに基づき10の市町村、担当課長等で構成する県市町村国保運営連絡会議幹事会において本県における納付金や標準保険料率の算定ルール等について6月、8月、10月の3回にわたって協議を重ねてまいりました。
現在までに各市町村の医療費水準の差が大きいなど本県の実情をふまえて納付金の算定において医療費水準の差を反映させることなど幹事会として決定したところであります。
 今後は次回12月の幹事会を含めたこれまでの協議をまとめ、来年1月には全市町村に対する説明と意見紹介を行い、その後これらの意見を踏まえた方針案を市町村長とで構成する県市町村国保運営連絡会議にはかり、来年度県に設置する国保運営協議会での審議につなげていく予定であります。
②③保険料の負担増への対応については今回の国民保険の制度改革においては市町村が県に納付金を納める仕組みの導入に伴い被保険者の保険料負担が上昇する場合への対応として県の一般会計からの繰入金により市町村ごとの負担の上昇に応じて激変緩和の措置を講じることとされております。
 激変緩和の対象とする範囲等について現在市町村と協議を進めているところでございます。
④また、市町村が独自に行っている結核や精神疾患等の療養に対する任意給付等の事業については従前どおり引き続き市町村の判断において行うことが可能となっております。
 今回の国保の制度改革は平成29年度以降、毎年約3400億円の財政支援の拡充を行い、財政基盤の強化を図ることを前提に県と市町村による共同運営の仕組みを知事会をはじめとする地方団体と国との協議の結果、合意したものであります。
⑤議員ご指摘の通り減額する方向で調整に入ったと報道をされたことは、国と地方の信頼関係を損なうものであり報道を受けて11月21日に全国知事会、同月24日には知事会と全国市長会および全国町村会が共同して国に要請を行いました。
 本県としても今後のさらなる医療費の増加に耐えうる財政基盤の強化を国に求めてきたところであり、制度改正に伴う財政支援の拡充については確実に実行するよう、引き続き国に強く求めてまいります。
【山口議員】
 国保制度は、利用者住民に最も身近な市町村が運営していることで、健康や医療に関する要望を的確に捉え、生活実態に即した措置をとる事ができてきたと思います。広域化、都道府県化にあたって、払える国保料、そして皆保険制度を守るためにも市町村の独自性、市町村の自主性を尊重することが重要と思われますがいかがでしょうか。改めて健康福祉部長にうかがいます。
【健康福祉部長】
国民健康保険制度の運営についてのおたずねであります。
このたびの制度改正により国民健康保険については市町村に加えて県も保険者となりました。従いまして今後は市町村だけでなく、県と市町村が一緒になって運営をしていくことが重要であると考えております。
 従いまして現在も先ほどご答弁させていただいた通り、市町村とともに検討を進めているところでございますので今後とも市町村の意見を丁寧にお伺いしながら国庫運営を行っていきたいと考えております。

3.長野県立大学について

【山口議員】
 次に、新県立大学ついてうかがいます。
最初に、1年次の全寮制の寮費や2年次全学生が海外で研修する海外派遣プログラムの負担についてうかがいます。全寮制や海外派遣プログラムは、それぞれの意義はあると考えます。しかし、家庭の経済的な事情から、不安感やためらいを持つ学生も少なくないと思われます。こうしたなか、学生の負担については支援策を考えているという事ですが、どのような支援策を考えているのでしょうか。また、受験生や保護者の不安解消のため、早期に具体的な支援策を示す必要があると思いますがいかがでしょうか。
 健康長寿、全国で最も低い1人当たりの医療費、多種多品目の農業生産物、そして精密機械やものづくり産業など、長野県は全国に誇るべき伝統や到達点が数多々あります。こうした長野県の伝統や到達点を継承し、将来にわたって発展させるため、また過疎化や人口減少などの課題解決のための研究や人作りは新県立大学の重要な役割であると考えます。これら本県の特徴や課題に関連した、長野県らしい授業科目は、教育研究上のテーマとして積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、授業科目にはどのようなものがあるのでしょうか。以上、県立大学設立担当部長にうかがいます。

次に知事にうかがいます。
「知の拠点」、地域連携を進める拠点としての県立大学のあり方について質問します。
 現在、各地の国公立大学で、いわゆる地(知)の拠点事業が取り組まれ、各地で特色ある研究活動が行われています。
 先日、長野県短期大学の四年制化にむけた懇談会で視察に私も参加させていただきました。静岡県立大学では、大学の付属機関としてグローバル地域センターを設立し、静岡県がかかえる地域の課題、例えば、文科系の大学ですが、地震や原発に関わる危機管理体制の整備、並びに地震の予知研究とリスク評価など調査研究を行っております。
岩手県立大学の地域政策研究センターでは、岩手県の馬事文化の継承や、釜石におけるラグビーの民族史が、福井県立大学では、日本における海洋生物資源の保全と育成を目指して生物資源臨海研究センターを設立しており、恐竜学研究所もあるということです。
 長野県の優れた伝統を継承し、将来にわたって発展させていく、また、長野県の課題の解決のための研究活動の拠点として、長野県と県民のシンクタンクとして、新県立大学に研究センターを設置してほしいと考えますがいかがでしょうか。阿部知事におうかがいいたします。

【県立大学設立担当部長】
 新県立大学設立に関して私には2点おたずねをいただきました。最初に経済的支援策についてでございます。
新大学に収めていただく学生納付金の考え方については、昨年9月の県立大学設立委員会においてお示ししたところでございます。入学料や授業料については、公立大学として広く高等教育を受ける機会を確保する観点から国立大学の標準額をもとに設定しております。
 また、議員おたずねの長野県立大学の特徴である一年次の全寮制や二年次の海外プログラムへの参加については実費相当の負担を求めることとしておりますけれども、できる限り低廉に設定する努力を行っているところでございます。
さらに、経済的な理由により負担が困難な学生に対しては、その支援策として日本学生支援機構など既存の支援制度や、授業料の減免制度の活用の他、学内でのアルバイト等、学生が勉学を行いながら収入を得られる方策についても検討することとしております。
 海外プログラム参加費については奨学制度の創設について民間企業や金融機関と協議をしているところでございます。
現在県内4地区5会場で高校生や保護者を対象に大学説明会を順次開催しておりますがこの中で学生支援策についても丁寧に説明し、志願者の不安が少しでも軽減するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に本県の特徴や課題に関連した新大学の授業科目についてでございます。
学生が新大学の授業において本県の特徴、強み、現状や課題を学ぶことは地域に貢献するリーダーとなる人材を育成する観点からも大変重要であると考えております。 本県のことを取り上げる授業として現在予定されているものといたしましては例えば産業分野の関連では急激な人口減少や高齢化が進む中でいかに持続可能な地域経済を支えていくかなどについて学ぶ科目として長野県の経済と産業、県内中小企業の抱える課題などについて学ぶ中小企業論、また健康長寿の関係では本県で展開されてきた健康長寿に向けた活動などについて学ぶ長野県健康社会史、さらに食文化の関連では食と栄養、健康増進に対する支援などについて本県の状況をふまえて学ぶ健康発達概論などがございます。
 学生が本県の状況について様々な科目を通して学ぶことにより、将来多種多様な分野において地域に貢献する人材となることを期待するところでございます。
【阿部知事】
 私には新県立大学に研究センターを設置してはどうかというご質問でございます。
私も新しい県立大学、教育機関ということだけでなくて、県政課題、地域課題の解決に役立つ機関として発展をしていってもらいたいというふうに思っております。
そういう観点で新しい大学にはソーシャルイノベーション創出センターというものを設置をする予定にしております。
グローバルマネジメント学部の専任教授を中心として起業支援、イノベーションの創出支援、企業向けの研修会を行うとともに市町村や住民とも連携して地域が抱える課題解決の支援等にも取り組んでいってもらいたいと思っております。
 また新しい大学はものづくり産業、あるいは健康長寿、地方行財政など、県の政策に関連する分野の教員も配置されるわけであります。こうした皆様方にはぜひ大学自体が県のシンクタンク的な役割を担っていただくという観点でさまざまな場面で課題の分析研究あるいは政策の立案に共同協力をしていただきたいというふうに考えております。
 新大学がこのソーシャルイノベーション創出センターを中心に地域に貢献する大学になっていけるように私としても引き続き取り組んでいきたいと思っております。
【山口議員】
改めて知事にうかがいます。長野県が実施した子どもの声アンケートではひとり親の課程の子どもたちから様々な切実な声が寄せられました。
「本当は進学したいけど、高校を卒業したら働くからねとお母さんに言っています」 こうした経済的な困難を抱える家庭の子どもさんの声は本当に切実です。こうした県内の子どもたちの希望となるような、夢となるような新県立大学であってほしいと思いますがいかがでしょうか。知事のお考えを改めてお伺いいたします。
【阿部知事】
 信州創生を進めていく中で子育てにかかる財政的な負担、経済的な負担な問題、非常に大きな課題だと思っておりますし、また今お話がありましたように子どもたちが経済的な理由で自分たちの夢や希望を実現することが閉ざされるということは極力なくしていかなければいけないというふうに思っております。
 そういう観点で今回県立大学を設置すること自体がですね、これは県内に進学先、選択肢を増やしていこうというものでありますし、先ほど高田部長からもご答弁させていただきましたように、そうした学生の負担については様々な工夫をこらそうということで検討しているところでございます。
 県立大学のみならず、ほかの大学あるいは大学以外の教育機関も含めてですね、本当に一人ひとりの能力をしっかり生かしてもらえることができる長野県づくりのために限られた財源の中ではありますけれどもできるだけ工夫していきたいというふうに思っております。
【山口議員】
県短期大学は88年の歴史を持つ全国の国公立大学で最も古い歴史を持つ短期大学であり、今日の長野県の地域づくりに貢献する人々を養成してまいりました。新大学は、この県短期大学の歴史と伝統をしっかり受け継ぎ、いかした大学となるよう期待して質問を終わります。

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